JP3697886B2

JP3697886B2 - スクータ型自動二輪車

Info

Publication number: JP3697886B2
Application number: JP10511698A
Authority: JP
Inventors: 徹男野嶋
Original assignee: Suzuki Motor Co Ltd
Current assignee: Suzuki Motor Co Ltd
Priority date: 1998-04-15
Filing date: 1998-04-15
Publication date: 2005-09-21
Anticipated expiration: 2018-04-15
Also published as: JPH11301557A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン及び動力伝達機構を、一体化されたクランクケースと伝達ケースとに収納してなるユニットスイング型エンジンを備えたスクータ型自動二輪車に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般にスクータ型自動二輪車には、ユニットスイング型エンジンが設けられているが、このユニットスイング型エンジンは、その前端部に設けられている支軸とクッションユニットとによって揺動可能に支持されており、後輪と共に揺動するものとなっている。
そして、ユニットスイング型エンジンのシリンダの上方には、エアクリーナケース及び気化器等が順次直列的に保持され、これらがユニットスイング型エンジンと共に揺動するよう保持されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のユニットスイング型エンジンにおいて、ユニットスイング型エンジンの上方には、ヘルメット等を収納するためのトランクルームやシート等が存在しており、揺動時においてユニットスイング型エンジンとの干渉を避ける必要がある。このため、エアクリーナケース及び気化器が上記従来技術のように、ユニットスイング型エンジンの上方に直列的に保持されていた場合には、エアクリーナケースを上下方向において偏平化するか、あるいはトランクルームなどの底部の位置を上方へと設定する必要がある。しかしながら、エアクリーナケースを偏平化した場合には、エアクリーナケースに十分な容量を得ることができず、吸気性能の低下を招く虞れがあり、また、トランクルームの底部の高さを上方へと移動させた場合には、その上方に設けられているシートの高さも共に上昇し、乗車性及び走行安定性が低下するという問題を生じる。
【０００４】
本発明は、上記従来技術の課題を解消すべくなされたもので、良好な足着き性が得られると共に、エアクリーナに十分な容量を得ることができ、吸気性能に優れたスクータ型自動二輪車の提供を目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、クランクシャフトなどを収納してなるクランクケースの後方に、前記クランクシャフトの回転力を後輪に伝達する動力伝達機構を収納してなる伝動ケースを延設すると共に、前記クランクケースの前端部に前方に向けて略水平に突設するシリンダを備えたユニットスイング型エンジンのスクータ型車両であって、前記シリンダのシリンダヘッドより車両前方の空間に突出して気化器を配設し、前記気化器とシリンダヘッドとを吸気管を介して連結する一方、エアクリーナを前記気化器とアウトレットチューブを介して連結し、このエアクリーナの後方部を前記シリンダの上方に配置すると共に、その後方部の内方にクリーナエレメントを嵌着固定し、前記クリーナエレメントの下流側となるエアクリーナを、気化器の側方にシリンダヘッドより前方に突出する側方部を設けて前記後方部とによって平面視Ｌ字形状をなすように配設し、前記アウトレットチューブを車幅方向へ突出させてエアクリーナの側方部に連結し、前記エアクリーナのインレットチューブからエアクリーナケース及びアウトレットチューブを経てエンジンに至る吸気経路を平面視環状に形成したスクータ型自動二輪車である。
【０００６】
上記構成を有する本発明において、エアクリーナの一部を構成する側方部及び気化器がシリンダヘッドの前方空間を利用して配置されているため、気化器及びエアクリーナとシートとの間隔をシートの高さを増大させることなく十分に確保することができる。このため、エアクリーナの容量を十分に確保することができて良好な吸気性が得られると共に、足着き性も良好な状態を維持することができる。
【０００７】
また、エアクリーナの外殻をなすエアクリーナケースの後方部を、シート下方に配設してシリンダヘッド上にゴム等のクッションを介して浮動状態で保持させるようにすれば、エンジンの振動などが直接的にエアクリーナに伝達されるのを防止することができ、エアクリーナにおける騒音の発生を低減することができ、乗車時の快適性を向上させることができる。
また、エアクリーナの外殻をなすエアクリーナケースには、後方部の前面から前方に向けて開口するインレットチューブを設け、そのインレットチューブを前記吸気管の上方に開口し、平面視で環状の吸気経路を螺旋状に湾曲する。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図１は本発明の実施形態に係るスクータ型自動二輪車の全体構成を示す外観側面図、図２は図１に示した自動二輪車の内部構成を示す説明側面図、図３は図１に示したユニットスイング型エンジン及びその周辺構成を示す側面図、図４は図３に示したものの平面図、図５は図３に示したものの正面図、図６は図４に示したものの一部縦断側面図、図７は図６に示したものの部分底面図である。
【０００９】
図１に示すように、この実施形態における自動二輪車１は４サイクルＤＯＨＣエンジンを搭載した２人乗り用の大形スクータであり、左右に突出するレッグシールド２及びスクリーン３等を有する車体前部４には、後述のフレーム２０によってハンドル６が保持されると共に、ハンドル６の下方に連結されるフロントフォーク７に前輪８が回動自在に保持されている。また前記車体前部４より後方にはバックレスト９などを有するダブルシート（「シート」とも称する）１０が保持されており、この車体前部４からシート１０に至る間には、前記シート１０に搭乗した乗員が両足を置くことができる車両進行方向に対して左右一対の板状をなすフートレスト１１，１２と、このフートレスト１１，１２の間で上方へと立ち上がる凸部１３とによってフロア部１４が形成されている。
【００１０】
そして、このフロア部１４の後方には、車体の後部を覆う後部カバー１５が設けられており、その下方には、後輪１６がユニットスイング型エンジン１７によって上下に揺動自在に支持されている。なお、この実施の形態においては、前記ユニットスイング型エンジンは、４サイクルエンジンを搭載したものとなっている。
また、前記シート１０は後述のフレーム２０に着脱自在に保持されており、このシート１０の下方には、ヘルメットなどを収納するトランクルームＲが形成されている。
【００１１】
また、図１に示す自動二輪車には、図２に示すような所謂アンダーボーン型フレーム２０が設けられている。すなわち、このフレーム２０の前端部には、前記ハンドル６に固定されたステアリングステム６ａを回動自在に支持するヘッドパイプ２１が設けられ、このヘッドパイプ２１には、後方へ向けて斜め下方に延出する上側ダウンチューブ２２と、下側ダウンチューブ２３が進行方向に対して左右対称に設けられており、さらに各ダウンチューブ２２，２３には、前記フロア部１４及びシート１０を支持する左右一対の上側フレーム２４と、前記フートレスト１１，１２を下方から支持すると共に後部が上方へと立ち上がり前記上側フレーム２４の後端部に連結される下側フレーム２５とが連結されている。また、この下側フレーム２５の後端部には、前記トランクルームを支持するＵ字状に屈曲したシートレール２６が固定されている。そして、前記上側フレーム２４と下側フレーム２５とは複数本のブリッジ２７によって互いに連結され、必要十分な強度を得られるよう配慮されている。
【００１２】
そして、前記下側フレーム２５には、後輪２８を回動自在に支持した前記ユニットスイング型エンジン１７の前端部がピボット１７ａを介して回動自在に連結されると共に、下側フレーム２５にリンク機構２９を介して連結されたクッションユニットに連結されており、クッションユニット３０の弾性力に抗して後輪２８と共に揺動可能に支持されている。このユニットスイング型エンジン１７は、図外のクランクシャフトなどを収納してなるクランクケース１７Ａとこのクランクケース１７Ａの後方に一体に延設形成してなる伝動ケース１７Ｂと、前記クランクケース１７Ａの前端部に突設したシリンダ１７Ｃ及びシリンダヘッド１７Ｄとによりその外殻が構成されている。そして、前記伝動ケース１７Ｂの内方には、前記クランクシャフトの回転力を後輪２８に伝達する動力伝達機構が内蔵されている。
【００１３】
また、前記シリンダヘッド１７Ｄの前端部には、インレットパイプ（吸気管）３２を介して気化器３３が連結されており、この気化器３３は前記シリンダヘッド１７Ｄより前方の空間に突出している。またこの気化器３３は、平面視において、左右一対の上側フレーム２４の間で右側に偏倚した位置に配置されている。
また、前記気化器３３の前方に形成されている吸気口には、アウトレットチューブ３４を介してエアクリーナ３５が連結されている。このエアクリーナ３５は、エアクリーナケース３６によってその外殻が構成され、このエアクリーナケース３６は、車両左右方向（幅方向）において幅広の平面視矩形の後方部３７と、この後方部３７に連通する側方部３８とにより構成されており、前記後方部３７の上端部に形成される開口部より内方には、クリーナエレメント３９が嵌着固定されている。そして、前記エアクリーナケース３６の後方部３７は、前記シリンダ１７Ｃの上面に固定されており、前記側方部３８は前記気化器３３の側方に位置し、前記シリンダヘッド１７Ｄの前方に突出している。
【００１４】
また、このエアクリーナケース３６の後方部３７は、前記シリンダ１７Ｃ上に次のように固定されている。
すなわち、エアクリーナケース３６の底面には、図３、図６、及び図７に示すように、複数（ここでは２個）のボス３６Ａが突設されており、このボス３６Ａがシリンダ１７Ｃの上面に固定されているゴムクッションに圧入されている。さらに、前記エアクリーナケース３６の底面にはゴム製のクッション材４１が固定されており、これが、シリンダヘッド１７Ｄにねじ４２にて固定されている。従って、この実施形態におけるエアクリーナケース３６は、前記クッション材４１と前記ボス３６Ａの圧入されるゴムクッションとによってエアクリーナ３５を浮動状態で保持するようになっている。
【００１５】
また、前記エアクリーナケース３６の側方部３８には、アウトレットチューブ３４が連結されている。このアウトレットチューブ３４は前記側方部３８の右側面から車幅方向右側方へと突出した後、後方へと突出するよう略Ｌ字状に屈曲している。
そしてこのアウトレットチューブ３４の後端部が前記気化器３３の前端部に形成された開口部３３ａに連結されている。
そしてさらに、前記エアクリーナケース３６の後方部に形成されている開口部３６ａの端縁には、キャップ３６Ｂが着脱自在に取り付けられるようになっており、嵌合時には前記開口部３６ａを閉塞するようになっている。但し、前記キャップ３６Ｂの前面部には、エアクリーナインレットチューブ３６Ｂ１が連結され、ここからエアクリーナ３５内に外部空気を導入させ得るものとなっている。
なお、前記気化器３３は図外の燃料タンクに連結されている。
【００１６】
以上のように構成されたこの実施形態における自動二輪車の吸気装置において、インレットチューブ３６Ｂ１から導入された新気は、螺旋状に湾曲した図４に示すように平面視で環状の吸気経路を経てユニットスイング型エンジン１７に達する。
すなわち、エアクリーナケース３６には、インレットパイプ３２の上方で前方に向けて開口しているエアクリーナインレットチューブ３６Ｂ１から新気が流入し、その新気に含まれた塵埃がクリーナエレメント３９にて除去された後、エアクリーナケース３６の下流側に送給され、さらに下流側に送給された空気はアウトレットチューブ３４を経て気化器３３へと送られ、ここで図外の燃料タンクから供給されるガソリンなどの燃料と混合され、その混合気がエンジンに供給されてエンジンが駆動する。
【００１７】
このように、この実施の形態においては、エアクリーナケース３６が後方部３７と側方部３８とによって構成されているため、エアクリーナ３５には十分な容量を得ることができると共に、クリーナエレメント３９は幅広のエアクリーナケース３６の開口部３６ａに配置されているため、大きな濾過面積を得ることができ、極めて良好な空気供給状態を得られる。
【００１８】
しかも、エアクリーナケース３６は、その一部である側方部がシリンダヘッド１７Ｄより前方でシート１０の下方となるデッドスペースを有効に利用して配置されているため、エアクリーナケース３６及び気化器３３の位置を下方に設定することができ、シート１０やトランクルームＲの底部Ｒ１との間に十分な空間を設定してもシート１０の位置を格別に高める必要がない。このため、ユニットスイング型エンジン１７が上下に揺動しても、気化器３３、及びエアクリーナ３５等がシート１０やトランクルームＲの底部Ｒ１と干渉することはなくなり、悪路を走行した場合などにおいても車両１が破損することはない。
【００１９】
また、シリンダヘッド１７Ｄに対し、エアクリーナケース３６が前述のようにしてクッション材４１とによって浮動状態で保持されているため、ユニットスイング型エンジン１７の振動が緩和された状態でエアクリーナ３５及び気化器３３が伝達され、エアクリーナ３５及び気化器３３に不快な振動音の発生や破損などが生じるのを防止することができ、良好な乗車性を得ることができる。
さらに、この実施の形態におけるエアクリーナケース３６のキャップ３６Ｂは着脱可能なシート１０の下方に配置されているため、クリーナエレメント３９の清掃作業を行う場合には、シート１０を取り外し、キャップ３６Ｂを取り外すことによって容易にクリーナエレメント３９を着脱することができ、清掃作業を容易に行うことができる。
【００２０】
また、エアクリーナ３５のインレットチューブ３６Ｂ１は、エアクリーナ３５の前面から前方へ向けて突出し、開口しているため、後輪２８によって跳ね上げられた塵埃や泥水などは、エアクリーナ３５の後方部３７によって遮断され、インレットチューブ３６Ｂ１の開口部に吸引されるのは防止される。従って、クリーナエレメント３９の汚れを抑えることができる。
【００２１】
なお、上記実施形態にあっては、シリンダ１７Ｃの前方部空間において、気化器３３を車両の右側に偏倚して配置し、エアクリーナケース３６の一部を構成する側方部３８を車両の左側方部に配置した場合を例にとり説明したが、気化器３３を車両の左側に、エアクリーナケース３６の側方部３８を右側に配置することも可能である。
【００２２】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明は、シリンダのシリンダヘッドの車両前方に気化器を配設し、気化器とシリンダヘッドとを吸気管を介して連結する一方、平面視Ｌ字状をなすエアクリーナの後方部を前記シリンダの上方に配置すると共に、気化器の側方にシリンダヘッドより前方に突出する側方部を設けたため、シートやトランクルーム等の高さを増大させなくともエアクリーナに大きな容量を得ることができ、良好な吸気性能と足着き性を得ることができる。
また、浮動状態でエアクリーナをシリンダに取り付けるようにすれば、ユニットスイング型エンジンに発生する振動がエアクリーナに直接的に伝達されるのを緩和することができ、エアクリーナなどに騒音などが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態に係るスクータ型自動二輪車の全体構成を示す外観側面図である。
【図２】図１に示した自動二輪車の内部構成を示す説明側面図である。
【図３】図１に示したユニットスイング型エンジン及びその周辺構成を示す側面図である。
【図４】図３に示したものの平面図である。
【図５】図３に示したものの正面図である。
【図６】図４に示したものの一部縦断側面図である。
【図７】図６に示したものの部分底面図である。
【符号の説明】
Ｒクランクケース
１自動二輪車
１７Ｂ伝動ケース
１７Ｃシリンダ
１７Ｄシリンダヘッド
１７ユニットスイング型エンジン
３２インレットパイプ（吸気管）
３３気化器
３４アウトレットチューブ
３５エアクリーナ
３６エアクリーナケース
３７エアクリーナの後方部
３８エアクリーナの側方部
３９クリーナエレメント
４１クッション材

Claims

クランクシャフトなどを収納してなるクランクケースの後方に、前記クランクシャフトの回転力を後輪に伝達する動力伝達機構を収納してなる伝動ケースを延設すると共に、前記クランクケースの前端部に前方に向けて略水平に突設するシリンダを備えたユニットスイング型エンジンのスクータ型車両であって、
前記シリンダのシリンダヘッドより車両前方の空間に突出して気化器を配設し、前記気化器とシリンダヘッドとを吸気管を介して連結する一方、
エアクリーナを前記気化器とアウトレットチューブを介して連結し、
このエアクリーナの後方部を前記シリンダの上方に配置すると共に、その後方部の内方にクリーナエレメントを嵌着固定し、
前記クリーナエレメントの下流側となるエアクリーナを、気化器の側方にシリンダヘッドより前方に突出する側方部を設けて前記後方部とによって平面視Ｌ字形状をなすように配設し、
前記アウトレットチューブを車幅方向へ突出させてエアクリーナの側方部に連結し、
前記エアクリーナのインレットチューブからエアクリーナケース及びアウトレットチューブを経てエンジンに至る吸気経路を平面視環状に形成したことを特徴とするスクータ型自動二輪車。
エアクリーナの外殻をなすエアクリーナケースの後方部を、シート下方に配設してシリンダヘッド上にゴム等のクッションを介して浮動状態で保持することを特徴とする請求項１に記載のスクータ型自動二輪車。
エアクリーナの外殻をなすエアクリーナケースには、後方部の前面から前方に向けて開口するインレットチューブを設け、そのインレットチューブを前記吸気管の上方に開口し、平面視で環状の吸気経路を螺旋状に湾曲することを特徴とする請求項１または２に記載のスクータ型自動二輪車。