JP3689513B2 - 射出成形同時絵付装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形と同時に型内で図柄や文字等が施された絵付シートを射出樹脂成形品の表面に一体的に接着して加飾成形品(製品)を得るようにした射出成形同時絵付装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形と同時に射出成形樹脂成形品の表面に絵付シートを一体的に接着する射出成形同時絵付方法としては、従来より幾つもの態様が提案されているが、それらの大半は、次の(a)〜(i)の工程の全部又は幾つかを記述順に又はその順番を入れ換えて、順次、又は複数の工程を同時に重複してもしくは並列的に行うようにされている(特公昭50−19132号、実公平3−56344号、特公平7−41637号公報等を参照)。
【0003】
(a)絵付シートを射出成形に用いられる雌型のパーティング面上に供給するシート供給工程。
(b)絵付シートを雌型のパーティング面に固定保持するクランプ工程。
(c)絵付シートを熱盤等により加熱軟化させる加熱軟化工程。
(d)絵付シートを真空吸引及び/又は圧空供給等により雌型のキャビティに沿わせるように延伸させる延伸工程(予備成形工程)。
【0004】
(e)雌型と雄型の一方(通常は雌型)を他方(通常は雄型)側へ移動させて型締めを行う型締め工程。
(f)キャビティ内に雄型側から流動状態の樹脂(熔融樹脂)を注入充填して射出成形を行う射出成形工程。
(g)雌型と雄型とを離間させる型開き工程。
(h)絵付シートのうちの射出成形品に接着付随させるべき部分を他の部分(不要部分)から切り離すトリミング工程。
(i)絵付シートが接着された射出成形品を前記雄雌両金型から取り出す取出工程。
【0005】
なお、複数の工程を同時に重複して行うとは、複数の工程が一工程に含まれることをいい、例えば、前記(e)の型締め工程において絵付シートを雌型と雄型との間に挟んで固定保持するようになせば、該型締め工程と同時に重複して前記(b)のクランプ工程が行われたことになり、また、前記(f)の射出成形工程において絵付シートを射出された熔融樹脂の熱と圧力により延伸させるようになせば、該射出成形工程と同時に重複して前記(d)の延伸工程が行われたことになる場合をいう。
【0006】
また、絵付シートとしては、製品種別に応じて貼合わせ積層シート(ラミネートシート)と転写シートのいずれかが用いられ、ラミネートシートである場合には、射出成形によりそのままで絵付けが行われたことになり、射出樹脂成形品の表面にシート全層が接着一体化して化粧層となる。それに対し、絵付シートが転写シートである場合には、射出樹脂成形品の表面に一体化した化粧シートのうちの支持体シートを剥離し、装飾層等の転写層のみを射出樹脂成形品側に残留させて化粧層となすことにより絵付けが完了する。
【0007】
ところで、射出成形同時絵付装置においては、前記(d)に記述した如くに、絵付シートを雌型のキャビティ(の底面や立ち上がり面等)に沿わせて密着させるように延伸させるべく、通常、雌型には、外部の真空発生源(パキュームポンプ等)に接続された真空吸引孔(又は真空吸引孔として働く溝やスリット状の隙間等)を形成する必要があるが、従来、前記真空吸引孔の形成態様としては下記(1) 〜(6) に記述したものが提案ないし創案されている。
【0008】
(1) 真空吸引孔を雌型のキャビティの最も低い底面に複数カ所開口させたもの(特公昭50−19132号公報等を参照)。
(2) 図10を参照すればよくわかるように、雌型2のキャビティの外側のパーティング面もしくは成形品外となる内側部分(成形品の窓、開口、切欠部等となる部分)のパーティング面2aに、前記キャビティ12を周回するように形成された環状溝15を介して真空吸引孔17、17、…を開口させたもの。
【0009】
(3) 図11を参照すればよくわかるように、真空吸引孔17、17、…を雌型2のキャビティ12の外側のパーティング面2bに開口させるとともに、前記真空吸引孔17と前記キャビティ12とを溝22で連通させたもの(特公平7−41637号公報参照)
【0010】
(4) 図12を参照すればよくわかるように、雌型2を複数の分割型2A、2Bからなる入れ子構造とし、前記分割型(入れ子)2A、2B相互間に真空吸引孔として働くようにスリット状の隙間25' を形成し、該隙間25' を前記雌型2のキャビティ12の最も低い底面12aに開口させ、かつ、前記(2) と同様な真空吸引孔17、17、…及び環状溝15を形成したもの(特願平7−324783号参照)。
【0011】
(5) 図13を参照すればよくわかるように、前記(4) と同様に、雌型2を複数の分割型2A' 、2B' からなる入れ子構造とし、前記分割型(入れ子)2A' 、2B' 相互間に真空吸引孔として働くようにスリット状の隙間25' を形成し、該隙間25' を前記雌型2のキャビティ12の立ち上がり面12bに開口させ、かつ、前記(2) と同様な真空吸引孔17、17、…及び環状溝15を形成したもの。
(6) 雌型おけるキャビティ面形成部分を多孔質材料で作製したもの(実公平3−56344号公報等を参照)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1) のように真空吸引孔を雌型キャビティの底面に複数カ所開口させたものでは、絵付シートが柔薄、特に装飾部分が薄い(例えば転写シート)場合に、得られた成形品の装飾面に真空吸引孔の痕跡が残り、外観意匠、美観を損ねるおそれがあった。
【0013】
また、前記(2) のように、真空吸引孔を雌型のキャビティ外に開口させたものでは、得られる成形品に真空吸引孔の痕跡は残らないが、真空吸引孔とキャビティとが離れるので、真空吸引効率が悪く、成形品形状によっては、キャビティ12の立ち上がり面12b付近に空気が残留しやすく、予備成形不十分のまま射出樹脂により一気に絵付シートがキャビティ表面に向かって延伸されるため、絵付シートに皺、剥離、破れ等が発生しやすい。また、絵付シートを沿わせて密着できるキャビティの形状(深さ、R、凹凸等の限界形状)が限られる。さらに、真空吸引孔を成形品外となる内側部分(成形品の窓、開口、切欠部等となる部分)のパーティング面2aに開口させる場合には、当然ながら得るべき成形品形状が窓、開口、切欠部等となる部分を有するものに限られ、汎用性がない。
【0014】
前記(3) のように、真空吸引孔とキャビティとを溝で連通させたものでは、図11を参照すればよくわかるように、前記真空吸引孔17、17、…を通じて真空吸引を行うと、まず、溝22内に絵付シートSが引っ張られて密着し、前記真空吸引孔17、17、…を封鎖してしまうため、期待したようには、絵付シートSとキャビティ12との間の空気を吸引排除できず、キャビティ12の立ち上がり面12b付近に空気が残留しやすく、絵付シートSに皺、剥離、破れ等が発生しやすい。
【0015】
前記(4) のように、雌型2を入れ子構造にして、隙間25' をキャビティ12の最も低い底面12aに開口させたものでは、前記隙間25' が広いと該隙間25' の痕跡(入れ子跡)が成形品に残り、前記隙間25' が狭いと、真空吸引効率が悪くなり、絵付シートSとキャビティ12との間の空気を充分に吸引排除できないおそれがある。また、雌型を入れ子構造にして隙間を25' を形成するには、通常ののものに比してコストが高くつく。
【0016】
前記(5) のように、雌型2を入れ子構造にして、隙間25' をキャビティ12の立ち上がり面12bに開口させたものでは、前記(4) と同様に、隙間25' の痕跡(入れ子跡)が成形品に残るおそれがあるが、該痕跡は成形品の横方向に伸びる線状のものであるので目立ちにくいという利点がある。しかしながら、得るべき成形品形状によっては、例えば、キャビティ12の立ち上がり(深さ)Hが3〜5mm程度である場合等には、分割型2A' のパーティング面2a側部分が薄くなりすぎて強度が不足するため、実用に耐えない。
【0017】
前記(6) のように、キャビティ面形成部分を多孔質材料で作製したものでは、真空吸引孔(通路)が実質的に紆余曲折したものとなって極端に細い部分が形成されたりするので、通路抵抗が極めて大きくなり、真空吸引効率が悪い。また、型自体の力学的強度も低いものとなる。
【0018】
本発明は、上述の如くの問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、比較的容易にかつ低コストで製作できるとともに、得られる成形品の装飾面に真空吸引孔等の痕跡を残り難くして、その品質、外観意匠、美観を損なわないようにでき、かつ、真空吸引効率を向上できて、絵付シートとキャビティとの間の空気を確実に吸引排除でき、絵付シートに皺、剥離、破れ等を生じ難くできる射出成形同時絵付装置及び方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、本発明に係る射出成形同時絵付装置は、基本的には、雌型と雄型とを備え、前記雌型のパーティング面におけるキャビティの立ち上がり面との境界となるエッジ部より所定の距離だけ離れた部位に、前記キャビティを周回するように環状溝を形成するとともに、前記環状溝に真空吸引孔を任意のピッチで開口させ、かつ、前記パーティング面における前記エッジ部と前記環状溝との間の部位に、凸部を任意のピッチで突設してなる。
【0020】
本発明装置において、前記凸部は、前記エッジ部を含む前記パーティング面の端部に突設してもよいし、あるいは、前記エッジ部から離れた部位に突設してもよく、前記パーティング面における前記エッジ部と前記環状溝との間の部位において上方(雄型側)に突出するものであれば、その位置及び形状は問わない。
本発明装置の好ましい態様では、前記凸部は、前記環状溝及び真空吸引孔には達しない大きさに設定され、また、前記雄型のパーティング面に前記凸部が嵌め込まれる凹部が形成される。
【0021】
本発明に係る射出成形同時絵付方法は、上記構成の射出成形同時絵付装置を使用したもので、前記雌型のパーティング面上に絵付シートを供給するシート供給工程と、前記絵付シートを前記雌型のパーティング面上に固定保持するクランプ工程と、前記絵付シートを前記雌型に形成された前記真空吸引孔を通じて真空吸引することにより前記雌型のキャビティに沿わせて密着させるように延伸させる延伸工程と、前記雌型と雄型の一方を他方側へ移動させて型締めを行う型締め工程と、前記雌型と雄型との間に形成されるキャビティ内に前記雄型側から流動状態の樹脂を注入充填して射出成形を行う射出成形工程と、前記雌型と雄型とを離間させる型開き工程と、前記絵付シートが接着された射出成形品を前記雌型から取り出す取出工程と、を含み、前記各工程を記述順に又はその順番を入れ換えて、順次、又は複数の工程を同時に重複してもしくは並列的に行うようにされる。
【0022】
本発明に係る射出成形同時絵付装置では、前記環状溝、真空吸引孔、凸部等の各部の寸法・ピッチ等は、得るべき成形品の寸法形状、言い換えれば、雌型キャビティの寸法形状に応じて定められるが、通常は、特に、前記エッジ部と前記環状溝との離隔距離Lは3mm以上で10mm程度、前記凸部の前記パーティング面に沿う方向の幅αは1mm〜5mm程度、前記凸部の高さβは0.2mm〜1mm程度、前記凸部の幅長γは1mm〜10mm程度、前記凸部のピッチpは1mm〜10mm程度、に設定することが好ましい。
【0023】
また、前記環状溝は、雌型のキャビティの外側のパーティング面だけでなく、得るべき成形品が内周部に窓、開口、切欠部等を有するものである場合には、この成形品外となる窓、開口、切欠部等となる部分(内側部分)のパーティング面にも、前記キャビティを周回するように形成する。この場合、前記環状溝としては、幅が2〜4mm程度で深さが1〜2mm程度のものが好ましく、この環状溝の底面に例えば直径が1〜2mm程度の真空吸引孔を任意のピッチ、例えば30〜50mmの間隔をあけて穿孔することが好ましい。なお、真空吸引孔の本数(密度)を増やす程、絵付シートの各部の延伸量が均一化しやすく、また吸引速度も大きくしやすい。
【0024】
このような構成とされた本発明の射出成形同時絵付装置及び方法にあっては、絵付シートを雌型に形成された真空吸引孔を通じて真空吸引して雌型のキャビティに沿わせて密着させる延伸工程において、前記パーティング面におけるエッジ部と環状溝との間の部位に任意のピッチで形成された凸部とそれに隣接する部分(隣接凹領域)とからなる凹凸部分の作用により、絵付シートの各部が延伸成形される時間に微妙な差が生じて、前記エッジ部付近で絵付シートに撓みが生じ、絵付シートと前記エッジ部に形成された前記凹凸部分付近との間に一時的に隙間が形成される。
【0025】
そのため、空気溜まりが生じやすいキャビティの立ち上がり面付近の空気が前記凹凸部分付近に形成された隙間を通じて前記環状溝及び真空吸引孔に吸引され、絵付シートとキャビティとの間の空気が確実に吸引排除される。そして、さらに、前記真空吸引孔を通じての真空吸引が進むと、前記凹凸部分付近の隙間の空気も吸引されて絵付シートは前記凹凸部分付近においても延伸せしめられて前記撓みが無くされ、最終的には、絵付シートが前記凹凸部分を含むキャビティ全面及びパーティング面に隙間を生じることなく密着する。
【0026】
このように本発明の射出成形同時絵付装置では、成形品の表面を形成するキャビティに真空吸引孔あるいは真空吸引孔として働く溝や隙間等を開口させることを要しないで、従来構成の雌型に対してそのパーティング面におけるエッジ部と環状溝との間の部位に凸部を任意のピッチで形成したという簡単な構成でありながら、真空吸引効率を向上できて、絵付シートとキャビティとの間の空気を確実に吸引排除でき、その結果、絵付シートに皺、剥離、破れ等を生じ難くできるとともに、得られる成形品の装飾面に真空吸引孔等の痕跡を残さず、したがって、その品質、外観意匠、美観を損なわないようにできる。また、型の力学的強度を低下させることもない。
【0027】
また、本発明の射出成形同時絵付装置の他の好ましい態様では、前記構成に加えて、前記雌型が複数の分割型からなる入れ子構造とされ、前記分割型(入れ子)相互間に真空吸引孔として働くスリット状の隙間が形成され、該隙間がキャビティに開口せしめられる。
【0028】
このように、雌型を入れ子構造にして分割型間に隙間を形成し、該隙間を真空吸引孔として働くようにキャビティに開口させるという構成を付加することにより、前記パーティング面におけるエッジ部と環状溝との間に形成された凹凸部分の作用による空気吸引排除効果に加えて、前記隙間を通じての空気吸引排除効果との相乗効果を期待できる。
【0029】
この場合、前記凹凸部分の作用による空気吸引排除効果が得られることから、前記分割型間の隙間による空気吸引排除の負担は少なくて済む。従って、前記凹凸部分を形成していない従来の雌型(図12)における分割型間の隙間に比して本発明の分割型間の隙間は狭くできるので、この隙間(入れ子跡)の痕跡(線状)をより目立ち難くでき、その結果、得られる成形品の品質、外観意匠、美観を一層向上させることができる。
【0030】
本発明の射出成形同時絵付装置において、雄雌両金型は、鉄、銅等の金属あるいはセラミックス等で作製され、成形品形状等に応じて分割構成(前記した入れ子構造や中間型を有する構造)等としてもよい。また、雄型に圧空供給用の透孔等を形成してもよい。
【0031】
また、絵付シートを雌型のキャビティ面に沿わせて密着させるように延伸させる予備成形を行う前に、絵付シートを加熱軟化させるべく、熱盤等の加熱手段を付設してもよい。熱盤は、実公平1−10186号公報、特開平5−301250号公報等に開示されるような公知のものを使用できる。
【0032】
絵付シートは、ロール状に巻き取られた長尺の連続帯状シートの状態から必要量づつ(1ショット分づつ)供給するようにしてもよいし、予め所定寸法に裁断した枚葉シートを供給するようにしてもよい。また、帯状シート(の次ショット部分)もしくは枚葉シートからなる絵付シートを対向配置された雌型と雄型との間に供給するには、巻き出し機及び巻き取り機を用いたロール/ロール方式でもよいし、前記絵付シートを吸着盤やチャック等で保持して自動搬送する方式でもよい。
【0033】
また、絵付シートを雌型パーティング面に固定保持すべく適宜のクランプ手段を付設してもよい。クランプ手段としては、枠状のクランパー等を用いることができ、その駆動は、型締め動作等の成形用駆動力を用いたり、エジェクターピン駆動機構の動力を利用したりすることができる他、別途に流体圧アクチュエーター等の駆動手段を設けることによりなされる。
【0034】
絵付シートは、基材シートとその上に積層された装飾層からなり、基材シートを成形品と密着一体化させたまま最終製品として使用する貼り合わせ積層シート(ラミネートシート)、あるいは一旦絵付シートと成形品とを一体化させた後、装飾層(転写層)のみを成形品側に残して基材シート(支持体シート)を剥離する転写シートのいずれも使用することができる。
【0035】
前記積層シート用の基材シートとしては、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。基材シートの厚さは、通常20〜500μm程度である。装飾層は、印刷絵柄、着色又は透明塗膜、金属薄膜等の視覚的意匠を与える層の他、硬質塗膜、防曇塗膜、導電性層等の機能性を有する層であってもよい。
【0036】
前記転写シートは、一旦剥離性の支持体シート上に形成した絵柄層等よりなる転写層を、別の被転写体に転移させるためのもので、支持体シート上には必要に応じて離型層を設けても良く、転写層としては、剥離層、装飾層、接着剤層、等からなり、装飾層以外の層は必要に応じて選択する。装飾層としては、絵柄層、金属薄膜層(部分又は全面)あるいは硬質塗膜、防曇塗膜、導電性層等の機能性層から選ばれる。
【0037】
支持体シートは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の線状ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等の線状ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等、可撓性を有する熱可塑性樹脂フィルムあるいはそれらの積層体が好ましい。
【0038】
射出成形用の樹脂としては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を加熱熔融したもの、あるいは、二液硬化型、触媒硬化型の樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリエステル等の未硬化液等の射出成形同時絵付用として従来より知られている材料を使用でき、製品の要求物性やコスト等に応じて選定される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る射出成形同時絵付装置の一実施形態の要部を示している。
【0040】
本実施形態の射出成形同時絵付装置1は、図3に示される如くの、窓wを有する得るべき成形品(ここでは、車両部品)Pに対応した凹凸形状の雌型2と雄型3とを備え、雌型2はその底部が図示していない可動盤に固定されていて、流体圧シリンダのラムにより前記雄型3に対して接近−離隔する方向(ここでは水平方向)に進退動するようされている。
【0041】
なお、本実施形態では、上記のように雌型2が可動型とされていて水平方向に移動するようにされているが、これに限定される訳ではなく、例えば、雄型、雌型を上下に対向配置してそれらの一方を鉛直方向に移動させる等の形態を採用することもできる。
【0042】
前記雌型2には、図1及び図2に加えて、図1のB矢視付近を拡大して示す図4(各部は誇張ないし簡略化して描かれている)を参照すればよくわかるように、得るべき成形品P形状に応じた段部12A付きの凹状のキャビティ12が形成されるとともに、前記キャビティ12の外側のパーティング面2b及び成形品外(窓w)となる前記段部12Aのパーティング面2aにおける、前記キャビティ12の立ち上がり面12bとの境界となるエッジ部Eより所定の距離Lだけ離れた部位に、前記キャビティ12を周回するように環状溝16、15が形成されるとともに、前記環状溝Lに真空吸引孔17、17、…が任意のピッチで開口せしめられ、かつ、前記パーティング面2a及び2bにおける前記エッジ部Eと前記環状溝15との間の部位、より詳細には、前記エッジ部Eを含む前記パーティング面2aの端部に、前記真空吸引孔17、17、…及び環状溝15、16には達しない大きさの短角柱状の凸部21が任意のピッチPで形成されている。
【0043】
前記真空吸引孔17、17、…は、前記雌型2の底部側に穿設された真空吸引通路14(図2参照)及び図示していない導管を介して外部の真空ポンプに接続されている。さらに、前記雌型2の最外周のパーティング面2cには、前記キャビティ12の外周縁を周回するように、Oリング19の装着溝18が形成されている。前記Oリング19は、後述する枠状のクランパー7が、間に絵付シートSを挟んで雌型2のパーティング面2cに押し付けられた際、前記キャビティ12と外部とを気密的に遮断する役目を果たす。
【0044】
一方、図2に示す如く、前記雄型3は、射出成形機のノズルが装着される固定盤(図示省略)に固定されており、この雄型3には、その中央に前記成形品形状に対応した段付き凸部(コア)4が突設されるとともに、前記射出成形機のノズルからの熔融樹脂を前記雌型2のキャビティ12内に注入充填するための二股状に分岐する湯道(ランナー)5が形成されている。
【0045】
前記雄型3の前面の内周部、中間部、外周部は、それぞれ間に絵付シートSを挟んで前記雌型2のパーティング面2a、2b、2cに対接するパーティング面3a、3b、3cとなっており、前記雄型3のパーティング面3aには、図6に型締状態で示されているように、前記雌型2に設けられた凸部21が絵付シートSが被着された状態で密着嵌合せしめられる嵌合凹部31が形成されている。
【0046】
また、前記雌型2には、絵付シートSをそのパーティング面2cに押圧固定するための矩形枠状のクランパー7が付設されている。このクランパー7は、図1に示す如く、雌型2の四隅近くに設けられた貫通穴8に摺動自在に嵌挿された4本の連結ロッド9によって図示していない駆動機構により雌型2のパーティング面2cに対して垂直方向に進退動できるようになっている。なお、前記雄型3には、図2に示される如くの型締め状態において前記クランパー7が絵付シートSに対する押圧固定状態を解除する離間動作を行い得る深さを持った溝状凹部6が穿設されている。
【0047】
上記のような構成とされた本実施形態の射出成形同時絵付装置1においては、以下の工程順で射出成形同時絵付を行う。すなわち、雌型2のパーティング面2a、2b、2c上に絵付シートSを供給するシート供給工程、前記枠状のクランパー7により前記絵付シートSを前記雌型2のパーティング面2c上に押圧保持するクランプ工程、図示していない熱盤により前記押圧保持された絵付シートSを加熱軟化させる加熱軟化工程、加熱軟化された絵付シートSを前記雌型2に形成された前記環状溝15、16及び真空吸引孔17、17、…を通じて真空吸引することにより前記雌型2のキャビティ12に沿わせて密着させるように延伸させる延伸工程、前記雌型2を雄型3側へ移動させて型締めを行う型締め工程、前記雌型2と雄型3との間に形成されるキャビティ12内に前記雄型3の湯道5から熔融状態又は未硬化液状の射出成形用の樹脂を注入充填して射出成形を行う射出成形工程、前記雌型2と雄型3とを離間させる型開き工程、及び、前記絵付シートSが一体的に接着された成形品Pを前記雌型2から取り出す取出工程。
【0048】
そして、本実施形態の射出成形同時絵付装置1においては、絵付シートSを雌型2に形成された前記環状溝15、16及び真空吸引孔17、17、…を通じて真空吸引して雌型2のキャビティ12に沿わせて密着させる前記延伸工程において、図4及び図5(各部は誇張ないし簡略化して描かれている)を参照すればよくわかるように、パーティング面2aとキャビティ12の内周側の立ち上がり面12bとの境界となるエッジ部Eに任意のピッチpで形成された凸部21とそれに隣接する部分(凹領域20)とからなる凹凸部分20、21、20、21、…の作用により、絵付シートSの各部が延伸成形される時間に微妙な差が生じて、前記エッジ部E付近で絵付シートSに撓みが生じ、図5(A)、(B)に示す如く、絵付シートSと前記凹凸部分20、21、20、21、…付近との間に一時的に隙間Dが形成される。
【0049】
そのため、空気溜まりが生じやすいキャビティ12の立ち上がり面12b付近の空気が前記凹凸部分20、21、20、21、…付近に形成された隙間Dを通じて前記環状溝15、16及び真空吸引孔17、17、…に吸引され、絵付シートSとキャビティ12との間の空気が確実に吸引排除される。そして、さらに、前記真空吸引孔17、17、…を通じての真空吸引が進むと、前記凹凸部分20、21、20、21、…の隙間Dの空気も吸引されて絵付シートSは前記凹凸部分20、21、20、21、…付近においても延伸せしめられて前記撓みが無くされ、最終的には、図5(C)に示される如くに、絵付シートSが前記凹凸部分20、21、20、21、…を含むキャビティ12全面及びパーティング面2a、2b、2cに隙間を生じることなく密着する。
【0050】
このように本実施形態の射出成形同時絵付装置1では、キャビティ12に真空吸引孔あるいは真空吸引孔として働く溝や隙間等を開口させることを要しないで、従来構成の雌型に対してそのパーティング面2aとキャビティの立ち上がり面12bとの境界となるエッジ部Eと環状溝15及び16との間に凸部21を任意のピッチで形成したという簡単な構成でありながら、真空吸引効率を向上できて、絵付シートSとキャビティ12との間の空気を確実に吸引排除でき、その結果、絵付シートSに皺、剥離、破れ等を生じ難くできるとともに、得られる成形品Pの装飾面に真空吸引孔等の痕跡を残さず、したがって、その品質、外観意匠、美観を損なわないようにできる。
【0051】
このような作用効果を確認すべく、前記構成の射出成形同時絵付装置1の雌型2における環状溝15、真空吸引孔17、17、…、凹凸部分20、21、20、21、…等の各部の寸法・ピッチ等を下記〔寸法形状〕に記載のように具体的に設定し、比較例として、前記した図10に示される如くの、前記凹凸部分20、21、20、21、…は設けられていないが、本発明装置1と同様に、雌型2のキャビティの内側のパーティング面2aに、前記キャビティ12を周回するように形成された環状溝15を介して真空吸引孔17、17、…を開口させたもの(比較例I)と、前記した図12に示される如くの、前記凹凸部分20、21、20、21、…は設けられていないが、雌型2を複数の分割型2A、2Bからなる入れ子構造とし、前記分割型(入れ子)2A、2B相互間に真空吸引孔として働くようにスリット状の隙間25' (100μ)を形成し、該隙間25' を前記雌型2のキャビティ12の最も低い底面12aにおける、コーナー部のアール(R=0.5mm)のエンド部から3mm程度離れた位置に開口させ、かつ、前記と同様な真空吸引孔17、17、…及び環状溝15を形成したもの(比較例II)を用意して、下記〔射出成形同時絵付条件〕に記載した同一条件下で比較試験を行い、下記〔結果〕に記載した如くの結果が得られた。
【0052】
〔寸法形状〕
図4を参照すればよくわかるように、前記エッジ部Eと前記環状溝15との離隔距離Lを4mmに設定し、前記凸部21を短角柱形として、そのパーティング面2aに沿う方向の幅αを1mm、そのキャビティ12の立ち上がり面12bに沿う方向の高さβを0.3m、その幅長γを1mm、及び前記凸部21のピッチp(前記凹領域20の幅長と同)を3.5mmに設定し、また、前記環状溝15の幅Fを3mm、その深さdを1mmに設定し、前記真空吸引孔17、17、…の孔径を1.5mm、そのピッチを30mmに設定した。また、キャビティ12の立ち上がり面12bの高さH(図4)は4mm、底面12aの幅は12mmとした。
【0053】
〔射出成形同時絵付条件〕
▲1▼絵付シートSとして、アクリル製の基材シート(厚みは125μ)とその上に印刷積層された木目模様の装飾層(アクリル樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂との混合物)と接着剤層(塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂)とからなり、基材シートを成形品(射出樹脂成形物)と密着一体化させたまま最終製品として使用する貼り合わせ積層シート(ラミネートシート)を用いた。
【0054】
▲2▼前記した加熱延伸工程における熱盤による絵付シートSの加熱時間及び加熱温度を、それぞれ約6秒、約130度Cとし、また、前記真空吸引孔17、17、…を通じての真空吸引時間を約4秒とした。
▲3▼射出成形樹脂として耐熱性ABSを用い、成形温度を約250度C、金型温度を約60度Cとした。
【0055】
〔結果〕
(1) 本発明装置1では、絵付シートSに皺、剥離、破れ等が無く、装飾部分には真空吸引孔等の痕跡もなく、また、前記凹凸部分20、21、20、21、…もほとんど目立たない良好な成形品Pが得られた。
(2) 比較例Iでは、得られた成形品は、エッジ部E付近に皺、剥離、破れ等があり、外観上、商品としては使用できないものであった。
(3) 比較例IIでは、絵付シートSに皺、剥離、破れ等は無いが、分割形2A' と2B' (入れ子)の隙間25' の線状痕跡ができていた。
【0056】
図7は、他の実施形態の雌型2の要部を示す。図示の雌型2は、前記した実施形態の雌型2の構成に加えて、該雌型2が複数の分割型2A、2Bからなる入れ子構造とされ、前記分割型(入れ子)2A、2B相互間に真空吸引孔として働くスリット状の隙間25が形成され、該隙間25がキャビティ12の最も低い底面12aにおける、コーナー部のアール(R=0.5mm)のエンド部から約0.3mm程度離れた位置に開口させた構成を付加したものである。なお、間隙25の幅は30μmとした。
【0057】
このように、雌型2を入れ子構造にして分割型2A、2B間に隙間25を形成し、該隙間25を真空吸引孔として働くようにキャビティ12の特定位置に開口させるという構成を付加することにより、前記エッジ部Eに形成された凹凸部分20、21、20、21、…の作用による空気吸引排除効果に加えて、前記隙間25を通じての空気吸引排除効果を期待できる。
【0058】
この場合、前記凹凸部分20、21、20、21、…の作用による空気吸引排除効果が得られることから、前記分割型2A、2B間の隙間25による空気吸引排除の負担は少なくて済む。従って、前記凹凸部分20、21、20、21、…を形成していない前記した従来の雌型(図12)における分割型2A、2B間の隙間25' に比して本発明の分割型2A、2B間の隙間25は狭くできるので、この隙間(入れ子跡)25の線状痕跡をより目立ち難くでき、その結果、得られる成形品の品質、外観意匠、美観を一層向上させることができる。
【0059】
図8は、本発明の他の別の実施形態の雌型2についてのエッジ部E近傍の要部を示す。この形態では、凸部21は、前記エッジ部E及び環状溝15の両方から離れた部位、言い換えれば、前記パーティング面2aにおけるエッジ部Eと環状溝15との間の領域(20)の中間部に突設されており、前記環状溝15に沿う方向の長さγが図4、図5に図示したものより長くされている。他の緒元は図4、図5に図示した形態と同様である。この形態の利点は、図4、図5の形態に比べて凹凸部分20、21、20、21、…の形状が成形品に賦型されにくいという点にある。もちろん、凸部21の寸法はこの図のものに限定されるわけではなく、α=β、α>β(α、β、γの定義は図4と同様)としてもよい。
【0060】
なお、図9を参照すればよくわかるように、上記のような凸部21を雌型のパーティング面2a又はパーティング面2cにおけるエッジ部Eと環状溝15、16との間に突設する場合には、雄型3に、前記凸部21が嵌め込まれる凹部31を形成する必要がある。ここで、前記した図2及び図9(A)に示される如くに、前記パーティング面2a又は2cに隣接して段差を形成するように中間パーティング面2bが設けられている場合には、前記雄型3には、その前面の内周部、中間部、外周部に、それぞれ間に絵付シートSを挟んで前記雌型2のパーティング面2a、2b、2cに対接するパーティング面3a、3b、3cが形成される。この場合、前記凸部21が嵌め込まれる凹部31は、雄型3及び雌型2にそれぞれキャビティ12を密封する中間パーティング面3b及び2bが設けられている関係上、前記凸部21よりも大きな、それに隣接する凹領域20も含むくらいの大きさの凹部31が形成される。
【0061】
それに対し、図9(B)に示される如くに、雄型3及び雌型2にそれぞれ中間パーティング面3b及び2bが設けられていない場合には、キャビティ12の密封を確実にするため、絵付シートSが被着された状態の凸部21に密着嵌合せしめられる凹部31が形成される。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係る射出成形同時絵付装置及び方法によれば、キャビティに真空吸引孔あるいは真空吸引孔として働く溝や隙間等を開口させることを要しないで、従来構成の雌型に対して前記パーティング面におけるエッジ部と環状溝との間に凸部を任意のピッチで突設したという簡単な構成でありながら、真空吸引効率を向上できて、絵付シートとキャビティとの間の空気を確実に吸引排除でき、その結果、絵付シートに皺、剥離、破れ等を生じ難くできるとともに、得られる成形品の装飾面に真空吸引孔等の痕跡を残さず、したがって、その品質、外観意匠、美観を損なわないようにできるという優れた効果が得られる。また、型の力学的強度を低下させることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出成形同時絵付装置の一実施形態の雌型の要部を示す概略斜視図。
【図2】図1に示される装置の雌型と雄型とを型締め状態で示す拡大中央横断面図。
【図3】図1に示される装置により得るべき成形品を示し、(A)は平面図、(B)は(A)の拡大縦断面図。
【図4】図1のB矢視付近を拡大して示し、(A)は要部拡大斜視図、(B)は(A)のX矢視切欠図、(C)は(B)のY−Y矢視線に従う断面図。
【図5】図1及び図2に示される装置の作用効果の説明に供されるもので、(A)及び(B)は前記図1のB矢視付近を絵付シートと共に拡大して示す要部拡大断面図、(C)は前記図1のB矢視付近に絵付シートが接着された状態を拡大して示す要部拡大断面図。
【図6】図1に示される装置の雌型と雄型とを型締め状態で示す要部縦断面図。
【図7】本発明に係る射出成形同時絵付装置の他の実施形態の雌型の要部を示す断面図。
【図8】本発明に係る射出成形同時絵付装置の他の別の実施形態の雌型の要部を示す断面図。
【図9】図7の実施形態に備えられる雌型と雄型の構造説明に供される要部縦断面図。
【図10】従来例(2) 及び比較例Iの射出成形同時絵付装置の雌型の要部を示す断面図。
【図11】従来例(3) の射出成形同時絵付装置の雌型の要部を示す断面図。
【図12】従来例(4) 及び比較例IIの射出成形同時絵付装置の雌型の要部を示す断面図。
【図13】従来例(5) の射出成形同時絵付装置の雌型の要部を示す断面図。
【符号の説明】
S 絵付シート
1 射出成形同時絵付装置
2 雌型
2a、2b、2c パーティング面
3 雄型
3a、3b、3c パーティング面
12 キャビティ
12a 底面
12b 立ち上がり面
15、16 環状溝
17 真空吸引孔
20 凹領域
21 凸部
E エッジ部
Claims (7)
- 雌型と雄型とを備え、前記雌型のパーティング面におけるキャビティの立ち上がり面との境界となるエッジ部より所定の距離だけ離れた部位に、前記キャビティを周回するように環状溝を形成するとともに、前記環状溝に真空吸引孔を任意のピッチで開口させ、かつ、前記パーティング面における前記エッジ部と前記環状溝との間の部位に、凸部を任意のピッチで突設してなる射出成形同時絵付装置。
- 前記凸部は、前記エッジ部を含む前記パーティング面の端部に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形同時絵付装置。
- 前記凸部は、前記エッジ部から離れた部位に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形同時絵付装置。
- 前記凸部は前記環状溝及び真空吸引孔には達しない大きさに設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の射出成形同時絵付装置。
- 前記雄型のパーティング面に前記凸部が嵌め込まれる凹部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の射出成形同時絵付装置。
- 前記雌型が複数の分割型からなる入れ子構造とされ、前記分割型相互間に真空吸引孔として働くスリット状の隙間が形成され、該隙間が前記雌型のキャビティに開口せしめられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の射出成形同時絵付装置。
- 請求項1に記載の射出成形同時絵付装置を用いた射出成形同時絵付方法であって、
前記雌型のパーティング面上に絵付シートを供給するシート供給工程と、前記絵付シートを前記雌型のパーティング面上に固定保持するクランプ工程と、前記絵付シートを前記雌型に形成された前記真空吸引孔を通じて真空吸引することにより前記雌型のキャビティに沿わせて密着させるように延伸させる延伸工程と、前記雌型と雄型の一方を他方側へ移動させて型締めを行う型締め工程と、前記雌型と雄型との間に形成されるキャビティ内に前記雄型側から流動状態の樹脂を注入充填して射出成形を行う射出成形工程と、前記雌型と雄型とを離間させる型開き工程と、前記絵付シートが接着された射出成形品を前記雌型から取り出す取出工程と、を含み、前記各工程を記述順に又はその順番を入れ換えて、順次、又は複数の工程を同時に重複してもしくは並列的に行うようにされた射出成形同時絵付方法。
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