JP3689266B2 - 光ヘッド用対物レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、保護層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対する記録/再生が可能な光ヘッドに使用される高NA(開口数)の対物レンズに関し、特に屈折レンズのレンズ面に回折レンズ構造が形成された対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクには、保護層の厚さが異なる複数の規格が存在する。例えば、CD(コンパクトディスク)、CD−Rの保護層の厚さは1.2mmであるのに対し、DVD(デジタルバーサタイルディスク)の保護層の厚さは0.60mmである。そこで、規格が異なる光ディスクの切り替え時には、集光位置を光軸方向に移動させる必要がある。
【0003】
対物レンズを光軸方向に移動させれば、近軸的な集光位置を移動させることはできるが、保護層の厚さが変化すると球面収差が変化するため、単に対物レンズを移動させるのみではレーザー光の波面が乱れ、スポットを必要な径に収束させることができず、情報の記録/再生が不可能となる。例えば、DVDの使用時に球面収差が補正されるよう設計された対物レンズをCDの再生に利用すると、対物レンズを光軸方向に移動させることにより近軸的な集光位置を記録面に一致させたとしても、球面収差がオーバーになり、情報の再生は不可能となる。
【0004】
そこで、保護層の厚さに応じて各光ディスクに適したレーザー光を対物レンズに入射させる光学系が、従来から知られている。たとえば、特開平7−98431号公報には、対物レンズの手前にホログラムレンズを設けて単一の半導体レーザーから発したレーザー光を0次光と1次光とに分離し、平行光である0次光を保護層の薄い光ディスク用のスポット、発散光である1次光により保護層の厚い光ディスク用のスポットを形成する技術が記載されている。上記の公報の光学系によれば、ホログラムレンズを保護層の厚さに応じて最適なレーザー光が得られるよう設計することにより、球面収差の発生を抑え、それぞれの光ディスクに関して回折限界性能を有するスポットを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−98431号公報に記載の光学系は、レーザー光源からの光束が常に0次光と1次光とに分離され、そのいずれか一方のみを利用するため、レーザー光の利用効率は最大で40%程度にとどまる。また、一方の次数のレーザー光により情報読み出しを行うときは他の次数の光束は読み出しには寄与しない不要光となり、ノイズを増大させる。
【0006】
なお、DVDの記録密度はCDより高いため、DVDの記録/再生にはCD専用の光学系よりビームスポットを小さく絞る必要がある。スポット径は波長が短いほど小さくなるため、DVDを利用する光学系では、CD専用の光学系で用いられていた780〜830nmより短い635〜665nmの発振波長のレーザー光源を用いる必要がある。他方、CD−Rを利用する場合には、記録面の反射特性から780nm程度の発振波長のレーザー光源を用いる必要がある。
【0007】
したがって、上記の公報に開示されるような単一の半導体レーザーにより複数種の光ディスクに対応する方式では、DVDを利用するために短波長のレーザー光源を用いると、CD−Rを利用することができないという問題点がある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、一つの対物レンズでDVDとCD、CD−Rのような保護層の厚さが異なる光ディスクの記録/再生が可能で、かつ、光利用効率の高い光ヘッド用対物レンズを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる光ヘッド用対物レンズは、上記の目的を達成させるため、正のパワーを有する屈折レンズと、その一面に形成された輪帯状の微細な段差を有する回折レンズ構造とを有し、回折レンズ構造に、少なくとも2つの異なる波長の光束による同一次数の回折光が、保護層の厚さが異なる少なくとも2種類の光ディスクに対し、それぞれ良好な波面を形成するよう波長依存性を持たせたことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、保護層の厚さが異なる2つのディスクに対し、保護層の厚さに対応させて波長を切り替えることにより、回折レンズ構造による同一次数の回折光を、それぞれの信号記録面に集光させて良好なスポットを形成することができる。
【0011】
さらに、上記の波長依存性は、短波長の回折光が保護層の薄い光ディスクに対して良好な波面を形成し、長波長の回折光が保護層の厚い光ディスクに対して良好な波面を形成するようにするとよい。より具体的には、回折レンズ構造は、入射光の波長が長波長側に変化した際に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有することが好ましい。
【0012】
前述のように、ディスク厚が厚くなると球面収差は補正過剰となる方向に変化する。そこで、上記のように回折レンズ構造に波長変化に対する球面収差変化特性を持たせれば、保護層の厚い光ディスクに対しては発振波長の長いレーザー光源を発光させ、保護層の厚さの薄い光ディスクに対しては発振波長の短いレーザー光源を発光させることでディスク厚の違いによる球面収差の変化を打ち消すことができる。
【0013】
ところで、回折レンズ構造による光路長の付加量は、光軸からの高さh、n次(偶数次)の光路差関数係数Pn、波長λを用いて、
φ(h)=(P2h2+P4h4+P6h6+…)×λ
により定義される光路差関数φ(h)により表すことができる。
ここで、発明の対物レンズは、2次の光路差関数係数をP2、NA0.45相当の光線が回折構造の存在する面を通過する高さをh45として、
−15 < φ(h45)/λ−P2×(h45)2 < −7 …(1)
の条件を満たすことが望ましい。
【0014】
また、屈折レンズと回折レンズ構造との作用を合わせた場合、入射光の波長が長波長側に変化した際に、バックフォーカスが延びる方向に変化するような軸上色収差特性を有し、波長の変化に対するマージナル光線の球面収差の変化量をΔSA、軸上色収差の変化量をΔCAとして、
−0.8<ΔCA/ΔSA<−0.2 …(2)
の条件を満たすことが望ましい。
【0015】
さらに、この発明の対物レンズは、2次の光路差関数係数P2及び波長λを用いてfD=1/(−P2×2×λ)により定義される回折レンズ構造のみの短波長側の使用波長における焦点距離fDと、屈折レンズと回折レンズ構造とを合わせた短波長側の使用波長における全体の焦点距離fとの関係が、
−0.020<f/fD<0.020 …(3)
の条件を満たすことが望ましい。
【0016】
回折レンズ構造は、保護層の厚さ0.6mmの光ディスクに対して良好な波面を形成する回折光の波長をλ1、保護層の厚さ1.2mmの光ディスクに対して良好な波面を形成する回折光の波長をλ2として、
0.75<λ1/λ2<0.87 …(4)
の条件を満たすよう設計されることが望ましい。
【0017】
さらに、少なくとも光軸近傍の領域では、回折レンズ構造のブレーズ化波長λBが前記2つの波長λ1とλ2の間の波長であることが望ましく、特に以下の条件(5)(6)を満足するとよい。
0.87<λB/λ2 …(5)
λB/λ1<1.13 …(6)
【0018】
また、回折レンズ面の周辺領域のブレーズ化波長を光軸近傍の領域におけるブレーズ化波長より短く設定するか、または周辺領域を、段差を持たない連続非球面形状とすることが好ましい。周辺領域とは、光軸から有効径の85%程度の高さから有効径の100%の高さまでの領域である。また、周辺領域の内側にも、短い波長でブレーズ化された輪帯、あるいは短い波長に対して収差補正された連続面を設けてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる光ヘッド用対物レンズの実施形態を説明する。図1は、実施形態にかかる対物レンズ10を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は縦断面図、(C)は縦断面の一部拡大図である。この対物レンズ10は、DVD、CD、CD−R互換装置の光情報記録再生装置の光ヘッドに適用され、光源である半導体レーザーから発したレーザー光をディスク等の媒体上に収束させる機能を有している。
【0020】
対物レンズ10は、非球面である2つのレンズ面11,12を有する両凸の樹脂製単レンズであり、一方のレンズ面11に図1(A)に示したように光軸を中心とした輪帯状のパターンとして回折レンズ構造が形成されている。回折レンズ構造は、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向の段差を持つ。
【0021】
図2はこの発明にかかる光ヘッド用対物レンズを使用した光ヘッドの光学系の説明図である。この光学系は、DVD用モジュール21、CD用モジュール22、ビームコンバイナ23、コリメートレンズ24、対物レンズ10で構成されている。各モジュール21,22は、半導体レーザーとセンサーとを一体化した素子である。
【0022】
0.6mmの保護層を有する光ディスク(以下、「薄保護層型光ディスク」という)であるDVDを使用するためには、小さいビームスポットを作るために波長635〜665nmの赤色光が必要とされ、1.2mmの保護層を有する光ディスク(以下、「厚保護層型光ディスク」という)のうち、少なくともCD−Rを使用するためには、その分光反射率の関係で波長780nm近傍の近赤外光が必要となる。そこで、DVD用モジュール21は、発振波長635nmまたは650nmの半導体レーザーを備え、CD用モジュール22は、発振波長780nmの半導体レーザーを備える。
【0023】
薄保護層型光ディスクD1(図中実線で示す)の使用時には、DVDモジュール21を作動させる。DVDモジュール21の半導体レーザーから発した波長635nmまたは650nmのレーザー光は、図中実線で示したように薄保護層型光ディスクD1の情報記録面に集光する。他方、厚保護層型光ディスクD2(図中破線で示す)の使用時には、CDモジュール22を作動させる。CDモジュール21の半導体レーザーから発した波長780nmのレーザー光は、図中破線で示したように厚保護層型光ディスクD2の情報記録面に集光する。
【0024】
対物レンズ10に形成された回折レンズ構造は、所定の次数の回折光、実施形態では1次回折光が、短波長(635nmまたは650nm)においては薄保護層型光ディスクD1に対して良好な波面を形成し、長波長(780nm)においては厚保護層型光ディスクD2に対して良好な波面を形成するよう波長依存性を有するよう設計されている。具体的には、入射光の波長が長波長側に変化した際に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有している。
【0025】
光ディスク光学系の球面収差は、ディスク厚が厚くなるとより補正過剰となる方向に変化する。一方、薄保護層型ディスクD1については短波長、厚保護層型光ディスクD2については長波長のレーザー光が用いられる。
【0026】
そこで、上記のように回折レンズ構造に波長が長波長に変化した場合に球面収差が補正不足となる方向に変化する特性を持たせることにより、ディスク厚により補正過剰となる球面収差を、回折レンズ構造の補正不足方向の球面収差を利用して打ち消すことができる。なお、夫々のディスクの信号記録面にレーザービームを集光させるためのフォーカシングは、対物レンズ10を光軸方向に移動させる焦点位置調節機構を用いて行う。
【0027】
回折レンズ構造による光路長の付加量は、光軸からの高さh、n次(偶数次)の光路差関数係数Pn、波長λを用いて、
φ(h)=(P2h2+P4h4+P6h6+…)×λ
により定義される光路差関数φ(h)により表すことができる。P2、P4、P6、…はそれぞれ2次、4次、6次、…の係数である。光路差関数φ(h)は、回折面上での光軸からの高さhの点において、回折レンズ構造により回折されなかった場合の仮想的な光線と、回折レンズ構造により回折された光線との光路差を示す。この表現形式では2次の項の係数P2が負の時に近軸的に正のパワーを持ち、4次の項の係数P4が正の時に周辺に向かって負のパワーが漸増することとなる。
【0028】
実際のレンズの微細形状は、φ(h)で表わされる光路長から波長の整数倍の成分を消去したフレネルレンズ状の光路長付加量φ'を持つように決定する。
φ'(h)=(MOD(P2h2+P4h4+P6h6+…+Const,l)−Const)×λB
λBは微細段差が1波長分の光路長差を与える波長(ブレーズ化波長)であり、回折効率を最大にする波長になる。定数項Constは輪帯の境界位置の位相を設定する定数であり、0≦Const<1の範囲で任意の数をとる。MOD(X、Y)はXをYで割った剰余を与える関数である。MOD(P2h2+P4h4+…+Const,1)の値が0になるhの点が輪帯の境になる。屈折レンズのレンズ面であるベース形状の上に、φ'(h)の光路差を持つように、勾配、段差を設定する。
【0029】
ここで、実施形態の対物レンズ10は、NA0.45相当の光線が回折構造の存在する面を通過する高さをh45として、
15 <φ(h45)/λ−P2×(h45)2 < −7 …(1)
の条件を満たすよう設計されている。
【0030】
この条件を満たす場合には、ディスクの保護層の厚さの違いによる球面収差の変化を、回折レンズの波長変化よる球面収差の変化により良好に打ち消すことができる。条件(1)の下限を下回る場合には、波長変化による球面収差の変化が過剰となる。半導体レーザーの発振波長には±5nm程度の個体差があるため、波長変化による球面収差の変化が過剰であると、基準となる波長から発振波長がずれた半導体レーザーを用いることができず、半導体レーザーの選別が必要になり、歩留まりを悪化させる。したがって、回折レンズ構造の波長変化による球面収差補正効果は、若干不足する程度が好ましい。
【0031】
また、条件(1)の上限を越える場合には、波長変化による球面収差の変化が過小となり、ディスクの保護層の厚さの違いによる球面収差の変化を十分に打ち消すことができなくなる。なお、半導体レーザーに発振波長780nmのものと635nmから665nmの間の発振波長のものを選んだ場合、回折レンズ構造で適度な球面収差を発生させるためには、条件(1)の値は−11程度が最も好ましい。
【0032】
ところで、半導体レーザーの発振波長は、温度変化によって変化する。対物レンズが軸上色収差を持つ場合、半導体レーザーの波長の変化により焦点位置が変化する。ただし、この変化は緩やかであるため、光ヘッドのフォーカシング機構により補正することができる。
一方、光記録装置における書き込み動作時には、レーザー出力の変化に伴って半導体レーザーの発振波長が急激に変化する。出力変化による焦点位置の変化は、焦点調節機構を用いても完全には対応することがでない。したがって、対物レンズの側で波長変動による焦点位置の変化を抑えることが望ましい。
【0033】
なお、この波長変動に対しては、一般的には色収差を補正することにより対処が可能であるが、実施形態の対物レンズは上記のように波長切換により球面収差を故意に発生させて波面収差の発生を防いでいるため、軸上色収差が完全に補正されていると、かえって波長変動による最適書き込み位置の変化が大きくなってしまう。そこで、色収差の補正と波長切換に対する特性との間でバランスをとる必要がある。
【0034】
このため、実施形態では、屈折レンズと回折レンズ構造との作用を合わせた場合、入射光の波長が長波長側に変化した際に、バックフォーカスが延びる方向に変化するような軸上色収差特性を有し、波長の変化に対するマージナル光線の球面収差の変化量をΔSA、軸上色収差の変化量をΔCAとして、
−0.8<ΔCA/ΔSA<−0.2 …(2)
の条件を満たすよう設計されている。
【0035】
条件(2)は、例えば波長が長波長側にシフトして近軸焦点が波長変化前よりレンズから遠ざかる位置に移動した際に、マージナル光線による焦点が波長変化前よりレンズに近づいた位置に移動することを意味している。変化前の波長で球面収差がほぼ補正されていると想定すると、変化前の波長での近軸焦点の位置を基準として、変化後の波長での近軸焦点はレンズから離れた位置、変化後の波長でのマージナル光線による焦点はレンズに近い位置にそれぞれ位置することになる。したがって、近軸焦点からマージナル光線による焦点までを平均した最適書き込み位置の変化は比較的小さく抑えられる。
【0036】
さらに、急激な波長シフトによる最適書き込み位置の移動量を小さく抑えるため、実施形態の対物レンズ10は、2次の光路差関数係数P2及び波長λを用いてfD=1/(−P2×2×λ)により定義される回折レンズ構造のみの短波長側の使用波長における焦点距離fDと、短波長側の使用波長における屈折レンズと回折レンズ構造とを合わせた全体の焦点距離fとの関係が、
−0.020<f/fD<0.020 …(3)
の条件を満たすよう設計されている。
【0037】
条件(3)は、軸上色収差の発生の度合いを規定する。回折レンズの分散は、屈折レンズのアッベ数に相当する値が−3.453となることが知られている。負の値は屈折レンズのアッベ数とは符号が逆であることを意味し、、絶対値が小さいことは大きな分散を有していることを意味している。したがって、パワーの小さい回折レンズを正の屈折レンズと組み合わせることにより、色収差を補正することができる。条件(3)を満たすことにより、回折レンズ構造による球面収差補正効果とのバランスをとりつつ、波長の急激なシフトによる最適書き込み位置の変化を小さく抑えることができる。
【0038】
2つの入射させるレーザー光の波長は、薄保護層型光ディスクD1に使用するレーザー光の波長をλ1、厚保護層型光ディスクD2に使用するレーザー光の波長をλ2として、
0.75<λ1/λ2<0.87 …(4)
の条件を満たすように選択される。
【0039】
(4)の条件は回折レンズ構造で球面収差を十分に発生させるための条件である。2つの波長の比率が回折構造の段差1段あたりの波面収差付与量に相当する。たとえば2つの波長を650nmと780nmに選んだ場合、650nmの収差付与量を基準として、780nmではさらに1段あたり(780−650)/780=0.1666λの波面収差が付け加わることになる。このため(4)式の上限を越えてλ1とλ2の差が小さくなると、所定の波面収差を与えるために必要な回折構造の段差数が多くなり、段差のエッジ部による光量損失が大きくなる。また単位波長シフトあたりの球面収差変化量が大きくなりすぎるため、半導体レーザーの個体差による発振波長の違いで許容量を超える球面収差が変化してしまいレーザーを発振波長で選別しなければならなくなる。一方、下限を越えてλ1/λ2が小さくなると、両波長の差が大きくなりすぎ、回折効率の平均値が低下する。
【0040】
回折効率を最大にするブレーズ化波長λBは微細構造の設計時に選択でされる。光軸近傍領域のブレーズ化波長λBは、回折効率の平均値を高くするため、2つの波長λ1とλ2の間の波長に設定される。このような設定によれば、例えばλ1を635nm、λ2を780nmとすれば、ブレーズ化波長をこれら波長間のいずれの値に設定しても、波長λ1、λ2における回折効率を約90%以上に保つことができる。
【0041】
図27は、ブレーズ化波長λBを635nmに選択した場合、690nmに選択した場合、710nmに選択した場合の回折効率を示すグラフである。いずれの場合にも、635nm、780nmにおける回折効率は約90%以上となっている。したがって、特開平7−98431号公報に記載の2つの回折次数を使った場合の40%ほどの効率よりは十分に高い光利用効率になる。
【0042】
なお、実施形態の対物レンズ10は、回折効率をより高めるため、以下の条件(5)(6)を満足するよう設定されている。
0.87<λB/λ2 …(5)
λB/λ1<1.13 …(6)
【0043】
ブレーズ化波長λBを半導体レーザーの波長λ1、λ2のいずれかに近い値とすると、図27に示されるように、ブレーズ化波長から離れた側の波長での回折効率が低下する。これに対して、(5)(6)式を満足するような2つの波長の中間の値を取ることで、どちらの波長に対しても95%程度の回折効率を維持することが可能になる。
【0044】
また、回折レンズ面の周辺領域は、光軸近傍の段差を決定するブレーズ化波長λBより短い波長に対してブレーズ化された回折面とされるか、または段差を持たない連続非球面とされる。ここで周辺領域とは、光軸から有効径の85%の高さから有効径の100%の高さまでの領域である。CDやCD−Rの再生にはNAは0.50あれば十分で、DVD用のNA0.60のためにある有効口径の周辺領域はCD用には不要であるばかりでなく逆に光束が絞られすぎ記録再生に悪影響を与えることもある。このため周辺領域はDVD専用に収差補正された面とすることが望ましい。周辺領域のブレーズ化波長を中心部より短くすれば、CD,CD−R用のレーザー光の回折効率が低下し、DVD用のレーザー光の回折効率が向上する。また、周辺領域を連続面としてDVD用に収差補正することにより、周辺領域はDVD用のレーザー光を良好に集光させるよう機能する。
【0045】
なお、正の屈折レンズの球面収差は、温度が上昇するにしたがって屈折率が低下することにより補正過剰となる方向に変化する。一方、半導体レーザーの発振波長は、温度が上昇するにしたがって長くなる。したがって、上記のように回折レンズ構造に、波長が長くなるにしたがって球面収差が補正不足となる球面収差特性をもたせることにより、温度変化によって起こる屈折レンズの屈折率の変化に起因する球面収差の変化を、温度変化による半導体レーザーの発振波長の変化による回折レンズ構造の球面収差の変化により打ち消すことができる。このため、対物レンズを温度の上昇で屈折率の低下する樹脂で作った場合、最周辺部まで回折レンズ構造を設けたままとしておくことが好ましい。しかしこの場合でもDVD用の光束の回折効率が上がるように段差の厚さはDVD用の短い波長に対して最適化することが望ましい。
【0046】
【実施例】
次に、上述した実施形態に基づく具体的な実施例を6例提示する。いずれも保護層の厚さが0.6mmのディスクを利用するDVDと、保護層の厚さが1.2mmのディスクを利用するCD、CD−Rとに兼用される光ヘッド用の対物レンズである。なお、実施例1から4では光源側となる第1面に回折レンズ構造が形成されており、実施例5と6では光ディスク側となる第2面に回折レンズ構造が形成されている。
【0047】
【実施例1】
図3は、実施例1にかかる対物レンズ10と薄保護層型光ディスクD1とを示し、図5は実施例1の対物レンズ10と厚保護層型光ディスクD2とを示す。実施例1の対物レンズ10の具体的な数値構成は表1に示されている。面番号1、2が対物レンズ10、面番号3、4が媒体であるディスクの保護層を示している。表中、NAは開口数、fは全体の焦点距離(単位:mm)、fDは回折レンズ構造の短波長側の使用波長における焦点距離(単位:mm)、ωは半画角(単位:degree)、λ1は薄保護層型光ディスクD1使用時の波長(単位:nm)、λ2は厚保護層型光ディスクD2使用時の波長(単位:nm)、h45は回折レンズ構造の存在する面でのNA0.45に相当する光線の通過高さ(単位:mm)、λBはブレーズ化波長、rはレンズ各面の巨視的な近軸曲率半径(単位:mm)、d1は薄保護層型光ディスクD1使用時のレンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)、d2は厚保護層型光ディスクD2使用時のレンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)、nλは各レンズの波長λnmでの屈折率、νは各レンズのアッベ数である。
【0048】
また、対物レンズ10の第1面11のベース面(回折レンズ構造を除く屈折レンズとしての形状)および第2面12は非球面であり、その形状は光軸からの高さがhとなる非球面上の座標点の非球面の光軸上での接平面からの距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)をC、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数をA4,A6,A8,A10,A12として、以下の式で表される。
X(h)=Ch2/(1+√(1-(1+K)C2h2))+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10+A12h12
なお、表1における非球面の曲率半径は光軸上の曲率半径である。非球面を規定する円錐係数と非球面係数、そして回折レンズ構造を規定する光路差関数係数は、表2に示される。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
図4は実施例1の対物レンズの薄保護層型光ディスクD1に対応する第1の波長λ1での諸収差を示す。図4(A)は波長650nmにおける球面収差SAおよび正弦条件SC、(B)は650nm,645nm,655nmの各波長の球面収差で表される色収差、(C)は非点収差(S:サジタル、M:メリディオナル)を示している。グラフ(A)、(B)の縦軸は開口数NA、(C)の縦軸は像高Yである。また、横軸は各収差の発生量を示し、単位はmmである。図6はλ2が780nmの場合の同様の諸収差を示す。
【0052】
図4(A),図6(A)を見ると、2つの波長λ1、λ2で良好に球面収差が補正されていることがわかる。また、軸上色収差の変化量ΔCAは、図4(B)の650nm,655nmのグラフの下端の移動幅で示され、移動方向は入射光の長波長側へのシフトにより、バックフォーカスが延びる方向となる。なお、マージナル光線の球面収差の変化量ΔSAは、655nmのグラフをその下端が650nmのグラフの下端に重なる位置まで平行移動させた際のグラフの上端と、650nmのグラフの上端との幅により示される。そして、これらが前記の条件(2)を満たすことにより、波長変化後(655nm)にグラフが変化前の近軸焦点を基準とする縦軸と交差することとなり、波長シフトによる最適書き込み位置の変化が比較的小さく抑えられる。
【0053】
なお、上記の実施例1の数値例では、有効径の全域にわたり、710nmにブレーズ化された回折レンズ構造が形成されている。これに対して、回折レンズ構造が形成されたレンズ面の周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化することができる。実施例1の対物レンズの有効半径はf=3.3mm、NA0.6で1.98mm、これに対して厚保護層型光ディスクに必要な有効半径は、f=3.32mm、NA0.45で1.49mmである。したがって、有効半径の75.5%より外側が周辺領域となる。
【0054】
周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化するためには、周辺領域の回折レンズ構造を650nmに対してブレーズ化するか、周辺領域には回折レンズ構造を形成せず、650nmに対して収差補正された連続面とすることができる。周辺領域を連続面とする場合、光軸を含む中心領域から半径1.49mmまでの領域を上述のように710nmに対してブレーズ化し、中心領域の周囲に第1輪帯〜第15輪帯を形成する。周辺領域は、単一の第16輪帯となり、その形状は以下の係数で表される回転対称非球面となる。
【0055】
【表3】
r=2.09903
K=-0.44
A4=-8.73×10-4
A6=-1.26×10-4
A8=-6.17×10-5
A10= 6.67×10-6
A12=-6.20×10-6
Δ=-0.01923
【0056】
ただし、Δは光軸上のレンズ面に対する、周辺連続面の光軸方向の面のシフト量を示す。
【0057】
【実施例2】
図7は、実施例2にかかる対物レンズ10ととを示し、図9は実施例2の対物レンズ10と厚保護層型光ディスクD2とを示す。実施例2の具体的な数値構成は表4に示されている。第1面、第2面の円錐係数、非球面係数、第1面に形成された回折レンズ構造を表す光路差関数係数は表5に示される。図8は実施例2のλ1が630nmの場合の対物レンズの諸収差、図10はλ2が780nmの場合の対物レンズの諸収差を示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
なお、上記の実施例2の数値例では、有効径の全域にわたり、690nmにブレーズ化された回折レンズ構造が形成されている。これに対して、回折レンズ構造が形成されたレンズ面の周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化することができる。実施例2の対物レンズの有効半径はf=3.5mm、NA0.6で2.1mm、これに対して厚保護層型光ディスクに必要な有効半径は、f=3.52mm、NA0.50で1.76mmである。したがって、有効半径の83.8%より外側が周辺領域となる。
【0061】
周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化するためには、周辺領域の回折レンズ構造を635nmに対してブレーズ化するか、周辺領域には回折レンズ構造を形成せず、635nmに対して収差補正された連続面とすることができる。
【0062】
【実施例3】
図11は、実施例3にかかる対物レンズ10と薄保護層型光ディスクD1とを示し、図13は実施例3の対物レンズ10と厚保護層型光ディスクD2とを示す。実施例3の具体的な数値構成は表6に示されている。第1面、第2面の円錐係数、非球面係数、第1面に形成された回折レンズ構造を表す光路差関数係数は表7に示される。図12は実施例3のλ1が635nmの場合の対物レンズの諸収差、図14はλ2が780nmの場合の対物レンズの諸収差を示す。
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
なお、上記の実施例3の数値例では、有効径の全域にわたり、690nmにブレーズ化された回折レンズ構造が形成されている。これに対して、回折レンズ構造が形成されたレンズ面の周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化することができる。実施例3の対物レンズの有効半径はf=3.5mm、NA0.6で2.1mm、これに対して厚保護層型光ディスクに必要な有効半径は、f=3.53mm、NA0.50で1.765mmである。したがって、有効半径の84.0%より外側が周辺領域となる。
【0066】
周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化するためには、周辺領域の回折レンズ構造を635nmに対してブレーズ化するか、周辺領域には回折レンズ構造を形成せず、635nmに対して収差補正された連続面とすることができる。
【0067】
【実施例4】
図15は、実施例4にかかる対物レンズ10と薄保護層型光ディスクD1とを示し、図17は実施例4の対物レンズ10と厚保護層型光ディスクD2とを示す。実施例4にかかる対物レンズと保護層を示す。実施例4の具体的な数値構成は表8に示されている。第1面、第2面の円錐係数、非球面係数、第1面に形成された回折レンズ構造を表す光路差関数係数は表9に示される。図16は実施例4のλ1が650nmの場合の対物レンズの諸収差、図18はλ2が780nmの場合の対物レンズの諸収差を示す。
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】
なお、上記の実施例4の数値例では、有効径の全域にわたり、710nmにブレーズ化された回折レンズ構造が形成されている。これに対して、回折レンズ構造が形成されたレンズ面の周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化することができる。実施例3と同様、有効半径の84.0%より外側が周辺領域となる。そこで、周辺領域の回折レンズ構造を650nmに対してブレーズ化するか、周辺領域には回折レンズ構造を形成せず、650nmに対して収差補正された連続面とすることができる。
【0071】
【実施例5】
図19は、実施例5にかかる対物レンズ10と薄保護層型光ディスクD1とを示し、図21は実施例5の対物レンズ10と厚保護層型光ディスクD2とを示す。実施例5の具体的な数値構成は表10に示されている。第1面、第2面の円錐係数、非球面係数、第2面に形成された回折レンズ構造を表す光路差関数係数は表11に示される。図20は実施例5のλ1が635nmの場合の対物レンズの諸収差、図22はλ2が780nmの場合の対物レンズの諸収差を示す。
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
なお、上記の実施例5の数値例では、有効径の全域にわたり、690nmにブレーズ化された回折レンズ構造が形成されている。これに対して、回折レンズ構造が形成されたレンズ面の周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化することができる。実施例3と同様、有効半径の84.0%より外側が周辺領域となる。そこで、周辺領域の回折レンズ構造を635nmに対してブレーズ化するか、周辺領域には回折レンズ構造を形成せず、635nmに対して収差補正された連続面とすることができる。
【0075】
【実施例6】
図23は、実施例6にかかる対物レンズ10と薄保護層型光ディスクD1とを示し、図25は実施例6の対物レンズ10と厚保護層型光ディスクD2とを示す。実施例6の具体的な数値構成は表12に示されている。第1面、第2面の円錐係数、非球面係数、第2面に形成された回折レンズ構造を表す光路差関数係数は表13に示される。図24は実施例6のλ1が650nmの場合の対物レンズの諸収差、図26はλ2が780nmの場合の対物レンズの諸収差を示す。
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
なお、上記の実施例6の数値例では、有効径の全域にわたり、710nmにブレーズ化された回折レンズ構造が形成されている。これに対して、回折レンズ構造が形成されたレンズ面の周辺領域を薄保護層型光ディスクD1に対して最適化することができる。実施例3と同様、有効半径の84.0%より外側が周辺領域となる。そこで、周辺領域の回折レンズ構造を650nmに対してブレーズ化するか、周辺領域には回折レンズ構造を形成せず、650nmに対して収差補正された連続面とすることができる。
【0079】
以下の表13は、前述した各条件(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)と各実施例との対応を示す。条件(1)については全ての実施例が満たしており、これにより保護層の厚さの違いによる波面収差の変化を波長の違いによってキャンセルすることができる。また、条件(2)条件(3)についても全ての実施例が満たしており、波長の急激なシフトによる最適書き込み位置の変化を抑えることができる。さらに条件(4)(5)(6)についても全ての実施例が満たしており、回折レンズに2つの波長を用いても回折効率の低下を最小限度に抑えることができる。
【0080】
【表14】
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、保護層の厚さの違いに起因する球面収差の変化を、回折レンズ構造の球面収差の変化により打ち消すことができ、光利用効率の高い光ヘッド用の対物レンズを単一のレンズで提供することができる。したがって、この発明をDVD、CD−R互換系に適用した場合には、対物レンズ周りの可動部分を少なくでき装置のコンパクト化、高速化がはかれる。
【0082】
回折レンズ構造が条件(1)を満たすよう設計されている場合には、保護層の厚さの違いに起因する球面収差の変化を、回折レンズの波長変動による球面収差の変化により良好に打ち消すことができ、特に保護層の厚さが厚い場合に長波長の半導体レーザーを用いることができるようになる。
【0083】
また、回折レンズ構造が条件(2)を満たすよう設計されている場合、回折レンズ構造が条件(3)を満たすよう設計されている場合には、レーザーの波長が急激に変化した場合にも、近軸焦点からマージナル光線による焦点までを平均した最適書き込み位置の変化を比較的小さく抑えることができる。
【0084】
さらに、使用する波長と回折レンズ構造を決定する波長を条件(4)(5)(6)を満たすように設定されている場合には、回折構造の形状や波長依存性の回折効率の低下を小さく抑えられる。また周辺領域の形状をNAの大きな側にあわせて決定することによっても半導体レーザーの光量の有効利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態にかかる対物レンズの外形を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は縦断面図、(C)は縦断面の一部拡大図である。
【図2】 実施形態にかかる対物レンズを使用した光ピックアップ装置の光学系の説明図である。
【図3】 実施例1の対物レンズと薄保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図4】 実施例1の対物レンズの薄保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図5】 実施例1の対物レンズと厚保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図6】 実施例1の対物レンズの厚保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図7】 実施例2の対物レンズと薄保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図8】 実施例2の対物レンズの薄保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図9】 実施例2の対物レンズと厚保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図10】 実施例2の対物レンズの厚保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図11】 実施例3の対物レンズと薄保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図12】 実施例3の対物レンズの薄保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図13】 実施例3の対物レンズと厚保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図14】 実施例3の対物レンズの厚保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図15】 実施例4の対物レンズと薄保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図16】 実施例4の対物レンズの薄保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図17】 実施例4の対物レンズと厚保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図18】 実施例4の対物レンズの厚保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図19】 実施例5の対物レンズと薄保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図20】 実施例5の対物レンズの薄保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図21】 実施例5の対物レンズと厚保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図22】 実施例5の対物レンズの厚保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図23】 実施例6の対物レンズと薄保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図24】 実施例6の対物レンズの薄保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図25】 実施例6の対物レンズと厚保護層型光ディスクとを示すレンズ図である。
【図26】 実施例6の対物レンズの厚保護層型光ディスク使用時の諸収差図である。
【図27】 回折効率と波長の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
10 対物レンズ
11 第1面
12 第2面
D1 薄保護層型光ディスク
D2 厚保護層型光ディスク
21 DVD用モジュール
22 CD用モジュール
23 ビームコンバイナ
24 コリメートレンズ
Claims (11)
- 正のパワーを有する屈折レンズと、該屈折レンズの少なくとも一方のレンズ面に形成された輪帯状の微細な段差を有する回折レンズ構造とを有し、前記回折レンズ構造は、少なくとも2つの異なる波長の光束による同一次数の回折光が、保護層の厚さが異なる少なくとも2種類の光ディスクに対し、それぞれ良好な波面を形成するよう波長依存性を有することを特徴とする光ヘッド用対物レンズ。
- 前記回折レンズ構造は、短波長の回折光が保護層の薄い光ディスクに対して良好な波面を形成し、長波長の回折光が保護層の厚い光ディスクに対して良好な波面を形成するよう波長依存性を有することを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド用対物レンズ。
- 前記回折レンズ構造は、入射光の波長が長波長側に変化した際に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有することを特徴とする請求項2に記載の光ヘッド用対物レンズ。
- 前記回折レンズ構造による光路長の付加量を、光軸からの高さh、n次(偶数次)の光路差関数係数Pn、波長λを用いて、
φ(h)=(P2h2+P4h4+P6h6+…)×λ
により定義される光路差関数φ(h)により表したとき、NA0.45相当の光線が回折構造の存在する面を通過する高さをh45として、
−15 < φ(h45)/λ−P2×(h45)2 < −7 …(1)
の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光ヘッド用対物レンズ。 - 前記屈折レンズと前記回折レンズ構造との作用を合わせた場合、入射光の波長が長波長側に変化した際に、バックフォーカスが延びる方向に変化するような軸上色収差特性を有し、波長の変化に対するマージナル光線の球面収差の変化量をΔSA、波長の変化に対する軸上色収差の変化量をΔCAとして、
−0.8<ΔCA/ΔSA<−0.2 …(2)
の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ヘッド用対物レンズ。 - 前記回折レンズ構造は、近軸的に弱いパワーを有し、前記回折レンズ構造による光路長の付加量を、光軸からの高さh、n次(偶数次)の光路差関数係数Pn、波長λを用いて、
φ(h)=(P2h2+P4h4+P6h6+…)×λ
により定義される光路差関数φ(h)により表したとき、
fD=1/(−P2×2×λ)
により定義される回折レンズ構造のみの短波長側の使用波長における焦点距離fDと、短波長側の使用波長における屈折レンズと回折レンズ構造とを合わせた全体の焦点距離fとの関係が、
−0.020<f/fD<0.020 …(3)
の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光ヘッド用対物レンズ。 - 前記回折レンズ構造は、保護層の厚さ0.6mmの光ディスクに対して良好な波面を形成する回折光の波長をλ1、保護層の厚さ1.2mmの光ディスクに対して良好な波面を形成する回折光の波長をλ2として、
0.75<λ1/λ2<0.87 …(4)
の条件を満たすよう設計されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光ヘッド用対物レンズ。 - 少なくとも光軸近傍の領域では、前記回折レンズ構造のブレーズ化波長λBが前記2つの波長λ1とλ2の間の波長であることを特徴とする請求項7に記載の光ヘッド用対物レンズ。
- 前記光軸近傍の領域では、前記回折レンズ構造のブレーズ化波長λBが以下の条件を満足することを特徴とする請求項8に記載の光ヘッド用対物レンズ。
0.87<λB/λ2 …(5)
λB/λ1<1.13 …(6) - 前記回折レンズ構造の周辺部におけるブレーズ化波長は、前記光軸近傍の領域におけるブレーズ化波長λBより短いことを特徴とする請求項8または9に記載の光ヘッド用対物レンズ。
- 前記回折レンズ構造を形成した面の、少なくとも光軸から有効径の85%の高さから有効径の100%の高さまでの周辺領域が段差を持たない連続非球面であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光ヘッド用対物レンズ。
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