JP3686898B2 - 蛍光エネルギー移動解析装置 - Google Patents

蛍光エネルギー移動解析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3686898B2
JP3686898B2 JP2003003450A JP2003003450A JP3686898B2 JP 3686898 B2 JP3686898 B2 JP 3686898B2 JP 2003003450 A JP2003003450 A JP 2003003450A JP 2003003450 A JP2003003450 A JP 2003003450A JP 3686898 B2 JP3686898 B2 JP 3686898B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
fluorescence
acceptor
fading
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003003450A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004219104A (ja
Inventor
雅彦 平野
政文 大城
敦史 宮脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Priority to JP2003003450A priority Critical patent/JP3686898B2/ja
Priority to EP04250100A priority patent/EP1441219B1/en
Priority to US10/753,569 priority patent/US7449151B2/en
Publication of JP2004219104A publication Critical patent/JP2004219104A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3686898B2 publication Critical patent/JP3686898B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/645Specially adapted constructive features of fluorimeters
    • G01N21/6456Spatial resolved fluorescence measurements; Imaging
    • G01N21/6458Fluorescence microscopy
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6428Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes"
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N2021/6417Spectrofluorimetric devices
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N2021/6417Spectrofluorimetric devices
    • G01N2021/6421Measuring at two or more wavelengths

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、蛍光エネルギー移動現象の解析に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer:FRET)は、ある蛍光分子から他の分子へ励起エネルギーが移動する現象である。エネルギーを他の分子へ与える分子はドナー、エネルギーを受け取る分子はアクセプタと呼ばれる。FRETが起きると、ドナーの蛍光は弱まる。アクセプタが蛍光分子であれば、アクセプタから蛍光が発する。
【0003】
細胞内で起こるFRETを顕微鏡観察によって測定する場合、ドナーを励起したときのドナーおよびアクセプタの蛍光強度をそれぞれ測定し、両者の比(アクセプタの蛍光強度/ドナーの蛍光強度)を計算することが簡便な測定方法としてよく行われている(例えば、非特許文献1参照)。ドナーとアクセプタの蛍光強度は、検出器の前に配置するバンドパスフィルタを切り替えることで、順次に測定できる。また、ドナーとアクセプタの蛍光をダイクロイックミラーで分離した後、バンドパスフィルタに通すことで、それぞれの蛍光を二つの検出器(W−view光学系を使えば一つの検出器)で同時に検出することもできる。検出器としては、例えば、冷却型CCDカメラなどのカメラや、光電子増倍管が使用される。
【0004】
この方法では、ドナーの蛍光が弱まり、アクセプタの蛍光が強まるというFRET特有の蛍光の変化が確認できる。ドナーおよびアクセプタの蛍光強度比を算出することは、蛍光強度の変化量を明確に示す。また、この方法では、細胞の厚さ、色素の分布および光源の照明むらに起因する蛍光強度の変動がキャンセルされるため、都合がよい。しかし、この方法は、FRETの変化を検出することはできても、蛍光強度比の定量的な測定には向かない。細胞内に存在するドナーおよびアクセプタの量比が変わったり、蛍光を検出する波長域が変更されたり、使用する蛍光試薬の種類が変更されたり、検出器の分光感度特性が変わったときなどには、それに応じて蛍光強度比の値も変化する。このため、これらの実験条件が変わる前後の測定値の間では、定量的な比較ができない。
【0005】
実験条件が異なる場合にも定量的に比較できる値として、FRET効率(Et)がある。これを求めるための計算式の一つとして、Et=1−Fd′/Fdが知られている。ここで、Fdは、FRETが起きていないときのドナーの蛍光強度、Fd′は、FRETが起きているときのドナーの蛍光強度である。Fdの値は、ドナーとアクセプタを含む試料にアクセプタの吸収波長の光を照射し、測定範囲内にあるすべてのアクセプタ分子を光退色によって壊した後にドナーの蛍光強度を測定することで求めることができる。この退色実験の前にFd′を経時的に測定しておけば、計算によりEtの時間変化を知ることができる。
【0006】
Fd′の測定の後、退色実験を行うときは、試料に照射する光の波長とダイクロイックミラーをFd′測定用のものから退色用のものに切り替える。ドナーの吸収波長域を含まず、かつ、なるべく広くアクセプタの吸収波長域を含む強い光が試料に照射される。これは、ドナーの蛍光に退色などの影響を与えずに、なるべく迅速にアクセプタを退色させるためである。しかし、退色用の光の波長域は、アクセプタの蛍光波長域の一部と重なることが多い。そのため、アクセプタの蛍光をモニタするための検出器には、退色用の光のダイクロイックミラーからの漏れ光が入る。この漏れ光が過大な強度を有するため、検出器によってアクセプタの退色過程をモニタすることができなくなる。
【0007】
例えば、ドナーとしてECFP、アクセプタとしてEYFPという蛍光色素を使用し、それぞれの蛍光をフィルタで分光して測定する場合を想定する。図7は、ECFPの吸収スペクトル51および蛍光スペクトル52、ならびにEYFPの吸収スペクトル53および蛍光スペクトル54を示している。これらのスペクトルを考慮して、ECFPの励起用に440nm(半値幅20nm)、ECFPの蛍光用に480nm(半値幅30nm)、EYFPの蛍光用に535nm(半値幅25nm)の透過波長域a、cおよびdをそれぞれ有するバンドパスフィルタが使用される。この場合、455nm以上の波長の光を透過させるダイクロイックミラーが使用される。この後、EYFPを退色させるときには、ECFPの吸収波長域を含まずにEYFPの吸収波長域を広く含むように、525nm(半値幅45nm)の透過波長域bを有するバンドパスフィルタが使用される。この場合、560nmのダイクロイックミラーが使用される(例えば、非特許文献2および3参照)。なるべく強い光を試料に照射するために、光路に減光フィルタなどが入っている場合には、これを光路から取り除く。したがって、EYFPの退色実験の際には、EYFP測定用の検出器にこの強い照明光の一部が入ることになる。
【0008】
したがって、どの時点で退色が完了し、光の照射を停止すべきかを知るためには、退色用の光をある時間にわたって試料に照射した後、顕微鏡のダイクロイックミラーやフィルター等の設定を蛍光測定用のものに戻してアクセプタの蛍光を測定する。その後、再び退色のための設定に戻して、退色用の光を試料に照射する。このような作業を、アクセプタの蛍光の減衰がなくなるまで繰り返し行わなければならない(例えば、非特許文献4参照)。このような作業は煩雑である。
【0009】
このほかに、FRET効率を定量的に求める方法として、ドナーの蛍光の退色速度を求める方法がある。この場合、FRET効率Etは、Et=1−τbl/τ′blで表される。ここで、τblは、FRETが起きていないときのドナー蛍光の退色速度、τ′blは、FRETが起きているときのドナー蛍光の退色速度である。ドナー蛍光の退色速度は、ドナーの吸収波長の光を連続して試料に照射しながら蛍光強度を時間を追って何回か計測したときの蛍光強度の減衰速度として求められる。しかし、この方法では、測定のときにドナーの蛍光を退色させてしまうため、同一試料でFRET効率の時間変化を追うことができない。また、τblを求めるための領域を試料内に設け、その領域内のアクセプタ分子をあらかじめ光退色によって壊す必要があり、この点で作業が煩雑である(例えば、非特許文献5および6)。
【0010】
【非特許文献1】
Miyawaki, A. et al., Nature, 388, 882-887, 1997
【非特許文献2】
宮脇敦史、「GFPを用いた分子間FRET」、生体の科学、
53巻1号、2002年2月、75−81頁
【非特許文献3】
Sawano, A., Biophysical Journal, 82, 1076-1085, 2002/09/09
【非特許文献4】
Miyawaki, A. and Tsien, R. Y., Methods in Enzymology, 327,
472-500, 2000
【非特許文献5】
Wouters, F. S. et al., EMBO J., 17, 7179-7189, 1998
【非特許文献6】
Bastiaens, P. I. H. et al., Proceedings of the Second
Hamamatsu International Symposium on Biomolecular Mechanisms
and Photonics: Cell-Cell Communication, 77-82, 1995
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、蛍光エネルギー移動効率を簡易な作業で定量的に測定することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の蛍光エネルギー移動解析装置は、ドナーおよびアクセプタを含む試料の蛍光エネルギー移動効率を測定する。この装置は、投光部、検出部および演算部を備えている。投光部は、試料に照射すべきドナー励起用の光およびアクセプタ退色用の光を選択的に放出する。検出部は、ドナー励起用の光の試料への照射に起因して試料から発する蛍光を検出し、その蛍光の強度に応じた出力を生成する。演算部は、検出部の出力を用いて蛍光エネルギー移動効率を算出する。検出部は、互いに異なる第1、第2および第3の波長域の光を独立に検出する。第1波長域は、アクセプタの蛍光スペクトルとの間よりもドナーの蛍光スペクトルとの間に大きな重なりを有している。第2波長域は、ドナーの蛍光スペクトルとの間よりもアクセプタの蛍光スペクトルとの間に大きな重なりを有している。第3波長域は、ドナーの蛍光スペクトルとの間よりもアクセプタの蛍光スペクトルとの間に大きな重なりを有しており、かつ、アクセプタ退色用の光の波長域との間に実質的な重なりを有さない。
【0013】
ドナー励起用の光を投光部から試料に照射すれば、試料中のドナーが励起されて蛍光が発する。また、ドナーからの蛍光エネルギー移動によって、試料中のアクセプタからも蛍光が発する。検出部の第1および第2波長域の出力は、蛍光エネルギー移動が起きているときのドナーおよびアクセプタの蛍光強度をそれぞれ示す。この後、アクセプタ退色用の光を投光部から試料に照射すれば、アクセプタの退色が始まる。退色により、アクセプタの蛍光の強度は徐々に弱まっていく。検出部の第3波長域の出力は、退色中におけるアクセプタの蛍光強度を示す。したがって、第3波長域の出力をモニタすることにより、退色の完了時点を確認できる。退色が完了した後、退色用の光の照射を停止し、ドナー励起用の光を再び試料に照射すれば、第1波長域の出力は、蛍光エネルギー移動が起きていないときのドナーの蛍光強度を示す。したがって、退色の前後における第1波長域の出力を用いることにより、Et=1−Fd′/Fdの式にしたがって蛍光エネルギー移動効率を定量的に求めることができる。
【0014】
第3波長域は、アクセプタの蛍光スペクトルと重なりを有し、かつ、アクセプタ退色用の光の波長域を実質的に含まない。したがって、第3波長域は、アクセプタ退色用の光を試料に照射しながらのアクセプタ蛍光強度の測定に適している。検出部がこのような第3波長域を有しているので、アクセプタ退色用の光を継続的に照射しながら、第3波長域の出力に基づいてアクセプタ退色の完了時点を確認できる。従来技術のように、退色中のアクセプタ蛍光強度を測定するためにアクセプタ退色用の光の照射を停止したり、光学系を切り替える必要はない。したがって、本発明の装置は、簡易な作業で迅速に蛍光エネルギー移動効率を求めることができる。
【0015】
投光部は、減光フィルタを光路上に配置する減光手段を有していてもよい。投光部がドナー励起用の光を放出するとき、減光手段は、ドナー励起用の光が減光フィルタを通過するように減光フィルタを光路上に配置する。投光部がアクセプタ退色用の光を放出するとき、減光手段は、アクセプタ退色用の光が減光フィルタを通過しないように、減光フィルタを光路上から取り除く。減光フィルタによってドナー励起用の光の強度が低減されるので、検出部を飽和させることなくドナーおよびアクセプタの蛍光を検出できる。アクセプタ退色用の光の強度は低減されないので、アクセプタを効率良く退色させることができる。
【0016】
投光部は、ドナー励起用の光の波長域およびアクセプタ退色用の光の波長域の双方にわたって発光する光源と、光源から光を受光するとともに減光フィルタを光路上に配置する減光手段と、減光手段から光を受光し、ドナー励起用の光の波長域およびアクセプタ退色用の光の波長域のいずれか一方の成分を抽出する波長選択手段とを有していてもよい。投光部がドナー励起用の光を放出するとき、減光手段は、光源からの光が減光フィルタを通過してから波長選択手段に向かうように減光フィルタを光路上に配置する。投光部がアクセプタ退色用の光を放出するとき、減光手段は、光源からの光が減光フィルタを通過しないように、減光フィルタを光路上から取り除く。減光フィルタによってドナー励起用の光の強度が低減されるので、検出部を飽和させることなくドナーおよびアクセプタの蛍光を検出できる。アクセプタ退色用の光の強度は低減されないので、アクセプタを効率良く退色させることができる。
【0017】
検出部の第3波長域は、アクセプタ退色用の光が試料に照射されるときにアクセプタから発する蛍光を検出部が飽和することなく検出できるような重なりをアクセプタの蛍光スペクトルとの間に有していることが好ましい。アクセプタ退色用の光の強度は低減されないため、退色中に発するアクセプタの蛍光は大きな強度を有する。この場合でも、第3波長域とアクセプタの蛍光スペクトルとの重なりが十分に小さければ、第3波長域で検出される蛍光の強度は、検出部が飽和しない程度の大きさとなる。例えば、第3波長域がアクセプタの蛍光スペクトルのうち低強度の領域とだけ重なっていると、第3波長域で検出される蛍光強度を十分に抑えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面に共通の同一要素を表すときは、可能な限り、同一の参照番号を使用する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0019】
図1は、本実施形態の蛍光エネルギー移動(FRET)解析装置100の構成を示すブロック図である。FRET解析装置100は、試料5のFRET効率を測定する。試料5には、蛍光色素であるECFPおよびEYFPが含まれている。ECFPはドナーであり、EYFPはアクセプタである。図2は、ECFPおよびEYFPの蛍光スペクトルおよび吸収スペクトルを示している。図2には、FRET解析装置100が利用する各種の波長域も示されている。
【0020】
FRET解析装置100は、次の計算式
Et=1−Fd′/Fd (1)
にしたがってFRET効率を算出する。ここで、EtはFRET効率、FdはFRETが起きていないときのドナーの蛍光強度、Fd′はFRETが起きているときのドナーの蛍光強度である。
【0021】
装置100は、まず、ドナー励起用の光を試料5に照射してFRETを発生させ、ドナーの蛍光強度をFd′として測定する。次に、装置100は、アクセプタ退色用の光を試料5に照射してアクセプタを破壊する。その後で、装置100は、ドナーの蛍光強度をFdとして測定する。装置100は、こうして測定したFdおよびFd′を用いてEtを算出する。
【0022】
図1に示されるように、FRET解析装置100は、投光部1、光学系2、検出部3および制御演算部4から構成されている。投光部1、光学系2および検出部3は、互いに光学的に結合されている。投光部1、光学系2および検出部3は、制御演算部4に電気的に接続されている。
【0023】
投光部1は、試料5に照射すべきドナー励起用の光およびアクセプタ退色用の光のいずれか一方を選択的に放出する。投光部1は、互いに光学的に結合された光源10、シャッタ12、NDフィルタ切替装置13および波長切替装置14を有している。シャッタ12、NDフィルタ切替装置13および波長切替装置14は、信号線を介して制御演算部4に電気的に接続されている。
【0024】
光源10は、ドナー励起用の波長域およびアクセプタ退色用の波長域の双方にわたって発光する。この実施形態では、光源10として白色光源、例えば、キセノンランプが使用される。
【0025】
シャッタ12は、光源10とNDフィルタ切替装置13の間の光路上に配置されている。シャッタ12は、光源10から発する光のNDフィルタ切替装置13への入射を制御する。光源10から発する光は、シャッタ12が開いているときはNDフィルタ切替装置13に入射し、シャッタ12が閉じているときはNDフィルタ切替装置13に入射しない。
【0026】
NDフィルタ切替装置13は、光源10から発する光の強度を低減可能な減光手段である。NDフィルタ切替装置13は、シャッタ12から光を受け取り、波長切替装置14に送る。NDフィルタ切替装置13は、減光フィルタとして複数枚のNDフィルタを内蔵している。これらのNDフィルタは、互いに異なる光透過率(例えば、10%、1%および0.1%)を有している。
【0027】
FRETを起こさせるとき、NDフィルタ切替装置13は、これらのNDフィルタのうち一枚を光路上に配置する。ドナー励起用の光は、NDフィルタを通過し、その結果、その強度が低減される。適正なNDフィルタを光路上に配置することにより、検出部3の感度に見合った強度を持つ試料5の蛍光像を検出部3に送ることができる。
【0028】
また、NDフィルタ切替装置13は、いずれのNDフィルタも光路上に配置しないことが可能である。この場合、NDフィルタ切替装置13の光透過率は、100%となる。後述するように、アクセプタを退色させるときは、NDフィルタ切替装置13は、NDフィルタを光路から取り除く。このため、アクセプタ退色用の光はNDフィルタを通過せず、したがって、その強度は低減されない。
【0029】
光源10から発した光は、シャッタ12およびNDフィルタ切替装置13を通過して、波長切替装置14に入射する。波長切替装置14は、光源10で発した光から特定の波長成分を切替可能に抽出する。すなわち、波長切替装置14は、フィルタ装置の一種である。波長切替装置14は、モノクロメータ、バンドパスフィルタ、その他の波長選択手段を用いて作製することができる。
【0030】
波長切替装置14は、光源10からの光を受け取ると、波長域λex1およびλex2のいずれかを有する成分を透過させる。λex1は、430nm以上450nm以下(中心波長440nm、半値幅20nm)の波長域である。λex2は、502.5nm以上547.5nm以下(中心波長525nm、半値幅45nm)の波長域である。波長域λex1の光は、試料5中のドナーECFPを励起し、蛍光を生じさせる。波長域λex2の光は、試料5中のアクセプタEYFPを退色させる。波長域λex1およびλex2は、ドナーECFPおよびアクセプタEYFPの吸収スペクトルを考慮して決められている。
【0031】
ECFPおよびEYFPの吸収スペクトルは、図2に示されている。図2において、破線51がECFPの吸収スペクトルを示し、破線53がEYFPの吸収スペクトルを示している。実線aは波長域λex1を示し、実線bは波長域λex2を示している。波長域λex1は、ECFPの吸収スペクトル51との間に重なりを有しており、吸収スペクトル51のピーク波長を含んでいる。波長域λex2は、EYFPの吸収スペクトル53との間に重なりを有しており、吸収スペクトル53のピーク波長を含んでいる。波長域λex2は、ECFPの吸収スペクトル51とは重ならない。
【0032】
光学系2は、投光部1から放出された光を受け取り、試料5に照射する。また、試料5から発した蛍光を受け取り、検出部3へ送る。光学系2は、投光部1からの光が試料5によって反射されて検出部3へ入射することを防止する。FRET装置100を顕微鏡とみなせば、光学系2は、落射照明光学系に当たる。
【0033】
光学系2は、互いに光学的に結合されたダイクロイックミラー切替装置16、対物レンズ18および全反射ミラー20を有している。ダイクロイックミラー切替装置16は、投光部1の波長切替装置14とも光学的に結合されている。また、ダイクロイックミラー切替装置16は、信号線を介して制御演算部4に電気的に接続されている。
【0034】
波長切替装置14から出射した光は、ダイクロイックミラー切替装置16に入射する。ダイクロイックミラー切替装置16は、異なる特性を有する二枚のダイクロイックミラーDM1およびDM2を内蔵している。ダイクロイックミラー切替装置16は、これらのダイクロイックミラーのいずれか一方を選択的に光路上に配置する。このため、波長切替装置14からの光は、いずれか一方のダイクロイックミラーに入射する。どちらのミラーを光路上に配置するかは、制御演算部4からの指示に従う。ダイクロイックミラーDM1は、455nm以上の波長の光を透過させ、455nm未満の波長の光は反射する。ダイクロイックミラーDM2は、560nm以上の波長の光を透過させ、560nm未満の波長の光は反射する。これらのダイクロイックミラーは、投光部1からの光を反射して試料5に送るとともに、試料5で反射された投光部1からの光を遮断して、検出部3に入射しないようにするために使用される。
【0035】
対物レンズ18は、ダイクロイックミラー切替装置16と試料5の間に配置される。言い換えると、試料5のFRET解析を行う場合は、試料5を対物レンズ18に対向させて配置する。対物レンズ18は、ダイクロイックミラーDM1またはDM2で反射された投光部1の出射光を受け取り、これを集光して試料5に照射する。また、対物レンズ18は、試料5から発する蛍光を受け取り、これをダイクロイックミラー切替装置16に送る。
【0036】
全反射ミラー20は、ダイクロイックミラー切替装置16を挟んで対物レンズ18の反対側に配置されている。全反射ミラー20は、対物レンズ18およびダイクロイックミラー切替装置16を介して、試料5から発する蛍光を受け取る。全反射ミラー20は、受け取った蛍光を検出部3に向けて高い反射率で反射する。
【0037】
検出部3は、3板CCDカメラ22から構成されている。3板CCDカメラ22は、試料5から発する蛍光を検出して画像化する撮像装置である。3板CCDカメラ22は、全反射ミラー20によって反射された試料5からの蛍光を受け取り、その蛍光の強度に応じた電気出力信号を生成する。この出力信号は、試料5上における蛍光の空間分布画像(以下、「蛍光画像」と呼ぶ)を表す。この出力信号は、制御演算部4に送られる。
【0038】
3板CCDカメラ22は、プリズム23と、3枚のCCDチップ24c〜24eを搭載している。プリズム23は、CCDカメラ22の光入射部に配置されている。全反射ミラー20からの光は、プリズム23の光入射面に入射する。CCDチップ24c〜24eは、プリズム23の光出射面と対向している。プリズム23は、分光器である。プリズム23は、全反射ミラー20から光を受け取ると、その光を波長に応じた方向に分散させる。プリズム23の分光特性は、異なる波長域λem1〜λem3の光がCCDチップ24c〜24eにそれぞれ入射するように設定されている。これらの波長域は、実質的に重なりを有さない。各CCDチップ24c〜24eは、入射光の強度に応じた出力電気信号を生成する光検出器である。したがって、CCDカメラ22は、入射光の異なる波長域λem1〜λem3の成分を独立に検出できる。本実施形態では、λem1は460nm以上500nm未満の波長域であり、λem2は500nm以上565nm未満の波長域であり、λem3は565nm以上600nm以下の波長域である。波長域λem1〜λem3は、ドナーECFPおよびアクセプタEYFPの蛍光スペクトルを考慮して決められている。
【0039】
ECFPおよびEYFPの蛍光スペクトルは、図2に示されている。図2において、実線52がECFPの蛍光スペクトルを示し、実線54がEYFPの蛍光スペクトルを示している。実線cは波長域λem1を示し、実線dは波長域λem2を示し、実線eは波長域λem3を示している。波長域λem1は、ECFPの蛍光スペクトル52と間に重なりを有しており、蛍光スペクトル52のピーク波長を含んでいる。波長域λem1は、EYFPの蛍光スペクトル54との間には、ほとんど重なりを有さない。波長域λem2は、EYFPの蛍光スペクトル54との間に重なりを有しており、蛍光スペクトル54のピーク波長を含んでいる。波長域λem2は、ECFPの蛍光スペクトル52との間にも重なりを有している。波長域λem3は、ECFPおよびEYFPの蛍光スペクトル52、54の双方と重なりを有している。
【0040】
図2に示されるように、波長域λem1とEYFPの蛍光スペクトル54との重なりは非常に小さい。したがって、波長域λem1の蛍光成分を受け取るCCDチップ24cの出力は、実質的にECFPの蛍光の強度を示す。このように、波長域λem1は、波長域λem1に関する検出部4の出力がECFPの蛍光強度を示すように決められる。一般に、波長域λem1とECFPの蛍光スペクトル52との重なりが波長域λem1とEYFPの蛍光スペクトル54との重なりよりも十分に大きければ、波長域λem1の出力(CCDチップ24cの出力)をECFPの蛍光強度を示すものとして扱うことができる。なお、本明細書では、「波長域とスペクトルとの重なり」とは、その波長域にわたるスペクトルの強度の積分値を意味する。
【0041】
波長域λem2は、ECFPの蛍光スペクトル52との間よりも、EYFPの蛍光スペクトル54との間に、より大きな重なりを有している。波長域λem2とEYFPの蛍光スペクトル54との重なりは、波長域λem2とECFPの蛍光スペクトル52との重なりよりも十分に大きい。したがって、波長域λem2に関する検出部4の出力(CCDチップ24dの出力)をEYFPの蛍光強度を示すものとして扱うことができる。このように、波長域λem2は、波長域λem2に関する検出部4の出力がEYFPの蛍光強度を示すように決められる。
【0042】
波長域λem3も、ECFPの蛍光スペクトル52との間よりも、EYFPの蛍光スペクトル54との間に、より大きな重なりを有している。また、波長域λem3は、アクセプタ退色用の光の波長域λex2とは重ならない。波長域λem3とEYFPの蛍光スペクトル54との重なりは、波長域λem3とECFPの蛍光スペクトル52との重なりよりも十分に大きい。波長域λem3は、EYFPの退色中にEYFPの蛍光強度を測定するために使用される。後述するように、EYFPを退色させるときは、ECFPの吸収波長を含まずにEYFPの吸収波長を広く含む波長域λex2の光が試料5に照射される。このため、波長域λem3で検出される蛍光は、ほとんどすべてEYFPから発したものとなる。したがって、波長域λem3に関する検出部4の出力(CCDチップ24eの出力)を退色中のEYFPの蛍光強度を示すものとして扱うことができる。
【0043】
制御演算部4は、一つのコンピュータシステムである。制御演算部4は、FRET効率の測定手順を制御する制御部と、検出部3の出力を用いてFRET効率を算出する演算部の双方として機能する。制御演算部4は、シャッタ12、NDフィルタ切替装置13、波長切替装置14、ダイクロイックミラー切替装置16およびCCDカメラ22の動作を制御して、試料5のドナー励起およびアクセプタ退色を実行する。また、制御演算部4は、CCDカメラ22の出力信号を用いてFRET解析処理を実行する。制御演算部4は、表示装置を含んでいる。制御演算部4は、FRET解析の結果を表示装置の画面上に表示する。
【0044】
次に、図3および図4を参照しながら、装置100を用いたFRET解析の手順を説明する。ここで、図3および図4は、解析手順を示すフローチャートである。
【0045】
FRET解析を開始するとき、オペレータは、制御演算部4を操作して画像取得パラメータを設定する(ステップS310)。これには、ドナーおよびアクセプタの蛍光測定用の設定と、アクセプタ退色モニタ用の設定とが含まれる。蛍光測定に関連するパラメータとしては、CCDカメラ22による画像取得数や画像取得の時間間隔などが設定される。アクセプタ退色モニタに関連するパラメータとしては、CCDカメラ22による蛍光強度測定の時間間隔や、退色モニタを終了するときの蛍光強度値または減衰率などが設定される。
【0046】
次に、装置100は、ドナーおよびアクセプタからの蛍光を測定するための光学系を構築する(ステップS320)。このステップでは、制御演算部4は、波長切替装置14に制御信号を送り、波長切替装置14の透過波長域をλex1に設定する。また、制御演算部4は、NDフィルタ切替装置13に制御信号を送り、いずれか一枚のNDフィルタを選択して光路上に配置させる。さらに、制御演算部4は、ダイクロイックミラー切替装置16に制御信号を送り、ダイクロイックミラーDM1を光路上に配置させる。
【0047】
続いて、CCDカメラ22の感度を調整する(ステップS330)。オペレータは、制御演算部4を操作して、CCDカメラ22の露光時間およびゲインを設定する。
【0048】
この後、CCDカメラ22によってダーク画像を取得する(ステップS340)。このダーク画像は、CCDカメラ22から制御演算部4に送られる。ダーク画像は、試料5の蛍光画像のデータ補正に使用される。
【0049】
次に、オペレータは、制御演算部4を操作して試料5上の測定領域(撮像領域)を指定する(ステップS350)。これには、ドナーおよびアクセプタの蛍光強度を測定する領域の指定と、アクセプタの退色をモニタする領域の指定とが含まれる。
【0050】
以上の準備作業が完了すると、装置100は、設定された条件のもとでドナーおよびアクセプタの蛍光画像を取得する(ステップS360)。以下では、このステップについて詳細に説明する。
【0051】
制御演算部4は、ステップS310で設定された時間間隔でシャッタ12を繰り返し開閉する。シャッタ12が開くと、光源10から発した白色光は、NDフィルタ切替装置13内のNDフィルタを通過し、波長切替装置14に入射する。NDフィルタによって、光の強度が低減される。波長切替装置14は、波長域λex1の成分のみを透過させ、他の波長成分を遮断する。このようにして、ドナー励起用の光が生成される。波長切替装置14から出射するドナー励起用の光は、ダイクロイックミラーDM1によって反射され、対物レンズ18を透過して試料5に照射される。これにより、試料5中のドナー、すなわちECFPが励起され、蛍光が発生する。
【0052】
試料5から発する蛍光には、ECFP自身から発するものに加えて、FRETによってECFPから励起エネルギーを受け取ったEYFP(アクセプタ)から発するものが含まれる。図2において符号52および54で示されるように、ECFPの蛍光とEYFPの蛍光は、異なる波長域を有している。これらの蛍光は、対物レンズ18を透過して、ダイクロイックミラー切替装置16に入射する。
【0053】
ダイクロイックミラーDM1は、上述のように、455nm以上の波長の光を透過させ、455nm未満の波長の光を反射する。したがって、ECFPおよびEYFPから発した蛍光の大部分は、ダイクロイックミラーDM1を透過する。この蛍光は、全反射ミラー20によって反射され、CCDカメラ22に入射する。
【0054】
一方、試料5によって反射されたドナー励起用の光は、ダイクロイックミラーDM1によって遮断される。これは、ドナー励起用の光が、430〜450nmという波長域λex1を有しているからである。このようにして、ドナー励起用の光のCCDカメラ22への入射が防がれる。
【0055】
CCDカメラ22内のプリズム23は、入射した蛍光を分散し、その波長域に応じてCCDチップ24c〜24eに送る。これにより、ECFPおよびEYFPの蛍光画像が取得される。上述のように、ECFPの蛍光は、主としてCCDチップ24cによって検出され、EYFPの蛍光は、主としてCCDチップ24dによって検出される。
【0056】
制御演算部4は、CCDチップ24cの出力値からCCDチップ24cのダークを減算し、得られた値を換算してECFPの蛍光強度を求める。また、制御演算部4は、CCDチップ24dの出力値からCCDチップ24dのダークを減算し、得られた値を換算してEYFPの蛍光強度を求める。この演算は、画素ごとに行われる。このようにして、ECFPおよびEYFPの蛍光画像が得られる。制御演算部4は、(EYFPの蛍光強度)/(ECFPの蛍光強度)で表される蛍光強度比を算出する。制御演算部4は、算出した蛍光強度比の値を表示装置上に表示する。
【0057】
制御演算部4は、上記のような蛍光画像の取得をステップS310で設定された回数にわたって繰り返す。蛍光画像が取得されるたびに、蛍光強度比が表示される。各測定時刻におけるECFPの蛍光強度が、その時刻でのFd′(上記(1)式を参照)である。
【0058】
蛍光画像の取得が終了すると、装置100は、アクセプタの退色をモニタするための光学系を構築する(ステップS370)。制御演算部4は、波長切替装置14に制御信号を送り、その透過波長域をλex1からλex2に変更させる。また、制御演算部4は、NDフィルタ切替装置13に制御信号を送り、NDフィルタを光路上から取り除かせる。さらに、制御演算部4は、ダイクロイックミラー切替装置16に制御信号を送り、ダイクロイックミラーDM1に代えてダイクロイックミラーDM2を光路上に配置させる。
【0059】
次に、アクセプタの退色モニタが開始される(ステップS380)。波長切替装置14は、波長域λex2の成分のみを透過させ、他の波長成分を遮断する。このようにして、アクセプタ退色用の光が生成される。波長切替装置14から出射するアクセプタ退色用の光は、ダイクロイックミラーDM2によって反射され、対物レンズ18を透過して試料5に照射される。これにより、試料5中のアクセプタ、すなわちEYFPが退色を始める。この照射光は、NDフィルタによって減光されていないので、高い強度を有する。したがって、この照射光は、アクセプタを効率良く退色させることができる。
【0060】
退色用の光の波長域λex2は、図2において実線bで示されるように、ECFPの吸収波長を含まず、かつ、EYFPの吸収波長を広く含んでいる。このため、試料5から発する蛍光は、そのほとんどがEYFPから生じたものとなる。この蛍光は、対物レンズ18を透過して、ダイクロイックミラー切替装置16に入射する。
【0061】
ダイクロイックミラーDM2は、上述のように、560nm以上の波長の光を透過させ、560nm未満の波長の光を反射する。したがって、図2に示されるEYFPの蛍光スペクトル54から明らかなように、EYFPの蛍光の一部のみがダイクロイックミラーDM2を透過する。この蛍光は、全反射ミラー20によって反射され、CCDカメラ22に入射する。
【0062】
一方、試料5によって反射されたアクセプタ退色用の光は、ダイクロイックミラーDM2によって遮断される。これは、アクセプタ退色用の光が、502.5〜547.5nmという波長域λex2を有しているからである。このようにして、アクセプタ退色用の光のCCDカメラ22への入射が防がれる。
【0063】
CCDカメラ22に入射した蛍光のほとんどは、565nm以上600nm以下の検出波長域λem3を有するCCDチップ24eによって検出される。これは、ダイクロイックミラーDM2が560nm以上の波長の蛍光を透過させるからである。上述のように、退色用の光の波長域λex2は、ECFPの吸収スペクトルと重ならないので、退色中にECFPは蛍光をほとんど発しない。また、検出波長域λem3は、退色用の光の波長域λex2と重ならないので、ダイクロイックミラーDM2から退色用の光が漏れて検出部3に入射しても、その漏れ光は波長域λem3では検出されない。したがって、CCDチップ24eの出力は、退色中のEYFPの蛍光強度を示す。
【0064】
なお、退色用の光はNDフィルタによって減光されていないので強度が大きく、それに応じてEYFPの蛍光の強度も大きくなる。もしも過大な強度の蛍光がCCDチップ24eに入射すると、CCDチップ24eが飽和して、蛍光の強度を測定できなくなる。しかし、CCDチップ24eの検出波長域λem3は、EYFPの蛍光スペクトル54のうち長波長側の裾とだけ重なっている。蛍光スペクトル54の裾では、蛍光の強度が低い。このため、CCDチップ24eは、CCDチップ24eを飽和させない適当な強度のEYFP蛍光を検出できる。このように、CCDチップ24eは、退色用の光を試料5に照射している間、EYFPの蛍光を適切に検出し、蛍光画像を取得できる。
【0065】
制御演算部4は、CCDチップ24eの出力値からCCDチップ24eのダークを減算し、得られた値を換算して退色中のEYFPの蛍光強度を求める。この演算は、画素ごとに行われる。このようにして、退色中におけるEYFP蛍光画像が得られる。制御演算部4は、求めた蛍光強度の値を表示装置上に表示する。
【0066】
制御演算部4は、上記のような退色中におけるEYFP蛍光画像の取得をステップS310で設定された時間間隔で繰り返す。EYFP蛍光画像が取得されるたびに、蛍光強度値が表示される。また、制御演算部4は、蛍光強度の減衰率も画像取得のたびに算出する。減衰率Aは、以下の式にしたがって算出される。
【0067】
A=1−It/It-1 …(2)
ここで、Itは今回の画像取得時に得られたアクセプタの蛍光強度であり、It-1は前回の画像取得時に得られたアクセプタの蛍光強度である。アクセプタの退色が進むにつれて、減衰率Aは0に近づく。
【0068】
制御演算部4は、蛍光画像を取得するたびに、算出した蛍光強度または減衰率を、ステップS310で設定された値と比較する。蛍光強度または減衰率がステップS310で設定された値よりも小さくなると、制御演算部4は、EFYPの退色が完了したと判断し、退色モニタを終了する。このように、制御演算部4は、退色中のアクセプタ蛍光強度に基づいてアクセプタの退色が完了したか否かを判断する。
【0069】
制御演算部4は、アクセプタの退色が完了したと判断すると、ドナーであるECFPの蛍光を測定するための光学系を構築する(ステップS410)。制御演算部4は、波長切替装置14に制御信号を送り、その透過波長域をλex2からλex1に戻す。また、制御演算部4は、NDフィルタ切替装置13に制御信号を送り、ステップS320で使用したNDフィルタと同じNDフィルタを光路上に配置させる。さらに、制御演算部4は、ダイクロイックミラー切替装置16に制御信号を送り、ダイクロイックミラーDM2に代えてダイクロイックミラーDM1を再び光路上に配置させる。
【0070】
この後、波長域λex1の光が投光部1から試料5に再び照射され、ドナーの蛍光画像がCCDカメラ22中のCCDチップ24cによって取得される(ステップS420)。これは、上記のステップS360と同様に行われる。制御演算部4は、CCDチップ24cの出力値からダークを減算し、得られた値を換算して、ドナーECFPの蛍光強度値を求める。この値は、FRETが発生していないときのドナーの蛍光強度Fdを示す。この演算は、画素ごとに行われる。
【0071】
この後、制御演算部4は、取得した蛍光画像および作成したグラフのデータを保存する(ステップS430)。これらのデータは、制御演算部4が有する記憶装置内に格納される。蛍光画像の各画素の輝度値は、その画素に対応する試料5上の位置から発した蛍光の強度を示す。
【0072】
続いて、制御演算部4は、画像演算を実行し、各測定時刻における蛍光強度比画像およびFRET効率画像を生成する(ステップS440)。蛍光強度比画像は、ステップS360で算出された各画素の蛍光強度比、すなわち(EYFPの蛍光強度)/(ECFPの蛍光強度)を輝度として有する画像である。また、FRET効率画像は、各画素について算出されたFRET効率を輝度として有する画像である。上述のように、制御演算部4は、FRET効率Etを次の式
Et=1−Fd′/Fd (1)
に基づいて算出する。Fd′およびFdには、ステップS360およびS420で算出された値がそれぞれ代入される。この式(1)の計算は、各画素について行われる。これにより、試料5上のFRET効率の空間分布を画像化できる。
【0073】
制御演算部4は、算出した蛍光強度比画像およびFRET効率画像のデータを保存する(ステップS450)。これらのデータは、制御演算部4が有する記憶装置内に格納される。
【0074】
この後、制御演算部4は、蛍光強度比画像およびFRET効率画像の解析を開始する(ステップS460)。ここでは、試料5上におけるFRET効率の空間分布や時間変化が解析される。解析結果は、制御演算部4の表示装置の画面上に擬似カラー、グラフ、数値などで表示される。
【0075】
以下では、この実施形態の効果を説明する。FRET解析装置100は、アクセプタの退色過程を連続的にモニタできる。つまり、装置100は、アクセプタ退色用の光を試料5に照射しながら、退色中のアクセプタの蛍光強度をリアルタイムに測定できる。これは、このようなアクセプタ蛍光強度の測定に適した検出波長域λem3を検出部3が有しているからである。したがって、従来技術のように、退色中のアクセプタ蛍光強度を測定するために退色用の光の照射を停止し、光学系を組み替える必要はない。装置100によれば、退色用の光を試料5に継続的に照射しながら、検出部3の波長域λem3の出力に基づいてアクセプタ退色の完了時点を確認できる。試料に照射する光の波長および光学系を退色中に何度も切り替えて退色の進行度を確認するという繁雑な作業は、省くことができる。したがって、装置100によれば、FRET効率の定量的な測定を簡易な作業で迅速に行うことができる。
【0076】
また、装置100は、退色中のアクセプタ蛍光強度をリアルタイムに測定するので、試料5に退色用の強い光を照射する時間を最小限に抑えることができる。この結果、試料5の細胞の形態異常や破壊など、試料5に対する影響を最小限にとどめることができる。例えば、細胞の形態変化にともない試料5の厚みが変化すると、FRETに依存しない蛍光強度の変化が生じる。この結果、FRET効率を正確に求められなくなってしまう。本実施形態では、このような問題を防いで、精度良くFRET効率を測定できる。
【0077】
(第2実施形態)
以下では、本発明に係る第2の実施形態を説明する。図5は、この実施形態に係るFRET解析装置200の構成を示すブロック図である。FRET解析装置200は、第1実施形態の装置100の検出部3に代えて、検出部3aを備えている。その他の構成は、第1実施形態の装置100と同じである。
【0078】
検出部3aは、フィルタ切替装置30および光検出器32を有している。フィルタ切替装置30は、光検出器32および全反射ミラー20に光学的に結合されている。フィルタ切替装置30および光検出器32は、制御演算部4に電気的に接続されている。
【0079】
フィルタ切替装置30は、3枚のバンドパスフィルタ31c、31dおよび31eを内蔵している。フィルタ切替装置30は、これらのフィルタのいずれか一つを選択的に光路上に配置する。試料5からの蛍光は、いずれか一つのフィルタに入射する。どのフィルタを光路上に配置するかは、制御演算部4からの指示に従う。フィルタ31c〜31eは、それぞれ波長域λem1〜λem3をその透過波長域として有している。したがって、フィルタ切替装置30は、入射した蛍光のうち波長域λem1〜λem3のいずれか一つの成分を透過させる。
【0080】
フィルタ切替装置30から出射する波長域λem1、λem2またはλem3の蛍光は、光検出器32に入射する。光検出器32は、例えば、冷却CCDカメラなどの撮像装置、または光電子増倍管である。光検出器32は、その蛍光の強度に応じた出力電気信号を生成する。この出力信号は、制御演算部4へ送られる。このように、検出部3aは、試料5からの蛍光をフィルタ切替装置30によってフィルタリングすることにより、波長域λem1、λem2およびλem3の蛍光成分を独立に検出する。したがって、この実施形態でも、図3および図4に示される手順にしたがってFRET効率を測定できる。なお、ステップS360においてドナーおよびアクセプタの蛍光画像を取得するときは、フィルタ31cおよび31dが高速で切り替えられる。
【0081】
FRET解析装置200は、第1実施形態の装置100と同じ効果を奏する。装置200は、検出波長域λem3を有するので、装置100と同様に、退色中のアクセプタの蛍光強度をリアルタイムに測定できる。このため、FRET効率の定量的な測定を簡易な作業で迅速に行うことができる。また、試料5に退色用の強い光を照射する時間を最小限に抑えて、試料5に対する影響を低減し、それによって精度良くFRET効率を測定できる。
【0082】
(第3実施形態)
以下では、本発明に係る第3の実施形態を説明する。図6は、この実施形態に係るFRET解析装置300の構成を示すブロック図である。FRET解析装置300は、第1実施形態の装置100の検出部3に代えて、検出部3bを備えている。その他の構成は、第1実施形態の装置100と同じである。
【0083】
検出部3bは、3枚のダイクロイックミラー35c〜35e、3枚のバンドパスフィルタ36c〜36e、および3個の光検出器37c〜37eを有している。ダイクロイックミラー35c、バンドパスフィルタ36cおよび光検出器37cは、互いに光学的に結合されている。ダイクロイックミラー35cは、全反射ミラー20およびダイクロイックミラー35dとも光学的に結合されている。ダイクロイックミラー35d、バンドパスフィルタ36dおよび光検出器37dは、互いに光学的に結合されている。ダイクロイックミラー35dは、ダイクロイックミラー35eとも光学的に結合されている。ダイクロイックミラー35e、バンドパスフィルタ36eおよび光検出器37eは、互いに光学的に結合されている。また、光検出器37c〜37eは、制御演算部4に電気的に接続されている。
【0084】
ダイクロイックミラー35cは、565nm以上の波長の光を透過させ、565nm未満の波長の光を反射する。ダイクロイックミラー35dは、500nm以上の波長の光を透過させ、500nm未満の波長の光を反射する。ダイクロイックミラー35eは、565nm以上の波長の光を透過させ、565nm未満の波長の光を反射する。バンドパスフィルタ36c〜36eは、それぞれ波長域λem1〜λem3をその透過波長域として有している。したがって、全反射ミラー20から検出部3bに送られる蛍光のうち波長域λem1の成分は、光検出器37dに入射し、波長域λem2の成分は、光検出器37eに入射し、波長域λem3の成分は、光検出器37cに入射する。なお、ダイクロイックミラー35eの代わりに、全反射ミラーを使用してもよい。
【0085】
光検出器37c〜37eは、例えば、冷却CCDカメラなど撮像装置、または光電子増倍管である。光検出器37c〜37eは、それぞれ入射した蛍光の強度に応じた出力電気信号を生成する。この出力信号は、制御演算部4へ送られる。
【0086】
このように、検出部3bは、試料5からの蛍光をダイクロイックミラー35c〜35eおよびバンドパスフィルタ36c〜36eによって波長域λem1〜λem3の蛍光に分岐することにより、これらの波長域の蛍光を独立に検出する。したがって、この実施形態でも、図3および図4に示される手順にしたがってFRET効率を測定できる。
【0087】
FRET解析装置300は、上記実施形態の装置と同じ効果を奏する。装置300は、検出波長域λem3を有するので、退色中のアクセプタの蛍光強度をリアルタイムに測定できる。このため、FRET効率の定量的な測定を簡易な作業で迅速に行うことができる。また、試料5に退色用の強い光を照射する時間を最小限に抑えて、試料5に対する影響を低減し、それによって精度良くFRET効率を測定できる。
【0088】
(第4実施形態)
以下では、本発明に係る第4の実施形態を説明する。第4実施形態のFRET解析装置は、第1実施形態と同様に、図1に示される構成を有し、図3および図4に示される手順にしたがってFRET解析を実行する。しかし、本実施形態は、図3のステップS380においてアクセプタの退色モニタの終了を判定する手法が第1〜第3実施形態と異なっている。以下では、この相違点を中心に説明する。
【0089】
本実施形態では、退色モニタ中に測定されるアクセプタの蛍光の輝度に基づいて、退色モニタの終了時刻を計算により求める。一般に、退色中のアクセプタの蛍光輝度は、時間の経過とともに指数関数的に減衰する。したがって、退色モニタ中にCCDチップ24eによって検出される光の輝度Iは、
I=a・e-bt+c (3)
のように表される。ここで、第1項a・e-btは、アクセプタの蛍光強度を示す。aおよびbは定数であり、tは退色開始から経過した時間である。第2項cは、アクセプタの蛍光以外にCCDチップ24eによって検出される光の強度を示す。このような光としては、FRET解析装置内で発生する迷光や試料5の細胞自身が持つ自家蛍光などが挙げられる。アクセプタの蛍光強度に対してcが十分に小さければ、
I=a・e-bt (4)
とみなすことができる。
【0090】
退色の初期の段階では、cはアクセプタの蛍光に比べ無視できるほど小さいと考えられる。そこで、本実施形態では、アクセプタ退色過程の初期に2度に分けてCCDチップ24eにより蛍光輝度を測定し、その結果から上記(3)式における定数aおよびbを求める。
【0091】
具体的に述べると、ステップS380において制御演算部4は、退色の開始から所定の時間が経過した時刻t0に、EYFP蛍光画像を取得する。さらに、制御演算部4は、時刻t0から所定の時間が経過した時刻t1に、再びEYFP蛍光画像を取得する。これらの時刻t0およびt1は、上記(3)式におけるcを無視できるように、退色過程の初期に設定される。このため、時刻t0およびt1に測定された輝度値I0およびI1は、
0=a・e-bt0 (5)
1=a・e-bt1 (6)
のように表される。これら二つの式から、定数aおよびbを算出できる。これにより、退色中の任意の時点におけるEYFPの蛍光強度を(4)式に基づいて推測できる。
【0092】
制御演算部4は、ステップS310で設定された蛍光強度または減衰率の値が得られる時刻を(4)式を用いて算出する。このとき、ステップS310で設定された減衰率は、I0からの蛍光強度の減衰率、すなわち1−I/I0として扱われる。制御演算部4は、ステップS310での設定値が得られるのに要する時間を(4)式にしたがって算出し、その時間を退色モニタ開始時刻に加算して、退色モニタ終了時刻を求める。制御演算部4は、こうして算出した時刻になると、退色モニタを終了し、ステップS410以降の処理を進める。
【0093】
本実施形態のFRET解析装置は、第1実施形態と同じ効果に加えて、次のような効果を奏する。本実施形態は、退色モニタの終了時点を決定するために、アクセプタの蛍光強度の測定を2回しか必要としない。したがって、FRET効率をいっそう迅速に測定することができる。
【0094】
ただし、本実施形態の手法では、上記(3)式におけるcが無視できないほど大きい場合、退色モニタ終了時点の判断精度が低下する。また、上記(3)式が何らかの要因で成立しない場合もある。これらの場合には、第1〜第3実施形態で採用する手法によって退色モニタの終了時点を判定することが好ましい。
【0095】
なお、本実施形態で採用したアクセプタ退色時点の決定手法は、図5および図6に示される構成のFRET解析装置にも採用できる。
【0096】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0097】
上記実施形態では、ドナーおよびアクセプタのペアとして、ECFPおよびEYFPが使用されている。しかし、本発明は、他の蛍光色素の組合せにも適用できる。このような色素の組合せとしては、例えば、(ドナー:EGFP、アクセプタ:RFP)や、(ドナー:EYFP、アクセプタ:REP)が挙げられる。上記実施形態と異なる色素の組合せを使用する場合でも、フィルタ、ダイクロイックミラーまたはプリズムの波長特性をそれらの色素に合わせて設定すれば、上記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0098】
【発明の効果】
この発明の蛍光移動エネルギー解析装置は、アクセプタ退色用の光を試料に照射しながらアクセプタ蛍光強度を測定するのに適した検出波長域を有しているので、退色中のアクセプタ蛍光強度をリアルタイムに測定できる。このため、蛍光エネルギー移動効率の定量的な測定を簡易な作業で迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のFRET解析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ドナーおよびアクセプタの蛍光スペクトルおよび吸収スペクトル、ならびに実施形態のFRET解析装置で使用される波長域を示すグラフである。
【図3】FRET解析の手順を示すフローチャートである。
【図4】FRET解析の手順を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態のFRET解析装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態のFRET解析装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ドナーおよびアクセプタの蛍光スペクトルおよび吸収スペクトル、ならびに従来技術のFRET解析装置で使用される波長域を示すグラフである。
【符号の説明】
1…投光部、2…光学系、3…検出部、4…制御演算部、5…試料、10…光源、12…シャッタ、13…NDフィルタ切替装置、14…波長選択装置、16…ダイクロイックミラー切替装置、18…対物レンズ、20…全反射ミラー、22…3板CCDカメラ、23…プリズム、24c〜24e…CCDチップ。

Claims (13)

  1. ドナーおよびアクセプタを含む試料の蛍光エネルギー移動効率を測定する蛍光エネルギー移動解析装置であって、
    前記試料に照射すべきドナー励起用の光およびアクセプタ退色用の光を選択的に放出する投光部と、
    前記ドナー励起用の光の前記試料への照射に起因して前記試料から発する蛍光を検出し、その蛍光の強度に応じた出力を生成する検出部と、
    前記検出部の出力を用いて蛍光エネルギー移動効率を算出する演算部と
    を備え、
    前記検出部は、互いに異なる第1、第2および第3の波長域の光を独立に検出し、
    前記第1波長域は、前記アクセプタの蛍光スペクトルとの間よりも前記ドナーの蛍光スペクトルとの間に大きな重なりを有しており、
    前記第2波長域は、前記ドナーの蛍光スペクトルとの間よりも前記アクセプタの蛍光スペクトルとの間に大きな重なりを有しており、
    前記第3波長域は、前記ドナーの蛍光スペクトルとの間よりも前記アクセプタの蛍光スペクトルとの間に大きな重なりを有し、かつ、前記アクセプタ退色用の光の波長域との間に実質的な重なりを有さない
    蛍光エネルギー移動解析装置。
  2. 前記ドナー励起用の光は、前記ドナーの吸収スペクトルと重なる波長域を有しており、
    前記アクセプタ退色用の光は、前記ドナーの吸収スペクトルと実質的に重ならず、かつ、前記アクセプタの吸収スペクトルと重なる波長域を有している
    請求項1に記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  3. 蛍光エネルギー移動効率の測定手順を制御する制御部をさらに備える請求項1記載の蛍光エネルギー移動解析装置であって、
    前記制御部は、前記投光部にドナー励起用の光を放出させて前記試料から蛍光を発生させ、その後、前記投光部にアクセプタ退色用の光を放出させ、前記検出部の第3波長域の出力に基づいて前記アクセプタの退色が完了したか否かを判断し、前記アクセプタの退色が完了したと判断すると、前記投光部にドナー励起用の光を放出させて前記試料から蛍光を発生させる
    請求項1または2に記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  4. 前記演算部は、前記アクセプタの退色の前後における前記第1波長域の出力を用いて、次の式
    Et=1−Fd′/Fd
    ここで、Et :蛍光エネルギー移動効率
    Fd′:蛍光エネルギー移動が起きているときのドナーの蛍光強度
    Fd :蛍光エネルギー移動が起きていないときのドナーの蛍光強度
    にしたがって蛍光エネルギー移動効率を算出する
    請求項3に記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  5. 前記投光部と前記検出部の間の光路上に配置された光学系をさらに備える請求項1記載の蛍光エネルギー移動解析装置であって、
    前記光学系は、前記投光部からの光を受光して前記試料に送り、前記試料から発する蛍光を受光して前記検出部に送るとともに、前記試料によって反射された前記投光部からの光の前記検出部への入射を防止する
    請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  6. 前記光学系は、複数のダイクロイックミラーの一つを光路上に選択的に配置するダイクロイックミラー切替装置を含んでおり、
    前記複数のダイクロイックミラーは、光路上に配置されると、前記投光部からの光を前記試料に送り、前記試料から発する蛍光を前記検出部に送るとともに、前記試料によって反射された前記投光部からの光を遮断する
    請求項5に記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  7. 前記複数のダイクロイックミラーには、前記ドナー励起用の光を遮断する第1のダイクロイックミラーと、前記アクセプタ退色用の光を遮断する第2のダイクロイックミラーとが含まれており、
    前記ダイクロイックミラー切替装置は、前記投光部から前記ドナー励起用の光が放出されるときに前記第1ダイクロイックミラーを光路上に配置し、前記投光部から前記アクセプタ退色用の光が放出されるときに前記第2ダイクロイックミラーを光路上に配置する
    請求項6に記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  8. 前記検出部は、入射面および出射面を有する分光器と、前記分光器の出射面と光学的に結合された第1、第2および第3の光検出器とを有しており、
    前記分光器は、前記試料からの蛍光を前記入射面で受け取り、その波長に応じた方向に分散させ、前記第1、第2および第3波長域の成分を前記出射面から前記第1、第2および第3の光検出器にそれぞれ送り、
    前記第1、第2および第3の光検出器は、前記第1、第2および第3波長域の成分の強度に応じた出力をそれぞれ生成する
    請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  9. 前記検出部は、第1、第2および第3の光学フィルタの一つを選択的に光路上に配置するフィルタ切替装置と、前記フィルタ切替装置に光学的に結合された光検出器とを有しており、
    前記第1、第2および第3の光学フィルタは、光路上に配置されると、それぞれ前記第1、第2および第3波長域の光を透過させ、
    前記フィルタ切替装置は、前記試料からの蛍光を受け取り、光路上に配置された前記第1、第2および第3の光学フィルタの一つによって抽出された前記第1、第2および第3波長域のいずれかの成分を前記光検出器に送り、
    前記光検出器は、前記フィルタ切替装置から送られる成分の強度に応じた出力を生成する
    請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  10. 前記検出部は、
    前記試料からの蛍光を受け取って3本に分岐し、第1、第2および第3の光路上にそれぞれ送る光分岐手段と、
    前記第1、第2および第3の光路上にそれぞれ配置された第1、第2および第3の光学フィルタと、
    前記第1、第2および第3の光学フィルタを透過した光を検出し、その強度に応じた出力をそれぞれ生成する第1、第2および第3の光検出器と
    を有しており、
    前記第1、第2および第3の光学フィルタは、それぞれ前記第1、第2および第3波長域の光を透過させる
    請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  11. 前記投光部は、減光フィルタを光路上に配置する減光手段を有しており、
    前記投光部が前記ドナー励起用の光を放出するとき、前記減光手段は、前記ドナー励起用の光が前記減光フィルタを通過するように前記減光フィルタを光路上に配置し、
    前記投光部が前記アクセプタ退色用の光を放出するとき、前記減光手段は、前記アクセプタ退色用の光が前記減光フィルタを通過しないように、前記減光フィルタを光路上から取り除く
    請求項1〜10のいずれかに記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  12. 前記投光部は、
    前記ドナー励起用の光の波長域および前記アクセプタ退色用の光の波長域の双方にわたって発光する光源と、
    前記光源から光を受光するとともに、減光フィルタを光路上に配置する減光手段と、
    前記減光手段から光を受光し、前記ドナー励起用の光の波長域および前記アクセプタ退色用の光の波長域のいずれか一方の成分を抽出する波長選択手段と
    を有しており、
    前記投光部が前記ドナー励起用の光を放出するとき、前記減光手段は、前記光源からの光が前記減光フィルタを通過してから前記波長選択手段に向かうように前記減光フィルタを光路上に配置し、
    前記投光部が前記アクセプタ退色用の光を放出するとき、前記減光手段は、前記光源からの光が前記減光フィルタを通過しないように、前記減光フィルタを光路上から取り除く
    請求項1〜10のいずれかに記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
  13. 前記第3波長域は、前記アクセプタ退色用の光が前記試料に照射されるときに前記アクセプタから発する蛍光を前記検出部が飽和することなく検出できるような重なりを前記アクセプタの蛍光スペクトルとの間に有している
    請求項11または12に記載の蛍光エネルギー移動解析装置。
JP2003003450A 2003-01-09 2003-01-09 蛍光エネルギー移動解析装置 Expired - Fee Related JP3686898B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003003450A JP3686898B2 (ja) 2003-01-09 2003-01-09 蛍光エネルギー移動解析装置
EP04250100A EP1441219B1 (en) 2003-01-09 2004-01-09 Fluorescence resonance energy transfer analyzer
US10/753,569 US7449151B2 (en) 2003-01-09 2004-01-09 Fluorescence resonance energy transfer analyzer

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003003450A JP3686898B2 (ja) 2003-01-09 2003-01-09 蛍光エネルギー移動解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004219104A JP2004219104A (ja) 2004-08-05
JP3686898B2 true JP3686898B2 (ja) 2005-08-24

Family

ID=32588481

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003003450A Expired - Fee Related JP3686898B2 (ja) 2003-01-09 2003-01-09 蛍光エネルギー移動解析装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7449151B2 (ja)
EP (1) EP1441219B1 (ja)
JP (1) JP3686898B2 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006055017A (ja) * 2004-08-18 2006-03-02 Tokyo Institute Of Technology 核酸の検出方法
CN100335888C (zh) * 2004-12-20 2007-09-05 西安天隆科技有限公司 实时荧光定量基因扩增仪的光路检测***
WO2006106962A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-12 Kabushiki Kaisha Toshiba 蛍光測定装置、蛍光測定方法、蛍光測定用収納容器および蛍光測定用収納容器の製造方法
GB0525072D0 (en) * 2005-12-09 2006-01-18 Enigma Diagnostics Ltd Fluorescence-based detection methods and apparatus
DE102006010907A1 (de) * 2006-03-09 2007-09-20 Mpb Meltec Patent- Und Beteiligungsgesellschaft Mbh Verfahren zur Bestimmung von Molekülen oder Molekülteilen in biologischen Proben
JP4899648B2 (ja) * 2006-06-05 2012-03-21 株式会社ニコン スペクトル観察方法及びスペクトル観察システム
KR200458306Y1 (ko) 2009-11-13 2012-03-13 한국생명공학연구원 고감도 휴대용 fret 형광측정 장치
US20140170769A1 (en) * 2011-06-23 2014-06-19 Korea Research Institute Of Bioscience And Biotechnology Microscope apparatus for detecting or imaging protein using probe for intrinsic fluorescence resonance energy transfer and method for detecting or imaging protein using the same
US9709787B2 (en) 2011-07-24 2017-07-18 Ge Healthcare Bio-Sciences Corp. Microscopy instruments with beam splitting system including optical filters and mirrors
US20150044763A1 (en) * 2012-03-22 2015-02-12 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Fret measurement device and fret measurement method
JP2015194409A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 株式会社ジャパンディスプレイ 検体検出装置及び検体検出チップ
JP6564166B2 (ja) * 2014-07-18 2019-08-21 オリンパス株式会社 測定装置および蛍光測定方法
US20170241911A1 (en) * 2016-02-22 2017-08-24 Miltenyi Biotec Gmbh Automated analysis tool for biological specimens
GB2554920B (en) * 2016-10-14 2019-12-11 Ndm Technologies Ltd Method and apparatus for detecting an analyte
CN108919472A (zh) * 2018-09-11 2018-11-30 中国工程物理研究院材料研究所 一种多分光镜式高灵敏度同轴光学镜筒
KR101952307B1 (ko) * 2018-11-01 2019-02-26 (주)피엘시스템즈 표면에너지 측정 시스템
CN113873358B (zh) * 2020-06-30 2022-12-06 华为技术有限公司 分光器、光分布网络及确定光滤波结构对应波长方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4900934A (en) * 1987-07-15 1990-02-13 University Of Utah Apparatus for simultaneous visualization and measurement of fluorescence from fluorescent dye-treated cell preparations and solutions
JPH07194393A (ja) * 1992-08-24 1995-08-01 Hamamatsu Photonics Kk 生細胞内イオン濃度の3波長測光法のための定数最適化方法
JP2000199855A (ja) * 1998-11-02 2000-07-18 Olympus Optical Co Ltd 走査型光学顕微鏡装置
JP4604300B2 (ja) * 2000-02-09 2011-01-05 株式会社ニコン 顕微鏡
US7564866B2 (en) * 2000-07-21 2009-07-21 Broadcom Corporation Methods and systems for digitally processing optical data signals
WO2002041064A1 (en) * 2000-11-17 2002-05-23 Universal Imaging Corporation Rapidly changing dichroic beamsplitter

Also Published As

Publication number Publication date
EP1441219A3 (en) 2004-11-24
US7449151B2 (en) 2008-11-11
JP2004219104A (ja) 2004-08-05
US20040146913A1 (en) 2004-07-29
EP1441219A2 (en) 2004-07-28
EP1441219B1 (en) 2012-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3686898B2 (ja) 蛍光エネルギー移動解析装置
US7426026B2 (en) Method and system for measuring the concentrations of fluorescent dyes
US7507582B2 (en) Method and device for multicolour 2-photon fluorescence coincidence analysis
van Munster et al. Fluorescence lifetime imaging microscopy (FLIM)
US5418371A (en) Apparatus for quantitative imaging of multiple fluorophores using dual detectors
JP5485289B2 (ja) 分解能増進顕微鏡法
JP4365380B2 (ja) Fret検出方法および装置
EP1731896A1 (en) Fluorescence spectroscopic apparatus
JPH09507579A (ja) 試料の化学分析用信号処理方法および装置
US8089625B2 (en) Time-resolved and wavelength-resolved spectroscopy for characterizing biological materials
JP2009507501A (ja) リアルタイムpcr反応を行うための装置
US20100140506A1 (en) Method of determining a measurement value on the basis of single molecule events
US6597439B1 (en) Method and apparatus for measurement of light from illuminated specimen eliminating influence of background light
JP2000230903A (ja) 光計測方法および装置
JP4474582B2 (ja) 蛍光の検出方法
JPH08334466A (ja) 蛍光測光方法及び装置
CN109991197A (zh) 测量样品荧光特性的分光光度计及方法
US9134244B2 (en) Wiregrid monitor device
JP2004333579A (ja) レーザ走査顕微鏡
JP2009058405A (ja) 光分析装置
JP2017036925A (ja) 光学測定装置及び光学測定方法
JPH08178849A (ja) 蛍光測光装置および蛍光測光方法
KR102450912B1 (ko) 바이오마커 식별이 가능한 형광 현미경 및 이를 이용한 바이오마커 식별방법
JP3222270B2 (ja) 分光ファイバースコープ
CN111912796A (zh) 一种基于可见吸收光谱的超分辨成像***和方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040907

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050517

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050606

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080610

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090610

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090610

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100610

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100610

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110610

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110610

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120610

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120610

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130610

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130610

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees