JP3686475B2 - 振動式圧縮機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー等に使用される振動式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、振動式圧縮機は特開昭51−57009号公報に記載されているものが知られている。以下図面を参照しながら上記従来の振動式圧縮機について説明する。
【0003】
従来の構成を図4に示す。図4、において、1は密閉ケーシング、2は本体である。本体2は、モーター3、シリンダー4、ピストン5、軸受6、シリンダーヘッド7、共振スプリング8とから構成されており、サスペンションスプリング(図示せず)により、密閉ケーシング1内に弾性支持されている。モーター3は、固定子3aと可動子3bとから構成されており、可動子3bはピストン5に固定されている。9は潤滑油であり、密閉ケーシング1の下部に溜められている。
【0004】
シリンダー4と軸受6は、ピストン5が軸方向に可動可能なように支持している。
【0005】
共振スプリング8は、一端がモーター3の可動子3bに固定され、他端が軸受6に固定されており、一部が密閉ケーシング1に溜められた潤滑油9中に浸っている。
【0006】
共振スプリング8が自然長の状態において、ピストン5に固定されたモーター3の可動子3bは、固定子3aに対して軸方向にずれるように組み立てられている。10はシリンダー4とピストン5から構成される圧縮室である。
【0007】
次に振動式圧縮機の機構について説明する。交流電源を半波整流し、固定子3aに通電することにより、ピストン5に固定された可動子3bは固定子3aの磁極の方向に磁気可変抵抗原理により吸引される。そして吸引時に、可動子3bと軸受6間に配設された共振スプリング8に蓄えられた弾性力により逆方向に押され、この繰り返しにより往復運動を行う。
【0008】
冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは、吸引管(図示せず)を介して一部の冷媒ガスは密閉ケーシング1内に放出されるが、大部分の冷媒ガスはシリンダーヘッド7内に配設された吸入弁(図示せず)を介してシリンダーヘッド7の低圧室7aに導かれ、シリンダー4内の圧縮室10に至る。圧縮室10に至った冷媒ガスは、上述したピストン5の往復運動により圧縮される。
【0009】
圧縮された冷媒ガスは、シリンダーヘッド7内に配設された吐出弁(図示せず)を介して一旦シリンダーヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管11を介して冷却システムに吐出される。
【0010】
また、密閉ケーシング1内の下部に溜まった潤滑油9は、ピストン5の軸方向の往復運動に伴う共振スプリング8の伸縮運動によりかく拌され、密閉ケーシング1内に飛散し、ピストン5とシリンダー4間の摺動部や、軸受6とピストン5間の摺動部を潤滑、シールしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、運転圧力条件等が変化すると、ピストン5及び可動子3aの軸方向への往復移動量(以降ストローク)も変化するが、特にストローク量が大きくなると、ピストン5がシリンダーヘッド7や吸入弁,吐出弁等に衝突し、ピストン5,シリンダーヘッド7,吸入弁,吐出弁等が破損したり、騒音が発生する可能性があった。
【0012】
本発明は従来の課題を解決するもので、運転圧力等が変化し、ピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンの衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止する。
【0013】
また、振動式圧縮機の運転中に、高圧圧力が異常に上昇したり低圧圧力が異常に低下すると、ピストン5の往復運動中心が反圧縮室側へ過大に移動して、共振スプリング8が過大に縮められ、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下する可能性があった。
【0014】
本発明の他の目的は、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下時に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止する。
【0015】
また、振動式圧縮機の運転中において、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストン5のストロークが過大となったり、容量制御を行うべくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストン5のストロークが過大となる可能性があった。その際に、共振スプリング8の伸縮が過大となり、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下する可能性があった。
【0016】
本発明の他の目的は、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが過大となるほか、容量制御を行うベくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストンのストロークが過大となることを防止することにより、ピストンがシリンダーヘッド,吸入弁,吐出弁等に衝突して破損したり騒音が発生することを防止する。また、共振スプリングの伸縮が過大となり、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明の振動式圧縮機は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、一端が可動要素に固定され、他端が固定要素に固定された共振スプリングと、固定要素で囲まれた背圧室と、可動要素に設けられ、一端が背圧室に開口し、他端がシリンダー内周部に開口する連絡孔と、固定要素に設けられ、一端がシリンダー内周部に開口し、他端が密閉ケーシング内またはシリンダーヘッド低圧室のいずれかに開口する連通孔とから構成されている。
【0018】
これにより、運転圧力等が変化し、ピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンの衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止する。
【0019】
また、ピストン内に設けられ、一端が圧縮室内に連通し、他端が密閉ケーシング内,シリンダーヘッド低圧室,圧縮要素で囲まれた背圧室のいずれかに連通する中空部と、中空部の圧縮室近傍に設けられたバルブ機構とから構成されている。
【0020】
これにより、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止する。
【0021】
また、固定要素と、固定要素に嵌められた可動軸受と、一端が可動要素に固定され、他端が可動軸受に固定された共振スプリングと、可動軸受に対して圧縮室側及び反圧縮室側の固定要素に設けられたストッパーとから構成されている。
【0022】
これにより、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが過大となったり、容量制御を行うべくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストンのストロークが過大となることを防止することにより、共振スプリングの伸縮が過大となることを防止し、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、一端が可動要素に固定され、他端が固定要素に固定された共振スプリングと、固定要素で囲まれた背圧室と、可動要素に設けられ、一端が背圧室に開口し、他端がシリンダー内周部に開口する連絡孔と、固定要素に設けられ、一端がシリンダー内周部に開口し、他端が密閉ケーシング内またはシリンダーヘッド低圧室のいずれかに開口する連通孔を備えたものであり、運転圧力等が変化し、ピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンの衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止するという作用を有する。
【0024】
請求項2に記載の発明は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、一端が可動要素に固定され、他端が固定要素に固定された共振スプリングと、ピストン内に設けられ、一端が圧縮室内に連通し、他端が密閉ケーシング内,シリンダーヘッド低圧室,圧縮要素で囲まれた背圧室のいずれかに連通する中空部と、中空部の圧縮室近傍に設けられたバルブ機構を備えたものであり、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止するという作用を有する。
【0025】
請求項3に記載の発明は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、固定要素に嵌められた可動軸受と、一端が可動要素に固定され、他端が可動軸受に固定された共振スプリングと、可動軸受に対して圧縮室側及び反圧縮室側の固定要素に設けられたストッパーを備えたものであり、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが過大となるほか、容量制御を行うべくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストンのストロークが過大となることを防止することにより、共振スプリングの伸縮が過大となることを防止し、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止するという作用を有する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0027】
図1において、4cは固定要素であり、シリンダー4,モーター3の固定子3a,ブロック12とから構成されている。5cは可動要素であり、ピストン5,モーター3の可動子3b,可動軸受6とから構成されている。
【0028】
13はシリンダー4,モーター3の固定子3a,ブロック12で囲まれた背圧室、14はピストン5に設けられ、一端14aが背圧室13に開口し、他端14bがシリンダー4内周部に開口する連絡孔である。15はシリンダー4内に設けられ、一端15aがシリンダー4内周部に開口し、他端15bが密閉ケーシング1内に開口する連通孔である。
【0029】
そして、連絡穴14の一端14bと連絡穴15の一端15b間の距離(寸法C)を、ピストン5の端面5aとシリンダー4の端面4a間の距離(寸法D)と同等以上となるように配設されている。
【0030】
以上のように構成された振動式圧縮機について、以下その動作を説明する。
圧縮機の運転時において、ピストン5のストローク量が比較的小さいときにおいては、ピストン5はシリンダーヘッド7等に衝突することはなく、まはたピストン5に設けられた連絡孔14の一端14bとシリンダー4に設けられた連通孔15の一端15aが合致することもない。
【0031】
そのため、連絡孔14と連通孔15は連通せず、密閉ケーシング1内と背圧室13は連通しないため、背圧室13内の圧力は一定に保たれている。この背圧室13内の圧力は、ピストン5の往復運動中心を圧縮室10側へ移動させるようにピストン5の背面5bにガス圧荷重として作用し、吸入圧力と吐出圧力の間の圧力に保たれている。
【0032】
従って、ピストン5の往復運動により圧縮室10で圧縮された冷媒ガスは、シリンダヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管11を介して冷却システムに吐出されるとの通常の運転を行う。
【0033】
次に、運転圧力条件が変化しピストン5のストローク量が過大となりピストン5がシリンダーヘッド7に衝突する時には、連絡孔14と連通孔15とが連通し、背圧室13と背圧室13内より圧力の低い密閉ケーシング1内が連通する。
【0034】
そのため、背圧室13内が減圧されることにより、ピストン5の往復運動中心を圧縮室10側へ移動するようにピストン5の背面5bに作用するガス圧荷重が低減されるため、ピストン5の往復運動中心が反圧縮室側に移動する。
【0035】
従って、ピストン5がシリンダーヘッド7,吸入弁,吐出弁等に衝突することを防止でき、ピストン5,吸入弁,吐出弁等が破損したり、衝突により騒音が発生することを防止することができる。
【0036】
尚、本実施例では、連絡孔14をピストン5に設け、連通孔15をシリンダー4に設けているが、それぞれ他の可動要素4c及び固定要素5cに設けても同様の配設位置であれば同様に実施可能である。
【0037】
また、本実施例ではシリンダー4,モーター3の固定子3a,ブロック12にて背圧室13を形成しているが、少なくともシリンダー4で形成された背圧室であれば同様に実施可能である。
【0038】
また、本実施例では、共振スプリング8の一端をモーター3の可動子3bに固定しているが、ピストン5やピストン5と同様の他の可動要素5cに固定しても同様に実施可能である。
【0039】
以上のように、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシング1と、密閉ケーシング1内に収納されたシリンダー4と、固定子3a及び可動子3bとから構成されたモーター3と、シリンダー4内に嵌められ、モーター3の可動子3bが固定されたピストン5と、モーター3の可動子3bまたはピストン5の少なくともいずれかにより構成された可動要素5cと、少なくともシリンダー4により構成された固定要素4cと、一端が可動要素5cに固定され、他端が固定要素4cに固定された共振スプリング8と、固定要素4cで囲まれた背圧室13と、可動要素5cに設けられ、一端14aが背圧室13に開口し、他端14bがシリンダー4内周部に開口する連絡孔14と、固定要素4cに設けられ、一端15aがシリンダー4内周部に開口し、他端15bが密閉ケーシング1内またはシリンダーヘッド低圧室7aのいずれかに開口する連通孔15を備えたものであり、運転圧力等が変化し、ピストン5のストローク量が大きくなった際に、ピストン5の往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストン5の衝突を防止し、ピストン5,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止することができる。
【0040】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0041】
図2において、16は一端が圧縮室10内に連通し、他端が密閉ケーシング1内に連通する中空部である。17は中空部16内の圧縮室10の近傍に配設され、圧縮室10側から中空部16側へ開閉可能なバルブ機構である。
【0042】
以上のように構成された振動式圧縮機について、以下その動作を説明する。
圧縮機の運転時において、高圧圧力が所定の圧力以下で、低圧圧力が所定の圧力以上である通常の運転時においては、圧縮室10内と密閉ケーシング1内の差圧は小さく、バルブ機構17は開閉しない。
【0043】
そのため、ピストン5の往復運動により圧縮室10にて圧縮された冷媒ガスは、シリンダヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管11を介して冷却システムに吐出されるとの通常の運転を行う。
【0044】
次に、高圧圧力の異常上昇又は低圧圧力の異常低下時は、その圧力差の増大によりピストン5を反圧縮室側へ移動させるように作用するガス圧荷重が増大し、ピストン5の往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動しようとする。しかしながら、この時、圧縮室10内の圧力と密閉ケーシング1内の圧力との差圧の増大によりバルブ機構17が開き、圧縮室10内の高圧の冷媒ガスの一部が密閉ケーシング1内に流出する。そのため、ピストン5を反圧縮室側へ移動するように作用するガス圧荷重を減少させることができ、ピストン5が過大に反圧縮室側に移動することを防止できる。
【0045】
従って、ピストン5の往復運動中心が反圧縮側へ過大に移動することを防止することにより、共振スプリング8が過大に縮められ、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止することができる。
【0046】
尚、以上の説明では、中空部16の一端が密閉ケーシング1内(低圧)に連通させた例で説明したが、シリンダーヘッド7の低圧室7bや高圧と低圧との中間圧力である背圧室13など、高圧より低い圧力である箇所に連通させたものであれば同様に実施可能である。
【0047】
以上のように、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシング1と、密閉ケーシング1内に収納されたシリンダー4と、固定子3a及び可動子3bとから構成されたモーター3と、シリンダー4内に嵌められ、モーター3の可動子3bが固定されたピストン5と、モーター3の可動子3bまたはピストン5の少なくともいずれかにより構成された可動要素5cと、少なくともシリンダー4により構成された固定要素4cと、一端が可動要素5cに固定され、他端が固定要素4cに固定された共振スプリング8と、ピストン5内に設けられ、一端が圧縮室10内に連通し、他端が密閉ケーシング1内,シリンダーヘッド低圧室7a,圧縮要素で囲まれた背圧室13のいずれかに連通する中空部16と、中空部16の圧縮室10近傍に設けられたバルブ機構17を備えたものであり、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストン5の往復運動中心が過大に反圧縮側に移動することを防止し、共振スプリング8が過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0049】
図3において、18はブロック12に嵌められ、軸方向に可動可能な可動軸受であり、共振スプリング8の一端が固定されている。19a,19bはブロック12に設けられた凸部等から成るストッパーであり、ストッパー19aは可動軸受18に対して圧縮室10側、ストッパー19bは可動軸受18に対して反圧縮室側に配設されている。
【0050】
以上のように構成された振動式圧縮機について、以下その動作を説明する。
まず、圧縮機の吸入行程時において、ピストン5が反圧縮室側に移動し、共振スプリング8が縮むもののその反発力により可動軸受18とストッパー19bとが当接するまで可動軸受18も反圧縮室側に移動し、実質的に共振スプリング8は縮まない。さらに吸入行程が進みピストン5が反圧縮室側に移動すると共振スプリング8は縮み、反発力が蓄えられる。
【0051】
次にモーター3によりピストン5が圧縮室10側に吸引され圧縮行程に移ったときには、その共振スプリング8に蓄えられた反発力を利用して効率よく運転される。その後共振スプリング8が自然長まで伸びた後、さらに圧縮行程が進むと、ピストン5の圧縮室10側への移動により今度は共振スプリング8が伸びるもののその引張力により可動軸受18とストッパー19aとが当接するまで可動軸受18も圧縮室10側へ移動し、実質的に共振スプリング8は伸びない。
【0052】
さらにピストン5が圧縮室10側に移動すると共振スプリング8は伸び、引張力が蓄えられる。その後、吸入行程に移った時には、その共振スプリング8に蓄えられた引張力を利用して効率よく運転され、この繰り返しによりピストン5は効率よく往復運動を行う。
【0053】
そのため、可動軸受18が軸方向に可動する分、共振スプリング8は実質的に伸縮しないことになる。
【0054】
従って、圧縮機の運転圧力条件変化や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストン5のストロークが大きくなっても、共振スプリング8の伸縮量を低減できるため、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0055】
また、モーター駆動電圧を増大させたりすることによりピストン5のストローク量を増大させて容量制御を行う場合においても共振スプリングの伸縮量を低減でき、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0056】
尚、以上の説明では、可動軸受18をブロック12に嵌合した例で説明したが、可動軸受18をシリンダー4等の他の固定要素5cに嵌合したものでも同様に実施可能である。
【0057】
また、可動軸受18にてピストン5を支持した例で説明したが、ピストン5を支持していなくても同様に実施可能である。
【0058】
以上のように、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシング1と、密閉ケーシング1内に収納されたシリンダー4と、固定子3a及び可動子3bとから構成されたモーター3と、シリンダー4内に嵌められ、モーター3の可動子3bが固定されたピストン5と、モーター3の可動子3bまたはピストン5の少なくともいずれかにより構成された可動要素5cと、少なくともシリンダー4により構成された固定要素4cと、固定要素4cに嵌められた可動軸受18と、一端が可動要素5cに固定され、他端が可動軸受18に固定された共振スプリング8と、可動軸受18に対して圧縮室10側及び反圧縮室側の固定要素4cに設けられたストッパー19a,19bを備えたものであり、運転圧力条件変化や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストン5のストロークが大きくなっても、共振スプリング8の伸縮量を低減できるため、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0059】
また、モーター駆動電圧を増大させたりすることによりピストン5のストローク量を増大させて容量制御を行う場合においても共振スプリングの伸縮量を低減でき、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、運転圧力等が変化しピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンとシリンダーヘッド,吸入弁,吐出弁等の衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止することができるという有利な効果が得られる。
【0061】
また、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止することができるという有利な効果が得られる。
【0062】
また、運転圧力条件変化や、モーター駆動圧力、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが大きくなっても、共振スプリングの伸縮量を低減できるため、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0063】
また、モーター駆動電圧を増大させたりすることによりピストンのストローク量を増大させて容量制御を行う場合においても共振スプリングの伸縮量を低減でき、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止するという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による振動式圧縮機の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態2による振動式圧縮機の縦断面図
【図3】本発明の実施の形態3による振動式圧縮機の縦断面図
【図4】従来の振動式圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
1a 冷媒ガス空間
1 密閉ケーシング
3 モーター
3a 固定子
3b 可動子
4 シリンダー
4c 固定要素
5 ピストン
5c 可動要素
7 シリンダーヘッド
7a シリンダーヘッド低圧部
8 共振スプリング
10 圧縮室
13 背圧室
14 連絡孔
15 連通孔
16 中空部
17 バルブ機構
18 可動軸受
19a,19b ストッパー
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー等に使用される振動式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、振動式圧縮機は特開昭51−57009号公報に記載されているものが知られている。以下図面を参照しながら上記従来の振動式圧縮機について説明する。
【0003】
従来の構成を図4に示す。図4、において、1は密閉ケーシング、2は本体である。本体2は、モーター3、シリンダー4、ピストン5、軸受6、シリンダーヘッド7、共振スプリング8とから構成されており、サスペンションスプリング(図示せず)により、密閉ケーシング1内に弾性支持されている。モーター3は、固定子3aと可動子3bとから構成されており、可動子3bはピストン5に固定されている。9は潤滑油であり、密閉ケーシング1の下部に溜められている。
【0004】
シリンダー4と軸受6は、ピストン5が軸方向に可動可能なように支持している。
【0005】
共振スプリング8は、一端がモーター3の可動子3bに固定され、他端が軸受6に固定されており、一部が密閉ケーシング1に溜められた潤滑油9中に浸っている。
【0006】
共振スプリング8が自然長の状態において、ピストン5に固定されたモーター3の可動子3bは、固定子3aに対して軸方向にずれるように組み立てられている。10はシリンダー4とピストン5から構成される圧縮室である。
【0007】
次に振動式圧縮機の機構について説明する。交流電源を半波整流し、固定子3aに通電することにより、ピストン5に固定された可動子3bは固定子3aの磁極の方向に磁気可変抵抗原理により吸引される。そして吸引時に、可動子3bと軸受6間に配設された共振スプリング8に蓄えられた弾性力により逆方向に押され、この繰り返しにより往復運動を行う。
【0008】
冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは、吸引管(図示せず)を介して一部の冷媒ガスは密閉ケーシング1内に放出されるが、大部分の冷媒ガスはシリンダーヘッド7内に配設された吸入弁(図示せず)を介してシリンダーヘッド7の低圧室7aに導かれ、シリンダー4内の圧縮室10に至る。圧縮室10に至った冷媒ガスは、上述したピストン5の往復運動により圧縮される。
【0009】
圧縮された冷媒ガスは、シリンダーヘッド7内に配設された吐出弁(図示せず)を介して一旦シリンダーヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管11を介して冷却システムに吐出される。
【0010】
また、密閉ケーシング1内の下部に溜まった潤滑油9は、ピストン5の軸方向の往復運動に伴う共振スプリング8の伸縮運動によりかく拌され、密閉ケーシング1内に飛散し、ピストン5とシリンダー4間の摺動部や、軸受6とピストン5間の摺動部を潤滑、シールしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、運転圧力条件等が変化すると、ピストン5及び可動子3aの軸方向への往復移動量(以降ストローク)も変化するが、特にストローク量が大きくなると、ピストン5がシリンダーヘッド7や吸入弁,吐出弁等に衝突し、ピストン5,シリンダーヘッド7,吸入弁,吐出弁等が破損したり、騒音が発生する可能性があった。
【0012】
本発明は従来の課題を解決するもので、運転圧力等が変化し、ピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンの衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止する。
【0013】
また、振動式圧縮機の運転中に、高圧圧力が異常に上昇したり低圧圧力が異常に低下すると、ピストン5の往復運動中心が反圧縮室側へ過大に移動して、共振スプリング8が過大に縮められ、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下する可能性があった。
【0014】
本発明の他の目的は、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下時に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止する。
【0015】
また、振動式圧縮機の運転中において、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストン5のストロークが過大となったり、容量制御を行うべくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストン5のストロークが過大となる可能性があった。その際に、共振スプリング8の伸縮が過大となり、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下する可能性があった。
【0016】
本発明の他の目的は、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが過大となるほか、容量制御を行うベくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストンのストロークが過大となることを防止することにより、ピストンがシリンダーヘッド,吸入弁,吐出弁等に衝突して破損したり騒音が発生することを防止する。また、共振スプリングの伸縮が過大となり、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明の振動式圧縮機は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、一端が可動要素に固定され、他端が固定要素に固定された共振スプリングと、固定要素で囲まれた背圧室と、可動要素に設けられ、一端が背圧室に開口し、他端がシリンダー内周部に開口する連絡孔と、固定要素に設けられ、一端がシリンダー内周部に開口し、他端が密閉ケーシング内またはシリンダーヘッド低圧室のいずれかに開口する連通孔とから構成されている。
【0018】
これにより、運転圧力等が変化し、ピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンの衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止する。
【0019】
また、ピストン内に設けられ、一端が圧縮室内に連通し、他端が密閉ケーシング内,シリンダーヘッド低圧室,圧縮要素で囲まれた背圧室のいずれかに連通する中空部と、中空部の圧縮室近傍に設けられたバルブ機構とから構成されている。
【0020】
これにより、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止する。
【0021】
また、固定要素と、固定要素に嵌められた可動軸受と、一端が可動要素に固定され、他端が可動軸受に固定された共振スプリングと、可動軸受に対して圧縮室側及び反圧縮室側の固定要素に設けられたストッパーとから構成されている。
【0022】
これにより、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが過大となったり、容量制御を行うべくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストンのストロークが過大となることを防止することにより、共振スプリングの伸縮が過大となることを防止し、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、一端が可動要素に固定され、他端が固定要素に固定された共振スプリングと、固定要素で囲まれた背圧室と、可動要素に設けられ、一端が背圧室に開口し、他端がシリンダー内周部に開口する連絡孔と、固定要素に設けられ、一端がシリンダー内周部に開口し、他端が密閉ケーシング内またはシリンダーヘッド低圧室のいずれかに開口する連通孔を備えたものであり、運転圧力等が変化し、ピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンの衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止するという作用を有する。
【0024】
請求項2に記載の発明は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、一端が可動要素に固定され、他端が固定要素に固定された共振スプリングと、ピストン内に設けられ、一端が圧縮室内に連通し、他端が密閉ケーシング内,シリンダーヘッド低圧室,圧縮要素で囲まれた背圧室のいずれかに連通する中空部と、中空部の圧縮室近傍に設けられたバルブ機構を備えたものであり、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止するという作用を有する。
【0025】
請求項3に記載の発明は、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、シリンダー内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくともシリンダーにより構成された固定要素と、固定要素に嵌められた可動軸受と、一端が可動要素に固定され、他端が可動軸受に固定された共振スプリングと、可動軸受に対して圧縮室側及び反圧縮室側の固定要素に設けられたストッパーを備えたものであり、運転圧力条件や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが過大となるほか、容量制御を行うべくモーター駆動電圧等を増大させた時などにピストンのストロークが過大となることを防止することにより、共振スプリングの伸縮が過大となることを防止し、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止するという作用を有する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0027】
図1において、4cは固定要素であり、シリンダー4,モーター3の固定子3a,ブロック12とから構成されている。5cは可動要素であり、ピストン5,モーター3の可動子3b,可動軸受6とから構成されている。
【0028】
13はシリンダー4,モーター3の固定子3a,ブロック12で囲まれた背圧室、14はピストン5に設けられ、一端14aが背圧室13に開口し、他端14bがシリンダー4内周部に開口する連絡孔である。15はシリンダー4内に設けられ、一端15aがシリンダー4内周部に開口し、他端15bが密閉ケーシング1内に開口する連通孔である。
【0029】
そして、連絡穴14の一端14bと連絡穴15の一端15b間の距離(寸法C)を、ピストン5の端面5aとシリンダー4の端面4a間の距離(寸法D)と同等以上となるように配設されている。
【0030】
以上のように構成された振動式圧縮機について、以下その動作を説明する。
圧縮機の運転時において、ピストン5のストローク量が比較的小さいときにおいては、ピストン5はシリンダーヘッド7等に衝突することはなく、まはたピストン5に設けられた連絡孔14の一端14bとシリンダー4に設けられた連通孔15の一端15aが合致することもない。
【0031】
そのため、連絡孔14と連通孔15は連通せず、密閉ケーシング1内と背圧室13は連通しないため、背圧室13内の圧力は一定に保たれている。この背圧室13内の圧力は、ピストン5の往復運動中心を圧縮室10側へ移動させるようにピストン5の背面5bにガス圧荷重として作用し、吸入圧力と吐出圧力の間の圧力に保たれている。
【0032】
従って、ピストン5の往復運動により圧縮室10で圧縮された冷媒ガスは、シリンダヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管11を介して冷却システムに吐出されるとの通常の運転を行う。
【0033】
次に、運転圧力条件が変化しピストン5のストローク量が過大となりピストン5がシリンダーヘッド7に衝突する時には、連絡孔14と連通孔15とが連通し、背圧室13と背圧室13内より圧力の低い密閉ケーシング1内が連通する。
【0034】
そのため、背圧室13内が減圧されることにより、ピストン5の往復運動中心を圧縮室10側へ移動するようにピストン5の背面5bに作用するガス圧荷重が低減されるため、ピストン5の往復運動中心が反圧縮室側に移動する。
【0035】
従って、ピストン5がシリンダーヘッド7,吸入弁,吐出弁等に衝突することを防止でき、ピストン5,吸入弁,吐出弁等が破損したり、衝突により騒音が発生することを防止することができる。
【0036】
尚、本実施例では、連絡孔14をピストン5に設け、連通孔15をシリンダー4に設けているが、それぞれ他の可動要素4c及び固定要素5cに設けても同様の配設位置であれば同様に実施可能である。
【0037】
また、本実施例ではシリンダー4,モーター3の固定子3a,ブロック12にて背圧室13を形成しているが、少なくともシリンダー4で形成された背圧室であれば同様に実施可能である。
【0038】
また、本実施例では、共振スプリング8の一端をモーター3の可動子3bに固定しているが、ピストン5やピストン5と同様の他の可動要素5cに固定しても同様に実施可能である。
【0039】
以上のように、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシング1と、密閉ケーシング1内に収納されたシリンダー4と、固定子3a及び可動子3bとから構成されたモーター3と、シリンダー4内に嵌められ、モーター3の可動子3bが固定されたピストン5と、モーター3の可動子3bまたはピストン5の少なくともいずれかにより構成された可動要素5cと、少なくともシリンダー4により構成された固定要素4cと、一端が可動要素5cに固定され、他端が固定要素4cに固定された共振スプリング8と、固定要素4cで囲まれた背圧室13と、可動要素5cに設けられ、一端14aが背圧室13に開口し、他端14bがシリンダー4内周部に開口する連絡孔14と、固定要素4cに設けられ、一端15aがシリンダー4内周部に開口し、他端15bが密閉ケーシング1内またはシリンダーヘッド低圧室7aのいずれかに開口する連通孔15を備えたものであり、運転圧力等が変化し、ピストン5のストローク量が大きくなった際に、ピストン5の往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストン5の衝突を防止し、ピストン5,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止することができる。
【0040】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0041】
図2において、16は一端が圧縮室10内に連通し、他端が密閉ケーシング1内に連通する中空部である。17は中空部16内の圧縮室10の近傍に配設され、圧縮室10側から中空部16側へ開閉可能なバルブ機構である。
【0042】
以上のように構成された振動式圧縮機について、以下その動作を説明する。
圧縮機の運転時において、高圧圧力が所定の圧力以下で、低圧圧力が所定の圧力以上である通常の運転時においては、圧縮室10内と密閉ケーシング1内の差圧は小さく、バルブ機構17は開閉しない。
【0043】
そのため、ピストン5の往復運動により圧縮室10にて圧縮された冷媒ガスは、シリンダヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管11を介して冷却システムに吐出されるとの通常の運転を行う。
【0044】
次に、高圧圧力の異常上昇又は低圧圧力の異常低下時は、その圧力差の増大によりピストン5を反圧縮室側へ移動させるように作用するガス圧荷重が増大し、ピストン5の往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動しようとする。しかしながら、この時、圧縮室10内の圧力と密閉ケーシング1内の圧力との差圧の増大によりバルブ機構17が開き、圧縮室10内の高圧の冷媒ガスの一部が密閉ケーシング1内に流出する。そのため、ピストン5を反圧縮室側へ移動するように作用するガス圧荷重を減少させることができ、ピストン5が過大に反圧縮室側に移動することを防止できる。
【0045】
従って、ピストン5の往復運動中心が反圧縮側へ過大に移動することを防止することにより、共振スプリング8が過大に縮められ、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止することができる。
【0046】
尚、以上の説明では、中空部16の一端が密閉ケーシング1内(低圧)に連通させた例で説明したが、シリンダーヘッド7の低圧室7bや高圧と低圧との中間圧力である背圧室13など、高圧より低い圧力である箇所に連通させたものであれば同様に実施可能である。
【0047】
以上のように、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシング1と、密閉ケーシング1内に収納されたシリンダー4と、固定子3a及び可動子3bとから構成されたモーター3と、シリンダー4内に嵌められ、モーター3の可動子3bが固定されたピストン5と、モーター3の可動子3bまたはピストン5の少なくともいずれかにより構成された可動要素5cと、少なくともシリンダー4により構成された固定要素4cと、一端が可動要素5cに固定され、他端が固定要素4cに固定された共振スプリング8と、ピストン5内に設けられ、一端が圧縮室10内に連通し、他端が密閉ケーシング1内,シリンダーヘッド低圧室7a,圧縮要素で囲まれた背圧室13のいずれかに連通する中空部16と、中空部16の圧縮室10近傍に設けられたバルブ機構17を備えたものであり、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストン5の往復運動中心が過大に反圧縮側に移動することを防止し、共振スプリング8が過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0049】
図3において、18はブロック12に嵌められ、軸方向に可動可能な可動軸受であり、共振スプリング8の一端が固定されている。19a,19bはブロック12に設けられた凸部等から成るストッパーであり、ストッパー19aは可動軸受18に対して圧縮室10側、ストッパー19bは可動軸受18に対して反圧縮室側に配設されている。
【0050】
以上のように構成された振動式圧縮機について、以下その動作を説明する。
まず、圧縮機の吸入行程時において、ピストン5が反圧縮室側に移動し、共振スプリング8が縮むもののその反発力により可動軸受18とストッパー19bとが当接するまで可動軸受18も反圧縮室側に移動し、実質的に共振スプリング8は縮まない。さらに吸入行程が進みピストン5が反圧縮室側に移動すると共振スプリング8は縮み、反発力が蓄えられる。
【0051】
次にモーター3によりピストン5が圧縮室10側に吸引され圧縮行程に移ったときには、その共振スプリング8に蓄えられた反発力を利用して効率よく運転される。その後共振スプリング8が自然長まで伸びた後、さらに圧縮行程が進むと、ピストン5の圧縮室10側への移動により今度は共振スプリング8が伸びるもののその引張力により可動軸受18とストッパー19aとが当接するまで可動軸受18も圧縮室10側へ移動し、実質的に共振スプリング8は伸びない。
【0052】
さらにピストン5が圧縮室10側に移動すると共振スプリング8は伸び、引張力が蓄えられる。その後、吸入行程に移った時には、その共振スプリング8に蓄えられた引張力を利用して効率よく運転され、この繰り返しによりピストン5は効率よく往復運動を行う。
【0053】
そのため、可動軸受18が軸方向に可動する分、共振スプリング8は実質的に伸縮しないことになる。
【0054】
従って、圧縮機の運転圧力条件変化や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストン5のストロークが大きくなっても、共振スプリング8の伸縮量を低減できるため、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0055】
また、モーター駆動電圧を増大させたりすることによりピストン5のストローク量を増大させて容量制御を行う場合においても共振スプリングの伸縮量を低減でき、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0056】
尚、以上の説明では、可動軸受18をブロック12に嵌合した例で説明したが、可動軸受18をシリンダー4等の他の固定要素5cに嵌合したものでも同様に実施可能である。
【0057】
また、可動軸受18にてピストン5を支持した例で説明したが、ピストン5を支持していなくても同様に実施可能である。
【0058】
以上のように、冷媒ガス空間を有する密閉ケーシング1と、密閉ケーシング1内に収納されたシリンダー4と、固定子3a及び可動子3bとから構成されたモーター3と、シリンダー4内に嵌められ、モーター3の可動子3bが固定されたピストン5と、モーター3の可動子3bまたはピストン5の少なくともいずれかにより構成された可動要素5cと、少なくともシリンダー4により構成された固定要素4cと、固定要素4cに嵌められた可動軸受18と、一端が可動要素5cに固定され、他端が可動軸受18に固定された共振スプリング8と、可動軸受18に対して圧縮室10側及び反圧縮室側の固定要素4cに設けられたストッパー19a,19bを備えたものであり、運転圧力条件変化や、モーター駆動電圧、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストン5のストロークが大きくなっても、共振スプリング8の伸縮量を低減できるため、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0059】
また、モーター駆動電圧を増大させたりすることによりピストン5のストローク量を増大させて容量制御を行う場合においても共振スプリングの伸縮量を低減でき、共振スプリング8が破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、運転圧力等が変化しピストンのストローク量が大きくなった際に、ピストンの往復運動中心を反圧縮室側に移動させることによりピストンとシリンダーヘッド,吸入弁,吐出弁等の衝突を防止し、ピストン,吸入弁,吐出弁等の破損及び騒音の発生を防止することができるという有利な効果が得られる。
【0061】
また、高圧圧力の異常上昇または低圧圧力の異常低下等に、ピストンの往復運動中心が過大に反圧縮室側に移動することを防止し、共振スプリングが過大に縮むことを防止することにより、共振スプリングの破損や信頼性の低下を防止することができるという有利な効果が得られる。
【0062】
また、運転圧力条件変化や、モーター駆動圧力、モーター駆動周波数等の運転条件の変化によりピストンのストロークが大きくなっても、共振スプリングの伸縮量を低減できるため、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止できる。
【0063】
また、モーター駆動電圧を増大させたりすることによりピストンのストローク量を増大させて容量制御を行う場合においても共振スプリングの伸縮量を低減でき、共振スプリングが破損したり信頼性が低下することを防止するという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による振動式圧縮機の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態2による振動式圧縮機の縦断面図
【図3】本発明の実施の形態3による振動式圧縮機の縦断面図
【図4】従来の振動式圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
1a 冷媒ガス空間
1 密閉ケーシング
3 モーター
3a 固定子
3b 可動子
4 シリンダー
4c 固定要素
5 ピストン
5c 可動要素
7 シリンダーヘッド
7a シリンダーヘッド低圧部
8 共振スプリング
10 圧縮室
13 背圧室
14 連絡孔
15 連通孔
16 中空部
17 バルブ機構
18 可動軸受
19a,19b ストッパー
Claims (3)
- 冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、前記シリンダー内に嵌められ、前記モーターの可動子が固定されたピストンと、前記モーターの可動子または前記ピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくとも前記シリンダーにより構成された固定要素と、一端が前記可動要素に固定され、他端が前記固定要素に固定された共振スプリングと、前記固定要素で囲まれた背圧室と、前記可動要素に設けられ、一端が前記背圧室に開口し、他端が前記シリンダー内周部に開口する連絡孔と、前記固定要素に設けられ、一端が前記シリンダー内周部に開口し、他端が前記密閉ケーシング内またはシリンダーヘッド低圧室のいずれかに開口する連通孔とからなる振動式圧縮機。
- 冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、前記シリンダー内に嵌められ、前記モーターの可動子が固定されたピストンと、前記モーターの可動子または前記ピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくとも前記シリンダーにより構成された固定要素と、一端が前記可動要素に固定され、他端が前記固定要素に固定された共振スプリングと、前記ピストン内に設けられ、一端が圧縮室内に連通し、他端が前記密閉ケーシング内,シリンダーヘッド低圧室,前記圧縮要素で囲まれた背圧室のいずれかに連通する中空部と、前記中空部の前記圧縮室近傍に設けられたバルブ機構とからなる振動式圧縮機。
- 冷媒ガス空間を有する密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング内に収納されたシリンダーと、固定子及び可動子とから構成されたモーターと、前記シリンダー内に嵌められ、前記モーターの可動子が固定されたピストンと、前記モーターの可動子または前記ピストンの少なくともいずれかにより構成された可動要素と、少なくとも前記シリンダーにより構成された固定要素と、前記固定要素に嵌められた可動軸受と、一端が前記可動要素に固定され、他端が前記可動軸受に固定された共振スプリングと、前記可動軸受に対して圧縮室側及び反圧縮室側の前記固定要素に設けられたストッパーとからなる振動式圧縮機。
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JPH09324751A (ja) | 1997-12-16 |
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