JP3683989B2 - ドア装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駅の改札機や遊園地の入出場口等に設けられるドア装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
改札機等に設けられるドア装置は、ドア本体を電動モータにより開閉駆動させるよう構成されているのが一般的である。このようなドア装置を用いて利用客の通過を阻止する場合には、電動モータを制御してドア本体を開放位置から閉鎖位置に向かって回動させた後、適当なタイミングで電動モータに所定の制動電圧を印加して電磁ブレーキをかけ、ドア本体を閉鎖位置にて停止させるのである。
【0003】
ドア本体が閉鎖位置に配置されている場合、通路が遮断されるため、利用客の通行は阻止されることとなるが、それでもなお、ドア本体を押し開いて強行突破しようとする者がいる。このような行為は可能な限り防止すべきものである。そこで、従来においては、ドア本体が閉鎖位置となったならば、電動モータに制動電圧をかけたままの状態、いわゆる電磁ロック状態とし、ドア本体を容易に押し開くことができないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、改札機におけるドア装置では、ドア本体の開閉動作が高速となっているため、制動電圧も相当に高くして制動力を高める必要がある。このため、制動電圧で電磁ロックされた状態では、電動モータのモータ軸は、相当に大きな力を加えない限り、静止状態で維持される。従って、閉鎖位置にあるドア本体に対して強行突破すべく過度の力を加えると、ドア装置の構成部材、特に電動モータのモータ軸とドア本体の支持軸との間の伝動機構に過大な負荷を与えることとなり、伝動機構やその他の部材を破損するおそれがあった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、閉鎖状態にあるドア本体を容易に押し開くことができないようにするドア装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、閉鎖位置のドア本体を無理に回動させた場合には、ドア装置の構成機器を有効に保護することのできる手段を提供することにある。本発明の更に別の目的は、強行突破された場合にその行為があったことを迅速に確認できる手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるドア装置は、装置フレームと、この装置フレームに支持軸により回動可能に支持されたドア本体と、装置フレームに取り付けられ、開放位置から閉鎖位置への回動方向とその逆方向の両方向にドア本体を回動させる電動モータと、電動モータのモータ軸及びドア本体の支持軸の間に設けられた伝動機構と、ドア本体の回動及び制動を行うべく電動モータを制御する制御手段と、ドア本体の前記支持軸に固着されたカムプレートと、装置フレームに揺動可能に取り付けられ、一端にカムプレートのカム面と係合するカムローラを有する揺動アームと、カムローラをカム面に係合させるよう揺動アームの他端側に弾性力を作用させる弾性手段と、を備えている。そして、このようなドア装置において、前記カム面は、ドア本体が閉鎖位置にある場合にカムローラと係合してドア本体の前記回動方向への動きを拘束するが、前記回動方向に所定値以上の力をドア本体に加えた場合にカムローラを押動して前記拘束が解除されるよう構成されていることを特徴としている。かかる構成において、相当な力をドア本体に加えない限り、ドア本体を押し開けることができず、強行突破を困難とする。
【0007】
また、上記構成のドア装置においては、前記拘束が解除された瞬間にカムローラがカムプレートのカム面を叩き打撃音が生ずるようにすることができる。この打撃音に、ドア本体が強制的に回動されたことを知ることができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、ドア本体が制動されて閉鎖位置に配置された場合に、電動モータに印加する制動電圧よりも低い電圧を印加して電動モータを電磁ロックする電磁ロック手段を備えることを特徴としている。低電圧で電磁ロックされた電動モータのモータ軸は、制動電圧で電磁ロックされた場合に比較して小さな力で回転させることができる。従って、ドア本体に過大な力が作用しても、電動モータとドア本体との間の伝動機構等にかかる負荷は小さく、伝動機構等の保護に寄与する。
【0009】
更に、請求項3に記載したように、伝動機構を構成する軸のいずれかにゴム軸継手等のたわみ軸継手を介設した場合、その軸継手の部分にてドア本体からの衝撃力を吸収、緩和することができ、電動モータ等を保護することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図1〜図5に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図示のドア装置10は、開閉が駅員のスイッチ操作により行われるタイプの改札機に用いられるものであり、通路に沿って設置された装置フレーム12を有している。装置フレーム12には、所定高さ位置にて水平方向に延びる支持プレート14と、この支持プレート14から上方に延びる支持ブラケット16とが設けられている。支持プレート14と支持ブラケット16の上端部との間においては、ドア本体18が水平方向において回動自在となるよう軸支されている。すなわち、ドア本体18の一端に設けられた支持軸20の上部と下部とが、それぞれ、支持ブラケット16の上端部の軸受22と支持プレート14の軸受24とにより回動自在に支持されている。また、支持軸20の下部は支持プレート14を貫通して下方に延び、その下端が、支持プレート14の下方に配設された水平方向に延びるベース26の軸受28にて支持されている。
【0012】
支持プレート14上にはドア本体18を回動させるための電動モータ30が設置されている。図示の電動モータ30は正逆両方向に回転可能なものであり、減速伝動機構32が一体的に設けられている。減速伝動機構32の出力軸34は垂直下方に延びており、その先端にはたわみ軸継手としてのゴム軸継手36を介して伝動軸38が接続されている。伝動軸38は、支持プレート14に設けられた軸受40により回転自在に支持されており、その下端には歯車42が一体的に設けられている。この歯車42は、ドア本体18の支持軸20の下部部分にキー結合された歯車44と噛み合っており、電動モータ30の回転駆動力が減速伝動機構32、伝動軸38及び歯車42,44を経て支持軸20に伝えられるよう構成されている。従って、電動モータ30を制御装置46により制御し、電動モータ30のモータ軸48を回転駆動させると、ドア本体18は、装置フレーム12にほぼ平行に配置され通路を完全に開放する開放位置(図2に示す位置)と、装置フレーム12に対してほぼ直角に配置され通路を閉鎖する閉鎖位置(図3に示す位置)との間で、回動される。また、制御装置46は、制動電圧(例えば24V)を電動モータ30に印加して電磁ブレーキをかけ、ドア本体18を開放位置又は閉鎖位置で停止させることができる。更に、制御装置46は、ドア本体18が閉鎖位置に達したときに、前記制動電圧よりも低い電圧(例えば5V)で電動モータ30を電磁ロックする機能も有している。かかる電磁ロック機能を確実に作用させるために、ドア本体18が閉鎖位置に配置されたか否かを検出するための位置センサ(図示せず)を設け、制御装置46に接続しておくことが好適である。
【0013】
更に、ドア本体18の支持軸20の下部部分には、剛性のあるカムプレート50がキー結合されている。このカムプレート50は外周面の一部がカム面52となっている。図2〜図5に示すように、カム面52は、支持軸20の中心軸線を中心とした第1の円弧部分52a及び第2の円弧部分52bから成り、第2の円弧部分52bの半径は第1の円弧部分52aの半径よりも大きくされている。また、第1の円弧部分52aと第2の円弧部分52bとの間の境界部分52cは、図示のような段差面が形成されている。
【0014】
カムプレート50のカム面52にはカムローラ54が係合されるが、かかるカムローラ54は剛性があり、ベース26上に揺動可能に軸支された剛性のある揺動アーム56の一端に取り付けられている。また、カムローラ54とは反対の方向に軸支部分57から延びる揺動アーム56の他端には、引張りコイルばね58の一端が接続されており、このコイルばね58の他端はベース26上の適宜位置に固定されている。従って、コイルばね58の弾性作用により、揺動アーム56はカムローラ54がカムプレート50のカム面52に係合する方向に引っ張られる。なお、図2〜図4において符号60で示すねじは、カムローラ54がカムプレート50に係合する力を調整するためのものであり、揺動アーム56の側面を押すことにより、コイルばね58の引張り力を変化させるようになっている。
【0015】
ここで、カム面52に対するカムローラ54の係合位置とドア本体18の位置との関係を説明すると、ドア本体18が開放位置にある場合には、図2に示すようにカムローラ54はカム面52から分離し、開放位置から閉鎖位置に至る途中においてカム面52の第1の円弧部分52aと係合する。また、ドア本体18が閉鎖位置にある場合には、図3に示すように、カムローラ54はカム面52の段差面52cと係合する。この状態においては、ドア本体18を開放位置から閉鎖位置に回動させる回動方向(図3の矢印B方向)に小さな力を加えても、段差面52cとカムローラ54との係合により当該回動方向へのドア本体18の動きは拘束される。ドア本体18が閉鎖位置を越えた位置にある場合、カムローラ54はカム面52の第2の円弧部分52bと係合する(図4及び図5参照)。
【0016】
次に、上述したドア装置10の動作について説明する。まず、ドア本体18が開放位置にある状態で駅員等が閉鎖スイッチ62を操作すると、そのスイッチ62からの信号を制御装置46が受けて電動モータ30のモータ軸48を所定の方向に回転させ、モータ軸48とドア本体18との間に存在する歯車等、すなわち伝動機構32,34,36,38,42,44を介して、ドア本体18を閉鎖位置に向かって回動させる。そして、適当なタイミングで電動モータ30に電磁ブレーキをかけ、ドア本体18を閉鎖位置にて停止させる。ドア本体18が閉鎖位置で停止したならば、制御装置46は制動電圧を降下させ、低電圧で電動モータ30を電磁ロックする。勿論、低電圧での電磁ロックであるため、電磁ロックのみによるドア本体18の拘束力は比較的弱いが、ドア本体18が閉鎖位置にあるとき、前述したようにカム面52の段差面52cがカムローラ54と係合しているので、カム機構の拘束力とあいまって、相当に大きな力を矢印Bの回動方向に作用させない限り、ドア本体18が閉鎖位置から移動することはない。
【0017】
いま、ドア本体18に所定値以上の力を矢印Bの回動方向に作用させた場合、カムプレート50が同方向に回転しようとし、コイルばね58のばね力に抗してカムローラ54を図3又は図4の矢印C方向に押動させ、やがてカムローラ54はカム面52の第2の円弧部分52bに至る(図4の状態)。これにより、ドア本体18の拘束は解除され、ドア本体18を矢印B方向に沿って更に回動させることが可能となり、通路を通ることができるようになる。これは、強行突破を可能とするものであるが、強行突破しようとした者の安全を確保するためには必要な動作となる。
【0018】
このようなドア本体18の付加的な回動は本来好ましくないが、かかる事態が生じても、電磁ロック効果が低いために、伝動機構32,34,36,38,42,44に作用する負荷も小さく、伝動機構、その他の構成部材の破損を防止することができる。
【0019】
また、強行突破の際には瞬間的に大きな力(衝撃力)が作用するが、減速伝動機構32の出力軸34と伝動軸38との間にゴム軸継手36が介設されているため、ドア本体18に加わった衝撃力はこのゴム軸継手36において吸収され、減速伝動機構32を保護することができる。電動モータ30に一体的に設けられる減速伝動機構32は衝撃に弱いため、このゴム軸継手36の緩衝作用は極めて有効なものとなる。
【0020】
更に、ドア本体18に衝撃力が加わると、カムローラ54がカム面52の段差面52cを越える際に揺動アーム56が瞬間的にたわみ、第2の円弧部分52bにカムローラ54を叩き付けるよう動作する。これにより打撃音が発生し、かかる打撃音は装置フレーム12を共鳴箱として大きく響くため、強行突破等の事態が生じたことを、駅員等に瞬時に知らせることが可能となる。
【0021】
このように本発明によるドア装置10では、閉鎖位置にあるドア本体18を無理に押し開くことも可能となっているが、強行突破を困難なものとし或は後続の者の自由な通行を制限する等の理由から、ある所定の位置以上はドア本体18を押動することができないよう、ストッパ66を設けることが好ましい。図示実施形態では、カムプレート50の側面と係合するストッパ66がベース26上に固定されている(図5参照)。また、カムプレート50と当接するストッパ66の部分に、図2〜図5に示すようにゴム等からなる緩衝部材68を取り付けておくことが好適である。
【0022】
ドア本体18が閉鎖位置から押し開かれた後も電動モータ30の電磁ロックは保たれているので、ドア本体18は半開き状態で維持される。この状態を解除すべく駅員が開放スイッチ64を押すと、制御装置46は電動モータ30を逆回転させ、これによりドア本体18は、通常の開放動作時と同様に、矢印B方向とは反対の方向に回動して開放位置に戻る。
【0023】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、カムローラの材質等によっては強行突破時に打撃音が生じない場合があるが、そのような場合には、位置センサ等により強行突破を検出して警報アラームを作動させる手段を設けてもよい。また、上記実施形態は駅の有人改札機用のドア装置となっているが、本発明のドア装置は遊園地等の入出場ゲート等の他の用途にも適用可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のドア装置は、カム機構を設けたことにより、ドア本体を正確に閉鎖位置に配置でき、また、相当な力をかけない限り、ドア本体を開くことができないので、強行突破等を防止することができる。
【0025】
また、電磁ロックの際の電圧を降下させるよう構成した場合、仮に、過大な力をもってドア本体を強制的に回動させたときでも、伝動機構等には過大な負荷がかからず、ドア装置の構成部材の破損を防止することができる。
【0026】
更に、強行突破時に大きな機械音を発生させるよう構成した場合、強行突破に対して迅速な処理を行うことが可能となり、また、強行突破が困難であることをアピールするのにも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるドア装置の要部を示す一部切欠き正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿っての断面図であり、ドア本体が開放位置にある状態を示す図である。
【図3】図1のA−A線に沿っての断面図であり、ドア本体が閉鎖位置にある状態を示す図である。
【図4】図1のA−A線に沿っての断面図であり、ドア本体が閉鎖位置を超えた状態を示す図である。
【図5】図1のA−A線に沿っての断面図であり、ドア本体が閉鎖位置を超えてストッパにより停止された状態を示す図である。
【符号の説明】
10…ドア装置、12…装置フレーム、18…ドア本体、20…支持軸、30…電動モータ、32…減速伝動機構、34…出力軸、36…ゴム軸継手、38…伝動軸、42,44…歯車、46…制御装置(制御手段、電磁ロック手段)、50…カムプレート、52…カム面、54…カムローラ、56…揺動アーム、58…コイルばね(弾性手段)、66…ストッパ。
Claims (3)
- 装置フレームと、
前記装置フレームに支持軸により回動可能に支持されたドア本体と、
前記装置フレームに取り付けられ、開放位置から閉鎖位置への回動方向とその逆方向の両方向に前記ドア本体を回動させる電動モータと、
前記電動モータのモータ軸と前記ドア本体の前記支持軸との間に設けられた伝動機構と、
前記ドア本体の回動及び制動を行うべく前記電動モータを制御する制御手段と、
前記ドア本体の前記支持軸に固着されたカムプレートと、
前記装置フレームに揺動可能に取り付けられ、一端に前記カムプレートのカム面と係合するカムローラを有する揺動アームと、
前記カムローラを前記カム面に係合させるよう前記揺動アームの他端側に弾性力を作用させる弾性手段と、
を備えており、
前記カム面が、前記ドア本体が前記閉鎖位置にある場合に前記カムローラと係合して前記ドア本体の前記回動方向への動きを拘束するが、前記回動方向に所定値以上の力を前記ドア本体に加えた場合に前記カムローラを押動して前記拘束が解除されるよう構成されており、
前記拘束が解除された瞬間に、前記カムローラが前記カム面から離れた後、再び前記カム面に衝突して打撃音が生ずるようになっていることを特徴とするドア装置。 - 前記ドア本体が制動され前記閉鎖位置に配置された場合に、前記電動モータに印加する制動電圧よりも低い電圧を印加して前記電動モータを電磁ロックする電磁ロック手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のドア装置。
- 前記伝動機構を構成する軸のいずれかにたわみ軸継手を介設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のドア装置。
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