JP3682683B2 - 面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の表面に錫めっき処理が施された錫めっき鋼板または鋼板の表面に電解クロム酸処理が施されたティンフリースチール(TFS)のような缶用鋼板は、食缶や飲料缶用鋼板として多用されている。これらの食缶や飲料缶は、その製缶方法の相違から、3ピース缶と2ピース缶とに分類されるが、近年飲料缶を中心として、缶体の軽量化、製缶工程の省略、素材および製造コストの低減等の観点より、3ピース缶から2ピース缶への移行、更には、缶体の薄肉化が進められている。
【0003】
食缶、飲料缶用の2ピース缶には、絞りおよび再絞り加工によって製造されるDRD缶(Drawn and redrawn can) 、缶胴部の薄肉化を伴う多段の絞り加工によって製造されるDTR缶(Drawn-thin-redrawn can)および絞り加工後にしごき加工が施されるDI缶(Drawn and wall ironed can) 等があるが、その何れの場合においても、製缶に際して円盤状のブランク板から絞り加工によってカップ状の缶体を成形するか、または、カップ状の缶体から再絞り加工によって更に径が小さく深さの深いカップ状の缶体を成形する工程を含んでいる。
【0004】
このような2ピース缶製缶時の際の絞り加工時に、鋼板の加工性の面内異方性に起因して、しばしば、缶端部の高さまたはフランジ部の幅が円周方向に沿って不均一になるいわゆる耳が発生する。この耳は、缶端部のネッキング加工前にトリムして除去されるが、耳が大きい場合にはトリム代が大きくなり、材料歩留りを低下させる。
【0005】
更に、耳は、円周方向に沿った板厚分布の変動をもたらし、後工程のネッキング加工の際におけるネックしわの発生原因になるのみならず、成形時にパンチから缶体を抜き取る際のパンチ抜け不良の発生原因にもなって、材料歩留りおよび品質の低下をもたらしている。
【0006】
このようなことから、2ピース缶用鋼板に対しては、製缶時における耳発生の小さい即ち面内異方性の小さい鋼板が求められており、特に、DI缶用鋼板およびDTR缶用鋼板に対しては、近年求められている缶体の軽量化、製造コスト低減の観点から、薄ゲージであってしかも材料歩留りの向上が可能な、面内異方性が一段と小さく、且つ、面内異方性がコイルの全長および全幅にわたって均一な鋼板が強く望まれている。
【0007】
面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法としては、例えば、特開平9−241756号公報に、冷延前の結晶粒径を30μm以上に制御し、イヤリングを低減する方法(以下、先行技術1という)が開示されている。
【0008】
一方、板幅方向に均一な材質を有する缶用鋼板の製造方法として、特開平10−46243号公報には、粗圧延されたシートバーの両端部を加熱昇温することにより、圧延終了温度が鋼帯の全幅にわたってAr3 変態点未満、(Ar3 変態点−100℃)以上となるように熱間仕上圧延し、次いで、冷間圧延、焼鈍および調質圧延を行う方法(以下、先行技術2という)が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術1には、コイルの長手方向および幅方向の不均一性を抑制する、換言すれは、上記コイル長手方向および幅方向の均一性を従来以上に向上させるという技術思想は含まれていない。従って、コイルの長手方向および幅方向端部のイヤリング性即ち面内異方性の低下を避けることはできず、コイル内のブランキング位置による面内異方性のバラツキが大になって、材料歩留りの低下をもたらすという問題は解決されていない。
【0010】
先行技術2は、熱延仕上温度をAr3 変態点未満にする技術であり、本発明の意図する技術とは本質的に異なる技術であるが、このような技術を用いたとしても、鋼板幅方向の材質均一性は向上するものの、鋼板長手方向の均一性に関しては、必ずしも十分であるとは言い難い。
【0011】
即ち、鋼板長手方向の均一性を向上させるためには、更に、シートバーを仕上圧延前に巻取り、その先端と後端とを逆転させて、先行するシートバーと接合することが必要であり、熱延工程の大幅な改造および付帯設備の設置が必要となって、製造コストの大幅な増大をもたらす。更に、このような技術を用いても、鋼板長手方向の均一性に関しては、2ピース缶用鋼板に求められている現在の厳しい要求に十分に応えることは難しく、一層の改善を図る必要がある。
【0012】
従って、この発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解決し、現在の要求に十分に応え得る、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した問題を解決し、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。
【0014】
2ピース缶用鋼板のゲージダウンが進むに伴って、熱延鋼板の仕上板厚も薄くなってきているが、熱延鋼板の薄手化により、熱間圧延中の放熱が大きくなり、特に鋼板先端部の温度低下が大きく、仕上圧延出側温度(FT)をAr3 変態点以上とすることが困難になっている。そのために、コイル長手方向中央部では良好な面内異方性を維持することができても、鋼板先端部では面内異方性が大きく劣化する問題が生ずる。
【0015】
本発明者らは、極薄の2ピース缶用鋼板の面内異方性の均一性の低下、特に、鋼帯長手方向先端部での面内異方性の劣化は、熱間仕上圧延時の仕上圧延出側温度(FT)がAr3 変態点未満まで低下してしまうためであるとの考えに基づき、これを回避するための方法について検討を行った。その結果、仕上圧延前の粗バーの幅方向全体を誘導加熱装置によって加熱し、仕上圧延入側温度を調整することがもっとも効果的且つ経済的であることを見出した。
【0016】
図1は、0.04wt.%のCを含有する化学成分組成の連続鋳造スラブを使用し、熱延仕上板厚を1.6mmとした場合の仕上圧延出側温度(FT)に対する粗バーの幅方向全体の誘導加熱装置装置による加熱(粗バー全体加熱)効果を調べた結果を示す図であり、図2は、イヤリング率のコイル内均一性に対する粗バー全体加熱効果を示す図である。
【0017】
面内異方性は、熱間圧延後、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延を行い、板厚0.17mmに仕上げた鋼板のイヤリング率を測定し評価した。イヤリング率は、絞り比1.8で深絞り成形したときの耳高さを測定し、耳の最大値と最小値との差を耳全周の平均値で割った百分率で表した。
【0018】
図1および図2から明らかなように、粗バー加熱を行わなかった場合は、熱延鋼帯の先端部(図のT部)における仕上圧延出側温度(FT)の低下が大きくAr3 変態点未満となり、イヤリング率が劣化し、鋼板幅方向および長手方向のイヤリング率の均一性が非常に悪い。エッジヒーターによって粗バーのエッジ部近傍のみを加熱した場合には、エッジ部におけるFTの低下は抑制され、エッジ部のイヤリング率は若干改善されるが、鋼板長手方向先端部については、その幅中央部、エッジ部共にFTはAr3 変態点未満となり、イヤリング率の劣化を回避することができない。
【0019】
これに対して、粗バー全体を加熱した場合には、長手方向先端部のエッジ部を含めた全長および全幅にわたり、仕上圧延出側温度(FT)をAr3 変態点以上で、且つ、均一な温度とすることができ、先端部またはエッジ部でのイヤリング率の劣化も認められず、面内異方性のコイル内均一性は非常に良好になる。
【0020】
このように、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板を製造するためには、熱間圧延工程の仕上圧延出側温度(FT)を最適範囲に制御することが重要であり、そのためには、粗バーの幅方向全体を加熱し、仕上圧延入側温度を調整することが有効であることがわかった。
【0021】
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、本願の請求項1に記載の発明は、C:0.01〜0.10wt.%、Si:0.1 wt.% 以下、Mn:0.1〜1.0 wt.% 、P:0.02 wt.% 以下、S:0.02 wt.% 以下、sol.Al:0.02〜0.15 wt.% 、N:0.01 wt.% 以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有する連続鋳造薄スラブまたは連続鋳造スラブを粗圧延した粗バーを、鋼帯に熱間仕上圧延するに際し、熱間仕上圧延機の入側に配置された誘導加熱装置により、前記薄スラブまたは前記粗バーの幅方向全体を加熱して、その仕上圧延入側温度を調整し、仕上圧延出側温度が、鋼帯の先端部から後端部に至るまで全長にわたりAr3 変態点以上、Ar3 +40℃以下の温度となり、そして、仕上板厚が2.3mm以下となるように前記薄スラブまたは前記粗バーを熱間仕上圧延して熱延鋼帯を調製し、得られた熱延鋼帯をコイルに巻取り次いで酸洗した後、冷間圧延し、得られた冷延鋼帯に対し、焼鈍し次いで調質圧延または二次圧延を施して、板厚0.25mm以下の鋼帯となし、次いで、前記鋼帯に対し表面処理を施すことに特徴を有するものである。
【0022】
請求項2に記載の発明は、C:0.01〜0.10wt.%、Si:0.1wt.%以下、Mn:0.1〜1.0wt.%、P:0.02wt.%以下、S:0.02wt.%以下、sol.Al:0.02〜0.15wt.%、N:0.01wt.%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有する連続鋳造薄スラブまたは連続鋳造スラブを粗圧延した粗バーを、鋼帯に熱間仕上圧延するに際し、熱間仕上圧延機の入側に配置された誘導加熱装置により、前記薄スラブまたは粗バーの幅方向全体を加熱して、その仕上圧延入側温度を調整し、仕上圧延出側温度が、鋼帯の先端部から後端部に至るまで全長にわたりAr3 変態点以上、Ar3 +40℃以下の温度となり、そして、仕上板厚が2.3mm以下となるように前記薄スラブまたは前記粗バーを熱間仕上圧延して熱延鋼帯を調製し、得られた熱延鋼帯を540〜700℃の温度でコイルに巻取り次いで酸洗した後、80〜95%の圧下率で冷間圧延し、得られた冷延鋼帯を焼鈍し次いで調質圧延または二次圧延を施して、板厚0.25mm以下の鋼帯となし、次いで、前記鋼帯に対し表面処理を施すことに特徴を有するものである。
【0023】
請求項3に記載の発明は、前記連続鋳造薄スラブまたは粗バーが、0.0003〜0.003wt.%のBを更に含有していることに特徴を有するものである。
請求項4に記載の発明は、前記熱延鋼帯の、先端部の仕上圧延出側温度と後端部の仕上圧延出側温度の差が20℃以下であることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項5に記載の発明は、前記連続鋳造薄スラブまたは前記粗バーの少なくとも長手方向先端部を、その幅方向全体にわたり加熱し、前記先端部の表面温度を45℃以上昇温させることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項6に記載の発明は、粗圧延機と誘導加熱装置との間、または、誘導加熱装置と仕上圧延機との間にエッジヒータを配置し、配置されたエッジヒータによって、粗バーのエッジ部のみを加熱することに特徴を有するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
この発明の方法において、鋼の化学成分組成を、上述したように限定した理由について以下に述べる。
【0027】
C:C含有量が0.01wt.%未満の場合には、熱延板組織が粗粒化および混粒化しやすくなり、熱延段階での組織の均一性が低下すると共に、焼鈍後の粒径も大きくなりやすく、製缶時に肌荒れが発生しやすくなる。一方、C含有量が0.10wt.%を超えると、フェライト粒内の固溶C量、粒界に偏析するC量および炭化物の量が増加するため、深絞り性が劣化すると共に、面内異方性も劣化する。従って、この発明においては、C含有量を0.01〜0.10wt.%の範囲内に限定することが基本である。より好ましいC含有量は、0.015〜0.06wt.%の範囲内である。
【0028】
Si:Siは、これを意図的に添加しない場合でも、不純物成分として鋼中に残留し、鋼板を脆化させ耐食性を劣化させる元素である。また、TFSの下地鋼板として使用する場合には、金属Crの電析に対しても悪影響を与える。従って、Si含有量は少ないほど望ましく、上記悪影響を回避し得る0.1wt.%以下に限定する。
【0029】
Mn:Mnは、鋼中のSをMnSとして析出させることにより、スラブの熱間割れを防止すると共に、固溶強化元素として、Cによる強化を補う役割を果たす作用を有している。しかしながら、Mn含有量が0.1wt.%未満では、上記作用を発揮させることができず、一方、Mn含有量が1.0wt.%を超えると、素材の強度を高めることはできても、深絞り性、面内異方性の劣化を招く。従って、Mn含有量を0.1〜1.0wt.%の範囲内に限定する。
【0030】
P:PもMnと同様に置換型固溶元素であり、Mn以上に大きな強化能を有し、鋼板の高強度化を図るために有効な元素であるが、同時にフェライト粒界に偏析して、粒界脆化を引き起こす。更に、Pが多量に含有されていると、粒界偏析による製缶時の破断等をもたらしまた耐食性の劣化を招く。従って、P含有量は少ないほど望ましく、上記悪影響を回避し得る0.02wt.%以下に限定する。
【0031】
S:Sは、スラブの熱間割れを防止する観点からその含有量は極力少ない方が望ましく、0.02wt.%以下に限定する。
sol.Al:sol.Alは、鋼中のNをAlNとして析出させる作用を有している。しかしながら、sol.Alが0.02wt.%未満では、上記作用を発揮させることができず、一方、sol.Al含有量が0.15wt.%を超えると、 Al2O3系介在物が残留し、製缶時に介在物に起因する割れが発生しやすくなり、加工性の劣化を招く。従って、sol.Al含有量を、0.02〜0.15wt.%の範囲内に限定する。
【0032】
N:N含有量は極力少ない方が望ましく、0.01wt.%を超えると、固溶N量が増大して、深絞り性が劣化する。従って、N含有量を0.01wt.%以下に限定する。
【0033】
B:Bは、鋼中のNと結合してBNを形成し、固溶N量を低減させ、深絞り性を向上させる作用を有している。また、鋼中のNをAlNとなる前にBNとして析出させることにより、巻取り後の熱延鋼板の幅方向、長手方向の組織の均一性を高める作用を有している。従って、必要に応じて、Bを含有させる。
【0034】
しかしながら、B含有量が0.0003wt.%未満では上記作用を発揮させることができず、一方、B含有量が0.003wt.%を超えると、上記作用が飽和するのみならず、逆に固溶Bが増加して深絞り性の劣化を招く。従って、B含有量を、0.0003〜0.003wt.%の範囲内に限定する。
【0035】
次に、この発明における、鋼板の製造条件について以下に述べる。この発明においては、上述した成分組成の鋼を転炉において溶製し、溶製された鋼を連続鋳造する。得られた連続鋳造薄スラブまたは連続鋳造スラブを粗圧延した粗バーを、熱間仕上圧延機の入側に配置された誘導加熱装置によってその幅方向全体を加熱し、仕上圧延入側温度を調整した後、熱間圧延する。
【0036】
誘導加熱装置によって幅方向全体の加熱を行う素材としては、連続鋳造ままの薄スラブ、連続鋳造スラブを再加熱することなしに粗圧延した粗バー、または、連続鋳造スラブをいったん冷却し、加熱炉において再加熱した後、粗圧延した粗バーの何れであってもよい。上記薄スラブまたは粗バーの加熱装置としては、制御応答性が良好で、非接触で短時間に急速加熱を行うことが可能な誘導加熱方式の加熱装置を使用する。
【0037】
図1および図2に示したように、エッジヒーターによるエッジ部近傍のみの加熱では、本発明の目的とする極薄の缶用鋼板の母材となる、板厚2.3mm以下特に1.8mm以下の薄手熱延鋼板の場合に、先端部の仕上圧延出側温度(FT)をAr3 変態点以上とすることが困難であるため、幅方向全体を加熱することが必要である。このように幅方向全体を加熱し、仕上圧延出側温度(FT)を全長、全幅にわたりAr3 〜Ar3 +40℃の範囲内に制御することによって、缶用鋼板の面内異方性の均一性を良好に保つことが可能になる。
【0038】
仕上圧延出側温度(FT)がAr3 変態点未満では、熱延鋼板に集合組織が形成されると共に、巻取り温度に応じて表層の結晶粒が粗大化したり、加工組織が残存するようになり、冷間圧延し焼鈍した鋼板の面内異方性が劣化し、コイル全体の面内異方性の均一性が低下する。
【0039】
一方、仕上圧延出側温度(FT)がAr3 +40℃を超える高温になると、熱延鋼板の組織が過度に粗粒化して、前記FTがAr3 +40℃以下の他の部位との面内異方性の差が顕著になり、面内異方性の均一性が低下する。更に、冷間圧延し焼鈍した後の鋼板の結晶粒も大きくなるために、製缶時に肌荒れが発生しやすくなり、また、仕上圧延中に生ずる二次スケールによる表面性状の低下が顕著になる。従って、仕上圧延出側温度(FT)は、Ar3 変態点以上、Ar3 +40℃以下とすることが必要である。
【0040】
更に、熱延鋼帯の先端部と後端部との仕上圧延出側温度(FT)の差が、20℃以下となるように制御することが好ましい。このように熱延鋼帯の先端部と後端部とのFTの差が20℃以下となるように制御するためには、薄スラブまたは粗バーの少なくとも長手方向先端部の幅方向全体を加熱し、先端部の表面温度を45℃以上昇温させることが有効である。
【0041】
また、鋼帯幅方向における仕上圧延出側温度(FT)の均一性を一段と高めて、面内異方性の幅方向均一性を更に向上させるために、粗圧延機と誘導加熱装置との間、または、誘導加熱装置と仕上圧延機との間にエッジヒータを配置し、このエッジヒータによって鋼帯エッジ部のみを加熱する工程を付加することが望ましい。
【0042】
熱間仕上圧延された熱延鋼帯の巻取り温度は、540〜700℃の範囲内とすることが好ましい。鋼帯巻取り温度が540℃未満では、熱延鋼板の組織に加工組織が残り面内異方性が劣化しやすくなる。一方、巻取り温度が700℃を超えると、熱延鋼板の組織の一部が過度に粒成長し、粗大粒が発生して混粒になりやすくなり、面内異方性および面内異方性の均一性の劣化を引き起こす。また、酸洗性が低下して、表面性状が劣化すると共に、製缶時に肌荒れが発生するおそれも生ずる。熱延鋼帯のより好ましい巻取り温度は600〜680℃である。
【0043】
上述した条件で熱間仕上圧延が行われコイルに巻き取られた熱延鋼帯は、酸洗した後、冷間圧延される。熱延鋼帯の冷間圧延時における圧下率は、80〜95%とすることが好ましい。圧下率が80%未満では、0度、90度方向の耳が大きくなりやすくなり、一方、圧下率が95%を超えると、45度方向の耳が大きくなりやすくなる。これらの耳発生を抑制し、安定して面内異方性を小さくするために、上述した範囲の圧下率とすることが必要である。
【0044】
上述した圧下率で冷間圧延された冷延鋼帯は、次いで焼鈍される。焼鈍は、バッチ焼鈍でも連続焼鈍でもよいが、生産性の観点からは連続焼鈍の方が好ましい。焼鈍温度は、再結晶温度〜750℃の範囲内とすることが好ましい。焼鈍温度が再結晶温度未満では面内異方性が劣化し、一方、焼鈍温度が750℃を超えると、本発明のように、最終製品板厚が0.25mm以下の極薄鋼板の場合には、連続焼鈍炉の通板性が著しく劣化し、板破断、形状不良等のトラブルが発生しやすくなり、生産性が低下する。また、結晶粒が粗粒化し製缶時に肌荒れが発生するおそれが生じる。
【0045】
連続焼鈍の場合の過時効処理は、これを行ってもまた行わなくても本発明の効果に変わりはない。過時効処理を行う場合には、連続焼鈍炉内のインライン過時効処理、連続焼鈍後の箱焼鈍によるバッチ過時効処理の何れの方法を実施してもよい。
【0046】
上述のようにして焼鈍された鋼帯に対し、調質圧延または二次圧延を施して、板厚0.25mm以下の鋼帯に仕上げる。本発明においては、近年のゲージダウンニーズに合致した極薄の2ピース缶用鋼板を対象としているので、最終製品板厚を0.25mm以下に限定する。調質圧延の際の伸長率は、0.5%以上とすることが望ましい。伸長率が0.5%未満であると、形状制御が困難になる。また、二次圧延の際の圧下率は、35%以下とすることが望ましい。圧下率が35%を超えると、過度の硬質化および深絞り性の劣化を招き、製缶時に破断等のトラブルが誘発されるおそれが生ずる。
【0047】
調質圧延または二次圧延された鋼帯に対し、錫めっき、極薄錫めっき、錫−ニッケルめっき、ニッケルめっき、クロムめっき等の各種の表面処理が施される。特に、DI缶用鋼板の場合には、ノーリフローの錫めっき鋼板が望ましく、DTR缶用のフィルムラミネート鋼板、プレコート鋼板の下地鋼板として使用する場合には、加工密着性の観点から、ティンフリースチール(TFS)が最も望ましい。これらの表面処理鋼板は、鋼板単独のまま、または、ポリエステル等の樹脂フィルムをラミネートしたフィルムラミネート鋼板、エポキシ等の塗料をコーティングしたプレコート鋼板としても使用することができる。
【0048】
【実施例】
次に、この発明を実施例により比較例と対比しながら説明する。
表1に示す、本発明の範囲内の化学成分組成を有する鋼を転炉にて溶製し、次いで、連続鋳造することによってスラブを調製した。このスラブを、粗圧延後、表2に示す条件で圧延し焼鈍した。熱延鋼帯の巻取り温度は620℃とし、焼鈍は、均熱温度650℃の連続焼鈍とした。次いで、調質圧延または二次圧延によって所定の板厚に仕上げた後、電解クロム酸処理を施して表2に示す2ピース缶用電解クロム酸処理鋼板(TFS)の供試体No. 1〜28を調製した。
【0049】
【表1】
Figure 0003682683
【0050】
【表2】
Figure 0003682683
【0051】
表2において、No. 1、2、6、7、11、12、16、17、23、26は、熱間圧延前に粗バーに対する幅方向全体の加熱を行わなかった比較例であり、その他は本発明例である。このような、本発明例および比較例の供試体に対し、コイル長手方向中央部の幅中央部とコイル長手方向先端部の幅中央部およびエッジ部のイヤリング率を測定し、その測定結果を表2に併せて示した。なお、イヤリング率は、絞り比1.8で深絞り成形後に耳高さを測定し、耳の最大値と最小値との差を耳全周の平均値で割った百分率で表し、これによって面内異方性を評価した。
【0052】
表2から明らかなように、本発明例の場合には比較例に比べてコイル長手方向中央部のみならず、コイル先端部の幅中央部およびエッジ部のイヤリング率も小さく、面内異方性が良好であり、且つ、コイル内均一性にも優れていた。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、コイルの全長、全幅の全域において、面内異方性が小さく、且つ、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用極薄鋼板を製造することができ、DRD缶、DI缶、DTR缶のような2ピース缶を製造する際の耳発生による歩留り低下が小さくなり、その製造コストを低減することができる等、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延鋼帯の長手方向、幅方向の仕上出側温度(FT)の変動に対する粗バー全体の加熱効果を示す図である。
【図2】イヤリング率のコイル内均一性に対する粗バー全体の加熱効果を示す図である。

Claims (6)

  1. C:0.01〜0.10wt.%、Si:0.1 wt.% 以下、Mn:0.1〜1.0 wt.% 、P:0.02 wt.% 以下、S:0.02 wt.% 以下、sol.Al:0.02〜0.15 wt.% 、N:0.01 wt.% 以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有する連続鋳造薄スラブまたは連続鋳造スラブを粗圧延した粗バーを、鋼帯に熱間仕上圧延するに際し、熱間仕上圧延機の入側に配置された誘導加熱装置により、前記薄スラブまたは前記粗バーの幅方向全体を加熱して、その仕上圧延入側温度を調整し、仕上圧延出側温度が、鋼帯の先端部から後端部に至るまで全長にわたりAr3 変態点以上、Ar3 +40℃以下の温度となり、そして、仕上板厚が2.3mm以下となるように前記薄スラブまたは前記粗バーを熱間仕上圧延して熱延鋼帯を調製し、得られた熱延鋼帯をコイルに巻取り次いで酸洗した後、冷間圧延し、得られた冷延鋼帯に対し、焼鈍し次いで調質圧延または二次圧延を施して、板厚0.25mm以下の鋼帯となし、次いで、前記鋼帯に対し表面処理を施すことを特徴とする、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法。
  2. C:0.01〜0.10wt.%、Si:0.1wt.%以下、Mn:0.1〜1.0wt.%、P:0.02wt.%以下、S:0.02wt.%以下、sol.Al:0.02〜0.15wt.%、N:0.01wt.%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有する連続鋳造薄スラブまたは連続鋳造スラブを粗圧延した粗バーを、鋼帯に熱間仕上圧延するに際し、熱間仕上圧延機の入側に配置された誘導加熱装置により、前記薄スラブまたは粗バーの幅方向全体を加熱して、その仕上圧延入側温度を調整し、仕上圧延出側温度が、鋼帯の先端部から後端部に至るまで全長にわたりAr3 変態点以上、Ar3 +40℃以下の温度となり、そして、仕上板厚が2.3mm以下となるように前記薄スラブまたは前記粗バーを熱間仕上圧延して熱延鋼帯を調製し、得られた熱延鋼帯を540〜700℃の温度でコイルに巻取り次いで酸洗した後、80〜95%の圧下率で冷間圧延し、得られた冷延鋼帯を焼鈍し次いで調質圧延または二次圧延を施して、板厚0.25mm以下の鋼帯となし、次いで、前記鋼帯に対し表面処理を施すことを特徴とする、面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法。
  3. 前記連続鋳造薄スラブまたは前記粗バーは、0.0003〜0.003wt.%のBを更に含有している請求項2記載の方法。
  4. 前記熱延鋼帯の、先端部の仕上圧延出側温度と後端部の仕上圧延出側温度との差が20℃以下である、請求項1〜3の何れか1つに記載の方法。
  5. 前記連続鋳造薄スラブまたは前記粗バーの少なくとも長手方向先端部を、その幅方向全体にわたり加熱し、前記先端部の表面温度を45℃以上昇温させる、請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
  6. 前記薄スラブまたは前記粗バーを粗圧延する粗圧延機と前記誘導加熱装置との間、または、前記誘導加熱装置と鋼帯を熱間仕上圧延する仕上圧延機との間にエッジヒータを配置し、配置された前記エッジヒータによって、前記粗バーのエッジ部のみを加熱する、請求項1〜5の何れか1つに記載の方法。
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