JP3407531B2 - 面内異方性の小さい2ピース缶用極薄鋼板の製造方法 - Google Patents

面内異方性の小さい2ピース缶用極薄鋼板の製造方法

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JP3407531B2 JP05786396A JP5786396A JP3407531B2 JP 3407531 B2 JP3407531 B2 JP 3407531B2 JP 05786396 A JP05786396 A JP 05786396A JP 5786396 A JP5786396 A JP 5786396A JP 3407531 B2 JP3407531 B2 JP 3407531B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、面内異方性の小さ
い2ピース缶用極薄鋼板の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】鋼板表面に錫めっきを施した錫めっき鋼
板あるいは電解クロム酸処理を施したティンフリースチ
ール(TFS)のような缶用鋼板は食缶や飲料缶に多用
されている。これらの食缶や飲料缶は、その製缶方法の
違いから3ピース缶と2ピース缶に分類される。 【0003】近年、飲料缶等を中心として、缶体軽量
化、製缶時の工程省略、素材および製造コストの低減の
観点から、3ピース缶から2ピース缶への移行、および
缶体の薄肉化が進められている。また、2ピース缶用鋼
板に対しては、缶体のさらなる軽量化、コストダウンを
目的として、素材となる鋼板自体のゲージダウンニーズ
が一段と強まっている。しかし、鋼板の板厚を薄くする
と缶体強度の低下を招くため、再結晶焼鈍後に第2回目
の冷間圧延を行い高強度化した鋼板、すなわちDR(Do
uble Reduce )材が2ピース缶用鋼板に用いられるよう
になってきている。 【0004】ところで、食缶、飲料缶用の2ピース缶に
は、絞り−再絞り加工により製缶されるDRD缶(Draw
n and redrawn can )、缶胴部の薄肉化を伴う多段の絞
り加工により製缶されるDTR缶(Drawn-thin-redrawn
can)、および絞り加工後にしごき加工が施されるDI
缶(Drawn and wall ironed can )等があるが、いずれ
の場合も、その製缶時に、円盤状のブランク板から絞り
加工によりカップ状の缶体を成形する、あるいはカップ
状の缶体から再絞り加工により、さらに径が小さく深さ
の深いカップ状の缶体を成形する工程を含んでいる。 【0005】このような2ピース缶の製缶の際の絞り加
工時に、鋼板の加工性の面内異方性に起因して、しばし
ば缶端部の高さ、あるいはフランジ部の幅が円周方向に
沿って不均一となる、いわゆる「耳」が発生する。この
耳は缶端部のネッキング加工前にトリムし除去される
が、耳が大きい場合にはトリム代が大きくなり、材料歩
留まりを低下させる。 【0006】さらに、耳は円周方向に沿った板厚分布の
変動をもたらし、後工程のネッキング加工の際のネック
しわ発生の要因となるのみならず、DI加工時にパンチ
から缶体を抜き取る際のパンチ抜け不良の発生原因にも
なり、材料歩留まりの低下、品質の低下をもたらす。 【0007】このようなことから、2ピース缶用鋼板に
対しては、製缶時の耳発生の小さい、すなわち面内異方
性の小さい鋼板が求められている。特に、板厚の薄いD
R材では耳が大きくなりやすいため、面内異方性が一段
と小さい2ピース缶用極薄鋼板が強く望まれるようにな
ってきている。 【0008】面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製
造方法として、従来いくつかの技術が提案されている。
例えば、特開平2−141535号公報および特開平2
−141536号公報には、C:0.010〜0.04
0%の低炭素鋼の熱延仕上温度をAr3 変態点未満とす
る技術、および鋼片加熱温度を1100℃未満とし、冷
間圧延、再結晶焼鈍後に8〜30%の再冷延を行う技術
が提案されており、また特開平3−36215号公報に
は、C:0.006〜0.02%の低炭素鋼にNを0.
002〜0.015%の範囲で積極的に添加し、一次冷
間圧延率、二次冷間圧延をそれぞれ80〜90%、20
〜50%とする技術が提案されている。さらに、特開平
5−311245号公報には低炭素アルミキルド鋼およ
び極低炭素鋼を2回圧延2回焼鈍する技術が提案されて
いる。 【0009】しかし、これらの技術を用いても、最近の
2ピース缶用鋼板に求められる耳発生抑制に対する厳し
い要求を満足させることは難しく、さらに改善を図る必
要がある。特に、特開平5−311245号公報の技術
では、従来技術に比較して面内異方性は低減するが、冷
間圧延、焼鈍をそれぞれ2回ずつ行う必要があり、鋼板
の製造コストが高くなるという問題点がある。 【0010】また、特開平4−337049号公報、特
開平5−247669号公報、特開平7−62486号
公報等には缶用鋼板にBを添加する技術が開示されてい
る。これらはいずれもミクロ組織をフェライトとマルテ
ンサイト、ベイナイトまたはパーライトとからなる二相
組織とすること要件とし、そのため、C含有量を高く
し、かつ焼鈍温度を二相域すなわちAc1 点以上の高温
にする必要がある。板厚0.20mm以下の極薄缶用の
鋼板の製造にあたっては、このような高温焼鈍はCAL
通板性を著しく劣化させ、生産性の低下、すなわち製造
コストの増加をもたらすという問題点を有している。ま
た、二相組織であるがゆえにフェライト単相組織に比
べ、根本的に加工性および加工性の均一性が劣る。 【0011】さらに、特公昭55−34851号公報、
特開平6−306534号公報にもBを添加する技術が
開示されているが、これらの技術は単に軟質化を目的と
してBを添加したにすぎず、面内異方性については何等
考慮されておらず、これらの技術を用いても面内異方性
を充分に小さくすることはできない。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、最近の要請を充分満たし
得る面内異方性の小さい2ピース缶用極薄鋼板を、生産
性を低下させずに経済的に製造する方法を提供すること
を目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、面内異方
性の小さい2ピース缶用極薄鋼板を製造する方法につい
て鋭意検討を重ねた結果、鋼板の組成を厳密に調整した
低炭素鋼にBを添加し、かつ製造条件、特にスラブ厚と
熱延仕上との比、二次冷間圧延の圧下率を最適化するこ
とにより、経済的かつ効率的に面内異方性を低減できる
ことを見出した。 【0014】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであって、C:0.015〜0.04wt%、S
i:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.6wt%、
P:0.02wt%以下、S:0.02wt%以下、s
ol.Al:0.02〜0.1wt%、N:0.002
5wt%以下、O:0.005wt%以下、B:(−
0.02C+0.0010)〜0.002wt%を含有
する鋼組成を有するスラブを、仕上温度がAr以上
で、かつスラブ厚と熱延仕上厚との比が125以上とな
るように熱間圧延し、酸洗後、83〜88%の圧下率で
冷間圧延した後、再結晶温度以上、750℃以下の温度
で連続焼鈍し、さらに圧下率R2(%)が、−60C−
6Mn+9≦R2≦10×log(B×10)+12
を満たす二次圧延を行い、板厚0.20mm以下とする
ことを特徴とする面内異方性の小さい2ピース缶用極薄
鋼板の製造方法を提供するものである。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。まず本発明を完成するに至った基本的な考え方
および実験結果について説明する。 【0016】本発明者らは、面内異方性に対するB添加
の効果について種々検討を行った。まず、熱間圧延条件
の影響に着目した。C:0.02〜0.03t%、N:
0.0020〜0.0025wt%、sol.Al:
0.04〜0.08wt%、O:0.0015〜0.0
025wt%とし、Bを、無添加、0.0008wt
%、0.0012wt%の3種類とした鋼に対して、ス
ラブ厚と熱延仕上厚との比を種々変化させ、冷圧率86
%で冷間圧延後、連続焼鈍し、圧下率12%の二次圧延
を行い板厚0.20mmに仕上げた後、イヤリング率を
評価した。ここで、イヤリング率は面内異方性のパラメ
ータとして用いた。イヤリング率は、絞り比1.8で深
絞り成形し、耳高さを測定し、耳の最大値と最小値との
差を耳の最小値で割った値を百分率で表した。その結果
を図1に示す。 【0017】B無添加鋼の場合、スラブ厚/熱延仕上厚
の値によるイヤリング率の変化はほとんどなく、その値
は大きい。一方、B添加鋼はB無添加鋼に比べてイヤリ
ング率は小さくなり、特にスラブ厚/熱延仕上厚の値が
125以上になると急激にイヤリング率が小さくなり、
B添加効果が顕著となることを見出した。 【0018】この理由については現在のところ必ずしも
明らかではないが、スラブ厚/熱延仕上厚の値を増大さ
せると熱延板の結晶粒が細粒化し、オーステナイト粒界
にBが偏析しやすくなり、変態後のフェライト粒界にも
Bが偏析すること、その結果、熱延板のフェライト粒の
細粒化と粒界偏析Bの相乗効果により、冷間圧延、焼鈍
後の集合組織が変化し、面内異方性が低減したものと考
えられる。 【0019】次に、B量およびC量の影響について検討
した。図2は、C,B量を種々変化させた鋼板を製造
し、イヤリング率を測定した結果を示した図である。ス
ラブ厚と熱延仕上厚との比を139とし、冷圧率は86
%、二次圧延圧下率は15%とし、板厚を0.195m
mとした。同図から明らかなように、B量およびC量は
多すぎても少なすぎても面内異方性が劣化する。C:
0.015〜0.04wt%、B:(−0.02C+
0.001)〜0.002wt%の場合にイヤリング率
4%以下となり、面内異方性が小さくなることがわか
る。これらの結果から、本発明では、C:0.015〜
0.04wt%、B:(−0.02C+0.0010)
〜0.002wt%としている。 【0020】さらに、C量、Mn量、B量と二次圧延圧
下率の影響について検討した。まず、C量、Mn量のこ
となる鋼板を種々の二次圧延圧下率で製造し、イヤリン
グ率とビッカース硬度Hvを測定した。その結果を図3
に示す。図3は、横軸に(10C+Mn)量をとり、縦
軸に二次圧延圧下率R2をとって、これらの関係を示す
図である。ここで、B量は0.0010〜0.0015
wt%であり、スラブ厚と熱延仕上厚との比は129〜
138、一次冷圧率は85〜88%、二次圧延圧下率は
3〜17%とし、板厚を0.19〜0.20mmに仕上
げた。 【0021】同図から明らかなように、10C+Mn=
0.25(C:0.015wt%、Mn:0.10wt
%)未満あるいは10C+Mn=1.0(C:0.04
wt%、Mn:0.60wt%)を超える場合には、イ
ヤリング率が4%を超えており、面内異方性が劣ってい
る。 【0022】一方、二次圧延圧下率R2(%)がR2=
−6(10C+Mn)+9=−60C−6Mn+9未満
の場合には、鋼板のビッカース硬度Hvが140未満で
あり、2ピース缶の缶体強度を確保するために必要な素
材強度が得られていない。これは、C、Mnが少ない場
合には、二次圧延による加工硬化により鋼板の強度を高
める必要があることを示している。 【0023】本発明ではこれらの結果に基づいて、缶体
強度を確保するために充分な素材強度を有し、かつ面内
異方性の小さい鋼板を製造するための条件としてC:
0.015〜0.04wt%、Mn:0.1〜0.6w
t%に規定するとともに、二次圧延圧下率R2(%)の
下限をC,Mnの関数としてR2=−60C−6Mn+
9と規定した。 【0024】図4は、Bを無添加、およびB:0.00
04、0.0008、0.0015wt%の4種類の鋼
板の二次圧延圧下率によるイヤリング率の変化を示す図
である。B無添加鋼は二次圧延圧下率が低い場合もイヤ
リング率が大きく、さらに圧下率の増加に伴いイヤリン
グ率が増大している。これに対し、B添加鋼はB無添加
鋼に比べイヤリング率は小さく、しかもB添加量により
若干異なるが二次圧延圧下率が20%程度までは圧下率
の増加に伴うイヤリング率の増大が小さく、4%以下と
なっている。しかし、Bを添加した場合でも、二次圧延
圧下率が大きくなり過ぎるとイヤリング率は増大する。 【0025】そこで、さらに詳細にB添加量および二次
圧延圧下率とイヤリング率との関係を調査した。C:
0.036wt%とし、B:0.0003〜0.002
3wt%と種々変化させた鋼板を、スラブ厚と熱延仕上
厚との比139〜147、一次冷圧率84〜88%、二
次圧延圧下率10〜28%の条件で製造し、板厚0.2
0mm以下に仕上げ、イヤリング率を測定した。その結
果を図5に示す。図5は、横軸にB含有量をとり、縦軸
に二次圧延圧下率R2をとって、これらの関係を示す図
である。この図に示すように、B含有量を増加させると
二次圧延圧下率を高くしてもイヤリング率は低く抑えら
れており、R2≦10×log(B×104 )+12と
することにより、イヤリング率を4%以下にすることが
できる。この理由は現在のところ必しも明らかではない
が、粒界に偏析したBが二次圧延による異方性の劣化を
抑制する作用を有するための推定される。しかし、B添
加量が少なすぎたり、多すぎる場合には、二次圧延圧下
率によらずイヤリング率4%を超えており、面内異方性
を充分低減させることはできない。これらの結果によ
り、本発明では、二次圧延圧下率R2(%)をR2≦1
0×log(B×104)+12としている。 【0026】次に、本発明の組成について説明する。本
発明の2ピース缶用鋼板は、C:0.015〜0.04
wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.
6wt%、P:0.02wt%以下、S:0.02wt
%以下、sol.Al:0.02〜0.1wt%、N:
0.0025wt%以下、O:0.005wt%以下、
B:(−0.02C+0.0010)〜0.002wt
%を含有する鋼組成を有する。 【0027】C:Cは面内異方性を制御するために極め
て重要な元素である。Cが0.015wt%未満の場合
には、熱延板組織が粗粒化しやすくなるため、Bを添加
してスラブ厚/熱延仕上げ厚、一次冷圧率、二次圧延圧
下率を制御しても、図2および図3に示したように面内
異方性を低減することが困難となる。また、Mnを添加
し二次圧延を行ったとしても、図3に示すように硬度H
vが140未満となり、異方性を劣化させずに2ピース
缶として必要な強度を得ることが困難となる。一方、C
含有量が0.04wt%を超えると、フェライト粒内の
固溶C量、粒界に偏析するCの量および炭化物の量が増
加するため、図2および図3に示したようにB添加効果
が充分発揮されず、面内異方性が劣化する。したがっ
て、C含有量を0.015〜0.04wt%の範囲とす
る。 【0028】Si:Siは、意図的に添加しない場合で
も不純物として鋼中に残留し、鋼板を脆化させ、耐食性
を劣化させる元素であり、またTFSの下地鋼板として
使用する場合には金属Crの電析に対しても悪影響を与
えるため、その含有量は少ないほど望ましい。本発明で
はこのような悪影響を回避する観点から、Si含有量を
0.1wt%以下とする。 【0029】Mn:Mnは鋼中SをMnSとして析出さ
せることによってスラブの熱間割れを防止するととも
に、固溶強化元素としてCによる強化を補い、2ピース
缶の缶体強度を確保するために必要な元素である。Sを
析出固定し、鋼板強度、硬度を確保するためには0.1
wt%以上の添加が必要であるが、0.6wt%を超え
ると集合組織形成に悪影響を与え面内異方性の増大をも
たらす。したがって、Mn含有量を0.1〜0.6wt
%の範囲とする。 【0030】P:PもMnと同様に置換型固溶元素であ
り、Mn以上に大きな強化能を有し鋼板の高強度化を図
るためには有効な元素であるが、同時にフェライト粒界
に偏析して粒界を脆化させる元素であり、その含有量は
極力少ないほうが好ましい。また、Pの積極的添加は集
合組織形成に悪影響を与え面内異方性の増大をもたら
す。そのためP含有量を0.02wt%以下とする。 【0031】S:Sはスラブの熱間割れを防止する観点
から極力少ないほうが望ましく、そのような観点から
0.02wt%以下とする。 sol.Al:sol.Alは鋼中NをAlNとして析
出させるために添加するが、その量が0.02wt%未
満の場合には、添加したBの多くがBNを形成し、B添
加による面内異方性低減効果が充分に発揮されなくな
る。一方、多量のAlを添加するとAl23 系介在物
が残留し、製缶時の介在物起因の割れが発生しやすくな
り加工性が劣化するが、実用上加工性の観点から許容さ
れる限界は0.10wt%である。したがって、so
l.Al含有量を0.02〜0.1wt%の範囲とす
る。 【0032】N:面内異方性に対するB添加の効果を充
分に発揮させるためにはNは極力少なくすることが望ま
しい。Nが多い場合には、Al、Bの添加量を適性化し
てもBNが形成されやすくなり、B添加効果が弱まり面
内異方性の増大をもたらすこととなる。そのような観点
からNを0.0025wt%以下に規制する。 【0033】O:鋼中にOが多量に存在すると、添加し
たBの一部が酸化物を形成しやすくなり、B添加による
面内異方性低減効果が充分に発揮されなくなる。また、
鋼中の酸化物系介在物は2ピース缶製缶時の割れ発生の
起点となり、加工性を著しく阻害する。したがってトー
タルO量は極力少なくすることが望ましい。本発明にお
いては、B添加効果を充分発揮させるとともに、加工性
の劣化を回避するために、鋼中のトータルO量を0.0
05wt%以下に規制する。 【0034】B:Bは本発明において最も重要な添加元
素である。適正量のBを添加することにより面内異方性
を効果的に低減することができる。Bはスラブ厚と熱延
仕上厚の比を制御することにより、熱延時のオーステナ
イト粒界に効果的に偏析し、熱延板のオーステナイト粒
さらには変態後のフェライト粒を細粒化させる。Bの一
部はBNを形成するが、その他のBは変態後の熱延板の
フェライト粒界にも偏析する。このような熱延板細粒化
および粒界偏析Bの相乗作用により、冷間圧延後の再結
晶時の集合組織形成に影響を及ぼし、面内異方性を低減
させる効果を発揮させるものと考えられる。さらに、粒
界に偏析したBは二次圧延による異方性の劣化を抑制す
る。このようなB添加効果を充分に発揮させるために
は、C量が少ない場合にはオーステナイト、フェライト
の粒径が大きくなりやすいため、C量が比較的多い場合
よりも多量のBを添加する必要がある。すなわち、図2
および図5に示したように、B≧−0.02C+0.0
01(wt%)の場合に、B添加の効果が充分に発揮さ
れ、面内異方性が低減される。一方、必要以上に多量に
Bを添加すると、粒界のみならずフェライト粒内にも固
溶Bが残存し、面内異方性を増大させる集合組織を形成
しやすくなる。図2および図5に示したようにB含有量
が0.002%を超えると面内異方性が逆に大きくな
る。したがって、B含有量を(−0.02C+0.00
10)〜0.002wt%とする。 【0035】次に、本発明の製造条件について説明す
る。本発明では、上記組成を有する鋼を転炉溶製後、連
続鋳造によりスラブとし、粗圧延を経て、あるいは粗圧
延を省略して直接熱間仕上圧延機に挿入して熱間圧延を
行い、酸洗後、冷間圧延を行い、その後連続焼鈍炉にて
連続焼鈍を行い、さらに二次圧延を行って板厚0.20
mm以下とする。 【0036】熱間圧延は、仕上温度がAr3 以上で、か
つスラブ厚と熱延仕上厚との比が125以上となるよう
に行われる。スラブ厚と熱延仕上厚との比を125以上
としたのは、図1に示したようにB添加による面内異方
性低減効果を充分に発揮させるためである。両者の比が
125以上であれば、スラブ厚、熱延仕上厚は、それぞ
れ最終製品板厚および最適一次冷圧率、二次圧延圧下率
に応じて適宜選定すればよい。 【0037】熱延仕上温度をAr3 以上としたのは、A
3 変態点未満で仕上げると、熱延板に集合組織が形成
されるとともに、結晶粒が粗大化し、冷間圧延、焼鈍後
の面内異方性が劣化するためである。 【0038】スラブ加熱温度、巻取温度は特に限定する
必要はなく、通常行われる範囲で行うことができ、例え
ばスラブ加熱温度1100〜1250℃、巻取温度50
0〜700℃程度とすることができる。 【0039】このように熱間圧延した後の冷間圧延は8
3〜88%の圧下率で行う。この一次冷圧率は、後述す
る二次圧延圧下率とともに面内異方性を制御するために
重要な条件であり、安定して面内異方性を小さくするた
めには冷圧率を83〜88%とする必要がある。83%
未満あるいは88%を超える場合には、二次圧延圧下率
を制御したとしても安定して面内異方性を小さくするこ
とが困難となる。 【0040】その後の連続焼鈍は、再結晶温度以上75
0℃以下の温度で行う。再結晶温度未満では未再結晶組
織が残り面内異方性が劣化する。逆に750℃を超える
と、本発明のように最終製品の板厚が0.20mm以下
の鋼板では一次冷延後のCAL通板時の板厚も小さいた
めにCAL通板性が著しく劣化し、板破断、形状不良等
のトラブルが発生しやすくなり、生産性が低下する。ま
た、均熱中にオーステナイト相が生成し、冷却過程で硬
質な低温変態相が生成しやすくなる。このような硬質な
第2相とフェライト母相との界面は製缶時の割れの起点
となりやすく、加工性を劣化させる。 【0041】その後の過時効処理は実施してもしなくと
もよい。過時効処理を実施した場合と実施しない場合と
で本発明の効果は変わらない。過時効処理を実施する場
合は、連続焼鈍炉内のインラインOA、連続焼鈍後の箱
焼鈍によるバッチOAのいずれの方法を用いてもよい。 【0042】連続焼鈍後、さらに二次圧延を行い、0.
20mm以下の所定の板厚に仕上げるが、その際の圧下
率R2(%)を−60C−6Mn+9≦R2≦10×l
og(B×104 )+12とする。R2が−60C−6
Mn+9未満の場合には、鋼板のビッカース硬度Hvが
140未満となり、2ピース缶の缶体強度を確保するた
めに必要な素材強度が得られない。一方、図4および図
5に示すように、R2を10×log(B×104 )+
12以下の場合にイヤリング率を4%以下とすることが
できる。 【0043】このようにして最終板厚に仕上げられた鋼
板は、その後、錫めっき、極薄錫めっき、錫−ニッケル
めっき、ニッケルめっき、クロムめっき等の各種表面処
理が施される。特に、このような表面処理鋼板をDI缶
用に用いる場合には、ノーリフローの錫めっき鋼板が望
ましく、また、DTR缶用のフィルムラミネート鋼板、
プレコート鋼板の下地鋼板として用いる場合には、電解
クロム酸処理鋼板すなわちTFSが加工密着性の観点か
ら最も望ましい。これらの表面処理鋼板は、鋼板単独で
使用することもできるし、ポリエステル等の樹脂フィル
ムをラミネートしたフィルムラミネート鋼板、エポキシ
等の塗料をコーティングしたプレコート鋼板としても使
用可能である。 【0044】 【実施例】 (実施例1)表1、表2に示す組成の鋼を転炉溶製後、
連続鋳造によりスラブとし、このスラブに対して熱間圧
延を行い、酸洗後、冷間圧延を行い、その後連続焼鈍炉
にて連続焼鈍を行い、さらに二次圧延を行って所定板厚
の鋼板とした。なお、その際のスラブ厚と熱延仕上厚と
の比、−60C−6Mn+9の値、10×log(B×
104 )+12の値、二次圧延圧下率、板厚を表3に示
す。また、スラブ加熱温度を1230℃、仕上温度を8
70℃、巻取温度620℃、一次冷圧率83〜88%、
焼鈍温度650℃とした。 【0045】このようにして製造した鋼板について、イ
ヤリング率を測定した。イヤリング率は、絞り比1.8
で深絞り後に耳高さを測定し、耳の最大値と最小値をの
差を耳の最小値で割った百分率で表し、これにより面内
異方性を評価した。その結果を表3に併記する。 【0046】 【表1】 【0047】 【表2】 【0048】 【表3】【0049】表3に示すように、本発明例の鋼板はいず
れもイヤリング率が4%以下と小さく、面内異方性が小
さいことが確認された。これに対して、本発明の範囲外
の比較例は本発明例に比較してイヤリング率が大きく、
面内異方性が大きいことが確認された。 【0050】(実施例2)上記表1、表2のうち鋼番
5、10、14、21、31の5種類について転炉溶製
後、連続鋳造によりスラブとし、このスラブに対して熱
間圧延を行い、酸洗後、冷間圧延を行い、その後連続焼
鈍炉にて連続焼鈍を行い、さらに二次圧延を行って所定
板厚の鋼板とした。なお、その際のスラブ厚と熱延仕上
厚との比、−60C−6Mn+9の値、10×log
(B×104 )+12の値、一次冷圧率、焼鈍温度、二
次圧延圧下率、板厚を表4に示す。また、スラブ加熱温
度を1150℃、仕上温度を870℃、巻取温度660
℃とした。 【0051】このようにして製造した鋼板について、イ
ヤリング率を測定し、これにより面内異方性を評価し
た。また、ビッカース硬度を測定した。硬度がH≧14
0であれば缶体強度を確保できることから、Hv<14
0は×とし、Hv≧140は○とした。その結果を表4
に併記する。 【0052】 【表4】【0053】表4に示すように、本発明例の鋼板はいず
れも比較例の鋼板よりもイヤリング率が小さく、面内異
方性が小さいことが確認された。また、本発明例では鋼
板硬度がHv≧140であり、充分に缶体強度を確保す
ることができることが確認された。 【0054】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
面内異方性が小さく、耳発生による歩留まり低下が小さ
いDRD缶、DI缶、DTR缶のような2ピース缶用極
薄鋼板を、生産性を低下させずに製造することができ
る。したがって2ピース缶の製造コストを低減すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】 【図1】スラブ厚/熱延仕上厚によるイヤリング率の変
化を示す図。 【図2】CおよびB含有量とイヤリング率との関係を示
す図。 【図3】(10C+Mn)量および二次圧延圧下率とイ
ヤリング率およびビッカース硬度Hvとの関係を示す
図。 【図4】B含有量による二次圧延圧下率に対するイヤリ
ング率の変化を示す図。 【図5】B含有量、二次圧延圧下率とイヤリング率との
関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粟屋 敬 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−15327(JP,A) 特開 平9−241756(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/48 C21D 8/04 C22C 38/00 301 C22C 38/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 C:0.015〜0.04wt%、S
    i:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.6wt%、
    P:0.02wt%以下、S:0.02wt%以下、s
    ol.Al:0.02〜0.1wt%、N:0.002
    5wt%以下、O:0.005wt%以下、B:(−
    0.02C+0.0010)〜0.002wt%を含有
    する鋼組成を有するスラブを、仕上温度がAr以上
    で、かつスラブ厚と熱延仕上厚との比が125以上とな
    るように熱間圧延し、酸洗後、83〜88%の圧下率で
    冷間圧延した後、再結晶温度以上、750℃以下の温度
    で連続焼鈍し、さらに圧下率R2(%)が、−60C−
    6Mn+9≦R2≦10×log(B×10)+12
    を満たす二次圧延を行い、板厚0.20mm以下とする
    ことを特徴とする面内異方性の小さい2ピース缶用極薄
    鋼板の製造方法。
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