JP3257390B2 - 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP3257390B2
JP3257390B2 JP05786496A JP5786496A JP3257390B2 JP 3257390 B2 JP3257390 B2 JP 3257390B2 JP 05786496 A JP05786496 A JP 05786496A JP 5786496 A JP5786496 A JP 5786496A JP 3257390 B2 JP3257390 B2 JP 3257390B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plane anisotropy
less
thickness
steel
hot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05786496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09249938A (ja
Inventor
克己 谷川
佳弘 細谷
克己 小島
敬 粟屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
JFE Engineering Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Engineering Corp filed Critical JFE Engineering Corp
Priority to JP05786496A priority Critical patent/JP3257390B2/ja
Publication of JPH09249938A publication Critical patent/JPH09249938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3257390B2 publication Critical patent/JP3257390B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面内異方性の小さ
い2ピース缶用鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板表面に錫めっきを施した錫めっき鋼
板あるいは電解クロム酸処理を施したティンフリースチ
ール(TFS)のような缶用鋼板は食缶や飲料缶に多用
されている。これらの食缶や飲料缶は、その製缶方法の
違いから3ピース缶と2ピース缶に分類される。
【0003】近年、飲料缶等を中心として、缶体軽量
化、製缶時の工程省略、素材および製造コストの低減の
観点から、3ピース缶から2ピース缶への移行、および
缶体の薄肉化が進められている。
【0004】食缶、飲料缶用の2ピース缶には、絞り−
再絞り加工により製缶されるDRD缶(Drawn and redr
awn can )、缶胴部の薄肉化を伴う多段の絞り加工によ
り製缶されるDTR缶(Drawn-thin-redrawn can)、お
よび絞り加工後にしごき加工が施されるDI缶(Drawn
and wall ironed can )等があるが、いずれの場合も、
その製缶時に、円盤状のブランク板から絞り加工により
カップ状の缶体を成形する、あるいはカップ状の缶体か
ら再絞り加工により、さらに径が小さく深さの深いカッ
プ状の缶体を成形する工程を含んでいる。
【0005】このような2ピース缶の製缶の際の絞り加
工時に、鋼板の加工性の面内異方性に起因して、しばし
ば缶端部の高さ、あるいはフランジ部の幅が円周方向に
沿って不均一となる、いわゆる「耳」が発生する。この
耳は缶端部のネッキング加工前にトリムし除去される
が、耳が大きい場合にはトリム代が大きくなり、材料歩
留まりを低下させる。
【0006】さらに、耳は円周方向に沿った板厚分布の
変動をもたらし、後工程のネッキング加工の再のネック
しわ発生の要因となるのみならず、DI加工時にパンチ
から缶体を抜き取る際のパンチ抜け不良の発生原因にも
なり、材料歩留まりの低下、品質の低下をもたらす。
【0007】このようなことから、2ピース缶用鋼板に
対しては、製缶時の耳発生の小さい、すなわち面内異方
性の小さい鋼板が求められている。特に、DI缶、DT
R缶用鋼板に対しては、近年の缶体軽量化、製造コスト
低減の観点から、薄ゲージで、しかも材料歩留まりの向
上が可能な面内異方性が一段と小さい鋼板が強く望まれ
るようになってきている。
【0008】面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製
造方法として、従来いくつかの技術が提案されている。
例えば、特開平2−141535号公報には、C:0.
010〜0.040%の低炭素鋼の熱延仕上温度をAr
3 変態点未満とする技術が提案されており、また特開平
5−311245号公報には低炭素アルミキルド鋼およ
び極低炭素鋼を2回圧延2回焼鈍する技術が提案されて
いる。
【0009】しかし、これらの技術を用いても、最近の
2ピース缶用鋼板に求められる耳発生抑制に対する厳し
い要求を満足させることは難しく、さらに改善を図る必
要がある。特に、後者の技術では、従来技術に比較して
面内異方性は低減するが、冷間圧延、焼鈍をそれぞれ2
回ずつ行う必要があり、鋼板の製造コストが高くなると
いう問題点がある。
【0010】また、特開平4−337049号公報、特
開平5−247669号公報、特開平7−62486号
公報等には缶用鋼板にBを添加する技術が開示されてい
る。これらはいずれもミクロ組織をフェライトとマルテ
ンサイト、ベイナイトまたはパーライトとからなる二相
組織とすること要件とし、そのため、C含有量を高く
し、かつ焼鈍温度を二相域すなわちAc1 点以上の高温
にする必要がある。板厚0.23mm以下の極薄缶用の
鋼板の製造にあたっては、このような高温焼鈍はCAL
通板性を著しく劣化させ、生産性の低下、すなわち製造
コストの増加をもたらすという問題点を有している。ま
た、二相組織であるがゆえにフェライト単相組織に比
べ、根本的に加工性および加工性の均一性が劣る。
【0011】さらに、特公昭55−34851号公報、
特開平6−306534号公報にもBを添加する技術が
開示されているが、これらの技術は単に軟質化を目的と
してBを添加したにすぎず、面内異方性については何等
考慮されておらず、これらの技術を用いても面内異方性
を充分に小さくすることはできない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、最近の要請を充分満たし
得る面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板を、生産性を
低下させずに製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、面内異方
性の小さい2ピース缶用鋼板を製造する方法について鋭
意検討を重ねた結果、鋼板の組成を厳密に調整した低炭
素鋼にBを添加し、かつ製造条件を最適化することによ
り、経済的かつ効率的に面内異方性を低減できることを
見出した。
【0014】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであって、C:0.015〜0.06wt%、S
i:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.6wt%、
P:0.02wt%以下、S:0.02wt%以下、s
ol.Al:0.02〜0.1wt%、N:0.003
5wt%、O:0.005wt%以下、B:0.000
2〜0.002wt%を含有し、B≧−0.02C+
0.0010を満足する鋼組成を有するスラブを、仕上
温度がAr3 以上で、かつスラブ厚と熱延仕上厚との比
が120以上となるように熱間圧延し、酸洗後、85〜
90%の圧下率で冷間圧延した後、再結晶温度以上、7
50℃以下の温度で連続焼鈍し、さらに伸長率0.5%
以上3%未満の調質圧延を行い、板厚0.23mm以下
とすることを特徴とする面内異方性の小さい2ピース缶
用鋼板の製造方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。まず本発明を完成するに至った基本的な考え方
および実験結果について説明する。
【0016】本発明者らは、面内異方性に対するB添加
の効果について種々検討を行った。まず、熱間圧延条件
の影響に着目した。C:0.02〜0.04wt%、
N:0.0020〜0.0025wt%、sol.A
l:0.04〜0.08wt%、O:0.0015〜
0.0040wt%とし、Bを、無添加、0.0008
wt%、0.0012wt%の3種類とした鋼に対し
て、スラブ厚と熱延仕上厚との比を種々変化させ、冷圧
率87%で冷間圧延後、連続焼鈍、調質圧延し、イヤリ
ング率を評価した。ここで、イヤリング率は面内異方性
のパラメータとして用いた。イヤリング率は、絞り比
1.8で深絞り成形し、耳高さを測定し、耳の最大値と
最小値との差を耳の最小値で割った値を百分率で表し
た。その結果を図1に示す。
【0017】B無添加鋼の場合、スラブ厚/熱延仕上厚
の値の増加により、わずかにイヤリング率が低下するが
その変化は小さい。一方、B添加鋼はB無添加鋼に比べ
てイヤリング率は小さくなり、特にスラブ厚/熱延仕上
厚の値が120以上になると急激にイヤリング率が小さ
くなり、B添加効果が顕著となることを見出した。
【0018】この理由については現在のところ必ずしも
明らかではないが、スラブ厚/熱延仕上厚の値を増大さ
せると熱延板の結晶粒が細粒化し、オーステナイト粒界
にBが偏析しやすくなり、変態後のフェライト粒界にも
Bが偏析すること、その結果、熱延板のフェライト粒の
細粒化と粒界偏析Bの相乗効果により、冷間圧延、焼鈍
後の集合組織が変化し、面内異方性が低減したものと考
えられる。
【0019】次に、冷間圧延条件、特に冷圧率に着目
し、B添加の効果について検討した。C:0.02〜
0.04wt%、N:0.0020〜0.0025wt
%、sol.Al:0.04〜0.08wt%、O:
0.0015〜0.0040wt%とし、Bを無添加、
およびB:0.0006〜0.0015wt%の範囲で
添加した鋼に対し、スラブ厚と熱延仕上厚との比を12
5として熱間圧延し、種々の冷圧率で冷間圧延後、連続
焼鈍、調質圧延し、イヤリング率を測定した。その結果
を図2に示す。
【0020】B無添加鋼では、冷圧率87%程度でイヤ
リング率が最小となるが、冷圧率依存性が強く、またバ
ラツキも大きい。これに対し、B添加鋼は冷圧率によら
ずB無添加鋼に比べイヤリング率が小さい。特に、冷圧
率85〜90%の範囲では安定してイヤリング率は小さ
く、またバラツキも小さい。
【0021】図3は、C,B量を種々変化させた鋼板を
溶製し、イヤリング率を測定した結果を示した図であ
る。スラブ厚と熱延仕上厚との比を122とし、冷圧率
は86.5%とした。同図から明らかなように、C:
0.015〜0.06wt%、B:0.0002〜0.
0020wt%でかつB≧−0.02C+0.0010
(%)の場合にイヤリング率3%以下となり、面内異方
性が小さくなることがわかる。
【0022】次に、本発明の組成について説明する。本
発明の2ピース缶用鋼板は、C:0.015〜0.06
wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.
6wt%、P:0.02wt%以下、S:0.02wt
%以下、sol.Al:0.02〜0.1wt%、N:
0.0035wt%、O:0.005wt%以下、B:
0.0002〜0.002wt%を含有し、B≧−0.
02C+0.0010を満足する。
【0023】C:Cは面内異方性を制御するために極め
て重要な元素である。Cが0.015wt%未満の場合
には、熱延板組織が粗粒化しやすくなるため、Bを添加
してスラブ厚/熱延仕上げ厚、冷圧率を制御しても、図
3に示したように面内異方性を低減することが困難とな
る。また、Mnを添加したとしても2ピース缶として必
要な強度を得ることが困難となる。一方、C含有量が
0.06wt%を超えると、フェライト粒内の固溶C
量、粒界に偏析するCの量および炭化物の量が増加する
ため、深絞り性が劣化するとともに、図3に示したよう
にB添加による効果が充分に発揮されず、面内異方性も
劣化する。したがって、C含有量を0.015〜0.0
6wt%の範囲とする。
【0024】Si:Siは、意図的に添加しない場合で
も不純物として鋼中に残留し、鋼板を脆化させ、耐食性
を劣化させる元素である。またTFSの下地鋼板として
使用する場合には金属Crの電析に対しても悪影響を与
えるため、その含有量は少ないほど望ましい。本発明で
はこのような悪影響を回避する観点から、Si含有量を
0.1wt%以下とする。
【0025】Mn:Mnは鋼中SをMnSとして析出さ
せることによってスラブの熱間割れを防止するととも
に、固溶強化元素としてCによる強化を補う役割を果た
す。Sを析出固定するためには0.1wt%以上の添加
が必要であるが、0.6wt%を超えると集合組織形成
に悪影響を与え面内異方性の増大をもたらす。したがっ
て、Mn含有量を0.1〜0.6wt%の範囲とする。
【0026】P:PもMnと同様に置換型固溶元素であ
り、Mn以上に大きな強化能を有し鋼板の高強度化を図
るためには有効な元素であるが、同時にフェライト粒界
に偏析して粒界を脆化させる元素であり、その含有量は
極力少ないほうが好ましい。また、Pの積極的添加は集
合組織形成に悪影響を与え面内異方性の増大をもたら
す。そのためP含有量を0.02wt%以下とする。
【0027】S:Sはスラブの熱間割れを防止する観点
から極力少ないほうが望ましく、そのような観点から
0.02wt%以下とする。 sol.Al:sol.Alは鋼中NをAlNとして析
出させるために添加するが、その量が0.02wt%未
満の場合には、添加したBの多くがBNを形成し、B添
加による面内異方性低減効果が充分に発揮されなくな
る。一方、多量のAlを添加するとAl23 系介在物
が残留し、製缶時の介在物起因の割れが発生しやすくな
り加工性が劣化するが、実用上、加工性の観点から許容
される限界は0.10wt%である。したがって、so
l.Al含有量を0.02〜0.1wt%の範囲とす
る。
【0028】N:Nが多い場合には、Al、Bを添加し
たとしても固溶Nが残留しやすくなり、集合組織が変化
し、面内異方性の増大をもたらすこととなるため、Nは
極力少なくすることが望ましい。そのような観点からN
を0.0035wt%以下に規制する。
【0029】O:鋼中にOが多量に存在すると、添加し
たBの一部が酸化物を形成しやすくなり、B添加による
面内異方性低減効果が充分に発揮されなくなる。また、
鋼中の酸化物系介在物は2ピース缶製缶時の割れ発生の
起点となり、加工性を著しく阻害する。したがってトー
タルO量は極力少なくすることが望ましい。本発明にお
いては、B添加効果を充分発揮させるとともに、加工性
の劣化を回避するために、鋼中のトータルO量を0.0
05wt%以下に規制する。
【0030】B:Bは本発明において最も重要な添加元
素である。Bはスラブ厚と熱延仕上厚の比を制御するこ
とにより、熱延時のオーステナイト粒界に効果的に偏析
し、熱延板のオーステナイト粒さらには変態後のフェラ
イト粒を細粒化させる。Bの一部はBNを形成するが、
その他のBは変態後の熱延板のフェライト粒界にも偏析
している。このような熱延板細粒化および粒界偏析Bの
相乗作用により、冷間圧延後の再結晶時の集合組織形成
に影響を及ぼし、面内異方性を低減させる効果を発揮さ
せるものと考えられる。このようなB添加効果を充分に
発揮させるためには、C量が少ない場合にはオーステナ
イト、フェライトの粒径が大きくなりやすいため、C量
が比較的多い場合に比べて多量の添加を必要とする。図
3に示したように、B≧0.0002wt%でかつB≧
−0.02C+0.0010(wt%)の場合に面内異
方性が低減される。一方、必要以上に多量にBを添加す
ると、粒界のみならずフェライト粒内にも固溶Bが残存
し、面内異方性を増大させる集合組織を形成しやすくな
る。図3に示したようにB含有量が0.002%を超え
ると面内異方性が逆に大きくなる。したがって、B含有
量を0.0002〜0.002wt%とするとともに、
B≧−0.02C+0.0010を満足する量とする。
【0031】次に、本発明の製造条件について説明す
る。本発明では、上記組成を有する鋼を転炉溶製後、連
続鋳造によりスラブとし、粗圧延を経て、あるいは粗圧
延を省略して直接熱間仕上圧延機に挿入して熱間圧延を
行い、酸洗後、冷間圧延を行い、その後連続焼鈍炉にて
連続焼鈍を行い、さらに調質圧延を行って板厚0.23
mm以下とする。
【0032】熱間圧延は、仕上温度がAr3 以上で、か
つスラブ厚と熱延仕上厚との比が120以上となるよう
に行われる。スラブ厚と熱延仕上厚との比を120以上
としたのは、図1に示したようにB添加による面内異方
性低減効果を充分に発揮させるためである。両者の比が
120以上であれば、スラブ厚、熱延仕上厚は、それぞ
れ最終製品板厚および最適冷圧率に応じて適宜選定すれ
ばよい。
【0033】熱延仕上温度をAr3 以上としたのは、A
3 変態点未満で仕上げると、熱延板に集合組織が形成
されるとともに、結晶粒が粗大化し、冷間圧延、焼鈍後
の面内異方性が劣化するためである。
【0034】スラブ加熱温度、巻取温度は特に限定する
必要はなく、通常行われる範囲で行うことができ、例え
ばスラブ加熱温度1100〜1250℃、巻取温度50
0〜700℃程度とすることができる。
【0035】このように熱間圧延した後の冷間圧延は8
5〜90%の圧下率で行う。冷圧率は面内異方性を制御
するために重要な条件であり、図2に示したように、安
定して面内異方性を小さくするためには冷圧率を85〜
90%とする必要がある。
【0036】その後の再結晶焼鈍は、再結晶温度以上7
50℃以下の温度で行う。再結晶温度未満では未再結晶
組織が残り面内異方性が劣化する。逆に750℃を超え
ると、本発明のように最終製品の板厚が0.23mm以
下の鋼板では一次冷延後のCAL通板時の板厚も小さい
ためにCAL通板性が著しく劣化し、板破断、形状不良
等のトラブルが発生しやすくなり、生産性が低下する。
また、均熱中にオーステナイト相が生成し、冷却過程で
硬質な低温変態相が生成しやすくなる。このような硬質
な第2相とフェライト母相との界面は製缶時の割れの起
点となりやすく、加工性を劣化させる。
【0037】その後の過時効処理は実施してもしなくと
もよい。過時効処理を実施した場合と実施しない場合と
で本発明の効果は変わらない。過時効処理を実施する場
合は、連続焼鈍炉内のインラインOA、連続焼鈍後の箱
焼鈍によるバッチOAのいずれの方法を用いてもよい。
【0038】連続焼鈍後、調質圧延により鋼板を所定の
板厚に仕上げるが、その際の伸長率は0.5%以上3%
未満とする。これは伸長率が0.5%未満および3%以
上の場合には形状制御が困難であるためである。
【0039】このようにして最終板厚に仕上げられた鋼
板は、その後、錫めっき、極薄錫めっき、錫−ニッケル
めっき、ニッケルめっき、クロムめっき等の各種表面処
理が施される。特に、このような表面処理鋼板をDI缶
用に用いる場合には、ノーリフローの錫めっき鋼板が望
ましく、また、DTR缶用のフィルムラミネート鋼板、
プレコート鋼板の下地鋼板として用いる場合には、電解
クロム酸処理鋼板すなわちTFSが加工密着性の観点か
ら最も望ましい。これらの表面処理鋼板は、鋼板単独で
使用することもできるし、ポリエステル等の樹脂フィル
ムをラミネートしたフィルムラミネート鋼板、エポキシ
等の塗料をコーティングしたプレコート鋼板としても使
用可能である。
【0040】
【実施例】 (実施例1)表1、表2に示す組成の鋼を転炉溶製後、
連続鋳造によりスラブとし、このスラブに対して熱間圧
延を行い、酸洗後、冷間圧延を行い、その後連続焼鈍炉
にて連続焼鈍を行い、さらに調質圧延を行って所定板厚
の鋼板とした。なお、その際のスラブ厚と熱延仕上厚と
の比、冷間圧延率、板厚を表3に示す。また、スラブ加
熱温度を1230℃、仕上温度を870℃、巻取温度6
20℃、焼鈍温度650℃とし過時効処理を行わなかっ
た。また、調質圧延の伸長率は1.5%とした。
【0041】このようにして製造した鋼板について、イ
ヤリング率を測定した。イヤリング率は、絞り比1.8
で深絞り後に耳高さを測定し、耳の最大値と最小値をの
差を耳の最小値で割った百分率で表し、これにより面内
異方性を評価した。その結果を表3に併記する。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】表3に示すように、本発明例の鋼板はいず
れもイヤリング率が小さく、面内異方性が小さいことが
確認された。これに対して、本発明の範囲外の比較例は
本発明例に比較してイヤリング率が大きく、面内異方性
が大きいことが確認された。
【0046】(実施例2)上記表1、表2のうち鋼番
5、10、14、17、21、25、27、34の8種
類について転炉溶製後、連続鋳造によりスラブとし、こ
のスラブに対して熱間圧延を行い、酸洗後、冷間圧延を
行い、その後連続焼鈍炉にて連続焼鈍を行い、さらに調
質圧延を行って所定板厚の鋼板とした。なお、その際の
スラブ厚と熱延仕上厚との比、冷間圧延率、板厚を表3
に示す。また、スラブ加熱温度を1150℃、仕上温度
を870℃、巻取温度640℃、焼鈍温度700℃と
し、連続焼鈍インラインで400℃の過時効処理を行な
った。また、調質圧延の伸長率は1.0%とした。この
ようにして製造した鋼板について、イヤリング率を測定
し、これにより面内異方性を評価した。その結果を表4
に併記する。
【0047】
【表4】 表4に示すように、本発明例の鋼板はいずれも比較例の
鋼板よりもイヤリング率が小さく、面内異方性が小さい
ことが確認された。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
面内異方性が小さく、耳発生による歩留まり低下が小さ
いDRD缶、DI缶、DTR缶のような2ピース缶用鋼
板を、生産性を低下させずに製造することができる。し
たがって2ピース缶の製造コストを低減することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラブ厚/熱延仕上厚によるイヤリング率の変
化を示す図。
【図2】冷圧率によるイヤリング率の変化を示す図。
【図3】CおよびB含有量とイヤリング率との関係を示
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粟屋 敬 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−15327(JP,A) 特開 昭53−48913(JP,A) 特開 昭57−57835(JP,A) 特開 昭58−221263(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.015〜0.06wt%、S
    i:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.6wt%、
    P:0.02wt%以下、S:0.02wt%以下、s
    ol.Al:0.02〜0.1wt%、N:0.003
    5wt%、O:0.005wt%以下、B:0.000
    2〜0.002wt%を含有し、B≧−0.02C+
    0.0010を満足する鋼組成を有するスラブを、仕上
    温度がAr3 以上で、かつスラブ厚と熱延仕上厚との比
    が120以上となるように熱間圧延し、酸洗後、85〜
    90%の圧下率で冷間圧延した後、再結晶温度以上、7
    50℃以下の温度で連続焼鈍し、さらに伸長率0.5%
    以上3%未満の調質圧延を行い、板厚0.23mm以下
    とすることを特徴とする面内異方性の小さい2ピース缶
    用鋼板の製造方法。
JP05786496A 1996-03-14 1996-03-14 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3257390B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05786496A JP3257390B2 (ja) 1996-03-14 1996-03-14 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05786496A JP3257390B2 (ja) 1996-03-14 1996-03-14 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09249938A JPH09249938A (ja) 1997-09-22
JP3257390B2 true JP3257390B2 (ja) 2002-02-18

Family

ID=13067868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05786496A Expired - Fee Related JP3257390B2 (ja) 1996-03-14 1996-03-14 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3257390B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4630268B2 (ja) * 2006-12-28 2011-02-09 新日本製鐵株式会社 異型缶用鋼板
KR102262364B1 (ko) * 2017-03-27 2021-06-07 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 2피스 캔용 강판 및 그의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09249938A (ja) 1997-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5162924B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JP3931455B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JPH08325670A (ja) 製缶時の深絞り性及びフランジ加工性と、製缶後の表面性状とに優れ、十分な缶強度を有する製缶用鋼板及びその製造方法
WO2005103316A1 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
KR100605835B1 (ko) 캔용 강철 스트립 및 그의 제조 방법
JPH09310150A (ja) 加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板ならびにその製造方法
JP4193228B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JP3826442B2 (ja) 加工性が良好でかつ肌荒れのない製缶用鋼板の製造方 法
JP2000054070A (ja) 耐肌荒れ性および耐時効性に優れる缶用鋼板およびその製造方法
JP3257390B2 (ja) 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法
JP3108330B2 (ja) 高強度缶用鋼板の製造方法
JPH11209845A (ja) 加工性と耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板ならびにその製造方法
JP3707260B2 (ja) 面内異方性および面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用極薄鋼板の製造方法
JP3682683B2 (ja) 面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用鋼板の製造方法
JP3379375B2 (ja) フランジ加工性の優れた溶接缶用極薄鋼板、溶接缶、および溶接缶用極薄鋼板の製造方法
JP4045602B2 (ja) 絞り成形性に優れる缶用鋼板の製造方法
JP3407531B2 (ja) 面内異方性の小さい2ピース缶用極薄鋼板の製造方法
JP3735142B2 (ja) 成形性に優れた熱延鋼板の製造方法
JPH11222647A (ja) 耐時効性に優れかつ耳発生率の小さい表面処理鋼板用原板およびその製造方法
JP2980486B2 (ja) 非時効低イヤリング容器用鋼板の製造方法
JP3273383B2 (ja) 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法
JP3675190B2 (ja) 面内異方性および面内異方性のコイル内均一性に優れた2ピース缶用極薄鋼板の製造方法
JPH08283863A (ja) 材質均一性に優れた硬質缶用鋼板の製造方法
JPS6267119A (ja) フランジ加工性の良好な焼付硬化性を有するdi缶用鋼板の製造方法
JP3917749B2 (ja) 高加工性極薄軟質容器用鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071207

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081207

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081207

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091207

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091207

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101207

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101207

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111207

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121207

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131207

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees