JP3680824B2 - 分散安定化されたインクジェット記録体用塗液及びそれを用いたインクジェット記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は分散安定化されたインクジェット記録体用塗液に関し、特に、光沢性、インク吸収性、印字濃度、耐水性等に優れた分散安定化されたインクジェット記録体を製造するための塗液及びそれを用いて得られたインクジェット記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、ノズルから高速で射出したインク液滴を、被記録材に付着させて記録する方式であり、フルカラー化が容易なことや印字騒音が低い等の特徴を有する。この方式では、使用されるインクは多量の溶媒を含んでいるので、高い記録濃度を得るためには、大量のインクを用いる必要がある。また、インク液滴は連続的に射出されるので、最初の液滴が吸収されないうちに次の液滴が射出され、インク液滴が融合してインクのドットが接合するという不都合が生じやすい。従って、このインクジェット記録方式で使用される記録体としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速くて印字ドットが重なった場合においてもインクの滲みがないこと等が要求される。最近、インクジェットプリンターの急速な普及に対応して、印刷分野では、各種出版物や包装等の用途で、高光沢のある写真並の印刷物が求められている。特に、カラー記録の場合は、ドットの形状(真円状)、ドットのシャープさ、インクの吸収、定着速度、インク吸収容量等のインク受理性の点からフィルムや塗工紙タイプのニーズが高い。
【0003】
一般のインクジェット用インクは水溶性であるため、印字後の耐湿・耐水性が劣る欠点を有する。耐湿・耐水性を改良する目的で、紙や記録層中にカチオン樹脂を配合するのが一般的である。例えば、特公平2−035673号公報等に開示されたようにインクジェット記録用紙に顔料やカチオン樹脂を内填させ、インク中のアニオン性染料を定着させることによって印字後の耐湿・耐水性を改良する報告がある。さらに、インクジェット記録紙の印字画質(ドットのシャープさをコントロール等)、印字濃度を高めるために、シリカ、アルミナなどの顔料を含有する塗工層を設ける塗工紙が挙げられる(例えば:特願平7−260198号公報等)。しかし、これらの塗工紙は一般的にミクロンオーダーの顔料とカチオン樹脂及び接着剤(バインダー)を主成分として構成され、顔料の存在によってインクが吸収され、吸収されたインク中の染料はカチオン樹脂によって定着されるが、使用される顔料の粒径が大きく、透明性が必ずしも充分ではなく、表面がざらつきやすく、高光沢、高印字濃度のインクジェット記録体を得ることが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光沢、印字濃度を改良する目的で、本発明者らは機械的分散法でミクロンオーダーのシリカなどの微粒子を粉砕、500nm以下のコロイド状粒子を作成し(特願平8−102494号公報等)、それを用いることによって高光沢、高印字濃度のインクジェット記録体を得ることが可能であることを明らかにした。しかし、シリカなどのコロイド状粒子はアニオン性を有するため、そのままでは染料に対して定着力がなく、印字後の耐湿・耐水性が劣る欠点を有していた。一方、カチオン樹脂を添加すると増粘が起こり、透明性や表面平滑性が著しく低下する恐れがある。また、カチオン樹脂を添加すると塗工液が増粘し、塗工が困難になる問題があった。
本発明は上記の問題を解決し、より光沢性、インク吸収性、印字濃度、印字後の耐湿・耐水性に優れるインクジェット記録体を製造するための塗液及びそれを用いて得られるインクジェット記録体を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録体用塗液は、3〜40nmの平均一次粒子径を有する一次粒子が凝集して形成されるシリカ、炭酸カルシウム、ゼオライトの少なくとも1つから選ばれる顔料の分散液とカチオン樹脂との混合液を含み、この混合液が、それに分散粉砕処理を施して、前記混合液中の粒子を、その平均粒子径が500nm以下になるまで粉砕し、それによって分散安定化されていることを特徴とするものである。
本発明の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液において、前記顔料が500nmを超えて50μm以下の平均粒子径を有することが好ましい。
本発明の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液において、前記顔料及びカチオン樹脂を含有する混合液が、さらに、水溶性バインダーを含むことが好ましい。
本発明の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液において、前記粉砕された粒子の平均粒子径は、10〜300nmであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体は、シート状支持体と、その少なくとも1面上に形成された少なくとも1層のインクジェット記録層とを有し、前記インクジェット記録層が、前記本発明の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液を用いて形成されたものである。
本発明のインクジェット記録体において、前記インクジェット記録層が、前記塗液を成形面上に塗布して成膜し、この膜体を前記支持体の少なくとも1面上に転写することによって形成されたものであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記転写されたインクジェット記録層が、前記支持体の1面上に予め形成された他のインクジェット記録層上に転写形成されていてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
一般に、ミクロンオーダーの顔料とカチオン性樹脂、バインダーを混合して分散する際に、分散液中の顔料が多少の増粘を起こしても、塗工して得られる塗工層には特に影響しないが、平均粒径が500nm以下のコロイド状粒子になると分散液中に顔料が凝集すると、塗工層の透明性が著しく低下するだけでなく、表面がざらつきやすく、平滑性が優れる光沢面を得ることが困難である。シリカ等の粒子は水中でアニオン性であり、勿論、凝集体(1次粒子により構成される2次粒子や3次粒子)により構成されるシリカコロイド状粒子もアニオン性である。アニオン性のシリカ微粒子はインク中の染料に対して定着性がなく、印字後の耐湿・耐水性が劣る。印字後の耐湿・耐水性を上げるために、カチオン性樹脂等の添加が不可欠である。しかし、アニオン性のシリカコロイド状粒子にカチオン樹脂を添加すると直ちに凝集が起こり、光沢、透明性を有する記録層を得ることが困難である。
【0007】
そこで、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、500nmを越え、例えば1μm程度〜50μm程度のシリカ等の凝集体を機械力で粉砕し、コロイド状の微粒子分散液を作成する前に、カチオン樹脂を添加し、シリカなどの凝集体と一緒に分散した後、機械力で粉砕したところ、作成したシリカコロイド状微粒子分散液はカチオン樹脂を含有するにも関わらず、均一な分散液を得ることができることがわかった。
この方法で作成した塗料で塗工すると、高光沢、高印字濃度、印字後の耐湿・耐水性が良好なインクジェット記録体が得られる。その理由は定かではないが、カチオン樹脂の存在下でシリカなどの凝集体を粉砕分散すると、分散途中でカチオン樹脂のシリカ表面への吸着がすすみ、500nm以下のコロイド状粒子になる時点で吸着が平行状態に達し、つまり、シリカ粒子の表面が殆どカチオン樹脂で覆われる状態になっているのではないかと思われる。
【0008】
凝集体顔料をカチオン樹脂と他の水溶性樹脂の存在下で機械的手法により分散し、分散液中の凝集体の平均粒径が500nm以下になるように粉砕分散して得られる分散液は分散安定性が良好で、その分散液の塗工適性がよく、より光沢、印字濃度の優れるインクジェット記録体が得られる。
【0009】
本発明は一次粒子の凝集体からなる顔料粒子を、カチオン樹脂の存在下で、分散し、得られる凝集体の平均粒径が500nm以下になるように粉砕分散して得られるインクジェット記録体用塗料に関する。本発明の塗料の好ましい形態はコロイド状やスラリー状である。本発明の塗料を用いて得られるインクジェット記録体は高光沢を有し、且つ優れたインク吸収性、高印字濃度、印字後の耐湿・耐水性を兼ね備えたものである。
【0010】
本発明のインクジェット記録体において、支持体としては特に限定されず、透明または不透明支持体が使用でき、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のプラスチックフィルム類、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗工紙、箔紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、金属フォイル、合成紙などが適宜使用される。
【0011】
本発明のインクジェット記録体の記録層は単層または複層よりなる。
先ず、記録層が単層により構成される場合、記録層中に少なくとも下記に例示するような顔料を含有する。
顔料としては、たとえば、非晶質シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、及びゼオライトなどの、一般塗工紙分野で用いられている顔料を用い、下記のような方法によって調製する。
【0012】
まず、顔料を水などで分散し、これにカチオン樹脂を添加後、分散している粒子を機械的方法でその平均粒径が500nm以下、さらに、高印字濃度を得るためには平均粒径が好ましくは10〜300nmの2次粒子(分散体)まで粉砕し、分散する。平均粒径500nm以下の凝集体粒子を得るためには、一般市販の1〜50μの顔料粒子から得られた凝集粒子を機械的手段で強い力を与えることにより得られる。つまり、breaking down法(塊状原料を細分化する方法)によって得られる。機械的手段としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。本発明でいう平均粒径はすべて電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒径である(マーチン径の平均値。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52参照、1991年)。
尚,凝集体顔料を形成する一次粒子の平均粒径は3nmから40nmまでであることが好ましい。一次粒径が小さいと吸収能が低下する恐れがあり,逆に大きいとインク記録層の透明性が低下する恐れがある。
【0013】
粉砕しやすさや分散安定性の面から、本発明においては非晶質シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
勿論、上記に示す方法で得られた分散体以外に、他の市販各種顔料(例えば:シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメントなど)を記録層の透明性、光沢性を損なわない範囲で併用してもよい。これによりインク吸収性を改良することもできる。
【0014】
添加されるカチオン樹脂は特に限定するものではないが、水溶性或いは水性エマルジョンタイプなどが好ましく使用される。例えばジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・SO2 共重合物、ジアリルアミン塩・SO2 共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体等のポリカチオン系カチオン樹脂等が挙げられる。なお、カチオン樹脂の添加量としては顔料100重量部に対し、1〜30重量部、より好ましくは3〜20重量部の範囲で調節される。勿論、粉砕分散前に少量添加して、所望の粒径になるまで粉砕分散した後、カチオン樹脂を更に追加してもよい。カチオン樹脂は単独或いは併用して用いられる。
本発明の塗液中には、一般塗工紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が粉砕分散前、粉砕分散中、または粉砕分散後に適宜添加される。
【0015】
本発明のインクジェット記録体の記録層に接着剤(バインダー)の添加が不可欠である。接着剤(バインダー)としては、水溶性樹脂(たとえばポリビニルアルコール(以下PVAと称す)、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックスなどの一般に塗工紙に用いられている公知の接着剤(バインダー)が単独或いは併用して用いられる。
接着剤は水溶性樹脂であることが好ましい。その理由は定かではないが、水溶性樹脂は、ラテックスと違って、その水溶液中でシリカ等の顔料表面の一部を覆うことが可能であるためか、カチオン樹脂がより添加しやすいのではないかと思われる。
接着剤は顔料粉砕分散前・中・後のどの段階に一部或いは全量を添加してもよいが、好ましくは顔料粉砕前に一部の接着剤をカチオン樹脂と一緒に顔料中に添加する。粉砕前の接着剤の添加量は全添加量の5〜50%、好ましくは10〜40%である。接着剤を粉砕前に全量添加すると粉砕中に接着剤が1次粒子間に吸い込まれ、インク吸収容量が低下する恐れがある。
【0016】
記録層の顔料と接着剤(バインダー)の固形分重量比は特に限定しないが顔料100重量部に対し5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部の範囲に調節される。接着剤(バインダー)の添加量が多いと、粒子間の細孔が小さくなり、インク吸収速度が得られにくい。一方、接着剤(バインダー)が少ないと塗工層にひび割れが入りやすい。
記録層の塗工量は特に限定するものではないが、1〜100g/m2 、好ましくは5〜70g/m2 に調節する。少ないと均一塗膜が得られにくく、多くても効果が飽和し、また、塗膜にひび割れが生じやすくなる。
【0017】
支持体に2層以上の記録層を有する構成では、少なくとも1層が上記に示す方法で得られた500nm以下のコロイド状顔料を含有する層である。他の記録層の基本的な構成は単層記録層と同様の組成物により構成される。つまり前記例示された様な顔料と接着剤含有層や,接着剤として例示した高分子含有層とすることができる。
本発明の記録層を平滑な成形面に塗工成膜した後、支持体或いは他の記録層上に転写するとより優れた光沢が得られる。
成形面に使用される材料としては、例えば高表面平滑性を有するセロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のプラスチックフィルム類、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、含浸紙、蒸着紙等の紙類、金属フォイル、合成紙等可とう性を有するシート類及び無機ガラス、金属、プラスチック等の高平滑表面を有するドラムや板類が適宜使用される。特に、製造工程及び成形面と記録層の剥離適性等の観点から、高分子フィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等)、高平滑表面を有する金属ドラムが好ましい。
【0018】
成形面は光沢を付与する目的では平滑である方が好ましく、成形面の表面粗さ(JIS B−0601)は、Raが0.5μm以下が好ましく、より好ましくはRaが0.05μm以下である。尚、表面粗さをコントロールして、セミグロス調、マット調などの風合いをもたせることも可能である。
成形面は無処理のままでよいが、記録層と支持体(或いは他の記録層)の接着力よりも、成形面と記録層の接着力を小さく制御するため、成形面の塗工面にシリコーンやフッ素樹脂等の剥離性を有する化合物を塗工して使用することが可能である。
【0019】
本発明の塗液用塗工コーターとしてはブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコータ等の各種公知の塗工装置またはサイズプレス等の含浸装置が挙げられる。
本発明のインクジェット記録体に使用されるインクとしては、像を形成するための色素と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整される。
【0020】
インクに使用される記録剤としては直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種顔料等があげられるが、従来公知のものは特に制限なく使用することができる。このような色素の含有量は、液媒体成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、本発明におけるインクの場合も、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20重量%程度の割合になるような使用で特に問題はない。
本発明で用いられるインクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ重量部及び重量%を示す。
尚、分散体粒径測定法は下記による。TEM(透過型電子顕微鏡、H−300,日立製作所製)により観察した。分散体を0.5%に薄めた後、コロジオン膜上に滴下し、風乾した後、観察に用いた。電子顕微鏡倍率は2万倍、5万倍、10万倍より適宜選択した。
【0022】
実施例1
平均粒径3μの合成非晶質シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD−2、1次粒子径:11nm、以下HD−2とも称す)50部に、水950部、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成化学工業社製、商品名:A−9、以下A−9とも称す)2部を添加し、ホモミキサーにより分散しながら、カチオン樹脂としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物(日東紡績社製、商品名:PAS−J−81、以下単にPAS−J−81とも称す)5部を添加した。続いて、この混合液にサンドグラインダーにより粉砕分散処理を施した後、圧力式ホモジナイザーでさらに粉砕分散し、平均粒子径が120nmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの粉砕分散操作を繰り返した。得られた水分散体中に予め作成した10%のポリビニールアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、以下PVA117とも称す)25部(固形分換算、以下同様)を添加し、均一になるまで攪拌して塗液を調製した。この塗液を、乾燥塗工量が20g/m2 になるように、市販塗工紙(王子製紙社製、商品名:OKコート、127.9g/m2 )をラミネートしたもの(エクストルージョンラミネート法により塗工紙表面に15μmのポリエチレンをラミネート加工したもの、以下単にラミネート塗工紙とも称す)に塗工乾燥し、本発明のインクジェット記録体を製造した。
【0023】
実施例2
平均粒径3μの合成非晶質シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD−2、1次粒子径:11nm)50部に、水800部、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成化学工業社製、商品名:A−9)2部を添加し、ホモミキサーにより分散しながら、予め作成した10%のポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA117)水溶液5部(固形分換算)、前出のカチオン樹脂ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物(日東紡績社製、商品名:PAS−J−81)5部を添加した。続いて得られた混合液にサンドグラインダーによる粉砕分散処理を施した後、圧力式ホモジナイザーでさらに粉砕分散し、混合液中の粒子の平均粒子径が120nmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの粉砕分散操作を繰り返した。得られた水分散体中に予め作成した上記10%のポリビニールアルコール(PVA−117)水溶液20部(固形分換算)を添加し、均一になるまで攪拌して塗液を調製した。この塗液を、塗工量が20g/m2 となるように前記と同様のラミネート塗工紙に塗工乾燥し、本発明のインクジェット記録体を製造した。
【0024】
実施例3
実施例2と同様の塗液を用い、塗工量が20g/m2 となるようにPETフィルム(東レ社製、ルミラーT、75μm、表面粗さRa =0.02μm)に塗工乾燥した。続いて、温度80℃、線圧:30Kg/cmのカレンダーの条件下で記録層と前記と同様のラミネート塗工紙のラミネート面が対面するように圧着した後、PETフィルムを剥がし、本発明のインクジェット記録体を製造した。
【0025】
比較例1
平均粒径3μの合成非晶質シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD−2、1次粒子径:11nm)50部に、水950部、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成化学工業社製、商品名:A−9)2部を添加し、ホモミキサーにより分散しながら、前出のカチオン樹脂(日東紡績社製、商品名:PAS−J−81)5部と、予め作成した10%のポリビニルアルコール(前出の商品名:PVA117)溶液25部(固形分換算)とを添加した。混合液が均一になるまで攪拌を続けたところ、得られた混合液中の水分散体の平均粒子径は3μmであった。この塗料を用い、塗工量が20g/m2 となるように前記と同様のラミネート塗工紙に塗工乾燥し、インクジェット記録体を製造した。
【0026】
比較例2
平均粒径3μの合成非晶質シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD−2、1次粒子径:11nm)50部に、水950部を添加し、サンドグラインダーにより粉砕分散した後、圧力式ホモジナイザーでさらに粉砕分散し、分散液中の粒子の平均粒子径が120nmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返した。得られた水分散液中に予め作成した10%のポリビニルアルコール(前出の商品名:PVA117)水溶液25部(固形分換算)と前出のカチオン樹脂(日東紡績社製、商品名:PAS−J−81)5部を添加し、塗工液が均一になるまで攪拌し(塗液はカチオン樹脂の添加により増粘した)、塗工量が20g/m2 となるように前記と同様のラミネート塗工紙に塗工乾燥し、インクジェット記録体を製造した。
【0027】
比較例3
平均粒径3μの合成非晶質シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD−2、1次粒子径:11nm)50部に、水950部を添加、サンドグラインダーにより粉砕分散した後、圧力式ホモジナイザーでさらに粉砕分散し、分散液中の粒子の平均粒子径が120nmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの粉砕分散操作を繰り返した。得られた水分散液に予め作成した10%のポリビニルアルコール(前出の商品名:PVA117)水溶液25部(固形分換算)を添加し、塗工量が20g/m2 となるように前記と同様のラミネート塗工紙に塗工乾燥し、インクジェット記録体を製造した。
【0028】
[評価方法]
実施例、比較例で得られたインクジェット記録体のインク吸収性、光沢性、印字耐水性等は以下に示す方法で評価した。光沢性とインク吸収性については市販のインクジェットプリンター(キヤノン社製、商標:BJC−600J)で記録を行った場合のベタ部分の光沢度、インク吸収性、印字濃度を示す。
[印字耐水性]
インクジェット用記録体に印字した後、24時間放置後、水滴を落とし、30分後に水滴を拭き取り、水滴に浸漬されたの状況を観察する。(○:インクの滲みが殆どなかった。△:インクの滲みがあり、印字部の濃度が薄くなった。×:インクが殆どとれた。)
【0029】
[インク吸収性]
イエロー、マゼンタ、シアンの各単色を印字し、印字直後から5秒毎にプリントした印字面に上質紙を貼合せ、インクが上質紙に転写するかどうかを観察する。(○:10秒未満、△:10〜30秒、×:30秒以上)。インクが乾燥するまでの時間が10秒未満のものはインク吸収性に優れる。
【0030】
[印字濃度]
黒ベタ部の印字濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth、RD−920)を用いて測定した。表中に示した数字は5回測定の平均値である。
[印字部の光沢感(照り感)]
印字部の光沢感は印字部に対して20°の横角度から目視し、以下のように4段評価した。
◎:銀塩方式のカラー写真と同レベルの照り感がある。
○:カラー写真よりは劣るが、高い照り感がある。
△:塗工紙印刷品並。
×:一般PPC並。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の塗液を用いて得られたインクジェット記録体はインク吸収性が良好で、かつ印字後も光沢性、印字濃度、耐水性とも優れるインクジェット記録体である。
Claims (7)
- 3〜40nmの平均一次粒子径を有する一次粒子が凝集して形成されるシリカ、炭酸カルシウム、ゼオライトの少なくとも1つから選ばれる顔料の分散液とカチオン樹脂との混合液を含み、この混合液が、それに分散粉砕処理を施して、前記混合液中の粒子を、その平均粒子径が500nm以下になるまで粉砕し、それによって分散安定化されていることを特徴とするインクジェット記録体用塗液。
- 前記顔料が500nmを超え、かつ50μm以下の平均粒子径を有する、請求項1に記載の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液。
- 前記顔料及びカチオン樹脂を含有する混合液が、さらに、水溶性バインダーを含む、請求項1又は2に記載の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液。
- 前記粉砕された粒子の平均粒子径が、10〜300nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液。
- シート状支持体と、その少なくとも1面上に形成された少なくとも1層のインクジェット記録層とを有し、前記インクジェット記録層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散安定化されたインクジェット記録体用塗液を用いて形成されたものである、インクジェット記録体。
- 前記インクジェット記録層が、前記塗液を成形面上に塗布して成膜し、この膜体を前記支持体の少なくとも1面上に転写することによって形成されたものである、請求項5に記載のインクジェット記録体。
- 前記転写されたインクジェット記録層が、前記支持体の1面上に予め形成された他のインクジェット記録層上に転写形成されている、請求項6に記載のインクジェット記録体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002227199A JP3680824B2 (ja) | 2002-08-05 | 2002-08-05 | 分散安定化されたインクジェット記録体用塗液及びそれを用いたインクジェット記録体 |
Applications Claiming Priority (1)
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