JP3680661B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電荷像現像用トナーを用い、電子写真法等により静電潜像を現像して画像を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法等のように静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。電子写真法は、帯電工程、露光工程等を経て感光体上に静電荷像を形成し、現像剤でこれを現像し、転写し、定着して静電荷像を可視化するものである。
【0003】
ここで用いる現像剤は、トナーとキャリアを含有してなる二成分系現像剤と、磁性トナーや非磁性トナーを含有してなる一成分系現像剤とが知られている。トナーは、通常、溶融混練粉砕法により製造される。この混練粉砕法は、熱可塑性樹脂等を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤等と共に溶融混練し、冷却後溶融混練物を微粉砕し、分級して所望のトナー粒子を製造するものである。溶融混練粉砕法により製造されたトナーは、流動性やクリーニング性等を改善する目的でその表面に無機微粒子や有機微粒子を添加して使用される。
【0004】
溶融混練粉砕法により製造されるトナー粒子は、通常その形状が不定形であり、表面組成は均一でない。使用材料の粉砕性や粉砕条件等により、トナー粒子の形状や表面組成が微妙に変化するため、意図的にこれらを制御することは困難である。特に、粉砕性の高い材料を用いて溶融混練粉砕法で製造されたトナー粒子は、現像機内部で種々の剪断力など機械力を受けて、さらに粉砕され微粉化されたり、その形状を変化させたりする。その結果、二成分系現像剤では、微粉化されたトナー粒子がキャリア表面に固着して、現像剤の帯電劣化を加速したり、また一成分系現像剤では、粒度分布が拡大し、微粉化されたトナー粒子が飛散したり、トナーの形状変化に伴って現像性が低下して画質を劣化させたりするという問題が生じた。
【0005】
トナー粒子の形状が不定形であると、流動性助剤を添加しても流動性を十分に確保できず、使用中に受ける機械力で流動性助剤の微粒子がトナー粒子の凹部に移動してその内部に埋没し、経時的に流動性が低下したり、現像性、転写性、クリーニング性等が悪化したりするという問題がある。また、このようなトナーをクリーニング処理で回収して再び現像機に戻して再利用すると、画質の劣化を生じ易いという問題がある。これらの問題を防止するために、さらに流動性助剤の添加量を増加させることも考えられるが、感光体に黒点が発生したり、流動性助剤粒子が飛散するという問題が生ずる。
【0006】
一方、ワックスなどの離型剤を内添してなるトナーは、熱可塑性樹脂との組み合わせによっては、トナー粒子の表面に離型剤が露出することがある。特に高分子量成分により弾性が付与された、やや粉砕されにくい樹脂と、ポリエチレンのような脆いワックスとを組み合わせてなるトナーは、その表面にポリエチレンの露出が多く見られる。このようなトナーは、定着時の離型性や感光体上からの未転写トナーのクリーニングには有利であるが、トナー粒子表面のポリエチレンは現像機内での剪断力等の機械力によってトナー粒子表面から脱離し、容易に現像ロール、感光体、キャリア等に移行してこれらを汚染し、現像剤としての信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
また、例えば特開平8−44111号公報や特開平8−286416号公報には懸濁重合法が提案されている。懸濁重合法は、重合性モノマーを着色剤や離型剤等と共に水系媒体中に分散して懸濁させ、重合性モノマーを重合させてトナー粒子を得る方法である。この懸濁重合法は、例えば、離型剤であるワックスをバインダー樹脂で被覆した多層構造のトナー粒子を得ることも可能である。
【0008】
しかし、この懸濁重合法は、懸濁状態において粒子を適当な大きさに調整する必要がある。そのためは、分散液を強くかつ高速に攪拌する必要がある。一般的には水のような粘度を持つ液体を均一に高速攪拌するのは極めて困難である。不均一な混合は離型剤を遊離し、離型剤含有量の著しく少ない、又は全く含有しないトナーを多量に発生し、その結果トナー粒子間の組成偏在が大きくなり、トナーに要求される定着性、帯電性等の各種特性を十分に満足できないという問題がある。
【0009】
近年、粒子の形状や表面組成を意図的に制御できるトナーの製造方法として、乳化重合凝集融合法が提案されている。この乳化重合凝集融合法は、乳化重合により樹脂分散液を作製し、また、溶媒に着色剤を分散させた着色剤分散液、離型剤を分散した分散液を作製し、これらの分散液を混合してトナー粒径に相当する凝集粒子を形成させた後、加熱して融合し、トナー粒子を得る方法である。この乳化重合凝集融合法は、加熱温度条件の選択により形状を任意に制御でき、帯電性、耐久性の改善をはかることができる。
【0010】
このような電子写真プロセスでは、様々な機械的ストレス下でもトナーが安定した性能を維持するために、トナー表面への離型剤の露出を抑制したり、定着性を損なわない範囲で表面硬度を高くするとともに、トナー自体の機械的強度を向上させ、かつ十分な帯電性と定着性を両立させることが必要である。
【0011】
特に、近年のカラー画像の進歩に伴い、高精度な画像を実現するためにトナーの小径化傾向が著しい。しかし、従来の粒度分布のままでの単純な小径化では、微粉側トナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高画質と高信頼性を同時に実現することは困難である。このため、粒度分布をシャープにし、かつ小粒径化を可能することが必要となる。凝集・融合合一法はこれらの点で優れたトナーの提供を可能にする。
【0012】
フルカラー機では、カラートナーを積層して所望の色を再現するため、トナーの使用量は多くなり、トナーを十分に混色する必要がある。そして、混色に際しては色再現性やOHP透明性の向上が必須となる。
一般に離型剤成分は、定着時の低温オフセットを防止する目的でポリオレフィン系ワックスが内添される。また、これとあわせて定着ローラーに微量のシリコーンオイルを均一に塗布して、高温オフセット性の向上を図っている。このため、出力された転写体にシリコーンオイルが付着してべたつきの不快感を生ずることがあり好ましくない。
【0013】
このため、トナー中に多量の離型剤成分を内包させたオイルレス定着用トナーが提案されている。しかし、多量の離型剤の添加は、剥離性の改善にある程度役立つが、バインダー成分と離型剤成分が相溶して、離型剤を均一にかつ安定にしみださせるこができず、剥離の安定性は得られにくい。また、離型剤の遊離成分は帯電阻害の原因となることもある。
また、トナー内における顔料の分散性が低下すると、離型剤と相互に作用して顔料凝集体を形成して、OHP透明性阻害、発色性阻害等の問題を発生する。
【0014】
被定着シートの剥離性を改善する目的で、架橋成分をバインダー樹脂に添加して凝集力を向上させる方法が提案されているが、バインダー樹脂の溶融粘度が増加するため、定着像表面の平滑性が損なわれて、定着像の光沢性及びOHP透明性が低下し、フルカラー画像においては十分な混色性が得られないおそれがある。
【0015】
また、高分子量成分を添加して見掛け上のバインダー樹脂の凝集力を向上させる方法が提案されているが、架橋剤の量を調節してバインダー樹脂の絡み合い密度を制御していなかったため、剥離性やOHP透明性を安定に両立することは困難であった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消し、透明転写体上に画像を形成するときに、平滑性、透明性、混色性、発色性に優れた画像の形成を可能にし、非定着シートの剥離性、耐HOT性(ホットオフセット性)にも優れ、高画質で信頼性の高い画像の形成方法を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、次の手段を採用することにより、その解決を可能にした。
(1) 静電潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤で現像する工程、及び現像像を透明転写体上に定着する工程を含む画像形成方法において、前記透明転写体は表面に樹脂層を有し、前記現像剤は、少なくとも、下記一般式で表される架橋剤のうち少なくとも1つにより架橋された結着樹脂と着色剤を含有するトナーを用い、動的粘弾性における温度分散測定法で求めた前記トナーの架橋密度Meが1.6×10−8〜3.5×10−6/Kmolであり、前記透明転写体上に溶融定着したときの定着表面の光沢度Gsが80%以上であることを特徴とする画像形成方法。
H2C=CR−CO−O−Xn−CO−CR=CH2
(式中、nは3〜15の整数、XはCH2又はCH2CH2O、RはH又はCH3を表す。)
H2C=CR−CO−O−Xn−CH2CH2O−CO−CR=CH2
(式中、nは4〜14の整数、XはCH2、RはH又はCH3を表す。)
【0018】
(2) 前記着色剤はイエロー、マゼンタ、シアンのいずれか1種類以上であることを特徴とする前記(1) 記載の画像の形成方法。
(3) 前記トナー中の着色剤の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする前記(1) 又は(2) 記載の画像の形成方法。
(4) 前記トナーが凝集・融合・合一法で製造されたものを使用することを特徴とする前記(1) 〜(3) のいずれか1つに記載の画像形成方法。
(5) 前記トナーが少なくとも1種以上の離型剤を含有することを特徴とする前記(1) 〜(4) のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【0019】
(6) 前記透明転写体がポリエステル系重合体、スチレン・アクリル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体などを含有する透明フィルムであることを特徴とする前記(1) 〜(5) のいずれか1つに記載の画像の形成方法。
(7) 前記透明転写体の樹脂層は重量平均分子量が3万以上、好ましくは3万〜100万の範囲の樹脂、例えばスチレン・アクリル系共重合体、ポリエステル系共重合体、塩化ビニル系共重合体、酢酸ビニル系共重合体などを含むことを特徴とする前記(1) 〜(6) のいずれか1つに記載の画像の形成方法。
(8) 前記定着がオイルレス定着であることを特徴とする前記(1) 〜(7) のいずれか1つに記載の画像の形成方法。
(9) 前記定着工程において、定着温度を80〜200℃の範囲に調整することを特徴とする前記(1) 〜(8) のいずれか1つに記載の画像の形成方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、静電潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤で現像する工程、及び現像像を透明転写体上に定着する工程を含む画像形成方法において、動的粘弾性における温度分散測定法で求めたトナーの架橋密度Meが1.6×10-8〜3.5×10-6/Kmolであるトナーを用い、表面に樹脂層を有する透明転写体上に、光沢度Gs80%以上の定着画像を形成することにより、定着画像の樹脂の適切な架橋(絡み合い)構造を確保することができ、ホットオフセット性の低下を抑え、かつ適度な樹脂の分子鎖の運動性を維持できるとともに、画像表面の平滑性が向上するため、定着画像の透明性、発色性、混色性などが改善され、高画質を得ることが可能になった。特にフルカラー画像においては有効であった。架橋密度Meが3.5×10-6/Kmolを超えると、低温定着が困難になりやすく、光沢が得られなくなる。
【0021】
本発明で使用するトナーは、例えば、次の方法で製造することができる。即ち、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、着色剤を分散させてなる着色剤分散液とを混合し、その混合液の分散媒に溶解する2価以上の電荷を有する無機金属塩を含む凝集剤を添加して、樹脂粒子と着色剤を凝集させて、凝集粒子を分散する凝集粒子分散液を調整する。その後、必要に応じて離型剤粒子を分散させてなる離型剤粒子分散液や、その他の成分の微粒子分散液を単独に又は混合して添加することによって凝集粒子表面に離型剤粒子及び微粒子を付着させ、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合し、トナー粒子を形成するものである。
【0022】
前記の製造方法において、加熱融合工程の前に、必要に応じて樹脂粒子分散液をさらに添加し、凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着して付着粒子分散液を調整した後に、加熱融合させてトナー粒子を形成することが好ましい。
【0023】
前記凝集工程では、混合された樹脂粒子と着色剤がヘテロ凝集等により凝集して凝集粒子が形成される。前記融合工程では、着色剤粒子、樹脂粒子、離型剤粒子などを包含してトナー粒子が形成される。前記付着工程では、凝集粒子を母粒子として、その表面に樹脂粒子を分散液中で均一に付着してコアシェル構造を形成することができる。
【0024】
本発明のトナーの製造において、樹脂粒子分散液に使用する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0025】
前記樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径は、通常、1μm以下、好ましくは0.01〜1μmの範囲が適当である。平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布が広くなったり、遊離粒子が発生してトナーの性能や信頼性の低下を招き易い。平均粒径が前記の範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなるので有利である。なお、前記平均粒径は、例えばコールターカウンターなどを用いて測定することができる。
【0026】
本発明で用いるトナーは、樹脂に可撓性を付与するために、架橋剤成分を添加することが望ましい。具体的には下記一般式の2官能性単量体が好ましい。
H2 C=CR−CO−O−Xn−CO−CR=CH2
(式中、nは3〜15の整数、XはCH2 又はCH2 CH2 O、RはH又はC H3 を表す。)
H2 C=CR−CO−O−Xn−CH2 CH2 O−CO−CR=CH2
(式中、nは4〜14の整数、XはCH2 、RはH又はCH3 を表す。)
この架橋剤成分の添加量は、樹脂の重量に対して0.1〜1.5重量%の範囲が好ましい。0.1重量%を下回ると、帯電性は向上するものの、架橋構造がほとんど得られず、ホットオフセット性が悪くなる場合がある。また、1.5重量%を超えると、定着性が大きく損なわれるので好ましくない。
【0027】
本発明に使用できる架橋剤(2官能性単量体)は、上記一般式で現されるものであるならば特に制限はないが、例えば、ジアクリル酸エチレン、ジメタアクリル酸エチレン、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジアクリル酸ペンタエチレングリコール、ジメタアクリル酸ペンタエチレングリコール、ジアクリル酸ペンタコンタヘクタ、ジマタアクリル酸ペンタコンタヘクタ、ジアクリル酸デカンジオール、ジメタアクリル酸デカンジオールなどが挙げられる。
【0028】
本発明における架橋構造(絡み合い構造)は、正弦波振動法による動的粘弾性測定(温度分散測定)による貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、及び損失正接tanδを測定して求める。
具体的には、トナーを錠剤に成形し、8mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に1rad/secの振動周波数で振動を与える。測定は40℃から開始し、200℃まで継続する。測定時間インターバルは120秒、測定開始後の昇温速度は1℃/分とする。測定中、各測定温度において、ひずみ量を適切に維持し、適正な測定値が得られるように適宜調整する。
【0029】
ゴム状平坦域(プラトー域)が観察された場合は、その中心温度における貯蔵弾性率G’の値を用い、次式より見掛けの架橋密度を算出し、これを本発明の架橋密度Meとした。
Me=G’/3φRT
(式中、φ:フロントファクター、Me:見掛けの架橋密度、R:気体定数、T:温度、G’:ゴム状域の貯蔵弾性率
【0030】
一般に、トナー内部のバインダー樹脂の分子鎖の架橋(絡み合い)は、バインダー樹脂自体の凝集力の大きさに影響する。即ち、架橋(絡み合い)の形成はバインダーの分子鎖自体の運動の自由度を拘束することから、バインダー樹脂自体の剛直性を増大させ、バインダー樹脂自体の溶融性を低下させる。この架橋(絡み合い)の増加は、定着時の耐ホットオフセット性は向上させるが、OHPシートなどにおける画像の光沢度を大幅に低下させる。
【0031】
本発明で使用するトナーは、架橋密度が1.6×10-8〜3.5×10-6/Kmolの範囲、好ましくは2.0×10-8〜3.2×10-6/Kmolの範囲が適当であり、架橋密度が1.6×10-8/Kmolを下回ると、実質的な架橋構造が形成されないのでホットオフセット性が低下し、3.5×10-6/Kmolを超えると、バインダー樹脂自体の分子鎖の運動性が阻害されるので、バインダー樹脂の溶融性が低下し、定着画像の平滑性、光沢性が悪化したり、OHPシートにおける透明性が低下する場合がある。
【0032】
本発明で使用するトナーの着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR,ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジゴ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系、キサンテン系などの染料が挙げられる。これらの着色剤は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0033】
前記着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の平均粒径は、1.0μm以下、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲が適当である。平均粒径が1.0μmを超えると、トナーの粒度分布が広くなり過ぎ、遊離粒子が発生して性能や信頼性の低下を招き易い。平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなるので有利である。なお、前記平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定機などを用いて測定することができる。
トナー中の着色剤の平均粒径は0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.4μmの範囲が適当である。この範囲を超えると、定着画像の発色性、色再現性、OHP透過性等に問題が生ずる。この平均粒径は例えば透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
【0034】
本発明で使用するトナーの離型剤は、バインダー樹脂との相溶性が乏しい方が好ましい。相溶性に富むと、離型剤によりバインダー樹脂が可塑化し易く、高温定着時にトナーの粘度が低下して、オフセットが生じ易くなったり、トナー表面に存在する樹脂粒子を可塑化してトナー表面のガラス転移点を低下させ、トナーの流動性を悪化させたりする。
【0035】
離型剤としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス類;ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、モノステアリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、ペンタエリスリトールテトラベヘネート等の高級脂肪酸と単価又は多価低級アルコールとのエステルワックス類;ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステルワックス類;ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステルワックス類;コレステリルステアレート等のコレステロール高級脂肪酸エステルワックス類などが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0036】
離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の平均粒径は、1.0μm以下、好ましくは0.01〜1.0μmの範囲が適当である。平均粒径が1.0μmを超えると、トナーの粒度分布が広くなり過ぎ、遊離粒子が発生して性能や信頼性の低下を招き易くなる。平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中における分散が良好になり、性能や信頼性のバラツキが小さくなるので有利である。なお、前記平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定機や、遠心式粒度分布測定機等を用いて測定することができる。
【0037】
なお、離型剤粒子は、水等の水系媒体中にイオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1.0μm以下の微粒子に調整できる。
トナーの樹脂粒子を構成するバインダー樹脂は、着色剤や離型剤との組み合わせに特な制限はなく、目的に応じて適宜自由に選択できる。
【0038】
本発明のトナーは、目的に応じて樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液及び/又はそれらの混合分散液中に、内添剤、帯電制御剤、無機粉体、有機粉体、滑剤、研磨材などのその他の成分(粒子)を分散させることが可能である。前記内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属、合金、又はこれら金属を含有する化合物などの磁性体などを使用することができる。
【0039】
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが使用できる。なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集時や、融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と、廃水の汚染を抑制するために水に溶解し難い素材のものが好ましい。
【0040】
前記無機粉体としては、例えば、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される全ての粒子が使用できる。
前記有機粉体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される全ての粒子が使用できる。
なお、これらの無機粉体や有機粉体は、流動性助剤やクリーニング助剤等として使用することも可能である。
【0041】
前記滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が使用できる。
前記研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0042】
前記のその他の成分の平均粒径は1.0μm以下、好ましく0.01〜1.0μmの範囲が適当である。平均粒径が1.0μmを超えると、トナーの粒度分布が広がり過ぎて遊離粒子を発生し、性能や信頼性の低下を招き易くなる。平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中における分散が良好になり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定機や、遠心式粒度分布測定機等を用いて測定することができる。
【0043】
樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を混合するときに、着色剤の含有量は50重量%以下が適当であり、好ましくは2〜40重量%の範囲が適当てある。
また、離型剤の含有量も50重量%以下、好ましくは2〜40重量%の範囲が適当である。
さらに、その他の成分の含有量は、本発明の目的を阻害しない程度であればよく、一般的には極少量であり、具体的には0.01〜5重量%の範囲、好ましくは0.5〜2重量%の範囲が適当である。
【0044】
樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液、及びその他の成分粒子の分散液の分散媒としては、例えば水系媒体などが挙げられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコールなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
また、前記水系媒体には、界面活性剤を添加混合して使用することが好ましい。この界面活性剤は、前記の粒子の分散安定性、さらには分散液の保存性を確保する上で有利である。そして、凝集工程における凝集粒子の安定性にも有効である。前記界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。非イオン系界面活性剤は、アニオン系界面活性剤やカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩類、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類などが挙げられる。
【0047】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類などが挙げられる。
【0048】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類などが挙げられる。
【0049】
また、着色剤の水系媒体中での分散安定性を向上させるために、トナー中での着色剤のエネルギーを低くする分散助剤として、チタネート系カップリング剤、ロジン、水溶性ポリマーなどを使用することができる。
【0050】
前記凝集工程で用いる凝集剤としては、2価以上の電荷を有する無機金属塩が挙げられる。一般の無機金属化合物又はその重合体を樹脂微粒子分散液中に溶解して用いるが、無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A,3A,4A,5A,6A,7A,8,1B,2B,3B族に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂微粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものである。具体例としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などがある。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
【0051】
界面活性剤の分散液中における含有量は、本発明を阻害しない程度であればよく一般的には少量でよい。具体的には0.01〜10重量%の範囲、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲が適当である。含有量が0.01重量%を下回ると、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等の分散液が不安定になり、凝集を生じたり、また凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じる等の問題がある。また、10重量%を超えると、粒子の粒度分布が広くなり過ぎ、また粒子径の制御が困難になる等の理由から好ましくない。
【0052】
樹脂粒子分散液の調整方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜採用することができるが、例えば以下のようにして調整することができる。
樹脂粒子を構成する樹脂が、ビニル基を有するエステル類、ビニルニトリル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等のビニル単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等を行なってビニル単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)粒子の分散液を調整することが好ましい。
【0053】
樹脂粒子を構成する樹脂が、前記ビニル単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂の場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を油性溶媒に溶解してから、前記イオン性界面活性剤や高分子電解質とともに水中に添加し、ホモジナイザー等の分散機を用いて微粒子に分散させた後、加熱乃至減圧することにより、油性溶剤を蒸散させることによって調整することが好ましい。
【0054】
着色剤分散液は、例えば、着色剤を界面活性剤等の水系媒体に分散させることにより調整することができる。
離型剤分散液は、例えば、離型剤をイオン性界面活性剤や高分子酸や、高分子塩基等の高分子電解質と共に水中に分散させ、その後融点以上に加熱しながら、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、強い剪断力をかけることにより、離型剤を微粒子化させて調整することができる。
【0055】
その他の成分の粒子分散液は、例えば、着色剤とともに界面活性剤等の水系媒体に分散させることにより調整することができる。
前記の分散手段は特に制限されないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどそれ自体公知の分散装置を使用できる。
【0056】
本発明のトナーは、トナー中の顔料添加量を増加させることにより、カラー画像濃度を上げることができ、所望の色調のトナーを得ることができる。また、トナー中の顔料分散性は、透明フィルム画像における平滑性、透明性、混色性、発色性を向上させるのに重要である。
前記のトナーの製造方法は、混練粉砕法等により製造される場合と異なり、平均粒径が小さく、かつ粒度分布がシャープなトナーを得ることができる。
【0057】
本発明で使用する現像剤は、前記のトナーを含有すること以外に特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分を配合することができる。即ち、トナーを単独で用いて一成分系静電荷像現像剤として調製してもよいし、キャリアと組み合わせて二成分系静電荷像現像剤として調製してもよい。
キャリアも特に制限はなく、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
【0058】
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。即ち、キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その平均粒径は30〜200μmの範囲が適当である。
キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α―メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2―エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n―プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2―エチルヘキシル等のα―メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロベニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー等の単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、並びに、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。被覆樹脂量は、核体粒子100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲、好ましくは0.5〜3.0重量部の範囲が適当である。
【0059】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
本発明で使用する透明転写体はスチレン・アクリル系共重合体、ポリエステル系共重合体などのフィルムを用いることができる。このフィルムの厚みは0.1〜0.2mmの範囲が適当である。
また、本発明の透明転写体は、重量平均分子量が3万以上、好ましくは3万〜100万の範囲の樹脂を含む樹脂被覆層を備えている。重量平均分子量が3万を下回ると、定着に際に樹脂被覆層の溶融が著しくなり、定着画像が不良となる。樹脂被覆層の樹脂を具体的に挙げると、スチレン・アクリル系重合体、ポリエステル系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体などをある。これらは光透過性、加工性等に優れている。この樹脂被覆層の厚みは0.1〜0.3μmの範囲、好ましくは0.1〜0.2μmの範囲が適当である。
【0061】
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程、トナー画像形成工程、転写工程、及びクリーニング工程を含む。各工程はそれ自体一般的な工程であり、例えば特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0062】
静電潜像形成工程は静電潜像担体上に静電潜像を形成する工程であり、トナー画像形成工程は現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。現像剤層は本発明にかかるトナーを含んでいれば特に制限はない。転写工程はトナー画像を転写体上に転写する工程であり、クリーニング工程は静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
【0063】
画像形成工程における定着時の定着温度は80〜200℃の範囲が望ましい。低すぎるとトナーが十分に溶けず、良好な定着画像を得ることができない。また、高すぎるとヒートロールへのオフセットなどの問題が生じる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、以下において、「部」は重量部を意味する。
なお、トナーを溶融定着した透明フィルムの光沢度は、村上色材社製、グロスメーターを用いて測定した。トナーの平均粒径及び平均体積粒子分布GSDvは、コールターカウンター(コールター社製、TA2型)を用いて測定した。樹脂粒子、着色剤粒子、および離型剤粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−700)を用いて測定した。
【0065】
また、静電荷像現像剤の評価は、富士ゼロックス社製VIVACE400改造機を用いてオイルレス定着を行い、定着温度160℃で画像形成を行い、得られた画像の平滑性、透明性、発色性、及び混色性について目視で評価した。
平滑性は凹凸などにより荒れた状態にあれば不良とし、そのような状態が認められないときは良好とした。
透明性は透過光に濁りがあれば不良とし、そのような状態が認められないときは良好とした。
発色性は中間色が薄ければ不良とし、鮮明であれば良好とした。
混色性は2色以上の色重ね部分に濁りがあれば不良とし、鮮明であれば良好とした。
ホットオフセット性は定着温度200℃で前記と同様に画像を形成し、得られた画像のオフセット状態を調べた。
【0066】
−樹脂粒子分散液(1) の調製―
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 350部
アクリル酸ブチル ・・・・・・・・・・・・・ 50部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4部
(いずれも、和光純薬社製)
架橋剤(新中村化学製;NKエステル)・・・・ 2部
H2 C=CR−CO−O−(CH2 )9 −OCH2 −CO−CH=CH2
前記成分を混合溶解して溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール8.5)8部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)7部をイオン交換水585部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)3部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換を行なった後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、樹脂粒子分散液を調製した。次いで、この樹脂粒子分散液の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、樹脂粒子の平均粒径は150nm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量が45,000であった。
【0067】
−樹脂粒子分散液(2) の調製―
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 350部
アクリル酸ブチル ・・・・・・・・・・・・・ 50部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4部
(いずれも、和光純薬社製)
架橋剤(新中村化学製;NKエステル)・・・・ 10部
H2 C=CR−CO−O−(CH2 )9 −OCH2 −CO−CH=CH2
前記成分を混合溶解して溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール8.5)8部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)7部をイオン交換水585部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)3部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換を行なった後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、樹脂粒子分散液を調製した。次いで、この樹脂粒子分散液の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、樹脂粒子の平均粒径は145nm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量が47,000であった。
【0068】
−樹脂粒子分散液(3) の調製―
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 350部
アクリル酸ブチル ・・・・・・・・・・・・・ 50部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4部
(いずれも、和光純薬社製)
架橋剤(新中村化学製;NKエステル)・・・・ 0.3部
H2 C=CR−CO−O−(CH2 )9 −OCH2 −CO−CH=CH2
前記成分を混合溶解して溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール8.5)8部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)7部をイオン交換水585部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)3部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換を行なった後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、樹脂粒子分散液を調製した。次いで、この樹脂粒子分散液の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、樹脂粒子の平均粒径は140nm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量が43,000であった。
【0069】
―着色剤分散液(1) の調製―
フタロシアニン顔料・・・・・・・・・・・ 70部
(大日精化社製、PVFASTBLUE)
アニオン界面活性剤 ・・・・・・・・・・ 3部
(和光純薬社製)
ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート
(信越化学社製)・・・・・・・・ 3部
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・ 300部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散し、平均粒径が160nmであるシアン着色剤分散液(1) を調製した。
【0070】
―着色剤分散液(2) の調製―
マゼンタ顔料・・・・・・・・・・・・・・ 70部
(大日精化社製、キナクリドンR122)
アニオン界面活性剤 ・・・・・・・・・・ 3部
(和光純薬社製)
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・ 300部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散し、平均粒径が160nmであるシアン着色剤分散液(2) を調製した。
【0071】
―着色剤分散液(3) の調製―
イエロー顔料 ・・・・・・・・・・・・ 70部
(大日精化社製、クロモファインイエローPY93)
アニオン界面活性剤 ・・・・・・・・・・ 3部
(和光純薬社製)
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・ 300部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散し、平均粒径が160nmであるシアン着色剤分散液(3) を調製した。
【0072】
−離型剤粒子分散液の調製―
パラフィンワックス ・・・・・・・・・・ 100部
(日本精蝋社製、HNP0190、融点90℃)
アニオン界面活性剤 ・・・・・・・・・・ 3.5部
(ライオン社製、リパール860K)
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・ 500部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が180nmである離型剤粒子分散液を調製した。
【0073】
〔実施例1〕
(凝集粒子分散液の調製)
樹脂粒子分散液(1) ・・・・・・・・・・ 300部
着色剤分散液(1) ・・・・・・・・・・・ 15部
離型剤粒子分散液 ・・・・・・・・・・ 25部
塩化亜鉛 ・・・・・・・・・・・ 1部
イオン交換水 ・・・・・・・・・・ 500部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で55℃まで攪拌しながら加熱した。55℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約4.8μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0074】
(付着粒子分散液の調製)
この凝集粒子分散液中に、樹脂粒子分散液(1) を穏やかに70部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.4μmの付着粒子が形成されていることが確認された。
【0075】
(付着粒子の融合)
前記付着粒子分散液の56℃におけるpHを測定したところ2.5であった。この分散液に1NのNaOH水溶液を添加して56℃におけるpHを6.5に調整し、付着粒子を安定化させた後、攪拌を継続しながら95℃まで加熱し、その後6時間保持して付着粒子を融合させた。反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
【0076】
(トナー粒子の評価)
得られたトナー粒子の平均粒径は5.4μm、GSDvは1.23であった。このトナー粒子100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、静電荷像現像用トナーを得た。
得られたトナー架橋密度を、動的粘弾性の温度分散測定法で測定したところ、6.5×10-7/Kmolであった。透過型電子顕微鏡(TEM)でトナー粒子の断面を観察したところ、顔料粒子の平均粒径は300nmであった。
【0077】
(静電荷像現像剤の作製)
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95,000)1.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆キャリアを作製した。
この樹脂被覆キャリアと前記トナーを混合し、トナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤を作製した。
【0078】
(画像評価)
この静電荷像現像剤を用いて、重量平均分子量5万のスチレン・メタクリル酸メチル共重合体の厚さ0.2μmの樹脂層を備えたポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルム上に画像形成を行い、画質の評価を行ったところ、表面光沢、平滑性、発色性、混色性、透明性は良好で、光沢度Gsは90%であった。また、ホットオフセット性も良好であった。
【0079】
〔実施例2〕
(凝集粒子分散液の調製)
樹脂粒子分散液(1) ・・・・・・・・・・ 300部
着色剤分散液(2) ・・・・・・・・・・・ 15部
離型剤粒子分散液 ・・・・・・・・・・ 25部
塩化亜鉛 ・・・・・・・・・・・ 1部
イオン交換水 ・・・・・・・・・・ 500部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で55℃まで攪拌しながら加熱した。55℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.2μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0080】
(付着粒子分散液の調製)
この凝集粒子分散液中に、樹脂粒子分散液(1) を穏やかに150部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で2時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.7μmの付着粒子が形成されていることが確認された。
【0081】
(付着粒子の融合)
前記付着粒子分散液の56℃におけるpHを測定したところ3.0であった。この分散液に1NのNaOH水溶液を添加して56℃におけるpHを8.0に調整し、付着粒子を安定化させた後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱し、その後5時間保持して付着粒子を融合させた。反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
【0082】
(トナー粒子の評価)
得られたトナー粒子の平均粒径は5.6μm、GSDvは1.21であった。このトナー粒子100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、静電荷像現像用トナーを得た。
得られたトナー架橋密度を、動的粘弾性の温度分散測定法で測定したところ、6.0×10-7/Kmolであった。透過型電子顕微鏡(TEM)でトナー粒子の断面を観察したところ、顔料粒子の平均粒径は280nmであった。
【0083】
(静電荷像現像剤の作製)
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95,000)1.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆キャリアを作製した。
この樹脂被覆キャリアと前記トナーを混合し、トナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤を作製した。
【0084】
(画像評価)
この静電荷像現像剤を用いて、重量平均分子量5万のスチレン・メタクリル酸メチル共重合体の厚さ0.2μmの樹脂層を備えたポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルム上に画像形成を行い、画質の評価を行ったところ、表面光沢、平滑性、発色性、混色性、透明性は良好で、光沢度Gsは95%であった。また、ホットオフセット性も良好であった。
【0085】
〔実施例3〕
(凝集粒子分散液の調製)
樹脂粒子分散液(1) ・・・・・・・・・ 300部
着色剤分散液(3) ・・・・・・・・・ 15部
離型剤分散液 ・・・・・・・・・ 25部
ポリ水酸化アルミニウム ・・・・・・・・ 1部
(浅田化学社製、Paho2S)
イオン交換水 ・・・・・・・・・ 500部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で55℃まで攪拌しながら加熱した。55℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.9μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0086】
(付着粒子分散液の調製)
この凝集粒子分散液中に、樹脂粒子分散液(1) を穏やかに50部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で2時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約6.1μmの付着粒子が形成されていることが確認された。
【0087】
(付着粒子の融合)
前記付着粒子分散液の56℃におけるpHを測定したところ2.7であった。この分散液に1NのNaOH水溶液を添加して56℃におけるpHを8.0に調整し、付着粒子を安定化させた後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱し、その後7時間保持して付着粒子を融合させた。反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
【0088】
(トナー粒子の評価)
得られたトナー粒子の平均粒径は5.1μm、GSDvは1.19であった。このトナー粒子100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、静電荷像現像用トナーを得た。
得られたトナーの架橋密度を、動的粘弾性の温度分散測定法で測定したところ、5.4×10-7/Kmolであった。透過型電子顕微鏡(TEM)でトナー粒子の断面を観察したところ、顔料粒子の平均粒径は340nmであった。
【0089】
(静電荷像現像剤の作製)
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95,000)1.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆キャリアを作製した。
この樹脂被覆キャリアと前記トナーを混合し、トナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤を作製した。
【0090】
(画像評価)
この静電荷像現像剤を用いて、重量平均分子量5万のスチレン・メタクリル酸メチル共重合体の厚さ0.2μmの樹脂層を備えたポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルム上に画像形成を行い、画質の評価を行ったところ、表面光沢、平滑性、発色性、混色性、透明性は良好で、光沢度Gsは83%であった。また、ホットオフセット性も良好であった。
【0091】
〔比較例1〕
(凝集粒子分散液の調製)
樹脂粒子分散液(2) ・・・・・・・・・ 300部
着色剤分散液(2) ・・・・・・・・・ 15部
離型剤分散液 ・・・・・・・・・ 25部
塩化亜鉛 ・・・・・・・・・・・ 1部
イオン交換水 ・・・・・・・・・ 500部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で55℃まで攪拌しながら加熱した。55℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約4.8μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0092】
(付着粒子分散液の調製)
この凝集粒子分散液中に、樹脂粒子分散液(2) を穏やかに70部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.4μmの付着粒子が形成されていることが確認された。
【0093】
(付着粒子の融合)
前記付着粒子分散液の56℃におけるpHを測定したところ2.5であった。この分散液に1NのNaOH水溶液を添加して56℃におけるpHを6.0に調整し、付着粒子を安定化させた後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱し、その後5時間保持して付着粒子を融合させた。反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
【0094】
(トナー粒子の評価)
得られたトナー粒子の平均粒径は5.1μm、GSDvは1.19であった。このトナー粒子100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、静電荷像現像用トナーを得た。
得られたトナーの架橋密度を、動的粘弾性の温度分散測定法で測定したところ、7.0×10-5/Kmolであった。透過型電子顕微鏡(TEM)でトナー粒子の断面を観察したところ、顔料粒子の平均粒径は360nmであった。
【0095】
(静電荷像現像剤の作製)
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95,000)1.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆キャリアを作製した。
この樹脂被覆キャリアと前記トナーを混合し、トナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤を作製した。
【0096】
(画像評価)
この静電荷像現像剤を用いて、重量平均分子量5万のスチレン・メタクリル酸メチル共重合体の厚さ0.2μmの樹脂層を備えたポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルム上に画像形成を行い、画質の評価を行ったところ、表面光沢が悪く、平滑性はやや荒れ気味で、発色性はやや薄めで、混色性は濁りが見られ、透明性もやや濁りがみられ、光沢度Gsは46%であった。また、ホットオフセット性は良好であった。
【0097】
〔比較例2〕
(凝集粒子分散液の調製)
樹脂粒子分散液(3) ・・・・・・・・・ 300部
着色剤分散液(2) ・・・・・・・・・ 15部
離型剤分散液 ・・・・・・・・・ 25部
塩化亜鉛 ・・・・・・・・・・・ 1部
イオン交換水 ・・・・・・・・・ 500部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で55℃まで攪拌しながら加熱した。55℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.2μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0098】
(付着粒子分散液の調製)
この凝集粒子分散液中に、樹脂粒子分散液(3) を穏やかに150部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で2時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.7μmの付着粒子が形成されていることが確認された。
【0099】
(付着粒子の融合)
前記付着粒子分散液の56℃におけるpHを測定したところ3.0であった。この分散液に1NのNaOH水溶液を添加して56℃におけるpHを8.0に調整し、付着粒子を安定化させた後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱し、その後5時間保持して付着粒子を融合させた。反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
【0100】
(トナー粒子の評価)
得られたトナー粒子の平均粒径は5.1μm、GSDvは1.20であった。このトナー粒子100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、静電荷像現像用トナーを得た。
得られたトナーの架橋密度を、動的粘弾性の温度分散測定法で測定したところ、8.2×10-9/Kmolであった。透過型電子顕微鏡(TEM)でトナー粒子の断面を観察したところ、顔料粒子の平均粒径は310nmであった。
【0101】
(静電荷像現像剤の作製)
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95,000)1.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆キャリアを作製した。
この樹脂被覆キャリアと前記トナーを混合し、トナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤を作製した。
【0102】
(画像評価)
この静電荷像現像剤を用いて、重量平均分子量5万のスチレン・メタクリル酸メチル共重合体の厚さ0.2μmの樹脂層を備えたポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルム上に画像形成を行い、画質の評価を行ったところ、表面光沢、平滑性、発色性、混色性、透明性は良好で、光沢度Gsは93%であった。しかし、ホットオフセットは180℃で発生した。
【0103】
【表1】
【0104】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、平滑性、透明性、混色性、発色性に優れた定着画像の形成が可能になり、かつ、非定着シートの剥離性、耐HOT性(ホットオフセット性)にも優れ、信頼性の高い画像の形成を可能にした。特に、フルカラー画像の形成において高画質で信頼性の高い画像を容易にかつ簡便に形成することのできるようになった。
Claims (2)
- 静電潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤で現像する工程、及び現像像を透明転写体上に定着する工程を含む画像形成方法において、前記透明転写体は表面に樹脂層を有し、前記現像剤は、少なくとも、下記一般式で表される架橋剤のうち少なくとも1つにより架橋された結着樹脂と着色剤を含有するトナーを用い、動的粘弾性における温度分散測定法で求めた前記トナーの架橋密度Meが1.6×10−8〜3.5×10−6/Kmolであり、前記透明転写体上に溶融定着したときの定着表面の光沢度Gsが80%以上であることを特徴とする画像形成方法。
H2C=CR−CO−O−Xn−CO−CR=CH2
(式中、nは3〜15の整数、XはCH2又はCH2CH2O、RはH又はCH3を表す。)
H2C=CR−CO−O−Xn−CH2CH2O−CO−CR=CH2
(式中、nは4〜14の整数、XはCH2、RはH又はCH3を表す。) - 前記定着がオイルレス定着であることを特徴とする請求項1記載の画像の形成方法。
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