JP3678875B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル方式の複写機、プリンタ、ファックスなどの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジタル方式の画像形成装置において、プリンタなどの出力装置(画像形成手段)の出力特性を補正したり、特定の濃度領域を強調するために、画像信号変換テーブル(Look Up Table:以下、「LUT」と称する)が使用されている。この画像形成装置は、一般に、画像読取手段、画像処理手段、画像書込手段、画像形成手段などによって形成されており、上述のLUTは、画像処理手段に内装されていて、画像読取手段から画像処理手段に入力される入力画像信号を変換して出力画像信号として画像書込手段に出力する。
【0003】
一方、LUTは、プリンタのような画像形成手段の画像濃度についての出力特性を反映して作られているため、画像形成手段などの劣化や汚れなどでプリンタの出力特性が変化してしまった場合、補正の役割を果たさないことになる。
【0004】
これを補正するために、画像形成装置内部で行われるプロセス・コントロールと呼ばれる制御の1つとして、感光体や転写体などの像担持体上に画像濃度の異なる複数のパターンを形成し、これらパターンを光学センサにより、その反射光または透過光により検知し、検知結果に基づいて帯電電位、現像バイアスあるいはレーザの露光量を変更したり、または画像データの階調変換のための階調補正テーブルを変更することが行われている。
【0005】
この補正方法は、装置内で自動で補正することができ、人の手を煩わせなくて良いというメリットがあるが、光学センサの特性上、トナーの付着量が多い高濃度側において感度が無いため、トナーの付着量が少ない低濃度から中間濃度へかけての補正となっていた。また、転写部の転写能力の経時変化によって変動するトナー量の補正や、定着部における定着性の変化による画像濃度の変動を補正できないという欠点があった。
【0006】
これに対し、像担持体上に形成したパターン像を転写材に転写、定着したものをスキャナで読み取り、その読み取ったデータに基づいて階調補正テーブルの選択・作成を行ったり、色変換係数、RGB−YMCK色変換テーブルの作成を行う補正方法も提案されている。この方法は、上述した光学センサを用いた補正方法に比べて、排出された転写材を人の手によって原稿台に載置するなどのオペレータによる処理が必要となるが、トナーの付着量が多い高画像濃度部の補正が可能であり、転写部の経時変化、定着部における定着性の変化による画像濃度の変化を補正できるというメリットがある。このような補正方法としては、例えば特開平5−114962号公報記載の発明が知られている。
【0007】
一方、カラー複写機のような画像形成装置において使用されるスキャナにおいては、スキャナを構成するCCD(Charge Coupled Device)のRGBフィルタの分光特性の経時変化や、画像形成装置毎のばらつきにより、同じカラーパッチ・パターンあるいは階調パターンを読み取っても、使用する装置によりスキャナの読取り値が異なることがある。これをCCDのB(ブルー)フィルタの分光透過特性のばらつきを示す図32を参照して説明する。
【0008】
図32において、a)はCCDのBフィルタ1の分光透過率、b)はCCDのBフィルタ2の分光透過率、c)はイエロー(Y)トナーの分光反射率、d)は付着量が少ない場合のブラック(K)トナーの分光反射率である。横軸は波長で、縦軸はCCDの分光透過率あるいは分光反射率を表している。図中、a),b)はBフィルタの分光透過率のばらつきの一例である。ここでは、a),b)の分光特性は、h)の分シフトしたものと仮定するが、このような仮定をしない場合についても同様に考察することができる。
【0009】
すなわち、付着量が少ない場合のブラックトナーの分光反射率d)に対して、a)のBフィルタ1を透過した光と、b)のBフィルタ2を透過した光とを比較すると、領域e)の分a)を透過した光が多く、領域f)とg)を透過した光の分少ない。ここでは、a),b)の分光特性は、h)の分シフトしたものであるので、a)のBフィルタ1に対し、e)で透過した光量と、f),g)の遮光された光量とが等しくなり、ブラックトナーについてはブルー信号に対するa),b)のフィルタの差は小さい。
【0010】
上記の差を、厳密に比較するためには、光源の分光特性とCCDの感度の波長依存性とを考慮する必要があるが、スキャナのシェーディング補正の際に、グレーなどの分光反射率の可視光領域に対する波長依存性が少ない無彩色の反射板を使用することにより、a),b)の差は補正される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イエロー(Y)トナーに対しては、a),b)のフィルタの差は領域g)の透過/遮断光量の差として表れ、明らかにブラックトナーに対する差より大きくなる。また、この差は、無彩色の反射板を利用したシェーディング補正によっては補正されない。このようなCCDのフィルタの分光透過率のばらつきは、白やグレーなどの無彩色に対してはRGBデータが揃うように、シェーディング補正で補正されるが、分光特性に波長依存性を有する原稿に対しては十分に補正されず、出力されるRGBの値が装置毎に異なる場合がある。
【0012】
このような差は、YMCK各色の階調パターン、またはカラーパッチを記録した転写紙をスキャナで読み取り、この読取り値からプリンタ部の階調特性を補正する階調補正テーブル(γ補正テーブル)を作成する(自動階調補正−Auto Color Calibration :以下,ACCと称する)際に影響し、理想的な状態からのずれが生じる原因となっている。また、スキャナのCCDの経時変化により、分光透過特性が変化した場合や、使用するYMCKトナーの分光反射特性が変化した場合には、YMCKトナーの読取り値のRGB比が変化してしまう。このようにYMCKトナーに対するスキャナの読取り値のRGB比が変化した後に、変化する前のRGB比で補正した場合には、かえって適正な値からのずれが大きくなってしまう。
【0013】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、機械特性の経時変化やトナー色特性が変化した場合でも、その変化に応じて常に適切に補正値を設定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の手段は、原稿画像を光学的に走査して読み取る手段と、この読み取る手段からの入力画像信号を画像信号変換テーブルにより出力画像信号に変換して出力する手段と、前記出力画像信号に応じて像担持体上に画像情報を書き込む手段と、前記像担持体上の画像を転写材上に転写して画像を形成する手段と、複数の階調パターンを発生する手段と、この手段によって発生し、転写紙上に形成された階調パターンを前記画像を読み取る手段によって読み取った読み取り値に基づいて画像信号変換テーブルを作成・選択する手段と、を有する画像形成装置において、前記階調パターンの読取信号を分光感度の異なる複数の信号で構成するとともに、これらの分光感度の異なる複数の信号に対する補正係数を記憶する手段と、YMCKトナーのカラーパッチからなる前記階調パターンの読み取り値と、予め記憶されている複数の信号の読み取り値とから前記分光感度の異なる複数の信号の読み取り値の比を設定する手段とを備え、前記設定する手段によって設定された比を補正係数として前記記憶する手段に記憶し、この記憶する手段からの前記補正係数に基づいて前記階調パターンの読取信号を補正することを特徴とする。
【0023】
前記目的を達成するため、第2の手段は、原稿画像を光学的に走査して読み取る手段と、この読み取る手段からの入力画像信号を画像信号変換テーブルにより出力画像信号に変換して出力する手段と、前記出力画像信号に応じて像担持体上に画像情報を書き込む手段と、前記像担持体上の画像を転写材上に転写して画像を形成する手段と、複数の階調パターンを発生する手段と、この手段によって発生し、転写材上に形成された階調パターンを前記画像を読み取る手段によって読み込んだ階調パターンの読み取り信号および記憶手段に記憶された前記階調パターンの読み取り信号に対応した階調目標データである参照データに基づいて画像信号変換テーブルを作成・選択する手段とを有する画像形成装置において、前記参照データは分光感度の異なる複数の信号で構成されるとともに、これら分光感度の異なる複数の信号に対する補正係数を記憶する手段と、YMCKトナーのカラーパッチからなる前記階調パターンの読み取り値と、予め記憶されている複数の信号の読み取り値とから前記分光感度の異なる参照データの比を設定する手段とを備え、前記設定する手段によって設定された比を補正係数として前記記憶する手段に記憶し、この記憶する手段からの前記正係数に基づいて前記参照データを補正することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の画像形成装置を電子写真複写機(以下、単に複写機と称する)に実施した形態を例に取って説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態について説明する。図2は第1の実施形態に係る複写機本体の機械的構成を示す概略構成図である。
【0030】
図2において、複写機本体101の略中央に配置された像担持体としての直径が120mmの有機感光体(OPC)ドラム102の周囲には、この感光体ドラムの表面を帯電する帯電チャージャ103、一様に帯電された感光体ドラム102の表面上に半導体レーザ光を照射して静電潜像を形成するレーザ光学系104、静電潜像に各色トナーを供給して現像し、各色毎にトナー像を得る黒現像装置105、イエローY、マゼンタM、シアンCの3つのカラー現像装置106,107,108、感光体ドラム102上に形成された各色毎のトナー像を順次転写する中間転写ベルト109、この中間転写ベルト109に転写電圧を印加するバイアスローラ110、転写後の感光体ドラム102の表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置111、転写後の感光体ドラム102の表面に残留する電荷を除去する除電部112が順次配列されている。また、中間転写ベルト109に沿って転写されたトナー像を転写紙に転写する電圧を印加するための転写バイアスローラ113および転写紙に転写後に中間転写ベルト109に残留したトナー像をクリーニングするためのベルトクリーニング装置114が配設されている。
【0031】
中間転写ベルト109のトナー像を転写した後、中間転写ベルト109から剥離された転写紙を搬送する搬送ベルト115の出口側端部には、トナー像を加熱および加圧して定着させる定着装置116が配置されているとともに、この定着装置116の出口部には、排紙トレイ117が取り付けられている。
【0032】
レーザ光学系104の上部には、複写機本体101の上部に配置された原稿載置台としてのコンタクトガラス118、このコンタクトガラス118上の原稿に走査光を照射する露光ランプ119とを備え、原稿からの反射光を反射ミラー121によって結像レンズ122に導き、光電変換素子であるCCDのイメージセンサアレイ123に入射させる。CCDのイメージセンサアレイ123で電気信号に変換された画像信号は、図示しない画像処理装置を経て、レーザ光学系104中の半導体レーザを発振させる。
【0033】
次に、上記の複写機の制御系について図3を参照して説明する。図3は図2の複写機本体の制御系を説明するための図である。
【0034】
図3に示すように、制御系はメイン制御部(CPU)130を備え、このメイン制御部130に対してROM131およびRAM132が付設されている。メイン制御部130にはまた、インターフェイスI/O133を介してレーザ光学系制御部134、電源回路135、光学センサ136、トナー濃度センサ137、環境センサ138、感光体表面電位センサ139、トナー補給回路140、中間転写ベルト駆動部141、操作部142がそれぞれ接続されている。レーザ光学系制御部134は、レーザ光学系104のレーザ出力を調整するものであり、また電源回路135は、帯電チャージャ103に対して所定の帯電用放電電圧を与えるとともに、現像装置105,106,107,108に対して所定電圧の現像バイアスを与え、かつバイアスローラ110および転写バイアスローラ113に対して所定の転写電圧を与えるものである。
【0035】
光学センサ136は、感光体ドラム102の転写後の領域に近接配置される発光ダイオードなどの発光素子とフォトセンサなどの受光素子とからなり、感光体ドラム102上に形成される検知パターン潜像のトナー像におけるトナー付着量および地肌部におけるトナー付着量が各色毎にそれぞれ検知されるとともに、感光体除電後のいわゆる残留電位が検知されるようになっている。
【0036】
この光電センサ136からの検知出力信号は、図示を省略した光電センサ制御部に印加される。光電センサ制御部は、検知パターントナー像におけるトナー付着量と地肌部におけるトナー付着量との比率を求め、その比率値を基準値と比較して画像濃度の変動を検知し、トナー濃度センサ137の制御値の補正を行っている。
【0037】
更に、トナー濃度センサ137は、各現像装置105〜108内に存在する現像剤の透磁率変化に基づいてトナー濃度を検知する。トナー濃度センサ137は、検知されたトナー濃度値と基準値とを比較し、トナー濃度が一定値を下回ってトナー不足状態になった場合に、その不足分に対応した大きさのトナー補給信号をトナー補給回路140に印加する機能を備えている。電位センサ139は像担持体である感光体102の表面電位を検知し、中間転写ベルト駆動部141は中間転写ベルト109の駆動を制御する。
【0038】
例えばマゼンタ現像装置107内にはMトナーとキャリアを含む現像剤が収容されていて、現像剤攪拌部材202Mの回転によって攪拌され、現像スリーブ201M上で、現像剤規制部材によってスリーブ201M上に汲み上げられる現像剤を調整する。この供給された現像剤は、現像スリーブ201M上に磁気的に担持されつつ、磁気ブラシとして現像スリーブ201Mの回転方向に回転する。
【0039】
次に、画像処理部の電気的な構成を図1のブロック図に基づいて説明する。
【0040】
図1において、401はカラースキャナ、402はシェーディング補正回路、403はRGBγ補正回路、404は画像分離回路、405はMTF補正回路、406は色変換−UCR処理回路、407は変倍回路、408は画像加工(クリエイト)回路、409はMTFフィルタ、410はγ補正回路、411は階調処理回路、412はプリンタである。
【0041】
複写すべき原稿は、カラースキャナ401よりR,G,Bに色分解されて読み取られる。シェーディング補正回路402では、撮像素子の特性上のムラや光源の照明ムラなどが補正される。RGBγ補正回路403では、カラースキャナ401からの読取信号が反射率データから明度データに変換される。画像分離回路404では、文字部と写真部の判定、および有彩色、無彩色の判定が行われる。MTF補正回路405では、入力系の、特に高周波領域でのMTF特性の劣化を補正する。色変換−UCR処理回路406は、入力系の色分解特性と出力系の色材の分光特性の違いを補正し、忠実な色再現に必要な色材YMCの量を計算する色補正処理部と、YMCの3色が重なる部分をBk(ブラック)に置き換えるためのUCR処理とからなる。色補正処理部における色補正処理は下記のようなマトリクス演算を行うことにより実現できる。
【0042】
【数1】
【0043】
ここで、R゛,G゛,B゛は、R,G,Bの補数を示す。マトリクス係数ajiは入力系と出力系(色材)の分光特性によって決まる。ここでは、1次マスキング方程式を例に挙げたが、B゛2,B゛G゛のような2次項、あるいは更に高次の項を用いることにより、より精度良く色補正することができる。また、色相によって演算式を変えたり、ノイゲバウアー方程式を用いるようにしても良い。いずれの方法にしても、Y,M,CはB゛,G゛,R゛(またはB,G,Rでもよい)の値から求めることができる。
【0044】
一方、UCR処理は、各色毎に以下の式を用いて演算することにより行うことができる。
【0045】
Y′=Y−α・min(Y,M,C) ・・・(2)
M′=M−α・min(Y,M,C) ・・・(3)
C′=C−α・min(Y,M,C) ・・・(4)
Bk= α・min(Y,M,C) ・・・(5)
これら(2)ないし(5)式において、αはUCRの量を決める係数で、α=1のとき100%UCR処理となる。このαは一定値でも良く、また例えば、高濃度部では、αは1に近く、ハイライト部では、αを0に近くすることにより、ハイライト部での画像を滑らかにすることができる。
【0046】
MTF補正回路405と色変換−UCR処理回路406との間には、色相判定回路422が接続されている。この色相判定回路422で、RGB画像信号がRGBCMYのどの色相の信号であるかを判定し、各色相に応じた色変換係数選択する。
【0047】
変倍回路407は縦横変倍が行われ、画像加工(クリエイト)回路408はリピート処理などが行われる。MTFフィルタ409では、シャープな画像やソフトな画像など、使用者の好みに応じてエッジ強調や平滑化など、画像信号の周波数特性を変更する処理が行われる。γ補正回路410ではプリンタ412の特性に応じて、画像信号の補正が行われる、また、γ補正回路410では、地肌飛ばしなどの処理も同時に行うことができる。階調処理回路411では、ディザ処理またはパターン処理が行われる。
【0048】
また、スキャナ401で読み込んだ画像データを外部の画像処理装置などで処理したり、外部の画像処理装置からの画像データをプリンタ412に出力するためのインターフェイスI/F413,414が備えられている。
【0049】
以上の画像処理回路を制御するためのCPU415およびROM416、RAM417とはBUS418で接続されている。CPU415は、シリアルI/Fを通じてシステムコントローラ419と接続されており、図示しない操作部などからのコマンドが送信される。なお、特に説明はしないが、図1において421はパターン発生回路、422は色相判定回路、423はセレクタである。
【0050】
次にレーザ変調回路を図4に示すブロック図に基づいて説明する。なお、書込周波数は18.6MHzであり、1画素の走査時間は53.8nsecであるとする。8ビットの画像データは、ルックアップテーブル(LUT)451でγ変換を行うことができる。パルス幅変調回路(PWM)452で8ビットの画像信号上位3ビットの信号に基づいて8値のパルス幅に変換され、パワー変調回路((PM)453で下位5ビットの信号に基づいて32値のパワー変調が行われ、レーザダイオード(LD)454が変調された信号に基づいて発光する。フォトディテクタ(PD)455で発光強度をモニタし、1ドット毎に補正を行う。
【0051】
なお、レーザ光の強度の最大値は、画像信号とは独立に8ビット(256段階)に変えることができる。また、1画素の大きさに対し、主走査方向のビーム径((このビーム径は、静止時のビーム強度が最大値に対して1/e2 に減衰するときの幅として定義される。)は90%以下、望ましくは80%である。400DPI、1画素63.5μmでは、望ましいビーム径は50μm以下である。
【0052】
γ補正回路410で行われる階調変換テーブル(LUT)の作成手順について図5のフローチャートに基づいて説明する。この作成手順では、まず、全体の湾曲度を選択し(ステップ1001)、低画像濃度(ハイライト)部の湾曲度と高画像濃度(シャドー)部の湾曲度を選択する(ステップ1002,1003)。そして、画像濃度が所望の値になるように全体に係数IDMAXを掛けて階調変換曲線を作成する(ステップ1004)。
【0053】
上記のステップ1001の処理を図6に基づいて詳細に説明する。図6は、全体の湾曲度の選択を説明するための図である。基準となる階調曲線Aに対し、全体の湾曲度を変える階調変換をBとし、ハイライト領域(低濃度領域)の湾曲度を変える階調変換をCH、シャドー領域(高濃度領域)の湾曲度を変える階調変換をCSとする。そして、階調曲線Aを階調変換Bにより階調変換を行った結果の階調曲線をEとし、これをE=Bと(A)と表記する。
【0054】
これは、具体的には、プログラム言語Cの書式を用いて概略を表記すると、
【0055】
【数2】
【0056】
と表すことができる。ここで、BはAの湾曲度を変えるための関数である。
【0057】
この関数の一例としては、8ビット画像信号の場合、0=B(0,n)、255=B(255,n)(nは任意の整数)を満たす2次のベジェ関数を用いることができる。
【0058】
上記の条件を満たすベジェ関数は、図7に示すように始点P0(0,0)と終点P1(255,255)とを結ぶ直線P0P1と、この直線P0P1と交わる直線Lと、この直線L上に存在し、直線P0P1と直線Lとの交点からの距離dをパラメータとする制御点P3とから2次のベジェ曲線として表される。
【0059】
上記の関数では、関数Bの引数である整数curvatureに応じて距離dを比例させることにより、湾曲度を変えることができる。例として直線P0P1と直交する直線L1に対する場合と、図の縦軸に平行な直線L2に対する例について述べる。
【0060】
第1の例における制御点を、両端点P0,P1の作る線分P0P1の中心点Pc=(P0+P1)/2=(127.5,127.5)または、(127,127)あるいは(128,128)に対し、この点に対する距離dをパラメータとした時、制御点P3は
で与えられる。これにより、階調変換曲線P(d,t)は、
P(d,t)=P0・t2 +2P2(d)t(1−t)+P1(1−t)2 ・・・(7)
で与えられる。但し、tは0≦t≦1の媒介変数である。P(d,t)は、階調変換曲線への入力xと出力yの組(x,y)として与えられるので、関数B()への引数として与えられた整数Aからx=Aとして、上記の式(7)からtを求め、求められたtを再度式(7)に代入し、出力値yを求める。
【0061】
実際には、上記のような計算を毎回行う代わりに、予め(x,y)の全ての組(0≦x≦255)について求め、それをテーブルとして、ROM416中に記憶させておくことにより、計算時間を省略することができる。この階調補正テーブルを湾曲度を変えて数組(あるいは数10組)をROM416中に保持する。湾曲度は、上述した関数B()への引数curvatureで与えられる。
【0062】
これにより、<リスト1>は、次のように書き換えられる。
【0063】
【数3】
【0064】
なお、上記の例では、Table _max=9 としていることから、湾曲度が異なるテーブルの本数を9本としている。また、上記の例では、ベジェ曲線を用いたが、他にも、必要に応じて高次関数や指数・対数関数などを用いることもできる。
【0065】
また、前記ステップ1002および1003の処理についてもステップ1001の処理と同様にして、低画像濃度(ハイライト)領域、高画像濃度(シャドー)領域の湾曲度を変えることができる。そこで、<リスト1>をより一般的な形に書き直すと、以下のようになる。
【0066】
【数4】
【0067】
ハイライト変換曲線CH(h)、シャドー変換曲線CS(s)の変換を実行すると、
【0068】
【数5】
【0069】
と表すことができる。この中で、curvature,h,sは、それぞれ全体、ハイライト部、シャドー部の湾曲度を決める値である。なお、ハイライト部とシャドー部の湾曲は、互いに独立に作成される。
【0070】
ハイライト領域およびシャドー領域のように、特定の濃度領域の湾曲度を変えるための階調変換曲線は以下のように生成する。
【0071】
すなわち、始点P0と終点P1とを結ぶ直線P0P1と、この直線P0P1に交わる直線Lと、この直線L上に存在し、直線P0P1と直線Lとの交点からの距離dをパラメータとする制御点P2とから3次のベジエ曲線を用いて階調変換曲線を生成する。
【0072】
この場合も、前述の2次のベジエ曲線を用いたものと同様に、直線P0P1と直交する直線L1に対する場合と、図の縦軸に平行な直線L2(不図示)に対して実施したものについて述べる。
【0073】
ハイライト領域の階調特性を変える変換曲線は、図8に示すように、例えば次のように生成する。始点P0、終点P1をそれぞれP0=(0,0)、P1=(255,255)とし、第1の制御点P2をP2=(32,32)とする。
【0074】
前記図7に示した例における制御点P3は、直線P0P1と直線L1との交点からの距離dをパラメータとして、
P3(d)=(16,16)+(−d/√2,d/√2)
とする。また、第2の例における制御点P3は、直線P0P1と直線L1との交点からの距離dをパラメータとして、
P3(d)=(16,16)+(0,d)
とする。これらP0〜P3を用いて。階調変換曲線P(d,t)は、
【0075】
【数6】
【0076】
で与える。
【0077】
ここでは、終点として、P1=(255,255)としたが、終点P1をP1=(64,64)など、線分m:(0,0)−(255,255)上の点としてもよい。この時、線分m上で線分P0P1に含まれない線分は、階調変換としてそのまま恒等変換として用い、それ以外の領域がハイライト領域およびシャドー領域のように、特定の濃度領域の湾曲度を変えるための階調変換曲線として機能する。
【0078】
次に、画像濃度(階調性)の自動階調補正(ACC)の動作を図9から図15図に基づいて説明する。図9は画像濃度の自動階調補正の動作を示すフローチャート、図10は操作部を示す平面図、図11はACCメニューを呼び出した時の操作部の液晶表示画面を示す平面図、図12はプリンタ使用時用の自動階調補正の実行を選択した時の操作部の液晶表示画面を示す平面図、図13は印刷スタートキーを選択した時の転写紙上の濃度階調パターンを示す平面図、図14は転写紙にパターンが出力された後の操作部の液晶表示画面を示す平面図、図15は自動階調補正処理中の操作部の液晶表示画面を示す平面図である。
【0079】
複写機本体101の上部には、図10に示すように、前記コンタクトガラス118の手前側に、スタートボタン301、クリア/ストップボタン302、複写枚数などを設定するテンキー303などとともに、余熱/モードクリア、メモリコール、割込み操作、カラー調整/登録、プログラム、オプション、そしてエリア加工などの各種の操作を行うための複数の操作ボタン304が配設されている。また、これらボタンに囲まれるように液晶表示装置の表示画面(以下、液晶画面とも称する)305が配設されている。表示画面305は、表示個所を押圧し、または表示箇所に接触することにより信号を出力するタブレット機能を有している。
【0080】
図10に示す操作部142の液晶画面305で、ACCメニューを呼び出すと、液晶画面305は図11に示すようにその表示が切り替わる。コピー使用時、あるいはプリンタ使用時用の自動階調補正の[実行]を選択すると、液晶画面305の表示は図12に示すように切り替わる。コピー使用時を選択した場合には、コピー使用時に使用する階調補正テーブルが、プリンタ使用時を選択するとプリンタ使用時の階調補正テーブルが参照データに基づいて変更される。
【0081】
ここで、図12の表示画面305において印刷スタートを選択すると、図13に示すように、YMCK各色および文字と写真の各画質モードに対応した複数の濃度階調パターン311を転写紙310上に形成する(図9におけるステップ2001)。なお、312は位置指定マークである。この濃度階調パターンは、予め図1のコンピュータ420のROM中に記憶・設定がなされている。パターンの書込み値は、16進数表示で、00h,11h,22h,・・・EEh,FFhの16パターンである。図13では、地肌部を除いて階調分のパッチを表示しているが、00h−FFhの8ビット信号の内、任意の値を選択することができる。文字モードでは、パターン処理などのディザ処理を行わず、1ドット256階調でパターンが形成され、写真モードでは主走査方向に隣接した2画素ずつの書込み値の和を配分してレーザの書込み値が形成される。
【0082】
すなわち、1画素目の画素の書込み値がn1、2画素目の画素の書込み値がn2である場合のパターンの処理は、
n1+n2≦255の場合、
1画素目の書込み値:n1+n2
2画素目の書込み値:0
n1+n2>255の場合、
1画素目の書込み値:255
2画素目の書込み値:n1+n2−255
または、
n1+n2≦128の場合、
1画素目の書込み値:n1+n2
2画素目の書込み値:0
128<n1+n2≦256の場合、
1画素目の書込み値:128
2画素目の書込み値:n1+n2−128
256<n1+n2≦383の場合、
1画素目の書込み値:n1+n2−128
2画素目の書込み値:128
383<n1+n2の場合、
1画素目の書込み値:255
2画素目の書込み値:n1+n2−255
などと配分する。これ以外にも実際に画像形成時に使用しているパターン処理を用いる。
【0083】
転写紙310にパターン311が出力された後、その転写紙310をコンタクトガラス118上に載置するように、表示画面305の表示は図14のように切り替わる。
【0084】
パターン311が形成された転写紙310をコンタクトガラス118上に載置し(ステップ2002)、図14の表示画面305で読取りスタートを選択すると、スキャナ401が走行し、YMCK濃度パターン311のRGBデータを読み取る(ステップ2003)。この際、パターン部のデータと転写紙310の地肌部のデータを読み取る。
【0085】
パターン311の読取り値を、後で詳述するRGB補正値を用いて補正する((ステップ2004)。地肌データを用いた処理を行う場合(ステップ2005)には、読取りデータに対する地肌データ処理を行い(ステップ2006)、参照データの補正を行う場合(ステップ2007)には、参照データに対する高画像濃度部の処理(ステップ2008)を行った後、YMCK階調補正テーブルの作成・選択を行う(ステップ2009)。
【0086】
これらの処理をYMCKの各色(ステップ2010)、および写真や文字の各画質モードで行う(ステップ2011)。処理中は、表示画面305の表示が図15に示すように切り替わる。処理終了後のYMCK階調補正テーブルで画像形成を行った結果が望ましくない場合には、処理前のYMCK階調補正テーブルを選択することができるように、[元の値に戻す]キーが、図11に示すように、表示画面305に表示されている。
【0087】
次に、地肌の補正について説明する。
【0088】
地肌の補正処理の目的としては、2つある。1つは、ACC時に使用されている転写紙の白色度を補正することであり、他の1つは裏写りを補正することである。すなわち、前者は同一の装置に、同じ時に画像を形成しても、使用する転写紙の白色度によって、スキャナ401で読み取られる値が異なるためである。これを補正しない場合のデメリットとしては、例えば白色度が低い再生紙などをこのACCに用いると、再生紙は一般にイエロー成分が多いためイエローの階調補正テーブルを作成したときには、イエロー成分が少なくなるように補正する。この状態で、次に白色退が高いアート紙などにコピーした場合に、イエロー成分が少ない画像となって、望ましい色再現が得られない場合がある。
【0089】
後者は、ACC時に用いた転写紙の厚さ(紙厚)が薄い場合に、転写紙を押さえつける圧板などの色が透けてスキャナ401に読み取られて、コピーされる場合あるためである。例えば、圧板の代わりにADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる原稿自動送り装置を装着している場合には、原稿の搬送用にベルトを用いているが、このベルトに使用されるゴム系の材質により、白色度が低く、若干の灰色味があるものとなっていることがある。このような色の場合には、読み取られた画像信号も、見かけ上、全体に濃度が高くなった画像信号として読み取られるため、YMCK階調補正テーブルを作成する際に、その分濃度が薄くなるように作成する。この状態で、今度は紙厚が厚く、透過性が悪い転写紙を用いた場合には、全体の濃度が薄い画像として再現されるため、必ずしも望ましい画像が得られない。
【0090】
そこで上記のような不都合を防ぐために、紙の地肌部の画像信号によりパターン部の読取り画像信号の補正を行っている。
【0091】
しかしながら、上記の補正を行わない場合にもメリットがある。すなわち、再生紙のように常にイエロー成分が多い転写紙を用いる場合には、補正をしない方がイエロー成分が入った色に対しては色再現が良くなる場合ができる。また、紙厚が薄い転写紙のみしか用いない場合には、薄い紙に合わせた状態に階調補正テーブルが作成されるというメリットがある。
【0092】
上記のように、使用者の状況と好みに応じて、地肌部の補正のON/OFFを行うことができるように、表示画面305には、図11に示すように、地肌の補正を行うか、行わないかのキーが表示される。
【0093】
感光体上に形成した階調パターンの書込み値をLD(i)(但しi=0,1,・・・9)、形成されたパターンのスキャナ401での読取り値のベクトルを、V[t][i](r[t][i],g[t][i],b[t][i])(t=Y,M,CまたはK、i=0,1,・・・9)とする。なお、(r,g,b)の代わりに明度、彩度、色相角(L* ,c* ,h* )、あるいは明度、赤み、青み(L* ,a* ,b* )などで表してもよい。また、予めROM416またはRAM417中に記憶してある基準値となる白の読取り値を(r[W],g[W],b[[W])とする。
【0094】
ある画像濃度のパターンの番号をk番目とした時(例えば、画像濃度が最も高いパターンなどを選択する)、YMCK各トナーに対して、パターンの読取り値の大きさ(△r[t][k],△g[t][k],△b[t][k])をRGB信号の読取り値(r[t][i],g[t][i],b[t][i]から以下のように求める:
【0095】
【数7】
【0096】
一方、RAM417中には、YMCKトナーのそれぞれに対し、パターンの読取り値のRGB成分の大きさの割合、
【0097】
【数8】
【0098】
が記憶されている。(10)式の{〔k[s][t] 1}は、1近辺の小数をとることを意味しているが、複写機内部では以下のように、整数データとして保持している:
【0099】
【数9】
【0100】
例えば、n=10、2n =1024などである。このようにして求めたRGB信号の補正値であるk[s][t]の値を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
上記の表1に示されたRGB信号の補正データは、図19に示すように、複写機本体101の操作部の表示画面305に表示され、表示個所の該当する部分を指で押圧することによりそれら数値の入力ができる。入力れたデータはRAM417内に記憶される。
【0103】
上記の(9)、(10)式の値を用いて、スキャナ401での読取り値v[t][i](r[t][i],g[t][i],b[t][i])(t=Y,M,CまたはK、i=0,1,・・・9)を以下のように補正する。ここでは、t=C(シアン)の場合について説明する。シアントナーの読取り値のRGB成分は、
【0104】
【数10】
【0105】
と補正し、これを新たな(r[t][i],g[t][i],b[t][i])として、以下で用いる。
【0106】
次に、ACC実行時における、γ変換処理部であるγ補正回路410で行われる階調変換テーブル(LUT)の生成方法について説明する。
【0107】
パターンの読取り値v[t][i](r[t][i],g[t][i],b[[t][i])において、YMCトナーの各補色の画像信号はそれぞれb[t][i],g[t][i],r[t][i]であるので、それぞれの補色の画像信号のみを用いる。ここでは、後の記載を簡単にするために、a[t][i](i=0,1,・・・9:t=C,M,YまたはK)を用いて表す。階調変換テーブルを作成すると処理が簡単である。なお、ブラックトナーについては、RGBのいずれの画像信号を用いても十分な精度が得られるが、ここでは、G(グリーン)成分を用いる。
【0108】
参照データは、スキャナ401の読取り値v0[t][i](r0[t][i],g0[t][i],b0[t][i])および対応するレーザの書込み値LD[i](i=1,2,・・・10)の組によって与えられる。同様に、YMCの補色画像信号のみを用いて、後の記載を簡単にするために、
【0109】
【数11】
【0110】
と表す。
【0111】
YMCK階調変換テーブルは、前述したa[LD]とROM416中に記憶されている参照データA[n]とを比較することによって得られる。ここで、nはYMCK階調変換テーブルへの入力値であり、参照データA[n]は入力値nをYMCK階調変換した後のレーザ書込み値LD[i]で出力したYMCトナー・パターンをスキャナで読み取った読取画像信号の目標値である。なお、参照データA[n]は、プリンタの出力可能な画像濃度に応じて補正を行う参照データと、補正を行わない参照データの2種類がある。補正を行うかどうかの判断は、予めROM416またRAM417中に記憶されている後述する判断用データにより判断される。この補正については後述する。
【0112】
前述したa[LD]からA[n]に対応するLDを求めることにより、YMCK階調変換テーブルへの入力値nに対応するレーザ出力値LD[n]を求める。これを入力値i=0,1,2,・・・,255(8ビット信号の場合)に対して求めることにより、階調変換テーブルを求めることができる。
【0113】
その際、YMCK階調変換テーブルに対する入力値n=00h,01h,・・・FFh(16進数)に対する全ての値に対して、上記の処理を行う代わりに、n〔i〕=0,11h,22h,・・・FFhのような飛び飛びの値について上記の処理を行い、それ以外の点については、スプライン関数などで補間を行うか、あるいは予めROM416中に記憶されているYMCKγ補正テーブルの内、上記の処理で求めた(0、LD[0],[11h,LD〔11h〕]),(22h,LD〔22h〕]),・・・,(FFh,LD〔FFh〕])の組を通る最も近いテーブルを選択する。
【0114】
上記の処理を図16に示すグラフにより説明する。図16は、地肌の補正を説明するためのグラフである。図16の第1象限(a)の横軸はYMCMK階調変換テーブルへの入力値n、縦軸はスキャナ401の読取り値(処理後)で、前述した参照データA[i]を表す。スキャナ401の読取り値(処理後)は、階調パターンをスキャナ401で読取った値に対し、RGBγ変換(ここでは変換を行っていない)、階調パターン内の数ヶ所の読取りデータの平均処理および加算処理後の値であり、演算精度向上のためにここでは12ビットデータとして処理する。第2象限(b)の横軸は、縦軸と同じく、スキャナ401の読取り値(後処理)を表している。第3象限(c)の縦軸は、レーザ光(LD)の書込み値を表す。このデータa[LD]は、プリンタの特性を表す。また、実際に形成するパターンのレーザ光(LD)の書込み値は、00h(地肌),11h,22h,・・・EEh,FFhの16点であり、飛び飛びの値を示すが、ここでは検知点の間を補間し、連続的なグラフとして扱う。第4象限(d)のグラフはYMCK階調変換テーブルLD[i]で、このテーブルを求めることが目的である。
【0115】
グラフ(f)の縦軸および横軸は、グラフ(d)の縦軸・横軸と同じである。検知用の階調パターンを形成する場合には、グラフ(f)に示したYMCK階調変換テーブル(g)を用いる。最後のグラフ(e)の横軸は、第3象限(c)と同じであり、階調パターン作成時のLDの書込み値と階調パターンのスキャナ401の読取り値(後処理)との関係を表すための、便宜上の線形変換を表している。この図16のグラフからある入力値nに対して参照データA[n]が求められ、A[n]を得るためのLD出力LD[n]を階調パターンの読取り値a[LD]を用いて、図中の矢印(l)に沿って求める。
【0116】
次に、演算手順を図17に基づいて説明する。図17はACC実行時の階調変換テーブルの作成手順を示すフローチャートである。
【0117】
最初に、YMCKγ補正テーブルを求めるために必要な入力値を求める(ステップ3001)。ここでは、n[i]=11[h]×i(i=0,1,・・・、imax=15)とした。次に、参照データA[n]を、プリンタ412の出力可能な画像濃度に応じて補正を行う(ステップ3002)。ここで、プリンタ412で作成可能な最大画像濃度を得られるレーザの読込み値をFFh(16進数表示)であるとし、この時のパターンの読取り値m[FFh]をmmaxとする。低画像濃度側から中間画像濃度側にかけて補正を行わない参照データA[i]((i=0,1,・・・,i1)、高画像濃度側の補正を行わない参照データA[[i](i=i2+1,・・・,imax)(i2≧i1,i2≦imax−1)、補正を行う参照データA[i](i=i1+1,・・・i2)とする。
【0118】
以下では、RGBγ変換を行わない、原稿反射率に比例した画像信号として仮定して、具体的な計算方法を述べる。補正を行わない参照データの内、高画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i2+1]と、低画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i1]とから、そのデータの差△refを求める。すなわち、
【0119】
【数12】
【0120】
とする。
【0121】
一方、反転処理であるRGBγ変換を行わない反射率リニアあるいは明度リニアの場合には、△ref>0である。一方、プリンタ412で作成可能な最大画像濃度を得られるパターンの読取り値mmaxから、同様に差△detを求める。すなわち、
【0122】
【数13】
【0123】
とする。
【0124】
上記の式(11)と(12)とから、高濃度部の補正を行った参照データA[[i](i=i1+1,・・・,i2)を、
【0125】
【数14】
【0126】
とする。
【0127】
次に、ステップ3001で求めたn[i]に対応するスキャナ401の読取り画像信号m[i]を参照データA[n]から求める(ステップ3003)。実際には、飛び飛びのn[i]に対応する参照データA〔n[j]〕(0≦n[j]255,j=0,1,・・・jmax,n[j]≦n[k] for j≦k)を次のようにする。すなわち、n[j]≦n[i]<n[j+1]となるj〔0≦j≦jmax〕を求める。
【0128】
8ビット画像信号の場合、n[0]=0,n[jmax]=255、n[jmax+1]=n[jmax]+1、A[jmax+1]=A[jmax]として参照データを求めておくと計算が簡単になる。
【0129】
また、参照データの間隔は、n[j]はできるだけ小さい間隔である方が、最終的に求めるγ補正テーブルの精度が高くなる。
【0130】
上記のようにして求めたjから、m[i]を次式から求める。
【0131】
【数15】
【0132】
ここでは、一次式により補間したが、高次関数やスプライン関数などで補間をおこなってもよい。その場合には、
【0133】
【数16】
【0134】
とする。またk次関数の場合には、
【0135】
【数17】
【0136】
などとする。
【0137】
次いで、ステップ3003で求められたm[i]を得るためのLDの書込み値LD[i]をステップ3003と同様な手順によって求める(ステップ3004)。すなわち、RGBγ変換を行っていない画像信号データを処理する場合には、LDの値が大きくなるに応じて、a[LD]が小さくなる。つまり、
【0138】
【数18】
【0139】
となる。
【0140】
ここで、パターン形成時の値をLD[k]=00h,11h,22h,・・・,66h,88h,AAh,FFh,(k=0,1,・・・9)の10値とした。これはトナー付着量が少ない画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナ401の読取り値の変化が大きいため、パターンの書込み値LD[k]の間隔を密にし、トナー付着量が多い画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナ401の読取り値の変化が小さいために、間隔を広げて読み込むようにしたためである。
【0141】
これによるメリットとしては、LD[k]=00h,11h,22h,・・・,EEh,FFh(計16点)などとパターンの数を増やす場合に比べて、トナー消費を抑えられること、また、高画像濃度領域では、LD書込み値に対する変化が少ないこと、感光体上の電位ムラ、トナーの付着ムラ、電位ムラなどの影響で、読取り値が逆転し易いため、LD書込み値の間隔を狭めても必ずしも精度の向上に有効ではないことなどから、上記のようなLD書込み値でパターンを形成している。
【0142】
ここで、
【0143】
【数19】
【0144】
とする。
【0145】
0≦k≦kmax[kmax>0]としたとき、a〔LD[kmax]>m[[i]の場合(参照データから求めた目標値の画像濃度が高い場合)には、
【0146】
【数20】
【0147】
として、1次式で外挿を行うことによって予測する。
【0148】
これにより、YMCKγ補正テーブルへの入力値n[i]と出力値LD[i]の組〔n[i],LD[i]〕(i=0,1,・・・,15)が求められる。
【0149】
そして、求められた〔n[i],LD[i]〕(i=0,1,・・・,15)を元に、スプライン関数などで内挿を行うか、あるいはROM416中に有しているγ補正テーブルを選択する(ステップ3005)。
【0150】
次に、上述した補正階調曲線の作成に関して、ROM416中に記憶されているγ補正テーブルの選択方法を図18により説明する。図18は、ACC実行時の階調変換テーブルの選択手順を示すフローチャートである。
【0151】
まず、γ補正テーブル全体にかける係数IDMAX[%]を求める(ステップ4001)。ここで、n[imax]=FFhの場合には、IDMAX=LD[[imax]/FFh×100[%]とする。また、ここでは、LD’[i]=LD[i]×100/IDMAXとして、YMCKγ補正テーブルへの出力値LD[i]を置き換える。これにより、γ補正テーブルの選択に際して、IDMAXを考慮せずに済む。
【0152】
次に、全体、ハイライト部、シャドー部の湾曲部の指標であるcurvature,h,sを選択する。そのため、最初は全体の湾曲度mを選択する(ステップ4002)。基本的な考え方は、最終的に求められた階調変換曲線E[j]((0≦j≦255)と、YMCKγ補正テーブルへの入力値n[i]と出力値LD[i]の組(n[i],LD[i])(0≦i≦15)の誤差の自乗和
【0153】
【数21】
【0154】
(以後、誤差と称する)を最も小さくするようにmを選択する。ここで、wiは、i番目のYMCKγ補正テーブルへの入力値に対する重みである。この時、ハイライト部の誤差が大きいと、望ましい結果が得られないので、特にハイライト部の重みwiを大きくし、できるだけ誤差を小さくするようにする。
【0155】
同様に、誤差を最小とするハイライト部の湾曲度hを求め(ステップ4003)、次に、誤差を最小とするシャドー部の湾曲度sを求める(ステップ4004)。このようにして求めた、(h_min,m_min,s_min)およびIDMAXを新たな補正階調曲線の湾曲度として用いる。
【0156】
次に、図20から図23により、外部装置によるRGB信号の補正値の設定と入力の具体例を説明する。図20は、RGB信号の補正値の設定と入力を行うための構成の一例を示す概略構成図、図21は図20の電気的な構成を示すブロック図、図21は第2の実施の形態におけるRGB信号の補正値の設定と入力を行うための作成手順を示すフローチャート、図23は転写紙に転写されたカラーパッチの一例を示す平面図である。
【0157】
図20に示すように、複写機本体101には、RGB信号の補正値を演算する演算装置であるコンピュータ321が、相互に通信可能なように、有線通信手段により接続されている。コンピュータ321はデータ処理も兼ねる制御用のコンピュータで構成される。なお、複写機本体101とコンピュータ321との間は無線通信手段で接続してもよい。
【0158】
図21のブロック図に示すように、複写機本体101には不揮発RAM322を有し、既知の分光反射特性を有するカラーパッチを読み取る。コンピュータ321には記憶装置323が接続されている。
【0159】
これら装置を使用してのRGB信号の補正値の作成手順を図22のフローチャートにより説明すると、既知の分光反射特性を有するYMCKのカラーパッチ324を複写機本体のコンタクトガラス118上に載置する(ステップ5001)。カラーパッチ324は、図23に示すように転写紙311に転写されたもので説明すると、YMCKのインキなどで塗装されたカラーパッチからなる。図23ではYMCKそれぞれについて、2種類の色合いを図示しているが、色合いは1種類でもよい。次いで、複写機本体101のスキャナ401により、カラーパッチ324を読み取り、RGB信号の読取り値を得る(ステップ5002)。このカラーパッチ324の読取り値を外部演算装置であるコンピュータ321にダウンロードする(ステップ5003)。
【0160】
コンピュータ321にダウンロードされたカラーパッチ324のRGB信号の読取り値v[t][s](t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB)と、標準的な分光特性を有するCCDで読み取った場合のRGB信号の読取り値v0[t][s](t=Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB)とを比較し、それぞれの比k[t][s](t=Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB)を求める(ステップ5004)。なお、この演算は複写機本体101側で行ってもよい。次いで、コンピュータ321から求めたRGB信号の補正値を複写機本体101にアップロードし(ステップ5005)、複写機本体101は得られたRGB信号の補正値を不揮発RAM322内に記憶する(ステップ5006)。
【0161】
このようにして、RGB信号の補正値をコンピュータ321により作成し、複写機本体101に転送し、複写機本体101では、得られたRGB信号の補正値を不揮発RAM322中に保持する。不揮発RAM322中に記憶されたRGB信号の補正値は、複写機本体101電源投入直後に、CPU130に転送され、CPU130のRAM132中に保持される。CPU130のRAM132中に保持されたRGB信号の補正値は、上述したACC実行時に使用される。
【0162】
これは次のように処理を行う。
【0163】
【数22】
【0164】
ここで、t=Wは、基準となる白の読取り値である。なお、この値は、分光反射特性が既知であれば、転写紙311の白でも良いし、また理想的な白、一例として、8ビット信号の△v[t][s]=250などでもよい。
【0165】
上記の例では、インキなどで塗装されたカラーパッチ324を用いたが複写機本体101が出力した塗りつぶされたトナーパッチを用いてもよい。この場合を、図24および図25により説明する。図24はRGB信号の補正値の設定と入力を行うための別の例を示すブロック図、図25は図24におけるRGB信号の補正値の設定と入力を行うための作成手順を示すフローチャートである。
【0166】
図24に示すように、この例では、複写機本体101からトナーパッチ324aを得ている以外は、上述した図21の構成を同じであるので、重複する説明は省略する。また、作成手順を示す図25のフローチャートにおいても、カラーパッチ324を複写機本体101のコンタクトガラス118上に載置するステップ6001が異なる以外は、ステップ6002から6007は図22のステップ5001から5006と全く同じであるので、それらステップの説明も省略する。
分光反射特性を既知とするためには、分光測色計などを用いて、分光反射特性ρ(t,λ)(波長λ[nm],t=W,Y,M,CまたはK)を測定すると同時に、標準的なCCDの分光透過特性τ[s,λ](s=R,GまたはB)と、標準的な光源の分光特性E0[λ]とから、以下のように計算から求めてもよい。
【0167】
【数23】
【0168】
ここで、Aは比例定数、λは波長である。
【0169】
上記の式(18)を用いてRGB補正値を演算する場合の更に別の例を図26と図29により説明する。図26はRGB信号の補正値の設定と入力を行うための構成の更に別の例を示す概略構成図、図27は図26の電気的な構成を示すブロック図、図28は図26の構成においてトナーにより作成したカラーパッチを用いた場合の電気的な構成を示すブロック図、図29は図27および図28におけるRGB信号の補正値の設定と入力を行うための作成手順を示すフローチャートである。
【0170】
図26の構成は、コンピュータ321に分光測色装置331が接続されている以外は、上述した図20の例と同じである。また、図27のブロック図においては、コンピュータ321と記憶装置323および分光測色装置331とで画像濃度調整装置332を構成している。更に、トナーにより作成したトナーパッチ324aをカラーパッチとする場合には、複写機本体101によりトナーパッチ324aが作成されるので、図28に示すようなブロックになる。
【0171】
これらの構成によりRGB信号の補正値の作成手順を、図29のフローチャートにより説明すると、まず、カラーパッチを出力する(ステップ7001)。次に既知の分光反射特性を有するYMCKのカラーパッチを複写機本体101の原稿台のコンタクトガラス118上に載置する(ステップ7002)。続いて,複写機本体101のカラースキャナ401により、カラーパッチを読み取り、RGB信号の読取り値を得る(ステップ7003)。一方、外部演算装置であるコンピュータ321では、複写機本体101からのカラーバッチの読取り値をダウンロードする(ステップ7004)、分光測色装置331で複写機本体101が出力したカラーパッチを読み取る(ステップ7005)。
【0172】
そして、コンピュータ321内にダウンロードされたカラーパッチのRGBの読取り値v[t][s]〔t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB〕と、分光反射率の測定結果から、標準的な分光特性を有するCCDで読み取った場合のRGBの読取り値v0[t][s]〔t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB〕を式(18)に基づいて演算し、それぞれの比k[t][s]〔t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB〕を求める(ステップ7006)。次に、コンピュータ321から求めたRGB信号の補正値を複写機本体101にアップロードし(ステップ7007)、そして複写機本体101では得られたRGB信号の補正値を不揮発RAM322内に記憶する(ステップ7008)。
【0173】
上述した例では、コンピュータ321を外部演算装置として用いているが、上記の式(16)の値を予め複写機本体101の不揮発RAM322またはROM416に記憶させておき、上記の式(17)の処理を行うようにしてもよい。この場合の手順を図30のフローチャートにより次に説明する。すなわち、YMCKの階調パターン(カラーパッチ)を複写機本体101の原稿台のコンタクトガラス118上に載置し(ステップ8001)、複写機本体101のカラースキャナ401によりカラーパッチを読み取り、RGB信号の読取り値を得る(ステップ8002)。次いで、カラーパッチのRGBの読取り値v[t][s]〔t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB〕と、予め記憶されている標準的な分光特性を有するCCDで読み取った場合のRGBの読取り値v0[t][s]〔t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB〕とを比較し、それぞれの比k[t][s]〔t=W,Y,M,CまたはK:s=R,GまたはB〕を求める(ステップ8003)。そして、複写機本体101では、得られたRGB信号の補正値を不揮発RAM322内に記憶する(ステップ7008)。
【0174】
なお、画像形成装置をプリンタとして使用するために、プリンタコントローラを接続した場合には、プリンタコントローラに接続したホストコンピュータからのデータ出力の際、あるいはプリンタ設定コマンドの中に上記の補正値を設定するコマンドを設けて、RGB補正値を設定してもよい。また、メモリカードが使用できるようになっている場合には、メモリカード内に上記の補正値を記憶させ、画像形成装置の使用時にデータを読み出せるようにしても良い。
【0175】
[第2の実施形態]
これまでに述べた第1の実施形態においては、階調パターンを読み取った読み取り値に基づいて画像信号変換テーブルを作成し、選択するようにしているが、転写材上に形成された階調パターンを読み込んだ読み取り信号および記憶手段に記憶された階調パターンの読み取り信号に対応した参照データ(階調目標データ)に基づいて画像信号変換テーブルを作成し、選択するようにすることもできる。この実施形態について以下、説明する。なお、この第2の実施形態においては、前述の第1の実施形態と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0176】
参照データは、階調変換テーブルへの入力値n(n=0,1,2,・・・,255)と、スキャナ401の読取り値(r[t][i],g[t][i],b[[t][i])の目標値であり、参照データは以下のように表される。
【0177】
Ar[t][n](0≦n≦255,t=Y,M,CまたはK)
Ag[t][n](0≦n≦255,t=Y,M,CまたはK)・・(19)
Ab[t][n](0≦n≦255,t=Y,M,CまたはK)
ここで、Ar,Ag,Abはそれぞれレッド信号、グリーン信号、ブルー信号に対する参照データで、YMCKはトナー色を表す。
【0178】
上記の式(19)は、8ビット信号処理で、階調変換テーブルへの入力値の取り得る値、すなわち0から255値までの256値に対応する参照データをメモリ中に保存していることを表している。このようにして256値の参照データをメモリ中に記憶しておくことにより、後述する処理を簡単にすることができるが、参照データを記憶するためのメモリの量を節約するために、n[0]=0,n[[i]=26×i−5(i=1,2,・・・,10)を一例としたいくつかのn[i](この場合には、16個)の値と対応する上記(19)式の参照データとの組である、
をメモリ中に記憶して、n[i](i=0,1,2,・・・,10)以外のn((上記の例では、n=1〜20など)に対応する参照データAr[t][n[i]]などは、後述するように、補間を行うことによって算出してもよい。一例としては、n[i]≦n≦n[i+1](n=1〜20に対しては、i=0,n[0]=0,n[1]=21)に対応する参照データAr,g,b[t][n[i]],Ar,g,b[t][n[i+1]]を用いて補間を行うことにより求めればよい。
【0179】
一方、RAM417中には、YMCKトナーのそれぞれに対し、パターンの読取り値の参照データにおけるRGB成分の大きさの割合が前述の(10)式に示したように記憶されている。(10)式のk[s][t]は、1近辺の値をとる。ただし、複写機内部では[数9]で示したように、整数データとして保持している。このようにして求めたRGB信号の補正値であるk[s][t]の値は前述の表1と同様である。
【0180】
表1に示されたRGB信号の補正データは、図19に示すように、複写機本体101の操作部の表示画面305に表示され、表示個所の該当する部分を指で押圧することによりそれら数値の入力ができる。入力れたデータはRAM417内に記憶される。
【0181】
一例として、t=C(シアン)の場合について説明する。シアントナーの参照データのGGB成分を、
と補正する。なお、上記式(21)におけるiは、i=0,1,2,・・・,10とする。ここで、(Arl[C][n[i],Agl[C][n[i],Abl[C][n[i])は、それぞれ補正後の参照データのRGB成分を表し、((Ar[C][n[i]],Ag[C][n[i]],Ab[C][n[i]]は、それぞれ補正前の参照データを表している。また、Ar[W],Ag[W],Ab[W]は、それぞれ白色(使用するスキャナ401にとって最も明るい色)を読み取った時のRGB信号である。この値は読取り値が8ビット信号である場合には0から255値の範囲にあり、0値は最も暗い画像濃度、すなわち反射率、または透過率が低い物体を読み取ったときのスキャナ401のCCDが検知する光量、255値は最も明るい画像濃度、すなわち反射率、または透過率が高い物体を読み取ったときのスキャナ401のCCDが検知する光量である。
【0182】
なお、上記の場合より若干精度が低下するが、実使用上は、
Ar[W]=Ar[C][0]
Ag[W]=Ag[C][0]
Ab[W]=Ab[C][0]
としてもよい。ここで、Ar[C][0],Ag[C][0],Ab[C][0]は紙の地肌部を読み取った値である。なお、紙の地肌部を読み取る際には、紙の裏面に紙を数枚重ねていわゆるホワイトバックにして紙の裏当てが暗くならないように注意すれば、精度の低下を防ぐことができる。
【0183】
別の例として、同様にt=C(シアン)の場合を示すと、
として処理することも実用上は可能である。ここで上記式(22)におけるiはi=0,1,2,・・・,10とする。ただし、i=0,n[0]、すなわち、階調補正テーブルへの入力値が0の場合には、式(22)の補正は行わないようにする。式(22)で用いるK[r][C],K[g][C],K[b][C]の値と、式(21)で用いたK[r][C],K[g][C],K[b][C]の値とは、同一ではなく、使用する式によって数値を適正な値に変更する必要がある。なお、処理を簡単にするために、上式の(Arl[C][n[i]],Agl[C][n[i]],Abl[C][n[i]])を、新たな(Ar[t][n[i]],Ag[t][n[i]],Ab[t][n[i]])として、以下で用いる。
【0184】
次に、ACC実行時における、γ変換処理部であるγ補正回路410で行われる階調変換テーブル(LUT)の生成方法について説明する。
【0185】
YMCトナーの各補色の画像信号はそれぞれブルー、グリーン、レッドなので、処理を簡単にするために、上記の参照データAr[t][i],Ag[t][i],Ab[t][i]のうち、各トナーに対する補色の参照データAb[t][i],Ag[t][i],Ar[t][i]を用いる。この取り扱いは、使用するトナーの分光(反射)特性が大きく変化しない場合、つまり色味が変わらない場合に有効である。ここでは、後の記載を簡単にするために、
A[t][n[i]]
(0≦n[i]≦255:i=1,2,・・・,10:t=C,M,Y)
を用いて表す。なお、ブラックトナーについては、RGBのいずれの画像信号を用いても十分な精度が得られるが、ここでは、G(グリーン)成分を用いる。
【0186】
同様に、読取り信号も補色の画像信号のみを用いて
a[t][i](i=0,1,・・・9,t=C,M,Y,K)
で表す。また、ある色のトナーt(t=C,M,Y,K)に対する参照データA[t][i]とレーザ光(LD)の書込み値a[t][i]とを、以下ではA[[i]とa[t][i]と略して表記する。
【0187】
次に、演算手順を図31に基づいて説明する。図31はACC実行時の階調変換テーブルの作成手順を示すフローチャートである。
【0188】
最初に、YMCKγ補正テーブルを求めるために必要な入力値を求める(ステップ3001)。ここでは、n[i]=11[h]×i(i=0,1,・・・,imax=15)とした。次いで、前述した手順で参照データA[n]をRGB信号の補正値k[s][t]で補正する(ステップ3002)。次に、参照データA[n]を、プリンタ412の出力可能な画像濃度に応じて補正を行う(ステップ3002a)。ここで、プリンタ412で作成可能な最大画像濃度を得られるレーザの読込み値をFFh(16進数表示)であるとし、この時のパターンの読取り値m[FFh]をmmaxとする。低画像濃度側から中間画像濃度側にかけて補正を行わない参照データA[i](i=0,1,・・・,i1)、高画像濃度側の補正を行わない参照データA[i](i=i2+1,・・・,imax−1)(i2≧i1,i2≦imax−1)、補正を行う参照データA[i]((i=i1+1,・・・i2)とする。
【0189】
以下では、RGBγ変換を行わない原稿反射率に比例した画像信号として仮定して、具体的な計算方法を述べる。補正を行わない参照データの内、高画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i2+1]と、低画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i1]とから、そのデータの差△refを求める。すなわち、
△ref=A[il]−A[i2+1] ・・・(23)
とする。
【0190】
一方、反転処理であるRGBγ変換を行わない反射率リニアあるいは明度リニアの場合には、△ref>0である。また、プリンタ412で作成可能な最大画像濃度を得られるパターンの読取り値mmaxから、差△detを求める。すなわち、
△det=A[il]−mmax ・・・(24)
とする。
【0191】
上記の式(14)と(15)とから、高濃度部の補正を行った参照データA[[i](i=i1+1,・・・,i2)を、
とする。
【0192】
次に、ステップ3001で求めたn[i]に対応するスキャナ401の読取り画像信号n[i]を参照データA[n]から求める(ステップ3003)。実際には、飛び飛びのn[j]に対応する参照データA(n[j])(0≦n[j]255,j=0,1,・・・jmax,n[j]≦n[k] for j≦k)を次のようにする。すなわち、n[j]≦n[i]<n[j+1]となるj(0≦j≦jmax)を求める。
【0193】
8ビット画像信号の場合、n[0]=0,n[jmax]=255、n[jmax+1]=n[jmax]+1、A[jmax+1]=A[jmax]として参照データを求めておくと計算が簡単になる。
【0194】
また、参照データの間隔は、n[j]はできるだけ小さい間隔である方が、最終的に求めるγ補正テーブルの精度が高くなる。
【0195】
上記のようにして求めたjから、目標値m[i]を次式から求める。
【0196】
ここでは、一次式により補間したが、高次関数やスプライン関数などで補間をおこなってもよい。その場合には、
m[i]=f(n[i])
とする。またk次関数の場合には、前述の[数17]などとする。
【0197】
次いで、ステップ3003で求められた目標値m[i]を得るためのLDの書込み値LD[i]をステップ3003と同様な手順によって求める(ステップ3004)。すなわち、RGBγ変換を行っていない画像信号データを処理する場合には、LDの値が大きくなるに応じて、a[LD]が小さくなる。つまり、
LD[k]<LD[k+1]
に対して、
a[LD[k]]≧a[LD[k+1]]
となる。
【0198】
ここで、パターン形成時のLDの値をLD[k]=00h,11h,22h,・・・,66h,88h,AAh,FFh,(k=0,1,・・・9)の10値とした。これはトナー付着量が少ない画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナ401の読取り値の変化が大きいため、パターンの書込み値LD[k]の間隔を密にし、トナー付着量が多い画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナ401の読取り値の変化が小さいために、間隔を広げて読み込むようにしたためである。
【0199】
これによるメリットとしては、LD[k]=00h,11h,22h,・・・,EEh,FFh(計16点)などとパターンの数を増やす場合に比べて、トナーの消費を抑えられること、また、高画像濃度領域では、LD書込み値に対する変化が少ないこと、感光体上の電位ムラ、トナーの付着ムラ、電位ムラなどの影響で、読取り値が逆転し易いため、LD書込み値の間隔を狭めても必ずしも精度の向上に有効ではないことなどから、上記のようなLD書込み値でパターンを形成している。
【0200】
ここで、
a[LD[k]]≧m[i]>a[LD[k+1]]
となるLD[k]に対して、
とする。
【0201】
0≦k≦kmax(kmax>0)としたとき、a[LD[kmax]]>m[i]の場合(参照データから求めた目標値の画像濃度が高い場合)には、
として、1次式で外挿を行うことによって予測する。なお、1次式のほかに、対数を取るなどして他の方法で外挿を行ってもよい。
【0202】
これにより、YMCKγ補正テーブルへの入力値n[i]と出力値LD[i]の組(n[i],LD[i])(i=0,1,・・・,15)が求められる。
【0203】
そして、求められた(n[i],LD[i])(i=0,1,・・・,15)を元に、スプライン関数などで内挿を行うか、あるいはROM416中に有しているγ補正テーブルを選択する(ステップ3005)。
【0204】
その他、特に説明しない各部および各動作並びに各処理は前述の第1の実施形態と同様である。
【0205】
【発明の効果】
これまでの説明で明らかなように、請求項1記載の発明によれば、機械特性の経時変化やトナー色特性が変化した場合でも、その変化に応じて常に適切な値を補正値として設定することができ、市場においてはサービスマンやユーザが適切な補正値を簡単な操作で設定することができる。
【0206】
請求項2記載の発明によれば、機械特性の経時変化やトナー色特性が変化した場合でも、その変化に応じて常に適切な値を補正値として記憶させることができ、良好なカラーバランスおよび階調のための階調補正テーブルをACC実行により得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像処理部の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における複写機本体の機構の概略を示す機構図である。
【図3】図2の複写機本体の制御系を説明するための図である。
【図4】第1の実施の形態におけるレーザ変調回路を示すブロック図である。
【図5】階調変換テーブルの作成手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】全体の湾曲度の選択を説明するための図である。
【図7】選択された湾曲度を説明するための図である。
【図8】ハイライト領域の階調特性を変える変換曲線の一例を示す図である。
【図9】画像濃度の自動階調補正の動作を示すフローチャートである。
【図10】操作部を示す平面図である。
【図11】ACCメニュー呼出し時の操作部の液晶表示画面を示す平面図である。
【図12】プリンタ使用時用の自動階調補正の実行を選択した時の操作部の液晶表示画面を示す平面図である。
【図13】印刷スタートキーを選択した時の転写紙上の濃度階調パターンを示す平面図である。
【図14】転写紙にパターンが出力された後の操作部の液晶表示画面を示す平面図である。
【図15】自動階調補正処理中の操作部の液晶表示画面を示す平面図である。
【図16】地肌の補正を説明するためのグラフである。
【図17】ACC実行時の階調変換テーブルの作成手順を示すフローチャートである。
【図18】ACC実行時の階調変換テーブルの選択手順を示すフローチャートである。
【図19】RGB補正データを表示する操作部の液晶表示画面を示す平面図である。
【図20】RGB信号の補正値の設定と入力を行うための構成の一例を示す概略構成図である。
【図21】図20の電気的な構成を示すブロック図である。
【図22】RGB信号の補正値の設定と入力を行うための作成手順を示すフローチャートである。
【図23】転写紙に転写されたカラーパッチの一例を示す平面図である。
【図24】RGB信号の補正値の設定と入力を行うための別の例を示すブロック図である。
【図25】図24におけるRGB信号の補正値の設定と入力を行うための作成手順を示すフローチャートである。
【図26】RGB信号の補正値の設定と入力を行うための更に別の例を示す概略構成図である。
【図27】図26の電気的な構成を示すブロック図である。
【図28】図26の構成においてトナーパッチを用いた場合の電気的な構成を示すブロック図である。
【図29】図27および図28におけるRGB信号の補正値の設定と入力を行うための作成手順を示すフローチャートである。
【図30】RGB信号の補正値を演算する場合の、更に別の手順を示すフローチャートである。
【図31】第2の実施形態におけるACC実行時の階調変換テーブルの作成手順を示すフローチャートである。
【図32】従来のCCDのブルーフィルタにおける分光透過特性のバラつきを示すグラフである。
【符号の説明】
101 複写機本体
102 感光体ドラム
103 帯電チャージャ
104 レーザ光学系
105,106,107,108 現像装置
130 メイン制御部
401 カラースキャナ
402 シェーディング補正回路
403 RGBγ補正回路
404 画像分離回路
405 MTF補正回路
406 色変換−UCR処理回路
407 変倍回路
408 画像加工(クリエイト)回路
409 MTFフィルタ
410 γ補正回路
411 階調処理回路
412 プリンタ
415 CPU
416 ROM
417 RAM
Claims (2)
- 原稿画像を光学的に走査して読み取る手段と、この読み取る手段からの入力画像信号を画像信号変換テーブルにより出力画像信号に変換して出力する手段と、前記出力画像信号に応じて像担持体上に画像情報を書き込む手段と、前記像担持体上の画像を転写材上に転写して画像を形成する手段と、複数の階調パターンを発生する手段と、この手段によって発生し、転写紙上に形成された階調パターンを前記画像を読み取る手段によって読み取った読み取り値に基づいて画像信号変換テーブルを作成・選択する手段と、を有する画像形成装置において、
前記階調パターンの読取信号を分光感度の異なる複数の信号で構成するとともに、これらの分光感度の異なる複数の信号に対する補正係数を記憶する手段と、
YMCKトナーのカラーパッチからなる前記階調パターンの読み取り値と、予め記憶されている複数の信号の読み取り値とから前記分光感度の異なる複数の信号の読み取り値の比を設定する手段と、を備え、
前記設定する手段によって設定された比を補正係数として前記記憶する手段に記憶し、この記憶する手段からの前記補正係数に基づいて前記階調パターンの読取信号を補正することを特徴とする画像形成装置。 - 原稿画像を光学的に走査して読み取る手段と、この読み取る手段からの入力画像信号を画像信号変換テーブルにより出力画像信号に変換して出力する手段と、前記出力画像信号に応じて像担持体上に画像情報を書き込む手段と、前記像担持体上の画像を転写材上に転写して画像を形成する手段と、複数の階調パターンを発生する手段と、この手段によって発生し、転写材上に形成された階調パターンを前記画像を読み取る手段によって読み込んだ階調パターンの読み取り信号および記憶手段に記憶された前記階調パターンの読み取り信号に対応した階調目標データである参照データに基づいて画像信号変換テーブルを作成・選択する手段とを有する画像形成装置において、
前記参照データは分光感度の異なる複数の信号で構成されるとともに、これら分光感度の異なる複数の信号に対する補正係数を記憶する手段と、
YMCKトナーのカラーパッチからなる前記階調パターンの読み取り値と、予め記憶されている複数の信号の読み取り値とから前記分光感度の異なる参照データの比を設定する手段と、を備え、
前記設定する手段によって設定された比を補正係数として前記記憶する手段に記憶し、この記憶する手段からの前記正係数に基づいて前記参照データを補正することを特徴とする画像形成装置。
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