JP3675953B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人体に有害な金属である鉛やカドミウムを含まない特定の安定剤系を配合したことにより安定化された塩化ビニル系樹脂組成物を被覆してなる絶縁電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可塑剤を配合した軟質のポリ塩化ビニル(以下PVCともいう)樹脂組成物は様々な工業製品に幅広く用いられている材料である。例えばその良好な電気絶縁性より電線被覆用等として汎用されている。
【0003】
しかしながら、PVCは熱や光にさらされた場合、脱塩化水素が進み劣化する欠点を持つ。かかる欠点を克服するために熱安定剤を添加し、加工時における熱劣化を抑制している。そして、このような熱安定剤として、電線被覆用PVC組成物には鉛系の熱安定剤がその電気的特性、着色性、熱安定性、価格及び成形加工性に優れることから用いられてきた。
【0004】
最近になってPVC樹脂組成物の鉛安定剤を別の安定剤に置き換える動きがでてきた。これは鉛化合物の毒性、それらを含む有害なプラスチックの廃棄問題、さらには、これら理由からの鉛を含む重金属の使用が将来法的に規制される懸念が生じているためである。
【0005】
鉛に代わり得る安定剤として従来より有機酸のバリウム、マグネシウム、カルシウム、カドミウム、亜鉛等の金属塩を組合わせた安定剤や有機錫系の安定剤等が知られている。これらのうち、有機酸のカドミウム塩は安定剤としての効果の点からは十分に鉛系安定剤に匹敵するものであるが、毒性の点からは鉛に替わりえるものではなく、特に安全性を考慮した場合は脂肪酸カルシウム塩や脂肪酸亜鉛塩または脂肪酸マグネシウム塩等が用いられる。
【0006】
しかし、これらの有機酸の金属塩の組み合わせのみでは鉛系安定剤の性能に太刀打ちできるものではなく、軟質PVC被覆電線分野においては鉛系安定剤の置き換えはほとんど進んでいないのが実状であるが、PVC樹脂の劣化時に発生する塩化水素を補足する能力の高い無機化合物と安定化能力を補助する添加剤とを含有する複合安定剤が提案されている。
【0007】
例えば、特開昭52−77157号公報および特開昭52−77158号公報で、鉛系の安定剤を使用せずに、塩基性無機酸塩を用いることが提案され、特開平5−179090号公報には、ハイドロタルサイト化合物とアルミニウムまたはアルカリ土類金属の珪酸塩を併用して添加することが提案され、特開平6−80849号公報には、Ca−Zn系安定剤を配合した塩化ビニル系樹脂の熱安定化を向上させるためにハイドロタルサイトおよび疎水性シリカを配合することが提案されているが、これらの公報に記載された安定剤ではその性能が未だ不十分であり、さらなる性能向上が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は環境汚染等の問題を排除するために、電線被覆に用いるPVC樹脂組成物に含まれている鉛系安定剤を低毒性の安定剤に変更する実用化の過程で、1)電気絶縁用として必要な体積固有抵抗値及びその長期安定性が鉛系安定剤に比較して劣る、2)熱安定性及び着色性に劣る、といった問題点があり、これらの欠点を解消することが鉛系安定剤に替わる低毒性の安定剤を実用化する上でのキーポイントであることを見い出した。
本発明の目的は、電気絶縁性能およびその長期安定性並びに熱安定性や耐着色性に遜色がなく、毒性に問題のない安定剤配合の塩化ビニル系樹脂組成物を被覆材とする絶縁電線を提供することにある。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、特定の無機化合物、特定の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩および特定のフェノール化合物を配合したPVC樹脂組成物を被覆材料として用いることにより、有害な鉛系安定剤を用いなくとも実用可能な絶縁電線が得られるということを見い出し、本発明に至った。
【0010】
即ち本発明は、導体の外側に塩化ビニル系樹脂組成物を被覆してなる被覆電線において、該塩化ビニル系樹脂組成物が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、
a)下記一般式(1)で表されるハイドロタルサイト化合物:0.1〜10重量部
Mgx1Znx2Al・(OH)2(x1+x2+2)・(CO1−y/2(ClO・mHO (1)
(式中、x1、x2及びyは各々0≦x2/x1<10、2≦x1+x2<20、0≦y≦2で表される条件を満足する数を示し、mは0または任意の整数を示す。)
b)水酸化カルシウム:0.01〜3重量部
c)炭素原子数16〜20の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩および炭素原子数8〜14の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩を重量比7/3〜3/7で含有する脂肪族カルボン酸の亜鉛塩:0.02〜3重量部
d)2−t−ブチル−5−メチルフェノール誘導体:0.001〜3重量部
e)2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体:0.001〜3重量部
および
f)二酸化珪素:0.001〜3重量部
からなる成分を含有する安定剤を配合してなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線を提供するものである。
【0011】
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線について詳細に説明する。
【0012】
本発明に使用される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体または塩化ビニルとエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸等との共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン/酢酸ビニル共重合体と塩化ビニルとのグラフト重合体、不飽和基を有するウレタン樹脂と塩化ビニルとのグラフト重合体等が挙げられる。また、これらと他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。
【0013】
本発明において使用されるa)成分のハイドロタルサイト化合物は、上記一般式(1)で表される様に、マグネシウムとアルミニウム、または亜鉛、マグネシウム及びアルミニウムからなる複塩化合物であり、結晶水を脱水したものであってもよく、また、炭酸の一部を過塩素酸に置き換えたものであってもよい。
【0014】
また、本発明において使用されるハイドロタルサイト化合物は、その表面をステアリン酸のような高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のような高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のような有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものであってもよい。
【0015】
これらのハイドロタルサイト化合物は熱安定性を改善する成分として有効であり、その添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部である。ここで、添加量が0.1よりも少ない場合には効果がほとんど見られず、10重量部より多く使用した場合には増量効果がないばかりでなく、大きな着色を与えたり、発泡を生じるおそれがあるため好ましくない。
【0016】
本発明において使用されるb)成分の水酸化カルシウムは熱安定性を改善する成分として有効であり、その添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部である。ここで、添加量が0.01重量部よりも少ない場合には効果がほとんど見られず、3重量部より多く使用した場合には増量効果がないばかりでなく、大きな着色を与えるおそれがあるため好ましくない。
【0017】
本発明において使用されるc)成分の二種類の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩は着色性及び加工性を改善する成分として有効である。二種類の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩を用いることにより一種のみを用いた場合と比較して著しく優れた効果が奏される理由は明らかではないが、長鎖の脂肪族カルボン酸亜鉛塩が主として加工性(滑性)を改善し、短鎖の脂肪族カルボン酸亜鉛塩が主として着色性を改善するものと考えられる。これら脂肪族カルボン酸の亜鉛塩の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して各々0.01〜2重量部、合計して0.02〜3重量部であり、両者の比率は7/3〜3/7であることが必要である。ここで、添加量が上記の範囲よりも少ない場合には効果がほとんど見られず、3重量部より多く使用した場合には熱安定性が低下するおそれがあるため好ましくなく、また、その比率が上記範囲外の場合は着色性が不十分となったり、加工性が不十分となる。
【0018】
上記脂肪族カルボン酸の亜鉛塩を構成する炭素原子数16〜20の脂肪族カルボン酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、アラキン酸等があげられ、炭素原子数8〜14の脂肪族カルボン酸としては、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等があげられる。
【0019】
本発明において使用されるd)成分の2−t−ブチル−5−メチルフェノール誘導体とe)成分の2,4−ジ−t−ブチルフェノール誘導体は熱安定性及び着色性を改善する補助成分として有効であり、その添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して各々0.001〜3重量部、より好ましくは0.01〜2重量部である。ここで、添加量が0.001重量部よりも少ない場合には効果がほとんど見られず、3重量部より多く使用しても増量効果がなくコスト的に不利となる。
【0020】
上記d)成分である2−t−ブチル−5−メチルフェノール誘導体としては、例えば4,4’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tーブチルフェニル)ブタン、e)成分である2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体としては、例えばステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを挙げることができる。
d)成分とe)成分の組み合わせとしては、4,4’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)とステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの組み合わせが好ましい。
【0021】
本発明に使用されるf)成分の二酸化珪素は、電気絶縁性(体積固有抵抗値)を改善する成分として有効であり、二酸化珪素の純度が90%以上、好ましくは95%以上であるものが好ましい。また、二酸化珪素は無水物であっても含水物であってもよく、また、その比表面積についても特に制限はないが、100m2 /g以上のものが電気絶縁性の改善効果が大きく好ましい。この二酸化珪素の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.001〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部である。ここで、添加量が0.001重量部よりも少ない場合には効果がほとんど見られず、3重量部より多く使用した場合には増量効果がないばかりではなく、耐熱性を低下したり、大きな着色を与えるおそれがあるため好ましくない。
【0022】
上記各成分からなる安定剤は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して合計して1〜10重量部が用いられる。
【0023】
また、本発明の絶縁電線の被覆材料として用いられるPVC組成物には、通常塩化ビニル系樹脂100重量部に対して可塑剤20〜80重量部及び充填剤10〜60重量部が配合される。
【0024】
可塑剤は、被覆材料として必要な柔軟性を付与するために用いられるものであり、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、アジピン酸エステル、ポリエステル、塩素化パラフィン等の通常の可塑剤を単独でまたは必要に応じて複数種を組み合わせて配合される。可塑剤の配合量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対して可塑剤20〜80重量部であり、20重量部より少ないと柔軟性が不十分となり、80重量部より多く配合するとべたついたり機械的強度を低下させるので好ましくない。
【0025】
充填剤は、電気特性を良好にしたり適度な機械的強度を付与し、また、コストを低減させるために用いられるものであり、一般に使用される重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、クレー、タルク等を単独でまたは必要に応じて複数種を組み合わせて配合される。充填剤の配合量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対して可塑剤10〜60重量部であり、10重量部より少ないと製品のコストアップにつながり、60重量部より多く配合すると機械的強度を低下させるので好ましくない。
【0026】
また、本発明の組成物に、必要に応じてカルボン酸、有機リン酸類またはフェノール類のカルシウム、マグネシウム、ストロンチウムおよびバリウム塩を添加することができることは当然であり、該カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸および類似酸ならびに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸などの天然に産出する上記の酸の混合物、安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5-t-オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等があげられ、有機リン酸類としては、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどがあげられ、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフエノールなどがあげられる。
【0027】
また、本発明の組成物には、さらに通常塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、架橋剤、難燃剤、顔料、ワックス等の滑剤、安定化助剤としてのポリオール類、β−ジケトン化合物、有機ホスファイト化合物及び/またはエポキシ化合物等を配合することもできる。
【0028】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
実施例1〜2および比較例1〜4
ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ株式会社製 ZEST1300Z)100重量部に対してジイソノニルフタレート50重量部、炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製ソフトン1500)40重量部および表1に記載した組成の安定剤を配合し、ヘンシェルミキサーで混合しドライアップさせた後BUSS社製連続混練機(コニーダーMDK/E46B)を用い、スクリュー温度130℃、バレル温度180℃、回転数260rpmの条件で混練してペレットを作成した。次いで、できあがったペレットを30mm単軸押し出し機を用い、スルフライトスクリューL/D=25、シリンダー180℃、ダイス180℃、回転数50rpmの条件で押し出し加工して幅30mm、厚さ1mmのテープを作成した。
【0030】
このテープから試験片を切り取り着色を目視で観察し、210℃のギヤーオーブン中で加熱し、黒化するまでの時間を測定した。また、JIS K6723に基づいて体積抵抗率試験およびコンゴーレッド試験紙を用いた180℃での熱安定性試験を行い、体積抵抗率(VR)および熱安定性(CR)を測定した。
その結果を表−1に示した。尚、押し出しテープの着色は10段階で評価し、1(無色)から10(淡黄褐色)まで数字が大きくなるにつれて着色が大きくなることを示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003675953
【0032】
実施例3〜6および比較例5〜6
ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ株式会社製 ZEST1300Z)100重量部に対してジオクチルフタレート50重量部、炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製ソフトン1500)30重量部、クレー(水沢化学工業株式会社製MC600)10重量部および表2に記載した組成の安定剤を配合し、実施例1と同様にして試験片を作成し、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
Figure 0003675953
【0034】
実施例1〜2は可塑剤としてジイソノニルフタレートを用い、充填剤として炭酸カルシウムを用いた例であり、また、実施例3〜6は可塑剤としてジオクチルフタレートを用い、充填剤として炭酸カルシウムおよびクレーを用いた例であるが、本願発明の安定剤を配合した塩化ビニル樹脂組成物は着色性、熱安定性に優れまた体積固有抵抗が大きく、絶縁電線用被覆材料として適していることが明らかである。
【0035】
これに対し、比較例1、2および6は従来技術に係る塩化ビニル樹脂組成物の例であるが、着色性、熱安定性、体積固有抵抗のいずれの試験項目においても不十分な効果しか示していない。また、比較例3および5は脂肪族カルボン酸の亜鉛塩を一種のみまたは本願発明以外の比率で用いた例であるが、オーブン熱安定性は良好なものの、他の性能、特に着色性に劣るため実用的なものではない。さらに、比較例4はフェノール化合物を一種のみ用いた例であるが、比較例1よりは良好な結果が得られてはいるものの、その改善効果は実施例と比較して不十分なものでしかない。
【0036】
【発明の効果】
本発明の被覆電線は、鉛およびカドミウムを含まない安定剤を配合した塩化ビニル系樹脂組成物を被覆材としているため、環境汚染等に影響を及ぼすことがなく、特定の組み合わせからなる安定剤を用いることによって、従来の同種の安定剤を用いた場合の着色性、熱安定性および電気絶縁性が不十分である等の問題が解決できる。

Claims (4)

  1. 導体の外側に塩化ビニル系樹脂組成物を被覆してなる被覆電線において、該塩化ビニル系樹脂組成物が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、
    a)下記一般式(1)で表されるハイドロタルサイト化合物:0.1〜10重量部
    Mgx1Znx2Al・(OH)2(x1+x2+2)・(CO1−y/2(ClO・mHO (1)
    (式中、x1、x2及びyは各々0≦x2/x1<10、2≦x1+x2<20、0≦y≦2で表される条件を満足する数を示し、mは0または任意の整数を示す。)
    b)水酸化カルシウム:0.01〜3重量部
    c)炭素原子数16〜20の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩および炭素原子数8〜14の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩を重量比7/3〜3/7で含有する脂肪族カルボン酸の亜鉛塩:0.02〜3重量部
    d)2−t−ブチル−5−メチルフェノール誘導体:0.001〜3重量部
    e)2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体:0.001〜3重量部
    および
    f)二酸化珪素:0.001〜3重量部
    からなる成分を含有する安定剤を配合してなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線。
  2. d)2−t−ブチル−5−メチルフェノール誘導体が4,4’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)であり、
    e)2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体がステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートであることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線。
  3. 安定剤の配合量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1〜10重量部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線。
  4. 塩化ビニル系樹脂組成物が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して可塑剤20〜80重量部および充填剤10〜60重量部を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塩化ビニル系樹脂組成物被覆電線。
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