JP3672548B2 - 空気調和機の乾燥運転方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、少なくとも室内ファンと圧縮機を有する空気調和機を操作部、例えばリモートコントローラ(以下、「リモコン」という)からの指令に基づいて、室内に干した洗濯物の乾燥のための運転を行う空気調和機(以下、「エアコン」という)の乾燥運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアコンは通常、暖房運転モードまたは冷房運転モードまたは自動運転モードでの運転が可能であり、いずれかの運転モードを選択するための選択手段がリモコンに設けられている。最近、これらの運転モードにさらに、室内に吊した洗濯物を乾燥させるための乾燥運転モードを付加することが提案されている。従来提案されている乾燥運転方法について述べるならば、次のように要約することができる。
【0003】
(1) 乾燥運転においては、設定温度が特定の値に自動的に固定された冷房運転モードまたは暖房運転モードでの運転が行われ、冷凍サイクル中の圧縮機の運転停止時も通常の冷房運転時または暖房運転時と同様に室内ファンの風量を低下させている。
【0004】
(2) 室内機の送風方向、すなわち室内機の吹出し口に付設されているルーバの方向であるが、通常の冷暖房運転時と同様に、冷房・乾燥運転時のルーバは圧縮機の運転・停止にかかわらず水平方向固定であり、暖房・乾燥運転時のルーバは斜め下向き固定である。
【0005】
(3) モニタリング状態(室温ないし外気温が冷房運転または暖房運転をすべき温度に達しておらず、冷房運転をすべきか暖房運転をすべきかを決定するために室内ファンを最少風量運転として室温ないし外気温をモニタしている中間の「様子見」運転の状態)では、室内ファンの風量を低下させ、室温ないし外気温が冷房運転または暖房運転をすべき温度に達するまで、ルーバ方向を水平固定としてそのままの状態を維持している。
【0006】
(4) 乾燥運転モードの選択は運転開始前にしかできない。すなわち、エアコン運転を一旦冷房運転または暖房運転に入れてしまった後は、運転を継続したまま乾燥運転に移行させることはできない。
【0007】
従来技術として列挙した上記各項目について次のような不都合がある。
【0008】
(1) 圧縮機の運転停止時に、室内で洗濯物を乾燥させるためには送風運転が効果的であるにもかかわらず、乾燥運転時に室内ファンの機能を積極的に活用しているとは言えない。
【0009】
(2) 洗濯物を室内で干す(乾燥させる)場合、一般に洗濯物は室内ファンの前方斜め下向きの方向に位置するように並べられる。ところが、冷房運転で圧縮機が運転されている状態では、洗濯物に風を当てても、吹出温度が低く相対湿度が高いため、除湿効果がほとんどない。したがって、圧縮機運転時は、ルーバは水平固定でよい。しかしながら、圧縮機停止時は、室温の風を当てるだけでも相当の乾燥効果があるにもかかわらず、冷房運転により室内の湿度を低下させるという考えからそのようにはしていない。また暖房・乾燥運転時のルーバは、圧縮機のオン・オフに関係なく、洗濯物の乾燥という観点からは室内ファンの風を斜め下向きではなく、洗濯物に直接当てる方向に向けた方が効果的であるが、画一的な斜め下向き固定では必ずしも効果的な乾燥効果を期待することができない。
【0010】
(3) 冷房運転か暖房運転かを決定することができないモニタリング状態では、そのままの温度状態で風を洗濯物に当てれば十分乾燥できるのにもかかわらず、それが有効活用されていない。
【0011】
(4) 一旦冷房運転に入れた後で外出するなどの理由により乾燥運転に入れることを希望するという事態は現実問題として決して少なくない。それにもかかわらず、従来は運転中のエアコンをいったん停止させてからでないと乾燥運転に入れることができず、使用者に違和感を与えていた。
【0012】
本発明は以上の事情を考慮してなされたものであって、現状のエアコンを用いて、より効率的な洗濯物乾燥を行いうるエアコンの乾燥運転方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、室内ファンの風向または風量をきめ細かに制御すると共に、よりきめ細かな運転モードを選択しうるようにしたものである。
【0014】
本発明によれば、室内ファンの風向または風量が洗濯物の乾燥条件にとって好ましい形できめ細かに制御されると共に、よりきめ細かな運転モードが選択される。乾燥運転はリモコンを通して選択される。エアコン停止の状態で乾燥運転を選択した場合、乾燥運転の内容はその時の環境状態に応じて決定される。エアコンを乾燥運転以外の目的で運転している状態から乾燥運転に切換えるためにリモコンを操作した場合、乾燥運転の内容は主としてそれ以前の運転モードに従って決定される。なお、それ以前の運転モードが「自動運転・モニタリング」の場合、乾燥運転の内容はその時の環境状態に応じて決定される。乾燥運転の取消しは、他の運転モード(冷房、暖房または自動)への設定変更操作または停止操作を通して行われる。
【0015】
【作用】
乾燥運転時に、強風送風運転モードを含めた複数の運転モードの中から適当な運転モードを選択し、また、乾燥運転という観点から、より合理的な送風方向および送風量を選択することにより、上記従来技術の不都合を回避し、はるかに効率的な乾燥効果をあげることができる。
【0016】
本発明による乾燥運転方法の概要は図12〜14に示す通りである。エアコン通常運転(乾燥運転ではない)時の運転方法を参考までに図12に、乾燥運転に関する運転方法を図13に、また自動運転に関する運転方法を図14にそれぞれ示している。
【0017】
図12は通常の冷房運転モードの場合と暖房運転モードの場合について、それぞれ室温Ta よび設定温度Ts とが、Ta ≧Ts (冷房運転)またはTa ≦Ts (暖房運転)の場合と、そうでない場合(すなわち、Ta <Ts (冷房運転)またはTa >Ts (暖房運転)の場合)とに大別して、暖冷房切換用の四方弁のオン(暖房)オフ(冷房)、圧縮機のオンオフ、室内ファンの風量(H=強、M=中、L=弱、UL=超弱。自動設定または手動設定ごとに)、室内ルーバ方向、加湿器動作(有無)、入り切りタイマ機能について記載したものであり、言わばエアコンの基本制御態様を示すものである。
【0018】
図13は本発明に従って乾燥運転を行う場合の運転態様を、冷房運転、暖房運転および送風運転の3つのモードに分類し、前述の各機器の動作状態について示したものである。この運転モードにおいては、室温Ta と設定室温および設定湿度に従った制御が行われる。
【0019】
図14は通常の自動運転モードの場合について、冷房運転、暖房運転およびモニタリングの各モードに分けて示したものである。冷暖房運転モードにおいては室温Ta と設定室温Ts との関係に従った制御が行われ、モニタリングモードにおいては超弱風量での送風運転が行われるだけで、他は基本的に全て停止状態となる。
【0020】
以上の各運転態様の詳細については、後記の実施例において詳述する。なお、室温の制御にしろ湿度の制御にしろ、実際上は制御動作の安定のために動作点と復帰点との間に温度で0.5℃、湿度で5%程度のヒステレシスを持たせるのが普通であるが、図12〜14および後述のフローチャートにおいてはそれを省略して示している。
【0021】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0022】
まず本発明の実施のために用いる空気調和機の機器構成について説明する。
【0023】
図2は本発明を適用する空気調和機の全体構成を示す系統図である。この空気調和機の冷凍サイクルは、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4および室内熱交換器5からなっている。この空気調和機は四方弁2のオン・オフ切換により、暖房機としても冷房機としても運転可能であり、冷房運転(四方弁2オフ)の場合は実線で示すように、冷媒は圧縮機1から四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、室内熱交換器5および四方弁2を順に通って圧縮機1に還流する。暖房運転(四方弁2オン)の場合は破線で示すように、冷媒は圧縮機1から四方弁2、室内熱交換器5、膨張弁4、室外熱交換器3および四方弁2を順に通って圧縮機1に還流する。室外熱交換器3には外気との間の熱交換促進のために室外ファン6が付設され、室内熱交換器5には、そこで熱交換された空気を室内に向けて送風するための室内ファン7、および送風の方向を調節するためのルーバ8が付設されている。圧縮機1はモータ9により可変速駆動される。圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4および室外ファン6は室外機を構成し、また室内熱交換器5、室内ファン7およびルーバ8は室内機20(図3参照)を構成する。
【0024】
室内温度Ta が室温センサ10によって検出され、室内湿度Ha が湿度センサ11によって検出され、室外温度To が外気温センサ12によって検出され、各検出信号は演算制御部14に導入される。室温センサ10および湿度センサ11は室内機の吸気口付近に配設され、外気温センサ12は室外機の吸気口付近に配設される。演算制御部14にはワイヤレスリモコン30から受信部13を介して後述のごとく種々の指令が与えられる。演算制御部14は室内温度Ta を予め設定された設定室温Ts に近付けるようにモータ9のオン・オフおよび回転速度を制御する。圧縮機1はモータ9と連動してオンオフないし速度制御される。演算制御部14は中央演算処理装置(CPU)を含むマイクロコンピュータによって構成され、その演算制御動作は後述のフローチャートに示すソフトウエアによって実行される。
【0025】
図1は演算制御部14によって制御される部分を、部分的に図2と重複する形で示したものである。演算制御部14は、その演算処理結果に従いドライバ15を介して圧縮機1(オン・オフ、運転周波数)、四方弁2(オン・オフすなわち暖房・冷房)、室外ファン6(オン・オフ)、室内ファン7(オン・オフ、送風量)およびルーバ8(固定・スイング、固定のときの向き)を制御する。圧縮機1の速度制御すなわちモータ9の速度制御は演算制御部14により図示していない周波数変換器たとえばインバータの出力周波数制御を介して実施される。同様に室内ファン7は、演算制御部14による駆動モータ(図示せず)の速度切換を介して強(H)、中(M)、弱(L)、超弱(UL)および停止(オフ)の5段階の風量切換が可能であるものとする。
【0026】
図3は室内機20の室内への配置状況を示すものである。室内機20は部屋の壁21の上部に取り付けられ、矢印で示すように正面方向から吸い込んだ室内空気を室内熱交換器5に通して熱交換し、さらに室内ファン7を通し、ルーバ8を配置した送風口から室内へと送風する。ルーバ8の向き(角度)については後述する。
【0027】
図4は空気調和機と連動する加湿器が室内に設けられている場合の状況を示すものであって、部屋の壁21の上部に室内機20が取付けられ、床上(または台上)に加湿器22が設けられている。この種の加湿器22は主として冬期の暖房使用期などに低くなりすぎた室内湿度を適度の湿度にまで高めるために用いられる。加湿器22には受信部23が設けられ、室内機20の送信部24から加湿器22の受信部23に室内湿度に基づいた制御信号をワイヤレス送信することにより、室内機20側から加湿器22をオン・オフ制御することができる。
【0028】
本発明に従い、洗濯物を室内に吊り下げて干す場合の室内機と洗濯物の配置関係を図5および図6を参照して説明する。
【0029】
図5は一般的な洗濯物乾燥状況を示すものである。室内機20を室内の壁21の上部に取付けるとともに、室内機20の前方に可搬型(好ましくは組立て型)の室内用物干し具25をセットし、それに洗濯物26を吊下げたものである。洗濯物の乾燥に際して、ルーバ8の向きは、水平方向Hまたは斜め下方向Kに固定する態様のほか、スイングする態様があり、さらに図示はしていないが真下に向ける態様もありうる。
【0030】
図6は室内機20にアタッチメント27を介して物干しバー28をルーバ8の前方に位置するように配設し、その物干しバー28に洗濯物26を吊り下げるようにした状況を示すものである。
【0031】
図7は本発明の方法に関連して用いられるリモコン(リモートコントローラ)30の平面外観を、下半分を覆っているカバーを外した状態で示すものである。リモコンは周知のごとく室内機20に対して種々の指令信号をワイヤレス送信する機能を持つものでおり、図示のリモコン30の場合、中央部に運転・停止キー31が設けられ、その下部に種々の機能キー、例えば運転モード(冷房運転か暖房運転か自動運転かなど)を選択するための運転切換キー32、洗濯物乾燥のための乾燥運転モードを選択するための乾燥運転キー33、室内ファンの風量をH(強)、M(中)、L(弱)、UL(超弱)、風量自動およびオフ(停止)に切換える風量切換キー34、室内機からの送風方向を切換える風向切換キー35、ルーバスイング(LSG)キー36のほか、予約/確認キー38、タイマ「入」キー39、タイマ「切」キー40およびタイマ「取消」キー41を含むタイマー予約部37などが設けられている。ルーバスイングキー36は押圧操作される度ごとにスイング指令信号を送信する。運転・停止キー31の上部には、設定温度Ts を加減するための設定温度変更キー42,43や、湿度設定キー44のほか、設定温度Ts などを表示するための表示部45が設けられている。湿度設定キー44を押すことにより湿度設定をH,M,L(たとえば、60%,50%,40%)のいずれかにサイクリックに設定することができ、その設定値は表示部45に短時間(例えば、3秒間)表示される。
【0032】
図8はリモコン30の各操作キーの機能を一覧表形式にまとめたものである。運転・停止キー31を運転操作(エアコン停止時にオン操作)すると、運転指令が出力されるとともに、それまでになされた各種設定の内容(例えば設定運転モード指令、設定温度、設定湿度等)が室内機20に向けて出力される。運転・停止キー31を停止操作(エアコン運転時にオン操作)すると、エアコンは運転停止とされる。タイマ「入」キー39による入タイマ操作によりその設定時間TONおよび各種設定内容が入タイマ指令とともに出力される。タイマ「切」キー40による切タイマ操作によりその設定時間TOFF が切タイマ指令とともに出力される。乾燥運転キー33による乾燥運転操作によりその運転時間TOFF とともに乾燥運転指令が出力される。運転切換キー32により冷房運転が選択されると、冷房運転指令とともに設定温度Ts 、および風量切換キー34による設定風量の各指令が出力される。運転切換キー32により暖房運転が選択されると、暖房運転指令とともに設定温度Ts 、湿度設定キー44による設定湿度Hs および設定風量の各指令が出力される。運転切換キー32により自動運転が選択されると、自動運転指令とともに補正設定温度ΔT、設定湿度Hs および設定風量の各指令が出力される。ここで、補正設定温度ΔTは次のようにして設定される。すなわち、自動運転時は基本的には空気調和機自体が選択した固定設定温度(たとえば23℃)で運転が行われるが、使用者の好みにより±2℃の上下変更を可能としている。これが補正設定温度ΔTであり、それは自動運転モードにおいて使用者が設定温度変更キー42,43を操作することにより選択可能である。因みに図7に示されているリモコン30の表示は自動運転で、補正設定温度ΔT=+2℃の状態が設定されている。さらに、ルーバスイングキー36の操作によりルーバスイング指令が出力される。
【0033】
ルーバ8のスイング動作はルーバスイングキー36の操作態様および運転開始時の機器運転条件によって異なり、図9に示すように冷暖房通常運転または自動運転のときは、当初はスイングオフ(ルーバ固定)であり、その後、ルーバスイングキー36を操作する度にスイングオン(ルーバスイング)とスイングオフを交互に繰り返す。乾燥・暖房運転または乾燥・送風運転のときは当初はスイングオン(ルーバスイング)であり、その後、ルーバスイングキー36を操作する度毎にスイングオフ(ルーバ固定)とスイングオンを交互に繰り返す。なお、通常運転(冷房または暖房)ないし自動運転の範囲内では、それらの間で運転モードを変更しても、変更以前のルーバ状態が継続される。
【0034】
乾燥・冷房運転のときは、検出温度Ta と設定温度Ts との関係に基づき、当初、温度偏差=Ta −Ts が所定値以上になって圧縮機1を運転すべき状態になっている(この状態を「サーモオン」の状態と称する)ときは当初スイングオフ(ルーバ固定)であり、その後、ルーバスイングキー36を操作する度にスイングオン(ルーバスイング)とスイングオフを交互に繰り返す。また、乾燥・冷房運転のとき、当初、温度偏差=Ta −Ts が所定値より小さく、圧縮機1を運転停止とすべき状態になっている(この状態を「サーモオフ」の状態と称する)ときは当初スイングオン(ルーバスイング)であり、その後、このサーモオフ状態においてルーバスイングキー36を操作する度毎にスイングオフ(ルーバ固定)とスイングオンを交互に繰り返す。乾燥冷房運転では、サーモオン時のルーバスイング状態は後でサーモオフしても記憶されており、当初からサーモオフであったときのスイング状態とは無関係である。同様に、乾燥・冷房運転においてサーモオフ時のルーバスイング状態は後でサーモオンしても記憶されており、当初からサーモオンであったときのスイング状態とは無関係であるとする。すなわち、ルーバスイングキー36の操作入力が無い時は、
サーモオン(スイングオン)→サーモオフ→サーモオン(スイングオン)
サーモオン(スイングオフ)→サーモオフ→サーモオン(スイングオフ)
サーモオフ(スイングオン)→サーモオン→サーモオフ(スイングオン)
サーモオフ(スイングオフ)→サーモオン→サーモオフ(スイングオフ)
となるものとする。
【0035】
次に、リモコン30の操作に関連して行われるリモコン処理ルーチンを図15ないし図17を参照して説明する。
【0036】
まず図15を参照して、当初、空気調和機が運転中であれば、運転・停止キー31のオン操作により停止指令を出力し(ステップ50,51,52)、運転中の種々の記憶データを消去して(ステップ53)新たな運転指令に備える。運転中に運転・停止キー31がオン操作されなければ、予約/確認キー38がオン操作されたどうかをチェックし(ステップ54)、操作されたときはステップ61(図16)へ移行する。操作されなかったときは、さらに乾燥運転キー33がオン操作されたかをチェックし(ステップ55)、操作されたらステップ67(図17)へ移行し、操作されなかったときはその他の必要なキー処理を行って(ステップ56)ステップ50へ戻る。当初、空気調和機が運転されていなかったときは、運転・停止キー31のオン操作により、リモコン30の種々のキーによって設定された種々のデータ、例えば運転モード、設定温度TS 、風量などの指令に関するデータを送信し(ステップ59)、運転中それらを記憶させて(ステップ60)ステップ50へ戻る。
【0037】
ステップ61ないし66(図16)はリモコン30による種々のキー操作の確認ルーチンである。ステップ61は「表示モード1」による表示のステップである。この表示モード1では、図10に例示するように、自動運転を意味する「自動」マーク、運転時間タイマが設定されていることを時計のシンボルにより示すタイママーク、乾燥運転が行われていることをシャツのシンボルにより示す乾燥運転マーク、および予めタイマにより設定された運転時間の残り、つまり運転残り時間が表示される。この表示の後、表示タイマをいったんクリアし改めてスタートして(ステップ62)所定の表示時間、例えば3秒間の表示時間の終了を待ち(ステップ63,64)改めて表示タイマをクリアし(ステップ65)、「表示モード2」の表示を行う(ステップ66)。表示モード2では、図11に例示するように、「自動」マーク、タイママークおよび乾燥運転マークが表示される。この表示の後、ステップ50へ戻る。
【0038】
ステップ67ないし73(図17)は乾燥運転モードの際のリモコン30による時間設定のルーチンである。ステップ67において上述の表示モード1の表示(図10)を行わせると共に「キータイマ」を一旦クリアし、改めてキータイマをカウントアップする(ステップ68)。そしてタイマ切キー40が1回オン操作される度ごとに乾燥運転時間を単位調整時間Δt(たとえば0.5時間)だけ増加させて(ステップ69,70)ステップ67へ戻る。その場合、当初は予め設定されている標準値として例えば「3時間」が表示される。タイマ切キー40がオン操作されず、かつキータイマ時間(例えば3秒)が経過しない限りカウントアップを継続し(ステップ68,69,71)、タイマ切キー40が1回オン操作される度ごとに乾燥運転時間をΔtだけ増加させる。循環式カウンタを用いる場合、設定時間の最大値たとえば12時間を超えた後は1時間に戻り、改めてΔt時間ずつの増加処理が行われる。キータイマ時間(3秒)の経過すなわちタイマ切キー40がなんら操作されない状態の時間が3秒以上経過することによって表示モード2の表示(図11)を行い(ステップ72)、室内機20への運転制御データの指令送信を行い(ステップ73)ステップ50へ戻る。すなわち、乾燥運転が設定された場合、必ず切タイマが設定され、タイマ切キー40を操作しなければ3時間が設定され、操作すれば1H〜12Hの範囲内で任意の時間が設定可能である。
【0039】
以上のようにリモコン30により洗濯物乾燥運転の時間を自由かつ容易に設定したり変更したりすることができるようにすることにより、空気調和機運転途中での外出時あるいは夜間などにおいても十分な洗濯物乾燥時間を確保することができ、また、リモコンの表示部45の表示を乾燥運転モードに対応した的確な表示を時系列的に行うことにより、操作者(利用者)に親切なリモコン表示とすることができる。
【0040】
図18ないし図26はリモコン30からの指令に従って実行される空気調和機本体側の乾燥運転を主とした制御フローを示すものである。
【0041】
運転中に運転停止指令があれば空気調和機の停止処理を実行し、「運転中」の旨の記憶を解除し(ステップ80,81,82)、ルーバスイングメモリのフラグS1 およびS2 をそれぞれ、S1 =0,S2 =0とする(ステップ83)。ここでフラグS1 は乾燥冷房でサーモオフのとき以外でのルーバスイング制御フラグであって、
S1 =0 …ルーバ固定
S1 =1 …ルーバスイング
を表し、同様に、フラグS2 は乾燥冷房でサーモオフでのルーバスイング制御フラグであって、
S2 =0 …ルーバ固定
S2 =1 …ルーバスイング
を表す。
【0042】
運転中でない時(停止中)に運転指令があれば、リモコン30から送られてくる「設定内容」と共に空気調和機が「運転中」である旨を記憶させる(ステップ80,84,85)。ここで設定内容というのは、リモコン30から送られてくる運転・停止指令およびそれに付随する各種設定の内容を示すものであって、より具体的には、運転モード(後述)、設定温度Ts 、設定湿度Hs および設定風量に関するデータのことをいう。ステップ85の記憶処理の後、入タイマTM1をリセットし(ステップ86)、ステップ83のフラグ処理、S1 =0,S2 =0を実行する。運転中であって停止指令が無いとき(ステップ80,81)は、ステップ94(図19)以下を実行する。停止中であって運転指令も無いとき(ステップ80,84)は、乾燥運転指令の有無をチェックし(ステップ87)、乾燥運転指令があればステップ120(図21)以下を実行する。乾燥運転指令が無ければ、入タイマ(TM1)指令入力有無をチェックする(ステップ88)。ここで入力ありならば、入タイマ(TM1)をいったんリセットしてから改めてスタートさせ(ステップ89)、設定時間TONおよび設定内容を記憶させて(ステップ90)、ステップ83の処理を行う。ステップ88において入タイマ入力が無ければ、入タイマが動作中か否かをチェックする(ステップ91)。ここで動作中であればさらに、入タイマ(のカウント時間)TM1と設定時間TONが、TM1≧TON の関係かをチェックし(ステップ92)、TM1≧TONなら「運転中」である旨を記憶し(ステップ93)、ステップ83へ移行する。TM1<TONならステップ80へ戻る。ステップ83でのフラグ処理の後はステップ80へ戻る。
【0043】
ステップ80,81において,運転中であって停止指令なしの場合は、ステップ94以下の処理ルーチン(図19)を実行する。まず、自動運転開始か否かをチェックする(ステップ94)。自動運転開始であればステップ140以下(図22)を実行する。自動運転開始でなければ、設定内容変更の指令があるか否かをチェックする(ステップ95)。変更ありであれば、新たな設定内容を記憶し(ステップ96)、ステップ170(図24)以下の処理ルーチンを実行する。設定内容に変更なしであれば、入タイマ(TM1)指令入力があるかをチェックし(ステップ97)、入力があれば入タイマ(TM1)をいったんリセットし、改めてスタートさせ(ステップ98)、設定時間TONおよび設定内容を記憶させて(ステップ99)、ステップ82(図18)へ移行し、運転を停止する。ステップ97において入タイマ指令入力が無かったときは、切タイマ指令入力があるか否かをチェックする(ステップ100)。ここで入力ありならば、切タイマTM2をリセット・再スタートさせ(ステップ101)、切タイマ設定時間TOFF を記憶させ(ステップ102)てからステップ170(図24)以下を実行する。ステップ100で切タイマの入力が無ければ、切タイマカウント時間TM2および設定時間TOFF が、TM2≧TOFF の関係にあるかの比較を行い(ステップ103)、TM2≧TOFF であればステップ82(図18)へ移行し、TM2<TOFF であればステップ104(図20)以下を実行する。
【0044】
ステップ104ではスイング指令の有無がチェックされる。スイング指令が無ければステップ150(図23)以下を実行する。スイング指令があれば、乾燥冷房で圧縮機停止(サーモオフ)中かをチェックする(ステップ105)。ここで停止中であれば、S2 =1かをチェックし(ステップ106)、S2 =1であれば、S2 =0の処理を行い(ステップ107)、S2 =0であれば、S2 =1の処理を行って(ステップ108)、それぞれステップ170(図24)以下を実行する。ステップ105において乾燥冷房で圧縮機が停止中でなければ、S1 =1かをチェックし(ステップ109)、S1 =1であれば、S1 =0の処理を行い(ステップ110)、S1 =0であれば、S1 =1の処理を行って(ステップ111)からそれぞれステップ170(図24)以下を実行する。
【0045】
図21(ステップ120〜126)は停止中であって運転指令が無い状態で乾燥運転指令があったとき(図18、ステップ80,84,87参照)に実行される、乾燥運転への運転モード決定の処理ルーチンを示すものである。まず加湿器オフ指令を出力し(ステップ120)、温度の高低にかかわらず加湿器22を停止状態に保持し、室温Ta 、室内湿度Ha 及び外気温To を読み込む(ステップ121)。ここで読み込んだ外気温To が、To ≧20℃か否かをチェックする(ステップ122)。To ≧20℃であれば、さらに室温Ta が、Ta ≧24℃かをチェックする(ステップ123)。ここでTa ≧24℃であれば、運転モードを「乾燥冷房」運転とし、その旨を設定・記憶し(ステップ124)、ルーバスイングのフラグS2 を、S2 =1とし、フラグS1 を、S1 =0とする(ステップ125)。ステップ122においてTo <20℃であれば、室温Ta に関し、Ta ≧24℃か否かをチェックする(ステップ126)。ここで、Ta ≧24℃のとき、及びステップ123においてTa <24℃のときは、運転モードを「乾燥送風」運転とし、その旨を設定・記憶し(ステップ127)、ルーバスイングのフラグS1 を、S1 =1とする(ステップ129)。ステップ126において、Ta <24℃であれば、運転モードを「乾燥暖房」運転とし、その旨を設定・記憶し(ステップ128)ステップ129へ移行する。ステップ121〜129で乾燥運転での運転モードが決定された後、ステップ130以下でリモコン30からの乾燥運転指令に追加されている設定時間(TOFF )データに基づき切タイマが設定される。まず、それ以前の切タイマの動作はすべてリセットされ、送られてきた時間データ(TOFF )が記憶され、そして新たに切タイマTM2の動作がスタートされる(ステップ130)。その後、「運転中」の旨の記憶処理(ステップ131)を行い、実際の運転処理を実行するためのステップ170(図24)へ移行する。なお、暖房機能のない(冷房専用の)空気調和機の場合、「乾燥暖房」という運転モードは存在しないので、ステップ126および128が省略され、ステップ122,123において“NO”の場合、いずれも「乾燥送風」運転となる。
【0046】
図22は、ステップ94(図19)において“YES”の場合に実行される自動運転モード選択ルーチンを示すものである。まず、外気温To および室温Ta を読み込む(ステップ140)。ここで読み込んだ室温Ta が、Ta >23℃かをチェックし(ステップ141)、Ta >23℃であれば、運転モードを「自動冷房」運転とし、設定室温Ts を、Ts =23℃+ΔTとしてそれを記憶し(ステップ142)ステップ170(図24)以下を実行する。ステップ141においてTa ≦23℃であったときは、さらに外気温To に関し、To ≦17℃かをチェックする(ステップ143)。To ≦17℃であれば、運転モードを「自動暖房」運転とし、設定室温Ts を、Ts =23℃+ΔTとしてそれを記憶し(ステップ144)ステップ170(図24)以下を実行する。ステップ143で、To >17℃であれば、運転モードを「自動モニタリング」に設定して(ステップ145)ステップ160以下を実行する。ここで自動モニタリングというのは、室温が設定室温に近く、冷房運転も暖房運転もせずに(圧縮機1を停止して)、室内ファン7を「UL」(超弱運転)とし室温Ta の変化をモニタしている「様子見」運転状態のことである。
【0047】
図23は、ステップ104(図20)において「スイング指令なし」と判断されたときの処理ルーチンを示すものである。まず、乾燥運転指令の有無がチェックされる(ステップ150)。これは運転中において乾燥運転操作がなされたか否かのチェックである。ここで乾燥運転指令有りの場合は運転モードがチェックされ(ステップ151)、「冷房」または「自動冷房」のときはステップ152へ、「暖房」または「自動暖房」のときはステップ155へ、「自動モニタリング」のときはステップ157へ、それぞれ移行する。ステップ152では運転モード=乾燥冷房の旨の設定記憶が行われ、次いでルーバスイングメモリのフラグS2 につき、S2 =1とし(ステップ153)、フラグS1 につき、S1 =0とし(ステップ154)、ステップ159へ移行する。ステップ155では運転モード=乾燥暖房の旨の設定記憶を行い、その後、ルーバスイングメモリのフラグS1 をS1 =1とする(ステップ156)。ステップ157では外気温To を読み込み、次いでTo ≦17℃か否かをチェックする(ステップ158)。ここでTo ≦17℃であれば、ステップ155へ移行し、To >17℃であればステップ152へ移行する。ステップ150〜158で乾燥運転での運転モードが決定された後、ステップ154またはステップ156からはステップ159へと移行し、リモコン30からの乾燥運転指令に追加されている設定時間(Toff )データに基づき切タイマが設定される。まず、それ以前の切タイマTM2の動作がリセットされ(ステップ159)、送られてきた切タイマ設定時間TOFF が記憶され(ステップ160)、さらに切タイマTM2の動作が新たにスタートされる(ステップ161)。その後、実際の運転処理であるステップ170(図24)へ移行する。
【0048】
ステップ150において乾燥運転指令なしの場合は、自動運転・モニタリング中かがチェックされ(162)、“YES”のときは外気温To および室温Ta を読み込む(ステップ163)。ここで読み込んだ室温Ta が、Ta >23℃かをチェックし(ステップ164)、Ta >23℃なら、運転モード=自動冷房とし、設定室温Ts を、Ts =23℃+ΔTとして設定・記憶し(ステップ165)ステップ170(図24)以下を実行する。ステップ164においてTa ≦23℃のときは、外気温To に関し、To ≦17℃かをチェックし(ステップ166)、To ≦17℃のときは、運転モード=自動暖房とし、設定室温Ts を、Ts =23℃+ΔTとして設定・記憶し(ステップ167)ステップ170(図24)以下を実行する。また、ステップ166において、To >17℃のときはモニタリング継続とし、ステップ162において自動運転モニタリング中でないときもそれぞれステップ170(図24)以下を実行する。
【0049】
ステップ170(図24)では、室温Ta および室内湿度Ha に読み込みが行われる。次いで、運転モードが判別され(ステップ171)、自動冷房・通常冷房ならステップ172へ、通常暖房・自動暖房ならステップ175へ、乾燥暖房ならステップ181へ、乾燥送風ならステップ184へ、自動モニタリングならステップ185へ、乾燥冷房ならステップ186(図25)へ、それぞれ移行する。なお、この処理ルーチンに関しては、すでに述べた図12ないし図14をも参照されたい。
【0050】
自動冷房・通常冷房の場合、ステップ172において室温Ta に関し、Ta ≧Ts かをチェックし、Ta ≧Ts のときは圧縮機1オン、四方弁2オフ(冷房)、室内ファン7は設定通り、ルーバ8水平の各指令を出力し(ステップ173)、またTa <Ts のときは、圧縮機1オフ、四方弁2オフ(冷房)、室内ファン7=L(弱)、ルーバ8水平の各指令を出力して(ステップ174)それぞれステップ193(図26)以下を実行する。
【0051】
通常暖房・自動暖房の場合、ステップ175において室内湿度Ha がリモコン30での設定湿度Hs 以上かどうかがチェックされ、Ha ≧Hs なら、加湿器オフの指令を出力し(ステップ176)、またHa <Hs なら、加湿器オンの指令を出力して(ステップ177)それぞれTa ≦Ts かのチェックを行う(ステップ178)。ここでTa ≦Ts なら、圧縮機1オン、四方弁2オン(暖房)、室内ファン7=設定通り、ルーバ8=斜め下ないし真下の各設定出力を行い(ステップ179)、また、Ta >Ts なら、圧縮機1オフ、四方弁2オン(暖房)、室内ファン7オフ、ルーバ8=斜め下ないし真下の各設定出力を行い(ステップ180)、それぞれステップ193(図26)以下を実行する。
【0052】
乾燥暖房の場合、ステップ181において室温Ta が28℃以下かのチェックが行われ、Ta ≦28℃なら、圧縮機1オン、四方弁2オン(暖房)、室内ファン7=H(強)、ルーバ8斜め下の各指令を出力し(ステップ182)ステップ193(図26)以下を実行する。また、ステップ181で、Ta >28℃のときは、圧縮機1オフ、四方弁2オン(暖房)、室内ファン7=H(強)、ルーバ8斜め下の各指令を出力し(ステップ183)、ステップ193(図26)以下を実行する。
【0053】
乾燥送風の場合、ステップ184において、圧縮機1オフ、四方弁2オフ(冷房)、室内ファン7=H(強)、ルーバ8斜め下の各指令を出力してからステップ193(図26)以下を実行する。
【0054】
自動モニタリングの場合、ステップ185において圧縮機1オフ、四方弁2オフ(冷房)、室内ファン7=UL(超弱)、ルーバ8水平の各指令出力を行ってステップ193(図26)以下を実行する。
【0055】
乾燥冷房の場合は、図25に示すように、室温Ta が22℃以上かのチェックを行い(ステップ186)、Ta ≧22℃なら、続いて室内湿度Ha が80%以上かのチェックを行う(ステップ187)。ここで、Ha ≧80%なら、圧縮機1オン、四方弁2オフ(冷房)、室内ファン7=M(中)、ルーバ8水平の各指令を出力し(ステップ188)、ステップ193(図26)以下を実行する。ステップ186においてTa <22℃の場合、またはステップ187においてHa <80%の場合は、それぞれ圧縮機1オフ、四方弁2オフ(冷房)、室内ファン7=H(強)、ルーバ8斜め下の指令を出力し(ステップ189)、さらにフラグS2 のチェックを行う(ステップ190)。S2 =1なら、ルーバスイングオンの指令を出力し(ステップ191)、S2 =0なら、ルーバスイングオフの指令を出力して(ステップ192)一連のルーチンを終了する(図26)。
【0056】
図24の処理の後に実行されるステップ193(図26)では、フラグS1 に関し、S1 =0か否かのチェックを行う。S1 =0であれば、室内ファン7スイングオフ(停止)の指令を出力し(ステップ194)、S1 =0でなければ(すなわち、S1 =1なら)、室内ファン7スイングオンの指令を出力し(ステップ195)、一連のルーチンを終了する。
【0057】
ステップ190〜195(図25および図26)はルーバスイング動作に関する部分であり、ステップ193〜195は乾燥冷房の圧縮機停止時以外の運転状態でのルーバスイング可否の決定ルーチンであって、ルーバスイングフラグS1 によりルーバスイング可否が決定される。ここではリモコンでのルーバスイング操作がなされなかった場合は、通常または自動暖房時、通常または自動冷房時、自動モニタリング時および乾燥冷房の圧縮機運転時はそれ以前のステップでルーバスイングフラグS1 に“0”が設定されているため、ルーバはスイングなしの固定となり、乾燥暖房時および乾燥送風時はそれ以前のステップでルーバスイングフラグS1 に“1”が設定されているため、ステップ182〜184(図24)で設定されたルーバ斜め下方向を中心としてルーバがスイングされる。一方、ステップ190〜192は乾燥冷房の圧縮機運転時の運転状態でのルーバスイング可否の決定ルーチンであり、ルーバスイングフラグS2 によりルーバスイング可否が決定される。ここではリモコンでのルーバスイング操作がなされなかった場合、それ以前のステップでルーバスイングフラグS2 に“1”が設定されているため、ステップ189(図25)で設定されたルーバ斜め下方向を中心としてルーバがスイングされる。
【0058】
なお、各運転時のルーバ方向を図3を参照して説明すると、a方向は通常または自動冷房時、自動モニタリング時および乾燥冷房の圧縮機運転時のルーバ方向であり、床面に対しほぼ水平に設定される。一方、b方向は通常または自動暖房のルーバ方向であり、a方向すなわち床面に対し下向きにθ1 =40〜60°、望ましくは50°に設定される。また、乾燥暖房時、乾燥送風時および乾燥冷房時の圧縮機停止時はc方向に、すなわち床面に対し下向きにθ2 =30〜40°、望ましくは35°に設定される。
【0059】
b方向とc方向とがわずかに違うのは、通常または自動暖房時は室内の使用者の温度環境を向上させるためであり、使用者は一般に乾燥させるべき洗濯物よりも床面に近い所に居ることから、浮き上がりやすい暖気がより低い位置にまで到達することを意図したものである。
【0060】
図27は上述した本発明による乾燥方法によって洗濯物を乾燥させた場合の乾燥率の推移を送風運転モードのとき(実線)と冷房運転モードのとき(破線)について示したものである。このデータを得るにあたっての運転条件は、
(1)風量H(強)
(2)ルーバ8は洗濯物26の方向に向けて固定
とし、両運転モードにおいて運転開始時の室温Ta および室内湿度Ha は同一にした。図27から分かることは、例えば、送風運転の場合でもより大風量としルーバ8の向きを調節して洗濯物26に風が良く当たるようにすることにより冷房運転時よりも乾燥効果を向上させることができるということである。なお、ここで乾燥率(%)は次のように定義するものとする。
乾燥率=100 ×(洗濯物から蒸発した水分量)÷(乾燥運転開始時に洗濯物が含んでいた水分量)
【0061】
次に本発明の変形例について若干の説明を加える。
【0062】
図28は、リモートコントローラ30から乾燥指令が出力された場合において、室温Ta および湿度Ha を検出し、その検出結果に従って運転モードを選択すると共に、圧縮機の運転周波数および運転・停止を制御して乾燥運転を実施する実施例を示すものである。この実施例においては、Ta ≧22℃のときは冷房運転を行いつつ、湿度Ha に従って、湿度大なるときは圧縮機を高周波運転とし、湿度小なるときは圧縮機を低周波運転とし、湿度が予め設定した値、例えばHa ≦30%に低下したら圧縮機を停止する。室温Ta が冷房ゾーンから低下し、22℃≧Ta >20℃の領域では、送風のみを行い、室温Ta がさらに低下してTa ≦20℃になったときは圧縮機一定速度(中)の暖房運転を行う。室温が上昇し、Ta ≦20℃の領域からTa >20℃の領域へと移行したときは、送風運転モードを省略して一気に冷房運転を行い、湿度Ha に従って上述のように圧縮機の運転周波数(Hz)を制御する。この場合の運転周波数は、図25に略示しているように、たとえばHa >70%では最高速、Ha ≦30%では停止、30%<Ha ≦70%の範囲では湿度Ha を基準として10%刻みで運転周波数もステップ状に調整するようにすればよい。この実施例においては、乾燥運転指令後の乾燥運転の運転モードは室内温度および室内湿度の条件によって変化する。この実施例においても冷房ゾーンでの圧縮機運転時はルーバは水平固定となり、圧縮機停止時(Ha <30%)ではルーバは斜め下方向のスイング動作を行う。また、送風ゾーンおよび暖房ゾーンではルーバは斜め下方向のスイング動作を行う。
【0063】
図29は冷房ゾーン(Ta >22℃またはTa >20℃)において、初期条件として室温Ta =27℃、湿度Ha =70%を想定し、図28の態様に従って冷房乾燥運転を実施した場合の洗濯直後の洗濯物(乾燥率0%)の乾燥状況を示すものである。運転開始後30分程度で50%の乾燥率を達成し、1.5時間でほぼ100%の乾燥率を達成していることが分かる。このように室内湿度に応じた圧縮機の速度(周波数)制御を併用して洗濯物の良好な乾燥を遂行することができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の乾燥運転方法によれば、空気調和機を用いて、従来に比較し、より効率的な洗濯物の乾燥効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御方法を実施する装置のブロック図。
【図2】本発明を適用する空気調和機の全体構成を示す系統図。
【図3】室内機の配置状況と風向状態を説明するための説明図。
【図4】室内機に加湿器を併設した状況を示す図。
【図5】室内機と洗濯物の一般的な相対配置関係を示す図。
【図6】室内機に洗濯物を吊り下げるようにした例を示す図。
【図7】空気調和機に付設されるリモコンの外観を、下半分を覆っているカバーを外した状態で示す平面図。
【図8】リモコンの操作内容とその出力信号との関係を示す図表。
【図9】リモコンのキー操作と室内機スイング動作との関係を示す図表。
【図10】本発明に関連して行われるリモコンキー操作に対応して表示される乾燥運転モードにおける表示パターンの一例を示す図。
【図11】本発明に関連して行われるリモコンキー操作に対応して表示される乾燥運転モードにおける表示パターンの他の例を示す図。
【図12】空気調和機の通常運転時の各機器の動作状態を示す図表。
【図13】本発明に関連して行われる乾燥運転時の各機器の動作状態を示す図表。
【図14】空気調和機の自動運転時の各機器の動作状態を示す図表。
【図15】リモコンの操作に関連して行われるリモコン操作部の動作の流れを示すフローチャート。
【図16】リモコンの操作に関連して行われるリモコン操作部の動作の流れを示すフローチャート。
【図17】リモコンの操作に関連して行われるリモコン操作部の動作の流れを示すフローチャート。
【図18】リモコンの操作に関連して行われる空気調和機本体側の動作の流れを示すフローチャート。
【図19】リモコンの操作に関連して行われる空気調和機本体側の動作の流れを示すフローチャート。
【図20】リモコンの操作に関連して行われる空気調和機本体側の動作の流れを示すフローチャート。
【図21】リモコンの操作に関連して空気調和機本体側で行われる停止から乾燥運転への運転モードを決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図22】リモコンの操作に関連して空気調和機本体側で行われる自動運転モード選択の処理の流れを示すフローチャート。
【図23】リモコンの操作に関連して空気調和機本体側で行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図24】リモコンの操作に関連して空気調和機本体側で行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図25】リモコンの操作に関連して空気調和機本体側で行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図26】リモコンの操作に関連して空気調和機本体側で行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図27】本発明の乾燥方法による乾燥効果を説明するための特性図。
【図28】本発明の変形例による乾燥運転制御の一態様を示す特性図。
【図29】図28の特性に従って乾燥運転した場合の洗濯物の乾き度、部屋の湿度および温度、並びに圧縮機運転周波数を時間の関数として示す図。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 膨張弁
5 室内熱交換器
7 室内ファン
8 ルーバ
9 圧縮機駆動電動機
11 湿度センサ
12 外気温センサ
13 受信部
14 演算制御部
15 ドライバ
20 室内機
22 加湿器
23 送受信部
24 送受信部
26 洗濯物
30 リモコン(リモートコントローラ)
Claims (7)
- 室内ファンを有する室内機と圧縮機を有する室外機とからなる空気調和機を操作部からの指令に基づいて、室内に干した洗濯物の乾燥のために運転する空気調和機の乾燥運転方法であって、
空気調和機の始動時に乾燥運転モードを選択することにより、室温及び外気温に基づいて、冷房運転モードまたは強風送風運転モードのいずれかを自動選択する空気調和機の乾燥運転方法。 - 室内ファンを有する室内機と圧縮機を有する室外機とからなる空気調和機を操作部からの指令に基づいて、室内に干した洗濯物の乾燥のために運転する空気調和機の乾燥運転方法であって、
空気調和機の始動時に乾燥運転モードを選択することにより、室温及び外気温に基づいて、暖房運転モードまたは強風送風運転モードのいずれかを自動選択する空気調和機の乾燥運転方法。 - 室内ファンを有する室内機と圧縮機を有する室外機とからなる空気調和機を操作部からの指令に基づいて、室内に干した洗濯物の乾燥のために運転する空気調和機の乾燥運転方法であって、
空気調和機の始動時に乾燥運転モードを選択することにより、室温及び外気温に基づいて、冷房運転モード、暖房運転モードおよび強風送風運転モードの中からいずれか1つの運転モードを自動選択する空気調和機の乾燥運転方法。 - 室内ファンを有する室内機と圧縮機を有する室外機とからなる空気調和機を操作部からの指令に基づいて、室内に干した洗濯物の乾燥のための運転を行う空気調和機の乾燥運転方法であって、
乾燥のために空気調和機を冷房運転モードで運転すると共に、乾燥運転の冷房運転モードにおいて室内湿度が所定湿度以下に低下した時または室内温度が設定温度以下に低下した時、圧縮機を停止させて送風運転を行い、送風運転時、風向を斜め下向きに制御する空気調和機の乾燥運転方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、乾燥運転モード以外の通常運転モードを有し、通常運転モードから乾燥運転モードへの切換および乾燥運転モードから通常運転モードへの切換を手動操作により行い、乾燥運転モードに切換えた時、それに連動して運転停止のためのタイマを自動的に設定し、前記タイマの設定時間を手動で変えうる空気調和機の乾燥運転方法。
- 室内ファンを有する室内機と圧縮機を有する室外機とからなる空気調和機を操作部からの指令に基づいて、室内に干した洗濯物の乾燥のための運転を行う空気調和機の乾燥運転方法であって、
暖房運転モードでの運転中に乾燥運転モードを選択した時、強風の暖房運転モードの乾燥運転を行う空気調和機の乾燥運転方法。 - 室内ファンおよび圧縮機を有し、暖房運転を行う空気調和機を用いて、室内に干した洗濯物の乾燥を行う空気調和機の乾燥運転方法であって、
乾燥運転モードの暖房運転と通常運転モードの暖房運転とを切換可能にすると共に、前記乾燥運転モードの暖房運転時の風向および通常運転モードの暖房運転時の風向を斜め下向きに制御し、さらに前記乾燥運転モードの暖房運転時の風向の基準方向を通常運転モードの暖房運転時の風向の基準方向よりも上方向に設定する空気調和機の乾燥運転方法。
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