JP3661714B2 - 自動ブレーキ倍力装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はブレーキ倍力装置に関し、より詳しくは、自動ブレーキとしての機能を有する自動ブレーキ倍力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に、ブレーキ倍力装置は、シェル内に摺動自在に設けた概略筒状のバルブボデイと、このバルブボデイの外周部に設けたパワーピストンと、このパワーピストンの前後に区画形成した定圧室と変圧室と、上記バルブボデイ内に設けられ、入力軸の進退動に連動して流体回路を切換え制御する弁機構とを備えている。
また上記弁機構は、通常、バルブボデイの内周面にリヤ側にむけて形成した真空弁座と、上記バルブボデイ内に摺動自在に嵌合されて入力軸に連動する弁プランジャと、上記真空弁座の内方側で、上記弁プランジャにリヤ側にむけて形成した大気弁座と、上記両弁座にリヤ側から着座する弁体と、上記弁体をフロント側に付勢する第1ばねと、上記弁プランジャ及び入力軸をリヤ側に付勢して非作動位置に保持するとともに、上記弁体を真空弁座から離座させる第2ばねとを備えている。
そして上記真空弁座とこれに着座する弁体とから構成される真空弁よりも外側の空間を上記定圧室に連通する定圧通路とし、また上記大気弁座とこれに着座する弁体とによって構成される大気弁の内側を大気に連通させる大気通路とし、さらに上記真空弁と大気弁との間を上記変圧室に連通する変圧通路としている。
さらに、上記構成を有するブレーキ倍力装置に、上記真空弁座又は大気弁座を進退動可能とするとともに、該弁座にこれを進退動させるソレノイドを連動させ、該ソレノイドを励磁することにより上記真空弁座と弁体と着座させて真空弁を閉じさせるとともに、弁体を大気弁座から離座させて大気弁を開かせることにより、ブレーキペダルが踏み込まれなくてもブレーキ作動を行なうことができるようにした自動ブレーキ倍力装置が知られている(特開平4−262958号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成を有する自動ブレーキ装置によれば、ソレノイドを励磁することによってブレーキペダルが踏み込まれなくてもブレーキ作動を行なわせることができるが、バルブボデイやブレーキ倍力装置が大型化することを避けながら真空弁座の近くにソレノイドを配置することは困難であった。その結果、ソレノイドを真空弁座から離れた位置に配置して両者を連動させる必要があるため、その連動関係の構成が複雑となっていた。
本発明はそのような事情に鑑み、より簡単な構成でソレノイドと真空弁座とを連動させることができるようにした自動ブレーキ倍力装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、シェル内に摺動自在に設けた概略筒状のバルブボデイと、このバルブボデイの外周部に設けたパワーピストンと、このパワーピストンの前後に区画形成した定圧室と変圧室と、上記バルブボデイ内に設けられ、入力軸の進退動に連動して流体回路を切換え制御する弁機構とを備えたブレーキ倍力装置において、
上記弁機構を、上記バルブボデイの内周部にフロント側にむけて形成した大気弁座と、上記バルブボデイ内に摺動自在に嵌合されて入力軸に連動する弁プランジャと、上記弁プランジャに気密を保持して摺動自在に嵌合されたスリーブと、上記大気弁座の内方側で、上記スリーブにフロント側にむけて形成した真空弁座と、上記両弁座にフロント側から着座する弁体とから構成し、上記大気弁座とこれに着座する上記弁体とによって構成される大気弁よりも外側の空間が大気に連通する大気通路とされ、また上記真空弁座とこれに着座する上記弁体とによって構成される真空弁よりも内側の空間が上記定圧室に連通する定圧通路とされ、さらに上記大気弁と上記真空弁との間の空間が上記変圧室に連通される変圧通路とされるとともに、上記バルブボデイ内に、励磁された際に上記スリーブをフロント側にむけて前進させ、上記真空弁座と上記弁体とを着座させて上記真空弁を閉じるとともに、上記弁体を上記大気弁座から離座させて上記大気弁を開かせるソレノイドを設けたものである。
【0005】
【作用】
上記構成によれば、弁プランジャに摺動自在に嵌合したスリーブに真空弁座が設けられており、他方、弁プランジャはバルブボデイ内に摺動自在に嵌合されているので、そのバルブボデイにソレノイドを設けて、該ソレノイドとスリーブを連動させることは、つまりソレノイドと真空弁座とを連動させることがきわめて容易となり、したがって従来よりも簡単な構成でソレノイドと真空弁座とを連動させることができる。
【0006】
【実施例】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、ブレーキ倍力装置1のシェルはフロントシェル2とリヤシェル3とから構成している。
上記リヤシェル3はリヤ側に伸びる筒状部3Aを有しており、この筒状部3A内に概略筒状のバルブボデイ4をシール部材5を介して気密を保持して摺動自在に設けてあり、そして、上記バルブボデイ4の末端を上記筒状部3Aからリヤ側に突出させ、その突出部分を蛇腹状のダストカバー6によって覆わせている。
上記バルブボデイ4のフロント側外周部には半径方向外方に伸びるパワーピストン7が設けられており、このパワーピストンの背面に張設したダイヤフラム8によってシェル内を前後の定圧室Aと変圧室Bとに区画している。
上記バルブボデイ4内には、上記定圧室Aと変圧室Bと大気との間の流体回路を切換える弁機構10が設けてあり、上記弁機構10は、バルブボデイ4の内周部に形成した環状の大気弁座11と、この大気弁座11の内方側でバルブボデイ4に摺動自在に嵌合した弁プランジャ13と、この弁プランジャ13の外周に摺動自在に嵌装したスリーブ14のリヤ側に形成した環状の真空弁座15と、これら両弁座11、15にフロント側から着座する弁体16と、この弁体16を両弁座11、15にむけて付勢する第1ばね17と、上記スリーブ14をリヤ側に付勢する第2ばね18と、さらに、励磁された際に上記スリーブ14をフロント側に変位させるソレノイド19とを備えている。
【0007】
上記弁機構10の構成をより詳述すると、上記バルブボデイ4の軸方向中間位置に形成した厚肉部4Aの外周からフロント側に向かって薄肉な筒状部4Bを形成してあり、この筒状部4Bの先端に上記大気弁座11を設けている。上記厚肉部4Aの内部には弁プランジャ13の大径部13aを摺動自在に設けてあり、この大径部13aに設けたシールリング22によって該大径部13aと厚肉部4Aとの間の気密を保持している。また、上記シールリング22よりもフロント側の弁プランジャ13の外周に環状溝13bを形成してあり、バルブボデイ4に形成した半径方向孔4Cに遊嵌させたキー部材23を上記弁プランジャ13の環状溝13bに係合させることによって、弁プランジャ13がバルブボデイ4から抜出すのを防止している。
上記スリーブ14のリヤ側端部から半径方向外方に伸びる壁部14aの外周にフロント側に突出した環状の膨出部14bを形成してあり、この環状膨出部14bの先端面によって上記真空弁座15を構成している。上記スリーブ14は、弁プランジャ13の中径部13cの外周に摺動自在に嵌装されており、フロント側先端部を半径方向内方に突出させて形成した係合部14cを弁プランジャ13の小径部13dと中径部13cとの段部に当接させている。それによって、上記第2ばね18によってスリーブ14と弁プランジャ13とを一体に後退させることができ、また、図示しないブレーキペダルが踏み込まれて弁プランジャ13が前進された際には一体に前進するようになっている。他方、上記ソレノイド19が励磁された際には、スリーブ14のみを前進させることができるようにしている。
また、弾性体からなる概略筒状の弁体16は、上記両弁座11、15に対抗するようにリヤ側にむけて配設されており、そのフロント側端部となる肉厚の外周部はバルブボデイ4内に嵌合されたホルダ24によって気密を保持してバルブボデイ4の内周面に固定されている。他方、リヤ側端部の背面には補強プレート25が添設されており、この補強プレート25と上記ホルダ24との間に弾装した第1ばね17によって弁体16のリヤ側端部を上記両弁座11、15に着座させるようにしている。
さらに、概略筒状に構成されたソレノイド19は、上記ホルダ24内に嵌合して固定した筒状のケース26内に収容されている。上記ケース26の軸部には上記弁プランジャ13の小径部13dが摺動自在に嵌合されており、そのフロント側にプレートプランジャ27とリアクションディスク28とを順次配置している。上記プレートプランジャ27はケース26の軸部内周面に摺動自在に嵌合してあり、他方、リアクションディスク28は図示しないマスターシリンダに連動させた出力軸29の基部に形成した凹部内に嵌合し、かつ該出力軸29の凹部内に上記ケース26のフロント側外周面を摺動自在に嵌合させている。これによって、ブレーキ倍力装置1が作動されてバルブボデイ4が前進された際には、バルブボデイ4の前進力をケース26とリアクションディスク28とを介して出力軸29に伝達できるようにしている。
【0008】
次に、上記バルブボデイ4に設けた大気弁座11とそれに接離する弁体16とによって大気弁31が構成されている。この大気弁31よりも外周側には大気通路32を連通させてあり、この大気通路32は、バルブボデイ4に形成した軸方向孔4Dと、該軸方向孔4Dのリヤ側に連続するバルブボデイ4のリヤ側の内周面と弁プランジャ13のリヤ側に連結した入力軸33との間の空間とによって構成されており、かつこの大気通路32内には、フィルタ34を介して常時大気が導入されている。
また、上記真空弁座15とこれに接離する弁体16とによって真空弁35が構成されている。この真空弁35と大気弁31との間の空間には変圧通路36を連通させてあり、この変圧通路36は筒状部4Bの内周面と上記半径方向孔4Cとによって構成されて、常時変圧室Bに連通している。
さらに、上記真空弁35よりも内方側には定圧通路37を連通させてあり、この定圧通路37は、弁体16の内周面とスリーブ14の外周面との間の空間と、それに連続するホルダ24の内周面とケース26の外周面の空間と、さらに上記ケース26の外周部に形成された連通孔26aとによって構成してあり、常に定圧室Aに連通されている。上記定圧室A内にはフロントシェル2に設けた負圧導入管38を介して図示しないエンジンのインテークマニホールドに連通されており、これによって定圧室A内に常時負圧が導入されている。
そしてさらに、フロントシェル2の内周面とバルブボデイ4のフロント側端面との間にリターンスプリング39を弾装して、通常はバルブボデイ4を図示非作動位置に保持させている。
【0009】
以上の構成において、図1に示した倍力装置の非作動状態では、第1ばね17の弾発力により弁体16が大気弁座11に着座されて大気弁31を閉鎖しており、また第2ばね18の弾撥力によりスリーブ14および弁プランジャ13がリヤ側に移動され、それによって真空弁座15が弁体16から離隔されて真空弁35が開放されている。したがって、定圧通路37と変圧通路36とを介して定圧室Aと変圧室Bとが連通されているので、定圧室Aの負圧が変圧室Bに導入されている。
このとき、上記弁体16の有効径を、上記大気弁座11の径と実質的に同一か又は僅かに大きな程度に設定できるので、第1ばね17のセット荷重は、弁体16が大気と負圧との差圧力によって大気弁座11から離座しない程度で、かつ弁体16を大気弁座11に圧接させる程度の小さなセット荷重とすることができる。また、上記第2ばね18は弁プランジャ13および入力軸33を押し返すことができる程度のセット荷重に設定すればよく、しかも弁プランジャ13の大気側に臨む面積は小さいので、第2ばね18のセット荷重も小さく設定することができる。
【0010】
次に、上記非作動状態から図示しないブレーキペダルが踏み込まれて入力軸33が左行されると、それによって弁プランジャ13およびスリーブ14が第2ばね18の弾発力に抗して前進されるので、真空弁座15に弁体16が着座して真空弁35が閉じ、次に大気弁座11から弁体16が離座されて大気弁31が開く。これにより、変圧室Bと定圧室Aとの連通が遮断されるとともに、変圧室Bが変圧通路36と大気通路32とを介して大気に連通されるので、該変圧室B内に大気が導入されるようになる。これにより、パワーピストン7の前後に差圧が生じてバルブボデイ4および出力軸29が前進されるので、従来のブレーキ倍力装置と同様に所定のサーボ比の出力を得ることができる。
この際、上述したように第1ばね17および第2ばね18のセット荷重を小さく設定することができるので、ブレーキペダルを踏み込む際の踏力を小さくすることができ、それにより良好なブレーキフィーリングを運転者に付与することができる。また、上記大気弁31が真空弁35の外方側に位置しているので、両者が逆に配置されている従来の倍力装置に比較して大気弁31の径を大きくすることができ、したがって大気を迅速に変圧室Bに流入させることができるので、倍力装置の作動応答性を向上させることができる。
【0011】
さらに、上述した非作動状態において、上記ブレーキ倍力装置を自動ブレーキ倍力装置として作動させる際には、ソレノイド19を励磁すればよい。すると、スリーブ14は第2ばね18の弾発力に抗して、静止している弁プランジャ13に対して前進されるので、上述の作動状態と同様にして真空弁35が閉じるとともに大気弁31が開いて、ブレーキ倍力作用が行なわれる。
そして本実施例では、ソレノイド19をスリーブ14に近接した位置に配置することができるので、両者の連動関係はきわめて簡素となる。しかも上述したように、上記第2ばね18のセット荷重を小さく設定することができるので、低出力で小型のソレノイド19を使用することができ、またそのような小型のソレノイドは消費電力の点でも有利である。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、バルブボデイ内に摺動自在に嵌合されている弁プランジャにスリーブを摺動自在に嵌合し、かつ該スリーブに真空弁座を設けているので、バルブボデイに設けたソレノイドとスリーブとを近接させて配置することができ、したがって従来に比較してきわめて簡単な構成でソレノイドと真空弁座とを連動させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1…ブレーキ倍力装置 2…フロントシェル
3…リヤシェル 4…バルブボデイ
10…弁機構 11…大気弁座
13…弁プランジャ 14…スリーブ
15…真空弁座 16…弁体
17…第1ばね 18…第2ばね
19…ソレノイド 26…ケース
31…大気弁 32…大気通路
35…真空弁 36…変圧通路
37…定圧通路
Claims (1)
- シェル内に摺動自在に設けた概略筒状のバルブボデイと、このバルブボデイの外周部に設けたパワーピストンと、このパワーピストンの前後に区画形成した定圧室と変圧室と、上記バルブボデイ内に設けられ、入力軸の進退動に連動して流体回路を切換え制御する弁機構とを備えたブレーキ倍力装置において、
上記弁機構を、上記バルブボデイの内周部にフロント側にむけて形成した大気弁座と、上記バルブボデイ内に摺動自在に嵌合されて入力軸に連動する弁プランジャと、上記弁プランジャに気密を保持して摺動自在に嵌合されたスリーブと、上記大気弁座の内方側で、上記スリーブにフロント側にむけて形成した真空弁座と、上記両弁座にフロント側から着座する弁体とから構成し、上記大気弁座とこれに着座する上記弁体とによって構成される大気弁よりも外側の空間が大気に連通する大気通路とされ、また上記真空弁座とこれに着座する上記弁体とによって構成される真空弁よりも内側の空間が上記定圧室に連通する定圧通路とされ、さらに上記大気弁と上記真空弁との間の空間が上記変圧室に連通される変圧通路とされるとともに、上記バルブボデイ内に、励磁された際に上記スリーブをフロント側にむけて前進させ、上記真空弁座と上記弁体とを着座させて上記真空弁を閉じるとともに、上記弁体を上記大気弁座から離座させて上記大気弁を開かせるソレノイドを設けたことを特徴とする自動ブレーキ倍力装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP35042795A JP3661714B2 (ja) | 1995-12-22 | 1995-12-22 | 自動ブレーキ倍力装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35042795A JP3661714B2 (ja) | 1995-12-22 | 1995-12-22 | 自動ブレーキ倍力装置 |
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JPH09175372A JPH09175372A (ja) | 1997-07-08 |
JP3661714B2 true JP3661714B2 (ja) | 2005-06-22 |
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JP35042795A Expired - Fee Related JP3661714B2 (ja) | 1995-12-22 | 1995-12-22 | 自動ブレーキ倍力装置 |
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-
1995
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