JP3661241B2 - 感熱転写用インドアニリン系色素及びそれを用いた感熱転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱転写記録、特に色素転写型感熱転写記録に使用される感熱転写用インドアニリン系色素及びそれを用いた感熱転写記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
色素転写型感熱転写記録は、ベースフィルム上に熱移行性の色素を含む色材層を有する感熱転写シートと、色素受容層を表面に有する受像シートを重ね合わせ、感熱転写シートを加熱することにより感熱転写シート中の色素を受像シートに転写することにより記録を行う記録方法である。本記録方法は加熱エネルギーの大きさにより色素の転写量を制御し、階調表現ができるため、ビデオプリンターなどのフルカラー画像記録用に応用されている。
【0003】
そして、該色素転写型感熱転写記録においては、転写シート及び転写シート用のインキ組成物に用いられる色素は転写記録のスピード、記録物の画質、保存安定性などに大きな影響を与えるので非常に重要であり、このような色素としては、以下のような条件を満たす事が必要である。
▲1▼熱記録ヘッドの作動条件で容易に昇華及び/または熱拡散すること。
▲2▼熱記録ヘッドの作動条件で熱分解しないこと。
▲3▼色再現上、好ましい色相を有すること。
▲4▼分子吸光係数が大きいこと。
▲5▼熱、光、湿気、薬品などに対して安定であること。
▲6▼合成が容易なこと。
▲7▼インク化適性が優れていること。
▲8▼安全性上問題のないこと。
【0004】
本記録方式に用いられるシアン色素として本発明者らは下記一般式(II)
【0005】
【化3】
【0006】
で表される化合物を先に提案したが(特開平1−249860号公報参照)、これらの化合物はシアン色として優れた色相を有し、転写感度も良好であるが、転写記録物の暗所保存性が充分でないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は色素転写型感熱転写記録用の色素として、記録物の色濃度が高く、しかもその光安定性、暗所保存性が優れており、かつシアン色として優れた色相を有するインドアニリン系色素、及びこの色素を色材層中に含有する感熱転写シートを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記一般式(I)
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Rは置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリル基または置換もしくは非置換のアリール基を表し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に置換もしくは非置換のアルキル基又はアリル基を表す)で示される感熱転写用インドアニリン系色素、及び基材上に該色素と結着剤とを含む(但し、ニトロチアゾールアゾ系色素を含有する場合を除く。)色材層を有することよりなる感熱転写シートをその要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に関わる前記一般式(I)で示されるインドアニリン系色素は下記一般式(III)
【0012】
【化5】
【0013】
で示される2−アミノ−4,6−ジクロロ−5−エチルフェノールを下記一般式(IV)
【0014】
【化6】
ClCOOR (IV)
(式中Rは前記一般式(I)と同じ意味を表す。)
で示されるクロロギ酸エステル類とを不活性溶媒中、脱酸剤の存在下に反応させることにより下記一般式(V)
【0015】
【化7】
【0016】
(式中Rは前記一般式(I)と同じ意味を表す。)
で示される化合物を製造し、さらにこのものを、下記一般式(VI)
【0017】
【化8】
【0018】
(式中X,R1及びR2は前記一般式(I)と同じ意味を表す)
で示されるp−フェニレンジアミン類とを不活性溶媒中、酸化剤の存在下に反応させることにより製造することができる。
この(V)を製造するための不活性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶媒及びピリジン、ピコリン、キノリンなどの塩基性溶媒などが挙げられる。又、(V)を製造するための脱酸剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩、ピリジン、キノリン、トリエチルアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。
【0019】
また、(V)と(VI)とを不活性溶媒中で(I)を製造する際、水中での反応が有利であるが、水と混合可能なアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アルコール類などと水との混合溶媒中で反応させることもできる。又この反応で使用される酸化剤としては、過酸化水素、過硫酸塩類、フェリシアン塩類、硝酸塩類など各種の酸化剤を使用することができるが、特に過硫酸ソーダ、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類を使用することにより有利に行うことができる。又、この反応は中性からアルカリ性の条件下で行うのが望ましい。
【0020】
また、前記の反応において化合物(V)を単離することなく引き続き次工程の反応を行うことができる。化合物(I)は一般に反応後、結晶として析出してくるので、その結晶を濾過し、これを洗浄すればよいが、目的物の純度が低い場合には、再洗浄、再結晶、カラムクロマトなどにより精製すれば良い。
本発明に関わる前記一般式(I)で示される色素について具体的に説明する。
【0021】
一般式(I)において、R、R1及びR2で示されるアルキル基において、非置換のアルキル基としては、C1〜C8の直鎖状または分岐鎖状の非置換のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。また、置換アルキル基としては、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、C1〜C8のアルコキシ基、C2〜C8のアルコキシアルコキシ基、C2〜C8のアシルオキシ基、C2〜C10のアルコキシカルボニル基、C2〜C10のアルコキシカルボニルオキシ基、フェニル基もしくはヘテロ環等で置換されたC1〜C8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0022】
Rで示されるシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基及びシクロペンチル基などが挙げられる。
Rで示される置換もしくは非置換のアリール基において、非置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基などが挙げられる。また、置換のアリール基としては、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基などの置換基を1個ないし複数個有するフェニル基などがあげられる。
【0023】
上記において、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基などが挙げられる。
また、アミノ基で置換されたアルキル基の具体例としては、2−アミノエチル基、2−メチルアミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基などが挙げられる。
【0024】
また、ハロゲン原子で置換されたアルキル基の具体例としては、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられる。
また、フェニル基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基などが挙げられる。
【0025】
また、C1〜C8のアルコキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、2−i−ブトキシエチル基、2−i−プロポキシエチル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、1−メチル−2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシブチル基、1−エチル−2−メトキシエチル基などが挙げられる。
【0026】
また、C2〜C8のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−n−プロポキシエトキシ)エチル基、2−(2−i−プロポキシエトキシ)エチル基などが挙げられる。
また、C2〜C8のアシルオキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、2−アセチルオキシエチル基、2−プロピオニルオキシエチル基、2−i−ブチリルオキシエチル基、2−n−ブチリルオキシエチル基、2−トリフルオロアセチルオキシエチル基などのハロゲン原子等の置換基を有していてもよい低級アルキルカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
【0027】
また、C2〜C10のアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基の具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−ブトキシカルボニルエチル基などが挙げられる。
また、C2〜C10のアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、メトキシカルボニルオキシエチル基、2−エトキシカルボニルオキシエチル基、2−n−ブトキシカルボニルオキシエチル基、2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルオキシエチル基、2−フルフリルオキシカルボニルオキシエチル基などが挙げられる。
【0028】
また、ヘテロ環で置換されたアルキル基の具体例としては、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基及び2−テニル基などの酸素原子又は硫黄原子を含むヘテロ単環で置換されたアルキル基が挙げられる。
本発明のインドアニリン系色素のうち、好ましくは、前記一般式(I)において、Xが水素原子又はメチル基を表し、R1及びR2は置換もしくは非置換のアルキル基を表し、Rは置換もしくは非置換のアルキル基又はアリール基で示されるものが挙げられる。
【0029】
更に好ましくはXが水素原子又はメチル基を表し、R1及びR2は非置換のアルキル基を表し、Rは非置換のアルキル基、アルコキシアルキル基、ベンジル基又はフェニル基で表されるものが挙げられる。
中でも、Xがメチル基を表し、R1及びR2はエチル基を表し、RがC1〜C6のアルキル基、メトキシエチル基、ベンジル基又はフェニル基で示されるものが好ましい。
【0030】
前記一般式(I)で表される色素の具体例を第1表に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
本発明の感熱転写シートは、色材層に前記一般式(I)で表される色素を1種または2種以上含有するものである。また、前記一般式(I)で示される色素の他に、他の構造の色素と併用してもよい。
本発明の感熱転写シートに上記の色素を用いて色材層を形成する場合、その方法は特に限定されず、通常、色素を結着剤とともに媒体中に溶解あるいは微粒子状に分散させることによりインクを調製し、該インクを基材としてのベースフィルムに塗布、乾燥することにより実施することができる。
【0036】
結着剤としては、セルロース系、アクリル酸系、澱粉系、エポキシ系などの水溶性樹脂及びアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリエステル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノキシ樹脂などの有機溶剤に可溶性の樹脂が挙げられる。
【0037】
尚、結着剤と色素の混合比(重量)は、1:2〜2:1の範囲が適当である。
インク調製のための媒体としては水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどの塩素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの有機溶剤をあげることができ、これらを単独あるいは併用する。
【0038】
上記のインク中には上記の成分の他に必要に応じて有機、無機の非昇華性微粒子、分散剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調製剤などの感熱転写シートの色材層に使用が知られている各種添加剤を添加することができる。
このインクをベースフィルムに塗布する方法としては、グラビアコーター、リバースロールコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターなどを使用して実施することができ、該インクの塗布は、色材層の厚さが乾燥後0.1〜5μmの範囲となるように塗布すれば良い。
【0039】
転写シート作成のためのインクを塗布するベースフィルムとしては、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミドのような耐熱性の良好なプラスチックのフィルムおよびその延伸物が適しているが、それらの厚さとしては3〜50μmの範囲を挙げることができる。
【0040】
上記のベースフィルムのうち二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐溶剤性、経済性などを考慮すると特に有利である。しかし、場合によってはポリエチレンテレフタレートフィルムはサーマルヘッドの走行性が不十分であるので、色材層の反対面に潤滑剤、微粒子、界面活性材、あるいは帯電防止剤などを含む熱硬化性、光硬化性あるいは熱可塑性の耐熱性樹脂の層を設けることにより、サーマルヘッドの走行性を改良したものを用いることができる。
【0041】
この耐熱性樹脂としては、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などの活性水素を含有する樹脂とイソシアネートとの架橋体などの熱硬化性樹脂、ポリエステルアクレリレート、エポキシアクリレート、ポリオールアクリレートなどの光硬化性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂などのガラス転移温度が50℃以上の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0042】
また、微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機微粒子や、シリコヘーン樹脂、尿素樹脂、ベゾグアナミン樹脂等の有機微粒子などが挙げられる。
潤滑剤としては、各種変性シリコーンオイルやリン酸エステル系界面活性剤等が用いられる。
【0043】
更に、本発明の感熱転写シートは加熱手段としてサーマルヘッドのみならず赤外線、レーザー光なども利用することができる。又、ベースフィルムそのものに電気を流すことによって発熱する通電発熱フィルムを用いて、通電型染料転写シートとして用いる事もできる。
【0044】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、かかる実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1
a)第1表No.1の色素の合成
2−アミノ−4,6−ジクロロ−5−エチルフェノール17.1g(0.1モル)を水140ml中に仕込み、その中に15〜25℃で水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム4.2gを水100mlに溶解したもの)とクロロギ酸メチルエステル9.7gを同時滴下し、同温度で2時間攪拌した。反応終了後、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥し、白色結晶を19.8gを得た。
【0045】
得られた白色結晶13.2g(0.05モル)をアセトン190mlに溶解し、その中に5〜15℃でアンモニア水(28%)18.8mlを添加し、次いで0〜5℃で塩酸・2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン水溶液(塩酸・2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン12.5gを水70mlに溶解したもの)と過硫酸アンモニウム水溶液(過硫酸アンモニウム26.3gを水70mlに溶解したもの)とを同時滴下し、同温度で2時間攪拌した。反応終了後、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥し、得られた結晶をメチルアルコール150mlで懸濁洗浄することにより精製を行い、暗緑色結晶17.4gを得た。
【0046】
このもののマススペクトルは親イオンピークが403で、第1表のNo.1の構造式の分子量と一致した。また、アセトン中の吸収極大波長及び融点を後記第2表に示した。
b)インクの調製
【0047】
【表5】
第1表No.1の色素 6重量部
AS樹脂 10重量部
(製品名:サンレックス SAN−A;モンサント化成株式会社製品)
メチルエチルケトン 25重量部
トルエン 60重量部
───────────────────────────────────
合計 101重量部
上記組成の混合物をペイントコンディショナーで10分間処理し、インクの調製を行った。
【0048】
c)感熱転写シートの作成
上記のインクをワイヤバーを用いて背面が耐熱滑性処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(6μm厚)上に塗布、乾燥し(乾燥膜厚約1μm)、感熱転写シートを得た。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱滑性処理は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、アクリル樹脂(商品名:BR−80;三菱レイヨン株式会社製品)10重量部、アミノ変性シリコーンオイル(商品名:KF393;信越化学工業株式会社製品)1重量部、トルエン89重量部からなる液を塗布、乾燥(乾燥膜厚約1μm)することにより行った。
【0049】
d)受像体の作製
ポリビニルフェニルアセタール樹脂70重量部、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹脂(商品名:エスレックA;積水化学工業株式会社製品)30重量部、シリコーンワニス(商品名:TSR−160、固形分濃度60%、東芝シリコーン株式会社製品)30重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物(商品名:マイテックNY−710A、固形分濃度75%、三菱化学株式会社製品)15重量部、アミノ変性シリコーン(製品名:KFー393;信越化学工業株式会社製品)2.5重量部、メチルエチルケトン600重量部、トルエン600重量部からなる液を肉厚150μmの合成紙(製品名:ユポFPG150;王子油化株式会社製品)にワイヤーバーで塗布、乾燥し(乾燥膜厚約5μm)、更にオーブン中で80℃で30分間処理することにより作製した。
【0050】
e)転写記録
上記の感熱転写シートのインク塗布面を受像体と重ね、サーマルヘッドを用いて下記条件で記録し、第2表に示す色調の色濃度の優れた記録物を得た。
記録条件
【0051】
【表6】
主走査、副走査の記録密度 : 6ドット/mm
記録電力 : 0.20W/ドット
通電時間 : 7ミリ秒,13ミリ秒
色濃度はマクベス社製デンシトメーターTRー927型を用いて測定した。
【0052】
f)光安定性試験
転写記録により得られた記録物の記録濃度約1.0のものの光安定性試験をキセノンランプフェードメーター(スガ試験機株式会社製造)を用いて実施し(ブラックパネル温度:63±2℃)、80時間照射後の記録物の変退色の程度(△E(L*a*b*))を後記第2表に示した。
【0053】
g)暗所保存色性試験
転写記録により得られた記録物の記録濃度約1.0のものの暗所保存性試験を恒温恒湿機(ヤマト科学社製造)を用いて実施し(60℃,60%)、2週間保存後の記録物の変退色の程度(濃度保存率)を後記第2表に示した。
実施例2〜10
実施例1で用いた色素の代わりに後記第2表に示す色素を用い、実施例1と同様の方法により色素の合成、インクの調製、転写シートの作製、受像体の作製及び転写記録、光安定性試験、暗所保存性試験を行い後記第2表に示す結果を得た。
比較例1
実施例1で用いたインドアニリン系色素の代わりに、下記構造式A
【0054】
【化9】
【0055】
(特開平1−249860号の実施例2−1に記載の化合物)
で表される色素を用いた他は、実施例1と同様の方法によりインクの調製、転写シートの作製、受像体の作製、転写記録、光安定性試験及び暗所保存性試験を行い後記第2表に示す結果を得た。
この結果、このものの光安定性は△Eが6であり、本発明の実施例の色素を用いた場合と同等程度であったが、暗所保存性は74%と本発明のインドアニリン系色素より非常に低いものであった。
実施例11
実施例1で用いたインクの代わりに下記方法で調製したインクを用いて、実施例1と同様の方法により転写シートを作製、受像体の作製及び転写記録、耐光性試験、暗退色性試験を行った結果、鮮明なシアンで均一な色濃度の記録を得ることができた。また得られた記録の耐光性及び転写シートの暗所保存安定性はいずれも良好であった。
a)インクの調製
【0056】
【表7】
第1表No.1の色素 6重量部
AS樹脂(製品名:デンカAS−S;電気化学工業(株)製品)10重量部
トルエン 70重量部
シクロヘキサノン 10重量部
────────────────────────────────────
合計 96重量部
【0057】
【表8】
【0058】
【発明の効果】
本発明の感熱転写シートを用いた場合、低エネルギーで高い濃度の鮮明なシアン色の記録物を得る事でき、更にこの感熱転写シートにより得られた記録物は、耐光性、暗所保存安定性(耐暗退色性)が良好である。
Claims (6)
- 一般式(I)において、Rが非置換のC1〜C8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基;置換基としてヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、C1〜C8のアルコキシ基、C2〜C8のアルコキシアルコキシ基、C2〜C8のアシルオキシ基、C2〜C10のアルコキシカルボニル基、C2〜C10のアルコキシカルボニルオキシ基、フェニル基もしくはヘテロ環を有するC1〜C8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基;シクロヘキシル基;シクロペンチル基;非置換のフェニル基;1−ナフチル基;2−ナフチル基;または置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、もしくはメトキシ基を有するフェニル基から選ばれる基である請求項1に記載の感熱転写用インドアニリン系色素。
- 一般式(I)において、R1及びR2がそれぞれ独立に非置換のC1〜C8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基;置換基としてヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、C1〜C8のアルコキシ基、C2〜C8のアルコキシアルコキシ基、C2〜C8のアシルオキシ基、C2〜C10のアルコキシカルボニル基、C2〜C10のアルコキシカルボニルオキシ基、フェニル基もしくはヘテロ環を有するC1〜C8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基から選ばれる基である請求項1又は2に記載の感熱転写用インドアニリン系色素。
- 色材層の乾燥厚さが0.1〜5μmである請求項4に記載の感熱転写シート。
- 基材上で且つ色材層の反対面に、潤滑剤、微粒子を含む耐熱性樹脂の層を設けてなる請求項4又は5に記載の感熱転写シート。
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