JP3661550B2 - 感熱転写用アントラキノン系色素及びそれを用いた感熱転写用シート、並びに感熱転写用インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素転写型感熱転写記録用として優れた特性を有するアントラキノン系構造の青色色素化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンター、複写機、ファクシミリなどに於いてカラー記録技術が要望され、電子写真、インクジェット、感熱転写等によるカラー記録技術が検討されている。
感熱転写方式は、装置の保守や操作が容易で、装置や消耗品が安価であるため、他の方法に比べて有利である。
感熱転写方式には、基材上に熱溶融性インク層を形成させた転写シートを熱ヘッドで加熱して、該インクを溶融し、被記録体上に転写記録する溶融転写方式と、基材上に熱移行性色素を含有するインク層を形成させた転写シートを、熱ヘッド等で加熱して色素を昇華及び/又は熱拡散させ、被記録体上に転写記録する色素転写方式とがあるが、色素転写方式は熱ヘッドに与えるエネルギーを変えること等により、色素の転写量を制御することができるので、階調記録が容易となり、フルカラー記録には特に有利である。
【0003】
色素をこの記録方式に適用する場合、色素としては以下のような条件が具備される必要がある。
▲1▼熱記録ヘッドの作動条件で容易に昇華又は熱拡散すること。
▲2▼熱記録ヘッドの作動条件で熱分解しないこと。
▲3▼色再現上、好ましい色相を有すること。
▲4▼分子吸光係数が大きいこと。
▲5▼熱、光、湿気、薬品などに対し安定なこと。
▲6▼合成が容易なこと。
▲7▼インク化適性が優れていること。
▲8▼安全性上問題のないこと。
本記録方式に用いられる青色色素化合物として本発明者等は、先にアントラキノン系色素化合物を提案したが(特開昭60ー151097号公報参照)、そこに具体的に記載された色素化合物は、本発明で規定した一般式における置換基Xを有しない化合物であり、必ずしも十分な性能を有するものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は色素転写型感熱転写記録用の色素として、上記の条件をすべて満足し、特に色濃度と彩度を向上させる青色の色素化合物の提供をその目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アントラキノン系化合物の構造を種々検討した結果、アントラキノン骨格に特定の電子吸引基を導入することにより、感熱転写用色素として用いた場合に、特に色濃度と彩度が向上することを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明の第1の要旨は、下記一般式(I)で表される感熱転写用アントラキノン系色素、
【0006】
【化5】
【0007】
(一般式(I)中、環A及びBは更に置換基を有していてもよい環を表し、Xは、COOR3 基又はCONR4 R5 基を表し、R1 〜R5 は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)に存する。
また、本発明の第2の要旨は、基材上に前記アントラキノン系色素及び結着剤を含む色材層を有する感熱転写用シートに存する。
また、本発明の第3の要旨は、前記アントラキノン系色素及び有機溶剤を含有する感熱転写用インクに存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で表わされる色素化合物において、環A及びBは更に置換基を有していても良い環を表し、更に有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリール基等が挙げられる。また、XはCOOR3基又はCONR4R5基で表される基を表し、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはアリール基を表すものである。
【0009】
本発明の一般式(I)で表される色素化合物において、R1〜R5はで表される非置換のアルキル基としては炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iープロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ヘキシル基、2ーエチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
また、R1〜R5はで表される置換のアルキル基としてはアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、アリルオキシ基、アラルキルオキシ基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アシルオキシ基等で置換された炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0010】
アルコキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、2ーメトキシエチル基、2ーエトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、2−i−ブトキシエチル基、1ーメトキシー2ーメトキシエチル基、3ーメトキシプロピル基、3ーnーブトキシプロピル基等が挙げられる。
また、アラルキルオキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジルオキシメチル基、2ーベンジルオキシエチル基、1ーエチルー2ーベンジルオキシエチル基等が挙げられ、アリールオキシ基で置換されたアルキル基としてはフェノキシメチル基、2ーフェノキシエチル基等が挙げられる。
また、アルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基としては、メトキシメトキシメチル基、(2’ーメトキシエトキシ)メチル基、2ー(2’ーメトキシエトキシ)エチル基、2ー(2’ーエトキシエトキシ)エチル基、4ー(2’ーメトキシエトキシ)ブチル基等が挙げられる。
【0011】
また、シアノ基で置換されたアルキル基としては、シアノメチル基、2ーシアノエチル基等が挙げられ、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2ーヒドロキシエチル基、3ーヒドロキシプロピル基、1ーメチルー2ーヒドロキシエチル基等が挙げられハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、クロロメチル基、2ークロロエチル基、2ーブロモエチル基等が挙げられる。
また、アルコキシカルボニル基もしくはアリルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、2ーメトキシカルボニルエチル基、2ーエトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルエチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0012】
また、アシルオキシ基で置換されたアルキル基としては、アセトキシメチル基、2ーアセトキシエチル基、ベンゾイルオキシメチル基、2ーベンゾイルオキシエチル基、3−アセトキシプロピル基等が挙げられ、アリール基で置換されたアルキル基としては、ベンジル基、p-クロロベンジル基、2ーフェニルエチル基等が挙げられる。
R1〜R5はで表される置換アルキル基の中では、アルコキシ基で置換された炭素数2〜8のアルキル基であるのが好ましい。
R1〜R5はで表される置換又は非置換のアルケニル基としてはアリル基、2ーメチルアリル基、2ークロロアリル基、2ーブロモアリル基、3ーフェニルアリル基等が挙げられ、R1〜R5はで表される置換又は非置換のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
R1〜R5はで表される置換又は非置換のアリール基としては、置換基として炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を有してもよいフェニル基が挙げられる。
【0013】
上述した中でも、R1、R2で有利なものとしては、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基又は置換もしくは非置換のアリール基等が挙げられ、中でも特に有利なものとしては、炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐鎖状の非置換アルキル基、非置換フェニル基、非置換アリル基等が挙げられる。
R3〜R5で有利な物としては、置換もしくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は炭素数5〜8のシクロアルキル基が挙げられ、中でも、特に有利なものとしては炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐鎖状の非置換アルキル基、アルコキシアルキル基等が挙げられ、特には炭素数2〜5のアルキル基が好ましい。
【0014】
本発明においては、一般式(I)で表される色素化合物の中でも、更に、下記一般式(II)で表される化合物は、感熱転写用の色素として色濃度と彩度に優れ総合的に優れた性能を有するという点で好ましい化合物である。
【0015】
【化6】
【0016】
(一般式(II)中、R1、R2及びXは一般式(I)と同じ定義を表す。)
また、一般式(I)で表されるアントラキノン系化合物の中でも、下記一般式(III)で表される化合物は新規化合物であり、この化合物は種々の用途の青色系色素として有用な化合物である。
【0017】
【化7】
【0018】
(一般式(III)中、環A、B及びR1〜R3は、一般式(I)と同じ定義を表す。)
一般式(III)の化合物の中でも、下記一般式(IV)の化合物は特に青色系色素として有用な新規化合物である。
【0019】
【化8】
【0020】
(一般式(IV)中、R1〜R3は一般式(I)と同じ定義を表す。)
一般式(II)〜(IV)における環A、B、X及びR1〜R5の具体例及び好ま
しいものとしては、上述した一般式(I)と同様のものが使用できる。
本発明の一般式(II)で表されるアントラキノン系化合物の具体例を下記第1表に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
本発明に関わる前記一般式(IV)で示されるアントラキノン系色素化合物は、下記化合物(V)
【0027】
【化9】
【0028】
で示される化合物を塩化チオニルにより酸塩化物とし、対応するアルコール化合物を作用させることによりエステル化し、下記化合物(VI)
【0029】
【化10】
【0030】
とする。これにハイドロサルファイトを作用することにより還元してロイコ体とし、このものに対応するアミン化合物を作用させてアミン置換してから酸化することにより合成できる。
また、一般式(II)において、XがCONR4R5基である化合物は、上記一
般式(VI)で示される化合物を塩化チオニルにより酸塩化物として対応するアミン化合物を作用させてアミド化することにより合成することができる。
エステル化時の溶媒としては、ベンゼン、クロロベンゼンなどが好適であり、反応温度は50〜100℃で実施するのが有利である。還元時の溶媒としては、水が好適であり、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの存在下、ハイドロサルファイトを大過剰に使用することが反応の促進に有利である。アミン置換、酸化時の溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどの溶媒が好適であり、対応するアミン化合物を過剰に用い、反応温度50〜80℃で実施するのが有利である。酸化工程は空気酸化により進行するが、硫酸銅などの銅触媒を使用すると反応の促進に有利である。
【0031】
本発明のアントラキノン系色素化合物を感熱転写記録用色素として用いる場合、色素を結着剤と共に媒体中に溶解あるいは微粒子状に分散させることによりインクを調製し、該インクを基材上に塗布、乾燥して転写シートを作製する。
インクの調製のための結着剤としては、セルロース系、アクリル系、澱粉系、エポキシ系などの水溶性樹脂及びアクリル樹脂、メエタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリエステル、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン共重合体)、フェノキシ樹脂などの有機溶剤に可溶性の樹脂をあげることができる。
【0032】
インク調製のための媒体としては水の他に、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどの塩素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの有機溶剤を挙げることができる。
【0033】
上記のインク中には上記の成分の他に必要に応じて有機、無機の非昇華性微粒子、分散剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤などを添加することができる。
転写シート作製のためのインクを塗布する基材としては、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド 、ポリイミド、ポリアラミドのような耐熱性の良好なプラスチックのフィルムが適している。それらの厚さとしては3〜50μmの範囲を挙げることができる。
【0034】
この基材としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐溶剤性、経済性などを考慮すると特に有利である。しかし、ポリエチレンテレフタレートフィルムは必ずしも耐熱性が十分でない場合や、サーマルヘッドの走行性が不十分である場合があるので、転写シートの色材層と反対面に潤滑剤、滑性の高い耐熱性粒子などを含む耐熱性樹脂の層を設けることにより、サーマルヘッドの走行性を改良したものを用いることもできる。
インクを基材上に塗布する方法としては、グラビアコーター、リバースロールコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターなどの装置を使用して実施することができる。インクの塗布は乾燥後の膜厚が0.1〜5μmの範囲となるように塗布すればよい。
【0035】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
製造例1
色素化合物(No.1)の合成
6ーカルボキシキニザリン2.84gをクロロベンゼン30ml中に仕込み、その溶液に70℃でチオニルクロライド3.56gを滴下し、70〜80℃で1時間反応後70℃まで冷却した。エタノール20mlを添加し、加熱還流下2時間反応後、室温まで冷却した。反応液を濃縮し、残さにメタノール30mlを添加し析出した結晶を濾過、メタノールで洗浄後乾燥しオレンジ色結晶(6ーエトキシカルボニルキニザリン)が2.0g得られた。次にこの結晶0.5gを炭酸ソーダ0.5gとともに水20ml中に仕込み、60℃に加熱し、ハイドロサルファイト1.5gを水5mlに溶解した水溶液をゆっくり滴下した。55〜60℃で2時間反応した後、熱濾過し、水洗後乾燥し黄色結晶(6ーエトキシカルボニルキニザイリンロイコ体)0.4gを得た。この結晶0.4g、2ーエチルヘキシルアミン0.82gをイソプロピルアルコール5ml中に溶解し、窒素雰囲気下、加熱還流下で4時間反応後、硫酸銅0.02gを添加し、空気を吹き込みながら加熱還流下で2時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、反応液を1N塩酸50mlに排出した。析出した結晶を濾過、乾燥し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン)により精製後、乾燥し、暗青色結晶0.45gを得た。
【0036】
このものの融点、及び吸収極大値(λmax )は下記の通りであった。
融点:85.9℃
λmax (アセトン中):663nm
このもののマススペクトルは親イオンピークが534であった。然して、このものの化学構造は下記の通りである。(第1表色素No. 1)
【0037】
【化11】
【0038】
実施例1
上記製造例1で得られた本発明の色素化合物No. 1を使用して以下の転写記録試験を実施した。
【0039】
【表6】
【0040】
上記組成の混合物をペイントコンディショナーで10分間処理し、インクの調製を行った。
【0041】
b)転写シートの作製
上記のインクをワイヤバーを用いて背面が耐熱滑性処理のされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(6μm厚)上に塗布後乾燥し(乾燥膜厚約1μm)、転写シートを得た。なお、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱滑性処理は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにアクリル樹脂(商品名:BRー80;三菱レイヨン株式会社製品)10重量部、アミノ変性シリコンオイル(商品名:KF393;信越化学工業株式会社製品)1重量部、及びトルエン89重量部からなる液を塗布、乾燥(乾燥膜厚約1μm)することにより行った。
【0042】
c)画像受像シート(被記録体)の作製
ポリビニルフェニルアセタール樹脂70重量部、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体(商品名:エスレックA;積水化学工業株式会社製品)30重量部、シリコーンワニス(商品名:TSRー160、固形分濃度60%(溶媒:キシレン);東芝シリコーン株式会社製品)30重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物の酢酸エチル溶液(商品名:マイテックNY−710A、固形分濃度75%;三菱化学株式会社製品)15重量部、アミノ変性シリコーン(製品名:KF393;信越化学工業株式会社製品)2.5重量部、メチルエチルケトン600重量部、及びトルエン600重量部からなる液をポリプロピレン系合成紙(製品名:ユポFPG150;王子油化合成紙株式会社商品名)にワイヤバーで塗布、乾燥し(乾燥膜厚約5μm)、更にオーブン中で80℃で30分間処理して画像受容シートを作製した。
【0043】
d)転写記録
上記転写シートのインク塗布面を上記画像受像シートと重ね、サーマルヘッドを用いて下記条件で記録し、階調表現された鮮明なシアン色の記録物を得た。
記録物の光学濃度1.0部分での色度を(株)きもと社製GRETAG SPM50を用いて測定したところ、a* 値−26.6 b* 値−50.3であった。
【0044】
【表7】
記録条件
主走査、副走査の記録密度 :6ドット/mm
記録電力 :0.2W/ドット
通電時間 :1〜13ミリ秒(1ミリ秒毎)
【0045】
e)耐光性試験
得られた記録物の耐光性試験をキセノンランプフェードメーター(スガ試験器株式会社製品)を用いて実施し(ブラックパネル温度:63±2℃)、80時間照射後の記録物の変退色の程度(ΔE(L*a*b*))を後記第2表に示した。
【0046】
実施例2〜5
実施例1で用いた色素の代わりに前記第1表に示した色素のうち後記第2表に示す色素を用い、実施例1と同様の方法で融点、最大吸収波長測定、転写試験を行った結果、各々第2表に示す通りであり、シアン色として色調の優れたの記録物を得ることができた。
【0047】
比較例
実施例1で用いた色素化合物の代わりに、特開昭60ー151097号公報の実施例に記載の下記色素化合物Aを用いて、融点、最大吸収波長の測定、転写試験を実施例1と同様に実施した。その結果を第2表に示す。
【0048】
【化12】
【0049】
【表8】
【0050】
【発明の効果】
本発明のアントラキノン系色素化合物は、青色系の新規色素化合物であり、最大吸収波長が長いのでシアン色としての色鮮明性に優れた記録物を得ることができる。
Claims (6)
- 一般式(I)又は(II)におけるR1 及びR2 が、それぞれ独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基又は置換もしくは非置換のアリール基である請求項1又は2に記載の感熱転写用アントラキノン系色素。
- 一般式(I)又は(II)におけるXが、COOR3 基を表し、R3 が置換もしくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写用アントラキノン系色素。
- 基材上に請求項1〜4のいずれか1項に記載のアントラキノン系色素及び結着剤を含む色材層を有する感熱転写用シート。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアントラキノン系色素及び有機溶剤を含有する感熱転写用インク。
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