JP3657688B2 - 一体型熱交換器用タンク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つのタンクを連結してなる一体型熱交換器用タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、冷房用のコンデンサをラジエータの前面に連結したいわゆる一体型熱交換器が考案されるようになってきており、このような一体型熱交換器では、例えば、実開平2−62267号公報に開示されるような一体型熱交換器用タンクが開示されている。
【0003】
図7は、特開平1−224163号公報に開示される熱交換器用タンクを示すもので、この熱交換器用タンクは、アルミニウムからなるコ字状のタンク本体1の中央に、仕切部1aが一体形成されている。
そして、タンク本体1の内側に形成される溝部1bに、アルミニウムからなるヘッダープレート2の両端が嵌挿され、ヘッダープレート2が溝部1bおよび仕切部1aの端面1cにろう付けされ、第1のタンク3および第2のタンク4が形成されている。
【0004】
しかしながら、このような従来の熱交換器用タンクでは、ヘッダープレート2を、仕切部1aの端面1cに、タンク本体1の長手方向の全長にわたって確実に当接することが困難であり、ヘッダープレート2と仕切部1aの端面1cとのろう付け個所に、ろう付け不良が生じ易いという問題があった。
そこで、出願人は、先に、タンク本体とヘッダープレートを確実にろう付けすることができる一体型熱交換器用タンク(特願平7−103725号)を出願した。
【0005】
これを図8乃至図10により説明する。
図において符号10は、ラジエータを構成する第1の熱交換器用タンクを、符号11はコンデンサを構成する第2の熱交換器用タンクを示している。
これ等第1の熱交換器用タンク10と第2の熱交換器用タンク11とは、一体的に形成されている。
【0006】
第1の熱交換器用タンク10の第1のタンク本体12と、第2の熱交換器用タンク11の第2のタンク本体13とは、アルミニウムからなり押し出し成形により一体に形成されている。第1のタンク本体12と第2のタンク本体13との間には、第1の突出部14と第2の突出部15とが所定間隔を置いて形成され、これ等の突出部14,15の間に溝部16が形成されている。この溝部16には、第1の熱交換器用タンク10の第1のヘッダープレート17と第2の熱交換器用タンク11の第2のヘッダープレート18の端部が隣接状態で嵌挿されろう付けされている。
【0007】
第1のヘッダープレート17と第2のヘッダープレート18とは、アルミニウムからなり一体形成されている。そして、溝部16に対応する位置において折り返され、折り返し部19が溝部16に嵌挿されている。
第1のタンク本体12および第2のタンク本体13の外側面には、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18の端部がカシメ固定される凸部20,21が形成されている。
【0008】
また、第1のタンク本体12および第2のタンク本体13の外側底面には、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18の端部がろう付けされる平坦部22,35,36が形成されている。
第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18の長手方向の両端部は、図10に示すように、第1のタンク本体12および第2のタンク本体13の長手方向の両端部から突出されている。
【0009】
この突出部24は、挿入穴25が形成され、これ等の挿入穴25に、エンドプレート26の突起部27が嵌合固定される。
エンドプレート26は、アルミニウムからなり、第1のタンク本体12および第2のタンク本体13に対応する形状をしている。
エンドプレート26の上部には、挿入穴29が形成され、これ等の挿入穴29に、仮止ピン30が挿通されている。
【0010】
仮止ピン30は、第2のタンク本体13のガイドレール31および第1のタンク本体12のガイドレール32に嵌挿されている。
以上のように構成された一体型熱交換器用タンクでは、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18の長手方向の両端の突出部24に形成される挿入穴25に、エンドプレート26の突起部27が嵌合固定され、この状態でエンドプレート26が第1のタンク本体12および第2のタンク本体13の端面にろう付けされるため、ろう付けを確実に行うことができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この先願によれば、第1の熱交換器用タンク10と第2の熱交換器11とが、第1のタンク本体12および第2のタンク本体13と、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18とにより構成されているため、これ等を一体化するためには、第1のタンク本体12および第2のタンク本体13と、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18との精度が必要となり、高精度の加工が要求される。
【0012】
また、第1のタンク本体12および第2のタンク本体13と、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18とエンドプレート26とはろう付け面が多く、形状が複雑となり、ろう付け不良を発生する虞がある。
さらに、第1のヘッダープレート17および第2のヘッダープレート18の長手方向の両端の突出部24に形成される挿入穴25に、エンドプレート26の突起部27が嵌合固定した後、仮止ピン30を、第2のタンク本体13のガイドレール31および第1のタンク本体12のガイドレール32に嵌挿しているため、エンドプレート26の取付が面倒である。
【0013】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、単純な構成でろう付け性を向上させることができる一体型熱交換器用タンクを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとを一体に形成してなる一体型熱交換器用タンクにおいて、第1の熱交換器用タンクは箱断面形状をなし、第2の熱交換器用タンクは丸断面形状をなし、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとの両端部には、第1の熱交換器用タンクの端部周面の内壁の一部に係止する係止部材と、第2の熱交換器用タンクの端部周面の内壁に嵌入する丸断面形状の係止部材とを一体に備えたエンドプレートが取り付けてあることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の発明は、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとを一体に形成してなる一体型熱交換器用タンクにおいて、第1の熱交換器用タンクは箱断面形状をなし、第2の熱交換器用タンクは丸断面形状をなし、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとは、押出し成形により一体形成され、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとの両端部には、第1の熱交換器用タンクの内壁の一部に係止する係止部材と第2の熱交換器用タンクの内壁に嵌入する丸断面形状の係止部材を備えたエンドプレートが取り付けてあることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2記載の一体型熱交換器用タンクにおいて、第1の熱交換器用タンクの係止部材は、第1の熱交換器用タンクの内壁に当接する突起であることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項2記載の一体型熱交換器用タンクにおいて、第1の熱交換器用タンクの係止部材は、第1の熱交換器用タンクの内壁の少なくとも2辺に当接する突起であることを特徴とするものである。
【0017】
(作用)
請求項1記載の熱交換器用タンクにおいては、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとにエンドプレートの係止部材を嵌入することによって、エンドプレートを取り付けることができる。
請求項2乃至請求項4記載の熱交換器用タンクにおいては、エンドプレートの係止部材が回り止めとして機能し、エンドプレートを第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクとに確実に嵌入させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施形態について説明する。
図1は、請求項1乃至請求項4記載の発明に係る一体型熱交換器用タンクを適用した一体型熱交換器の一実施形態を示しており、図において符号31は、ラジエータを構成する第1の熱交換器を、符号32はコンデンサを構成する第2の熱交換器を示している。
【0019】
第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36は、図2に示すように、アルミニウム(例えば、A3003)からなり押出成形により一体に形成されている。
第1の熱交換器用タンク33,34は、箱断面形状をなし、第2の熱交換器用タンク35,36は、丸断面形状をなしている。第2の熱交換器用タンク35,36は、第1の熱交換器用タンク33,34の側壁に形成される平面部37の下部に当接すると共に連結部38を介して一体になっている。第1の熱交換器31と第2の熱交換器32は、各チューブ挿通穴39,40,41,42の軸心39a,40a,41a,42aを平行にして、第1の熱交換器31の熱交換器用タンク33,34の平面部37に第2の熱交換器32を当接している。
【0020】
ここで、平面部37は、第2の熱交換器用タンク35,36側の一側面全域に形成されており、第1の熱交換器用タンク33,34の底面43,44に対して垂直になっている。
そして、両熱交換器用タンク33,34、35,36は、図2に示すように、底面43,44、45,46が一点鎖線で示す水平線H上に位置している。
【0021】
第1の熱交換器用タンク33,34の底面43,44には、チューブ挿通穴41,42が穿設されている。チューブ挿通穴41,42には、チューブ47が挿通されている。チューブ挿通穴41,42は、第1の熱交換器用タンク33,34の底面43,44に対して垂直に穿設されている。
第2の熱交換器用タンク35,36の底面45,46には、チューブ挿通穴39,40が穿設されている。チューブ挿通穴39,40には、チューブ48が挿通されている。チューブ挿通穴39,40は、第2の熱交換器用タンク35,36の底面45,46に対して垂直に穿設されている。
【0022】
チューブ47,48には両者に跨るフィン49が配置されている。チューブ47,48とフィン49とによって、第1の熱交換器31と第2の熱交換器32の共通するコア部50が形成される。
【0023】
第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36の開口端33a,34a,35a,36aには、図3および図4に示すように、ろう材をクラッドしたアルミニウム(例えば、A4343−3003)のエンドプレート51が取り付けられる。
エンドプレート51は、第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36を同時に閉塞するそれぞれ1枚の板材によって構成されている。
【0024】
そして、第1の熱交換器用タンク33,34を覆う部位53には、第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bに当接する矩形状の凹部からなる係止部材52が形成されている。
また、第2の熱交換器用タンク35,36を覆う部位55には、第2の熱交換器用タンク35,36の全内壁面35b,36bに当接する円筒形状の凹部からなる係止部材54が形成されている。
【0025】
以上のように構成された本実施形態においては、第1の熱交換器用タンク33,34および第2の熱交換器用タンク35,36の開口端33a,34a,35a,36aには、図3および図4に示すように、エンドプレート51が取り付けられる。
エンドプレート51は、第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bに矩形状の凹部からなる係止部材52を圧入することによって、その起立辺52aが第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bに密嵌合される。同時に、第2の熱交換器用タンク35,36の全内壁面35b,36bに丸形状の凹部からなる係止部材54を圧入することによって、その起立辺54aが第2の熱交換器用タンク35,36の全内壁面35b,36bに密嵌合される。
【0026】
また、エンドプレート51は、係止部材52の起立辺52aが第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bに密嵌合されているので、係止部材54を中心にして回動することがない。
また、第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36とには、チューブ47,48とフィン49が配されている。
【0027】
そして、図1に示す状態で、定法に従って一体にろう付けされる。
以上のように構成された本実施形態によれば、第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36とがアルミニウムの押出し成形によって構成されているので、先願(特願平7−103725号)のように複数の部材を組み付けるものに比し、構造が簡単であり、ろう付け不良を起こすなどの不具合がない。
【0028】
そして、第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36の開口端33a,34a,35a,36aには、図4に示すように、ろう材をクラッドしたアルミニウム(例えば、A4343−3003)のエンドプレート51が第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bに矩形状の凹部からなる係止部材52を圧入すると同時に、第2の熱交換器用タンク35,36の全内壁面35b,36bに丸形状の凹部からなる係止部材54を圧入しているので、エンドプレート51の内面51aが第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36の開口端33a,34a,35a,36aの全面に確実に当接し、ろう付け時にろうが満遍なく行き当たり、エンドプレート51によって第1の熱交換器用タンク33,34と第2の熱交換器用タンク35,36の開口端33a,34a,35a,36aを確実に水密に閉塞することができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、エンドプレート51の係止部材52の起立辺52aが第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bの1辺に密嵌合される場合について説明したが、図5に示すように、係止部材52を第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bの全周に当接する形状の凹部にしても良い。
【0030】
また、エンドプレート51の係止部材52は、係止機能と回転止め機能を有するものであれば、例えば、図6に示すように、第1の熱交換器用タンク33,34の内壁面33b,34bの少なくとも2辺に当接する突起52cとしても良い。これは、第2の熱交換器用タンク35,36が丸形状のため、係止部材54を嵌入しただけでは、エンドプレート51が係止部材54を中心にして回動するので、これを防止するために必要な構造である。従って、係止部材52の形状は種々あり、係止機能と回転止め機能を有するものであれば、特に限定するものではない。
【0031】
尚、上記実施形態では、第1の熱交換器用タンク25,27を箱断面形状とした場合について説明したが、第2の熱交換器用タンク31,33との当接部位を確保するための平面部37を形成できれば特にその形状を限定するものではない。特に、第1の熱交換器21はラジエータに使用される場合には、コンデンサに比して耐圧性は要求されないからその形状は任意である。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1乃至請求項4の発明では、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクは、ヘッダプレートを一体に有するので、エンドプレートに設けた係止部材を介して両端部にエンドプレートを簡単に取り付けることができる。
【0033】
そして、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクの両端部に係止部材を介してエンドプレートを取り付けた状態でろう付けできるので、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクの両端部を確実に水密状態で閉塞することができる。
また、エンドプレートは、第1の熱交換器用タンクと第2の熱交換器用タンクの両端部に係止部材を介して取り付けてあるので、コア組時、ろう付け前の搬送時などに不用意に回転したり脱落したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1乃至請求項4記載の発明に係る一体型熱交換器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の熱交換器用タンクを示す断面図である。
【図3】図1のエンドプレートの取付状態を示す分解斜視図である。
【図4】図3の要部を示す断面図である。
【図5】図1の変形例を示す断面図である。
【図6】図1の変形例を示す断面図である。
【図7】従来の一体型熱交換器を示す平面図である。
【図8】先願に係る一体型熱交換器用タンクを示す断面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図8のエンドプレートの取付構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
33,34 第1の熱交換器用タンク
35,36 第2の熱交換器用タンク
33a,34a,35a,36a 端部
51 エンドプレート
52,54 係止部材
Claims (4)
- 第1の熱交換器用タンク(33,34)と第2の熱交換器用タンク(35,36)とを一体に形成してなる一体型熱交換器用タンクにおいて、
第1の熱交換器用タンク(33,34)は箱断面形状をなし、第2の熱交換器用タンク(35,36)は丸断面形状をなし、
第1の熱交換器用タンク(33,34)と第2の熱交換器用タンク(35,36)との両端部(33a,34a,35a,36a)には、第1の熱交換器用タンク(33,34)の端部周面の内壁(33b,34b)の一部に係止する係止部材(52)と、第2の熱交換器用タンク(35,36)の端部周面の内壁(35b,36b)に嵌入する丸断面形状の係止部材(54)とを一体に備えたエンドプレート(51)が取り付けてある
ことを特徴とする一体型熱交換器用タンク。 - 第1の熱交換器用タンク(33,34)と第2の熱交換器用タンク(35,36)とを一体に形成してなる一体型熱交換器用タンクにおいて、
第1の熱交換器用タンク(33,34)は箱断面形状をなし、第2の熱交換器用タンク(35,36)は丸断面形状をなし、第1の熱交換器用タンク(33,34)と第2の熱交換器用タンク(35,36)とは、押出し成形により一体形成され、
第1の熱交換器用タンク(33,34)と第2の熱交換器用タンク(35,36)との両端部(33a,34a,35a,36a)には、第1の熱交換器用タンク(33,34)の内壁(33b,34b)の一部に係止する係止部材(52)と第2の熱交換器用タンク(35,36)の内壁(35b,36b)に嵌入する丸断面形状の係止部材(54)を備えたエンドプレート(51)が取り付けてある
ことを特徴とする一体型熱交換器用タンク。 - 請求項2記載の一体型熱交換器用タンクにおいて、
第1の熱交換器用タンク(33,34)の係止部材(52)は、第1の熱交換器用タンク(33,34)の内壁(33b,34b)に当接する突起である
ことを特徴とする一体型熱交換器用タンク。 - 請求項2記載の一体型熱交換器用タンクにおいて、
第1の熱交換器用タンク(33,34)の係止部材(52)は、第1の熱交換器用タンク(33,34)の内壁(33b,34b)の少なくとも2辺に当接する突起である
ことを特徴とする一体型熱交換器用タンク。
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