JP3648572B2 - カラー液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、カラーフィルタを用いずに着色した表示を得るカラー液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
着色した表示が得られるカラー液晶表示装置としては、一般に、カラーフィルタを用いて光を着色するものが利用されている。
しかし、このカラー液晶表示装置は、カラーフィルタを用いて光を着色するものであるため、光の透過率が低く、したがって表示が暗いという問題をもっている。
【0003】
これは、カラーフィルタでの光の吸収によるものであり、カラーフィルタは、その色に対応する波長帯域外の波長光だけでなく、前記波長帯域の光もかなり高い吸収率で吸収するため、カラーフィルタを通った着色光が、カラーフィルタに入射する前の前記波長帯域の光に比べて大幅に光強度を減じた光になり、表示が暗くなってしまう。
【0004】
なお、液晶表示装置には、そのバックライトからの光を利用して表示する透過型のものと、外光(自然光や室内照明光等)を利用しその光を裏面側に配置した反射板で反射させて表示する反射型のものとがあるが、上記カラー液晶表示装置を反射型とすると、その表面側から入射し裏面側の反射板で反射されて表面側に出射する光がカラーフィルタを2度通って二重に光強度を減じるため、表示が極端に暗くなって、表示装置としてはほとんど使用できなくなる。
【0005】
しかも、上記カラー液晶表示装置は、1つ1つの画素の表示色がその画素に対応するカラーフィルタの色によって決まるため、多くの色を表示するには、例えば赤、緑、青の三原色のカラーフィルタをそれぞれ対応させた3つの画素を一組として、その各画素の光の透過を制御することにより所望の表示色を得なければならず、そのために透過光の強度が大幅に弱くなって表示色が暗くなる。
【0006】
一方、従来から、カラーフィルタを用いずに着色した表示を得るカラー液晶表示装置として、ECB型(複屈折効果型)の液晶表示装置が知られている。
このECB型液晶表示装置は、電極を形成した一対の基板間に液晶を挟持した液晶セルをはさんで一対の偏光板を配置したものであり、一方の偏光板を透過して入射した直線偏光が、液晶セルを透過する過程で液晶層の複屈折効果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となった光となり、その光が他方の偏光板に入射して、この他方の偏光板を透過した光が、その光を構成する各波長光の光強度の比に応じた色の着色光になる。
【0007】
すなわち、上記ECB型液晶表示装置は、カラーフィルタを用いずに、液晶セルの液晶層の複屈折効果と一対の偏光板の偏光作用とを利用して光を着色するものであり、したがってカラーフィルタによる光の吸収がないから、光の透過率を高くして明るいカラー表示を得ることができる。
【0008】
しかも、上記ECB型液晶表示装置は、液晶セルの両基板の電極間に印加される電圧に応じた液晶分子の配向状態によって液晶層の複屈折性が変化し、それに応じて他方の偏光板に入射する各波長光の偏光状態が変化するため、液晶セルへの印加電圧を制御することによって上記着色光の色を変化させることができ、したがって、同じ画素で複数の色を表示することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のECB型液晶表示装置は、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態、つまり液晶分子が初期の配向状態にあるときの表示が着色した表示であり、印加する電圧に応じて液晶分子の配向状態を変化させることにより表示色を変え、その色相の違いによって文字、図形等を表示するものである。したがって、背景色が有色であるため、表示が見づらいという欠点があった。
【0010】
この発明は、カラーフィルタを用いずに光を着色して明るいカラー表示を得るとともに、同じ画素で白を含む複数の色を表示することができ、しかも、最も表示頻度の高い白を、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態で表示して、低消費電力化をはかることができるカラー液晶表示装置を提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明のカラー液晶表示装置は、電極を形成した一対の基板間に液晶を挟持しその分子を両基板間においてツイスト配向させた液晶セルと、前記液晶セルの表面側に配置された第1の位相差板と、前記液晶セルの裏面側に配置された第2の位相差板と、前記第1の位相差板の表面側に配置された偏光板と、前記第2の位相差板の裏面側に配置された反射板とからなり、
かつ、前記液晶セルの液晶分子のツイスト角がほぼ90°で、前記第1の位相差板の遅相軸が前記液晶セルの表面側の基板上における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交し、前記第2の位相差板の遅相軸が前記液晶セルの裏面側の基板上における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交しているとともに、前記偏光板の透過軸が前記第1の位相差板の遅相軸に対して斜めに交差しており、
前記第1の位相差板と第2の位相差板のそれぞれのリタデーションの値が、
これら位相差板のリタデーションの和が、前記液晶セルの液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積の値をΔndとしたとき、Δnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差の絶対値が、可視光帯域の所定の光の波長λに対して(k/2)λ±λ/12(kは正の整数)
の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
【0012】
このカラー液晶表示装置において、上記第1および第2の位相差板のリタデーションの値は、液晶セルの表面側に配置された第1の位相差板のリタデーションの値が、液晶セルの裏面側に配置された第2の位相差板のリタデーションの値より小さいのが望ましく、また、上記第1の位相差板と第2の位相差板のリタデーションの差の絶対値は、例えば、240±40nm(より望ましくは230±20nm)、460±30nm、750±40nmのいずれかが望ましい。
【0013】
また、上記所定の光の波長λは、およそ480nmに選ぶのが望ましい。
さらに、上記偏光板の透過軸とこの偏光板が隣接する上記第1の位相差板の遅相軸とのずれ角は、ほぼ45°またはその奇数倍であるのが望ましい。
【0014】
【作用】
この発明のカラー液晶表示装置は、外光を利用しその光を裏面側に配置した反射板で反射させて表示するものであり、その表面側から入射する外光は、まず偏光板によって直線偏光され、第1の位相差板と液晶セルと第2の位相差板とを順次透過して反射板で反射されるとともに、再び前記第2の位相差板と液晶セルと第1の位相差板とを順次透過して前記偏光板に入射し、この偏光板を透過した光が出射する。
【0015】
この出射光は、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態、つまり液晶分子が初期の配向状態にあるときは無彩色であり、液晶セルの電極間に電圧を印加して液晶分子を立上がり配向させると出射光が着色し、その色が印加電圧に対応する液晶分子の立上がり配向状態に応じて変化する。
【0016】
まず、液晶セルの液晶分子が初期の配向状態にあるときに出射光が無彩色になる条件について説明する。
このカラー液晶表示装置においては、液晶セルの液晶分子がほぼ90°のツイスト角でツイスト配向しているとともに、この液晶セルの表面側に配置された第1の位相差板の遅相軸が前記液晶セルの表面側の基板上における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交し、前記液晶セルの裏面側に配置された第2の位相差板の遅相軸が前記液晶セルの裏面側の基板上における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交している。
【0017】
そして、上記液晶セルを、特定の方向に遅相軸をもった固有のリタデーションを有する光学素子と見なすと、上記カラー液晶表示装置は、前記固有のリタデーションを有する光学素子と上記第1および第2の位相差板とを、それぞれの遅相軸を互いに直交させて積層したものと同値である。
【0018】
ここで、前記光学素子と第1の位相差板とに着目すると、遅相軸を互いに直交させて配置した光学素子と位相差板との合成リタデーションは、前記光学素子のリタデーションReLCと前記位相差板のリタデーションReλ1 との差であり、その差がゼロ(ReLC−Reλ1 =0)であれば、すなわち、それぞれのリタデーションReLC,Reλ1 が同じであれば、この光学素子と第1の位相差板とからなる光学要素に光を入射させたときの透過光の偏光状態は、入射光の偏光状態と同じになる。
【0019】
そして、前記光学要素と第2の位相差板とに着目すると、前記光学要素の遅相軸と前記第2の位相差板の遅相軸も互いに直交しているため、前記光学要素の合成リタデーション(ReLC−Reλ1 )と第2の位相差板のリタデーションReλ2 とが同じであれば、つまり、ReLC−Reλ1 =Reλ2 であれば、この光学要素と第2の位相差板とを透過した光の偏光状態も、入射光の偏光状態と同じになる。
【0020】
したがって、上記カラー液晶表示装置は、液晶セルと第1および第2の位相差板のそれぞれのリタデーションReLC,Reλ1 ,Reλ2 がReLC=Reλ1 +Reλ2 の関係にあるときに、液晶セルと第1および第2の位相差板とを透過した光の偏光状態が入射光の偏光状態と同じになる。
【0021】
このため、液晶表示装置への入射光(外光)が白色光であるとすると、液晶分子が初期の配向状態にあるときに無彩色の白を表示させるためには、液晶セルの初期配向状態におけるリタデーションReLCと、第1および第2の位相差板のリタデーションReλ1 ,Reλ2 とを、ReLC=Reλ1 +Reλ2 の関係になるように設定すればよい。このようにすれば、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態では透過光の偏光状態を変えることがないので、前記偏光板を透過して出射する光が着色のない無彩色光になり、表示が無彩色の明表示である白になる。
【0022】
なお、このカラー液晶表示装置では、反射板によって反射された光が、第2の位相差板と液晶セルと第1の位相差板とを往復して透過するが、これらのリタデーションReLC,Reλ1 ,Reλ2 が、Reλ1 +Reλ2 =ReLCの関係にあるので、前述した往路の透過光と同様にし、復路においても透過光の偏光状態は変化しない。
【0023】
ここで、上記液晶セルのリタデーションReLCの値は、この液晶セルに用いられる液晶のバルクの屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値と、基板間に封入された液晶の配向状態とによって定まるものであり、液晶が初期配向状態にある液晶セルのリタデーションReLCは、前記Δndと、液晶分子のツイスト配向のツイスト角、基板面に対するプレチルト角等によって決まる値αの和によって与えられる。
【0024】
すなわち、液晶セルのリタデーションReLCは、ReLC=Δnd+αで表わされ、このαの値は、20〜70nmである。
したがって、上記リタデーションの関係式Reλ1 +Reλ2 =ReLCは、
Reλ1 +Reλ2 =Δnd+α (α=20〜70nm)
となり、第1、第2の位相差板および液晶セルのリタデーションReλ1 ,Reλ2 ,ReLCは、それぞれ上式の関係を満たすように設定される。つまり、第1と第2の位相差板のリタデーションの和の値(Reλ1 +Reλ2 )が、液晶セルの屈折率異方性をΔndとしたとき、Δnd+20〜70nmの範囲になるように設定することにより、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態で白の表示が得られる。
【0025】
次に、出射光の着色について説明すると、この発明のカラー液晶表示装置は、液晶セルの液晶分子が初期の配向状態にあるときは、液晶セルのリタデーションReLCと第1および第2の位相差板のリタデーションReλ1 ,Reλ2 とがReLC=Reλ1 +Reλ2 の関係にあるが、液晶セルの電極間に電圧を印加
して液晶分子を立上がり配向させると、この液晶分子の配向状態に変化に応じて液晶セルのリタデーションReLCが変化し、
ReLC≠Reλ1 +Reλ2
となる。
【0026】
したがって、このとき、偏光板を透過して直線偏光となった光は、第1の位相差板と液晶セルと第2の位相差板を往復して透過する過程でそれらの複屈折効果により、各波長光ごとにそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となり、その光が前記偏光板に入射して、この偏光板を透過した出射光が、その光を構成する各波長光の光強度の比に応じた色の着色光になる。
【0027】
この出射光の着色は、偏光板の透過軸と、この偏光板に隣接する第1の位相差板の遅相軸とがほぼ45°またはその奇数倍(135°,225°,315°)の交差角で斜めに交差
そして、液晶セルの液晶分子は、印加電圧を高くしてゆくのにともなってツイスト配向状態を保ちつつ立上がり配向し、それに応じて液晶セルのリタデーションReLCの値が小さくなるため、液晶セルへの印加電圧を変化させると、第1の位相差板と液晶セルと第2の位相差板を往復して透過して楕円偏光に入射する各波長光の偏光状態が変化して、出射光の色が変化する。
【0028】
この場合、従来のECB型液晶表示装置では、その表示色を変化させるのに、液晶セルの電極間に印加する電圧を大きく変化させなければならないが、この発明のカラー液晶表示装置は、液晶セルへの印加電圧をあまり大きく変えなくても、表示色を変化させることができ、したがって、比較的低い電圧で複数の着色表示を得ることができる。
【0029】
次に、上記出射光の着色を、液晶セルの電極間に充分に高い電圧を印加して液晶分子をほぼ垂直に立上がり配向させたときについて考えると、液晶セルの液晶分子がほぼ垂直に立上がり配向した状態では、液晶セルのリタデーションReLCが実質的にゼロ(ReLC=0)になったと見なせるため、上記カラー液晶表示装置は、前記液晶セルを無視して、第1と第2の位相差板はさんで偏光板と反射板が配置されている構成と考えることができる。
【0030】
そして、この場合、第1の位相差板と第2の位相差板の遅相軸が互いにほぼ直交しているため、これら位相差板の合成リタデーションReλR は、第1の位相差板のリタデーションReλ1 と第2の位相差板のリタデーションReλ2 との差、つまり、ReλR =Reλ2 −Reλ1 となる。
【0031】
このとき、上記カラー液晶表示装置は、反射板を用いた反射型であるため、上記合成リタデーションReλR の2倍のリタデーション(2ReλR )を有する位相差板をはさんで一対の偏光板をそれぞれの透過軸を互いに平行にして配置した透過型表示装置と同値である。
【0032】
また、リタデーションの値がReλR である位相差板を透過した光の位相差δは、可視光帯域の所定の光の波長をλとすると、
δ=(2π/λ)ReλR …(1)
で表わされる。
【0033】
そして、上記透過型表示装置における位相差板を透過した光の位相差は2δであるから、この表示装置の光の出射率Tは、位相差板の遅相軸に対する両偏光板の透過軸のずれ角をφとすると、
T=1− sin(2φ)・ sin2 δ …(2)
となる。
【0034】
この (2)式より、φ=(m−1)・π/2 (mは正の整数1,2,3…)のときは、T=1となる。
すなわち、上記位相差板の遅相軸に対する両偏光板の透過軸のずれ角φが90°またはその整数倍であるときは、位相差板のリタデーションに関係なく光の出射率が最大となり、また出射光の着色も生じない。
【0035】
一方、上記 (2)式より、φ=(2m−1)・π/4 (mは正の整数1,2,3…)のときは、
T=1− sin2 δ …(3)
となり、各波長光の出射率が各波長光ごとの位相差δの値に対応して異なるため、上記位相差板を透過した光は、その各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となった光となり、この偏光板を透過した出射光が着色する。このとき、つまり上記位相差板の遅相軸に対する偏光板の透過軸のずれ角φが45°またはその奇数倍であるときの出射光は、最も色付きが大きい着色光である。
【0036】
この出射光の着色は、上記ずれ角φが90°またはその整数倍(180°,270°,360°)以外の範囲、つまり斜めの交差角であるときに得られるが、φが45°またはその奇数倍であるときに、最も鮮やかで色コントラストが最大の色が出る。
【0037】
さらに、上記ずれ角φが45°またはその奇数倍であるときの各波長光の出射率について考察すると、φ=π/4のときの出射率Tは、上記 (3)式のようにT=1− sin2 δであり、Tが最大、つまりT=1となるのは、
sin2 δ=0
のときである。
【0038】
このときの位相差δは、
δ=kπ (kは正の整数1,2,3…)
であり、また (1)式のように、
δ=(2π/λ)ReλR
であるから、
2π・ReλR /λ=kπ
∴ ReλR =(2/k)λ …(4)
となる。
【0039】
以上のことから、この発明のカラー液晶表示装置は、液晶セルの液晶に充分高い電圧が印加されたとき、第1および第2の位相差板とを合成したときの遅相軸の向きと偏光板の透過軸とが90°またはその整数倍を除く交差角で斜めに交差しているとき、上記 (4)式の波長λの光、すなわち、その半波長の整数倍(k倍)が第1および第2の位相差板の合成リタデーションReλR の値に相当する光が最も多く偏光板を透過して出射し、その波長光を中心とした色に出射光が着色する。
【0040】
ここで、上記 (4)式で表わされる所定の波長の光を出射させるための第1および第2の位相差板の合成リタデーションReλR の範囲を考察する。
例えば、所定の波長光の出射率がその最大出射率の3/4以上である範囲、つまり光の出射率TがT≧3/4の範囲であるとすると、上記 (3)式は、
3/4≧1− sin2 δ
となる。
【0041】
上記式が3/4=1− sin2 δとなる場合について第1および第2の位相差板を透過した光の位相差δを求めると、
sin2 δ=1/4
sinδ =1/2 …(5)
であり、この (5)式を満たすδは、
δ=±(π/6)+kπ (kは正の整数1,2,3…)
である。
【0042】
このことは、最大出射率が得られる位相差δmax (δmax =kπ)に対して±π/6の位相差の範囲で、最大出射率の3/4以上が得られるということを表わしている。
【0043】
そして、位相差δmax からの位相差の差をδΔとすると、
δΔ=±π/6 …(6)
となり、また上記 (1)式より、最大出射率が得られる位相差板のリタデーションに対する、最大出射率の3/4以上が得られるリタデーションのずれをReΔλR とすると、
δΔ=(2π/λ)ReΔλR …(7)
となる。
【0044】
この (6)式と (7)式とより、
±π/6=(2π/λ)ReΔλR
ReΔλR =±(1/12)λ
よって、
|ReΔλR |=(1/12)λ
となる。
【0045】
したがって、所定の波長光の出射率Tが最大出射率の3/4以上(T≧3/4)となる第1および第2の位相差板の合成リタデーションReλRの範囲は、
となる
【0046】
以上の結果から、所定の波長光の出射率が最大となる第1および第2の位相差板の合成リタデーションReλR の値は(k/2)λ(kは正の整数)であり、最大出射率の3/4の出射率が得られる合成リタデーションReλR の値は(1/12)λである。
【0047】
そして、前記合成リタデーションReλRは、上述したように第1および第2の位相差板のそれぞれのリタデーションReλ1,Reλ2の差(ReλR=Reλ2−Reλ1)であるため、これら第1および第2位相差板のリタデーションReλ1,Reλ2の差の絶対値が可視光帯域の所定の光の波長λに対して(k/2)λ±λ/12(kは正の整数)の範囲、つまり、
であれば、所定の波長光の出射率Tが最大出射率の3/4以上(T≧3/4)となる。
【0048】
ここで、上記所定の光の波長λは、480nm程度の青ないし緑系の色域の波長を選択するのが望ましく、所定の光の波長λをおよそ480nmに選べば、液晶セルの電極間に印加する電圧を変化させることにより、表示色をより多くの色に変化させることができる。
【0049】
このように、この発明のカラー液晶表示装置によれば、カラーフィルタを用いずに光を着色して明るいカラー表示を得るとともに、同じ画素で白を含む複数の色を表示することができ、しかも、最も表示頻度の高い白を、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態で表示して、低消費電力化をはかることができる。
【0050】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1はカラー液晶表示装置の断面図である。
このカラー液晶表示装置は、液晶セル10と、この液晶セル10の表面側(図において上側)に配置された第1の位相差板(以下、表側位相差板という)21と、前記液晶セル10の裏面側(図において下側)に配置された第2の位相差板(以下、裏側位相差板という)22と、前記第1の位相差板21の表面側に配置された偏光板20と、前記第2の位相差板22の裏面側に配置された反射板23とからなっている。なお、前記反射板23は、樹脂フィルム等からなるベースシートの表面に銀またはアルミニウム等の金属膜を蒸着した無指向性反射板である。
【0051】
上記液晶セル10は、ITO膜等からなる透明電極13,14を形成しその上に配向膜15,16を形成した一対の透明基板(例えばガラス基板)11,12間にネマティック液晶18を挟持しその分子を両基板11,12間においてツイスト配向させたものであり、前記両基板11,12は枠状のシール材17を介して接合されており、液晶18は両基板11,12間の前記シール材17で囲まれた領域に封入されている。
【0052】
この液晶セル10は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を能動素子とするアクティブマトリックス型のものであり、一方の基板11に形成された電極13は行方向および列方向に配列された複数の画素電極、他方の基板12に形成された電極14は前記画素電極13の全てに対向する対向電極である。
【0053】
なお、図1では省略しているが、画素電極13を形成した基板11には、各画素電極13にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給するゲート配線と、各列のTFTにデータ信号を供給するデータ配線とが設けられている。
【0054】
また、上記両基板11,12に設けた配向膜15,16は、ポリイミド等からなる水平配向膜であり、これら配向膜15,16は互いにほぼ直交する方向に配向処理(ラビング処理)されており、液晶18の分子は、両基板11,12上(配向膜15,16の上)における配向方向を配向膜15,16で規制され、前記配向膜15,16面に対し僅かなプレチルト角で傾斜した状態で、両基板11,12間においてほぼ90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0055】
そして、上記偏光板20と表側および裏側位相差板21,22は、その光学軸(偏光板では透過軸、位相差板では遅相軸)を次のような向きにして設けられている。
【0056】
図2は、上記液晶セル10の両基板11,12上における液晶分子配向方向と表裏の位相差板21,22の遅相軸および偏光板20の透過軸の向きを示している。
【0057】
この図2のように、液晶セル10の裏面側基板11上における液晶分子配向方向11aは、液晶表示装置の横軸Oに対して図上(表面側から見て)右回りにほぼ45°ずれ、表面側基板12上における液晶分子配向方向12aは、前記横軸Oに対して図上左回りにほぼ45°ずれており、液晶分子は、そのツイスト方向を破線矢印で示したように、裏面側基板11から表面側基板12に向かって図上右回りにほぼ90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0058】
また、図2のように、表側位相差板21の遅相軸21aは前記横軸Oに対して図上左回りにほぼ135°ずれ、裏側位相差板22の遅相軸22aは前記横軸Oに対して図上左回りにほぼ45°ずれており、また偏光板20の透過軸20aは前記横軸Oとほぼ平行またはほぼ直交(図では平行)する方向にある。
【0059】
すなわち、液晶セル10の表面側に配置された表側位相差板21は、その遅相軸21aを液晶セル10の表面側基板12上における液晶分子配向方向12aに対してほぼ直交させて設けられ、液晶セル10の裏面側に配置された裏側位相差板22は、その遅相軸22aを液晶セル10の裏面側基板11上における液晶分子配向方向11aに対してほぼ直交させて設けられており、また表側位相差板21の表面側に配置された偏光板20は、その透過軸20aを前記表側位相差板21の遅相軸21aに対してほぼ45°またはその奇数倍(135°,225°,315°)の交差角(図2では45°)で斜めに交差させて設けられている。
【0060】
また、上記表側位相差板21のリタデーションReλ1の値と、裏側位相差板22のリタデーションReλ2の値は、これら位相差板21,22のリタデーションの和(Reλ1+Reλ2)が、液晶セル10のΔndに対してΔnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差(Reλ 2−Reλ1)の絶対値が、可視光帯域の所定の光の波長λに対して(k/2)λ±λ/12(kは正の整数1,2,3…)の範囲に設定されている。
【0061】
このカラー液晶表示装置は、外光を利用しその光を裏面側に配置した反射板23で反射させて表示するものであり、その表面側から入射する外光は、まず偏光板20によって直線偏光され、表側位相差板21と液晶セル10と裏側位相差板22とを順次透過して反射板23で反射されるとともに、再び前記裏側位相差板22と液晶セル10と表側位相差板21とを順次透過して前記偏光板20に入射し、この偏光板20を透過した光が出射する。また、このカラー液晶表示装置は、液晶セル10の両基板11,12の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0062】
このカラー液晶表示装置の表示は、上記[作用]の項で説明したように、液晶セル10の電極13,14間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態において白であり、液晶セル10の電極13,14間に電圧を印加すると表示が着色し、またその色が印加電圧に応じて変化する。
【0063】
このカラー液晶表示装置の表示色は、表側および裏側位相差板21,22のリタデーションReλ1 ,Reλ2 の値と、液晶セル10のΔndの値によって決まる。以下、その具体的な実施例を説明する。
【0064】
[実施例1]
表側および裏側位相差板21,22の遅相軸21a,22aと偏光板20の透過軸20aとを図2の向きにしたカラー液晶表示装置において、
表側位相差板21のリタデーションReλ1 を
Reλ1 =60nm
裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を
Reλ2 =810nm
両位相差板21,22のリタデーションの和(Reλ1 +Reλ2 )を
Reλ1 +Reλ2 =870nm
両位相差板21,22のリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )を
Reλ2 −Reλ1 =750nm
液晶セル10のΔndを
Δnd=830nm
両位相差板21,22のリタデーションの和と液晶セル10のΔndとの差α[α=(Reλ1 +Reλ2 )−Δnd]を
α=40nm
に設定した。
【0065】
図3は、上記実施例1における出射光の色変化を示すCIE色度図であり、図において点Wは無彩色領域の中心を示している。
この色度図のように、上記実施例1では、出射光が、液晶セル10の電極13,14間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態では無彩色の白色光であり、前記電極13,14間にある程度以上の電圧を印加したときに出射光が着色し、その色が、印加電圧を高くしてゆくのにともなって図のように変化する。
【0066】
図4は、上記実施例1における液晶セル10への印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示しており、この実施例では、印加電圧が0〜約1.5vの範囲で白が表示され、それより印加電圧を高くしてゆくのにともなって、表示色が青→黄緑→赤紫→灰色→緑の順に変化する。なお、図において()を付した色は近似色である。
【0067】
したがって、この実施例によれば、同じ画素で、白、青、黄緑、赤紫、灰色、緑の色を表示することができるとともに、これら表示色の全てを0〜約4vの比較的低い電圧(図4参照)で得ることができ、しかも、非選択状態で白を表示することができる。
【0068】
なお、上記実施例1では、表側位相差板21のリタデーションReλ1 を60nm、裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を810nmとしたが、これら位相差板21,22のリタデーションReλ1 ,Reλ2 の値は、それらの和(Reλ1 +Reλ2 )が液晶セル10のΔndに対してΔnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )の絶対値が、740±40nmになる範囲で任意に選べばよく、その範囲であれば図4のような表示色を得ることができる。
【0069】
[実施例2]
表側および裏側位相差板21,22の遅相軸21a,22aと偏光板20の透過軸20aとを図2の向きにしたカラー液晶表示装置において、
表側位相差板21のリタデーションReλ1 を
Reλ1 =357nm
裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を
Reλ2 =610nm
両位相差板21,22のリタデーションの和(Reλ1 +Reλ2 )を
Reλ1 +Reλ2 =985nm
両位相差板21,22のリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )を
Reλ2 −Reλ1 =235nm
液晶セル10のΔndを
Δnd=920nm
両位相差板21,22のリタデーションの和と液晶セル10のΔndとの差α[α=(Reλ1 +Reλ2 )−Δnd]を
α=65nm
に設定した。
【0070】
図5は、上記実施例2における出射光の色変化を示すCIE色度図であり、図において点Wは無彩色領域の中心を示している。
この色度図のように、上記実施例2では、出射光が、液晶セル10の電極13,14間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態では無彩色の白色光であり、前記電極13,14間にある程度以上の電圧を印加したときに出射光が着色し、その色が、印加電圧を高くしてゆくのにともなって図のように変化する。
【0071】
図6は、上記実施例2における液晶セル10への印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示しており、この実施例では、印加電圧が0〜約1.5vの範囲で白が表示され、それより印加電圧を高くしてゆくのにともなって、表示色が黒→青→黄緑→赤紫→紫→緑→薄緑の順に変化する。なお、図において()を付した色は近似色である。
【0072】
したがって、この実施例によれば、同じ画素で、白、黒、青、黄緑、赤紫、紫、緑、薄緑の色を表示することができるとともに、これら表示色の全てを0〜約6vの比較的低い電圧(図6参照)で得ることができ、しかも、非選択状態で白を表示することができる。
【0073】
また、上述した実施例1では、図4のように、非選択状態での白の表示が近似色であり、約1.5vの電圧を印加したときに明るい白の表示になるが、この実施例2では、非選択状態での表示が実施例1に比べて充分明るくかつ純度のよい白の表示であり、したがって、より明るい白の表示を得ることができる。
【0074】
なお、上記実施例2では、表側位相差板21のリタデーションReλ1 を357nm、裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を610nmとしたが、これら位相差板21,22のリタデーションReλ1 ,Reλ2 の値は、それらの和(Reλ1 +Reλ2 )が液晶セル10のΔndに対してΔnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )の絶対値が、240±40nmになる範囲、望ましくは230±20nmになる範囲で任意に選べばよく、その範囲であれば図6のような表示色を得ることができる。
【0075】
[実施例3]
表側および裏側位相差板21,22の遅相軸21a,22aと偏光板20の透過軸20aとを図2の向きにしたカラー液晶表示装置において、
表側位相差板21のリタデーションReλ1 を
Reλ1 =410nm
裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を
Reλ2 =630nm
両位相差板21,22のリタデーションの和(Reλ1 +Reλ2 )を
Reλ1 +Reλ2 =1040nm
両位相差板21,22のリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )を
Reλ2 −Reλ1 =220nm
液晶セル10のΔndを
Δnd=1000nm
両位相差板21,22のリタデーションの和と液晶セル10のΔndとの差α[α=(Reλ1 +Reλ2 )−Δnd]を
α=40nm
に設定した。
【0076】
図7は、上記実施例3における出射光の色変化を示すCIE色度図であり、図において点Wは無彩色領域の中心を示している。
この色度図のように、上記実施例3では、出射光が、液晶セル10の電極13,14間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態では無彩色の白色光であり、前記電極13,14間にある程度以上の電圧を印加したときに出射光が着色し、その色が、印加電圧を高くしてゆくのにともなって図のように変化する。
【0077】
図8は、上記実施例3における液晶セル10への印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示しており、この実施例では、印加電圧が0〜約1.5vの範囲で白が表示され、それより印加電圧を高くしてゆくのにともなって、表示色が黒→黄緑→紫→青→緑の順に変化する。なお、図において()を付した色は近似色である。
【0078】
したがって、この実施例によれば、同じ画素で、白、黒、黄緑、紫、青、緑の色を表示することができるとともに、これら表示色の全てを0〜約6vの比較的低い電圧(図8参照)で得ることができ、しかも、非選択状態で白を表示することができる。
【0079】
また、この実施例においても、上記実施例2と同様に、非選択状態での表示が充分明るくかつ純度のよい白の表示であり、したがって、より明るい白の表示を得ることができる。
【0080】
なお、上記実施例3では、表側位相差板21のリタデーションReλ1 を410nm、裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を630nmとしたが、これら位相差板21,22のリタデーションReλ1 ,Reλ2 の値は、それらの和(Reλ1 +Reλ2 )が液晶セル10のΔndに対してΔnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )の絶対値が、240±40nmになる範囲、望ましくは230±20nmになる範囲で任意に選べばよく、その範囲であれば図8のような表示色を得ることができる。
【0081】
[実施例4]
表側および裏側位相差板21,22の遅相軸21a,22aと偏光板20の透過軸20aとを図2の向きにしたカラー液晶表示装置において、
表側位相差板21のリタデーションReλ1 を
Reλ1 =310nm
裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を
Reλ2 =760nm
両位相差板21,22のリタデーションの和(Reλ1 +Reλ2 )を
Reλ1 +Reλ2 =1070nm
両位相差板21,22のリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )を
Reλ2 −Reλ1 =450nm
液晶セル10のΔndを
Δnd=1000nm
両位相差板21,22のリタデーションの和と液晶セル10のΔndとの差α[α=(Reλ1 +Reλ2 )−Δnd]を
α=70nm
に設定した。
【0082】
なお、この実施例では、裏側位相差板22として、リタデーションが350nmの位相差板と、リタデーションが41nmの位相差板とを積層したものを使用した。
【0083】
図9は、上記実施例3における出射光の色変化を示すCIE色度図であり、図において点Wは無彩色領域の中心を示している。
この色度図のように、上記実施例3では、出射光が、液晶セル10の電極13,14間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態では無彩色の白色光であり、前記電極13,14間にある程度以上の電圧を印加したときに出射光が着色し、その色が、印加電圧を高くしてゆくのにともなって図のように変化する。
【0084】
図10は、上記実施例3における液晶セル10への印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示しており、この実施例では、印加電圧が0〜約1.5vの範囲で白が表示され、それより印加電圧を高くしてゆくのにともなって、表示色が黒→青→黄緑→赤紫→紫→緑の順に変化する。なお、図において()を付した色は近似色である。
【0085】
したがって、この実施例によれば、同じ画素で、白、黒、青、黄緑、赤紫、紫、緑の色を表示することができるとともに、これら表示色の全てを0〜約5vの比較的低い電圧(図10参照)で得ることができ、しかも、非選択状態で白を表示することができる。
【0086】
また、この実施例においても、上記実施例2および3と同様に、非選択状態での表示が充分明るくかつ純度のよい白の表示であり、したがって、より明るい白の表示を得ることができる。
【0087】
なお、上記実施例4では、表側位相差板21のリタデーションReλ1 を310nm、裏側位相差板22のリタデーションReλ2 を760nmとしたが、これら位相差板21,22のリタデーションReλ1 ,Reλ2 の値は、それらの和(Reλ1 +Reλ2 )が液晶セル10のΔndに対してΔnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差(Reλ2 −Reλ1 )の絶対値が、460±30nmになる範囲で任意に選べばよく、その範囲であれば図10のような表示色を得ることができる。
【0088】
上述した実施例1〜4のように、上記カラー液晶表示装置は、同じ画素で白を含む複数の色を表示することができるとともに、最も表示頻度の高い白を、液晶セル10の電極13,14間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態で表示できるため、従来のECB型液晶表示装置に比べて大幅な低消費電力化をはかることができる。
【0089】
また、上記カラー液晶表示装置は、実施例1〜4の表示色に加えて、隣接する複数の画素の表示色の組合わせによりそれらの合成色を表現することも可能である。
【0090】
なお、上記実施例では、液晶セル10としてアクティブマトリックス型のものを用いたが、この液晶セル10は、単純マトリックス型のものであってもよいし、またセグメント型のものであってもよい。
【0091】
【発明の効果】
この発明のカラー液晶表示装置によれば、カラーフィルタを用いずに光を着色して明るいカラー表示を得るとともに、同じ画素で白を含む複数の色を表示することができ、しかも、最も表示頻度の高い白を、液晶セルの電極間に液晶分子を立上がり配向させる電圧を印加していない非選択状態で表示して、低消費電力化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すカラー液晶表示装置の断面図。
【図2】同じく液晶セルの両基板上における液晶分子配向方向と表裏の位相差板の遅相軸および偏光板の透過軸の向きを示す図。
【図3】表側位相差板のリタデーションを60nm、裏側位相差板のリタデーションを810nm、両位相差板のリタデーションの和を870nm、両位相差板のリタデーションの差を750nm、液晶セルのΔndを830nm、両位相差板のリタデーションの和と液晶セルのΔndとの差を40nmに設定した実施例1における出射光の色変化を示すCIE色度図。
【図4】実施例1における液晶セルへの印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示す図。
【図5】表側位相差板のリタデーションを357nm、裏側位相差板のリタデーションを610nm、両位相差板のリタデーションの和を985nm、両位相差板のリタデーションの差を235nm、液晶セルのΔndを920nm、両位相差板のリタデーションの和と液晶セルのΔndとの差を65nmに設定した実施例2における出射光の色変化を示すCIE色度図。
【図6】実施例2における液晶セルへの印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示す図。
【図7】表側位相差板のリタデーションを410nm、裏側位相差板のリタデーションを630nm、両位相差板のリタデーションの和を1040nm、両位相差板のリタデーションの差を220nm、液晶セルのΔndを1000nm、両位相差板のリタデーションの和と液晶セルのΔndとの差を40nmに設定した実施例3における出射光の色変化を示すCIE色度図。
【図8】実施例3における液晶セルへの印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示す図。
【図9】表側位相差板のリタデーションを310nm、裏側位相差板のリタデーションを760nm、両位相差板のリタデーションの和を1070nm、両位相差板のリタデーションの差を450nm、液晶セルのΔndを1000nm、両位相差板のリタデーションの和と液晶セルのΔndとの差を70nmに設定した実施例4における出射光の色変化を示すCIE色度図。
【図10】実施例4における液晶セルへの印加電圧に対する光の出射率および出射光の色変化を示す図。
【符号の説明】
10…液晶セル
11a…裏面側基板上における液晶分子配向方向
12a…表面側基板上における液晶分子配向方向
20…偏光板
20a…透過軸
21…表側位相差板
21a…遅相軸
22…裏側位相差板
22a…遅相軸
23…反射板
Claims (8)
- 電極を形成した一対の基板間に液晶を挟持しその分子を両基板間においてツイスト配向させた液晶セルと、前記液晶セルの表面側に配置された第1の位相差板と、前記液晶セルの裏面側に配置された第2の位相差板と、前記第1の位相差板の表面側に配置された偏光板と、前記第2の位相差板の裏面側に配置された反射板とからなり、
かつ、前記液晶セルの液晶分子のツイスト角がほぼ90°で、前記第1の位相差板の遅相軸が前記液晶セルの表面側の基板上における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交し、前記第2の位相差板の遅相軸が前記液晶セルの裏面側の基板上における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交しているとともに、前記偏光板の透過軸が前記第1の位相差板の遅相軸に対して斜めに交差しており、
前記第1の位相差板と第2の位相差板のそれぞれのリタデーションの値が、
これら位相差板のリタデーションの和が、前記液晶セルの液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積の値をΔndとしたとき、Δnd+20〜70nmで、かつ、それぞれのリタデーションの差の絶対値が、可視光帯域の所定の光の波長λに対して(k/2)λ±λ/12(kは正の整数)
の範囲に設定されていることを特徴とするカラー液晶表示装置。 - 第1の位相差板のリタデーションの値が、第2の位相差板のリタデーションの値より小さいことを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示装置。
- 第1の位相差板と第2の位相差板のリタデーションの差の絶対値が、240±40nmであることを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示装置。
- 第1の位相差板と第2の位相差板のリタデーションの差の絶対値が、230±20nmであることを特徴とする請求項3に記載のカラー液晶表示装置。
- 第1の位相差板と第2の位相差板のリタデーションの差の絶対値が、460±30nmであることを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示装置。
- 第1の位相差板と第2の位相差板のリタデーションの差の絶対値が、750±40nmであることを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示装置。
- 所定の光の波長λは、およそ480nmであることを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示装置。
- 偏光板の透過軸と第1の位相差板の遅相軸とのずれ角は、ほぼ45°またはその奇数倍であることを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示装置。
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