JP3644235B2 - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品に関するもので、特に、内部電極における改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどのセラミック誘電体材料は、その高い比誘電率を利用して、コンデンサ材料として広く用いられてきた。また、受動部品であるコンデンサは、近年の電子部品の小型化の流れから大きい静電容量と小型化が望まれている。
【0003】
一方、セラミック誘電体を誘電体層に用いた積層セラミックコンデンサは、空気中で1300℃程度の高温で焼成することが必要であったため、内部電極としてパラジウム、白金などの貴金属またはこれらの合金が使用されてきた。しかし、これらの電極材料は非常に高価であり、製品コストに占める電極材料コストの割合が高く、コストダウンが困難であった。
【0004】
上記問題を解決するため、積層セラミックコンデンサの内部電極材料の卑金属化が進められ、焼成時に、電極を酸化させないために中性または還元性雰囲気で焼成できる耐還元性を考慮したセラミック誘電体材料が種々開発されてきた。このような卑金属内部電極材料としては、コバルト、ニッケル、銅などがあるが、コストや耐酸化性の点から、ニッケルが主に用いられている。
【0005】
現在、積層セラミックコンデンサは、さらなる小型化、大容量化が求められており、そのため、セラミック誘電体材料の高誘電率化、およびセラミック誘電体からなるセラミック層の薄層化が検討され、同時に、電極についても、その薄層化が検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
積層セラミックコンデンサの内部電極は、一般に、金属粉末を含むペーストをスクリーン印刷などの印刷法により付与することによって形成される。このようなペーストに含有される金属粉末として、たとえばニッケル粉末が用いられるとき、ニッケル粉末としては、液相法や化学気相法によって作製された平均粒径が0.25μmを超えるものが多く使用されている。しかしながら、このように粒子径が大きいと、内部電極の薄膜化が困難である。
【0007】
また、平均粒径が0.25μm程度もあるニッケル粉末を使用した場合には、誘電体セラミックの誘電特性を引き出すために内部電極の厚みを0.8μm以上とすることが必要であった。
また、内部電極間に位置するセラミック層を薄くすることは、積層セラミックコンデンサの静電容量を向上させるための最も有効な手段であるが、たとえば、内部電極の厚み0.8μmに対して、セラミック層の厚みが3μm以下になると、内部電極材料とセラミックとの収縮率の違いにより、デラミネーションといった積層セラミックコンデンサにとって致命的な構造欠陥が頻繁に生じる。
【0008】
また、ニッケル粉末の平均粒径および/またはセラミック原料粉末の平均粒径が大きい場合には、内部電極とセラミック層との界面での凹凸が大きくなり、焼成後において、内部電極のカバレッジ(有効電極面積)の低下(電極切れの増大)の問題がもたらされ、このことが、積層セラミックコンデンサの信頼性の低下につながっている。
【0009】
そこで、この発明の目的は、積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品において、構造欠陥なく、内部電極およびセラミック層の薄層化を可能とする技術を提供し、大容量というような高性能な、しかも小型の積層セラミック電子部品を高い信頼性をもって提供しようとすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、セラミック原料粉末を焼結させて得られた複数の積層されたセラミック層と、これらセラミック層間の特定の界面に沿って位置されかつニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を焼結させて得られた内部電極とを含む、積層体を備える、積層セラミック電子部品に向けられるものであって、上記のような技術的課題を解決するため、セラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であり、前記内部電極を形成するためにニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を含むペーストが使用され、このペースト中のニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末の平均粒径が10nm以上100nm未満であり、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmであるとともに、内部電極に接するセラミック層の厚みは、1μm以上3μm以下であることを特徴としている。
【0011】
この発明は、上述した積層体の相対向する各端面上に形成される外部電極をさらに備え、セラミック層はセラミック誘電体からなり、複数の内部電極が、いずれかの外部電極に電気的に接続されるように、それぞれの端縁を端面に露出させた状態でそれぞれ形成されている、そのような積層セラミックコンデンサに対して特に有利に適用される。
【0013】
また、この発明において、セラミック層を形成するため、好ましくは、ニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を含むペーストが印刷法により付与される。
また、この発明において、セラミック層を形成するための焼結前のセラミック原料粉末の平均粒径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明が図1に示すような構造の積層セラミックコンデンサ1に適用された場合の実施形態について説明する。
図1を参照して、積層セラミックコンデンサ1は、複数の積層されたセラミック誘電体からなるセラミック層2を有する積層体3と、この積層体3の第1および第2の端面4および5上にそれぞれ設けられる第1および第2の外部電極6および7とを備える。積層セラミックコンデンサ1は、全体として直方体形状のチップタイプの電子部品を構成する。
【0015】
積層体3の内部には、第1の内部電極8と第2の内部電極9とが交互に配置される。第1の内部電極8は、第1の外部電極6に電気的に接続されるように、各端縁を第1の端面4に露出させた状態でセラミック層2間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成され、第2の内部電極9は、第2の外部電極7に電気的に接続されるように、各端縁を第2の端面5に露出させた状態でセラミック層2間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される。
【0016】
この積層セラミックコンデンサ1を製造するため、出発原料として、チタン酸バリウムなどの主原料すなわちセラミック原料粉末と特性改質などを目的とした添加物とが用意される。セラミック原料粉末としては、好ましくは、後述する理由により、たとえば仮焼温度を調整することによって、平均粒径が500nm以下とされたものが用いられる。
【0017】
これらセラミック原料粉末および添加物は、所定量ずつ秤量され、湿式混合を経て、混合粉とされる。より具体的には、各添加物成分は、酸化物粉末あるいは炭酸化物粉末の形態で、セラミック原料粉末に混合する方法によって添加され、湿式混合される。このとき、各添加物を有機溶媒に可溶な状態とするため、アルコキシドとしたり、アセチルアセトネートまたは金属石鹸のような化合物としてもよい。また、各添加物成分を含む溶液を、セラミック原料粉末の表面に付与し、熱処理するなどの方法も可能である。
【0018】
次いで、上述の混合粉に有機バインダおよび溶媒を添加することによって、セラミックスラリーが調製され、このセラミックスラリーを用いて、セラミック層2となるセラミックグリーンシートが作製される。セラミックグリーンシートの厚みは、後述する理由により、好ましくは、焼成後における厚みが3μm以下になるように設定される。
【0019】
次いで、特定のセラミックグリーンシート上に、内部電極8および9となるべき導電性ペースト膜がスクリーン印刷などの印刷法によって形成される。この導電性ペースト膜の厚みは、焼成後における厚みが0.2〜0.7μmとなるように設定される。
上述の導電性ペースト膜を構成するペーストは、金属粉末、バインダおよび溶剤を含むもので、金属粉末としては、後述する理由により、平均粒径が10〜200nmのものを用いるのが好ましい。一例として、Ni粉末、エチルセルロースバインダおよびテルピネオールなどの溶剤を含むペーストが用いられる。このペーストは、平均粒径が10〜200nmといった極めて小さい粒径のNi粉末の凝集を解きまたは防止し、これらを良好に分散させるため、たとえば3本ロールミルなどを用いて入念に調製される。
【0020】
上述した金属粉末、より特定的にはNi粉末は、たとえば、化学気相法、水素アーク放電法、またはガス中蒸発法によって好適に作製することができる。
化学気相法は、塩化ニッケルを加熱することによって蒸発させ、得られた塩化ニッケル蒸気を、不活性ガスで搬送しながら、所定の温度で水素と接触させながら反応させ、それによって、ニッケル粉を生成する方法である。ニッケル粉は、このニッケル粉を含む反応ガスを冷却することによって捕集される。
【0021】
水素アーク放電法は、水素ガスを含む雰囲気下でアーク放電を行ない、ニッケルを溶融・蒸発させることによって、気相からニッケル微粉末を生成する方法である。より具体的には、アークあるいはプラズマなどの加熱装置が設置された反応器内部を、水素または非酸化性水素含有化合物ガスおよびそれらのガスとAr、He、Xeなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気とする。雰囲気中の水素あるいは非酸化性水素含有化合物は、アークまたはプラズマの熱により、容易に活性化(励起、分解、解離、イオン化など)され、その結果生じた活性種(励起水素分子、水素分子イオン、水素原子、水素原子イオン、遊離基、遊離基イオンなど)が、アークまたはプラズマの熱により溶融したニッケルと活発に反応し、溶融ニッケル中に溶解する。溶融ニッケル中に過飽和量(平衡論的溶解量以上)の水素を溶解させると、溶融ニッケルから水素が放出する際に局所的な高温状態を形成し、ニッケルの蒸発が促進され、ニッケル蒸気が放出される。このニッケル蒸気を凝縮・冷却することにより、ニッケル微粉末が生成される。
【0022】
ガス中蒸発法は、不活性ガス(Ar、He、Xeなど)を充填した容器内で、ニッケルインゴットを高周波誘導加熱などの加熱手段により溶融し、ニッケル蒸気が生成するまで加熱を行ない、生成したニッケル蒸気を雰囲気中の不活性ガスと接触させることによって冷却・固化を行ない、それによって、ニッケル微粉末を生成する方法である。
【0023】
次いで、上述のように導電性ペースト膜を形成したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層され、プレスされた後、必要に応じてカットされる。このようにして、複数のセラミックグリーンシート、およびセラミックグリーンシート間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の内部電極8および9となる導電性ペースト膜を積層したものであって、内部電極8および9となる導電性ペースト膜の各端縁を端面4または5に露出させている、生の状態の積層体3が作製される。
【0024】
次いで、この積層体3は還元性雰囲気下で焼成される。このとき、好ましくは、後述する理由により、セラミック層2を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径は、0.5μm以下となるように設定される。
次いで、焼成された積層体3における第1および第2の内部電極8および9の露出した各端縁にそれぞれ電気的に接続されるように、積層体3の第1および第2の端面4および5上に、それぞれ、第1および第2の外部電極6および7が形成される。
【0025】
外部電極6および7の材料組成は、特に限定されるものではない。具体的には、内部電極8および9と同じ材料を使用することができる。また、たとえば、Ag、Pd、Ag−Pd、Cu、Cu合金などの種々の導電性金属粉末の焼結層、または、上記導電性金属粉末とB2 3 −Li2 O−SiO2 −BaO系、B2 3 −SiO2 −BaO系、Li2 O−SiO2 −BaO系、B2 3 −SiO2 −ZnO系、などの種々のガラスフリットとを配合した焼結層によって構成されることができる。このような外部電極6および7の材料組成は、積層セラミックコンデンサ1の用途、使用場所などを考慮して適宜選択される。
【0026】
なお、外部電極6および7は、前述のように、その材料となる金属粉末ペーストを焼成後の積層体3上に塗布して焼き付けることによって形成されてもよいが、焼成前の積層体3上に塗布して、積層体3の焼成と同時に焼き付けることによって形成されるようにしてもよい。
その後、必要に応じて、外部電極6および7は、Ni、Cu、Ni−Cu合金等からなるめっき層10および11によってそれぞれ被覆される。また、さらに、これらめっき層10および11上に、半田、錫等からなる第2のめっき層12および13が形成されてもよい。
【0027】
この発明において、内部電極8および9の厚みについて、また、この発明に係る好ましい実施形態では、内部電極8および9を形成するために使用されるペーストに含まれるNi粉末、セラミック層2を形成するための焼結前のセラミック原料粉末およびセラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインのそれぞれの平均粒径、ならびにセラミック層2の厚みについて、前述したように、好ましい範囲が規定される。なお、この明細書において、「平均粒径」と言うときは、粉末またはグレインの電子顕微鏡写真を画像解析して求めた個数基準の粒度分布における50%粒子相当径(D50)を意味している。
【0028】
この発明において、内部電極8および9の厚みを0.7μm以下と規定したのは、0.7μmを超えると、セラミック層2の厚みが3μm以下のように薄くされた場合に、ニッケルを含む内部電極8および9とセラミック層2との収縮率の差によって生ずるデラミネーションの発生が避けられないためである。
言い換えると、内部電極8および9の厚みを0.7μm以下とすることによって、上述のように、セラミック層2の厚みを問題なく3μm以下とすることができ、積層セラミックコンデンサ1の大容量化に貢献できる。
【0029】
他方、内部電極8および9の厚みを0.2μm以上と規定したのは、0.2μm未満にすると、焼成時において、内部電極8および9に含まれるニッケルがセラミック層2に含まれるセラミックと反応し、それによって、ニッケルの酸化が生じたり、この酸化によってデラミネーションが起こり、内部電極としての機能を果たせなくなるためである。
【0030】
また、セラミック層2を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径を、好ましくは、0.5μm以下と規定したのは、以下の理由による。すなわち、セラミックグレインの平均粒径が0.5μm以下の場合には、内部電極8および9とセラミック層2との間の界面での凹凸が小さくなる。この効果により、内部電極8および9において、電極切れが減少し、電極のカバレッジ(有効電極面積)が大きくなり、さらには界面凹凸部にかかる電界集中が抑制される。これらのことから、高温負荷試験などでの寿命時間が長くなり、積層セラミックコンデンサの信頼性がより向上することになる。
【0031】
また、内部電極8および9に使用するペースト中のNi粉末の平均粒径を、好ましくは、10〜200nmに規定したのは、以下の理由による。
すなわち、Ni粉末の平均粒径が10nm未満になった場合には、スクリーン印刷などの印刷法に適用可能な粘度をもって、ペーストを作製することが困難になる。また、仮に、そのような粘度の高いペーストを用いてスクリーン印刷したとしても、高粘度のために、内部電極8および9となる導電性ペースト膜を平滑に形成することが困難で、「かすれ」やピンホールを生じ、これらが原因となって、カバレッジの低下や電極切れがもたらされることがある。
【0032】
他方、Ni粉末の平均粒径が200nmを超える場合には、ニッケル粒子が大き過ぎるため、内部電極8および9となる導電性ペースト膜を平滑に形成することが困難となり、カバレッジを低下させてしまう。また、内部電極8および9とセラミック層2との間の界面での凹凸が大きくなる。
また、セラミック層2を形成するための焼結前のセラミック原料粉末の平均粒径を、好ましくは、500nm以下に規定したのは、このようにセラミック原料粉末の平均粒径を500nm以下にした場合、グリーンシートにおけるセラミック充填率が向上し、また、グリーンシートの平滑性が良好となり、たとえば3μm以下の厚みのセラミック層を問題なく形成することができるようになるためである。
【0033】
なお、内部電極8および9を形成するためのペースト中のNi粉末の平均粒径を前述のような好ましい範囲内に選ぶばかりでなく、これに加えて、セラミック層2を形成するための焼結前のセラミック原料粉末の平均粒径を上述のような好ましい範囲内に選ぶようにすると、カバレッジ、信頼性などの点で、さらに好ましい結果が得られる。
【0034】
以上説明した実施形態は、積層セラミック電子部品が積層セラミックコンデンサである場合についてのものであったが、実質的に同様の構造を含む、たとえば多層セラミック基板などの他の積層セラミック電子部品に対しても、この発明を適用することができる。
また、内部電極を形成するためのペーストに含まれる金属粉末としては、上述したようなニッケル粉末の他、ニッケル合金、あるいは銅もしくは銅合金のような他の卑金属、さらには、貴金属の粉末であってもよい。
【0035】
【実施例】
次に、この発明をより具体的な実施例に基づき詳細に説明する。なお、この発明の範囲内における実施可能な形態は、このような実施例のみに限定されるものではない。たとえば、この実施例では、誘電体セラミックについては、チタン酸バリウム系のみを例示しているが、この他に、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどを主成分とするペロブスカイト構造を示す誘電体セラミックによっても、同様の効果が確認されている。
【0036】
この実施例において作製しようとする積層セラミックコンデンサは、図1に示すような構造の積層セラミックコンデンサ1である。
1.試料の作製:
まず、セラミック原料粉末としてのチタン酸バリウム(BaTiO3 )粉末を加水分解法で作製し、このBaTiO3 粉末を、表1に示すように、種々の「仮焼温度」で仮焼することによって、粉末としての平均粒径(D50)が0.1〜0.8μmの範囲で変えられた複数種類のBaTiO3 粉末A〜Eをそれぞれ用意した。
【0037】
【表1】
Figure 0003644235
【0038】
次に、上述のBaTiO3 粉末A〜Eの各々に、表2に示すように、添加物(αDy+βMg+γMnおよびSi焼結助剤)を、酸化物粉末あるいは炭酸化物粉末の形態で、種々のモル部をもって添加し混合することによって、複数種類のセラミック組成物を作製した。
【0039】
【表2】
Figure 0003644235
【0040】
表2の「セラミック組成物の種類」において、「a」が添えられているもの(たとえばAaなど)は、焼成してもセラミックはグレイン成長しない系であり、焼結後のセラミックのグレイン径と原料粉末径とは、実質的に同じである。他方、「b」が添えられているもの(たとえばAbなど)は、焼成時にグレイン成長しやすい系であり、セラミックグレインの平均粒径は、原料粉末の平均粒径に比べて大きくなる。
【0041】
次に、表2に示したチタン酸バリウム系の各セラミック組成物の粉末に、ポリビニルブチラール系バインダおよびエタノール等の有機溶剤を加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを調製した。次いで、このセラミックスラリーにドクターブレード法を適用することによって、セラミックグリーンシートを成形した。このとき、ドクターブレードのスリット幅を調整することによって、4.2μmおよび1.4μmの各厚みのセラミックグリーンシートを作製した。なお、セラミックグリーンシートにおける4.2μmおよび1.4μmの各厚みは、後述する評価結果からわかるように、積層工程および焼成工程を経た後でのセラミック層における3μmおよび1μmの各厚みに相当する。
【0042】
他方、平均粒径が5nm、15nm、50nm、100nm、180nm、および250nmというように変えられた球状のNi粉末をそれぞれ作製した。より具体的には、これらNi粉末のうち、平均粒径が5nmおよび15nmのものは、前述したガス中蒸発法で作製し、平均粒径が50nmおよび100nmのものは、水素アーク放電法で作製し、平均粒径が180nmおよび250nmのものは、化学気相法で作製した。
【0043】
次に、これら各Ni粉末42wt%に対して、エチルセルロース系バインダ6wt%をテルピネオール94wt%に溶解して作製した有機ビヒクル44wt%とテルピネオール14wt%とを加えて、3本ロールミルにより入念に分散混合処理を行なうことによって、良好に分散したNi粉末を含有するペーストを調製した。
次に、前述の各セラミックグリーンシート上に、これらNiペーストをスクリーン印刷し、内部電極となる導電性ペースト膜を形成した。このとき、スクリーンパターンの厚みを変更することによって、導電性ペースト膜の乾燥後の厚みが、1.2μm、1.0μm、0.6μm、0.3μm、および0.15μmとそれぞれなる各試料を作製した。なお、導電性ペースト膜の乾燥後における1.2μm、1.0μm、0.6μm、0.3μm、および0.15μmの各厚みは、後述する評価結果からわかるように、積層工程および焼成工程を経た後での内部電極における0.8μm、0.7μm、0.4μm、0.2μm、および0.1μmの各厚みに相当する。
【0044】
次いで、セラミックグリーンシートを、上述の導電性ペースト膜の引き出されている側が、互い違いとなるように複数層積層し、熱プレスして一体化した。次いで、一体化したプレス体を所定の寸法にカットし、生の積層体としての生チップを得た。この生チップを、N2 雰囲気中にて300℃の温度に加熱し、バインダを燃焼させた後、酸素分圧10-9〜10-12 MPaのH2 −N2 −H2 Oガスからなる還元性雰囲気中において、後掲の表3〜表5の「焼成温度」に示す1100〜1300℃の範囲内のいずれかの最高焼成温度で2時間保持するプロファイルで焼成した。
【0045】
焼成後の積層体の両端面にB2 O−Li2 O−SiO2 −BaO系のガラスフリットを含有する銀ペーストを塗布し、N2 雰囲気中において600℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅が5.0mm、長さが5.7mm、厚さが2.4mmであり、内部電極間に介在するセラミック層の厚みは3μmまたは1μmであった。また、有効誘電体セラミック層の総数は5であり、1層当たりの対向電極の面積は16.3×10-62 であった。
【0046】
2.試料の評価:
次いで、これら得られた積層セラミックコンデンサの各試料について、以下のような要領で、その積層構造、電気特性および信頼性を評価した。
得られた積層セラミックコンデンサのセラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径は、積層セラミックコンデンサの断面研磨面を化学エッチング処理し、走査型電子顕微鏡で観察することによって求めた。
【0047】
内部電極およびセラミック層の各厚みは、積層セラミックコンデンサの断面研磨面を、走査型電子顕微鏡で観察することによって求めた。
積層セラミックコンデンサの層間剥離(デラミネーション)については、試料断面を研磨し、顕微鏡観察することによって目視判定し、全試料数に対する層間剥離の発生した試料数の比率(剥離発生率)を求めた。
【0048】
内部電極の被覆面積率(カバレッジ)は、試料の内部電極面を剥離し、電極面に穴が空いている様子を顕微鏡写真に撮り、これを画像解析処理することによって定量化した。
以上の構造評価の結果で良好と判断された試料について、以下の電気特性を評価した。
【0049】
静電容量(C)および誘電体損失(tan δ)については、これらを自動ブリッジ式測定器を用いてJIS規格5102に従って測定し、得られた静電容量から比誘電率(ε)を算出した。
高温負荷試験については、温度150℃にして10kV/mmの直流電圧を印加しながら、その絶縁抵抗の経時変化を測定し、各試料の絶縁抵抗値(R)が105 Ω以下になった時点を故障として、故障に至る時間の平均すなわち平均寿命時間を求めた。
【0050】
以上の各結果を、表3、表4、および表5に示す。各表の試料番号に*が付された条件は、この発明の範囲から逸脱したものである。
3.内部電極の厚みおよびNi粉末の平均粒径について:
以下の表3は、表1の「BaTiO3 粉末の種類」として平均粒径が0.2μmの「B」を用いながら、表2の「セラミック組成物の種類」としてグレイン成長しない「Ba」を用いることによって、積層セラミックコンデンサのセラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径が0.2μmとなった各試料について、セラミック層の厚みが3μmおよび1μmの各場合において、内部電極の厚みを種々に変え、この内部電極の厚みと層間剥離(デラミネーション)発生率との関係を主として示したものである。
【0051】
【表3】
Figure 0003644235
【0052】
表3において、*が付された試料1〜4および17〜20は、内部電極の厚みが0.8μmであり、高い比率でデラミネーションが発生している。また、同様に*が付された試料14〜16および30〜32は、内部電極の厚みが0.1μmであり、これについても高い比率でデラミネーションが発生している。後者のデラミネーションは、ニッケルの酸化によるものである。
【0053】
これに対して、試料5〜13および21〜29のように、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmの範囲内にあるときには、デラミネーションは発生しないか、ほとんど発生していない。
以上の結果より、セラミック層の厚みが3μm以下の場合において、デラミネーションの発生をなくし、あるいは抑制できる内部電極の厚みは、0.2〜0.7μmであることがわかる。
【0054】
また、内部電極の厚みを問題なく0.2〜0.7μmにすることができるニッケル粉末の特性、特に平均粒径にについて考察する。
試料5および21は、それぞれ、ニッケル粉末の平均粒径が250nmであり、カバレッジの低下、取得容量の低下が生じている。また、試料13および29は、それぞれ、ニッケル粉末の平均粒径が5nmであり、この場合においても、カバレッジの低下、取得容量の低下が生じている。
【0055】
これに対して、試料6〜12および22〜28のように、ニッケル粉末の平均粒径を10〜200nmにすることで、カバレッジの低下が少なく、高い静電容量を確保することができる。
以上の結果からわかるように、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmであれば、3μm以下のセラミック層厚を持った積層セラミックコンデンサにおいても、デラミネーション等の構造欠陥を生じないようにすることができる。また、カバレッジの低下が少なく、高い静電容量を確保できるようにするには、ニッケル粉末の平均粒径を10〜200nmにすればよいことがわかる。
【0056】
4.グレイン成長しないセラミック組成物を用いた場合のグレイン平均粒径について:
以下の表4は、表1の「BaTiO3 粉末の種類」として平均粒径が0.1μmの「A」、0.3μmの「C」、0.5μmの「D」、および0.8μmの「E」をそれぞれ用いながら、表2の「セラミック組成物の種類」としてグレイン成長しない「Aa」、「Ca」、「Da」、および「Ea」をそれぞれ用いることによって、積層セラミックコンデンサのセラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径を0.1μm、0.3μm、0.5μm、および0.8μmと変えた各試料について、セラミック層の厚みが3μmおよび1μmの各場合において、内部電極の厚みと層間剥離(デラミネーション)発生率との関係を主として示したものである。
【0057】
【表4】
Figure 0003644235
【0058】
前の表3に示した試料と同様、表4において、*が付された試料41、46、51および56は、内部電極の厚みが0.8μmであり、高い比率でデラミネーションが発生している。また、同様に*が付された試料45、50、55および60は、内部電極の厚みが0.1μmであり、これについても高い比率でデラミネーションが発生している。後者のデラミネーションは、ニッケルの酸化によるものである。
【0059】
これに対して、試料42〜44、47〜49、52〜54および57〜59のように、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmの範囲内にあるときには、デラミネーションは発生していない。
以上の結果からも、セラミック層の厚みが3μm以下の場合において、デラミネーションの発生をなくし、あるいは抑制できる内部電極の厚みは、0.2〜0.7μmであることがわかる。
【0060】
また、表4に示す各試料において、セラミック原料粉末の平均粒径が100〜800nmの範囲にあり、グレインの平均粒径は0.1〜0.8μmの範囲にあるが、セラミック原料粉末およびグレインが大きいと、内部電極とセラミック層との界面の凹凸が大きくなるため、平均寿命が短くなる傾向が認められる。すなわち、試料42、43、52および53のように、セラミック原料粉末の平均粒径が800nmであり、グレインの平均粒径が0.8μmになると、平均寿命が50時間未満と短くなっている。
【0061】
これに対して、試料44、47〜49、54、および57〜59のように、グレインの平均粒径が0.5μm以下であると、平均寿命が50時間以上と信頼性が高くなる特徴が認められる。
以上の結果からわかるように、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmであれば、3μm以下のセラミック層厚を持った積層セラミックコンデンサであっても、デラミネーションの発生を抑制できる。また、グレインの平均粒径が0.5μm以下であれば、平均寿命を長くすることができる。
【0062】
5.グレイン成長しやすいセラミック組成物を用いた場合のグレイン平均粒径について:
以下の表5は、表1の「BaTiO3 粉末の種類」として平均粒径が0.1μmの「A」、0.3μmの「C」、0.5μmの「D」、および0.8μmの「E」をそれぞれ用いながら、表2の「セラミック組成物の種類」としてグレイン成長しやすい「Ab」、「Cb」、「Db」、および「Eb」をそれぞれ用いるとともに、焼成温度を調整することによって、積層セラミックコンデンサのセラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径を0.2〜1.0μmの範囲で変えた各試料について、セラミック層の厚みが3μmおよび1μmの各場合において、内部電極の厚みと層間剥離(デラミネーション)発生率との関係を主として示したものである。
【0063】
【表5】
Figure 0003644235
【0064】
前の表3および表4に示した試料と同様、表5において、*が付された試料61、65、75および79は、内部電極の厚みが0.8μmであり、高い比率でデラミネーションが発生している。また、同様に*が付された試料69、72、83および86は、内部電極の厚みが0.1μmであり、これについても高い比率でデラミネーションが発生している。後者のデラミネーションは、ニッケルの酸化によるものである。
【0065】
これに対して、試料62〜64、66〜68、70、71、73、74、76〜78、80〜82、84、85、87および88のように、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmの範囲内にあるときには、デラミネーションは発生していない。
以上の結果からも、セラミック層の厚みが3μm以下の場合において、デラミネーションの発生をなくし、あるいは抑制できる内部電極の厚みは、0.2〜0.7μmであることがわかる。
【0066】
また、表5に示す各試料のセラミック原料の平均粒径は100〜800nmの範囲にあり、グレインの平均粒径は0.2〜1.0μmの範囲にあるが、この表5に示す各試料においても、セラミック原料の平均粒径およびグレインが大きい場合、あるいはセラミック原料の平均粒径は小さいがグレインが大きい場合、内部電極とセラミック層との界面の凹凸が大きくなるため、平均寿命が短くなる傾向が認められる。
【0067】
すなわち、試料62〜64、73、74、76〜78、87および88では、いずれも、グレインの平均粒径が0.7μm以上である。このうち、試料62および76では、セラミック原料粉末の平均粒径が800nmと既に大きいが、試料63、64、73、74、77、78、87および88では、セラミック原料粉末の平均粒径が500nm以下であっても、グレインの平均粒径は0.7μm以上となっている。特に、試料73、74、87および88は、セラミック原料粉末の平均粒径は100μmと小さいが、焼成温度を1250℃まで上げて、グレインの平均粒径を1.0μmまで成長させている。このように、セラミック原料粉末の平均粒径に関わらず、グレインの平均粒径が0.7μm以上になると、平均寿命が50時間未満と短くなっている。
【0068】
これに対して、試料66〜68、70、71、80〜82、84および85のように、セラミック原料粉末の平均粒径が300nmまたは100nmというように500nm以下であるばかりでなく、グレインの平均粒径が0.5μm以下であると、平均寿命が50時間以上と信頼性が高くなる特徴が認められる。
また、試料66および80は、それぞれ、ニッケル粉末の平均粒径が250nmであり、カバレッジの低下、取得容量の低下が生じている。また、試料71および85は、それぞれ、ニッケル粉末の平均粒径が5nmであり、この場合においても、カバレッジの低下、取得容量の低下が生じている。
【0069】
これに対して、試料62〜64、67、68、70、73、74、76〜78、81、82、84、87および88のように、ニッケル粉末の平均粒径を10〜200nmにすることで、カバレッジの低下が少なく、高い静電容量を確保することができる。
以上の結果からわかるように、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmであれば、3μm以下のセラミック層厚を持った積層セラミックコンデンサであっても、デラミネーションの発生を抑制できる。また、セラミックのグレイン成長が起こったとしても、グレインの平均粒径が0.5μm以下であれば、平均寿命を長くすることができる。また、内部電極において使用するニッケル粉末の平均粒径が10〜200nmであれば、積層セラミックコンデンサの静電容量が高くなり、カバレッジの低下が少ないことがわかる。
【0070】
6.積層セラミックコンデンサの断面の走査型電子顕微鏡写真:
図2および図3には、積層セラミックコンデンサの断面研磨面を走査型電子顕微鏡によって撮影した写真が示されている。
図2は、この発明に係る積層セラミックコンデンサを示すもので、ここには、複数のセラミック層14およびこれらセラミック層14間の界面に沿って位置する内部電極層15が現れている。また、図3は、従来の積層セラミックコンデンサを示すもので、ここには、複数のセラミック層16およびこれらセラミック層16間の界面に沿って位置する内部電極層17が現れている。
【0071】
上述した内部電極層15および17は、これら積層セラミックコンデンサに形成されていたニッケルを含む内部電極を、撮影に当たり、塩化第二銅によってエッチング処理することによって除去した後に残された空洞となっている。
図2に示したこの発明に係る積層セラミックコンデンサは、セラミック層14の厚みを2.0μm、内部電極(内部電極層15)の厚みを0.5μmにそれぞれ設定したものであり、図3に示した従来の積層セラミックコンデンサは、セラミック層16の厚みを2.5μm、内部電極(内部電極層17)の厚みを1.4μmにそれぞれ設定したものである。
【0072】
図2から、この発明に係る積層セラミックコンデンサによれば、内部電極(内部電極層15)とセラミック層14との界面における凹凸が小さく、また、内部電極(内部電極層15)の厚みが0.5μmと薄いにも関わらず、電極切れが生じていないことがわかる。
これに対して、図3に示した従来の積層セラミックコンデンサにおいては、内部電極(内部電極層17)とセラミック層16との界面における凹凸が比較的大きく、また、内部電極(内部電極層17)の厚みが1.4μmと比較的厚いにも関わらず、一部において電極切れが生じている。また、図3に示した部分では明らかではないが、この従来の積層セラミックコンデンサでは、デラミネーションも発生した。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、内部電極の厚みが0.2〜0.7μmであるため、セラミック層の厚みが3μm以下に薄くなった場合でも、積層セラミック電子部品のデラミネーションの発生を抑制することができる。このことは、この発明が積層セラミックコンデンサに適用された場合、積層セラミックコンデンサの小型かつ大容量化を図るのに極めて有効である。
【0074】
この発明において、セラミック層を構成する焼結後のセラミックグレイン平均粒径が0.5μm以下であるので、内部電極とセラミック層との界面における凹凸が小さくなり、電界集中が抑制でき、高温負荷試験などでの平均寿命時間が長くなり、信頼性を高くすることができる。
また、この発明において、内部電極を形成するためにニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を含むペーストが使用され、このペースト中の金属粉末として、平均粒径が10nm以上100nm未満の範囲内のものが使用されるので、内部電極におけるニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末の充填密度および平滑性が向上するため、上述した0.2〜0.7μmというような薄い厚みの内部電極であっても、セラミック層を構成するセラミックの誘電特性のような電気的特性を十分に引き出し得るカバレッジを実現し、内部電極としての機能を十分果たすことが可能となる。また、内部電極を形成するため、スクリーン印刷等の印刷法を問題なく適用できるので、内部電極の形成工程を能率的に進めることができる。
【0075】
上述したニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末が用いられるので、材料コストの低減を図ることができ、かつ、銅等に比べてより高い耐酸化性を期待することができる。
また、この発明において、セラミック層を形成するための焼結前のセラミック原料粉末として、平均粒径500nm以下のものを使用すれば、セラミック層におけるセラミック充填率および平滑性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を示す断面図である。
【図2】この発明のより具体的な実施例に係る積層セラミックコンデンサの断面を走査型電子顕微鏡によって撮影した図である。
【図3】従来の積層セラミックコンデンサの断面を走査型電子顕微鏡によって撮影した図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ(積層セラミック電子部品)
2 セラミック層
3 積層体
4,5 端面
6,7 外部電極
8,9 内部電極
14 セラミック層
15 内部電極層

Claims (4)

  1. セラミック原料粉末を焼結させて得られた複数の積層されたセラミック層と、前記セラミック層間の特定の界面に沿って位置されかつニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を焼結させて得られた内部電極とを含む、積層体を備える、積層セラミック電子部品であって、前記セラミック層を構成する焼結後のセラミックグレインの平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であり、前記内部電極を形成するために前記ニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を含むペーストが使用され、前記ペースト中の前記ニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末の平均粒径が10nm以上100nm未満であり、前記内部電極の厚みが0.2〜0.7μmであるとともに、前記内部電極に接する前記セラミック層の厚みは、1μm以上3μm以下であることを特徴とする、積層セラミック電子部品。
  2. 前記積層体の相対向する各端面上に形成される外部電極をさらに備え、前記セラミック層はセラミック誘電体からなり、複数の前記内部電極が、いずれかの前記外部電極に電気的に接続されるように、それぞれの端縁を前記端面に露出させた状態でそれぞれ形成され、それによって、積層セラミックコンデンサを構成している、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 前記内部電極は、前記ニッケルまたはニッケル合金からなる金属粉末を含むペーストが印刷法により付与される工程を経て形成されたものである、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
  4. 前記セラミック層を形成するための焼結前の前記セラミック原料粉末の平均粒径が100nm以上500nm以下である、請求項1ないし3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
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