JP3643761B2 - スターリング冷凍機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品流通、環境試験、医療、バイオ産業、半導体製造等の産業用、あるいは家庭用機器等のあるゆる産業分野の冷凍、冷却に使用できるスターリング冷凍機等のスターリング冷凍機に関し、特にスターリング冷凍機の作動ガスの充填・排出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題におけるフロン代替の冷凍装置として、又従来の冷却装置より使用温度が広範囲で、従って、冷凍庫、冷蔵庫、投げ込み式クーラー等の業務用又は家庭用の冷熱利用機器をはじめとして、低温液循環器、低温恒温器、恒温槽、ヒートショック試験装置、凍結乾燥機、温度特性試験装置、血液・細胞保存装置、コールドクーラ、その他各種の冷熱装置等のあらゆる産業分野の冷熱利用機器に適用可能な、コンパクトで、しかも成績係数が高く、エネルギー効率が良好となる冷凍機として、スターリング冷凍機が脚光を浴びている。
【0003】
図1は、スターリング冷凍機1の全体概略図を示すものであり、ハウジング2内において、モータ3により動作するクランクシャフト4のクランク部5、6に夫々クロスガイドヘッド7、8を介して圧縮ピストンロッド9と膨張ピストンロッド10が連結されている。これらの圧縮ピストンロッド9と膨張ピストンロッド10を介して、圧縮ピストン11と膨張ピストン12が位相差をもって夫々圧縮シリンダ13と膨張シリンダ14内を往復動し、これによって作動ガスの圧縮と膨張を行い、圧縮シリンダ13の高温室(圧縮室)15と膨張シリンダ14の低温室(膨張室)16との間に再生器17を介して配設された放熱用熱交換器(高温側熱交換器)18と冷却用熱交換器(低温側熱交換器)19とにより、夫々放熱用冷媒及び冷熱冷媒と、作動ガスとの熱交換が行われる。
【0004】
ところで、ピストンロッド9、10に沿ってクランク室から油やオイルミストが上昇する、いわゆる油上がりという問題がある。この油上がりは、油やオイルミストが圧縮シリンダや膨張シリンダに入るとその内面に付着し、又熱により炭化してスターリング冷凍機の性能及び耐久性を著しく低減させる。この油上がりの問題を解決するために、従来、圧縮ピストンロッド9と膨張ピストンロッド10は、オイルシール20、21によりシールされている。
【0005】
このオイルシールについては、構造及び材料面でいろいろな開発が行われているが、必ずしもシール性能、耐久性において十分とはいえず、又ロールソックスタイプのシールシステムも提案されているが、耐久性において十分とはいえない現況である。
【0006】
又、スターリング冷凍機が運転しているとクランク室26は、温度が上昇してその内部圧力は上昇する。このクランク室の圧力上昇は、上記オイルシールに機械的に負担をかけ劣化の原因となり、その圧力により上記油上がりを助長し、性能上も悪影響を与えるという問題があった。又、圧縮ピストン及び膨張ピストンの往復動により、その背面側に圧力変動が生じ、オイルシールへ悪影響を生じるという問題もあった。
【0007】
本発明者らは、上記スターリング冷凍機特有の諸問題を解決することを目的とし、油上がりを防止し、かつ長寿命なピストンロッドのオイルシール用ベローズを装着し、さらに、このオイルシール用ベローズの劣化、破壊の原因となっている、クランク室と、圧縮ピストン及び膨張ピストンの背面側空間(この空間を本明細書では「作動空間」という。)との間で圧力差や圧力変動を吸収するバッファタンクとを備えたスターリング冷凍機を開発し、すでに出願をしている(特願平10−365371号参照。)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スターリング冷凍機において、クランク室と作動空間とが互いに均等の圧力となるような構成を採用していても、作動ガスを外部から供給して封入する際、あるいは作動ガスを排出する際に、その注入又は排出の仕方によっては圧力差が生じてしまう。このような作動ガスの充填、排出の際に圧力差を発生させてしまうと、上記のようなバッファタンクを設けて圧力調整をしても十分な効果が生じない。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的とするものであり、その具体的な課題は、オイルシール用ベローズを備えたスターリング冷凍機において、作動ガスの充填及び排出の際に生じやすい、クランク室と作動空間との間における圧力差を防止し、オイルシール用ベローズの劣化、破壊が生じないようにして、油上がりを防止するとともにオイルシール用ベローズの寿命を伸ばし、スターリング冷凍機の性能及び耐久性の向上を図ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、クランク室を有するハウジングと、上記クランク室の上方に配置された圧縮シリンダ及び膨張シリンダと、上記圧縮シリンダ及び膨張シリンダ内を往復動し、作動ガスを圧縮及び膨張する圧縮ピストン及び膨張ピストンと、上記クランク室内のクランクと連動し、上記圧縮ピストン及び膨張ピストンに一端が連結された圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドと、上記圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドが夫々貫通する上記クランク室頂部の開口部に夫々配設されたオイルシールとを備えて成るスターリング冷凍機において、上記オイルシールは、夫々その基端が上記開口の周縁に固着され、その先端が上記圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドに固定されたオイルシール用ベローズから成り、上記クランク室と、上記圧縮作動シリンダ及び膨張シリンダにおける上記圧縮ピストン及び膨張ピストンの背面側の作動空間に、作動ガスを充填又は排出する作動ガス充填・排出装置を、上記クランク室と上記作動空間に、夫々連通するように配設して成ることを特徴とするスターリング冷凍機を提供する。
【0011】
上記ハウジングと上記作動空間との間に、上記作動空間内の圧力変動及び上記ハウジング内の圧力上昇を吸収するためのバッファタンクを設けた構成としてもよい。そして、このバッファタンクは、その内部に、圧力調整用ベローズが配設されている構成としてもよい。
【0012】
上記作動ガス充填・排出装置は、上記クランク室及び上記作動空間の夫々に対して、接続管、充填管及び排気管を備えており、上記クランク室の充填管と上記作動空間の充填管は充填管路に合流して作動ガス供給源に接続され、上記クランク室の排気管と上記作動空間の排気管は排気管路に合流してガス排気口に接続され、上記充填管路及び上記排気管路には夫々絞りが配設されている構成のものが利用される。
【0013】
さらに、本発明は上記課題を解決するために、スターリング冷凍機に作動ガスを充填し、排出するための作動ガス充填・排出ガス回路を有する可搬式のスターリング冷凍機用作動ガス充填・排出装置であって、上記作動ガス充填・排出ガス回路は、スターリング冷凍機のクランク室並びに、圧縮シリンダ及び膨張シリンダの圧縮ピストン及び膨張ピストンの背面側の作動空間の夫々に対して接続される、圧力センサ付き接続管並びに電磁弁を有する充填管及び排気管を備えており、上記クランク室の充填管と上記作動空間の充填管は、合流して充填管路に接続されて作動ガス供給源に連通し、上記クランク室の排気管と上記作動空間の排気管は、合流して排気管路に接続され排気口に連通し、上記充填管路及び上記排気管路は、夫々絞りを有し、上記クランク室の排気管は、オイルミストセパレータ及びフィルタを順次配設して成ることを特徴とするスターリング冷凍機用作動ガス充填・排出装置を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態をスターリング冷凍機に関する実施例に基づき図面を参照して以下に説明する。図2は本発明に係るスターリング冷凍機の実施例を示す図である。実施例のスターリング冷凍機22は、油上がり防止のためにオイルシール用ベローズを設けるとともに、クランク室と連通する圧力調整用ベローズ付きバッファタンクを設け、オイルシール用ベローズに対する、クランク室の温度上昇に起因するハウジング内空間の圧力上昇並びに圧縮ピストン及び膨張するピストンの背面側の空間の圧力変動を吸収する構成を採用している。
【0015】
これを詳細に説明すると、図2において、スターリング冷凍機22のハウジング23は、鋳物で形成され、ハウジング23内は、区画壁24によってモータ室25とクランク室26とに区画され、このモータ室25には正逆回転可能なモータ27が、クランク室26には、モータ27の回転動作を往復動に変換する回転往復変換機構部28が夫々配設されている。モータ室25及びクランク室26は、夫々蓋29、30で閉止されている。
【0016】
ハウジング23内には、区画壁24を貫通し、軸受31、32に軸支されたクランクシャフト34が回転可能に配置されている。モータ27は、ステータ35とロータ36とから構成され、このロータ36に固定されたモータの出力軸33にクランクシャフト34が結合されている。
【0017】
回転往復変換機構部28は、クランク室26内に延びたクランクシャフト34のクランク部37、38と、このクランク部37、38に連結されたコンロッド39、40と、このコンロッドの先端に取り付けられたクロスガイドヘッド41、42とで構成され、スターリング冷凍機22の駆動伝達手段として機能している。
【0018】
クロスガイドヘッド41、42は、ハウジング23のシリンダの内壁に設けられたクロスガイドライナ43、44内を往復動可能に配置されている。クランク部37、38は、モータ27の正転時にクランク38がクランク37より先行して移動するように、位相差を付けて形成されている。この位相差は、一般的には約90度の位相差が採用される。
【0019】
スターリング冷凍機22のハウジング23のクランク室26の上部には、圧縮シリンダ45と膨張シリンダ46とが配設されている。圧縮シリンダ45と膨張シリンダ46並びにハウジング23内には、作動ガスとして、例えば、ヘリウム、水素、窒素等が封入されている。
【0020】
圧縮シリンダ45は、ハウジング23にボルト等によって固定される圧縮シリンダブロック47を有し、この圧縮シリンダブロック47の空間内をピストンリングの付設された圧縮ピストン48が往復動して、この空間の上部が高温室(圧縮空間)49であり、この中の作動ガスは圧縮されて高温となる。
【0021】
圧縮ピストンロッド50は、一端が圧縮ピストン48に固定し、他端がクロスガイドヘッド41に回動自在に連結されている。ハウジング23の上部の開口51を封止するように、オイルシール用ベローズ53の上端が圧縮ピストンロッド50に固着され、その下端が開口51の周縁部に固着されている。
【0022】
これにより、圧縮シリンダ45とハウジング23のクランク室26が完全に封止され、クランク室26からオイルが圧縮シリンダ45内に入ることが完全に防止される。オイルシール用ベローズ53は、金属材料をプレス加工により一体成形した金属成形ベローズ又は溶接により組み立てた金属溶接ベローズが使用される。
【0023】
往復動する圧縮ピストン48は上死点及び下死点で摺動方向が反転するため、速度がゼロになり、上死点及び下死点付近では速度が遅く単位時間当たりの容積の変化量も小さく、下死点から上死点及び上死点から下死点に向かって移動するときの夫々の中間点で最高速度になり、単位時間当たりのピストンの移動による容積の変化量も最大となる。
【0024】
一方、膨張シリンダ46は、圧縮シリンダ45の若干上方に位置して、ボルト等によってハウジング23及び圧縮シリンダブロック47に固定される膨張シリンダブロック54を有し、この膨張シリンダブロック54の空間内をピストンリングの付設された膨張ピストン55が往復摺動して、この空間の上部が低温室(膨張空間)56であり、この中の作動ガスが膨張し低温となる。膨張ピストン55は、圧縮ピストン48より約90度の位相だけ先行して移動する。
【0025】
膨張ピストンロッド57は、一端が膨張ピストン55に固定し、他端がクロスガイドヘッド42に回動自在に連結されている。ハウジング23の上部開口52を封止するように、オイルシール用ベローズ58の上端が膨張ピストンロッド57に固着され、オイルシール用ベローズ58の下端がハウジング23の開口52周縁部に固着されている。
【0026】
これにより、膨張シリンダ46とクランク室26が完全に封止され、クランク室26から膨張ピストンロッド57に沿って膨張シリンダ46内に入ることが完全に防止される。オイルシール用ベローズ58は、圧縮シリンダ用と同様の金属成形ベローズ又は金属溶接が使用される。
【0027】
スターリング冷凍機22には、バッファタンク59が配設されており、バッファタンク59内には、その軸方向に伸縮する圧力調整用ベローズ61が配設されている。この圧力調整用ベローズ61により、バッファタンク59が、圧力調整用ベローズ61の開口側の室63と圧力調整用ベローズ61の閉止壁側に室65に区画されている。
【0028】
圧力調整用ベローズ61の開口側の室63は、管67により、圧縮シリンダの圧縮ピストン48の背面側の空間69と連通している。そして、室69と膨張シリンダの膨張ピストン55の背面側の空間70との隔壁に連通孔69’を形成し、二つの空間69、70を互いに連通している。
【0029】
圧力調整用ベローズ61の閉止壁側の室65は、管71によりハウジング23のモータ室25及びクランク室26と連通している(この点、モータ室25とクランク室26は互いに区画壁24により仕切られているが、互いに気密状態に仕切られているのではなく、連通状態であるから、本明細書では、ハウジング23内の空間と連通しているという表現とする。)。これらの圧力調整用ベローズ61は、オイルシール用ベローズ53、58同様に金属成形ベローズ、金属溶接ベローズ又は樹脂やゴム製のベローズが使用される。
【0030】
膨張シリンダブロック54には、圧縮シリンダ45の高温室(圧縮空間)49と連通する環状のマニホールド73が設けられており、さらに放熱用熱交換器74、再生器75及び冷却用熱交換器76が互いに順次連通して環状に配設されている。圧縮シリンダブロック45の上端部近くには、連通孔77が形成されており、これにより、高温室(圧縮空間)49と低温室(膨張空間)56は、連通孔77、マニホールド73、放熱用熱交換器74、再生器75及び冷却用熱交換器76を介して互いに順次連通するように構成されている。
【0031】
放熱用熱交換器74は、アニュラータイプの熱交換器、例えば、シェルアンドチューブ式熱交換器(環状の熱交換室内に作動ガスを流す多数のチューブを軸方向に貫設して、冷却用の水を熱交換室内に流して作動ガスを冷却する熱交換器。)等が採用される。
【0032】
放熱用熱交換器74は、冷却水循環管路78及び冷却水用ポンプP1を介して放熱器79と接続しており、冷却水を循環している。放熱用熱交換器74で熱交換され加熱された冷却水は放熱器79の冷却ファン80により冷却される。冷却水循環管路78は、リザーババルブ81を介して、水用リザーバタンク82が接続されている。又、放熱器79には、エアー抜き83が接続されていると共に、ドレーンバルブ84が接続されている。
【0033】
膨張シリンダブロック54の上部(コールドヘッド85)には、冷却用熱交換器76が形成されている。冷却用熱交換器76は、内側に作動ガスの流路86を有し、外側に冷却フィンが形成されて構成される。冷却用熱交換器76は、その用途に応じていろいろな構造が採用される。例えば、膨張シリンダブロック54の頂部に、ジャケット壁を設け、このジャケット壁内にエチルアルコール、HFE、PFC、PFG、窒素、ヘリウム等冷熱冷媒を流す構造としてもよい。
【0034】
本発明のスターリング冷凍機は、圧縮シリンダ45と膨張シリンダ46の2ピストンとすることにより、スターリング冷凍機の作動ガスの充填された空間の容積変動を大きくすることによって、冷凍能力の大きいスターリング冷凍機22を提供できるようにしている。
【0035】
ところで、本発明のスターリング冷凍機では、オイルシール用ベローズ53、58を採用し、さらにバッファタンク59を設けて、油上がりを防止し、又クランク室26(あるいはハウジング23内)と空間69、70(作動空間)との間の圧力差や圧力変動を吸収して、圧力調整を自動的に行いオイルシール用ベローズ53、58の劣化や破壊を防止し、スターリング冷凍機の運転性能及び耐久性の向上を図っている。
【0036】
要するに、本発明のスターリング冷凍機では、クランク室26と作動空間69、70とは互いに同じ圧力となる構成を採用している。しかしながら、スターリング冷凍機の製作又はメインテナンスに際して、作動ガスをクランク室26と作動空間69、70内に外部から供給して封入する際、あるいは作動ガスを外部に排出する際に、その注入又は排出の仕方によっては、クランク室26と作動空間69、70の間に圧力差が生じ易い。このような充填、排出に起因する圧力差があると、上記のようにバッファタンク59を設けて圧力調整をしても、十分な効果が得られない。
【0037】
本発明に係るスターリング冷凍機では、作動ガスの充填及び排出の際にクランク室26と作動空間69、70との間で圧力差が生じないようにするための作動ガス充填・排出装置87を設けた構成を特徴としている。ハウジング23にはクランク室26に連通するガス栓88が設けられ、膨張シリンダブロック54には作動空間69、70に連通するガス栓89が設けられている。
【0038】
図3は、この作動ガス充填・排出装置87のガス回路図を示す。作動ガス充填・排出装置87は、クランク室26と作動空間69、70に作動ガスを充填し又は排出させるために、先端にクイックコネクツ90、91を夫々有するクランク接続管92及び作動空間接続管93を備えている。作動ガス充填・排出装置87は、クイックコネクツ90、91をスターリング冷凍機22のガス栓88、89に取り付けることによりスターリング冷凍機22に装着する。
【0039】
クランク室接続管92は、圧力センサ94が付設され、その先端はクランク室充填管96とクランク室排気管97とに分岐されている。作動空間接続管93は、圧力センサ95が付設され、その先端は作動空間充填管98と作動空間排気管99とに分岐されている。クランク室充填管96と作動空間充填管98は互いに充填管路100へ合流し絞り101を介してクイックコネクツ102で作動ガス供給源に接続される。クランク排気管97と作動排気管99は、互いに排気管路103へ合流し、絞り104、電磁弁105を介して排気口106に接続されている。
【0040】
クランク室充填管96及び作動空間充填管98には、夫々電磁弁107、108が設けられている。クランク室排気管97には、排気口106に向けて電磁弁109、オイルミストセパレータ110及びフィルタ111が順次設けられている。作動空間排気管99には、電磁弁112が設けられている。なお、このような作動ガス充填・排出装置87は、図示はしないが、圧力センサ94、95の表示計、電磁弁開閉操作杆等を備えた操作パネルを利用して、作動ガスの充填又は排出の操作を行う。
【0041】
このような作動ガス充填・排出装置87は、スターリング冷凍機22に付属的に設置してもよいが、可搬式の独立した装置としてもよい。要するに、この可搬式の作動ガス充填・排出装置87は、スターリング冷凍機22のクランク室26及び作動空間69、70の夫々に対して、夫々圧力センサ94、95付き接続管92、93、並びに夫々電磁弁107、108、109、112を有する充填管96、98及び排気管97、99を備えており、充填管路96、98は充填管路100に合流して作動ガス供給源に接続され、排気管97、99は排気管路103に合流してガス排気口106に接続され、充填管路100及び排気管路103には絞り101、104が配設されている作動ガス充填・排出ガス回路87を有し、クランク室排気管にはオイルミストセパレータ110及びフィルタ111が付設されており、キャスタ等で移動可能とした構成である。
【0042】
図4は、この作動ガス充填・排出装置87の別の実施例のガス回路図を示す。この図4のガス回路は、図3のガス回路とほぼ構成が同じであるが、図4のガス回路では、充填管96、98及び排気管97、99が、それぞれ独立して圧力センサ94、95及び94、95を介して、スターリング冷凍機22のそれぞれ対応するクランク室26及び作動空間(作動室)69、70に接続されている。
【0043】
次に、本発明の上記実施例のスターリング冷却装置の作用を説明する。モータ27によってクランクシャフト34が正方向に回転し、クランク室26内のクランク部37、38が互いに位相がずれて回転する。このクランク部37、38に回動自在に連結されたコンロッド39、40を介してクロスガイドヘッド41、42がクロスガイドライナ43、44を往復する。クロスガイドヘッド41、42の夫々に圧縮ピストンロッド50及び膨張ピストンロッド57を介して連結された圧縮ピストン48及び膨張ピストン55が、互いに位相差をもって往復動する。
【0044】
膨張ピストン55が約90度先行して上死点付近でゆっくりと移動中、圧縮ピストン48は中間付近を上死点に向かって急速に移動して作動ガスの圧縮動作を行う。圧縮された作動ガスは、連通孔77及びマニホールド73を通り放熱用熱交換器74に流入する。放熱用熱交換器74内で冷却水に放熱した作動ガスは、再生器75で冷却され、流路86を通って低温室(膨張空間)56内に流入する。
【0045】
圧縮ピストン48が上死点近辺でゆっくりと移動している時に膨張ピストン55は急激に下死点に向かって移動し低温室(膨張空間)56に流入した作動ガスは急激に膨張し冷熱が発生する。これにより膨張空間を囲むコールドヘッド85は冷却され低温となる。
【0046】
膨張ピストン55が下死点から上死点に移動するときには圧縮ピストン48は中間位置から下死点に向かっており、作動ガスは低温室(膨張空間)56より流路86を通り再生器75に流入し作動ガスの有する冷熱を再生器75に蓄熱する。再生器75に蓄熱された冷熱は、上記のように高温室49から放熱用熱交換器74を通して送られてくる作動ガスを再度冷却するために再利用される。
【0047】
コールドヘッド85の冷熱は、冷凍庫、冷蔵庫、投げ込み式クーラー、低温液循環器、各種の温度特性試験用の低温恒温器、恒温槽、ヒートショック試験装置、凍結乾燥機、コールドクーラ等の冷熱利用機器に利用される。
【0048】
放熱用熱交換器74で熱交換された冷却水は、冷却水循環管路78から放熱器79に流れ、そこで冷却ファン80により冷却され、再度放熱用熱交換器74へと循環する。
【0049】
本発明では、圧縮ピストンロッド50と開口51の間は、オイルシール用ベローズ53により完全に封止されているから、油やオイルミストがクランク室26から圧縮ピストンロッド50に沿って上昇して圧縮シリンダ45内に入ることが完全に防止される。同様に、膨張ピストンロッド57との開口52の間は、オイルシール用ベローズ58により完全に封止されているから、油やオイルミストがクランク室26から膨張ピストンロッド57に沿って上昇して膨張シリンダ46内に入ることが完全に防止される。
【0050】
ところで、ハウジング23内の空間は、スターリング冷凍機の運転時には温度上昇するが、この温度上昇に伴いハウジング23内の空間内の圧力は上昇する。又、圧縮ピストン48及び膨張ピストン55のピストンの背面側の空間69、70に圧力変動が生じる。このハウジング23内の空間内の圧力の上昇及び空間69、70に圧力変動は、バッファタンク59において吸収される。特に、ハウジング23内の空間の温度上昇による上昇圧力は、圧力調整用ベローズ61が配設されていると、管71を介して室65の圧力が上昇し、圧力調整用ベローズ61を収縮させて、これにより効果的に吸収される。
【0051】
スターリング冷凍機22のモータ27を逆回転する。すると、圧縮ピストン48及び膨張ピストン55は、約90度の位相差をもって上記モータ27の正転動作の場合と全く逆に、圧縮ピストン48は膨張ピストン55として作用し、膨張ピストン55は圧縮ピストン48として作用する。これにより、膨張シリンダの膨張空間内の作動ガスは膨張ピストン55により圧縮され、熱を発生する。この逆回転は、スターリング冷凍機により温度制御運転をする際あるいは、冷熱利用機器の冷熱交換器に生じる霜の霜取りを行うときに利用される。
【0052】
この逆回転により膨張シリンダ46も高温となる、油上がりの油やオイルミストが加熱され炭化してシリンダ内に付着するいわゆる炭化の問題が生じるが、上記オイルシール用ベローズ58により油上がりは完全に防止されるので、この炭化の問題は生じない。
(c)に示す。
【0053】
本発明のスターリング冷凍機の製作又はメインテナンス等に際して、作動ガスをクランク室26及び作動空間69、70内に充填する場合は、クランク室充填管96及び作動空間充填管98の電磁弁107、108を夫々開いて、作動ガス供給源から作動ガスを充填する。又、クランク室26及び作動空間69、70から作動ガスを排出する場合は、クランク室排気管97、作動空間排気管99及び排気管路103の電磁弁109、112、105を夫々開いて、作動ガスを排気口106から排出する。
【0054】
ところで、クランク室26と作動空間69、70とでは、その内部構造は互いに異なるから、作動ガスの充填又は排出の際に、互いに異なる流動抵抗に基づく圧力損失が生じ、夫々の内部の圧力異なり差圧が生じる。この圧力損失は、作動ガスを急激に充填又は排出した場合に顕著に生じる。
【0055】
本発明に係る作動ガス充填・排出装置87のガス回路では、充填管路100及び排気管路104に夫々絞り101及び絞り104を設けたので、作動ガスが絞られながら充填又は排出されていく。これにより、作動ガスをクランク室26及び作動空間69、70に充填又は排出する際に生じ易い圧力損失を防止する。これによって、クランク室26及び作動空間69、70の間の圧力差の発生が防止できるから、この圧力差に起因するオイルシール用ベローズ53、58の劣化、破壊を防止できる。
【0056】
そして、作動ガスをクランク室26及び作動空間69、70から作動ガスを排出する場合には、オイルミストセパレータ110においてオイルミストが除去され、さらにフィルタ111によりオイル自体、オイル中の夾雑物や汚染物等が除去されるから、排気口106から作動ガスがクリーンな状態で排出することができる。
【0057】
又、クランク室接続管92及び作動空間接続管93には、夫々圧力センサ94、95が付設されているから、圧力センサ94、95で検出された圧力に基づいて、充填又は排出作業を手動又は機械的に電磁弁を操作しながら圧力調整を行うことができる。
【0058】
以上本発明の実施の形態を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限られることなく、上記特許請求の範囲に記載されている技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはい言うまでもない。又、上記実施例では2ピストン型のスターリング冷凍機について説明したが、本発明に係る作動ガス充填・排出装置は、ディスプレーサ型等他の形式のスターリング冷凍機、その他のスターリング機器に適用できることは言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】
以上の構成の本発明のスターリング冷凍機によると、ハウジングと、圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドの間は、夫々オイルシール用ベローズで完全に封止されているので、油上がりコンタミネーション(油上がり汚れ)を防止できる。
【0060】
そして、クランク室の温度上昇に伴う圧力上昇を、圧力調整用ベローズ付き又は無しのバッファタンクを設けることにより解消し、しかも作動ガスの充填及び排出の際に生じやすいクランク室と作動空間との間で差圧を、絞りを有する作動ガス充填・排出装置によって、防止することで、オイルシール用ベローズの劣化や破壊を防止し、スターリング冷凍機の性能及び耐久性の向上を図ることができる。
【0061】
以上のスターリング冷凍機特有の問題が解決できることにより、フロン以外の冷媒としてエチルアルコール、窒素、ヘリウム等の低融点の冷媒を作動ガスとして使用することができ、従来の冷却装置より使用温度が広範囲となり、広範囲の用途の冷熱利用機器に適用できるとともに、地球環境問題に適応した、冷凍能力の大きい、モータの正逆運転により加熱冷却運転の可能な冷凍装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスターリング冷凍機を説明する図である。
【図2】本発明に係るスターリング冷凍機の実施例を示す図である。
【図3】本発明に係るスターリング冷凍機の作動ガス充填・排出装置のガス回路を示す図である。
【図4】本発明に係るスターリング冷凍機の作動ガス充填・排出装置の別の実施例のガス回路を示す図である。
【符号の説明】
22 スターリング冷凍機
23 ハウジング
25 モータ室
26 クランク室
27 モータ
45 圧縮シリンダ
46 膨張シリンダ
48 圧縮ピストン
49 高温室
50 圧縮ピストンロッド
53、58 オイルシール用ベローズ
55 膨張ピストン
56 低温室
57 膨張ピストンロッド
59 バッファタンク
61 バッファタンクの圧力調整用ベローズ
69、70 圧縮ピストン及び膨張ピストンの背面側の空間(作動空間)
87 作動ガス充填・排出装置
92 クランク室接続管
93 作動空間接続管
100 充填管路
101、104 絞り
103 排気管路
110 オイルミストセパレータ
111 フィルタ

Claims (5)

  1. クランク室を有するハウジングと、
    上記クランク室の上方に配置された圧縮シリンダ及び膨張シリンダと、
    上記圧縮シリンダ及び膨張シリンダ内を往復動し、作動ガスを圧縮及び膨張する圧縮ピストン及び膨張ピストンと、
    上記クランク室内のクランクと連動し、上記圧縮ピストン及び膨張ピストンに一端が連結された圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドと、
    上記圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドが夫々貫通する上記クランク室頂部の開口部に夫々配設されたオイルシールとを備えて成るスターリング冷凍機において、
    上記オイルシールは、夫々その基端が上記開口の周縁に固着され、その先端が上記圧縮ピストンロッド及び膨張ピストンロッドに固定されたオイルシール用ベローズから成り、
    上記クランク室と、上記圧縮作動シリンダ及び膨張シリンダにおける上記圧縮ピストン及び膨張ピストンの背面側の作動空間に、作動ガスを充填又は排出する作動ガス充填・排出装置を、上記クランク室と上記作動空間に、夫々連通するように配設して成ることを特徴とするスターリング冷凍機。
  2. 上記ハウジングと上記作動空間との間に、上記作動空間内の圧力変動及び上記ハウジング内の圧力上昇を吸収するためのバッファタンクを設けたことを特徴とする請求項1記載のスターリング冷凍機。
  3. 上記バッファタンクは、その内部に、圧力調整用ベローズが配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスターリング冷凍機。
  4. 上記作動ガス充填・排出装置は、上記クランク室及び上記作動空間の夫々に対して、接続管、充填管及び排気管を備えており、上記クランク室の充填管と上記作動空間の充填管は充填管路に合流して作動ガス供給源に接続され、上記クランク室の排気管と上記作動空間の排気管は排気管路に合流してガス排気口に接続され、上記充填管路及び上記排気管路には夫々絞りが配設されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスターリング冷凍機。
  5. スターリング冷凍機に作動ガスを充填し、排出するための作動ガス充填・排出ガス回路を有する可搬式のスターリング冷凍機用作動ガス充填・排出装置であって、
    上記作動ガス充填・排出ガス回路は、スターリング冷凍機のクランク室並びに、圧縮シリンダ及び膨張シリンダの圧縮ピストン及び膨張ピストンの背面側の作動空間の夫々に対して接続される、圧力センサ付き接続管並びに電磁弁を有する充填管及び排気管を備えており、
    上記クランク室の充填管と上記作動空間の充填管は、合流して充填管路に接続されて作動ガス供給源に連通し、
    上記クランク室の排気管と上記作動空間の排気管は、合流して排気管路に接続され排気口に連通し、
    上記充填管路及び上記排気管路は、夫々絞りを有し、
    上記クランク室の排気管は、オイルミストセパレータ及びフィルタを順次配設して成ることを特徴とするスターリング冷凍機用作動ガス充填・排出装置。
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