JP3642527B1

JP3642527B1 - 油圧式テンショナ

Info

Publication number: JP3642527B1
Application number: JP2004161528A
Authority: JP
Inventors: 修吉田
Original assignee: Tsubakimoto Chain Co
Current assignee: Tsubakimoto Chain Co
Priority date: 2004-05-31
Filing date: 2004-05-31
Publication date: 2005-04-27
Anticipated expiration: 2024-05-31
Also published as: US7404776B2; CN1704628A; EP1602857B1; EP1602857A3; DE602005020388D1; JP2005344738A; CN100529467C; EP1602857A2; US20050265856A1

Abstract

【課題】エンジンブロック内にプランジャを下向きに突出させるように取り付けた場合でも、高圧油室内のエアー抜きを簡便にして走行するチェーンのバタツキ異音を抑制して、高圧油室内のリークダウンを簡単に調整でき、簡便に製造できる油圧式テンショナを提供すること。
【解決手段】油圧式テンショナ１００の逆止弁ユニット１４０が、圧油の流動を規制するチェックボール弁１４１と、このチェックボール弁１４１を遊動状態で内包するボールガイド１４２と、該チェックボール弁１４１をボールガイド１４２内に封止するリテーナ１４３と、前記チェックボール弁１４１の着座で圧油の逆流を阻止するボールシート１４４とで構成され、高圧油室Ｒ側からプランジャ収容穴１１１の穴壁面を介して圧油供給路１１２側へエアー抜きするエアー誘導溝１４２ｄ、１４４ｂが、ボールガイド１４２の外周側面とボールシート１４４の底面に連通状態で刻設されていること。
【選択図】図２

Description

本発明は、例えば、車両用エンジンのタイミングベルト、またはタイミングチェーン等に適正な張力を付与するための油圧式テンショナに関するものである。

車両用エンジンのクランクシャフトとカムシャフトとの間で回転を伝達するタイミングベルトやタイミングチェーンには、これらの走行時に生じる振動を抑止して適正な張力を維持するためのチェックバルブ機構を備えた油圧式テンショナが広く用いられている。

従来、このようなチェックバルブ機構を備えた油圧式テンショナは、ハウジング本体に形成された円筒状孔に嵌入された金属製のシリンダと、このシリンダ内にプランジャ付勢用ばねにより付勢されてハウジング本体から先端部が突出するように設けられたプランジャと、該プランジャ内部とシリンダとの間に形成された高圧油室とを備えている。
そして、前記チェックバルブ機構は、円筒状ブロックと油路を有するボールシートとチェックボール弁とコイルスプリングと蓋体とを予め組み立てた組立体として構成されている（例えば、特許文献１参照）。
特開２００２−２０６６０３号公報（第１頁、図１）

しかしながら、前述したような油圧式テンショナのチェックバルブ機構は、高度な加工精度の機械加工を要するために、その製造コストが高く、油圧式テンショナの組立性にも問題があった。

そこで、本出願人は、このような問題を解決するため、逆止弁ユニットを備えた油圧式テンショナを特願２００４−１１５８７０号として既に出願している。
この特願２００４−１１５８７０号に係る逆止弁ユニットを備えた油圧式テンショナ５００は、本発明の関連技術となるものであり、図６乃至図７に示すような逆止弁ユニット５４０は、圧油の流動を規制するチェックボール弁５４１とこのチェックボール弁５４１を遊動状態で内包するボールガイド５４２と前記チェックボール弁５４１をボールガイド５４２内に封止する円板状リテーナ５４３と前記チェックボール弁５４１の着座で圧油の逆流を阻止するボールシート５４４とで構成されている。

ところが、このような本発明の関連技術である油圧式テンショナ５００は、エンジンブロック内においてプランジャを下向きに突出して走行するチェーンに当接させるように取り付けた場合、プランジャ収容穴とプランジャとの間に形成される高圧油室内のエアー抜けが悪くなって、チェーンに対するプランジャの充分な保持力を発揮することができなくなる場合があり、このような時にプランジャの保持力不足に起因して走行チェーンにバタツキ異音が発生し易くなるという問題があった。

そこで、本発明の目的は、上述したような問題を解決するものであって、エンジンブロック内においてプランジャを下向きに突出させるように取り付けた場合であっても、高圧油室内のエアー抜きを圧油供給路側へ簡便に達成して走行するチェーンのバタツキ異音を抑制できるとともに、高圧油室内のリークダウンを簡単に調整でき、しかも、簡便に製造することが可能な油圧式テンショナを提供することである。

まず、本請求項１に係る発明は、ハウジング本体のプランジャ収容穴から走行するチェーンに向けて摺動自在に突出するプランジャと、前記プランジャ収容穴とプランジャとの間に形成される高圧油室に収納されてプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢用ばねと、前記プランジャ収容穴の底部に開口する圧油供給路に隣接配置されて該圧油供給路から高圧油室内に流入した圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットとを備えた油圧式テンショナにおいて、前記逆止弁ユニットが、圧油の流動を規制するチェックボール弁と該チェックボール弁を遊動状態で内包するボールガイドと前記チェックボール弁をボールガイド内に封止する円板状リテーナと前記チェックボール弁の着座で圧油の逆流を阻止するボールシートとで構成されているとともにプランジャ収容穴の底部穴壁面にボールガイドを圧入することにより組み込まれ、前記高圧油室側からプランジャ収容穴の底部穴壁面を介して圧油供給路側へエアー抜きするエアー誘導溝が、前記ボールガイドの外周側面とボールシートの底面にそれぞれ連通状態で刻設されていることにより、前記課題を解決するものである。

そして、本請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明の構成に加えて、前記ボールガイドが、合成樹脂からなることにより、前記課題をより一段と解決するものである。

本発明の油圧式テンショナは、ハウジング本体のプランジャ収容穴から走行するチェーンに向けて摺動自在に突出するプランジャと、前記プランジャ収容穴とプランジャとの間に形成される高圧油室に収納されてプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢用ばねと、前記プランジャ収容穴の底部に開口する圧油供給路に隣接配置されて該圧油供給路から高圧油室内に流入した圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットとを備えていることにより、車両用エンジンのタイミングベルト、タイミングチェーン等に適正な張力を付与することができるばかりでなく、以下のような構成を備えていることによって、特有の効果を奏することができる。

すなわち、本請求項１に係る油圧式テンショナの逆止弁ユニットは、圧油の流動を規制するチェックボール弁と該チェックボール弁を遊動状態で内包するボールガイドと前記チェックボール弁をボールガイド内に封止する円板状リテーナと前記チェックボール弁の着座で圧油の逆流を阻止するボールシートとで構成されているとともに、高圧油室側からプランジャ収容穴の底部穴壁面を介して圧油供給路側へエアー抜きするエアー誘導溝がボールガイドの外周側面とボールシートの底面にそれぞれ連通状態で刻設されていることにより、前述した関連技術の油圧式テンショナに比較すると、エンジンブロック内においてプランジャを下向きに突出させるように取り付けた場合であっても、高圧油室内のエアー抜きを圧油供給路側へ簡便に達成してチェーンに対するプランジャの充分な保持力を発揮できるため、走行するチェーンのバタツキ異音を抑制できるとともに、高圧油室内のリークダウンを簡単に調整できる。

そして、本請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明が奏する効果に加えて、前記ボールガイドが合成樹脂からなることにより、エアー誘導溝を金属製のハウジング本体に形成されているプランジャ収容穴に切削加工などの後加工を施すことなく、ボールガイド自体の樹脂加工と同時にその外周側面に簡便に成形できる。

本発明の油圧式テンショナは、逆止弁ユニットが圧油の流動を規制するチェックボール弁と該チェックボール弁を遊動状態で内包するボールガイドと前記チェックボール弁をボールガイド内に封止するリテーナと前記チェックボール弁の着座で圧油の逆流を阻止するボールシートとで構成されるとともにプランジャ収容穴の底部穴壁面にボールガイドを圧入することにより組み込まれたものであれば、その具体的なテンショナ形態は如何なるものであっても良く、例えば、ハウジング本体のプランジャ収容穴からチェーンに向けて摺動自在に突出するプランジャと前記プランジャ収容穴とプランジャとの間に形成される高圧油室に収納されてプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢用ばねと前記プランジャ収容穴の底部に開口する圧油供給路に隣接配置されて該圧油供給路から高圧油室内に流入した圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットとを備えて前記高圧室内に圧油を存在させた油圧式テンショナや、このような油圧式テンショナやばね式テンショナにおいてプランジャ側に形成したラックとハウジングに軸支したラチェット機構を付加させたものであっても何ら差し支えない。

本発明の実施例である油圧式テンショナを図１乃至図５を参照して説明する。
図１は、本発明の実施例である油圧式テンショナを用いた使用態様図であり、図２は、図１に示す油圧式テンショナの断面図であり、図３は、図２に示す逆止弁ユニットを一部破断して拡大した斜視図であり、図４は、図２に示す逆止弁ユニットの拡大図であって、（Ａ）は平面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は底面図であり、図５は、図２のＡ部分における高圧油室内のエアー抜き状態を示した拡大図である。

まず、図１乃至図２に示すように、本発明の実施例である油圧式テンショナ１００は、エンジン内の２本のカムシャフトにそれぞれ固定されていカム側スプロケットＳ、Ｓの間にチェーンＣが掛け渡されたエンジンにおいて、ハウジング本体１１０の前面からプランジャ１２０が下向きに突出するようなカム側スプロケットＳ、Ｓの間に取り付けられるものである。

図２に示す本実施例の油圧式テンショナ１００は、ハウジング本体１１０に形成されたプランジャ収容穴１１１内に外観円柱状のプランジャ１２０が摺動自在に嵌挿され、このプランジャ１２０とプランジャ収容穴１１１との間に形成される高圧油室Ｒには、プランジャ１２０を突出方向に付勢するコイルスプリングからなるプランジャ付勢用ばね１３０が収容されている。

そして、前記プランジャ収容穴１１１の底部穴壁面には、ハウジング本体１１０に設けられている圧油供給路１１２から高圧油室Ｒ内に流入した圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニット１４０が組み込まれ、この逆止弁ユニット１４０は、圧油の流動を規制するチェックボール弁１４１と、このチェックボール弁１４１を遊動状態で内包するボールガイド１４２と、該チェックボール弁１４１をボールガイド１４２内に封止する円板状のリテーナ１４３と、前記チェックボール弁１４１の着座で圧油の逆流を阻止するボールシート１４４とで構成されており、高圧油室Ｒ内の圧油の逆流を阻止するようになっている。

ここで、前記チェックボール弁１４１、ボールガイド１４２、リテーナ１４３、ボールシート１４４について以下に詳しく説明する。
すなわち、前記チェックボール弁１４１は、金属製、セラミック製、あるいは合成樹脂製のいずれであっても差し支えなく、合成樹脂製のボールガイド１４２内で移動が可能な直径を有している。

そして、前記ボールガイド１４２は、エンジン駆動時の高温下で使用するため、優れた耐熱性を発揮するナイロン４６、ナイロン６６、ガラス繊維強化ナイロン等のポリアミド樹脂が好ましく、リテーナ１４３をカシメにより固着するために高圧油室側全外周域に配置したカシメ部分１４２ａと、ボールシート１４４をカシメにより固着するために流入側全外周域に配置したカシメ部分１４２ｂと、プランジャ収容穴１１１の底部穴壁面に圧入固定する外周舌片１４２ｃとを備えている。

また、前記円板状のリテーナ１４３は、プランジャ付勢用ばね１３０の後端を確実に位置決めした当接状態で組み付けるため、金属製とするのが好ましく、ボールガイド１４２の高圧油室側全外周域に配置したカシメ部分１４２ａのカシメにより固着されて、強固な逆止弁ユニット１４０に組み立てられる。なお、図３乃至図４の符号１４３ａは、リテーナ１４３に穿孔した圧油の連通孔である。

さらに、前記ボールシート１４４は、ボールガイド１４２の流入側全外周域に配置したカシメ部分１４２ｂのカシメにより固着されており、強固な逆止弁ユニット１４０に組み立てられるため、プランジャ収容穴１１１の底部穴壁面へ逆止弁ユニット１４０を組み付ける際に、前述したリテーナ１４３と同様に、ボールシート１４４を脱落させることなく、簡便にかつ強固に組み付けられる。なお、図３乃至図４の符号１４４ａは、ボールシート１４４に穿孔した圧油の連通孔である。

そこで、本実施例の油圧式テンショナ１００が最も特徴とする逆止弁ユニット１４０は、高圧油室Ｒ側からプランジャ収容穴１１１の底部穴壁面を介して圧油供給路側へエアー抜きするＶ字状のエアー誘導溝１４２ｄ、１４４ｂがボールガイド１４２の外周側面とボールシート１４４の底面にそれぞれ連通状態で刻設されているため、前述した関連技術の油圧式テンショナに比較すると、図１のように、エンジンブロック内においてプランジャ１２０を下向きに突出させるように取り付けた場合であっても、高圧油室Ｒ内のエアー抜きを簡便に達成してチェーンＣに対するプランジャ１２０の充分な保持力を発揮できるので、チェーンＣのバタツキ異音を抑制できるとともに、高圧油室Ｒ内のリークダウンを簡単に調整できる。

このようにして得られた本実施例の油圧式テンショナ１００は、常時、高圧油室Ｒ内が、逆止弁ユニット１４０を介して外部からオイルポンプ等による圧油で満たされており、走行するチェーンＣが緩むと、プランジャ付勢用ばね１３０で常時付勢されているプランジャ１２０が突出し、逆止弁ユニット１４０が開放し圧油が高圧油室Ｒ内に流入するようになっている。

そして、チェーンＣから衝撃力を受けてプランジャ１２０がプランジャ付勢用ばね１３０の付勢力に抗してハウジング本体１１０のプランジャ収容穴１１１内に押し込まれて後退すると、高圧油室Ｒ内の圧油の圧力が上昇して逆止弁ユニット１４０のチェックボール弁１４１がボールシート１４４に押し付けられて、高圧油室Ｒからボールシート１４４の油通路１４４ａへの圧油の逆流が阻止される。

その結果、高圧油室Ｒ内の油圧がさらに高くなり、圧油はボールシート１４４のＶ字状のエアー誘導溝１４４ｂからリークしてハウジング本体１１０の圧油供給路１１２へ排出され、その際に生じる圧油の粘性による流動抵抗によってプランジャ１２０に作用する衝撃力が緩和され、衝撃力によるプランジャ１２０の振動が速やかに減衰されるようになっている。

以上のとおり、本実施例の油圧式テンショナ１００は、高圧油室Ｒ側からプランジャ収容穴１１１の底部穴壁面を介して圧油供給路１１２側へエアー抜きするエアー誘導溝１４２ｄ、１４４ｂがボールガイド１４２の外周側面とボールシート１４４の底面にそれぞれ連通状態で刻設されていることにより、エンジンブロック内においてプランジャ１２０を下向きに突出させるように取り付けた場合であっても、高圧油室Ｒ内のエアー抜きを圧油供給路側へ簡便に達成してチェーンＣに対するプランジャ１２０の充分な保持力を発揮できるため、チェーンＣのバタツキ異音を抑制できるとともに、高圧油室Ｒ内のリークダウンを簡単に調整でき、しかも、前記ボールガイド１４２が合成樹脂からなることにより、エアー誘導溝１４２ｄを金属製のハウジング本体１１０に形成されているプランジャ収容穴１１１に切削加工などの後加工を施すことなく、ボールガイド１４２自体の樹脂加工と同時にその外周側面に簡便に成形できるなど、その効果は甚大である。

本発明の実施例である油圧式テンショナを用いた使用態様図。図１に示す油圧式テンショナの断面図。図２に示す逆止弁ユニットを一部破断して拡大した斜視図。図２に示す逆止弁ユニットの拡大図であって、（Ａ）は左側面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は右側面図。図２のＡ部分における高圧油室内のエアー抜き状態を示した拡大図。本発明の関連技術である油圧式テンショナの断面図。図６に示す逆止弁ユニットを一部破断して拡大した斜視図。

符号の説明

１００，５００・・・油圧式テンショナ
１１０，５１０・・・ハウジング本体
１１１，５１１・・・プランジャ収容穴
１１２・・・圧油供給路
１２０，５２０・・・プランジャ
１３０，５３０・・・プランジャ付勢用ばね
１４０，５４０・・・逆止弁ユニット
１４１，５４１・・・チェックボール弁
１４２，５４２・・・ボールガイド
１４２ａ，５４２ａ・・・高圧油室側全外周域に配置したカシメ部分
１４２ｂ，５４２ｂ・・・流入側全外周域に配置したカシメ部分
１４２ｃ，５４２ｃ・・・外周舌片
１４２ｄ・・・ボールガイド１４２側のエアー誘導溝
１４３，５４３・・・リテーナ
１４３ａ，５４３ａ・・・圧油の連通孔
１４３ｂ・・・ばね位置決め装着凹部
１４４，５４４・・・ボールシート
１４４ａ，５４４ａ・・・圧油の連通孔
１４４ｂ・・・ボールシート１４４側のエアー誘導溝
Ｓ・・・カム側スプロケット
Ｃ・・・チェーン

Claims

ハウジング本体のプランジャ収容穴から走行するチェーンに向けて摺動自在に突出するプランジャと、前記プランジャ収容穴とプランジャとの間に形成される高圧油室に収納されてプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢用ばねと、前記プランジャ収容穴の底部に開口する圧油供給路に隣接配置されて該圧油供給路から高圧油室内に流入した圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットとを備えた油圧式テンショナにおいて、
前記逆止弁ユニットが、圧油の流動を規制するチェックボール弁と該チェックボール弁を遊動状態で内包するボールガイドと前記チェックボール弁をボールガイド内に封止する円板状リテーナと前記チェックボール弁の着座で圧油の逆流を阻止するボールシートとで構成されているとともにプランジャ収容穴の底部穴壁面にボールガイドを圧入することにより組み込まれ、
前記高圧油室側からプランジャ収容穴の底部穴壁面を介して圧油供給路側へエアー抜きするエアー誘導溝が、前記ボールガイドの外周側面とボールシートの底面にそれぞれ連通状態で刻設されていることを特徴とする油圧式テンショナ。
前記ボールガイドが、合成樹脂からなることを特徴とする請求項１記載の油圧式テンショナ。