JP3622993B2 - セラミックス積層体の製造装置およびセラミックス積層体の製造方法 - Google Patents

セラミックス積層体の製造装置およびセラミックス積層体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はセラミックス積層体の製造装置およびセラミックス積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来セラミックス積層体の一例として積層コンデンサが知られている。この積層コンデンサはセラミックユニットの内部に複数層の内部電極が形成され、その両端部に内部電極と電気的に接続された外部電極を形成してなる。
【0003】
このような積層コンデンサを製造する方法としては、従来では、セラミックグリーンシート上に長方形の電極を複数形成しておき、このような複数の電極が形成されたグリーンシートを複数枚積層した後に、これを剛体プレスで圧着する方法が知られている。剛体プレスによる圧着工程は、金型の下型内へ積層したグリーンシートを入れ、上型を加圧することにより、各グリーンシートと内部電極との層内に隙間なく圧着する。圧着後は、グリーンシートを直方体に切断してチップにし、これを焼成した後に両側に外部電極を形成している。
【0004】
内部電極の形成された部分と形成されていない部分とでシートの厚みに差が生じるので、剛体プレスを用いて圧着する方法では、内部電極の形成されていない部分の成形密度が上がらず、この部分で層剥れが生じ易いという問題がある。
【0005】
特に、グリーンシートの積層枚数が増える程、圧着時における密度差が顕著となるので、その影響が大きい。このために、多層の積層コンデンサを製造する場合は、圧着不良に起因して、不良品が生じ易く、歩留りが悪くなるという問題がある。
【0006】
また、剛体プレスによる圧着方法は、加圧した時に金型に歪みを生じるので、上型と下型との作用位置によって力の加わり方が異なり、加圧力の不均一を生じ易くなり、これまた層剥れの原因になっている。
【0007】
さらに、剛体プレスで圧着すると、焼成後のチップがほぼ完全な直方体になるので、これに外部電極を形成すると外部電極の厚み分だけ直方体から突出するようになるので、基板への実装性が低下するという問題もある。
【0008】
この発明は前記事情に基づいて完成された。すなわち、この発明の目的は、前記問題点を解決し、積層されたセラミックのグリーンシートを均一に圧着することにより、層剥れを生じることなく、しかもセラミックス積層体をその製造装置からセラミックス積層体を損傷することなく、歩留り良くセラミックス積層体を製造することのできる装置および製造方法を提供することにある。
【0009】
【前記課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、セラミックス製の複数のグリーンシートを収容することのできる凹陥部を形成してなる基体と、前記凹陥部の天井面に配置され、その天井面を液密に覆蓋し、前記グリーンシートを加圧成形して得られるセラミックス積層体を押し出し可能とする第1弾性部材と、前記凹陥部の下部開口部を液密に覆蓋する第2弾性部材と、前記第2弾性部材を介して前記凹陥部の前記下部開口部を閉鎖する蓋体と、前記基体に設けられ、前記凹陥部の天井面と第1弾性部材との間に圧力流体を導入する第1圧力流体導入機構と、前記第2弾性部材に圧力を印加する圧力流体を導入する第2圧力流体導入機構と、グリーンシートの加圧成形時に前記蓋体および基体を固定する固定部材と、前記凹陥部内の第1弾性部材と第2弾性部材とに挟まれた空間内の気体を排出する気体導排出手段とを有することを特徴とするセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項2に記載の発明は、セラミックス製の複数のグリーンシートを収容することのできる凹陥部を形成してなる基体と、前記凹陥部の天井面に配置され、その天井面を液密に覆蓋し、前記グリーンシートを加圧成形して得られるセラミックス積層体を押し出し可能とする第1弾性部材と、前記凹陥部の下部開口部を液密に覆する第2弾性部材と、前記基体に設けられ、前記凹陥部の天井面と前記第1弾性部材との間に圧力流体を導入する第1圧力流体導入機構と、前記第2弾性部材を介して前記凹陥部の下部開口部を覆蓋する蓋体と、前記第2弾性部材と蓋体との間に封入された圧力流体層と、グリーンシートの加圧成形時に前記蓋体および基体を固定する固定部材と、前記凹陥部内の第1弾性部材と第2弾性部材とに挟まれた空間内の気体を排出する気体導排出手段とを有することを特徴とするセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項3に記載の発明は、前記第弾性部材に第1硬質板材が重ねて配置されてなる前記請求項1又は2に記載のセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項4に記載の発明は、前記第2弾性部材に第2硬質板材が重ねて配置されてなる前記請求項3に記載のセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項5に記載の発明は、前記凹陥部が複数個設けられてなる前記請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項6に記載の発明は、前記凹陥部の下部開口部縁辺に傾斜部が設けられてなる前記請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項7に記載の発明は、前記第1弾性部材の縁辺が凹陥部の壁面に設けられた間隙に装入されてなる前記請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックス積層体の製造装置であり、
請求項8に記載の発明は、前記請求項1に記載のセラミックス積層体の製造装置を使用し、凹陥部内で前記第2弾性部材上にセラミックス製の複数のグリーンシートを積み重ねた状態に配置し、第1圧力流体導入機構により凹陥部の天井面と第1弾性部材との間に圧力流体を圧入し、かつ、第2圧力流体導入機構により圧力流体を圧入することにより、第1弾性部材および第2弾性部材を介して複数のグリーンシートを加圧成形し、加圧成形後に、第2圧力流体導入機構による加圧力を除き、セラミックス積層体を第1圧力流体導入機構による加圧力により凹陥部から取り出すことを特徴とするセラミックス積層体の製造方法であり、
請求項9に記載の発明は、前記請求項1に記載のセラミックス積層体の製造装置を使用し、凹陥部内で前記第2弾性部材上にセラミック製の複数のグリーンシートを積み重ねた状態に配置し、第2圧力流体導入機構により第2弾性部材を加圧することによりセラミックス製の複数のグリーンシートを加圧成形し、第2圧力流体導入機構による加圧を停止してから、第1圧力流体導入機構により第1弾性部材と凹陥部の天井面との間に圧力流体を導入することにより、凹陥部からセラミックス積層体を取り出すことを特徴とするセラミックス積層体の製造方法である。
【0010】
【作用】
請求項1に記載の発明に係るセラミックス積層体の製造装置により、次のようにしてセラミックス積層体を製造する。
【0011】
先ず、初期状態として、固定部材が基体および蓋体から退避した位置にあり、また、基体と蓋体とが十分に分離した状態となっている。
【0012】
蓋体における第2弾性部材上にセラミックス製の複数のグリーンシートを配置する。凹陥部における下部開口部を蓋体で液密に覆蓋する。覆蓋するには、固定された基体の下部開口部に向かって蓋体を上昇させても良く、また固定された蓋体に向かって基体を下降させても良い。退避していた固定部材を移動させて固定部材でこの蓋体および基体を固定する。この固定部材による固定は、グリーンシートの加圧成形時に蓋体が基体の下部開口部から突出するのを阻止するように、固定部材で蓋体を基体に固定すること、あるいは蓋体の上端面に固定部材を配置することなどにより、実現することができる。
【0013】
次いで、気体導排出手段により凹陥部内の気体を排出して、凹陥部内を高度の減圧状態にする。この気体の排出と同時に、あるいは気体の排出を完了してから、次のようにしてグリーンシートの加圧成形を行う。
【0014】
すなわち、請求項10に記載された製造方法に従い、第1圧力流体導入機構により第1弾性部材と凹陥部の天井面との間に圧力流体を圧入し、第2圧力流体導入機構により第2弾性部材と蓋体との間に圧力流体を圧入する。これによって、第1弾性部材および第2弾性部材を介して、導入された圧力流体による加圧力が、積層された複数枚のグリーンシートに印加され、複数枚のグリーンシートが一体化する。このとき、積み重ねられた複数枚のグリーンシートには、固定部材により蓋体が固定されているので、第1弾性部材と第2弾性部材とによって互いに向き合うベクトル方向の加圧力が作用する。
【0015】
圧力流体による加圧を所定時間維持してから、蓋体と第2弾性部材との間の加圧流体による圧力を常圧に戻すのと同時に、基体における凹陥部の天井面と第1弾性部材との加圧流体による圧力を常圧に戻す。固定部材による蓋体および基体の固定を解除し、蓋体を凹陥部の下部開口部から取り外す。第1圧力流体導入機構により、第1弾性部材と凹陥部の天井面との間に圧力流体を圧入することにより、セラミックス積層体を凹陥部から押し出す。押し出されたセラミックス積層体を凹陥部から取り出す。
【0016】
またグリーンシートの上記操作によらない加圧成形として、請求項11に記載された製造方法に従い、第2圧力流体導入機構により第2弾性部材を加圧することによりセラミックス製の複数枚のグリーンシートを加圧する。このとき、固定部材により蓋体が固定されているので、第2圧力流体導入機構により圧入された圧力流体による圧力は、第2弾性部材から凹陥部の天井面に向かうベクトル方向で作用する。
【0017】
圧力流体による加圧を所定時間維持してから、第2圧力流体導入機構により蓋体と第2弾性部材との間の圧力流体を吸引排除して圧力流体による加圧を停止する。気体導排出手段による気体の排出を停止し、凹陥部内を常圧状態に戻す。固定部材による蓋体の固定を解除し、蓋体を凹陥部の上部開口部から取り外す。
【0018】
第1圧力流体導入機構により凹陥部の底面と第1弾性部材との間に圧力流体を圧入する。圧力流体の圧入により凹陥部からセラミックス積層体が押し出される。押し出されたセラミックス積層体を凹陥部から取り出す。
【0019】
請求項2に記載の発明に係るセラミックス積層体の製造装置により、次のようにしてセラミックス積層体を製造する。
【0020】
すなわち、凹陥部の底面に配置された第1弾性部材上に、セラミックス製の複数枚のグリーンシートを配置する。凹陥部における上部開口部を、蓋体で液密に覆蓋する。この蓋体を固定部材で固定する。この固定部材による固定は、グリーンシートの加圧成形時に蓋体が下部開口部から突出するのを阻止するように、固定部材で蓋体と基体とを固定する、あるいは蓋体の下端面に固定部材を配置するなどにより、実現することができる。
【0021】
次いで、気体導排出手段により凹陥部内の気体を排気して、凹陥部内を高度の減圧状態にする。この気体の排出と同時に、あるいは気体の排出を完了してから、次のようにしてグリーンシートの加圧成形を行う。
【0022】
すなわち、第1流体圧力導入機構により第1弾性部材と凹陥部の底面との間に圧力流体を圧入する。固定部材により蓋体が固定されているので、第1流体圧力導入機構による圧力流体の圧入により、セラミックス製の複数枚のグリーンシートに圧力が印加される。加圧流体による加圧によってセラミックス積層体が形成される。
【0023】
所定時間をかけて加圧流体による加圧処理を終えたならば、第1流体圧力導入機構による加圧流体の圧入による加圧を停止し、加圧流体による圧力を常圧に戻す。気体導排出手段による凹陥部内の排気を停止し、凹陥部内を常圧に戻す。
【0024】
固定部材による蓋体および基体の固定を解除する。凹陥部における下部開口部から蓋体を取り除く。第1圧力流体導入機構により第1弾性部材と凹陥部の天井面との間に圧力流体を圧入することにより、セラミックス積層体を凹陥部から押し出す。押し出されたセラミックス積層体を凹陥部から取り出す。
【0025】
請求項2に記載のセラミックス積層体の製造装置においては、請求項3に記載の発明のように、蓋体の凹陥部に臨む面に離型性部材を介装させるのが好ましい。この離型性部材が蓋体の凹陥部に臨む面に介装されていないときには、グリーンシートを加圧成形すると、成形されたセラミックス積層体の上面が蓋体の上面に固着してしまって、蓋体を凹陥部から取り外すのが困難になることがたまにあるが、この離型性部材を蓋体の凹陥部に臨む面に介装しておくことにより、セラミックス積層体の下面が蓋体の上面に固着することが確実に防止され、セラミックス積層体の凹陥部からの取り出しを確実に実行することができる。
【0026】
請求項4に記載されたセラミックス積層体の製造装置においては、次のようにしてセラミックス積層体を製造することができる。
【0027】
すなわち、蓋部材における第2弾性部材上に、セラミックス製の複数枚のグリーンシートを配置する。固定された基体に向かって前記蓋部材を上昇させることにより、あるいは固定された蓋部材に向かって基体を下降させることにより、凹陥部内に前記複数米のグリーンシートを収容する。次いで、この蓋体および基体を固定部材で固定する。この固定部材による固定によって、グリーンシートの加圧成形時に蓋体が上部開口部から突出するのが阻止される。
【0028】
次いで、気体導排出手段により凹陥部内における第1弾性部材と第2弾性部材との間の空間の気体を排気して、凹陥部内を高度の減圧状態にする。この気体の排出と同時に、あるいは気体の排出を完了してから、次のようにしてグリーンシートの加圧成形を行う。
【0029】
すなわち、第1圧力流体導入機構により第1弾性部材と凹陥部の底面との間に圧力流体を圧入することにより、グリーンシートを加圧する。固定部材により蓋体が固定されているので、圧力流体により複数枚のグリーンシートが第1弾性部材により第2弾性部材に向かって加圧されることになる。このとき、圧力流体層が第2弾性部材と蓋体の下面との間に介在しているので、第2弾性部材から第1弾性部材に向かうベクトル方向で反力が生じる。これによって複数枚のグリーンシートには、互いに向き合う方向の加圧力が作用し、セラミックス積層体が形成される。
【0030】
所定時間かけて加圧流体による加圧処理を終えたならば、第1流体圧力導入機構による加圧流体の圧入による加圧を停止し、加圧流体による圧力を常圧に戻す。気体導排出手段による凹陥部内の排気を停止し、凹陥部内を常圧に戻す。
【0031】
固定部材による蓋体の固定を解除する。凹陥部における下部開口部から蓋体を取り除く。圧力流体層および第2弾性部材を凹陥部から取り除く。第1圧力流体導入機構により第1弾性部材と凹陥部の天井面との間に圧力流体を圧入することにより、セラミックス積層体を凹陥部から押し出す。押し出されたセラミックス積層体を凹陥部から取り出す。
【0032】
前記請求項1〜4のいずれに記載されたセラミックス積層体の製造装置においても、請求項5に記載の発明のように、第1弾性部材に第1硬質板材を重ねて配置するのが好ましい。
【0033】
第1硬質板材を第1弾性部材に重ねて配置しておくと、セラミックス製のグリーンシートを加圧成形してセラミックス積層体を製造するときに、第1弾性部材を介して圧力流体の加圧力をグリーンシートに均一に印加することができる。
【0034】
請求項1、4または5に記載のセラミックス積層体の製造装置においても、請求項6に記載の発明のように、第2弾性部材に第2硬質板材を重ねて配置しておくのが好ましい。
【0035】
第2弾性部材に第2硬質板材を重ねて配置しておくと、セラミックス製のグリーンシートを加圧成形してセラミックス積層体を製造するときに、第2弾性部材を介して圧力流体の加圧力をグリーンシートに均一に印加することができる。
【0036】
請求項7に記載のセラミックス積層体の製造装置のように、基体に複数の凹陥部を設けると、一度に複数のセラミックス積層体を製造することができるので、効率的になる。
【0037】
請求項8に記載のセラミックス積層体の製造装置のように、凹陥部の上部開口部縁辺に傾斜部を設けておくと、加圧成形後にセラミックス積層体を凹陥部から取り出すときにセラミックス積層体の縁部分を損傷することがなく、欠けや割れを生じることなく完全な形状のセラミックス積層体を製造することができる。
【0038】
請求項9に記載のセラミックス積層体の製造装置のように、第1弾性部材の縁辺を凹陥部の壁面に設けられた間隙に挿入しておくと、第1弾性部材の凹陥部への装着を一層完全に液密にすることができる。
【0039】
【実施例】
以下にこの発明の一実施例を図面を用いて説明する。この発明は以下の実施例に限定されず。この発明の要旨の範囲内で適宜に設計変更をすることができることは言うまでもない。
【0040】
(実施例1)
図1に示すように、請求項1に記載の発明の一実施例であるセラミックス積層体の製造装置1は、基体3と、第1弾性部材4と、第2弾性部材5と、蓋体6と、固定部材であるヨーク8とを有する。
【0041】
基体3は、例えば円柱状である。もっとも、この基体3は円柱状である必要は特になく、設計上四角柱状であっても良い。
【0042】
図2および図3に示すように、基体3の下面には、方形の開口部3aを有する4個の凹陥部3bが設けられる。この開口部3aの大きさは、得ようとするセラミックス積層体の上平面の大きさにほぼ等しくなるように設定される。この基体3の内部に各凹陥部3bの天井面が形成されている。
【0043】
この各凹陥部3bの天井面には、この凹陥部3bの周面に対して液密になるように第1弾性部材4が配置される。なお、図1においては、凹陥部3bの天井面と第1弾性部材4との間に圧力流体が圧入され、これによって第1弾性部材4が凹陥部3bの天井面から下方に膨れた状態が、示されている。
【0044】
第1弾性部材4としては、弾性を有し、耐圧性を有するのであればその材質に特に制限がないのであるが、通常はゴム製である。第1弾性部材4を凹陥部3bの天井面に配置するには、たとえば、図3に示すように、凹陥部3bの天井面近傍における内周面に設けた間隙3cに第1弾性部材4の端辺部4aを緊密に装着する手法を採用しても良いし、また、図4に示すように、基体3を、方形の開口部3aを有する4個の連通孔を有する円柱状の第1基体3dと、前記第1基体3dと同じ直径を有し、前記4個の連通孔と同じ形状の方形の4個の浅い窪み3eを有する円盤状の第2基体3fとで形成し、前記第1基体3dの上面と第2基体3fの下面との間に、この第1基体3dおよび第2基体3fと同じ面積を有するたとえばゴム製の第1弾性部材4を介装させる手法を採用しても良い。
【0045】
図1に示すように、この基体3には、前記凹陥部3bの天井面に開口する第1開口部3gと基体3の外周面に開口する第2開口部3hとを連絡する第1圧力流体導排出路3iを有し、基体3の外部に設置された、たとえば圧力流体貯留槽(図示せず。)、圧力流体貯留槽から第2開口部3hへ圧力流体を導入する配管3j、およびこの配管3jの途中に設けられ、圧力流体を前記第1圧力流体導排出路3iに圧送するポンプ(図示せず。)からなる第1圧力流体供給手段(図示せず。)により、凹陥部3bの天井面と第1弾性部材4との間に圧力流体が圧入されるようになっている。この実施例においては、第1圧力流体導入機構が、前記第1圧力流体導排出路3iおよび第1圧力流体供給手段を有して構成されている。
【0046】
この基体3には、前記凹陥部3bの内周面であって前記第1弾性部材4および第2弾性部材5により被覆されていない内周面に開口する第3開口部3kと基体3の外周面に開口する第4開口部3mとを連絡する気体導排出路3nが設けられ、この気体導排出路3nには、前記第4開口部3mに接続された配管3p、その配管3pの一端に接続された気体排出ポンプ(図示せず。)および、前記配管3pの途中に設けられた気体リーク用バルブ(図示せず。)を備えた気体排気装置(図示せず。)が結合されている。この実施例では、気体導排出手段が、前記気体導排出路3nおよび気体排気装置を有して構成されている。
【0047】
第2弾性部材5は、たとえばゴムなどの弾性体により形成され、前記基体3の上面に開口する4個の凹陥部3aの開口部を全て覆うことのできる大きさを有するように形成されたシートである。
【0048】
蓋体6は、前記基体3の下面と実質的に同じ形状および面積を有する上面を有し、その上面には、基体3の下面に設けられた4個の凹陥部3bの開口部を全て覆蓋することができるに十分な面積の凹部7を有している。この凹部7には前記第2弾性部材5が、第2弾性部材5の周端面とこの凹部7の周壁とが液密になるように、装着されている。したがって、この凹部7の開口形状は前記第2弾性部材5の平面形状とは実質的に同じであるように、あるいは第2弾性部材5の平面形状が前記凹部7の開口形状よりわずかに大きくなるように、第2弾性部材5および凹部7が設計される。
【0049】
この蓋体6には、その凹部7の底部における適宜の位置に開口する第5開口部6aとこの蓋体6の外周面に開口する第6開口部6bとを連絡する第2圧力流体導排出路6cが設けられ、基体3の外部に設置された、たとえば圧力流体貯留槽(図示せず。)、圧力流体貯留槽から第6開口部6bへ圧力流体を導入する配管6d、およびこの配管6dの途中に設けられ、圧力流体を前記に第2圧力流体導排出路6cに圧送するポンプ(図示せず。)からなる第2圧力流体供給手段(図示せず。)により、蓋体6の底部と第2弾性部材5との間に圧力流体が圧入されるようになっている。この実施例では、第2圧力流体導入機構が、前記第2圧力流体導排出路6cおよび第2圧力流体供給手段を有して構成される。
【0050】
この蓋体6は、図示しない適宜の駆動手段により、基体3の開口部3aの下方の適宜位置と基体3への蓋体装着位置との間で、上下移動可能に形成されている。
【0051】
図1および図5に示すように、前記ヨーク8は、垂直に立設された一対の垂直部8bと、その垂直部8bの上部および下部で水平に架け渡すように平行に設けられた上部水平部8cおよび下部水平部8dとを有する。この上部水平部8cおよび下部水平部8dと一対の垂直部8bで形成される開口部8aは、蓋体6を装着した基体3を収容するに十分な大きさを有し、蓋体6を装着した基体3をこの開口部8a内に収容した場合に、上部水平部8cの下面が基体3の上面よりわずかに高い位置にあり、下部水平部8dの上面が蓋体6の下面に位置し、一対の垂直部8bの相互の間隔が前記基体3の直径よりも十分に大きな長さになるように設計される。なお、基体3は、適宜の手段例えばフレーム(図示せず。)などによって支持される。
【0052】
このヨーク8は、たとえばレール9上を転動する車輪10を備えるなどによって水平移動自在に構成される。そして、基体3の凹陥部3b内にセラミックス製の複数のグリーンシートを収容しているときには、基体3から蓋体6を取り外す必要から、この基体3から退避した位置に待機し、加圧成形をするときにはこのヨーク8の開口部8aに、蓋体6を装着した基体3を収容するように移動する。
【0053】
以上構成のセラミックス積層体の製造装置によるセラミックス積層体の製造について以下に説明する。
【0054】
まず、初期状態としてヨーク8は基体3から退避した位置に待機し、蓋体6が基体3の下方に位置している。
【0055】
蓋体6に装着された第2弾性部材5の上に積層物11を安置する。
【0056】
この積層物11としては、セラミックス製の薄いシートを積み重ね、必要に応じて軽く押圧することによりシート相互を接着させてなり、あるいは必要に応じて軽く焼成することによりシート相互を結着させてなり、あるいはシートの形成に使用されたバインダーによってシート相互が軽く接着されてなる積層物等を挙げることができる。
【0057】
また、このセラミックス積層体の製造方法により製造されるセラミックス積層体が、たとえば積層コンデンサに加工されるのであれば、図6に示すように、前記積層物11は、セラミックス製の一枚のグリーンシート12に複数の内部電極13を形成し、同様に複数の内部電極13を形成したグリーンシート12を相互に積層して形成されることができる。
【0058】
図6においては、積層物11として、内部電極13を三層にし、グリーンシート12を四層にした場合を示している。もっとも、このグリーンシート12の積層枚数は4枚に限らず、電極も三層に限らず、任意の枚数が適宜に選択される。
【0059】
第2弾性部材5の上面に前記積層物11を安置した後に、この蓋体3を上昇させて、積層物11を凹陥部3b内に収容する。
【0060】
凹陥部3b内に積層物11を収容した後に、ヨーク8を移動させて、ヨーク8の開口部8aに、蓋体6を装着した基体3を配置する。この配置状態では、ヨーク8における上部水平部8cの下面が基体3の上面に殆ど接する位に近接した状態にあり、またヨーク8の下部水平部8dの上面は蓋体6の下面に殆ど接する位に近接した状態にある。
【0061】
この状態で次のようにして、セラミックス製の複数枚のグリーンシート12を積み重ねた積層物11の加圧成形を行う。
【0062】
加圧成形の方法として以下の二方法を挙げることができる。
【0063】
まず、第1の方法は、本願請求項10に記載の方法に従う。すなわち、気体導排出手段により、凹陥部3b内の気体を排気する。気体の排出を行いつつ、あるいは気体の排出により凹陥部3b内を高度の減圧度にしてから、第1圧力流体供給手段におけるポンプを駆動して圧力流体貯留槽から配管および第1圧力流体導排出路3iを介して凹陥部3bの天井面と第1弾性部材4との間に圧力流体P を圧入し、かつ第2圧力流体供給手段におけるポンプを駆動して圧力流体貯留槽から配管および第2圧力流体導排出路6cを介して蓋体6の下面と第2弾性部材5との間に圧力流体P を圧入する。第2弾性部材5と蓋体6の底部との間に圧入された圧力流体P によって、蓋体6を下方に向かって押し下げようとし、かつ第2弾性部材5を凹陥部3b内の上方に押し上げようとする圧力が発生する。ところが、蓋体6の下面にはヨーク8の下部水平部8dが位置しているので蓋体6の下方への移動が阻止されてしまい、結局、第2弾性部材5と蓋体6の底部との間に圧入された加圧流体P によって、第2弾性部材5を介して積層物11を上方に押圧する大きな加圧力が発生する。一方、基体3の凹陥部3bと第1弾性部材4との間に圧入された加圧流体P によって、基体3を押し押し上げると共に第1弾性部材4を押し下げる圧力が発生する。ところが、基体3はもともと固定されている上に、基体3の上面にはヨーク8の上方水平部8cが基体3の上方移動を阻止しているので、圧力流体P の圧入によって、第1弾性部材4を介して積層物11を下方に圧縮する大きな圧力が発生する。
【0064】
凹陥部3b内に収容された積層物11に対して第1弾性部材4による下方に向かう大きな圧力と第2弾性部材5による上方に向かう大きな圧縮力とにより、積層物11は加圧され、各セラミックス製のグリーンシート12は相互に固着して一体化し、セラミックス積層体が形成される。
【0065】
第1弾性部材4および第2弾性部材5を介して積層物11の加圧を所定時間継続するのが好ましい。この加圧においては、圧力流体を使用しているので、第1弾性部材4および第2弾性部材5を介してグリーンシート12の全面に均一に圧力が印加される。したがって、積み重ねられたグリーンシート12に圧力が不均一に印加されることによる成形不良がない。
【0066】
所定時間の加圧の後に、配管3pおよび配管6dそれぞれに設けられた圧力リーク弁(図示せず。)を解放することにより、第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に充填されている圧力流体P と第2弾性部材5と凹部7との間に圧入されている圧力流体P を排出する。圧力流体P 、P を排出することにより第1弾性部材4および第2弾性部材5を介した加圧力が低下する。
【0067】
前記加圧力が小さくなり、あるいは加圧力が消失することにより、基体3の上面を規制していたヨーク8の上部水平部8cと基体3の上面とにクリアランスを生じ、また、蓋体6の下面を規制していたヨーク8の下部水平部8dと蓋体6の下面とにクリアランスを生じる。そこで、ヨーク8を元の退避位置に水平移動させる。
【0068】
蓋体6を下降させて、基体3の下面から蓋体6および第2弾性部材5を分離する。次いで、第1圧力流体供給手段におけるポンプを更に駆動して第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に再び圧力流体を圧入することにより、第1弾性部材4を介してセラミックス積層体に圧力を印加する。この圧力の印加によりセラミックス積層体が凹陥部3bから下方に押し出される。押し出されたセラミックス積層体を抜き取ることにより、凹陥部3bからのセラミックス積層体の取り出しを完了する。
【0069】
なお、上記の説明では、セラミックス積層体の取り出し方法として、蓋体6および第2弾性部材5を基体3の下面から分離し、凹陥部3b内に取り残されているセラミックス積層体を、第1弾性部材4を介して圧力を印加することにより、凹陥部3b内からセラミックス積層体を取り出す手順を採用しているが、以下の手順によりセラミックス積層体を取り出すようにしても良い。
【0070】
すなわち、蓋体6の下降動作と連動して、第1圧力流体供給手段におけるポンプを更に駆動して第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に再び圧力流体を圧入することにより、第1弾性部材4を介してセラミックス積層体に圧力を印加する。そうすると、蓋体6の下降と共に基体3の凹陥部3bからセラミックス積層体が押し出されるので、第2弾性部材5の上にセラミックス積層体を載置した状態で蓋体6が基体3から分離される。このような手順で蓋体6を基体3から分離すると、分離された蓋体6の第2弾性部材5上にセラミックス積層体が載置されているから、セラミックス積層体を直ちに取り出し、次の新しい積層物を第2弾性部材5上に安置することができる。つまり、作業を迅速に行うことができるようになるという訳である。
【0071】
加圧成形の第2の方法は、本願請求項11に記載の方法に従う。
【0072】
この第2の方法は、簡単に言うと、積層体の加圧成形に必要な加圧力は、第2弾性部材5を介して伝達し、加圧成形の終了後に凹陥部3bよりセラミックス積層体を取り出すときには第1弾性部材4を介して伝達される圧力を利用する、ということを内容とする。すなわち、気体導排出手段により、凹陥部3b内の気体を排気する。気体の排出を行いつつ、あるいは気体の排出により凹陥部3b内を高度の減圧度にしてから、第2圧力流体供給手段におけるポンプを駆動して圧力流体貯留槽から配管6dおよび第2圧力流体導排出路6cを介して蓋体6における凹部7の底面と第2弾性部材5との間に圧力流体P を圧入する。蓋体6の前記底面と第2弾性部材5との間に圧入された加圧流体P によって、蓋体6を押し下げると共に第2弾性部材5を押し上げる圧力が発生する。ところが、蓋体6の下面にはヨーク8の下方水平部8dが蓋体6の下方移動を阻止しているので、圧力流体の圧入によって、第2弾性部材5を介して積層物11を上方に圧縮する大きな圧力が発生する。
【0073】
凹陥部3b内に装入された積層物11に対して第2弾性部材5による上方に向かう大きな圧縮力により、積層物11は加圧され、各セラミックス製のグリーンシート12は相互に固着して一体化し、セラミックス積層体が形成される。
【0074】
第2弾性部材5を介して積層物11の加圧を所定時間継続するのが好ましい。この加圧においては、圧力流体を使用しているので、第2弾性部材5を介してグリーンシート12の全面に均一に圧力が印加される。したがって、積み重ねられたグリーンシート12に圧力が不均一に印加されることによる成形不良がない。また、第1弾性部材4を介して圧縮力を受けるセラミックス製の積層物11は凹陥部3bの天井面に対して第1弾性部材4を介して押しつけられるので、第1弾性部材4が緩衝部材の作用を示す。
【0075】
所定時間の加圧の後に、第2圧力流体供給手段におけるポンプを駆動することにより第2弾性部材5と蓋体6の下面との間に圧入されている圧力流体P を排出する。圧力流体P を排出することにより第2弾性部材5を介した加圧力が低下する。
【0076】
前記加圧力が小さくなり、あるいは加圧力が消失することにより、蓋体6の下面を規制していたヨーク8の下部水平部8dと蓋体6の下面とにクリアランスを生じる。そこで、ヨーク8を元の退避位置に水平移動させる。
【0077】
蓋体6を第2弾性部材5と共に下方に移動させて、基体3から基体6を分離する。分離した状態では、凹陥部3bの内部にセラミックス積層体が収容されたままとなっている。
【0078】
そこで、第1圧力流体供給手段におけるポンプを駆動して第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に更に圧力流体P を圧入することにより、第1弾性部材4を介してセラミックス積層体に圧力を印加する。この圧力の印加によりセラミックス積層体が凹陥部3bから押し出される。押し出されたセラミックス積層体を抜き取ることにより、凹陥部3bからのセラミックス積層体の取り出しを完了する。
【0079】
なお、この第2の方法においても、前記第1の方法において説明したように、蓋体6の下方移動と共に圧力流体P の圧入によりセラミックス積層体を凹陥部3bから押し出すようにすることによって、蓋体6における第2弾性部材5上にセラミックス積層体を載置した状態で蓋体6を基体3から分離するようにしても良い。
【0080】
(実施例2)
次に、セラミックス積層体の製造装置の他の一例について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面において、本願請求項1に記載のセラミックス積層体の製造装置の一例におけるのと同様の部材については図1〜6において示された番号を用いる。この実施例装置は本願請求項2に記載の構成を有する発明に係る。
【0081】
図7に示すように、請求項2に記載の発明の一実施例であるセラミックス積層体の製造装置30は、基体3と、第1弾性部材4と、蓋体31と、固定部材であるヨーク8とを有する。
【0082】
基体3、第1弾性部材4、およびヨーク8については、前記実施例1において説明したのと実質的に同様である。
【0083】
蓋体31は、前記基体3の下面と実質的に同じ形状および面積の上面を有する円柱体である。
【0084】
この蓋体31はその下面に、前記実施例におけるような凹部(図1において7で示されている。)が設けられてはいない。
【0085】
この蓋体31には、図1に示されるような、その凹部7の底面において開口する第5開口部6aとこの蓋体31の外周面に開口する第6開口部6bとを連絡する第2圧力流体導排出路6cが設けられていない。したがって、このセラミックス積層体の製造装置30においては、図1に示されるような、基体30の外部に設置された、たとえば圧力流体貯留槽、圧力流体貯留槽から第6開口部6bへ圧力流体を導入する配管6d、およびこの配管6dの途中に設けられ、圧力流体を前記第2圧力流体導排出路6cに圧送するポンプからなる第2圧力流体供給手段を有していない。結局、このセラミックス積層体の製造装置は、第2圧力流体導入機構を備えていない。
【0086】
以上構成のセラミックス積層体の製造装置30によるセラミックス積層体の製造について以下に説明する。
【0087】
まず、初期状態としてヨーク8は基体3および蓋体6から退避した位置に待機し、蓋体31は基体3の下面から分離して基体3の下方位置にて待機している。
【0088】
蓋体31の上面であって、前記基体3の下面に開口する開口部に対応する位置に、セラミックス製の複数枚のグリーンシートからなる積層物11を、安置する。
【0089】
蓋体31を上方に移動させて蓋体31の上面を基体3の下面に装着する。これによって蓋体31の上面に安置されていた積層物11が凹陥部3b内に収容される。
【0090】
なお、この実施例においては、基体3を固定しておいて蓋体31を上下動可能にしているが、蓋体31を固定しておいて基体3を上下動可能にしても良いし、また、蓋体31と基体3とを共に上下動可能にしても良い。要するに、蓋体31と基体3とを分離した状態で、蓋体31の上面に積層物11を安置し、その後に蓋体31上の積層物11を凹陥部3b内に収容することができるようになっている限り、蓋体31および基体3の移動はどのようであっても良く、操作の簡便性、利便性あるいは工業的操作性等の各種の要素を考慮して適宜に決定すれば良いのである。
【0091】
凹陥部3b内に積層物11を収容した後にヨーク8を移動させて、ヨーク8の開口部8aに、蓋体31を装着した基体3を配置する。この配置状態では、ヨーク8における上部水平部8cの下面が基体3の上面に殆ど接する位に近接した状態にあり、またヨーク8の下部水平部8dの上面は蓋体31の下面に殆ど接する位に近接した状態にある。
【0092】
この状態で次のようにして、たとえば図6に示すような、セラミックス製の複数枚のグリーンシート12を積み重ねた積層物11の加圧成形を行う。
【0093】
すなわち、気体排気手段により、凹陥部3b内の気体を排出する。気体の排出を行いつつ、あるいは気体の排出を行って凹陥部3b内を高度の減圧度にしてから、第1圧力流体供給手段におけるポンプを駆動して圧力流体貯留槽から配管および第1圧力流体導排出路3iを介して凹陥部3bの天井と第1弾性部材4との間に圧力流体を圧入する。第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に圧入された圧力流体によって、基体3を上方に向かって押し上げようとし、かつ第1弾性部材4を凹陥部3b内の下方に押し下げようとする圧力が発生する。ところが、基体3の上面にはヨーク8の上部水平部8cが位置しているので基体3の上方への移動が阻止されてしまい、結局、第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に圧入された加圧流体P によって、第1弾性部材4を介して積層物11を下方に押圧する大きな加圧力が発生する。
【0094】
この大きな加圧力は、積層物11を介して蓋体31に印加され、蓋体31を筒状体7の下方開口部から押し下げるように蓋体31に作用する。ところが、蓋体31の下面にはヨーク8の下方水平部8dが蓋体31の下方移動を阻止しているので、積層物11には第1弾性部材4と蓋体11とにより高圧の圧縮力を受けることになる。圧縮力を受けた積層物11においては、各セラミックス製のグリーンシート12が相互に固着して一体化し、セラミックス積層体が形成される。
【0095】
第1弾性部材4を介して積層物11の加圧を所定時間継続するのが好ましい。この加圧においては、圧力流体P を使用しているので、第1弾性部材4を介してグリーンシート12の全面に均一に圧力が印加される。したがって、積み重ねられたグリーンシート12に圧力が不均一に印加されることによる成形不良がない。
【0096】
所定時間の加圧の後に、配管3pの適宜の箇所に設けられた圧力リーク弁(図示せず。)を解放することにより、第1弾性部材5と蓋体31の下面との間に圧入されている圧力流体P を排出する。圧力流体P を排出することにより第1弾性部材5を介した加圧力が低下する。
【0097】
前記加圧力が小さくなり、あるいは加圧力が消失することにより、蓋体31の上面を規制していたヨーク8の上部水平部8cと基体3の上面とにクリアランスを生じ、また下部水平部8dと蓋体31の下面とにクリアランスを生じる。そこで、ヨーク8を元の退避位置に水平移動させる。
【0098】
基体3の下面から蓋体31を下方に移動してこれを取り除く。蓋体31を基体3から分離した状態においては、凹陥部3b内にセラミックス積層体が収容されたままとなっていることがある。
【0099】
そのような場合には、第1圧力流体供給手段におけるポンプを更に駆動して第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に再び圧力流体P を圧入することにより、第1弾性部材4を介してセラミックス積層体に圧力を印加する。この圧力の印加によりセラミックス積層体が凹陥部3bから押し出される。押し出されたセラミックス積層体を抜き取ることにより、凹陥部3bからのセラミックス積層体の取り出しを完了する。
【0100】
なお、この実施例においては、基体3から蓋体31を分離し、その後に基体3の凹陥部3b内に収容されているセラミックス積層体を圧力流体P の圧入により押し出すようにしているが、基体3から蓋体31を分離するのと同時にあるいは連動して圧力媒体P の圧入によりセラミックス積層体を凹陥部3bから押し出し、基体3から蓋体31を分離し終わったときには、蓋体31の上面にセラミックス積層体が載置されている状態であるようにしても良い。そうすれば、基体3から蓋体31を分離し終わった時点で直ちにセラミックス積層体を取り出し、次の積層物を蓋体31の上面に安置することができ、操作性、製造効率等が格段に向上する。
【0101】
この実施例においては、蓋体31の上面に、凹陥部3b内に収容されるべき積層物11が直接に接触する態様になっているが、本願請求項2に記載されたように、また、図8に示されるように、前記蓋体31の凹陥部3bに臨む面に離型性部材3aを介装させるのが好ましい。
【0102】
離型性部材としては、セラミックス製のグリーンシートに対して離型性を有する部材たとえばテフロンで、凹陥部3bの開口部と実質的に同じ直径を有する円盤状に形成することができる。もっとも、この離型性部材の形状は、凹陥部3bの開口部と実質的に同じ直径を有する円盤状にする必然性はなく、要するに、圧力流体で積層物11を加圧しているときに積層物11の上面と蓋体31の下面とを離隔することのできる形状に設計されていればよいのである。
【0103】
凹陥部3bの開口部にこの離型性部材3aを装着し、蓋体31の下面に積層物11の上面が直接に接触しないようにしておくことにより、積層物11を加圧成形した後に、蓋体31とセラミックス積層体の下面とが固着するのを防止することができる。
【0104】
(実施例3)
次に、セラミックス積層体の製造装置の他の一例について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面において、本願請求項1に記載のセラミックス積層体の製造装置の一例におけるのと同様の部材については図1〜6において示された番号を用いる。なお、この実施例装置は本願請求項4に記載の構成を有する発明に係る。
【0105】
図9に示すように、この発明の一実施例であるセラミックス積層体の製造装置40は、基体3と、第1弾性部材4と、蓋体41と、固定部材であるヨーク8とを有する。
【0106】
基体3、第1弾性部材4、およびヨーク8については、前記実施例1において説明したのと実質的に同様である。
【0107】
蓋体41は、前記基体3の下面と実質的に同じ形状および面積の上面を有する円柱体である。この円柱体である蓋体41の上面には、この蓋体41を基体3の下面に装着したときに基体3における4個の凹陥部3bの開口部を覆蓋するに十分な大きさの開口面積を有する凹部42が、形成される。この凹部42内には、流体Fを収容し、耐圧性の部材で形成された袋状物43が収容される。この実施例においては、流体を封入したこの袋状物43が、圧力流体層を形成する。
【0108】
もっとも、この実施例においては、圧力流体層として前記袋状物43が用いられているのであるが、この圧力流体層は、積層物11を加圧する際のクッションとして作用することのできる構造であればよいのであって、その構造に特別の制限があるわけではなく、例えば、蓋体41の下面に設けられた凹部42の開口部に液密に張設された弾性シートとこの弾性シートで凹部42内に封じられた流体とで形成することもできる。
【0109】
この蓋体41には、図1に示されるような、その下面に開口する第5開口部6aとこの蓋体41の外周面に開口する第6開口部6bとを連絡する第2圧力流体導排出路6cが設けられていない。したがって、このセラミックス積層体の製造装置30においては、図1に示されるような、基体30の外部に設置された、たとえば圧力流体貯留槽、圧力流体貯留槽から第6開口部6bへ圧力流体を導入する配管6d、およびこの配管6dの途中に設けられ、圧力流体を前記第2圧力流体導排出路6cに圧送するポンプからなる第2圧力流体供給手段を有していない。結局、このセラミックス積層体の製造装置40は、第2圧力流体導入機構を備えていない。
【0110】
以上構成のセラミックス積層体の製造装置40によるセラミックス積層体の製造について以下に説明する。
【0111】
まず、初期状態としてヨーク8は基体3から退避した位置に待機し、蓋体41が基体3の下方位置にて待機している。
【0112】
蓋体41の凹部42に設けられた袋状物43の上面であって、前記基体3の下面に開口する開口部に対応する位置に、セラミックス製の複数枚のグリーンシートからなる積層物11を、安置する。なお、袋状物43の上に直接に積層物11を安置すると、袋状物43の材質によって、積層物11が袋状物43にめり込むことがあったりしてその載置状態が不安定であると器具されるときには、袋状物43に支持部材を重ねて配置するのが好ましい。
【0113】
蓋体41を上方に移動させて蓋体41の上面を基体3の下面に装着する。これによって蓋体41の上面に安置されていた積層物11が凹陥部3b内に収容される。
【0114】
なお、この実施例においては、基体3を固定しておいて蓋体41を上下動可能にしているが、蓋体41を固定しておいて基体3を上下動可能にしても良いし、また、蓋体41と基体3とを共に上下動可能にしても良い。要するに、蓋体41と基体3とを分離した状態で、蓋体41の上面に積層物11を安置し、その後に蓋体41上の積層物11を凹陥部3b内に収容することができるようになっている限り、蓋体41および基体3の移動運動はどのようであっても良く、操作の簡便性、利便性あるいは工業的操作性等の各種の要素を考慮して適宜に決定すれば良いのである。
【0115】
凹陥部3b内に積層物11を収容した後に、ヨーク8を移動させて、ヨーク8の開口部8aに、蓋体41を装着した基体3を配置する。この配置状態では、ヨーク8における上部水平部8cの下面が基体3の上面に殆ど接する位に近接した状態にあり、またヨーク8の下部水平部8dの上面は蓋体41の下面に殆ど接する位に近接した状態にある。
【0116】
この状態で次のようにして、たとえば図6に示すような、セラミックス製の複数枚のグリーンシート12を積み重ねた積層物11の加圧成形を行う。
【0117】
すなわち、気体排気手段により、凹陥部3b内の気体を排出する。気体の排出を行いつつ、あるいは気体の排出を行って凹陥部3b内を高度の減圧度にしてから、第1圧力流体供給手段におけるポンプを駆動して圧力流体貯留槽から配管および第1圧力流体導排出路3iを介して凹陥部3bの天井面と第1弾性部材4との間に圧力流体P を圧入する。第1弾性部材4と凹陥部3bの底面との間に圧入された圧力流体P によって、基体3を上方に向かって押し上げようとし、かつ第1弾性部材4を凹陥部3b内の下方に押し下げようとする圧力が発生する。ところが、基体3の上面にはヨーク8の上部水平部8cが位置しているので基体3の上方への移動が阻止されてしまい、結局、第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に圧入された加圧流体によって、第1弾性部材4を介して積層物11を下方に押圧する大きな加圧力が発生する。
【0118】
この大きな加圧力は、積層物11を介して蓋体41に印加され、蓋体41が基体3の下面から分離するように蓋体41に作用する。ところが、蓋体41の下面にはヨーク8の下方水平部8dが蓋体41の下方移動を阻止しているので、積層物11には第1弾性部材4と蓋体41とにより高圧の圧縮力を受けることになる。圧縮力を受けた積層物11においては、各セラミックス製のグリーンシート12が相互に固着して一体化し、セラミックス積層体が形成される。
【0119】
この加圧成形においては、圧力流体層としての袋状物43を設けているので、この袋状物43から第1弾性部材4に向かうベクトル方向での反力が生じ、この反力によって複数枚のグリーンシートには、互いに向き合う方向の加圧力が作用し、グリーンシート相互の固着が達成されてセラミックス積層体が形成される。
【0120】
第1弾性部材4を介して積層物11の加圧を所定時間継続するのが好ましい。この加圧においては、圧力流体を使用しているので、第1弾性部材4を介してグリーンシート12の全面に均一に圧力が印加される。したがって、積み重ねられたグリーンシート12に圧力が不均一に印加されることによる成形不良がない。
【0121】
所定時間の加圧の後に、配管3pの途中に適宜に設けられた圧力リーク弁(図示せず。)を解放することにより第1弾性部材4と基体3の天井面との間に圧入されている圧力流体を排出する。圧力流体を排出することにより第1弾性部材4を介した加圧力が低下する。
【0122】
前記加圧力が小さくなり、あるいは加圧力が消失することにより、蓋体41の下面を規制していたヨーク8の下部水平部8dと蓋体41の上面とにクリアランスを生じ、また基体3の上面を規制していたヨーク8の上部水平部8cと基体3の上面とにクリアランスを生じる。そこで、ヨーク8を元の退避位置に水平移動させる。
【0123】
基体3の下面から蓋体41を下方に移動させて蓋体41を基体3から分離する。蓋体41を分離した状態においては、凹陥部3bの内部にセラミックス積層体が収容されたままとなっていることがある。
【0124】
そのような場合、第1圧力流体供給手段におけるポンプを更に駆動して第1弾性部材4と凹陥部3bの天井面との間に再び圧力流体を圧入することにより、第1弾性部材4を介してセラミックス積層体に圧力を印加する。この圧力の印加によりセラミックス積層体が凹陥部3bから押し出される。押し出されたセラミックス積層体を抜き取ることにより、凹陥部3bからのセラミックス積層体の取り出しを完了する。
【0125】
なお、この実施例においては、基体3から蓋体41を分離し、その後に基体3の凹陥部3b内に収容されているセラミックス積層体を圧力流体P の圧入により押し出すようにしているが、基体3から蓋体41を分離するのと同時にあるいは連動して圧力媒体P の圧入によりセラミックス積層体を凹陥部3bから押し出し、基体3から蓋体41を分離し終わったときには、蓋体41の上面にセラミックス積層体が載置されている状態であるようにしても良い。そうすれば、基体3から蓋体41を分離し終わった時点で直ちにセラミックス積層体を取り出し、次の積層物を蓋体41の上面に安置することができ、操作性、製造効率等が格段に向上する。
【0126】
(変形例)
上記実施例はこの発明の要旨の範囲内で様々の設計変更を行うことができる。
【0127】
(1) 前記請求項5に記載の発明のように、図10に示されるように、前記実施例1〜3において、第1弾性部材4の下面に第1硬質板材50を重ねて配置するのが好ましい。第1弾性部材4と凹陥部3bの底面との間に圧力流体を圧入してセラミックス製の積層物11を加圧成形する場合に、第1弾性部材4の下面に直接に前記積層物11が載置されているときには、第1弾性部材4の表面が波打っていたりすると、第1弾性部材4を介して伝達される加圧力によって積層物11の下面も波打った状態に押圧され、変形したセラミックス積層体の形成されることがあるところ、第1弾性部材4の下面に第1硬質板材50を配置することにより、たとえば第1弾性部材4の下面が波打った状態に変形していても、セラミックス製の積層物11の上面には平らな状態で加圧成形され、変形のないセラミックス積層体が製造される。
【0128】
この第1硬質板材は、凹陥部の天井面と同じ形状を有し、通常、耐圧性の部材で形成されている。
【0129】
(2) 前記請求項6に記載の発明のように、図10に示されるように、前記実施例1〜3において、第2弾性部材5の上面に、第2硬質板材51を重ねて配置するのが好ましい。セラミックス製の積層物11を加圧成形する場合に、第2弾性部材5の上面に直接に前記積層物11の下面が接触しているときには、第2弾性部材5の上面が波打っていたりすると、圧力媒体の圧入による加圧力によって積層物11の下面も波打った状態に押圧され、変形したセラミックス積層体の形成されることがあるところ、第2弾性部材5の上面に第2硬質板材51を配置することにより、たとえば第2弾性部材5の下面が波打った状態に変形していても、セラミックス製の積層物11の下面には平らな状態で加圧成形され、変形のないセラミックス積層体が製造される。
【0130】
この第2硬質板材51は、凹陥部の開口部と同じ形状を有し、通常、耐圧性の部材で形成されている。
【0131】
(3) 前記実施例1〜3におけるセラミックス積層体の製造装置においては、基体に凹陥部が2基設けられたように図示されているが、基体に設ける凹陥部の数には特に限定がなく、この発明の目的を阻害しない範囲で任意の数の凹陥部を設けることができる。
【0132】
また、凹陥部の形状は水平断面形状が方形であるに限られず、水平断面形状が円形であるような凹陥部の形状を選択することができる。凹陥部の水平断面形状は、この凹陥部内にセラミックス積層物を収容することのできる十分な大きさを有する限り、どのような形状であっても良いのである。
【0133】
(4) 請求項8に記載の発明のように、図11に示されるように、基体3に設けられた凹陥部3bの開口部縁辺に傾斜面60を設けるのも良い。
【0134】
凹陥部3bの開口部縁辺に傾斜面60を設けておくと、成形されたセラミックス積層体を開口部縁辺により損傷を与えることなく取り出すことができるので、製品の歩留を更に向上させることができる。
【0135】
(5) 前記実施例においては固定部材がヨークであったが、この発明においては、この固定部材は、圧力流体を所定の部位に圧入することにより発生する圧力により、蓋体が基体から外れないように、蓋体の下方移動を阻止することができるようになっている限りその構造に特に制限がない。固定部材として前記ヨークの代わりに、基体と蓋体とを固定的に結合する適宜の手段であっても良い。また、固定部材が、基体とこの基体を収容する筒状体とを固定するたとえばピン、あるいはボルトと、筒状体と基体上の蓋体とを固定するたとえばピン、あるいはボルトとの組み合わせであっても良い。
【0136】
【発明の効果】
(1) 請求項1、2および4に記載の発明によると、層剥れを生じることなく、しかも歩留り良くセラミックス積層体を製造することのできるセラミックス積層体の製造装置を提供することができる。
(2) 請求項3に記載の発明によると、加圧成形によってセラミックス積層体の下面が蓋体の上面に固着し、固着したセラミックス積層体を蓋体の上面から引き剥す際にワレや欠けが発生するという不都合を解消することができ、セラミックス積層体を一層歩留良く製造することができる。
【0137】
(3) 請求項5に記載の発明によると、セラミックス積層体の上面に第1弾性部材の上面形状を写し取らず、第1弾性部材による変形を生じることのないセラミックス積層体を製造することができる。これによって、製品の歩留を向上させることができる。
【0138】
(4) 請求項6に記載の発明によると、セラミックス積層体の下面に第2弾性部材の上面形状を写し取らず、第2弾性部材による変形を生じることのないセラミックス積層体を製造することができる。これによって、製品の歩留を向上させることができる。
【0139】
(5) 請求項7に記載の発明によると、複数個の凹陥部を設けた基体を使用するので、一回の加圧成形操作によって複数のセラミックス積層体を一度に製造することができる。これによって、製品の歩留を向上させることができる。
【0140】
(6) 請求項8に記載の発明によると、凹陥部の開口部縁辺に傾斜面を設けているので、成形後にセラミックス積層体を凹陥部から取り出す際に、凹陥部の開口部縁辺による傷がつかず、したがって、無傷のセラミックス積層体を製造することができる。これによって、製品の歩留を向上させることができる。
【0141】
(7) 請求項9に記載の発明によると、第1弾性部材の縁辺が凹陥部の壁面に設けられた間隙に挿入されているので、第1弾性部材が確実に液密に装着されることになり、第1弾性部材と凹陥部の天井面とに圧入される圧力流体のリークがなく効率的にセラミックス製のグリーンシートの加圧成形を行うことができる。これによって、セラミックス成形体の製造効率を高めることができる。
【0142】
(8) 請求項10および11に記載の製造方法によると、層剥れを生じることなく、成形されたセラミックス積層体を凹陥部から容易に取り出すことができ、しかも歩留り良くセラミックス積層体を製造することのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の一例における基体の下面を示す概略平面図である。
【図3】図3はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の一例における基体の一部の断面を示す概略断面図である。
【図4】図4はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の一例における基体の変形例を示す概略断面図である。
【図5】図5はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の一例を示す概略側面図である。
【図6】図6はセラミックス製のグリーンシートを積み重ねてなる積層物の概略断面図である。
【図7】図7はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の他の例を示す概略断面図である。
【図8】図8はこの発明のセラミッス積層体の製造装置の他の例であって、離型性部材を凹陥部に装着した状態を示す概略断面図である。
【図9】図9はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の他の例であって、圧力流体層を有する装置を示す概略断面図である。
【図10】図10はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の他の例を示す部分概略断面図である。
【図11】図11はこの発明のセラミックス積層体の製造装置の他の例を示す部分概略断面図である。
【符号の説明】
1、30、40・・・セラミックス積層体の製造装置、3・・・基体、3a・・・開口部、3b・・・凹陥部、3c・・・間隙、4a・・・端辺部、3d・・・第1基体、3e・・・窪み、3f・・・第2基体、3g・・・第1開口部、3h・・・第2開口部、3i・・・第1圧力流体導排出路、3j・・・配管、3k・・・第3開口部、3m・・・第4開口部、3n・・・気体導排出路、3p・・・配管、4・・・第1弾性部材、5・・・第2弾性部材、6、31、41・・・蓋体、6a・・・第5開口部、6b・・・第6開口部、6c・・・第2圧力流体導排出路、6d・・・配管、7・・・凹部、8・・・ヨーク、8a・・・開口部、8b・・・垂直部、8c・・・上部水平部、8d・・・下部水平部、9・・・レール、10・・・車輪、8a・・・開口部、11・・・積層物、12・・・グリーンシート、50・・・第1硬質部材。

Claims (9)

  1. セラミックス製の複数のグリーンシートを収容することのできる凹陥部を形成してなる基体と、前記凹陥部の天井面に配置され、その天井面を液密に覆蓋し、前記グリーンシートを加圧成形して得られるセラミックス積層体を押し出し可能とする第1弾性部材と、前記凹陥部の下部開口部を液密に覆蓋する第2弾性部材と、前記第2弾性部材を介して前記凹陥部の前記下部開口部を閉鎖する蓋体と、前記基体に設けられ、前記凹陥部の天井面と第1弾性部材との間に圧力流体を導入する第1圧力流体導入機構と、前記第2弾性部材に圧力を印加する圧力流体を導入する第2圧力流体導入機構と、グリーンシートの加圧成形時に前記蓋体および基体を固定する固定部材と、前記凹陥部内の第1弾性部材と第2弾性部材とに挟まれた空間内の気体を排出する気体導排出手段とを有することを特徴とするセラミックス積層体の製造装置。
  2. セラミックス製の複数のグリーンシートを収容することのできる凹陥部を形成してなる基体と、前記凹陥部の天井面に配置され、その天井面を液密に覆蓋し、前記グリーンシートを加圧成形して得られるセラミックス積層体を押し出し可能とする第1弾性部材と、前記凹陥部の下部開口部を液密に覆蓋する第2弾性部材と、前記基体に設けられ、前記凹陥部の天井面と前記第1弾性部材との間に圧力流体を導入する第1圧力流体導入機構と、前記第2弾性部材を介して前記凹陥部の下部開口部を覆蓋する蓋体と、前記第2弾性部材と蓋体との間に封入された圧力流体層と、グリーンシートの加圧成形時に前記蓋体および基体を固定する固定部材と、前記凹陥部内の第1弾性部材と第2弾性部材とに挟まれた空間内の気体を排出する気体導排出手段とを有することを特徴とするセラミックス積層体の製造装置。
  3. 前記第弾性部材に第1硬質板材が重ねて配置されてなる前記請求項1又は2に記載のセラミックス積層体の製造装置。
  4. 前記第2弾性部材に第2硬質板材が重ねて配置されてなる前記請求項に記載のセラミックス積層体の製造装置。
  5. 前記凹陥部が複数個設けられてなる前記請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックス積層体の製造装置。
  6. 前記凹陥部の下部開口部縁辺に傾斜部が設けられてなる前記請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックス積層体の製造装置。
  7. 前記第1弾性部材の縁辺が凹陥部の壁面に設けられた間隙に装入されてなる前記請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックス積層体の製造装置。
  8. 前記請求項1に記載のセラミックス積層体の製造装置を使用し、凹陥部内で前記第2弾性部材上にセラミックス製の複数のグリーンシートを積み重ねた状態に配置し、第1圧力流体導入機構により凹陥部の天井面と第1弾性部材との間に圧力流体を圧入し、かつ、第2圧力流体導入機構により圧力流体を圧入することにより、第1弾性部材および第2弾性部材を介して複数のグリーンシートを加圧成形し、加圧成形後に、第2圧力流体導入機構による加圧力を除き、セラミックス積層体を第1圧力流体導入機構による加圧力により凹陥部から取り出すことを特徴とするセラミックス積層体の製造方法。
  9. 前記請求項1に記載のセラミックス積層体の製造装置を使用し、凹陥部内で前記第2弾性部材上にセラミックス製の複数のグリーンシートを積み重ねた状態に配置し、第2圧力流体導入機構により第2弾性部材を加圧することによりセラミックス製の複数のグリーンシートを加圧成形し、第2圧力流体導入機構による加圧を停止してから、第1圧力流体導入機構により第1弾性部材と凹陥部の天井面との間に圧力流体を導入することにより、凹陥部からセラミックス積層体を取り出すことを特徴とするセラミックス積層体の製造方法。
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