JP3607962B2 - 空燃比センサの劣化判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(エンジン)において、吸入空気量に応じて適量の燃料を供給することにより、空気と燃料との混合比(空燃比:A/F)を所望の値に制御する空燃比制御装置に用いられる空燃比センサの劣化判定装置に関する。より詳細には、本発明は、空燃比フィードバック制御を行うために排気浄化触媒の上流側に設けられ、空燃比をリニアに検出可能な空燃比センサ(A/Fセンサ)の劣化を判定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用エンジンにおいては、排気ガス浄化対策として、排気ガス中の未燃成分(HC,CO)の酸化と窒素酸化物(NOX)の還元とを同時に促進する三元触媒が利用されている。そのような三元触媒による酸化・還元能力を高めるためには、エンジンの燃焼状態を示す空燃比(A/F)を理論空燃比近傍(ウィンドウ)に制御する必要がある。そのため、エンジンにおける燃料噴射制御においては、排気ガス中の残留酸素濃度に基づき空燃比が理論空燃比よりもリッチかリーンかを感知するO2センサ(酸素濃度センサ)(図1参照)を設け、そのセンサ出力に基づいて燃料量を補正する空燃比フィードバック制御が行われている。
【0003】
一方、近年においては、三元触媒が常に一定の安定した浄化性能を発揮しうるように空燃比を制御する内燃機関も開発されている。三元触媒は、通過する排気ガスの空燃比がリーン状態にあるときに排気ガス中の酸素を吸着し、通過する排気ガスの空然比がリッチ状態にあるときに吸着した酸素を放出するO2ストレージ作用を行うが、このような三元触媒のO2ストレージ能力は有限なものである。従って、O2ストレージ能力を効果的に利用するためには、排気ガスの空然比が次にリッチ状態またはリーン状態のいずれとなってもよいように、触媒中に貯蔵されている酸素の量を所定量(例えば、最大酸素貯蔵量の半分)に維持することが肝要であり、そのように維持されていれば、常に一定のO2吸着・放出作用が可能となり、結果として触媒による一定の酸化・還元能力が常に得られる。
【0004】
このように触媒の浄化性能を維持すべくO2ストレージ量を一定に制御する内燃機関においては、理論空然比を含む広範囲の空燃比をリニアに検出可能な空燃比センサ(A/Fセンサ)(図2参照)が用いられ、比例及び積分動作(PI動作)によるフィードバック制御(F/B制御)が行われる。すなわち、
次回燃料噴射補正量=KP*(今回の燃料差)+KS*Σ(これまでの燃料差)
ただし、燃料差=(実際に筒内で燃焼せしめられた燃料量)
−(吸入空気をストイキとする目標筒内燃料量)
実際に燃焼せしめられた燃料量=空気量検出値/空燃比検出値
KP=比例項ゲイン
KS=積分項ゲイン
なる演算により、フィードバック制御による燃料噴射補正量が算出される。
【0005】
上記した燃料噴射補正量の演算式からわかるように、その比例項は、O2センサによるフィードバック制御と同様に、空燃比をストイキ(理論空然比)に維持すべく作用する成分であり、積分項は、定常偏差(オフセット)を消去するように作用する成分である。すなわち、この積分項の作用により、触媒におけるO2ストレージ量が一定に維持される結果となる。例えば、急加速等でリーンガスが発生した場合には、かかる積分項の作用により、リッチガスが発生せしめられ、リーンガス発生の効果が相殺される。
【0006】
上述したように、A/Fセンサの出力電圧に基づく空燃比フィードバック制御においては、その出力電圧と目標電圧(ストイキ相当電圧)との偏差が大きいほど燃料噴射補正量が大きくなるように制御されるため、A/Fセンサが排気ガスの熱や燃料、潤滑油中に含まれる鉛、燐などの被毒の作用により劣化してくると、A/Fセンサの応答性(実際の空然比変化に追従する速さ)が低下し、所望の空燃比フィードバック制御を達成することが困難となる。
【0007】
そこで、空然比センサの劣化を検出する従来の装置として、例えば特開平5−106486号公報に記載された空然比センサの劣化判定装置がある。この劣化判定装置では、理論空然比を含む広範囲の空然比を連続的に検出可能な空然比センサの出力に基づき、目標空然比を理論空然比(ストイキ)に設定した時と理論空然比と異なる空然比(リーン空然比)に設定した時にそれぞれ空然比センサの出力に基づくフィードバック補正量を学習する共に、これらの学習値の相違に基づいて空然比センサの劣化を判定するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の空然比センサの劣化判定装置では、2つの異なる目標空然比(ストイキ及びそれ以外)の制御時にそれぞれフィードバック補正量を学習し、その学習値を比較する必要があるため、空然比センサの劣化判定に時間を要する。更に、空燃比センサの劣化が判定できるのは、ストイキ制御及びリーン制御の両方を実施する空燃比制御システムに限定され、空燃比を常に1つの目標空然比(例えば、理論空燃比)に制御するシステムには適用できない。また、この劣化判定装置は、空燃比センサ劣化時にはリーン(ストイキ以外の空然比)制御時の出力バラツキが大きいことを利用して判定を行っているために、判定が特定の制御領域でのセンサ特性の劣化・バラツキに依存し、安定した判定結果を得ることが困難である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、理論空然比を含む広範囲の空然比を連続的に検出可能な空然比センサを用いた空然比制御装置において、ストイキ以外の制御領域におけるセンサ特性に依存することなく、早期に劣化が検出可能な空然比センサの劣化判定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による空然比センサの劣化判定装置は、排気系に設けた理論空燃比を含む広範囲の空燃比を連続的に検出可能な空燃比センサと、該空燃比センサの出力と目標空燃比に相当する目標出力との偏差に基づいて、機関に供給する混合気の空燃比が該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中において、燃料噴射補正量の変動量ΔFTを所定期間の間積算することにより変動量積算値ΣΔFTを算出する変動量積算値算出手段と、該変動量積算値算出手段により算出された変動量積算値ΣΔFTが所定値を越えた時に、前記空燃比センサが劣化していると判定する劣化判定手段と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
また、本発明による空然比センサの劣化判定装置は、排気系に設けた理論空燃比を含む広範囲の空燃比を連続的に検出可能な空燃比センサと、該空燃比センサの出力と目標空燃比に相当する目標出力との偏差に基づいて、機関に供給する混合気の空燃比が該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中において、燃料噴射補正量の変動量ΔFTと該空燃比センサの出力の変動量ΔVとをそれぞれ所定期間の間積算することにより、対応する変動量積算値ΣΔFT及びΣΔVを算出する変動量積算値算出手段と、該変動量積算値算出手段により算出された該変動量積算値ΣΔFTとΣΔVとの比に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0014】
また、本発明による空然比センサの劣化判定装置は、排気系に設けた理論空燃比を含む広範囲の空燃比を連続的に検出可能な空燃比センサと、該空燃比センサの出力と目標空燃比に相当する目標出力との偏差に基づいて、機関に供給する混合気の空燃比が該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中において、該空燃比センサの出力Vと空燃比センサの出力の変動量ΔVとを所定期間の間積算することにより、出力積算値ΣV及び変動量積算値ΣΔVを算出する出力積算値及び変動量積算値算出手段と、該出力積算値及び変動量積算値算出手段により算出された該出力積算値ΣVと該変動量積算値ΣΔVとの比に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】
本発明の一つの実施形態において、前記空然比センサの劣化判定装置は、好ましくは、前記空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中における燃料噴射補正量の変動量ΔFTと前記空燃比センサの出力の変動量ΔVとを前記所定期間の間積算することにより、対応する変動量積算値ΣΔFT及びΣΔVを算出する変動量積算値算出手段を更に備えており、前記劣化判定手段は、前記出力積算値ΣVと変動量積算値ΣΔVとの比及び前記変動量積算値ΣΔFTとΣΔVとの比に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する。
【0016】
本発明の他の実施形態による前記空然比センサの劣化判定装置において、前記劣化判定手段は、好ましくは、前記出力積算値ΣVと変動量積算値ΣΔVとの比と、前記変動量積算値ΣΔFTとΣΔVとの比との積に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0018】
まず、本発明による空然比センサの劣化判定装置を適用する内燃機関システムの一例について概略的に説明する。図3は、本発明の劣化判定装置によって判定を行う空燃比センサ及び空燃比制御装置を備えた電子制御式内燃機関100の全体概要を示している。
【0019】
エンジンの燃焼に必要な空気は、エアクリーナ2でろ過され、スロットルボデー4を通ってサージタンク(インテークマニホルド)6で各気筒の吸気管7に分配される。なお、その吸入空気流量は、スロットルボデー4に設けられたスロットル弁5により調節されるとともに、エアフローメータ40により計測される。また、吸入空気温度は、吸気温センサ43により検出される。さらに、吸気管圧力は、バキュームセンサ41によって検出される。
【0020】
また、スロットル弁5の開度は、スロットル開度センサ42により検出される。また、スロットル弁5が全閉状態のときには、アイドルスイッチ52がオンとなり、その出力であるスロットル全閉信号がアクティブとなる。また、スロットル弁5をバイパスするアイドルアジャスト通路8には、アイドル時の空気流量を調節するためのアイドル回転速度制御弁(ISCV)66が設けられている。
【0021】
一方、燃料タンク10に貯蔵された燃料は、燃料ポンプ11によりくみ上げられ、燃料配管12を径て燃料噴射弁60により吸気管7に噴射される。
【0022】
吸気管7では、空気と燃料とが混合され、その混合気は、吸気弁24を介してエンジン本体すなわち気筒(シリンダ)20の燃焼室21に吸入される。燃焼室21において、混合気は、ピストン23により圧縮された後、点火されて爆発・燃焼し、動力を発生する。そのような点火は、点火信号を受けたイグナイタ62が、点火コイル63の1次電流の通電及び遮断を制御し、その2次電流が、点火ディストリビュータ64を介してスパークプラグ65に供給されることによりなされる。
【0023】
なお、点火ディストリビュータ64には、その軸が例えばクランク角(CA)に換算して720゜CAごとに基準位置検出用パルスを発生させる基準位置検出センサ50、及び30゜CAごとに位置検出用パルスを発生させるクランク角センサ51が設けられている。なお、実際の車速は、車速を表す出力パルスを発生させる車速センサ53によって検出される。また、エンジン本体(気筒)20は、冷却水通路22に導かれた冷却水により冷却され、その冷却水温度は、水温センサ44によって検出される。
【0024】
燃焼した混合気は、排気ガスとして排気弁26を介して排気マニホルド30に放出され、次いで排気管34に導かれる。なお、排気管34には、排気ガス中の酸素濃度に基づき空燃比をリニアに検出するA/Fセンサ45が設けられている。さらにそれより下流の排気系には、触媒コンバータ38が設けられており、その触媒コンバータ38には、排気ガス中の未燃成分(HC,CO)の酸化と窒素酸化物(NOX)の還元とを同時に促進する三元触媒が収容されている。こうして触媒コンバータ38において浄化された排気ガスが大気中に排出される。
【0025】
また、このエンジンは、A/Fセンサ45による空燃比フィードバック制御の目標制御中心を変動させるべくサブ空燃比フィードバック制御を実施するエンジンであり、触媒コンバータ38より下流の排気系には、O2センサ46が設けられている。本発明においては、O2センサ46は必須ではないが、O2センサ46が設けられているほうが好ましい。
【0026】
エンジン電子制御ユニット(エンジンECU)70は、燃料噴射制御(空燃比制御)、点火時期制御、アイドル回転速度制御などに加え、A/Fセンサの応答特性の劣化判定を実行するマイクロコンピュータシステムであり、そのハードウェア構成は、図4のブロック図に示される。リードオンリメモリ(ROM)73に格納されたプログラム及び各種のマップに従って、中央処理装置(CPU)71は、各種センサ及びスイッチからの信号をA/D変換回路75又は入力インタフェース回路76を介して入力し、その入力信号に基づいて演算処理を実行し、その演算結果に基づき駆動制御回路77a〜77dを介して各種アクチュエータ用制御信号を出力する。ランダムアクセスメモリ(RAM)74は、その演算・制御処理過程における一時的なデータ記憶場所として使用される。また、バックアップRAM79は、バッテリ(図示せず)に直接接続されることにより電力の供給を受け、イグニションスイッチがオフの状態においても保持されるべきデータ(例えば、各種の学習値)を格納するために使用される。また、これらのECU内の各構成要素は、アドレスバス、データバス、及びコントロールバスからなるシステムバス72によって接続されている。
【0027】
以上のようなハードウェア構成を有する内燃機関(エンジン)において実行されるECU70のエンジン制御処理について、以下、説明する。
【0028】
点火時期制御は、クランク角センサ51から得られるエンジン回転速度及びその他のセンサからの信号により、エンジンの状態を総合的に判定し、最適な点火時期を決定し、駆動制御回路77bを介してイグナイタ62に点火信号を送るものである。
【0029】
また、アイドル回転速度制御は、アイドルスイッチ52からのスロットル全閉信号及び車速センサ53からの車速信号によってアイドル状態を検出するとともに、水温センサ44からのエンジン冷却水温度等によって決められる目標回転速度と実際のエンジン回転速度とを比較し、その差に応じて目標回転速度となるように制御量を決定し、駆動制御回路77cを介してISCV66を制御して空気量を調節することにより、最適なアイドル回転速度を維持するものである。
【0030】
以下では、本発明を適用する空燃比制御(燃料噴射制御)システム及び本発明によるA/Fセンサの応答特性の劣化の検出について詳細に説明するために、関連する処理ルーチンの手順を順次示す。
【0031】
図5は、筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、所定のクランク角ごとに実行される。まず、本ルーチンの前回までの走行により得られている筒内空気量MCi及び目標筒内燃料量FCRiを更新する。すなわち、第i(i=0,1,…,n−1)回前のMCi及びFCRiを、第“i+1”回前のMCi+I及びFCRi+1とする(ステップ102)。これは、図6に示されるように、過去n回分の筒内空気量MCi及び目標筒内燃料量FCRiのデータをRAM74内に記憶し、今回新たにMC0及びFCR0を算出するためである。
【0032】
次いで、バキュームセンサ41、クランク角センサ51、及びスロットル開度センサ42からの出力に基づいて、現在の吸気管圧力PM、エンジン回転速度NE、及びスロットル開度TAを求める(ステップ104)。次いで、これらのPM、NE、及びTAのデータより、筒内に供給される空気量MC0を推定する(ステップ106)。なお、一般に、筒内空気量は、吸気管圧力PM及びエンジン回転速度NEから推定可能であるが、本実施例では、スロットル開度TAの値の変化より過渡状態を検出し、過渡状態においても精密な空気量が算出されるようにしている。
【0033】
次いで、筒内空気量MC0及び理論空燃比(ストイキ)AFTに基づき、
FCR0←MC0/AFT
なる演算を実行して、混合気をストイキとするために筒内に供給されるべき目標燃料量FCR0を算出する(ステップ108)。このようにして算出された筒内空気量MC0及び目標筒内燃料量FCR0は、今回得られた最新のデータとして、図6に示されるような形式でRAM74内に記憶される。
【0034】
次に、空然比フィードバック制御ルーチン及び燃料噴射ルーチンを説明する。図7は、空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、所定のクランク角ごとに実行される。まず、フィードバック制御を実行すべき条件が成立するか否かを判定する(ステップ112)。例えば、冷却水温が所定値以下の時、機械始動中、始動後増量中、暖機増量中、A/Fセンサ45の出力信号変化がない時、燃料カット中等は、フィードバック制御条件不成立となり、その他の場合は条件成立となる。条件不成立のときには、フィードバック制御による燃料噴射補正量FTを0とし(スッテプ124)、本ルーチンを終了する。
【0035】
フィードバック制御条件成立時には、本ルーチンの前回までの走行により得られている燃料量差(実際に筒内で燃焼せしめられた燃料量と目標筒内燃料量との差)FD1を更新する。すなわち、第i(i=0,1,・・・,m−1)回前のFDiを第“i+1”回前のFDi+1とする(ステップ114)。これは、過去m回分の燃料量差FDiのデータをRAM74内に記憶し、今回新たに燃料量差FD0を算出するためである。
【0036】
次いで、A/Fセンサ45の出力電圧VAFを検出する(ステップ116)。次に、この出力電圧VAFに基づき図2の特性図を参照することにより、現在の空燃比ABFを決定する。(ステップ118)。なお、図2の特性図は、マップ化されてROM73にあらかじめ格納されている。
【0037】
次に、筒内空気量推定及び目標筒内燃料算出ルーチンにより既に算出されている筒内空気量MCn及び目標筒内燃料量FCRn(図6参照)に基づき、
FD0 ← MCn/ABF−FCRn
なる演算により、実際に筒内で燃焼せしめられた燃料量と目標筒内燃料量との差を求める(ステップ120)。なお、このようにn回前の筒内空気量MCn及び目標筒内燃料量FCRnを採用する理由は、現在A/Fセンサにより検出されている空燃比と実際の燃焼との時間差を考慮したためである。換言すれば、過去n回分の筒内空気量MCi及び目標筒内燃料量FCRiを記憶しておく必要があるのは、そのような時間差のためである。
【0038】
次いで、
FT ← KP*FD0+Ks*ΣFDi
なる演算により、比例・積分制御(PI制御)による燃料噴射補正量FTが決定される(ステップ122)。なお、右辺第1項はPI制御の比例項であり、KPは比例項ゲインである。また、右辺第2項はPI制御の積分項であり、Ksは積分項ゲインである。
【0039】
図8は、燃料噴射制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、所定のクランク角ごとに実行される。最初に、前述した筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンにおいて算出された目標筒内燃料量FCR0、及び空燃比フィードバック制御ルーチンにおいて算出された燃料噴射補正量FTに基づき、
FI ← FCR0*α+FT+β
なる演算を実行して、燃料噴出量FIを決定する(ステップ142)。なお、α及びβは、他の運転状態パラメータによって定まる乗算補正係数補正量及び加算補正量である。例えば、αには、吸気温センサ43、水温センサ44等の各センサからの信号に基づく基本的な補正が含まれ、また、βには、燃料の壁面付着量(過渡運転状態において吸気管圧力の変化に伴い変化する)の変化に基づく補正が含まれている。最後に、求められた燃料噴出量FIを燃料噴射弁60の駆動制御回路77aにセットする(ステップ144)。
【0040】
以上、触媒上流側に設けたA/Fセンサの出力によってフィードバック制御を行う場合について説明したが、触媒下流側に設けたO2センサによるサブ空然比フィードバック制御を行うこともできる。その場合、触媒下流側のO2センサ出力に基づいて、触媒上流側のA/Fセンサの出力電圧VAFを以下のように補正する。
【0041】
VAF ← VAF+DV
この場合、上記で補正されたVAFの値を用いてその積算値を算出することになる。
【0042】
さて、本発明は、A/Fセンサ出力と目標空燃比とのズレ量から燃料噴射量を補正し空燃比を目標値に制御する空燃比フィードバック制御システムにおいて、A/Fセンサの応答特性の劣化を判定する装置を提供するものである。まず、その原理について説明する。
【0043】
図9(a)及び(b)は、現実に測定されるA/Fセンサ出力電圧VAF(実線)と実際のA/Fに応じて本来出力されるべきA/Fセンサ出力電圧(実A/F相当電圧)(破線)との関係を模式的に示している。図9(a)はA/Fセンサが正常な応答特性(高応答特性)を有する場合を示しており、正常な応答特性を有するA/Fセンサ(高応答A/Fセンサ)の出力VAFは、実A/F相当電圧にほぼ従った出力となる。図9(b)はA/Fセンサが劣化した応答特性(低応答特性)を有する場合の一例を示している。劣化した応答特性を有するA/Fセンサ(低応答A/Fセンサ)の出力VAF’は、実A/F相当電圧に対する追従性が悪くなり、例えば、図9(b)に示されるように、高応答A/Fセンサの出力VAFと比較して出力波形の位相が遅れることになる。なお、図9(a)では、A/Fセンサ出力電圧VAFと目標電圧(ストイキ相当電圧)VAFTとの偏差を振幅VPで表わしている。
【0044】
空燃比フィードバック制御では、出力電圧VAFと、理論空然比に対応する目標電圧VAFTとの偏差(即ち、VAFTを中心としたVAFの振幅VP)が大きいほど燃料噴射補正量を大きくするように制御される。例えば、筒内空気量MC0及び理論空然比AFTに基づき算出された目標筒内燃料量FCR0に、吸気温などによる補正を加えた基本燃料量を基準とし、この基本噴射量に対して、実際の排気ガスの空燃比をA/Fセンサにより計測し、理論空燃比からのずれに応じたフィードバック補正を加える。
【0045】
図10(a)及び(b)は、燃料噴射量に対するフィードバック補正の一例を示しており、図10(b)の燃料噴射補正量FTは、上述の基本噴射量に対するフィードバック補正分に相当する。高応答A/Fセンサの場合には、実A/F相当電圧をほぼ正確に反映する出力VAFに基づいてフィードバック補正が行われるのに対し、低応答A/Fセンサの場合には、劣化した応答特性、例えば実A/F相当電圧よりも位相の遅れた出力VAF’に基づいてフィードバック補正が行われることになる。
【0046】
図10(a)に示されるように、時刻t0からのフィードバック制御をみると、実A/F相当電圧にほぼ従う高応答A/Fセンサの出力VAFは、リッチ側から徐々に増加し(振幅は減少)、理論空然比VAFTを横断して(振幅ゼロ)さらにリーン側に変化している(振幅増加)。そして、高応答A/Fセンサの出力VAFは、時刻t1をすぎた後、再び減少している(振幅減少)。このとき、図10(b)に示されるように、燃料噴射補正量FTは、所定の補正量に達した後、再び増加する。
【0047】
一方、低応答A/Fセンサの出力VAF’は、応答が遅いため、高応答A/Fセンサの出力がすでにリッチ側から理論空然比VAFTを横切ってリーン側に転じていても、依然としてリーン側で単調増加している(振幅減少)(図10(a)の時間t0〜t1)。従って、図10(b)に示されるように、本来ならば(即ち、A/Fセンサの応答特性が劣化せず、実A/F相当電圧が正しく反映されていれば)燃料噴射補正量を増加させるべきであるにもかかわらず、燃料噴射補正量FT’は、適正な補正量を超過してそのまま減少し続けることになる。 従って、このような空燃比制御システムにおいて、用いるA/Fセンサの応答特性が低下して、フィードバック系が想定するセンサ応答特性を外れた場合、基本噴射量に対して過度に補正が加えられることになる。例えば、図10(b)に示されるように、低応答A/Fセンサを用いた場合の時刻t0からt1の間の燃料噴射補正量の変動量ΔFT’は、高応答A/Fセンサを用いた場合の燃料噴射補正量の変動量ΔFTに比較して大きな値となっている。
【0048】
このため、フィードバック制御における空燃比の目標値への収束性が悪化し、目標空燃比よりも過度にリッチな状態と過度にリーンな状態とをくりかえすことになる。この時、単位時間(所定時間間隔)当たりの燃料噴射補正量が大きく変動し、A/Fセンサの出力VAFの変動も大きくなる。従って、燃料噴射補正量、あるいはA/Fセンサ出力に関連する変動量を所定時間にわたって積算した値は、正常な高応答A/Fセンサに比べて大きくなるため、このような量を用いてA/Fセンサの劣化を明確に判定することができる。
【0049】
以下の記載では、燃料噴射補正量として、基本噴射量に対する補正の割合を表わす燃料噴射量補正率(%)を用いることにし、図11(a)及び(b)を用いてより具体的に説明する。図11(a)はA/Fセンサ出力の一例を示し、図11(b)は、上記のようなフィードバック制御による対応する燃料噴射量補正率(%)を示している。低応答特性のA/Fセンサに対して燃料噴射量補正率FTの変動量ΔFTmを一定時間毎に算出して積算して得られる積算値S1=ΣΔFTmは、正常な応答特性を有するA/Fセンサを用いた場合よりも大きな値になる。尚、図11(b)では、一定時間間隔を65msとした例において、ΔFT1及びΔFT2を示している。
【0050】
また、A/Fセンサの応答特性の劣化を示す指標として、A/Fセンサ出力の絶対値を一定時間毎に算出して積算した値、A/Fセンサの出力と目標空然比に相当する目標出力との偏差を一定時間毎に算出して積算した値、あるいはA/Fセンサ出力の変動量を一定時間毎に算出して積算した値を用いることもできる。例えば、図11(a)に示すように、一定時間毎に算出したA/Fセンサ出力と理論空然比に相当する目標出力VAFTとの偏差Vnを所定時間間隔にわたって積算した値S2=ΣVm、あるいは、一定時間毎に算出したA/Fセンサ出力の変動量ΔVnを所定時間間隔にわたって積算した値S3=ΣΔVnも、応答特性の劣化したA/Fセンサにおいては、正常な応答特性をもったA/Fセンサを用いた場合に比べて大きくなる。従って、これらの値が所定値を越えた場合に、A/Fセンサの特性が劣化したと判断して、A/Fセンサの異常を検出することができる。
【0051】
また、A/Fセンサの応答特性の劣化に伴う追従性の低下に着目した場合、所定時間間隔(期間)における燃料噴射量補正率の変動量を、同じ所定期間におけるセンサ出力変動量で割った値Pは、A/Fセンサの応答特性が劣化するほど大きな値となる。例えば、図10(a)に示すように、低応答A/Fセンサを用いた場合の時刻t0から時刻t1の間のA/Fセンサ出力の変動量ΔV’は、高応答A/Fセンサを用いた場合の時刻t0から時刻t1の間のA/Fセンサ出力の変動量ΔVに比較して小さくなっている。従って、先に図10(b)を用いて説明した、応答特性の劣化したA/Fセンサを用いた場合の時刻t0から時刻t1の間の燃料噴射補正量の変動量ΔFT’の積算値ΣΔFT’を対応する変動量ΔV’の積算値ΣΔV’で割った値P’は、高応答A/Fセンサを用いた場合の燃料噴射補正量の変動量ΔFTの積算値ΣΔFTを対応する変動量Vの積算値ΣΔVで割った値Pよりも大きくなる。このようなA/Fセンサの応答特性とP=ΣΔFT/ΣΔV(P’=ΣΔFT’/ΣΔV’)との関係を図12に模式的に示す。従って、値P=ΣΔFT/ΣΔV(=S1/S3)が所定の値を越えた場合にはセンサの応答特性が低下したものと判断され、A/Fセンサの異常を検出できる。
【0052】
また、A/Fセンサの出力波形の幾何学的特徴に注目すると、センサ出力の積算値及びセンサ出力変動量の積算値とを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定できる。図13(a)及び(b)に示すように、A/Fセンサ出力変動量の積算値S3=ΣΔVnは、A/Fセンサ出力の変動周波数及び出力振幅の両方に比例する。一方、A/Fセンサ出力と理論空然比に相当する出力との偏差Vmの積算値S2=ΣVmは、出力振幅にほぼ比例するが変動周波数への依存は小さい。従って、A/Fセンサ出力と理論空然比に相当する出力との偏差Vmの積算値S2をA/Fセンサ出力の変動量積算値S3で割った値Q=S2/S3=ΣVm/ΣΔVnは、A/Fセンサ出力振幅の影響が取り除かれA/Fセンサ出力の変動周波数に逆比例する。すなわち、この値Q=ΣVm/ΣΔVnは変動周期T(T’)に比例する。
【0053】
図13(a)及び(b)からもわかるように、A/Fセンサ出力の変動周期はセンサの持つ応答特性に依存するため、値Q=ΣVm/ΣΔVn、即ちA/Fセンサの出力積算値/出力変動積算値は、A/Fセンサの応答特性の低下に従って大きな値となる。この関係を図14に模式的に示す。従って、この値Q=ΣVm/ΣΔVnが所定の値を越えた場合にはA/Fセンサの応答特性が劣化したと判断し、A/Fセンサの異常を判定できる。
【0054】
また、上述の値P及びQは、互いに独立してA/Fセンサの応答特性と相関を持っており、これらを乗じた下記の式(1)で表わされる積Rによってさらに明確な相関を得ることが可能である。
【0055】
従って、積Rが所定値を越えた場合にはA/Fセンサの応答特性が劣化したと判断し、A/Fセンサの異常を判定できる。
【0056】
更に、上記で求めた値のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせによってA/Fセンサ出力の特性劣化を判定でき、更に、A/Fセンサ出力の特性劣化に起因する空燃比制御性能の低下とその結果生ずる排気エミッションの悪化を早期に検出及び防止することが可能となる。
【0057】
以下、上記で説明した各値S1、S2、S3、P、Q及びRを用いたA/Fセンサ出力の応答特性劣化の判定を、対応するフローチャートに従ってより詳細に説明する。以下の各実施例で説明する処理は、エンジンECU70(図3)に含まれるCPU71(図4)を用いて行う。図4を参照しながら既に詳述したように、各部品やシステム及び各種センサはA/D変換回路75あるいは入力インターフェース76を介してCPU71に連結されており、これらから与えられる必要な信号に基づいて、以下の処理及び判定が行われる。また、処理に必要なデータや測定値はRAM74に蓄積されて用いられる。以下の各実施例によるA/Fセンサ出力の劣化(異常)判定ルーチンは、所定のクロックに基づいて実行され、所定の周期で繰り返される。
【0058】
(実施例1)
実施例1においては、上述の燃料噴射量補正率の変動量ΔFTの積算S1=ΣΔFTを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合について説明する。図15は、実施例1によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0059】
図15に示されるように、まずステップ201において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行するべき条件が成立中であれば次のステップ202に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣΔFTをクリア(ステップ210)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0060】
燃料噴射量補正率の変動量ΔFTは、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、燃料噴射量補正率の変動量の精度を確保するため、十分短い時間である事が必要である。ステップ202では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、燃料噴射量補正率の変動を算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ203に進む。
【0061】
尚、異常検出処理のルーチン周期が燃料噴射量補正率の変動を算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ202は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期は燃料噴射量補正率の変動量ΔFTを算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0062】
ステップ203では、ステップ201において異常検出処理の実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。燃料噴射量補正率の変動量ΔFTを時間間隔T1毎に算出するにあたり、前提条件(ステップ201)が成立している場合の燃料噴射量補正率の値のみを用いることにより、正確な算出データを得ることができる。更に、前提条件が不成立の状態である時の影響を除いて燃料噴射量補正率の変動量ΔFTの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してから燃料噴射量補正率の変動量ΔFTの積算を実行することが望ましい。また、T2は少なくとも燃料噴射量補正率の変動量ΔFTを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、ステップ209の処理を実行(現在の燃料噴射補正率FTを記憶)し、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ204に進む。
【0063】
ステップ204では、これまでの処理においてステップ209で記憶していたT1秒前の燃料噴射量補正率の値(FTm−1とする)と現在の燃料噴射量補正率の値(FTmとする)との差の絶対値ΔFTm=|FTm−FTm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔFTm−1迄の積算値)に加算し、積算値ΣΔFTを更新する。ステップ201〜203が成立した後、初めてステップ204の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ201不成立時の処理)。
【0064】
ステップ205では、ステップ204で実行した「積算」処理の実行回数mをカウントする。これまでに積算が実行された回数をmとすると、m×T1が燃料噴射量補正率変動量の積算が行われた時間(これまでの積算実行時間)Tsとなる。積算を実行すべき回数をM(後述のステップ206において判断される)とすると、M×T1が燃料噴射量補正率変動量の積算を行なうべき所定の時間間隔(積算実行時間)TΣとなる。あるいは、ステップ203の条件(T2以上経過)が成立した後の継続時間Tcontを計測することにより、この所定の時間間隔を管理してもよい。フィードバック補正による燃料噴射量補正率の変動周期に比べて十分に長い時間に渡って積算が実行されるように、積算実行回数M(積算実行時間TΣ)、あるいは、ステップ203の条件が成立した後に継続すべき継続時間TΣ’を設定する。
【0065】
ステップ206では、ステップ205でカウントされた積算実行回数の積算値mが、上述の所定の積算実行回数M以上であるかどうかのチェックを行う。あるいは、積算実行回数mの代わりに継続時間Tcontによって積算実行時間TΣを管理する場合は、ステップ206ではステップ203の条件成立後の継続時間Tcontが所定の積算実行時間TΣ’以上であるかどうかのチェックを行う。
【0066】
ここで、燃料噴射量補正率変動量の積算実行時間TΣは必ずしも連続した時間間隔である必要は無い。例えば、燃料噴射量補正率変動量の積算実行時間Tsが所定の値TΣに達する前にステップ201の条件が不成立となった場合、燃料噴射量補正率変動量ΔFTの積算値ΣΔFTや積算実行時間Ts(積算実行回数m、あるいはステップ203の条件成立後の継続時間Tcont)をクリアせずに記憶しておき、ステップ201〜203における条件が再び成立した後に、これらの処理を再開し、燃料噴射量補正率変動量ΔFTの積算処理や、積算実行回数mあるいはステップ203の条件成立後の継続時間Tcontのカウントを続行しても良い。尚、このような再開・継続処理については後に詳述する。ステップ206の条件が成立した時(所定時間間隔TΣに対する積算が実行された後)はステップ207に進む。ステップ206の条件が不成立時はステップ209の処理のみを実行(現在の燃料噴射補正率FTを記憶)して異常検出処理ルーチンから抜け出す。
【0067】
ステップ207においては、それまでに積算された燃料噴射量補正率変動量の積算値ΣΔFTが、あらかじめ設定した所定の判定値ΣΔFT(th)を越えたかどうかをチェックする。ΣΔFTが判定値ΣΔFT(th)を越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ208b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ208a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0068】
(実施例2)
実施例2においては、上述のA/Fセンサ出力と理論空然比に相当する出力との偏差(A/Fセンサ出力の絶対値V)の積算値S2=ΣVを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合について説明する。図16は、実施例2によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0069】
図16に示されるように、まずステップ301において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行するべき前提条件が成立中であれば次のステップ302に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣVをクリア(ステップ310)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0070】
A/Fセンサ出力の絶対値は、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、出力積算値ΣVの精度を確保するため、A/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に短い時間である事が必要である。出力ステップ302では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、A/Fセンサ出力の絶対値Vを算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1秒毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ303に進む。
【0071】
尚、異常検出処理のルーチン周期がA/Fセンサ出力の絶対値Vを算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ302は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期はA/Fセンサ出力の絶対値Vを算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0072】
ステップ303では、ステップ301において異常検出処理実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。前提条件が不成立の状態である時の影響を除いてA/Fセンサ出力絶対値Vの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してからA/Fセンサ出力絶対値Vの積算を実行することが望ましい。また、T2は少なくともA/Fセンサの出力の絶対値Vを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ304に進む。
【0073】
ステップ304では、現在のA/Fセンサ出力の絶対値Vを算出し、前回までの積算値ΣVに加えて積算値を更新する。この積算処理において、理論空燃比におけるA/Fセンサ出力がゼロでない場合、例えば、理論空燃比におけるA/Fセンサ出力に一定のオフセットを設けている場合等にはこのオフセット値を除いて積算を行う。また、空燃比の制御目標が理論空燃比ではない場合には、目標空燃比からのズレ量の絶対値を積算する等とする。尚、ステップ301〜303が成立した後、初めてステップ304の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ301不成立時の処理)。
【0074】
ステップ305では、ステップ304で実行した「積算」処理の実行回数mをカウントする。これまでに積算が実行された回数をmとすると、m×T1がA/Fセンサ出力の絶対値Vの積算が行われた時間(これまでの積算実行時間)Tsとなる。積算を実行すべき回数をM(後述のステップ306において判断される)とすると、M×T1がA/Fセンサ出力の絶対値Vの積算を行なうべき所定の時間間隔(積算実行時間)TΣとなる。あるいは、ステップ303の条件(T2以上経過)が成立した後の継続時間Tcontを計測することにより、この所定の時間間隔を管理してもよい。フィードバック補正によるA/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に長い時間に渡って積算が実行されるように、積算実行回数M(積算実行時間TΣ)、あるいは、ステップ303の条件が成立した後に継続すべき継続時間TΣ’を設定する。
【0075】
ステップ306では、ステップ305でカウントされた積算実行回数の積算値mが、上述の所定の積算実行回数M以上であるかどうかのチェックを行う。あるいは、積算実行回数mの代わりに継続時間Tcontによって積算実行時間TΣを管理する場合は、ステップ306ではステップ303の条件成立後の継続時間Tcontが所定の積算実行時間TΣ’以上であるかどうかのチェックを行う。
【0076】
ここで、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算実行時間TΣは必ずしも連続した時間間隔である必要は無い。例えば、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算実行時間Tsが所定の値TΣに達する前にステップ301の条件が不成立となった場合、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算値ΣVや積算実行時間Ts(積算実行回数m、あるいはステップ303の条件成立後の継続時間Tcont)をクリアせずに記憶しておき、ステップ301〜303における条件が再び成立した後に、これらの処理を再開し、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算処理や、積算実行回数mあるいはステップ303の条件成立後の継続時間Tcontのカウントを続行しても良い。ステップ306の条件が成立した時(所定時間間隔TΣに対する積算が実行された後)はステップ307に進む。ステップ306の条件が不成立時には異常検出処理ルーチンから抜け出す。
【0077】
ステップ307においては、それまでに積算されたA/Fセンサ出力の絶対値Vの積算値ΣVが、あらかじめ設定した所定の判定値ΣV(th)を越えたかどうかをチェックする。ΣVが判定値ΣV(th)を越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ308b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ308a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0078】
尚、本実施例においては、T1秒前のA/Fセンサ出力との差ΔVや、T1秒前の燃料噴射量補正率との差ΔFTを算出する必要がないため、他の実施例のように、異常検出ルーチンを抜け出す前に現在のA/Fセンサの出力を記憶しておく必要がない。
【0079】
(実施例3)
実施例3においては、上述のA/Fセンサ出力の変動量ΔVの積算S3=ΣΔVを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合について説明する。図17は、実施例3によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0080】
図17に示されるように、まずステップ401において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行すべき前提条件が成立中であれば次のステップ402に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣΔVをクリア(ステップ410)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0081】
A/Fセンサ出力の変動ΔVは、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、変動量積算値ΣΔVの精度を確保するため、A/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に短い時間である事が必要である。ステップ402では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、A/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1秒毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ403に進む。
【0082】
尚、異常検出処理のルーチン周期がA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ402は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期はA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0083】
ステップ403では、ステップ401において異常検出処理実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。前提条件が不成立の状態である時の影響を除いてA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してからA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を実行することが望ましい。また、T2は少なくともA/Fセンサの出力の変動ΔVを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、ステップ409の処理を実行(現在のA/Fセンサの出力を記憶)し、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ404に進む。
【0084】
ステップ404では、これまでの処理においてステップ409で記憶していたT1秒前のA/Fセンサ出力(Vm−1とする)と現在のA/Fセンサ出力(Vmとする)との差の絶対値ΔVm=|Vm−Vm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔVm−1迄の積算値)に加算し、積算値ΣΔVを更新する。ステップ401〜403が成立した後、初めてステップ404の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ401不成立時の処理)。
【0085】
ステップ405では、ステップ404で実行した「積算」処理の実行回数mをカウントする。これまでに積算が実行された回数をmとすると、m×T1がA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算が行われた時間(これまでの積算実行時間)Tsとなる。積算を実行すべき回数をM(後述のステップ406において判断される)とすると、M×T1がA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を行なうべき所定の時間間隔(積算実行時間)TΣとなる。あるいは、ステップ403の条件(T2以上経過)が成立した後の継続時間Tcontを計測することにより、この所定の時間間隔を管理してもよい。フィードバック補正によるA/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に長い時間に渡って積算が実行されるように、積算実行回数M(積算実行時間TΣ)、あるいはステップ403の条件が成立した後に継続すべき継続時間TΣ’を設定する。
【0086】
ステップ406では、ステップ405でカウントされた積算実行回数の積算値mが、上述の所定の積算実行回数M以上であるかどうかのチェックを行う。あるいは、積算実行回数mの代わりに継続時間Tcontによって積算実行時間TΣを管理する場合は、ステップ406ではステップ403の条件成立後の継続時間Tcontが所定の積算実行時間TΣ’以上であるかどうかのチェックを行う。
【0087】
ここで、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間TΣは必ずしも連続した時間間隔である必要は無い。例えば、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間Tsが所定の値TΣに達する前にステップ401の条件が不成立となった場合、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算値ΣΔVや積算実行時間Ts(積算実行回数m、あるいはステップ403の条件成立後の継続時間Tcont)をクリアせずに記憶しておき、ステップ401〜403における条件が再び成立した後に、これらの処理を再開し、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算や、積算実行回数mあるいはステップ403の条件成立後の継続時間Tcontのカウントを続行しても良い。ステップ406の条件が成立した時(所定時間間隔TΣに対する積算が実行された後)はステップ407に進む。ステップ406の条件が不成立時はステップ409の処理のみを実行(現在のA/Fセンサ出力を記憶)して異常検出処理ルーチンから抜け出す。
【0088】
ステップ407においては、それまでに積算されたA/Fセンサ出力の変動量ΣΔVが、あらかじめ設定した所定の判定値ΣΔV(th)を越えたかどうかをチェックする。ΣΔVが判定値ΣΔV(th)を越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ408b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ408a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0089】
(実施例4)
実施例4においては、上述の燃料噴射量補正率の変動ΔFTの積算S1=ΣΔFT及びA/Fセンサ出力の変動量ΔVの積算S3=ΣΔVを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合について説明する。図18は、実施例4によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0090】
図18に示されるように、まずステップ501において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行するべき前提条件が成立中であれば次のステップ502に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣΔFT及びΣΔVをクリア(ステップ513)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0091】
燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVは、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算値の精度を確保するため、A/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に短い時間である事が必要である。ステップ502では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1秒毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ503に進む。
【0092】
尚、異常検出処理のルーチン周期が燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ502は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期は燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0093】
ステップ503では、ステップ501において異常検出処理実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。前提条件が不成立の状態である時の影響を除き、燃料噴射量補正率の変動ΔFTの積算データ及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してから燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を実行することが望ましい。また、T2は、少なくとも燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサの出力の変動ΔVを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、ステップ511の処理(現在の燃料噴射量補正率の記憶)及びステップ512の処理(現在のA/Fセンサの出力の記憶)を実行し、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ504に進む。
【0094】
ステップ504では、これまでの処理においてステップ511で記憶していたT1秒前の燃料噴射量補正率の値(FTm−1とする)と現在の燃料噴射量補正率の値(FTmとする)との差の絶対値ΔFTm=|FTm−FTm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔFTm−1迄の積算値)に加算することにより、積算値Σ△FTを更新する。ステップ501〜503が成立した後、初めてステップ504の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ501不成立時の処理)。
【0095】
ステップ505では、これまでの処理においてステップ512で記憶していたT1秒前のA/Fセンサ出力(Vm−1とする)と現在のA/Fセンサ出力(Vmとする)との差の絶対値ΔVm=|Vm−Vm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔVm−1迄の積算値)に加算し、積算値ΣΔVを更新する。ステップ501〜503が成立した後、初めてステップ505の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ501不成立時の処理)。
【0096】
ステップ506では、ステップ504及び505で実行した「積算」処理の実行回数mをカウントする。これまでに積算が実行された回数をmとすると、m×T1が燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算が行われた時間(これまでの積算実行時間)Tsとなる。積算を実行すべき回数をM(後述のステップ507において判断される)とすると、M×T1が燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を行なうべき所定の時間間隔(積算実行時間)TΣとなる。あるいは、ステップ503の条件(T2以上経過)が成立した後の継続時間Tcontを計測することにより、この所定の時間間隔を管理してもよい。フィードバック補正による燃料噴射量補正率の変動周期及びA/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に長い時間に渡って積算が実行されるように、積算実行回数M(積算実行時間TΣ)、あるいはステップ503の条件が成立した後に継続すべき継続時間TΣ’を設定する。
【0097】
ステップ507では、ステップ506でカウントされた積算実行回数の積算値mが、上述の所定の積算実行回数M以上であるかどうかのチェックを行う。あるいは、積算実行回数mの代わりに継続時間Tcontによって積算実行時間TΣを管理する場合は、ステップ507ではステップ503の条件成立後の継続時間Tcontが所定の積算実行時間TΣ’以上であるかどうかのチェックを行う。ここで、燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間TΣは、必ずしも連続した時間間隔である必要は無い。例えば、燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間Tsが所定の値TΣに達する前にステップ501の条件が不成立となった場合、燃料噴射量補正率の変動ΔFTの積算値ΣΔFT、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算値ΣΔV、積算実行時間Ts(積算実行回数m、あるいはステップ503の条件成立後の継続時間Tcont)などをクリアせずに記憶しておく。そして、ステップ501〜503における条件が再び成立した後に、これらの処理を再開し、燃料噴射量補正率の変動ΔFT及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算や、積算実行回数mあるいはステップ503の条件成立後の継続時間Tcontのカウントを続行しても良い。ステップ506の条件が成立した時(所定時間間隔TΣに対するそれぞれの積算処理が実行された後)はステップ508に進む。ステップ507の条件が不成立の時はステップ511の処理(現在の燃料噴射量補正率FTを記憶)及び512の処理(現在のA/Fセンサ出力を記憶)のみを実行して異常検出処理ルーチンから抜け出す。
【0098】
ステップ508では、それまでの処理によって得られた積算された燃料噴射量補正率変動量ΣΔFTと積算されたA/Fセンサ出力の変動量ΣΔVとの比P=ΣΔFT/ΣΔVを算出する。
【0099】
ステップ509においては、ステップ508で求めた比P=ΣΔFT/ΣΔVが、あらかじめ設定した所定の判定値Pthを越えたかどうかをチェックする。比Pが判定値Pthを越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ510b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ510a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0100】
尚、比P=ΣΔFT/ΣΔVを所定の判定値Pthと比較する際には、あらかじめ正常な特性を持ったA/Fセンサにおける比ΣΔFT/ΣΔVの標準値P0を求めておき、その標準値P0に対する測定値Pの比率が所定の判定値を越えたかどうかをチェックする等としても良い。
【0101】
(実施例5)
実施例5においては、上述のA/Fセンサ出力の絶対値Vの積算S2=ΣV及びA/Fセンサ出力の変動量ΔVの積算S3=ΣΔVを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合について説明する。図19は、実施例5によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0102】
図19に示されるように、まずステップ601において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行するべき前提条件が成立中であれば次のステップ602に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣV及びΣΔVをクリア(ステップ612)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0103】
A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVは、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、出力積算値ΣVの精度を確保するため、A/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に短い時間である事が必要である。ステップ602では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1秒毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ603に進む。
【0104】
尚、異常検出処理のルーチン周期がA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ602は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期はA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0105】
ステップ603では、ステップ601において異常検出処理実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。前提条件が不成立の状態である時の影響を除き、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算データ及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してからA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を実行することが望ましい。また、T2は、少なくともA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサの出力の変動ΔVを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、ステップ611の処理(現在のA/Fセンサの出力の記憶)を実行し、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ604に進む。
【0106】
ステップ604では、現在のA/Fセンサ出力の絶対値Vを算出し、前回までの積算値ΣVに加えて積算値を更新する。この積算処理において、理論空燃比におけるA/Fセンサ出力がゼロでない場合、例えば、理論空燃比におけるA/Fセンサ出力に一定のオフセットを設けている場合等にはこのオフセット値を除いて積算を行う。また、空燃比の制御目標が理論空燃比ではない場合には、目標空燃比からのズレ量の絶対値を積算する等とする。尚、ステップ601〜603が成立した後、初めてステップ604の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ601不成立時の処理)。
【0107】
ステップ605では、これまでの処理においてステップ611で記憶していたT1秒前のA/Fセンサ出力(Vm−1とする)と現在のA/Fセンサ出力(Vmとする)との差の絶対値ΔVm=|Vm−Vm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔVm−1迄の積算値)に加算し、積算値ΣΔVを更新する。ステップ601〜603が成立した後、初めてステップ605の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ601不成立時の処理)。
【0108】
ステップ606では、ステップ604及び605で実行した「積算」処理の実行回数mをカウントする。これまでに積算が実行された回数をmとすると、m×T1がA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算が行われた時間(これまでの積算実行時間)Tsとなる。積算を実行すべき回数をM(後述のステップ607において判断される)とすると、M×T1がA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を行なうべき所定の時間間隔(積算実行時間)TΣとなる。あるいは、ステップ603の条件(T2以上経過)が成立した後の継続時間Tcontを計測することにより、この所定の時間間隔を管理してもよい。フィードバック補正によるA/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に長い時間に渡って積算が実行されるように、積算実行回数M(積算実行時間TΣ)、あるいはステップ603の条件が成立した後に継続すべき継続時間TΣ’を設定する。
【0109】
ステップ607では、ステップ606でカウントされた積算実行回数の積算値mが、上述の所定の積算実行回数M以上であるかどうかのチェックを行う。あるいは、積算実行回数mの代わりに継続時間Tcontによって積算実行時間TΣを管理する場合は、ステップ607ではステップ603の条件成立後の継続時間Tcontが所定の積算実行時間TΣ’以上であるかどうかのチェックを行う。ここで、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間TΣは、必ずしも連続した時間間隔である必要は無い。例えば、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間Tsが所定の値TΣに達する前にステップ601の条件が不成立となった場合、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算値ΣV、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算値ΣΔV、積算実行時間Ts(積算実行回数m、あるいはステップ603の条件成立後の継続時間Tcont)などをクリアせずに記憶しておく。そして、ステップ601〜603における条件が再び成立した後に、これらの処理を再開し、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算や、積算実行回数mあるいはステップ603の条件成立後の継続時間Tcontのカウントを続行しても良い。ステップ607の条件が成立した時(所定時間間隔TΣに対するそれぞれの積算処理が実行された後)はステップ608に進む。ステップ607の条件が不成立の時はステップ611の処理(現在のA/Fセンサ出力を記憶)のみを実行して異常検出処理ルーチンから抜け出す。
【0110】
ステップ608では、それまでの処理によって得られた積算されたA/Fセンサ出力の絶対値ΣVと積算されたA/Fセンサ出力の変動量ΣΔVとの比Q=ΣV/ΣΔVを算出する。
【0111】
ステップ609においては、ステップ608で求めた比Q=ΣV/ΣΔVが、あらかじめ設定した所定の判定値Qthを越えたかどうかをチェックする。比Qが判定値Qthを越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ610b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ610a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0112】
尚、比Q=ΣV/ΣΔVを所定の判定値Qthと比較する際には、あらかじめ正常な特性を持ったA/Fセンサにおける比ΣV/ΣΔVの標準値Q0を求めておき、その標準値Q0に対する測定値Qの比率が所定の判定値を越えたかどうかをチェックする等としても良い。
【0113】
(実施例6)
実施例6においては、上述の燃料噴射量補正率の変動ΔFTの積算S1=ΣΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算S2=ΣV、及びA/Fセンサ出力の変動量ΔVの積算S3=ΣΔVを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合について説明する。図20は、実施例6によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0114】
図20に示されるように、まずステップ701において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行するべき前提条件が成立中であれば次のステップ702に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣΔFT、ΣV及びΣΔVをクリア(ステップ714)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0115】
燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVは、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、出力積算値ΣVの精度を確保するため、A/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に短い時間である事が必要である。ステップ702では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1秒毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ703に進む。
【0116】
尚、異常検出処理のルーチン周期が燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ702は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期はA/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVを算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0117】
ステップ703では、ステップ701において異常検出処理実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。前提条件が不成立の状態である時の影響を除き、燃料噴射量補正率の変動ΔFTの積算データ、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算データ及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してから燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を実行することが望ましい。また、T2は、少なくとも燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサの出力の変動ΔVを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、ステップ712の処理(現在のA/Fセンサの出力の記憶)及びステップ713の処理(現在の燃料噴射量補正率の記憶)のみを実行し、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ704に進む。
【0118】
ステップ704では、現在のA/Fセンサ出力の絶対値Vを算出し、前回までの積算値ΣVに加えて積算値を更新する。この積算処理において、理論空燃比におけるA/Fセンサ出力がゼロでない場合、例えば、理論空燃比におけるA/Fセンサ出力に一定のオフセットを設けている場合等にはこのオフセット値を除いて積算を行う。また、空燃比の制御目標が理論空燃比ではない場合には、目標空燃比からのズレ量の絶対値を積算する等とする。尚、ステップ701〜703が成立した後、初めてステップ704の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ701不成立時の処理)。
【0119】
ステップ705では、これまでの処理においてステップ712で記憶していたT1秒前のA/Fセンサ出力(Vm−1とする)と現在のA/Fセンサ出力(Vmとする)との差の絶対値ΔVm=|Vm−Vm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔVm−1迄の積算値)に加算し、積算値ΣΔVを更新する。ステップ701〜703が成立した後、初めてステップ705の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ701不成立時の処理)。
【0120】
ステップ706では、これまでの処理においてステップ713で記憶していたT1秒前の燃料噴射量補正率の値(FTm−1とする)と現在の燃料噴射量補正率の値(FTmとする)との差の絶対値ΔFTm=|FTm−FTm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔFTm−1迄の積算値)に加算することにより、積算値ΣΔFTを更新する。ステップ701〜703が成立した後、初めてステップ706の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ701不成立時の処理)。
【0121】
ステップ707では、ステップ704〜706で実行した「積算」処理の実行回数mをカウントする。これまでに積算が実行された回数をmとすると、m×T1が燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算が行われた時間(これまでの積算実行時間)Tsとなる。積算を実行すべき回数をM(後述のステップ707において判断される)とすると、M×T1が燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算を行なうべき所定の時間間隔(積算実行時間)TΣとなる。あるいは、ステップ703の条件(T2以上経過)が成立した後の継続時間Tcontを計測することにより、この所定の時間間隔を管理してもよい。フィードバック補正による燃料噴射量補正率の変動周期及びA/Fセンサ出力の変動周期に比べて十分に長い時間に渡って積算が実行されるように、積算実行回数M(積算実行時間TΣ)、あるいはステップ703の条件が成立した後に継続すべき継続時間TΣ’を設定する。
【0122】
ステップ708では、ステップ707でカウントされた積算実行回数の積算値mが、上述の所定の積算実行回数M以上であるかどうかのチェックを行う。あるいは、積算実行回数mの代わりに継続時間Tcontによって積算実行時間TΣを管理する場合は、ステップ708ではステップ703の条件成立後の継続時間Tcontが所定の積算実行時間TΣ’以上であるかどうかのチェックを行う。ここで、燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間TΣは、必ずしも連続した時間間隔である必要は無い。例えば、燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算実行時間Tsが所定の値TΣに達する前にステップ701の条件が不成立となった場合、燃料噴射量補正率の変動ΔFTの積算値ΣΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算値ΣV、A/Fセンサ出力の変動ΔVの積算値ΣΔV、積算実行時間Ts(積算実行回数m、あるいはステップ703の条件成立後の継続時間Tcont)などをクリアせずに記憶しておく。そして、ステップ701〜703における条件が再び成立した後に、これらの処理を再開し、燃料噴射量補正率の変動ΔFT、A/Fセンサ出力の絶対値V及びA/Fセンサ出力の変動ΔVの積算や、積算実行回数mあるいはステップ703の条件成立後の継続時間Tcontのカウントを続行しても良い。ステップ708の条件が成立した時(所定時間間隔TΣに対するそれぞれの積算処理が実行された後)はステップ709に進む。ステップ708の条件が不成立の時はステップ712の処理(現在のA/Fセンサ出力を記憶)及びステップ713の処理(現在の燃料噴射量補正率を記憶)のみを実行して異常検出処理ルーチンから抜け出す。
【0123】
ステップ709では、それまでの処理によって得られた積算されたA/Fセンサ出力の絶対値ΣVと積算されたA/Fセンサ出力の変動量ΣΔVとの比Q=ΣV/ΣΔVと、及び積算された燃料噴射量補正率の変動ΣΔFTと積算されたA/Fセンサ出力の変動量ΣΔVとの比P=ΣΔFT/ΣΔVとを算出する。
【0124】
ステップ710においては、ステップ708で求めた比Q=ΣV/ΣΔVと比P=ΣΔFT/ΣΔVとの積R=PQを求める。そして、積Rがあらかじめ設定した所定の判定値Rthを越えたかどうかをチェックする。積Rが判定値Rthを越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ711b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ711a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0125】
尚、積R=(ΣΔFT・ΣV)/(ΣΔV)2を所定の判定値Rthと比較する際には、あらかじめ正常な特性を持ったA/Fセンサにおける積(ΣΔFT・ΣV)/(ΣΔV)2の標準値R0を求めておき、その標準値R0に対する測定値Rの比率が所定の判定値を越えたかどうかをチェックする等としても良い。
【0126】
(実施例7)
実施例7においては、実施例1と同様に、燃料噴射量の変動量ΔFTの積算S1=ΣΔFTを用いてA/Fセンサの応答特性の劣化を判定する場合を説明する。本実施例においては、積算実行時間TΣが必ずしも連続した時間間隔ではない場合の適用について、燃料噴射量補正率の変動量ΔFTを用いたA/Fセンサ出力の応答特性の劣化判定を例として説明する。他の実施例の場合についても同様にして適用できる。
【0127】
図21は、実施例7によるA/Fセンサ出力の劣化判定(異常検出)ルーチンを示すフローチャートである。
【0128】
図21に示されるように、まずステップ801において、A/Fセンサの異常検出を実行すべき前提条件、たとえば、車速が所定範囲内にあること、エンジン回転数が所定範囲内にあること、フィードバック制御が実行中であること、他の部品やシステムの異常による誤検出のおそれが無いこと等が成立するかどうかのチェックを行う。これらの前提条件のチェックは、各センサなどからの入力信号を検出することによって行われる。異常検出を実行するべき条件が成立中であれば次のステップ802に進む。前提条件が不成立であれば、前回までの処理の値ΣΔFTをクリア(ステップ814)した後、異常検出処理のルーチンから抜け出す。
【0129】
燃料噴射量補正率の変動量ΔFTは、所定の時間間隔T1秒毎に算出される。この時間間隔T1は、燃料噴射量補正率の変動量の精度を確保するため、十分に短い時間である事が必要である。ステップ802では、異常検出処理のルーチン周期(所定のクロックタイミング)が、燃料噴射量補正率の変動を算出すべき所定の時間間隔T1秒毎のタイミングにあるかどうかのチェックを行う。チェックの結果、現在のルーチン周期が時間間隔T1のタイミングでない時には、何の処理も実行せずに異常検出処理のルーチンから抜け出す。チェックの結果、異常検出処理のルーチン周期がT1秒毎のタイミングにあると判定された時は、次のステップ803に進む。
【0130】
尚、異常検出処理のルーチン周期が燃料噴射量補正率の変動を算出すべき時間間隔T1秒毎のタイミングに等しく設定されている場合には、ステップ802は不要となる。ただし、異常検出処理のルーチン周期は燃料噴射量補正率変動を算出すべき時間間隔T1以下であることが必要である。
【0131】
ステップ803では、ステップ801において異常検出処理実行のための前提条件が不成立の状態から成立の状態に移行したと確認された後、T2秒以上経過しているかどうかをチェックする。燃料噴射量補正率の変動量ΔFTを時間間隔T1秒毎に算出するにあたり、前提条件(ステップ801)が成立している場合の燃料噴射量補正率の値のみを用いることにより、正確な算出データを得ることができる。更に、前提条件が不成立の状態である時の影響を除いて燃料噴射量補正率の変動量ΔFTの積算データの精度を確保するために、前提条件成立後T2秒以上経過してから燃料噴射量補正率の変動量ΔFTの積算を実行することが望ましい。また、T2は少なくとも燃料噴射量補正率の変動量ΔFTを積算すべき時間周期T1以上とするのが望ましい(即ち、T1≦T2)。前提条件成立後の経過時間がT2秒未満の場合には、ステップ813の処理を実行(現在の燃料噴射補正率FTを記憶)し、異常検出処理ルーチンから抜け出す。前提条件成立後の経過時間がT2秒以上の場合には、次のステップ804に進む。
【0132】
ステップ804では、これまでの処理においてステップ813で記憶していたT1秒前の燃料噴射量補正率の値(FTm−1とする)と現在の燃料噴射量補正率の値(FTmとする)との差の絶対値ΔFTm=|FTm−FTm−1|を算出し、前回までの積算値(ΔFTm−1迄の積算値)に加算し、積算値ΣΔFTを更新する。ステップ801〜803が成立した後、初めてステップ804の処理を実行する場合は、「前回までの積算値」として初期値(=0)を用いる(ステップ801不成立時の処理)。
【0133】
ステップ805では、ステップ803の条件(即ち、ステップ801における前提条件成立後の経過時間がT2秒以上)が成立してからの継続時間t1を計測する。
【0134】
ステップ806においては、継続時間t1が所定の時間T3に到達しているかどうかが判断される。継続時間t1が所定の時間T3に到達していない場合、ステップ813の処理(現在の燃料噴射量補正率の記憶)のみが実行され、ステップ801に戻って異常検出ルーチンが繰り返される。即ち、継続時間t1が所定の時間T3に到達するまでの間、ΔFTの算出を実行し、積算値ΣΔFTを更新する(ステップ801〜805)。ステップ806において継続時間t1が所定の時間T3に到達したと判断されると、ステップ807に進む。
【0135】
ステップ807においては、それまでに得られた積算値ΣΔFT、即ちT3秒分の積算値ΣΔFTを、前回のT3秒分の積算値ΣΔFTに加算し、Σ(ΣΔFT)の値を更新する。ステップ807において、T3秒分の積算値ΣΔFTが初めて算出された場合には、「前回のT3秒分の積算値」は、初期値として0を用いる。
【0136】
ステップ808においては、カウンタを用いてステップ807の実行回数をカウントし、カウント数C1をインクリメントする。そして、ステップ809において、ステップ805で計測された時間t1をクリアする。
【0137】
ステップ810においては、カウンタのカウント数C1が、所定の値N以上であるかどうかが判断される。カウント数C1が所定の値Nに到達していない場合、ステップ813の処理(現在の燃料噴射量補正率の記憶)のみが実行され、ステップ801に戻って異常検出ルーチンが繰り返される。即ち、カウンタのカウント数C1が所定の値Nになるまでの間、T3秒分のΣΔFTの積算(即ち、Σ(ΣΔFT))を繰り返す(ステップ801〜809)。ステップ810においてカウンタのカウント数C1が所定の値Nに達した場合、ステップ811に進む。
【0138】
ステップ811においては、それまでに得られた積算値Σ(ΣΔFT)、即ち、T3×C1秒分のΔFTの積算値を、あらかじめ設定した所定の判定値Σ(ΣΔFT)thと比較する。Σ(ΣΔFT)が判定値Σ(ΣΔFT)thを越えていない場合はA/Fセンサの特性は正常であると判断し(ステップ812b)、越えている場合にはA/Fセンサの特性が劣化したとして異常と判断する(ステップ812a)。A/Fセンサが異常であると判断された場合には、インスツルメントパネル内の異常警告表示を点灯する等の処理をおこなう。
【0139】
この実施例において、カウンタのカウント数C1が所定の値Nに達する前にステップ801の前提条件が不成立となった場合には、その時点(その時点ではt1<T3)で積算途中であったT3秒間の積算値ΣΔFTはステップ814でクリアされるが、それまでに実行されたT3秒間の積算値の積算結果Σ(ΣΔFT)はそのまま記憶されている。従って、再びステップ801の前提条件が成立した時点から「T3秒間の積算」を続行し、カウンタのカウント数C1が所定の値Nに達するまでΣΔFTの積算を行うことにより、C1回×T3秒=TΣだけの時間にわたって燃料噴射量補正率の変動量の積算が実行される。
【0140】
この実施例の場合は、所定の積算実行時間TΣに対してT3を短く設定することにより、ステップ801の前提条件が成立・不成立を繰り返した場合にも効率よく燃料噴射量補正率の変動量の積算をTΣにわたって実施することが可能であり、A/Fセンサの異常を早期に検出することが可能となる。
【0141】
この実施例7の方法以外の方法でも、断続的に燃料噴射量補正率の変動量の積算を実行することによりA/Fセンサの異常を早期に検出可能である。
【0142】
また、本実施例で説明した、所定の積算実行時間TΣに至るまで断続的に積算を実行する処理は、他の実施例においても同様にして行うことができる。例えば、実施例2に応用する場合、ステップ301〜ステップ306(図16参照)を、実施例7におけるステップ801〜810の処理に対応するステップに置き換えることによって実行できる。
【0143】
以上、本発明によるA/Fセンサの劣化判定装置を各実施例によって説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、上記の各実施例による判定装置を個別に実施するだけでなく、実施例1〜6で説明した判定方法を2つ以上組み合わせてA/Fセンサの劣化を判定してもよい。また、劣化を判定すべきA/Fセンサのタイプや応答特性の劣化の程度に応じて、各実施例による判定方法を組み合わせた劣化判定装置を構成してもよい。
【0144】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、理論空然比を含む広範囲の空然比を連続的に検出可能な空然比センサ(A/Fセンサ)を用いた空然比制御装置において、ストイキ以外の制御領域におけるセンサ特性に依存することなく、早期に劣化が検出可能な空然比センサの劣化判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比とO2センサ出力電圧との関係を示す特性図である。
【図2】空燃比とA/Fセンサ出力電圧との関係を示す特性図である。
【図3】本発明の一実施形態によるA/Fセンサの劣化判定装置を適用するA/Fセンサを用いた空燃比制御装置を備えた電子制御式内燃機関の一例を示す全体概要図である。
【図4】図3に示す電子制御式内燃機関におけるエンジンECUのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】推定された筒内空気量及び算出された目標筒内燃料量の記憶状態を説明するための図である。
【図7】空然比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】燃料噴射制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】測定されるA/Fセンサ出力電圧VAF(実線)と実際のA/Fに応じて本来出力されるべきA/Fセンサ出力電圧(実A/F相当電圧)(破線)との関係を、A/Fセンサが(a)正常な応答特性を有する場合と、(b)劣化した応答特性を有する場合とについて示す図である。
【図10】(a)は高応答及び低応答A/Fセンサの出力の一例を示す図であり、(b)は燃料噴射量に対するフィードバック補正の一例を示す図である。
【図11】(a)は、A/Fセンサ出力の一例を示し、(b)はフィードバック制御による燃料噴射量補正率を示す図である。
【図12】A/Fセンサの応答特性と、燃料噴射補正量FTとA/Fセンサ出力の変動量Vとの比との関係を模式的に示す図である。
【図13】(a)は高応答A/Fセンサの出力特性を示す図であり、(b)は低応答A/Fセンサの出力特性を示す図である。
【図14】A/Fセンサの応答特性と、A/Fセンサ出力の絶対値Vの積算と変動ΔVの積算との比との関係を模式的に示す図である。
【図15】本発明の1つの実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【図16】本発明の他の実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【図17】本発明のもう1つの実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【図18】本発明のもう1つの実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【図19】本発明のもう1つの実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【図20】本発明のもう1つの実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【図21】本発明のもう1つの実施例による、A/Fセンサ出力の劣化判定を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2…エアクリーナ
4…スロットルボデー
5…スロットル弁
6…サージタンク(インテークマニホルド)
7…吸気管
8…アイドルアジャスト通路
10…燃料タンク
11…燃料ポンプ
12…燃料配管
20…エンジン本体(気筒)
21…燃焼室
22…冷却水通路
23…ピストン
24…吸気弁
26…排気弁
30…排気マニホルド
34…排気管
38…触媒コンバータ
40…エアフローメータ
41…バキュームセンサ
42…スロットル開度センサ
43…吸気温センサ
44…水温センサ
45…A/Fセンサ
46…O2センサ
50…基準位置検出センサ
51…クランク角センサ
52…アイドルスイッチ
53…車速センサ
60…燃料噴射弁
62…イグナイタ
63…点火コイル
64…点火ディストリビュータ
65…スパークプラグ
66…アイドル回転速度制御弁(ISCV)
68…アラームランプ
70…エンジンECU
71…CPU
72…システムバス
73…ROM
74…RAM
75…A/D変換回路
76…入力インタフェース回路
77a,77b、77c,77d…駆動制御回路
79…バックアップRAM
Claims (5)
- 排気系に設けた理論空燃比を含む広範囲の空燃比を連続的に検出可能な空燃比センサと、
該空燃比センサの出力と目標空燃比に相当する目標出力との偏差に基づいて、機関に供給する混合気の空燃比が該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中において、燃料噴射補正量の変動量ΔFTを所定期間の間積算することにより変動量積算値ΣΔFTを算出する変動量積算値算出手段と、
該変動量積算値算出手段により算出された変動量積算値ΣΔFTが所定値を越えた時に、前記空燃比センサが劣化していると判定する劣化判定手段と、
を備えた空然比センサの劣化判定装置。 - 排気系に設けた理論空燃比を含む広範囲の空燃比を連続的に検出可能な空燃比センサと、
該空燃比センサの出力と目標空燃比に相当する目標出力との偏差に基づいて、機関に供給する混合気の空燃比が該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中において、燃料噴射補正量の変動量ΔFTと該空燃比センサの出力の変動量ΔVとをそれぞれ所定期間の間積算することにより、対応する変動量積算値ΣΔFT及びΣΔVを算出する変動量積算値算出手段と、
該変動量積算値算出手段により算出された該変動量積算値ΣΔFTとΣΔVとの比に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
を備えた空然比センサの劣化判定装置。 - 排気系に設けた理論空燃比を含む広範囲の空燃比を連続的に検出可能な空燃比センサと、
該空燃比センサの出力と目標空燃比に相当する目標出力との偏差に基づいて、機関に供給する混合気の空燃比が該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
該空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中において、 該空燃比センサの出力Vと空燃比センサの出力の変動量ΔVとを所定期間の間積算することにより、出力積算値ΣV及び変動量積算値ΣΔVを算出する出力積算値及び変動量積算値算出手段と、
該出力積算値及び変動量積算値算出手段により算出された該出力積算値ΣVと該変動量積算値ΣΔVとの比に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
を備えた空然比センサの劣化判定装置。 - 請求項3に記載の空然比センサの劣化判定装置において、
前記空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御の実行中における燃料噴射補正量の変動量ΔFTと前記空燃比センサの出力の変動量ΔVとを前記所定期間の間積算することにより、対応する変動量積算値ΣΔFT及びΣΔVを算出する変動量積算値算出手段を更に備え、
前記劣化判定手段は、前記出力積算値ΣVと変動量積算値ΣΔVとの比及び前記変動量積算値ΣΔFTとΣΔVとの比に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する、
空然比センサの劣化判定装置。 - 請求項4に記載の空然比センサの劣化判定装置において、前記劣化判定手段は、前記出力積算値ΣVと変動量積算値ΣΔVとの比と、前記変動量積算値ΣΔFTとΣΔVとの比との積に基づいて、前記空燃比センサの劣化の有無を判定する、空然比センサの劣化判定装置。
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