JP3605446B2 - 塗料用水性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料用水性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリシロキサン樹脂は、耐熱性、撥水性および耐候性に優れ塗料用樹脂として有用な特徴を持つが、ポリシロキサン樹脂を単独で用いた場合は、その弾性率および強度が低すぎるために強靱な塗膜が得られにくく、その用途は狭い範囲に限定されることになる。そのため、従来よりポリシロキサン樹脂と、アクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂などを組み合わせてその特徴を生かす工夫がなされている。
【0003】
また、水性塗料は、溶剤系塗料に比べて引火、中毒および大気汚染の危険性が極めて小さいことなどからアクリル系、ウレタン系などの様々のタイプが開発され広く利用されているが、ポリシロキサン樹脂を大量に含有する水性塗料の実用化に際してはまだいくつかの課題が残されており、一般の塗料用途に広く利用される迄には至っていないのが現状である。
【0004】
例えば特公昭63−23212号公報には、ポリシロキサンの側鎖に複数のアルコール性水酸基を導入して水溶性塗料を得る方法が開示されているが、このように完全に水に溶解するタイプの塗料には水分散型に比べて、樹脂を高分子量化したときの塗料粘度が高くなりすぎる点や親水性の官能基が塗膜中に大量に残存して塗膜の撥水性を確保するのが難しくなる点などの不利が伴う。
【0005】
また、特開平1−161057号公報には、シラノールあるいはアルコキシシランを有するシリコーン重合体と、有機重合体とを非イオン性界面活性剤の存在下で混合することによって水ベース有機重合体を変性する方法が開示されており、20%よりも多いシリコーンの導入による耐腐食性の向上が観察されている。しかしながら、この方法では、重合体の流動性および相溶性の不足のため均質な樹脂成分を得ることが難しく、塗膜の透明性を必要とする用途には不適である。
【0006】
一方、水分散型塗料は、溶剤系塗料に比べ造膜性、乾燥性等に劣るため、造膜助剤、蒸発促進剤等の有機溶剤をある程度配合するのが一般的であるが、有機溶剤の配合は水分散型塗料の安定性に著しく影響を及ぼすため、有機溶剤添加時の安定性が常に問題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような現状に鑑み、本発明の目的は、有機溶剤添加時の安定性に優れ、かつ透明性の良好な塗膜を与える水分散型ポリシロキサンを含有する塗料用水性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(A)、ビニル重合性単量体を繰り返し単位とする重合体ブロック(B)、および該重合体ブロック(A)と該重合体ブロック(B)とに共重合したケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)から構成されるグラフトブロック共重合体が界面活性剤(D)を存在させた水性媒体中に乳化分散されてなる樹脂組成物であって、上記ケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)の含有量が上記した重合体ブロック(A)およびケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)の合計量に対しケイ素原子を基準にして1モル%以上50モル%以下であり、かつ上記界面活性剤(D)の量が上記グラフトブロック共重合体に対して0.05重量%以上1.5重量%以下であることを特徴とする塗料用水性樹脂組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料用水性樹脂組成物(以下、樹脂組成物という)は、グラフトブロック共重合体が界面活性剤を存在させた水性媒体中に乳化分散されたものよりなる。
【0010】
本発明の樹脂組成物を構成するグラフトブロック共重合体は、ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(A)(以下、重合体ブロック(A)という)、ビニル重合性単量体を繰り返し単位とする重合体ブロック(B)(以下、重合体ブロック(B)という)および(メタ)アクリロイルオキシ基を有するケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)(以下、グラフト交叉剤単位(C)という)から構成され、グラフト交叉剤単位(C)は、少なくとも1個のシロキサン結合を介して重合体ブロック(A)に共重合され、さらにグラフト交叉剤単位(C)は、重合体ブロック(B)にも共重合されている。
【0011】
グラフト交叉剤単位(C)と重合体ブロック(B)との共重合は、グラフト交叉剤単位(C)の原料となるグラフト交叉剤中のビニル重合性官能基と重合体ブロック(B)の原料となるビニル重合性単量体とをラジカル共重合することによって達成できる。
【0012】
本発明のグラフトブロック共重合体における重合体ブロック(A)は、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアルコキシシラン、ジメチルシロキサン環状オリゴマーなどを原料として合成できる。原料の価格と得られる樹脂の熱安定性等の性能を考慮すると、重合体ブロック(A)の原料として最も好適なのは、ジメチルシロキサン環状オリゴマー(ジメチルサイクリックス)である。
【0013】
また、重合体ブロック(B)を構成するのに用いられるビニル重合性単量体の例としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸シクロアルキル、アクリル酸シクロアルキル、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、メタクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0014】
また、グラフト交叉剤単位(C)を構成するのに用いられるグラフト交叉剤としては、重合体ブロック(A)と共重合するために分子中に1個以上のシラノール基、アルコキシシリル基またはクロロシリル基などの官能基と、重合体ブロック(B)と共重合するための(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものを挙げることができる。本発明においては、重合反応性、コスト面を考慮するとビニル重合性官能基含有アルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。
【0015】
ビニル重合性官能基含有アルコキシシラン化合物の例としては、例えばγ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0016】
なお、シロキサン重合体成分に含まれるアルコキシシランおよびシラノールの量は、シロキサン成分の重合条件によって制御できるが、本発明においてはアルコキシシランおよびシラノール残基は必要なく、むしろ樹脂組成物の貯蔵安定性を確保する上でこれらの官能基は少ない方が良い。このため、重合体ブロック(A)およびグラフト交叉剤単位(C)に含まれるケイ素原子上のアルコキシ基およびヒドロキシ基の合計量は、重合体ブロック(A)およびグラフト交叉剤単位(C)中のケイ素原子合計量に対し2モル%未満であることが好ましい。
【0017】
グラフトブロック共重合体におけるグラフト交叉剤単位(C)の含有量は、重合体ブロック(A)およびグラフト交叉剤単位(C)の合計量に対しケイ素原子を基準にして1モル%以上50モル%以下であることが必要であり、1モル%未満の場合は得られる樹脂塗膜の透明性が不良となり、一方、50モル%を超えると原料コストの点で不利になることに加えて、縮合時に脱離するアルコールなどの副生物がラテックスの安定性や取り扱い性を損なわせ、さらには塗膜性能を損なわせるようになる。好ましくはグラフト交叉剤単位(C)の含有量は、上記の基準で1.5モル%以上40モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以上20モル%以下である。グラフト交叉剤単位(C)の含有量が3モル%以上の時に得られる塗膜の透明性は極めて良好となり、20モル%以下の時に乳化重合の際のラテックス安定性が良好となる。
【0018】
また、グラフトブロック共重合体における重合体ブロック(B)の含有量は、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)およびグラフト交叉剤単位(C)の合計量に対して、50重量%以上95重量%以下であることが好ましい。重合体ブロック(B)の含有量が50重量%未満の樹脂組成物から形成した塗膜は、強度が低下する傾向にあり、また、重合体ブロック(B)の含有量が95重量%を超える場合には、塗膜の耐水性や耐ブロッキング性が低下する傾向にある。さらに好ましくは、70重量%以上95重量%以下である。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、上記の特徴を有するグラフトブロック共重合体からなる樹脂成分が界面活性剤(D)を存在させた水性媒体中に乳化分散されたエマルションの形で提供されるが、エマルションの粒子径は製法によって任意に変更でき、通常の平均粒子径は0.01〜0.5μm程度である。
【0020】
エマルション中の樹脂成分含有率は、通常50重量%以下の範囲で任意に選択できるが、濃縮を行うことによりさらに高濃度とすることも可能である。通常のスプレー塗装に供する場合には、塗工性および塗膜性能を考慮すると15〜45重量%の含有率が好ましい。
【0021】
本発明で使用される界面活性剤(D)の種類は特に限定されないが、重合時の安定性の点からアニオン性界面活性剤を用いるか、もしくは酸性界面活性剤を使用後中和するのが好ましい。使用できる界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸等が挙げられる。
【0022】
本発明の樹脂組成物における界面活性剤(D)の量は、グラフトブロック共重合体に対して0.05重量%以上1.5重量%以下である必要がある。界面活性剤の量が0.05重量%未満の場合は、樹脂を乳化分散することが困難になる。また、界面活性剤の量が1.5重量%を超える場合は、有機溶剤添加時の安定性が低下し、樹脂の凝集が起りやすくなる。界面活性剤の量は、より好ましくは0.1重量%以上1.0重量%以下であり、この範囲において、樹脂の乳化分散が極めて容易であり、有機溶剤添加時の安定性がさらに良好になる。さらに好ましい界面活性剤の量は、0.1重量%以上0.5重量%以下である。この範囲において、有機溶剤添加時の安定性が極めて良好になる。
【0023】
本発明の樹脂組成物における界面活性剤(D)の添加は、グラフトブロック共重合体の重合時、重合終了後、または樹脂組成物配合時において行われる。
【0024】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば重合体ブロック(A)の原料である環状ジメチルシロキサンオリゴマーおよびグラフト交叉剤単位(C)の原料であるビニル重合性官能基含有アルコキシシランを酸性乳化剤の存在下で乳化重合し、中和した後に、重合体ブロック(B)の原料であるビニル重合性単量体を添加しラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合することで製造できる。
【0025】
環状ジメチルシロキサンオリゴマーおよびビニル重合性官能基含有多官能アルコキシシランの合計量と、水との比率は任意に選択できるが、重量比にて1:1〜1:9の範囲が好ましい。
【0026】
酸性乳化剤は、環状ジメチルシロキサンオリゴマーを開環できるものであればよく特に限定されないが、容易に入手でき、かつ重合に適した酸性乳化剤の例としてはドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。酸性乳化剤の好ましい使用量は、目的とするエマルションの粒子径、固形分量、重合温度および他の界面活性剤の併用により変化するが、シロキサンの重合を速やかに進行させるためには環状ジメチルシロキサンオリゴマーとビニル重合性官能基含有多官能アルコキシシランの合計量に対して0.5重量%以上用いるのが好ましい。
【0027】
シロキサンの重合温度は、特に限定されないが、少なくとも一度は60℃以上の熱履歴を受けることが好ましく、さらに好ましくは75℃以上である。
【0028】
得られるシロキサン重合体エマルションの粒子径は、原料の予備分散の度合い、乳化剤量、重合温度および原料の供給方法によって制御できる。より小さい粒子径を有するエマルションは、原料と水を乳化剤の存在下でホモジナイザーなどの高シェア発生装置により予備乳化するか、原料または予備乳化液を水中に滴下するか、乳化剤を増量するか、重合温度を上昇させるかのいずれかの方法あるいはこれらの方法を適宜組み合わせることにより得ることができる。
【0029】
シロキサンの重合に要する時間は、重合条件によって変化するが、通常は0.5時間以上1ケ月以下である。酸性乳化剤の存在下で重合されたシロキサン重合体中には実質的に未反応のアルコキシシランが残存しない。得られたシロキサン重合体のエマルションは強い酸性であるので、シロキサンの重合終了後に中和する必要がある。
【0030】
続いて行われるビニル重合性単量体の乳化重合に用いるラジカル重合開始剤は、乳化ラジカル重合に用いられる周知のものが利用できる。ビニル重合性単量体の仕込み方法は、特に制限されず、一括仕込みあるいは滴下のいずれの方法でもよい。
【0031】
得られたエマルションはそのままで、あるいは水で希釈してプラスチック、金属板、あるいは表面処理された基材上に、吹きつけあるいはその他の方法で塗りつけた後、乾燥、硬化して塗膜とすることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて顔料、安定剤、補助硬化剤、硬化助剤などを含んでもよく、さらに他のエマルション樹脂、水溶性樹脂あるいは粘性制御剤と混合して用いてもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。実施例中の部はすべて重量部である。
また、実施例および比較例における性能の評価は以下に示す方法を用いて行った。
【0034】
(1)透明性
ガラス板上に塗った厚さ約100μmの加熱硬化塗膜を目視評価した。
○:曇りが認められない。
△:わずかに曇りが認められる。
×:明らかに白濁が認められる。
【0035】
(2)イソプロピルアルコールによる希釈安定性
エマルション100gをマグネチックスターラーで撹拌しながらイソプロピルアルコール(IPA)を添加し24時間静置した後、目視評価で凝集ポリマーの生成を観察した。凝集ポリマーの生成をほとんど伴わずに添加可能なIPAの量で安定性を評価した。
◎:IPAを100gまで添加しても凝集ポリマーがほとんど生成しない。
○:IPAを50gまで添加しても凝集ポリマーがほとんど生成しない。
△:IPAを20gまで添加しても凝集ポリマーがほとんど生成しない。
×:IPAの添加20g未満で凝集ポリマーが大量に生成するか、ゲル化して流動性がなくなる。
【0036】
〔実施例1〕
ジメチルサイクリックス(DMC,環状ジメチルシロキサンオリゴマー3〜7量体混合物)90部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM3)(グラフト交叉剤)10部、水300部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)(界面活性剤)1部からなる組成物をホモミキサーで予備混合した後に、ホモジナイザーによる200kg/cm2 の圧力で剪断し、強制乳化してシリコーン原料エマルションを得た。
【0037】
次いで、水100部およびドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)(酸性乳化剤)1部を撹拌機、コンデンサー、加熱ジャケットおよび滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、フラスコ内の温度を85℃に保ちながら3時間かけて上記のシリコーン原料エマルションを滴下した。滴下終了後、さらに1時間加熱、撹拌を続けた後、得られたエマルションを室温まで冷却し、ドデシルベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウムにより中和してシリコーンポリマーエマルションを得た。
【0038】
次いで、この得られたシリコーンポリマーエマルション全量部、水820部および過硫酸カリウム5部を撹拌機、コンデンサー、加熱ジャケットおよび不活性ガス導入孔を備えたフラスコに仕込み、70℃に昇温した後に、窒素雰囲気下で撹拌しながら、メタクリル酸メチル(MMA)342部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)540部およびメタクリル酸(MAA)18部の混合物を4時間かけて滴下重合した。滴下終了後、70℃で1時間保持し、さらに80℃に昇温して1時間保持した。反応液を室温まで冷却し、アンモニア水により中和してシリコーン・アクリルポリマーエマルションを得た。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0039】
〔実施例2〕
シリコーンポリマーエマルションの重合時に使用したDBSAの量を4部に変更し、最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が0.5重量%(対ポリマー)になる様にし、各原料成分の量を表1に示した様に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0040】
〔実施例3〕
シリコーンポリマーエマルションの重合時に使用したDBSAの量を2部に変更し、最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が0.3重量%(対ポリマー)になる様にし、各原料成分の量を表1に示した様に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0041】
〔実施例4〕
各原料成分の量を表1に示した様に変更して、最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が0.4重量%(対ポリマー)になる様にし、成分(B)のグラフト共重合反応時に仕込む水の量を210部とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0042】
〔実施例5〕
実施例2の成分(A)および成分(C)と、成分(B)との重量比を表1に示した様に変更し、最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が1.5重量%(対ポリマー)になる様にし、成分(B)のグラフト共重合反応時に仕込む水の量を0部とした以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0043】
〔実施例6〕
シリコーンポリマーエマルションの重合時に使用したDBSAの量を6部に変更し、最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が0.7重量%(対ポリマー)になる様にし、各原料成分の量を表1に示した様に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0044】
〔比較例1〕
グラフト交叉剤KBM3の量を表1の如くに変更した以外は、実施例1と同様しシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0045】
〔比較例2〕
シリコーンポリマーエマルションの重合時に使用したDBSAの量を24部に変更し、最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が2.5重量%(対ポリマー)になる様にした以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0046】
〔比較例3〕
シリコーンポリマーエマルションの重合時に使用したDBSAの量を14部に変更し、成分(B)の滴下重合前にDBSNa25部の添加を行って最後に得られるシリコーン・アクリルポリマーエマルション中のDBSNa量が4.0重量%(対ポリマー)になる様にし、各原料成分の量を表1に示した様に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン・アクリルポリマーエマルションを製造した。
得られたエマルションの評価結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、透明性の良好な塗膜を与え、かつ良好な溶剤希釈安定性を有するので、ポリシロキサンを含有する水性エマルション塗料用樹脂として様々な塗料用途に用いることができる。
Claims (1)
- ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(A)、ビニル重合性単量体を繰り返し単位とする重合体ブロック(B)、および該重合体ブロック(A)と該重合体ブロック(B)とに共重合した(メタ)アクリロイルオキシ基を有するケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)から構成されるグラフトブロック共重合体が界面活性剤(D)を存在させた水性媒体中に乳化分散されてなる樹脂組成物であって、上記ケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)の含有量が上記した重合体ブロック(A)およびケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)の合計量に対しケイ素原子を基準にして1モル%以上50モル%以下であり、かつ上記界面活性剤(D)の量が上記グラフトブロック共重合体に対して0.05重量%以上1.5重量%以下であることを特徴とする塗料用水性樹脂組成物。
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