JP3604889B2 - スタビライザを備えたトレーリングアーム式サスペンション - Google Patents
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Description
【技術分野】
本願発明は、自動車のリヤサスペンションとして用いられるスタビライザを備えたトレーリングアーム式サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、この種のトレーリングアーム式サスペンションの一例として、特開平8−216639号公報に所載のものを先に提案している。この従来のものは、本願の図7および図8に示すように、車輪取付け用のスピンドル軸11を後端部に備えた左右一対のトレーリングアーム1e,1eに、車幅方向に延びるトーションビーム2eの長手方向両端部を連結したものである。上記トレーリングアーム1e,1eの前部には、車体への取付け用のブッシュ10,10が溶接されており、これらブッシュ10,10の支持点を中心として、上記各トレーリングアーム1eが車両高さ方向に揺動可能である。上記トーションビーム2eは、車両前方側が開口した断面略V字状または断面略U字状であり、スタビライザ8は、このトレーリングアーム2eの内部に配されて、各トレーリングアーム1eを車幅方向に貫通している。上記スタビライザ8は、丸棒状の部材の両端部をプレス加工して形成されたものであり、その端部80は、たとえば本願の図9に示すように、水平方向の横幅bが車両高さ方向の縦幅hよりも大きい横長の矩形断面形状に押し潰されており、この端部80が各トレーリングアーム1eにボルト止めされている。
【0003】
上記構成のトレーリングアーム式サスペンションでは、左右一対のトレーリングアーム1e,1eに上下方向の段差を生じさせる入力があると、このトーションビーム2eの曲げ変形や捩じり変形によって、その入力を吸収緩和できる。また、その際にスタビライザ8は、上記入力に対する抵抗力を発揮するために、サスペンションのロール剛性が高まり、車両のローリングを抑制する機能を発揮する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のトレーリングアーム式サスペンションでは、次に述べるように、未だ改善の余地があった。
【0005】
第1に、上記従来のトレーリングアーム式サスペンションでは、スタビライザ8の支持端となる両端部80,80が横長な偏平状であるために、各トレーリングアーム1eへのボルト止め作業については容易化されるものの、上記スタビライザ8の固有振動数を大きくする上で不利を生じていた。すなわち、部材の固有振動数ωnは、たとえば一端固定・他端自由の先端に質量mをもつ片もち梁では、ωn=(k/m)1/2 である。ここで、k=3EJ/L3 であり、Eは縦弾性係数、Jは梁の断面2次モーメント、Lは梁の長さであり、梁の断面形状が矩形の場合には、J=bh3 /12である。従来のスタビライザ8の端部80は、その横幅bが大きい反面、縦幅hの数値が小さくなっている。このため、従来では、スタビライザ8の端部80の断面2次モーメント、およびその剛性は比較的小さく、スタビライザ8が上下方向に振動する際の固有振動数が小さくなり易い傾向があった。その一方、スタビライザ8の固有振動数が小さい場合には、車両走行時にスタビライザ8が上下方向に大きな振幅で振動し易くなり、この振動がサスペンションの他の部材や車両各部に伝わることによって、車両の乗り心地が悪くなる不具合を招く。したがって、従来では、スタビライザ8の振動を少なくし、車両の乗り心地を向上させる点において、未だ改善の余地があった。
【0006】
第2に、上記従来のトレーリングアーム式サスペンションでは、スタビライザ8がトーションビーム2eよりも前方の位置、より厳密には、トーションビーム2eの開口部分の内部に配されている。ところが、このような構成では、サスペンションへの負荷入力点である後輪の取付位置(スピンドル軸11)からスタビライザ8が遠く離れた位置に存在することとなり、後輪の取付箇所からサスペンションに対して上下方向の負荷入力があっても、この入力負荷がスタビライザ8によって受けられる割合が少なくなってしまう。すなわち、スタビライザ8の取付点と後輪との間の距離が大きいと、上記入力負荷がトレーリングアーム1e自体の変形やトーションビーム2eの変形によって吸収される可能性が高まってしまい、その分だけスタビライザ8の本来の機能が減じられることとなる。したがって、この点においても、従来では、改善の余地があった。
【0007】
なお、実開昭55−71906号公報の第1図には、左右一対のトレーリングアームを繋ぐビームよりも車両後方にスタビライザを配した構造が記載されている。したがって、同公報に記載の構造では、スタビライザの支持点を後輪に近づけることによってスタビライザの本来の機能を高めることは可能である。ところが、同公報に記載の構造では、スタビライザの長手方向中間部をビームに支持させている。したがって、上記図7および図8に示したサスペンションのように、スタビライザの両端部のみをトレーリングアームに連結させて、その長手方向中間部についてはビームなどに固定させることなく、スタビライザの全長域のバネ性を利用して車両のローリングを少なくしようとする場合には、上記実開昭55−71906号公報に記載の手段を適用することはできない。また、同公報に記載の構造では、スタビライザの両端部とトレーリングアームとの連結点の構成は不明瞭であり、いずれにもしても、図7ないし図9を参照して先に述べた点については、未だ改善の余地があった。
【0008】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、簡易な手段によって、スタビライザを上下方向に振動し難くし、またスタビライザが本来の機能を効率良く発揮できるようにして、車両の乗り心地の向上を図ることをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本願発明は、車幅方向に間隔を隔てて配されて車体に対する前端部の取付け点を中心として車両高さ方向に揺動可能な左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びて上記一対のトレーリングアームどうしを互いに連結するトーションビームと、上記一対のトレーリングアームのそれぞれに両端部が連結されたバー状のスタビライザとを具備しており、かつ上記一対のトレーリングアームには、上記トーションビームよりも車両後方において後輪を支持する後輪支持手段が設けられている、スタビライザを備えたトレーリングアーム式サスペンションであって、上記スタビライザの両端部と上記一対のトレーリングアームとの連結位置は、上記トーションビームよりも車両後方に配されているとともに、上記スタビライザの両端部は、水平方向の横幅よりも車両高さ方向の縦幅の方が大きな縦長の断面形状に形成されており、上記各トレーリングアームは、アッパ部材とロア部材とが接合され、かつこれらアッパ部材とロア部材とのそれぞれの外周縁に形成されたフランジ部が重ね合わされた構造を有しており、上記フランジ部が重ね合わされた部分には、この部分に重ね合わされて固定される車両前後方向に延びた第1板部と、この第1板部の一端から車両高さ方向に屈曲して車両前後方向に延びた第2板部とを有するブラケットが取付けられ、このブラケットの第2板部に上記スタビライザの端部が重ね合わされて固定連結されていることを特徴としている。
【0011】
本願発明においては、一対のトレーリングアームのそれぞれに連結されるスタビライザの両端部を、水平方向の横幅よりも車両高さ方向の縦幅の方が大きな縦長の断面形状に形成しているために、従来のスタビライザの両端部を横長の断面形状にしていた場合と比較すると、スタビライザの車両高さ方向の負荷に対する両端部の強度、すなわち両端部の断面2次モーメントや剛性が高まる。このため、スタビライザ全体の固有振動数を大きくすることができる。したがって、車両走行時において、スタビライザが大きな振幅で車両高さ方向に振動し易くなることを解消することができ、従来よりも車両の乗り心地を良好にすることができるという効果が得られる。
【0012】
また、本願発明では、たとえばスタビライザを丸棒部材から作製する場合に、この丸棒部材の両端部を押し潰す方向を、従来の方向と相違させるだけでよい。したがって、本願発明では、スタビライザの製造作業が従来よりも煩雑になるといった不具合もなく、その製造コストを安価にすることができる。さらに、本願発明では、スタビライザの両端部と各トレーリングアームとの連結位置は、トーションビームよりも車両後方であり、スタビライザの両端部はトーションビームよりも後輪の近くにあるために、後輪から入力する負荷はスタビライザによって効率良く受けることができ、スタビライザの本来の機能を効率良く発揮させることができる。より具体的には、ロール剛性を従来よりも高めて車両のローリングを従来よりも少なくすることができるとともに、車両のコーナリング時に発生するロールステアの抑制効果などが得られることとなる。
【0014】
さらに、本願発明によれば、各トレーリングアームに取付けられているブラケットの第2板部は、車両高さ方向、すなわち上下方向に延びた部分であるから、いわゆる縦長の断面形状に形成されているスタビライザの端部を上記第2板部に沿わせてボルト止めするなど、上記スタビライザの取付けが適切に行える。また、上記ブラケットの第1板部は、各トレーリングアームを構成するアッパ部材とロア部材とのそれぞれのフランジ部に重ねられて固定されているために、これらフランジ部と第1板部とが互いに重なり合うことによって、この部分の剛性が高められることとなる。したがって、スタビライザの端部の支持強度を高める上でも好都合となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0016】
図1は、本願発明に係るスタビライザを備えたトレーリングアーム式サスペンションの一例を示す一部省略平面図である。図2は、図1に示すサスペンションの要部斜視図である。図3は、図1に示すサスペンションの要部分解斜視図である。図4は、図1のIV−IV断面図である。図5は、図1のV−V断面図である。図6は、図1に示すサスペンションのスタビライザの取付部分の分解斜視図である。なお、これらの図において矢印Frは車両前方を示し、矢印wは車幅方向を示し、矢印Upは車幅方向を示す。
【0017】
図1において、本実施形態のトレーリングアーム式サスペンションは、左右一対のトレーリングアーム1,1、トーションビーム2、スタビライザ3、およびこのスタビライザ3を支持する左右2つのブラケット4,4を具備して構成されている。
【0018】
上記トレーリングアーム1,1のそれぞれは車両前後方向に延びており、車幅方向に一定間隔を隔てて互いに対向して配置されている。上記各トレーリングアーム1の前端部には、このトレーリングアーム1を車体フレーム(図示略)に取付けるためのブッシュ10が設けられており、このブッシュ10の取付中心Cを中心としてトレーリングアーム1の全体が車両高さ方向(上下方向)に揺動可能となっている。また、各トレーリングアーム1の後端部には、車輪を取付けるためのスピンドル軸11が突設されている他、サススプリングを取付けるための取付座部12なども適宜設けられている。
【0019】
図2および図3によく表れているように、上記各トレーリングアーム1は、上下2分割状のアッパ部材1aとロア部材1bとが接合して構成されたいわゆるモナカ状の中空形状となっている。これらアッパ部材1aとロア部材1bとは、金属板をプレス加工(深絞り加工)することによって形成されたものであり、アッパ部材1aの下部周縁とロア部材1bの上部周縁に設けられたフランジ部13a,13bは互いに重ねられて溶接されている。
【0020】
図3および図4によく表れているように、上記トーションビーム2は、車両前方側に開口した開口部20を形成する傾斜状の上片部21aと下片部21bとを備えた断面略V字状または断面略U字状であり、たとえば一定厚みの金属板を屈曲または湾曲加工して形成されたものである。このトーションビーム2は、車幅方向に延びており、その長手方向両端部は、図1ないし図3に示すように、各トレーリングアーム1の車幅方向内方を向く内側面部に設けられた第1の開口部14内に挿入されている。また、上記トーションビーム2の長手方向両端部の先端は、上記第1の開口部14よりもさらに車幅方向外方に延びており、各トレーリングアーム1の車幅方向外方を向く外側面部に設けられた第2の開口部15内にも挿入している。その結果、上記トーションビーム2は、その長手方向両端部が上記各トレーリングアーム1の車幅方向に貫通した状態となっている。上記第1の開口部14の周縁および第2の開口部15の周縁のそれぞれとトーションビーム2の外面には、溶接Wa,Wbが施されており、これにより各トレーリングアーム1とトーションビーム2との連結固定が図られている。
【0021】
なお、図3によく表れているように、上記各トレーリングアーム1に設けられた第1の開口部14は、トレーリングアーム1のアッパ部材1aとロア部材1bとにフランジ13a,13bなどを設けることなく、上記アッパ部材1aとロア部材1bとの両者によってその周縁をかたちどることによって形成された開口部である。この第1の開口部14は、この開口部14内にトーションビーム2の端部を差し込んだときにこのトーションビーム2よりも車両前方の部分が開口するように、トレーリングアーム1の長手方向略中央部からブッシュ10の近傍に至る比較的広い領域にわたって形成されている。このように、トーションビーム2の挿入位置の前方側を開口させれば、トレーリングアーム1に比較的大きな捩じり変形を生じさせることができ、トーションビーム2の変形のみらず、トレーリングアーム1の変形によってもサスペンションへの入力負荷の吸収を図ることが可能となる。また、上記第1の開口部14の周縁の先端部には、その先端部を上記第1の開口部14の外方方向へ屈曲することによって形成された起立状のフランジ板部19a,19bが設けられている。これらのフランジ板部19a,19bは、上記第1の開口部14の周縁の強度、とくに応力集中が生じ易い上記溶接Waの溶接終端90付近の強度を高めたり、あるいは上記第1の開口部14の開口寸法を高精度に仕上げることを容易にするのに役立つ。
【0022】
また、図2によく表れているように、上記第2の開口部15は、上記第1の開口部14とは異なり、アッパ部材1aのフランジ13aの一部を上方に湾曲させるとともに、下側のフランジ13bの一部を下方に湾曲させることによって、これら両フランジ13a,13bによって外周が囲まれた形態の開口部として形成した部分である。上記第2の開口部15をフランジ13a,13bによって囲んだ形状とすれば、この第2の開口部15の周縁の剛性を高めるのに有利となる。上記トーションビーム2は、上記第1の開口部14に挿入する部分の幅S1よりも第2の開口部15に挿入する部分の幅S2の方が小さく形成されており、第2の開口部15をできる限り小さくして、トレーリングアーム1の強度低下をなるべく招かないように配慮されている。
【0023】
上記スタビライザ3は、図1によく表れているように、一定寸法を有する金属製のバー状の部材を平面視略コ字状に屈曲または湾曲して形成されたものであり、車幅方向に延びる直線状の中間部3aと、この中間部3aの両端から屈曲して車両後方に向けて延びる屈曲部3b,3bとを具備している。このスタビライザ3の材料としては、たとえば丸棒部材が用いられている。したがって、このスタビライザ3の各所は、基本的には断面円形状であるが、このスタビライザ3の屈曲部3b,3bの長手方向の両端部30,30についてはプレス加工が施されており、この部分の断面形状は縦長な略矩形状とされている。すなわち、図6によく表れているように、このスタビライザ3の端部30は、その水平方向の横幅bよりも車両高さ方向の縦幅hの方がかなり大きな縦長の略矩形状断面形状となっている。
【0024】
上記各ブラケット4は、適当な肉厚の金属製プレートを断面略L字状に折り曲げるなどして形成されたものであり、第1板部41とこの第1板部41の一端から第1板部41と直交する方向に屈曲した第2板部42とを具備している。図5によく表れているように、上記第1板部41は、略水平状の姿勢に設定されてから各トレーリングアーム1の2つのフランジ部13a,13bに重ねられた上で、その部分にボルト止めされている。より具体的には、上記フランジ部13a,13bと上記第1板部41とにはボルト5aが挿通するボルト挿通孔50,43が適宜数設けられており、上記ボルト5aとこれに螺合するナット5bとの締付けによって、上記ブラケット4が上記フランジ部13,13bに固定して取付けられている。これにより、上記ブラケット4の第2板部42は、上記第1板部41から車両高さ方向に一定寸法だけ延びた姿勢となっており、この第2板部42の側面部に上記スタビライザ3の端部30がボルト止めされている。より具体的には、スタビライザ3の端部30と上記第2板部42とにはボルト5cが挿通するボルト挿通孔31,44が適宜数設けられており、上記ボルト5cとこれに螺合するナット5cとの締付けによって、上記スタビライザ3の端部が上記ブラケット4の第2板部42に固定して取付けられている。
【0025】
図1によく表れているように、上記スタビライザ3は、その全体がトーションビーム2よりも車両後方に位置するように配されており、その両端部30,30のトレーリングアーム1,1に対する連結位置A,Aも、上記トーションビーム2よりも車両後方とされ、車両前後方向においてスピンドル軸11の取付け位置と略同等な位置に配されている。
【0026】
次に、上記構成のトレーリングアーム式サスペンションの作用について説明する。
【0027】
まず、上記トレーリングアーム式サスペンションでは、スタビライザ3の両端部30,30が縦長な略矩形状断面に形成されており、その縦幅hの値が大きい。その一方、断面矩形状の部材の断面2次モーメントの値J(J=bh3 /12)は、縦幅hの3乗に比例するために、この縦幅hを大きくすることによって、断面2次モーメントの値を非常に大きくすることができる。したがって、上記スタビライザ3の支持点となる両端部30,30の断面2次モーメントJを大きくし、その剛性を高めることができる分だけ、スタビライザ3全体の固有振動数を大きくすることができる。その結果、車両の走行時において、路面の凹凸変化などに即座に反応してスタビライザ3が上下方向に大きな振幅で振動することが抑制され、車両全体の振動を少なくすることができることとなる。上記スタビライザ3の中間部3aは、トーションビーム2に支持されておらず、このスタビライザ3の全長域のバネ性を利用してスタビライザ本来の機能を充分に発揮させることが可能であるが、このように中間部3aを支持しない構造とすれば、本来的にスタビライザ3の振動が起こり易くなるものの、本実施形態では、上述したようにスタビライザ3の振動を適切に抑制することが可能となる。
【0028】
また、上記トレーリングアーム式サスペンションでは、上記一対のトレーリングアーム1,1に上下方向の段差を生じさせる負荷入力があったときには、この入力負荷をスタビライザ3で効率良く受けることができ、このスタビライザ3の抵抗力によって車両のロールを抑制することができる。すなわち、サスペンションへの負荷入力は、後輪からこの後輪を支持するスピンドル軸11に入力するが、上記スタビライザ3の両端部30,30はこのスピンドル軸11に近い位置に設けられているために、その負荷入力についてはスタビライザ3によって効率良く受けることができる。さらに詳しくは、上記スタビライザ3は、このスタビライザ3よりも車両前方に位置するトーションビーム2が大きく変形してから作用するのではなく、上記入力負荷を上記トーションビーム2や各トレーリングアーム1の各部の変形に先立つかたちでスタビライザ3に受けさせることが可能となる。したがって、上記スタビライザ3の機能により、車両のロール剛性を高め、車両旋回時に後輪がいわゆるトーアウトなる角度を小さくしてオーバステアの原因となるロールステアを少なくする上で、好ましいものとなる。さらには、上記スタビライザ3の両端部30,30は、後輪に近い位置に連結されているために、このスタビライザ3が左右一対の後輪間を車幅方向に突っ張り、それらの間の距離を一定寸法に規制する機能をも発揮することとなる。
【0029】
なお、上記実施形態では、スタビライザ3の両端部30,30を支持する各ブラケット4の第1板部41を、各トレーリングアーム1のフランジ部13a,13bに重ね合わせてこれらを一体的にボルト止めしているために、このブラケット4の取付部分の強度を効率良く高めることができる。
【0030】
また、本願発明では、要は、スタビライザの端部の断面形状は、水平方向の横幅よりも車両高さ方向の縦幅の方が大きな断面形状であればよく、その横幅と縦幅との具体的な寸法比率なども限定されない。
【0031】
その他、本願発明に係るトレーリングアーム式サスペンションの各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。たとえば、上記実施形態では、トレーリングアームに第1の開口部と第2の開口部とを設けて、トーションビームをそれらの開口部に一連に挿通しているが、本願発明はこれとは異なり、トレーリングアームの車幅方向内方を向く内側面部にのみ開口部を形成して、この開口部にのみトーションビームが挿入して接合された構造のサスペンション構造としてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るトレーリングアーム式サスペンションの一例を示す一部省略平面図である。
【図2】図1に示すサスペンションの要部斜視図である。
【図3】図1に示すサスペンションの要部分解斜視図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】図1に示すサスペンションのスタビライザの取付部分の分解斜視図である。
【図7】従来のトレーリングアーム式サスペンションの一例を示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】従来のスタビライザの一例を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 トレーリングアーム
1a アッパ部材(トレーリングアームの)
1b ロア部材(トレーリングアームの)
2 トーションビーム
3 スタビライザ
4 ブラケット
11 スピンドル軸(後輪支持手段)
30 端部(スタビライザの)
41 第1板部(ブラケットの)
42 第2板部(ブラケットの)
b 横幅(スタビライザの端部の)
h 縦幅(スタビライザの端部の)
Claims (1)
- 車幅方向に間隔を隔てて配されて車体に対する前端部の取付け点を中心として車両高さ方向に揺動可能な左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びて上記一対のトレーリングアームどうしを互いに連結するトーションビームと、上記一対のトレーリングアームのそれぞれに両端部が連結されたバー状のスタビライザとを具備しており、かつ上記一対のトレーリングアームには、上記トーションビームよりも車両後方において後輪を支持する後輪支持手段が設けられている、スタビライザを備えたトレーリングアーム式サスペンションであって、
上記スタビライザの両端部と上記一対のトレーリングアームとの連結位置は、上記トーションビームよりも車両後方に配されているとともに、
上記スタビライザの両端部は、水平方向の横幅よりも車両高さ方向の縦幅の方が大きな縦長の断面形状に形成されており、
上記各トレーリングアームは、アッパ部材とロア部材とが接合され、かつこれらアッパ部材とロア部材とのそれぞれの外周縁に形成されたフランジ部が重ね合わされた構造を有しており、
上記フランジ部が重ね合わされた部分には、この部分に重ね合わされて固定される車両前後方向に延びた第1板部と、この第1板部の一端から車両高さ方向に屈曲して車両前後方向に延びた第2板部とを有するブラケットが取付けられ、このブラケットの第2板部に上記スタビライザの端部が重ね合わされて固定連結されていることを特徴とする、スタビライザを備えたトレーリングアーム式サスペンション。
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JPH11180124A (ja) | 1999-07-06 |
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