JP3601080B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関し、特に、パージ処理を行う場合の空燃比制御の高精度化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料タンク等の燃料供給系内において発生する蒸発燃料の大気中への放出による大気汚染拡大防止対策として、該蒸発燃料を一旦キャニスタと称される吸着手段に吸着させ、この吸着燃料をパージさせ、該パージ燃料を混合気(パージガス)として吸入空気中に導入させて処理するようにした蒸発燃料処理装置が知られており、例えば、特開昭63−186955号公報に開示されるようなものがある。
【0003】
このものは、キャニスタの機関吸気系への連通を接・断(ON・OFF)する方式のパージ処理装置である。
この装置では、定常的にキャニスタをパージするコンスタントパージオリフィスと、スロットル弁が開いたときに所定量のガスをパージするパージ開閉弁とによりパージを遂行する。
【0004】
ここで、コンスタントパージオリフィスを用いず、パージ開閉弁のみを用いる方法もある。
この方法では、例えば、図17に示すように、スロットル弁1付近に吸気負圧導入孔2を設け、この導入孔2から導入した負圧をパージ開閉弁3と一体に形成された開閉作動用のダイアフラム4に作用させて、パージ開閉弁3を作動させる。この場合、負圧はスロットル弁1を微小角度開いたとき、それまでスロットル弁1に対して相対的に上流に位置していた負圧導入孔2がスロットル弁1の角度変化により、該スロットル弁1に対して相対的に下流に位置するようになり、吸入負圧がキャニスタ5に導入されるようになっている。
【0005】
このため、アイドリング状態から車両発進のために、スロットル弁1を操作したときに、キャニスタ5の吸着燃料がパージされて吸気管6内に流入することになり、パージに至る前条件(即ち、キャニスタ5の蒸発燃料の吸着度合い等)によってパージガスが極端にリッチ(或いはリーン)であると、このガスが流入した後の混合気の空燃比がリッチ(或いはリーン)となり、運転性や排気エミッションに影響を与えるという不具合がある。
【0006】
そこで、特開昭63−85249号公報等に開示されるように、前記パージ開閉弁3に代えて電制式のパージ弁とし、このパージ弁を開とする運転条件の設定やパージ弁開度のきめ細かい制御を行う試みが多くなされている。
但し、このものでは、前記運転条件としてのスロットル開度、機関負荷及び機関回転速度では、機関の吸入空気流量が十分得られない条件下でパージ弁を大きく開弁させる可能性があり、前述したようにパージに至る前条件によってパージガスが極端にリッチ(或いはリーン)であると機関運転性等へ与える影響が大きい。
【0007】
このような可能性を低減する手法として、前記電制式パージ弁を用い、吸入空気流量に比例したパージ量となるように(即ち、パージ率〔パージ量/吸入空気流量〕が所定の値となるように)、パージ量を制御する技術が、例えば特開昭61−19962号公報等に開示されている。
この方式では、パージガスによる混合気の空燃比のリッチ化(或いはリーン化)に対して、排気中の酸素濃度を検出して機関吸入混合気の空燃比を検出する酸素センサを用いて、所定の空燃比が得られるように、空燃比補正量を介して空燃比制御量(例えば、燃料噴射量)をフィードバック制御するようにしているが、パージ制御中(以下、パージONとも言う)と非パージ中(以下、パージOFFとも言う)では空燃比補正量に大きな差があり、パージのON・OFF切換時には大きな空燃比段差が発生するため、切換に伴う運転性や排気エミッションの悪化を抑制することができなかった。
【0008】
このため、例えば、特開平2−245442号公報に開示されるように、キャニスタ内に吸着された蒸発燃料を機関の吸気系にパージさせる制御弁の開弁量を、機関負荷及び機関回転速度に応じて求め、この開弁量に応じて空燃比補正量を調整する学習値を調整することにより、空燃比の制御精度を高めるようにしたものや、例えば、特開平3−260351号公報に開示されるように、非パージ領域では目標空燃比を非パージ領域学習値により補正し、パージ領域では目標空燃比をパージ領域学習値で補正するようにして、各領域で最適な学習制御を可能としたものがある。
【0009】
しかし、これらのものでは、パージ制御中の空燃比学習値が、非パージ制御中の空燃比学習値と同様に、機関運転条件毎に分けられたテーブル又はマップにより与えられたメモリに格納されることとなっていたため、例えば、キャニスタ内吸着燃料量が多く(パージガスの空燃比がリッチ傾向である)、パージ制御中にある運転条件内の学習値が更新(リッチ化を防止する方向に更新)され、この学習領域を通らないまま、キャニスタ内のパージが進み、次に同学習領域内を通過するときには、前回更新した学習値とは全く要求が異なり(即ち、パージガスの空燃比がリーン化しており)、このまま前回更新した学習値を使用すると、空燃比が大きく乱れ、排気エミッションや運転性が悪化することとなっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
かかる問題を解決すべく、本願出願人は、特願平6−49485号において、空燃比補正量の学習値を、パージによる影響が大きい場合(機関運転条件に依らず、パージガスの空燃比に対応した学習値)と、パージによる空燃比への影響が小さい場合(機関運転条件毎に分けられたテーブル等に格納する学習値)と、の2つに分けるようにして、パージ制御と非パージ制御との切り換え時における空燃比制御を高精度化する技術を提案した。
【0011】
しかしながら、上記の特願平6−49485号のものでも、例えば、パージ制御から非パージ制御に切り換えた直後は、吸気系内にはパージガスが残留しており、この残留パージガスの空燃比によっては(目標空燃比に対してリッチ或いはリーンである場合が多い)、空燃比段差が発生し、排気エミッションや運転性が悪化する場合がある。
【0012】
ここで、当該問題について、より詳細に説明する。
即ち、
特願平6−49485号公報のものでは、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときと、小さいときと、に応じた2つの学習マップを持ち、それぞれの学習値をLα1、Lα2としている。
【0013】
そして、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときには、Lα1とLα2との和から1を差し引いた値Lα12(=Lα1+Lα2−1)を学習値として用い、影響度合いが小さいときには、Lα2を学習値として用いるようにしている。
このように、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときにLα12を用いるのは、この場合にはパージガスの空燃比への影響が大きいので、パージガスの空燃比に応じて学習されるLα1によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応する一方、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習されたLα2によって、ベース空燃比のズレに対応することで、空燃比制御の制御精度を向上させるためである。なお、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときには、Lα2の更新は行わない。
【0014】
ところで、Lα1は、パージガスの時々刻々変化する濃度に対応する学習値であるので、機関の運転条件(例えば、負荷や回転速度)に依らず1つの値を順次更新させる一方、Lα2は経時変化等によるベース空燃比のズレの補正を目的とするので、機関の運転条件毎に区分けされたマップを持つ。
ここで、図18のタイムチャートについて説明する。なお、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響の大きなときと、小さなときを、その典型であるパージガスの空燃比がリッチな場合のパージ制御時と、非パージ制御時(パージカットした場合)と、で説明することにする。
【0015】
このようなパージ制御時には、学習値Lα12により、フィードバック補正係数αは安定しているが、パージカットした時、即座に、学習値はLα2に切り換えられる。Lα2はリッチであるパージガスが吸入されないパージカット時(通常運転時)の学習値であるから、Lα12に対して大きな値(燃料増量方向)に学習されているので、従ってパージカット直後において空燃比はリッチ側へ補正されるので、HC等の排気エミッションが悪化することになる。なお、パージカット時は、通常、スロットル弁の閉弁を伴うので、これによって吸入空気流量が減少すると共に、吸気マニホールド内に残留する残留パージガスにより、実際に機関に吸入される混合気の空燃比はリッチとなり、更に、前述したLα2によってリッチ補正されることになるので、最終的な機関吸入混合気の空燃比は極めてリッチ化し、よりHC等の排気エミッションの悪化が顕著になるという問題もある。
【0016】
更に、このリッチ傾向を回復させるために、学習値Lα2は小さな値(燃料減量方向)に更新されることになるが、このとき既に残留パージガスは消費されているので、今度は機関吸入混合気の空燃比はリーンとなり、運転性の悪化やNOxを増大させることになるのである。
なお、当該空燃比段差の問題は、パージカットに限らず、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときの学習値Lα1(即ち、Lα12)と、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さいときの学習値Lα2と、の間に偏差がある場合には、その切り換え時に生じるものである。
【0017】
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときと、小さいときに応じた2つの学習値を持つ場合において、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、小さい状態へ移行する際の空燃比制御を最適なものとすることができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。また、当該制御において、高精度化、簡略化を図ることも本発明の目的である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明にかかる内燃機関の空燃比制御装置では、図1に示すように、
燃料供給系内で発生した蒸発燃料を吸着した後、該蒸発燃料を空気と共に吸気通路等の吸気系にパージする蒸発燃料パージ装置Aを備えると共に、
機関運転条件を検出する運転条件検出手段Bと、
機関吸入混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段Cと、
前記運転条件検出手段Bにより検出された機関運転条件に基づいて空燃比の基本制御値を設定する空燃比基本制御値設定手段Dと、
前記空燃比検出手段Cにより検出された空燃比を目標値に近づけるように前記空燃比の基本制御値を増減補正するための空燃比フィードバック補正値を設定する空燃比フィードバック補正値設定手段Eと、
前記蒸発燃料パージ装置Aからの蒸発燃料パージによる空燃比への影響の大・小を判定する判定手段Fと、
前記判定手段Fにより空燃比への影響が小と判定された際に、空燃比フィードバック補正値の基準値からの偏差を減少させるように、運転領域毎に、第1学習値を設定更新する第1学習値設定更新手段Gと、
前記判定手段Fにより空燃比への影響が大と判定された際に、前記第1学習値設定更新手段Gによる第1学習値の設定更新を禁止すると共に、空燃比フィードバック補正値の基準値からの偏差を減少させるように、蒸発燃料パージによる空燃比への影響度合いに対応させた第2学習値を設定更新する第2学習値設定更新手段Hと、
前記判定手段Fにより空燃比への影響が小と判定された際には、少なくとも、前記空燃比の基本制御値と、前記空燃比フィードバック補正値と、前記第1学習値と、に基づいて最終的な空燃比の制御値を設定する一方、前記判定手段Fにより空燃比への影響が大と判定された際には、前記第1学習値に代えて、前記第2学習値に基づく値を用いて、最終的な空燃比の制御値を設定する空燃比制御値設定手段Iと、
を含んで構成した内燃機関の空燃比制御装置において、
前記蒸発燃料パージ装置Aからの蒸発燃料パージによる空燃比への影響が大の状態から、小の状態へ移行し、前記空燃比制御値設定手段Iにおいて、前記第2学習値に基づく値から前記第1学習値へ切り換える際に、
当該切換時における残留パージガスによる空燃比の変動を抑制するように、前記第2学習値に基づく値と前記第1学習値とに基づいて切換時学習値相当値を設定する切換時学習値相当値設定手段Jと、
当該設定した切換時学習値相当値と、前記空燃比の基本制御値と、前記空燃比フィードバック補正値と、に基づいて切換時の最終的な空燃比の制御値を設定する切換時空燃比制御値設定手段Kと、
を備えるようにした。
【0019】
請求項2に記載の発明では、前記第2学習値に基づく値を、前記第2学習値と、前記第1学習値と、に基づく値とした。
請求項3に記載の発明では、前記切換時学習値相当値設定手段Jを、切り換え指示後、所定時間内において、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差に比例した値を、前記第2学習値に基づく値から減算して求めた値を切換時学習値相当値として設定する手段とし、
前記切換時空燃比制御値設定手段Kを、切り換え指示後、所定時間内において、前記設定された切換時学習値相当値を用いて、切換時の最終的な空燃比の制御値を設定する手段とし、
切り換え指示後所定時間経過後には、前記空燃比制御値設定手段Iにより前記第1学習値を用いて最終的な空燃比の制御値を設定するようにした。
【0020】
請求項4に記載の発明では、前記切換時を、パージカット時とした。
請求項5に記載の発明では、前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを条件とするようにした。
【0021】
【作用】
上記の構成を備える請求項1に記載の発明は、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際に、それぞれの状態において使用する学習値を、直ちに切り換え使用するのではなくて、例えば、パージカット時の残留パージガスによる空燃比変動を抑制すべく、パージガスの空燃比の目安となる第1学習値と、第2学習値に基づく値(第2学習値そのものでもよい)と、の偏差に基づいて、切換時学習値相当値(第2学習値から第1学習値へ近づける方向とは逆方向の値、図16参照)を設定し、これを用いて切換時の最終的な空燃比の制御値を設定するようにする。
【0022】
これにより、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の残留パージガスに起因する空燃比変動を防止できると共に、空燃比フィードバック補正値の変動を抑制できるので、第1学習値の誤学習を防止することができるようになる。従って、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の排気エミッションや運転性の悪化等を防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、前記第2学習値に基づく値を、前記第2学習値と、前記第1学習値と、に基づく値とすれば、パージガスの空燃比への影響が大きい場合の空燃比制御において、パージガスの空燃比に応じて学習される第2学習値によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応できると共に、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習される第1学習値によって、ベース空燃比のズレに対応することができるので、空燃比制御の高精度化を図ることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明では、学習値の切り換え指示後、所定時間内において、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差に比例した値を、前記第2学習値に基づく値から減算して求めた値を切換時学習値相当値として設定し、当該設定された切換時学習値相当値を用いて、切換時の最終的な空燃比の制御値を設定するようにし、切り換え指示後所定時間経過後には、前記空燃比制御値設定手段により前記第1学習値を用いて最終的な空燃比の制御値を設定するようにした。これにより、比較的簡単な構成で、例えば、比較的小さな値(リーン補正側)の第2学習値に基づく値を、切換指示後、一旦更に小さな値(リーン補正側)に設定し、その後比較的大きな値(リッチ補正側)の第1学習値に切り換えることができるので、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の残留パージガスに起因する空燃比変動を防止できる。
【0025】
請求項4に記載の発明では、前記切換時を、パージカット時としたので、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差が大きい場合で、切り換えに伴う残留パージガスによる空燃比変動が大きく、第1学習値の誤学習や、排気エミッションや運転性の悪化が顕著になる場合に限って、上記のような前記切換時空燃比制御値設定手段による切り換え制御が行われることになるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明では、前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを条件とするようにしたので、パージカット時に通常伴うスロットル弁の閉弁動作により、吸入空気流量が減少して、吸気マニホールド内に残留する残留パージガスの影響度合いが大きくなって、機関吸入混合気の空燃比はリッチ傾向が強まり、切り換えに伴う空燃比変動が大きく、第1学習値の誤学習や、排気エミッションや運転性の悪化が顕著になる場合に限って、上記のような前記切換時空燃比制御値設定手段による切り換え制御が行われることになるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の一実施例を、添付の図面に基づいて説明する。
図2において、機関11の吸気通路12には、図示しないエアクリーナを介して導入される吸入空気流量Qaを検出するエアフロメータ13及びアクセルペダルと連動して吸気量Qaを制御するスロットル弁14が設けられ、下流のマニホールド部分15には気筒毎に燃料供給手段としての電磁式の燃料噴射弁16が設けられている。
【0028】
前記燃料噴射弁16は、マイクロコンピュータ等を内蔵したコントロールユニット17からの噴射パルス信号によって開弁駆動し、燃料を噴射供給する。
排気通路18には、マニホールド部分18Aの集合部に排気中酸素濃度を検出することによって吸入混合気の空燃比を検出する手段としての空燃比センサ(以下、酸素センサと言う)19が設けられている。
【0029】
又、図示しないディストリビュータには、クランク角センサ20が内蔵されており、該クランク角センサ20から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出する。更に、冷却水温度TWを検出する水温センサ21が設けられている。
【0030】
一方、図示しない燃料タンクの上部空間に溜まる蒸発燃料は、機関11の停止中に蒸発燃料通路22を介してキャニスタ23に導かれ、該キャニスタ23内の活性炭等の吸着剤により一時的に吸着される。キャニスタ23の上層の空間部は、吸気通路12のスロットル弁14下流に形成されたパージポート12Aにパージ通路24を介して連通される。このパージ通路24には、コントロールユニット17によって通電制御されるパージ制御弁25が介装されている。
【0031】
以上の構成において、前記エアフロメータ13、クランク角センサ20、水温センサ21を含む機関11の運転条件を検出するセンサ類(運転条件検出手段として機能する)と、機関11の運転空燃比を検出する酸素センサ19と、燃料供給装置としての燃料噴射弁16と、前記センサ類から信号に基づき空燃比フィードバック制御域であるか否かを判別し、この制御域であると判別されたときに実空燃比が目標空燃比と一致するように、燃料噴射弁16からの噴射燃料量(空燃比制御量)を制御する、コントロールユニット17にソフトウェア的に装備された空燃比フィードバック制御系(本発明の空燃比基本制御値設定手段、空燃比フィードバック補正値設定手段を含む)が構成される。
【0032】
一方、前記空燃比フィードバック制御系に対し、前記キャニスタ23と、パージ通路24と、パージ制御弁25と、該パージ制御弁25の開度を機関運転条件に基づいて演算し、これをパージ制御弁25に指令する、コントロールユニット17にソフトウェア的に装備されたパージ制御手段と、から蒸発燃料のパージ装置が構成される。
【0033】
蒸発燃料の処理装置全体は、上記蒸発燃料のパージ装置の他に、燃料タンクで発生した蒸発燃料をキャニスタ23に導くチャージ装置等からなる。
前記パージ制御弁25としては、例えば、弁の開閉のみを制御する開閉ソレノイド弁、弁開度をステッピングモータの動作角で直接制御する弁、ソレノイド弁を所定周期で開閉駆動して、この所定周期中に占める開弁時間の割合(ONデューティ)を制御する所謂デューティ弁等様々な方式のものが採用される。
【0034】
尚、本実施例においては、前記デューティ弁を例にとって説明を進める。
また、本発明における判定手段、第1学習値設定更新手段、第2学習値設定更新手段、空燃比制御値設定手段、切換時学習値相当値設定手段、切換時空燃比制御値設定手段は、コントロールユニット17がソフトウェア的に装備するものである。
【0035】
ここで、本実施例のコントロールユニット17が行う燃料噴射量(噴射パルス幅)の演算ルーチンについて、図3のフローチャートに従って説明する。なお、本発明は、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい場合と、小さい場合とで、学習値を切り換える場合に、その切り換えに伴い発生する空燃比段差を吸収するものであるが、以下、パージガスの空燃比の機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい場合を、パージガスの空燃比がリッチであるパージ制御中とし、小さい場合を非パージ制御(パージカット)として説明する。
【0036】
ステップ(図では、Sと記してある。以下、同様。)1では、クランク角センサ20の検出信号に基づいて、機関回転速度Neを求める。
ステップ2では、エアフローメータ13の検出信号に基づいて、吸入空気流量Qaを求める。
ステップ3では、機関運転条件(例えば、Tp〔或いはQa〕やNe、水温Tw等)を検出して、高負荷・高回転域での増量補正のための空燃比補正係数(KMR+KTMR )や、低水温時に強制的にリッチ側に補正する水温補正係数(Kw)や、始動及び始動後増量補正係数(Kas)等から、各種補正係数COEF(1+KMR+KTMR +Kw+Kas+・・・)を求める。
【0037】
ステップ4では、吸入空気流量Qaと、機関回転速度Neと、から基本燃料噴射パルス幅(基本燃料噴射量に相当)Tp=k×Q/Ne(kは定数)を演算する。
ステップ5では、酸素センサ19のリッチ・リーン判定出力信号を読み込む。ステップ6では、酸素センサ19のリッチ・リーン反転信号に基づく空燃比フィードバック制御において設定された空燃比フィードバック補正係数α(本発明における空燃比フィードバック補正値に相当する)を読み込む。
【0038】
上記の空燃比フィードバック補正係数αは、燃料噴射弁16の製品誤差等を補正すべく、所定の場合(例えば、リーン化制御時、始動時、酸素センサの活性化前、高負荷時、加・減速時等)を除いて、酸素センサ19のリッチ・リーン反転出力に基づいて比例積分(PI)制御により増減されるもので、これにより燃焼用混合気の空燃比を目標空燃比(理論空燃比)近傍にフィードバック制御するようになっている。
【0039】
ステップ7では、後述するルーチンにより設定される学習値Lαを読み込む。ステップ8では、最終的な有効燃料噴射パルス幅Ti(=Tp×(α+Lα−1)×COEF×k+k’)を演算し、噴射パルス信号として燃料噴射弁16に送り、燃料噴射を行わせる。
ここで、上記kは、各回転毎の演算か、或いは各サイクル毎の演算かにより定まる定数である。また、k’は、バッテリ電圧低下等による噴射弁16の開弁時間補正のための係数である。
【0040】
次に、パージ制御弁25の開弁DUTYの算出について、図4のフローチャートに従って説明する。
ステップ11では、機関運転状態(NeやTp〔或いはQa〕)に基づいてマップ等(例えば、図5)を参照して基本DUTYを求める。
ステップ12では、機関運転状態やパージ総量等から、例えばパージ総量では図6のマップを参照して目標パージ率Evptrを求める。
【0041】
ステップ13では、前記基本DUTYと、前記目標パージ率Evptrと、の積から、パージ制御弁25の開弁DUTYを求める。
なお、前記図5の基本DUTYマップと、図6のパージ率マップについて説明すると、基本DUTYは、機関吸入空気流量Qaに比例したパージ量となるように、機関回転速度Neと機関負荷(TpやQa)とにより与えられ、吸入空気流量Qaが大きくなる程大きな値となる。
【0042】
目標パージ率Evptrは、例えば、パージ総量(パージ開始からの積算パージ量)によって変えられ、パージが進んだ場合(パージ総量大)には、パージガス中の燃料濃度が低くなるため、パージ率を大にして、機関吸入混合気の空燃比への影響を小さくすべく、多量のパージが可能となるように設定してある。
ここで、パージガスの空燃比がリッチであるか否かは、空燃比フィードバック補正係数αによって判別できる。機関の燃料噴射は、基本的(冷機時や耐熱条件下では別として)には理論空燃比を実現するように行われている。ここで、キャニスタ23からのパージガスが機関吸気系に導入され、機関の運転空燃比がリッチになると、機関11の排気通路18に配される酸素センサ19によりこれが検知され、空燃比を補正すべくフィードバックがかけられる。空燃比フィードバック制御はリッチであれば、燃料噴射量を減量補正し、リーンであれば増量補正する。
【0043】
即ち、
空燃比フィードバック補正係数αの演算は、酸素センサ19で検出される排気中の酸素濃度に基づいて目標空燃比(例えば理論空燃比)に対する実際の空燃比のリッチ/リーンを判別し、リッチからリーン(リーンからリッチ)への反転時には、空燃比フィードバック補正係数αを所定の比例分(P分)だけ増大(減少)させ、その後空燃比がリッチからリッチに反転するまでの間、積分分(I分)によって除々に補正係数αを増大(減少)させるようになっている。
【0044】
この空燃比フィードバック補正係数αの演算方法の一例を図7のフローチャートに示しておく。
なお、空燃比フィードバック補正係数αは、基本燃料噴射パルス幅Tpに乗算される補正項であり、上記の比例・積分制御(PI制御)によって、実際の空燃比が目標空燃比に近づく方向に燃料噴射量がフィードバック制御される。
【0045】
ところで、この空燃比フィードバック補正に際しては、補正を施してから、その補正結果を再度検出するまでに遅れ時間を含むので、通常ではオーバシュートを生じ、空燃比が理論混合比付近に精度良く制御されているときは、リッチ/リーンの補正反転を繰り返している。しかし、パージが行われ、運転空燃比がリッチであることを補正し続けている状況下では、噴射燃料量は減量補正され続け、ついにパージガスによるリッチ化を打ち消す程度に減量補正が進むと、通常時と同様にリッチ/リーンを繰り返すフィードバック補正が再開される。
【0046】
このときの空燃比フィードバック補正減量は、パージガス濃度に対応するので、従って空燃比フィードバック補正係数αの平均値の大小により、パージガスの空燃比の推定が行えることになる。
次に、学習値Lαの演算ルーチン(定常時、及びパージOFF→ON時)を、図8のフローチャートに示す。なお、以下に説明する本発明の第2学習値に相当するLα1は、パージガスの空燃比への影響度合いの大きい領域でのパージガスの空燃比に応じた学習値であり、本発明の第1学習値に相当するLα2は、パージガスの空燃比への影響度合いの小さい領域での運転条件毎に設定される学習値(即ち、通常の経時劣化等を補正するための学習値)である。
【0047】
ステップ21では、空燃比フィードバック制御(λコントロール)中であるか否かを判定し、λコントロール中でなければ、ステップ37に進んで、空燃比学習値Lαを1に設定する。λコントロール中であれば、ステップ22に進む。このステップ22では、別ルーチンで演算された空燃比フィードバック補正係数αを読み込み、ステップ23では、後述の別ルーチンで演算されるパージ燃料が無い場合の空燃比学習値Lα2を読み込む。
【0048】
ステップ24では、パージ制御中であるか否かを判定し、パージ中であれば、ステップ25に進み、パージ制御中でないならば、ステップ29に進む。
ステップ25では、現在の目標パージ率Evptrを読み込み(図6参照)、ステップ26ではパージ制御中の空燃比学習基準値Lαoを読み込み、これらを基にステップ27でパージ制御中空燃比学習値Lα1を演算する(Lα1=Lαo×Evptr)。
【0049】
ここで、以上のように空燃比学習値Lα1を目標パージ率Evptrと空燃比補正学習基準値Lαoとで求める演算方法について説明する。
図9は、パージ率変化時のαとLα1の動きを示す。
即ち、始動直後にまだパージ開始許可条件になっていない場合には、パージ率は当然0であり、パージ時空燃比学習値Lα1,Lαoは共に初期値1に設定されている。パージ開始が許可されると、最初は空燃比への影響を最小にするため、なるべく低いパージ率から開始される。パージガス中燃料による空燃比のリッチ化によって空燃比フィードバック補正係数αは空燃比がλ=1となるように、その値を小さくしていく。空燃比がλ=1に設定されると、αはまた反転を始めるが、ここでパージ時空燃比学習基準値Lαoの学習を行い、その値はα=1になるまで更新される。キャニスタ内燃料のパージが進み、図6に従ってパージ率が大きく設定された場合には、パージ率Evptrを基にLα1を演算する。
【0050】
例えば、パージ率Evptr=1(%)を基準に考えると、Evptr=1(%)の場合には、Lαo=Lα1となるが、パージ率が変わった場合には、前述したLα1=Lαo×Evptr(%)で求めるのである。
従って、かかる演算方法により、基準パージ率(例えば1%)のときの空燃比学習値Lαoを基にパージ率が変化しても空燃比補正を正しくできる。
【0051】
ステップ28では、空燃比フィードバック補正係数αとパージ制御中空燃比学習値Lα1を夫々基準値と比較し、両方の値とも基準値内であれば、空燃比のズレが少なく、パージ燃料の影響が少ないため、パージが無い場合と同じとみなして、ステップ29に進む。このステップ29では、パージフラグFLGPRGを0にして、パージ燃料なしの(影響度合い小さいとの)判断に用いる。ステップ30では、パージ燃料の影響がないことから、最終的な空燃比学習値Lαをパージ燃料無し時空燃比学習値Lα2と同じ値とする(Lα=Lα2)。
【0052】
一方、ステップ28で、空燃比フィードバック補正係数αとパージ制御中空燃比学習値Lα1の少なくとも一方の値が基準値外であれば、空燃比のズレが多く、パージ燃料の影響が大きいため、ステップ31に進んで、パージフラグFLGPRGを1にして、パージ燃料有りの(影響度合い大きいとの)判断に用いる。ステップ32では、パージ燃料の機関吸入混合気の空燃比への影響が大きい場合の最終的な空燃比学習値Lαをパージ有り無し夫々の空燃比学習値Lα1,Lα2を用いて求める(Lα=Lα1+Lα2−1=Lα12、本発明の第2学習値に基づく値に相当する)。このように、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときに(Lα=Lα1+Lα2−1)を用いるようにしたのは、この場合にはパージガスの空燃比への影響が大きいので、パージガスの空燃比に応じて学習されるLα1によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応する一方、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習されたLα2によって、ベース空燃比のズレに対応することで、空燃比制御の制御精度を向上させるためである。なお、かかるLα12を用いずとも、やや制御精度は低下するが、Lα1によって制御するようにしてもよい。更に、ステップ33〜36では、空燃比学習値Lαの上・下限値Lαh,Lαlを定め、誤学習等により学習値が異常に変化するのを防止する。
【0053】
次に、パージ有り無し夫々の空燃比学習値Lαo,Lα2の更新について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ41では、図7に示すフローチャートに従って求めた空燃比フィードバック補正係数αを読み込み、ステップ42でそのαの値の最大値と最小値の平均値αpを次式の通り演算する。
【0054】
αp=(Σαmax,min)/n
ステップ43で平均値αpの制御中心からの偏差Δαを演算し、ステップ44でパージフラグFLGPRGに基づいてパージ燃料の有無を判断し、パージ燃料が無い場合(FLGPRG=0)には、ステップ45へ、パージ燃料が有る場合(FLGPRG=1)にはステップ48に進む。ステップ45では、パージ燃料が無い場合の前回の空燃比学習値Lα2を読み込み、ステップ46で空燃比学習値Lα2の更新を行う。この計算方法は、従来からの空燃比学習値の演算方法と同様に前回の学習値Lα2(−1)に対して現αの偏差Δαに重みを付けて加えるもので、次式で表される。
【0055】
Lα2=Lα2(−1)+M・Δα
この式中MはΔαの重み付けの値で機関運転条件やΔαの大小等で決まる値としても良い。
ステップ46で演算された空燃比学習値Lα2は、ステップ47で図11に示すような機関の負荷と回転速度とによって決まるマップ状メモリ内に格納される。従って、機関運転条件が同じ場合には上記Lα2マップの同じ値が検索される。
【0056】
ステップ48では、パージが有る場合の目標パージ率Evptr(%)を読み込み、ステップ49で前回のパージ中空燃比学習基準値Lαoを読み込み、ステップ50において、パージ中空燃比学習基準値Lαoを次式に従って演算する。
Lαo=Lαo(−1)+M・Δα/Evptr
この式中Lαo(−1)は前回の値で、Mはパージ無し時と同様に求まるΔαの重み付け係数である。
【0057】
最後にステップ51では上記演算で求められたパージ中空燃比学習基準値Lαoをメモリ内に格納する。このメモリはパージ無しの場合の学習値メモリのように機関運転条件毎に格納するものではなく、1つのメモリのみでパージ有りの場合の空燃比補正学習基準値Lαoを格納する。従って、パージが有る場合の空燃比学習基準値Lαoは一つのメモリから検索されると同時に頻繁に値の更新が行われ、キャニスタからのパージ進行に伴い最新の空燃比補正要求値に設定することが可能となる。
【0058】
以上説明した空燃比学習値の演算によってパージ制御中、非パージ制御中、及び非パージ制御からパージ制御へ切り換える際には、最適な設定が可能となり、例えば図12(b)に示すように運転途中でパージがOFFからONになった場合にも学習値Lαの値が変化し、空燃比フィードバック補正係数αの値が乱れず、その結果空燃比のエラーもなく、排気エミッション,機関運転性の悪化を防止することができる(図12(a)は従来の一例である)。
【0059】
しかし、学習値Lαとして(Lα1+Lα2−1)を使用していた状態(即ち、パージ制御〔パージON〕)から、Lα2の使用(即ち、非パージ制御〔パージOFF〕)へ切り換える際には、前述したように残留パージガスによる空燃比段差が発生し、排気エミッションや運転性の悪化や、誤学習等の不具合が生じるので、これを解決すべく、本実施例では、この切り換え時には図13のフローが実行される。なお、本実施例では、かかる切り換え時をパージカット時に代表させて説明している。
【0060】
即ち、
ステップ61では、機関回転速度Neと、機関負荷Tp(或いはQa)と、を検知する。
ステップ62では、基本燃料噴射量TPを演算する。
ステップ63では、パージ領域か否かを判断する。YESであれば、ステップ64へ進み、NOであればステップ70へ進む。パージ領域は、運転条件(NeやTp、Tw)等に基づいて予め設定されており、従って運転条件を検出することで、当該判断が行うことができる。
【0061】
ステップ64では、パージガスによる空燃比への影響が大きな領域における学習値Lα1をマップを参照等して読み込む。
ステップ65では、Lα1が、所定値Aより小さいか否かを判断する。YESであれば、残留パージガスによる機関吸入混合気の空燃比への影響が大きいとして、ステップ66へ進む。NOであれば、残留パージガスによる機関吸入混合気の空燃比への影響が小さいとして、ステップ70へ進む。
【0062】
ステップ66では、パージカットか否か(パージONからOFFになったか否か)を前述のフラグ等に基づき判定し、YESであればステップ72へ進み、NOであればステップ67へ進む。
ステップ67では、パージガスによる機関吸入混合気の空燃比への影響の小さな領域での学習値Lα2をマップを参照して読み込む。
【0063】
ステップ68では、Lα12(=Lα1+Lα2−1)を演算する。このようにして、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときにLα12を求めるのは、ベース空燃比を補正するLα2と、時々刻々と変化するパージガス空燃比に対応した学習値Lα1と、を合成することで、空燃比の制御精度を向上させるためである。
【0064】
ステップ69では、当該Lα12を、図3のフローにおけるLαとしてセットする。そして、図3のフローにおいて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを演算させる。
一方、ステップ66で、YES(即ち、パージカットされた〔パージONからOFFになった〕)と判定され場合には、ステップ72へ進むが、当該ステップ72では、吸入空気流量Qa(或いはスロットル弁14の開度TVO)が所定値B以下であるか否かを判断する。YESであれば、スロットル弁14の閉弁動作により、機関吸入混合気の空燃比のリッチ化傾向が顕著であると判断して、ステップ73へ進む。NOであれば、それ程リッチ化傾向は強くないと判断して、ステップ70へ進む。
【0065】
なお、本実施例では、スロットル弁14の閉弁動作による空燃比段差の顕著化を考慮に入れているが、スロットル弁14の閉弁動作がなくても、パージカットのみで許容できない空燃比段差が発生する場合には、当該ステップ72を省略し、ステップ66から直接ステップ73へ進ませるように構成して構わない。
ステップ70では、学習値Lα2を使用して燃料噴射パルス幅Tiを演算しても安定した空燃比制御が行えると判断して、Lα2をマップを参照して読み込み、ステップ71で、当該Lα2を、図3のフローにおけるLαとしてセットする。そして、図3のフローにおいて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを演算する。
【0066】
一方、ステップ73では、パージガスの空燃比の目安となるΔLα(=Lα12−Lα2)を演算する。
ステップ74では、ΔLαに対応して割付られた減量量P(Lα12に対する減量分、図14参照)と、所定時間t(”Lα12−P”を学習値Lαとして設定するための時間、図15参照)と、を検索等により求める。
【0067】
ステップ75では、前記時間tが経過したか否かを判断する。YESであれば、既に切り換えから所定時間t経過したので、Lα2を使用して燃料噴射パルス幅Tiを演算しても安定した空燃比制御が行えると判断して、ステップ70へ進ませる。
NOの場合には、Lα2を使用して燃料噴射パルス幅Tiを演算すると、空燃比段差が大きいので、ステップ76へ進んで、この空燃比段差を吸収するための学習値相当値Q(=Lα12−P)を演算する。当該Qが、本発明の切換時学習値相当値に相当する。
【0068】
ステップ77では、当該Q(=Lα12−P)を、図3のフローにおけるLαとしてセットする。そして、図3のフローにおいて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを演算する。
そして、ステップ78では、パージONとなったか否かを判断する。YESであれば、ステップ64へ戻る。一方、NOであれば、ステップ75へ戻り、所定時間t経過するまで、Q(=Lα12−P)を学習値Lαとして使用する。
【0069】
ここで、上記制御による作用を、図16のタイムチャートに従って説明する。
即ち、
パージカット時に伴う残留パージガスによる機関吸入混合気の空燃比のリッチ化(前述したように、スロットル弁14の閉弁により吸入空気流量Qaが減るので、更にこの傾向は強まる)を防止すべく直ちにLα2に切り換えるのではなく、パージカット後所定時間tの間、Lα12から、Lα12とLα2との差(ΔLα=Lα12−Lα2)に応じた値Pを差し引いた値Q(=Lα12−P)を学習値Lαとして用いる。Pの値は、ΔLαの値が大きい程大きい値をとる(図14参照)。
【0070】
つまり、パージカット直後における前述のリッチ化は、パージガスの空燃比がリッチな程リッチ化する傾向にあるので、パージガスの空燃比のリッチ度合いに応じて(ΔLαに対して比例的に)、Pの値を大きくすることで、Q(=Lα12−P)の値を小さくし、空燃比フィードバック補正係数αの乱れを抑制するようになっている。また、Q(=Lα12−P)によって制御する時間tも、パージガスの空燃比の大きさに左右されるので、ΔLαに対して比例的に設定されている(図15参照)。
【0071】
以上のように、パージカット時の残留パージガスによる空燃比のリッチ化を、パージガスの空燃比の目安となるΔLαに応じて変化させることで、αの変動を抑制でき、以ってLα2の誤学習を防止することができるようになる。従って、パージカット時における排気エミッションや運転性の悪化等を防止することができる。
【0072】
なお、本実施例では、パージカット時に代表して説明したが、本発明は、パージカットに限らず、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える場合に、適用できるものである。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の空燃比変動を防止できると共に、空燃比フィードバック補正値の変動を抑制できるので、第1学習値の誤学習を防止することができるようになる。従って、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の排気エミッションや運転性の悪化等を防止することができる。
【0074】
請求項2に記載の発明によれば、パージガスの空燃比への影響が大きい場合の空燃比制御において、パージガスの空燃比に応じて学習される第2学習値によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応できると共に、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習される第1学習値によって、ベース空燃比のズレに対応することができるので、空燃比制御の高精度化を図ることができる。
【0075】
請求項3に記載の発明によれば、比較的簡単な構成で、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の残留パージガスに起因する空燃比変動を防止できる。
請求項4に記載の発明によれば、前記切換時を、パージカット時としたので、構成の簡略化を図ることができる。
【0076】
請求項5に記載の発明によれば、前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを条件とするようにしたので、構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブロック図
【図2】本発明の一実施例の全体構成図
【図3】燃料噴射パルス幅の算出機能を説明するフローチャート
【図4】パージ制御弁の開弁DUTYの算出機能を説明するフローチャート
【図5】基本DUTYマップ
【図6】パージ率マップ
【図7】空燃比フィードバック補正係数αの演算方法の一例を示すフローチャート
【図8】空燃比学習値の演算方法の一例を示すフローチャート
【図9】パージ率変化時のαとLα1の動きを示すタイムチャート
【図10】空燃比学習値の更新手段を説明するフローチャート
【図11】空燃比学習値Lα2のマップ状メモリを示す図
【図12】(a)は従来のパージOFF→ON時の空燃比フィードバック補正係数の乱れを説明するタイムチャート、(b)は本実施例による空燃比学習値の動きと空燃比フィードバック補正係数を示すタイムチャート
【図13】本実施例におけるパージONからOFFに切り換える際に用いる切換時学習値相当値の設定ルーチンを説明するフローチャート
【図14】パージガス空燃比の目安となるΔLαと、減量量Pと、の相関図
【図15】パージガス空燃比の目安となるΔLαと、所定時間tと、の相関図
【図16】本実施例においてパージONからOFFに切り換えた際の作用を説明するタイムチャート
【図17】従来のキャニスタパージ装置の一例を説明するシステム図
【図18】従来の空燃比制御装置においてパージONからOFFに切り換えた際の不具合を説明するタイムチャート
【符号の説明】
11 機関
12 吸気通路
13 エアフロメータ
16 燃料噴射弁
17 コントロールユニット
18 排気通路
19 酸素センサ
20 クランク角センサ
23 キャニスタ
24 パージ通路
25 パージ制御弁
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関し、特に、パージ処理を行う場合の空燃比制御の高精度化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料タンク等の燃料供給系内において発生する蒸発燃料の大気中への放出による大気汚染拡大防止対策として、該蒸発燃料を一旦キャニスタと称される吸着手段に吸着させ、この吸着燃料をパージさせ、該パージ燃料を混合気(パージガス)として吸入空気中に導入させて処理するようにした蒸発燃料処理装置が知られており、例えば、特開昭63−186955号公報に開示されるようなものがある。
【0003】
このものは、キャニスタの機関吸気系への連通を接・断(ON・OFF)する方式のパージ処理装置である。
この装置では、定常的にキャニスタをパージするコンスタントパージオリフィスと、スロットル弁が開いたときに所定量のガスをパージするパージ開閉弁とによりパージを遂行する。
【0004】
ここで、コンスタントパージオリフィスを用いず、パージ開閉弁のみを用いる方法もある。
この方法では、例えば、図17に示すように、スロットル弁1付近に吸気負圧導入孔2を設け、この導入孔2から導入した負圧をパージ開閉弁3と一体に形成された開閉作動用のダイアフラム4に作用させて、パージ開閉弁3を作動させる。この場合、負圧はスロットル弁1を微小角度開いたとき、それまでスロットル弁1に対して相対的に上流に位置していた負圧導入孔2がスロットル弁1の角度変化により、該スロットル弁1に対して相対的に下流に位置するようになり、吸入負圧がキャニスタ5に導入されるようになっている。
【0005】
このため、アイドリング状態から車両発進のために、スロットル弁1を操作したときに、キャニスタ5の吸着燃料がパージされて吸気管6内に流入することになり、パージに至る前条件(即ち、キャニスタ5の蒸発燃料の吸着度合い等)によってパージガスが極端にリッチ(或いはリーン)であると、このガスが流入した後の混合気の空燃比がリッチ(或いはリーン)となり、運転性や排気エミッションに影響を与えるという不具合がある。
【0006】
そこで、特開昭63−85249号公報等に開示されるように、前記パージ開閉弁3に代えて電制式のパージ弁とし、このパージ弁を開とする運転条件の設定やパージ弁開度のきめ細かい制御を行う試みが多くなされている。
但し、このものでは、前記運転条件としてのスロットル開度、機関負荷及び機関回転速度では、機関の吸入空気流量が十分得られない条件下でパージ弁を大きく開弁させる可能性があり、前述したようにパージに至る前条件によってパージガスが極端にリッチ(或いはリーン)であると機関運転性等へ与える影響が大きい。
【0007】
このような可能性を低減する手法として、前記電制式パージ弁を用い、吸入空気流量に比例したパージ量となるように(即ち、パージ率〔パージ量/吸入空気流量〕が所定の値となるように)、パージ量を制御する技術が、例えば特開昭61−19962号公報等に開示されている。
この方式では、パージガスによる混合気の空燃比のリッチ化(或いはリーン化)に対して、排気中の酸素濃度を検出して機関吸入混合気の空燃比を検出する酸素センサを用いて、所定の空燃比が得られるように、空燃比補正量を介して空燃比制御量(例えば、燃料噴射量)をフィードバック制御するようにしているが、パージ制御中(以下、パージONとも言う)と非パージ中(以下、パージOFFとも言う)では空燃比補正量に大きな差があり、パージのON・OFF切換時には大きな空燃比段差が発生するため、切換に伴う運転性や排気エミッションの悪化を抑制することができなかった。
【0008】
このため、例えば、特開平2−245442号公報に開示されるように、キャニスタ内に吸着された蒸発燃料を機関の吸気系にパージさせる制御弁の開弁量を、機関負荷及び機関回転速度に応じて求め、この開弁量に応じて空燃比補正量を調整する学習値を調整することにより、空燃比の制御精度を高めるようにしたものや、例えば、特開平3−260351号公報に開示されるように、非パージ領域では目標空燃比を非パージ領域学習値により補正し、パージ領域では目標空燃比をパージ領域学習値で補正するようにして、各領域で最適な学習制御を可能としたものがある。
【0009】
しかし、これらのものでは、パージ制御中の空燃比学習値が、非パージ制御中の空燃比学習値と同様に、機関運転条件毎に分けられたテーブル又はマップにより与えられたメモリに格納されることとなっていたため、例えば、キャニスタ内吸着燃料量が多く(パージガスの空燃比がリッチ傾向である)、パージ制御中にある運転条件内の学習値が更新(リッチ化を防止する方向に更新)され、この学習領域を通らないまま、キャニスタ内のパージが進み、次に同学習領域内を通過するときには、前回更新した学習値とは全く要求が異なり(即ち、パージガスの空燃比がリーン化しており)、このまま前回更新した学習値を使用すると、空燃比が大きく乱れ、排気エミッションや運転性が悪化することとなっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
かかる問題を解決すべく、本願出願人は、特願平6−49485号において、空燃比補正量の学習値を、パージによる影響が大きい場合(機関運転条件に依らず、パージガスの空燃比に対応した学習値)と、パージによる空燃比への影響が小さい場合(機関運転条件毎に分けられたテーブル等に格納する学習値)と、の2つに分けるようにして、パージ制御と非パージ制御との切り換え時における空燃比制御を高精度化する技術を提案した。
【0011】
しかしながら、上記の特願平6−49485号のものでも、例えば、パージ制御から非パージ制御に切り換えた直後は、吸気系内にはパージガスが残留しており、この残留パージガスの空燃比によっては(目標空燃比に対してリッチ或いはリーンである場合が多い)、空燃比段差が発生し、排気エミッションや運転性が悪化する場合がある。
【0012】
ここで、当該問題について、より詳細に説明する。
即ち、
特願平6−49485号公報のものでは、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときと、小さいときと、に応じた2つの学習マップを持ち、それぞれの学習値をLα1、Lα2としている。
【0013】
そして、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときには、Lα1とLα2との和から1を差し引いた値Lα12(=Lα1+Lα2−1)を学習値として用い、影響度合いが小さいときには、Lα2を学習値として用いるようにしている。
このように、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときにLα12を用いるのは、この場合にはパージガスの空燃比への影響が大きいので、パージガスの空燃比に応じて学習されるLα1によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応する一方、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習されたLα2によって、ベース空燃比のズレに対応することで、空燃比制御の制御精度を向上させるためである。なお、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときには、Lα2の更新は行わない。
【0014】
ところで、Lα1は、パージガスの時々刻々変化する濃度に対応する学習値であるので、機関の運転条件(例えば、負荷や回転速度)に依らず1つの値を順次更新させる一方、Lα2は経時変化等によるベース空燃比のズレの補正を目的とするので、機関の運転条件毎に区分けされたマップを持つ。
ここで、図18のタイムチャートについて説明する。なお、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響の大きなときと、小さなときを、その典型であるパージガスの空燃比がリッチな場合のパージ制御時と、非パージ制御時(パージカットした場合)と、で説明することにする。
【0015】
このようなパージ制御時には、学習値Lα12により、フィードバック補正係数αは安定しているが、パージカットした時、即座に、学習値はLα2に切り換えられる。Lα2はリッチであるパージガスが吸入されないパージカット時(通常運転時)の学習値であるから、Lα12に対して大きな値(燃料増量方向)に学習されているので、従ってパージカット直後において空燃比はリッチ側へ補正されるので、HC等の排気エミッションが悪化することになる。なお、パージカット時は、通常、スロットル弁の閉弁を伴うので、これによって吸入空気流量が減少すると共に、吸気マニホールド内に残留する残留パージガスにより、実際に機関に吸入される混合気の空燃比はリッチとなり、更に、前述したLα2によってリッチ補正されることになるので、最終的な機関吸入混合気の空燃比は極めてリッチ化し、よりHC等の排気エミッションの悪化が顕著になるという問題もある。
【0016】
更に、このリッチ傾向を回復させるために、学習値Lα2は小さな値(燃料減量方向)に更新されることになるが、このとき既に残留パージガスは消費されているので、今度は機関吸入混合気の空燃比はリーンとなり、運転性の悪化やNOxを増大させることになるのである。
なお、当該空燃比段差の問題は、パージカットに限らず、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときの学習値Lα1(即ち、Lα12)と、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さいときの学習値Lα2と、の間に偏差がある場合には、その切り換え時に生じるものである。
【0017】
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときと、小さいときに応じた2つの学習値を持つ場合において、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、小さい状態へ移行する際の空燃比制御を最適なものとすることができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。また、当該制御において、高精度化、簡略化を図ることも本発明の目的である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明にかかる内燃機関の空燃比制御装置では、図1に示すように、
燃料供給系内で発生した蒸発燃料を吸着した後、該蒸発燃料を空気と共に吸気通路等の吸気系にパージする蒸発燃料パージ装置Aを備えると共に、
機関運転条件を検出する運転条件検出手段Bと、
機関吸入混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段Cと、
前記運転条件検出手段Bにより検出された機関運転条件に基づいて空燃比の基本制御値を設定する空燃比基本制御値設定手段Dと、
前記空燃比検出手段Cにより検出された空燃比を目標値に近づけるように前記空燃比の基本制御値を増減補正するための空燃比フィードバック補正値を設定する空燃比フィードバック補正値設定手段Eと、
前記蒸発燃料パージ装置Aからの蒸発燃料パージによる空燃比への影響の大・小を判定する判定手段Fと、
前記判定手段Fにより空燃比への影響が小と判定された際に、空燃比フィードバック補正値の基準値からの偏差を減少させるように、運転領域毎に、第1学習値を設定更新する第1学習値設定更新手段Gと、
前記判定手段Fにより空燃比への影響が大と判定された際に、前記第1学習値設定更新手段Gによる第1学習値の設定更新を禁止すると共に、空燃比フィードバック補正値の基準値からの偏差を減少させるように、蒸発燃料パージによる空燃比への影響度合いに対応させた第2学習値を設定更新する第2学習値設定更新手段Hと、
前記判定手段Fにより空燃比への影響が小と判定された際には、少なくとも、前記空燃比の基本制御値と、前記空燃比フィードバック補正値と、前記第1学習値と、に基づいて最終的な空燃比の制御値を設定する一方、前記判定手段Fにより空燃比への影響が大と判定された際には、前記第1学習値に代えて、前記第2学習値に基づく値を用いて、最終的な空燃比の制御値を設定する空燃比制御値設定手段Iと、
を含んで構成した内燃機関の空燃比制御装置において、
前記蒸発燃料パージ装置Aからの蒸発燃料パージによる空燃比への影響が大の状態から、小の状態へ移行し、前記空燃比制御値設定手段Iにおいて、前記第2学習値に基づく値から前記第1学習値へ切り換える際に、
当該切換時における残留パージガスによる空燃比の変動を抑制するように、前記第2学習値に基づく値と前記第1学習値とに基づいて切換時学習値相当値を設定する切換時学習値相当値設定手段Jと、
当該設定した切換時学習値相当値と、前記空燃比の基本制御値と、前記空燃比フィードバック補正値と、に基づいて切換時の最終的な空燃比の制御値を設定する切換時空燃比制御値設定手段Kと、
を備えるようにした。
【0019】
請求項2に記載の発明では、前記第2学習値に基づく値を、前記第2学習値と、前記第1学習値と、に基づく値とした。
請求項3に記載の発明では、前記切換時学習値相当値設定手段Jを、切り換え指示後、所定時間内において、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差に比例した値を、前記第2学習値に基づく値から減算して求めた値を切換時学習値相当値として設定する手段とし、
前記切換時空燃比制御値設定手段Kを、切り換え指示後、所定時間内において、前記設定された切換時学習値相当値を用いて、切換時の最終的な空燃比の制御値を設定する手段とし、
切り換え指示後所定時間経過後には、前記空燃比制御値設定手段Iにより前記第1学習値を用いて最終的な空燃比の制御値を設定するようにした。
【0020】
請求項4に記載の発明では、前記切換時を、パージカット時とした。
請求項5に記載の発明では、前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを条件とするようにした。
【0021】
【作用】
上記の構成を備える請求項1に記載の発明は、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際に、それぞれの状態において使用する学習値を、直ちに切り換え使用するのではなくて、例えば、パージカット時の残留パージガスによる空燃比変動を抑制すべく、パージガスの空燃比の目安となる第1学習値と、第2学習値に基づく値(第2学習値そのものでもよい)と、の偏差に基づいて、切換時学習値相当値(第2学習値から第1学習値へ近づける方向とは逆方向の値、図16参照)を設定し、これを用いて切換時の最終的な空燃比の制御値を設定するようにする。
【0022】
これにより、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の残留パージガスに起因する空燃比変動を防止できると共に、空燃比フィードバック補正値の変動を抑制できるので、第1学習値の誤学習を防止することができるようになる。従って、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の排気エミッションや運転性の悪化等を防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、前記第2学習値に基づく値を、前記第2学習値と、前記第1学習値と、に基づく値とすれば、パージガスの空燃比への影響が大きい場合の空燃比制御において、パージガスの空燃比に応じて学習される第2学習値によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応できると共に、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習される第1学習値によって、ベース空燃比のズレに対応することができるので、空燃比制御の高精度化を図ることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明では、学習値の切り換え指示後、所定時間内において、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差に比例した値を、前記第2学習値に基づく値から減算して求めた値を切換時学習値相当値として設定し、当該設定された切換時学習値相当値を用いて、切換時の最終的な空燃比の制御値を設定するようにし、切り換え指示後所定時間経過後には、前記空燃比制御値設定手段により前記第1学習値を用いて最終的な空燃比の制御値を設定するようにした。これにより、比較的簡単な構成で、例えば、比較的小さな値(リーン補正側)の第2学習値に基づく値を、切換指示後、一旦更に小さな値(リーン補正側)に設定し、その後比較的大きな値(リッチ補正側)の第1学習値に切り換えることができるので、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の残留パージガスに起因する空燃比変動を防止できる。
【0025】
請求項4に記載の発明では、前記切換時を、パージカット時としたので、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差が大きい場合で、切り換えに伴う残留パージガスによる空燃比変動が大きく、第1学習値の誤学習や、排気エミッションや運転性の悪化が顕著になる場合に限って、上記のような前記切換時空燃比制御値設定手段による切り換え制御が行われることになるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明では、前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを条件とするようにしたので、パージカット時に通常伴うスロットル弁の閉弁動作により、吸入空気流量が減少して、吸気マニホールド内に残留する残留パージガスの影響度合いが大きくなって、機関吸入混合気の空燃比はリッチ傾向が強まり、切り換えに伴う空燃比変動が大きく、第1学習値の誤学習や、排気エミッションや運転性の悪化が顕著になる場合に限って、上記のような前記切換時空燃比制御値設定手段による切り換え制御が行われることになるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の一実施例を、添付の図面に基づいて説明する。
図2において、機関11の吸気通路12には、図示しないエアクリーナを介して導入される吸入空気流量Qaを検出するエアフロメータ13及びアクセルペダルと連動して吸気量Qaを制御するスロットル弁14が設けられ、下流のマニホールド部分15には気筒毎に燃料供給手段としての電磁式の燃料噴射弁16が設けられている。
【0028】
前記燃料噴射弁16は、マイクロコンピュータ等を内蔵したコントロールユニット17からの噴射パルス信号によって開弁駆動し、燃料を噴射供給する。
排気通路18には、マニホールド部分18Aの集合部に排気中酸素濃度を検出することによって吸入混合気の空燃比を検出する手段としての空燃比センサ(以下、酸素センサと言う)19が設けられている。
【0029】
又、図示しないディストリビュータには、クランク角センサ20が内蔵されており、該クランク角センサ20から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出する。更に、冷却水温度TWを検出する水温センサ21が設けられている。
【0030】
一方、図示しない燃料タンクの上部空間に溜まる蒸発燃料は、機関11の停止中に蒸発燃料通路22を介してキャニスタ23に導かれ、該キャニスタ23内の活性炭等の吸着剤により一時的に吸着される。キャニスタ23の上層の空間部は、吸気通路12のスロットル弁14下流に形成されたパージポート12Aにパージ通路24を介して連通される。このパージ通路24には、コントロールユニット17によって通電制御されるパージ制御弁25が介装されている。
【0031】
以上の構成において、前記エアフロメータ13、クランク角センサ20、水温センサ21を含む機関11の運転条件を検出するセンサ類(運転条件検出手段として機能する)と、機関11の運転空燃比を検出する酸素センサ19と、燃料供給装置としての燃料噴射弁16と、前記センサ類から信号に基づき空燃比フィードバック制御域であるか否かを判別し、この制御域であると判別されたときに実空燃比が目標空燃比と一致するように、燃料噴射弁16からの噴射燃料量(空燃比制御量)を制御する、コントロールユニット17にソフトウェア的に装備された空燃比フィードバック制御系(本発明の空燃比基本制御値設定手段、空燃比フィードバック補正値設定手段を含む)が構成される。
【0032】
一方、前記空燃比フィードバック制御系に対し、前記キャニスタ23と、パージ通路24と、パージ制御弁25と、該パージ制御弁25の開度を機関運転条件に基づいて演算し、これをパージ制御弁25に指令する、コントロールユニット17にソフトウェア的に装備されたパージ制御手段と、から蒸発燃料のパージ装置が構成される。
【0033】
蒸発燃料の処理装置全体は、上記蒸発燃料のパージ装置の他に、燃料タンクで発生した蒸発燃料をキャニスタ23に導くチャージ装置等からなる。
前記パージ制御弁25としては、例えば、弁の開閉のみを制御する開閉ソレノイド弁、弁開度をステッピングモータの動作角で直接制御する弁、ソレノイド弁を所定周期で開閉駆動して、この所定周期中に占める開弁時間の割合(ONデューティ)を制御する所謂デューティ弁等様々な方式のものが採用される。
【0034】
尚、本実施例においては、前記デューティ弁を例にとって説明を進める。
また、本発明における判定手段、第1学習値設定更新手段、第2学習値設定更新手段、空燃比制御値設定手段、切換時学習値相当値設定手段、切換時空燃比制御値設定手段は、コントロールユニット17がソフトウェア的に装備するものである。
【0035】
ここで、本実施例のコントロールユニット17が行う燃料噴射量(噴射パルス幅)の演算ルーチンについて、図3のフローチャートに従って説明する。なお、本発明は、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい場合と、小さい場合とで、学習値を切り換える場合に、その切り換えに伴い発生する空燃比段差を吸収するものであるが、以下、パージガスの空燃比の機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい場合を、パージガスの空燃比がリッチであるパージ制御中とし、小さい場合を非パージ制御(パージカット)として説明する。
【0036】
ステップ(図では、Sと記してある。以下、同様。)1では、クランク角センサ20の検出信号に基づいて、機関回転速度Neを求める。
ステップ2では、エアフローメータ13の検出信号に基づいて、吸入空気流量Qaを求める。
ステップ3では、機関運転条件(例えば、Tp〔或いはQa〕やNe、水温Tw等)を検出して、高負荷・高回転域での増量補正のための空燃比補正係数(KMR+KTMR )や、低水温時に強制的にリッチ側に補正する水温補正係数(Kw)や、始動及び始動後増量補正係数(Kas)等から、各種補正係数COEF(1+KMR+KTMR +Kw+Kas+・・・)を求める。
【0037】
ステップ4では、吸入空気流量Qaと、機関回転速度Neと、から基本燃料噴射パルス幅(基本燃料噴射量に相当)Tp=k×Q/Ne(kは定数)を演算する。
ステップ5では、酸素センサ19のリッチ・リーン判定出力信号を読み込む。ステップ6では、酸素センサ19のリッチ・リーン反転信号に基づく空燃比フィードバック制御において設定された空燃比フィードバック補正係数α(本発明における空燃比フィードバック補正値に相当する)を読み込む。
【0038】
上記の空燃比フィードバック補正係数αは、燃料噴射弁16の製品誤差等を補正すべく、所定の場合(例えば、リーン化制御時、始動時、酸素センサの活性化前、高負荷時、加・減速時等)を除いて、酸素センサ19のリッチ・リーン反転出力に基づいて比例積分(PI)制御により増減されるもので、これにより燃焼用混合気の空燃比を目標空燃比(理論空燃比)近傍にフィードバック制御するようになっている。
【0039】
ステップ7では、後述するルーチンにより設定される学習値Lαを読み込む。ステップ8では、最終的な有効燃料噴射パルス幅Ti(=Tp×(α+Lα−1)×COEF×k+k’)を演算し、噴射パルス信号として燃料噴射弁16に送り、燃料噴射を行わせる。
ここで、上記kは、各回転毎の演算か、或いは各サイクル毎の演算かにより定まる定数である。また、k’は、バッテリ電圧低下等による噴射弁16の開弁時間補正のための係数である。
【0040】
次に、パージ制御弁25の開弁DUTYの算出について、図4のフローチャートに従って説明する。
ステップ11では、機関運転状態(NeやTp〔或いはQa〕)に基づいてマップ等(例えば、図5)を参照して基本DUTYを求める。
ステップ12では、機関運転状態やパージ総量等から、例えばパージ総量では図6のマップを参照して目標パージ率Evptrを求める。
【0041】
ステップ13では、前記基本DUTYと、前記目標パージ率Evptrと、の積から、パージ制御弁25の開弁DUTYを求める。
なお、前記図5の基本DUTYマップと、図6のパージ率マップについて説明すると、基本DUTYは、機関吸入空気流量Qaに比例したパージ量となるように、機関回転速度Neと機関負荷(TpやQa)とにより与えられ、吸入空気流量Qaが大きくなる程大きな値となる。
【0042】
目標パージ率Evptrは、例えば、パージ総量(パージ開始からの積算パージ量)によって変えられ、パージが進んだ場合(パージ総量大)には、パージガス中の燃料濃度が低くなるため、パージ率を大にして、機関吸入混合気の空燃比への影響を小さくすべく、多量のパージが可能となるように設定してある。
ここで、パージガスの空燃比がリッチであるか否かは、空燃比フィードバック補正係数αによって判別できる。機関の燃料噴射は、基本的(冷機時や耐熱条件下では別として)には理論空燃比を実現するように行われている。ここで、キャニスタ23からのパージガスが機関吸気系に導入され、機関の運転空燃比がリッチになると、機関11の排気通路18に配される酸素センサ19によりこれが検知され、空燃比を補正すべくフィードバックがかけられる。空燃比フィードバック制御はリッチであれば、燃料噴射量を減量補正し、リーンであれば増量補正する。
【0043】
即ち、
空燃比フィードバック補正係数αの演算は、酸素センサ19で検出される排気中の酸素濃度に基づいて目標空燃比(例えば理論空燃比)に対する実際の空燃比のリッチ/リーンを判別し、リッチからリーン(リーンからリッチ)への反転時には、空燃比フィードバック補正係数αを所定の比例分(P分)だけ増大(減少)させ、その後空燃比がリッチからリッチに反転するまでの間、積分分(I分)によって除々に補正係数αを増大(減少)させるようになっている。
【0044】
この空燃比フィードバック補正係数αの演算方法の一例を図7のフローチャートに示しておく。
なお、空燃比フィードバック補正係数αは、基本燃料噴射パルス幅Tpに乗算される補正項であり、上記の比例・積分制御(PI制御)によって、実際の空燃比が目標空燃比に近づく方向に燃料噴射量がフィードバック制御される。
【0045】
ところで、この空燃比フィードバック補正に際しては、補正を施してから、その補正結果を再度検出するまでに遅れ時間を含むので、通常ではオーバシュートを生じ、空燃比が理論混合比付近に精度良く制御されているときは、リッチ/リーンの補正反転を繰り返している。しかし、パージが行われ、運転空燃比がリッチであることを補正し続けている状況下では、噴射燃料量は減量補正され続け、ついにパージガスによるリッチ化を打ち消す程度に減量補正が進むと、通常時と同様にリッチ/リーンを繰り返すフィードバック補正が再開される。
【0046】
このときの空燃比フィードバック補正減量は、パージガス濃度に対応するので、従って空燃比フィードバック補正係数αの平均値の大小により、パージガスの空燃比の推定が行えることになる。
次に、学習値Lαの演算ルーチン(定常時、及びパージOFF→ON時)を、図8のフローチャートに示す。なお、以下に説明する本発明の第2学習値に相当するLα1は、パージガスの空燃比への影響度合いの大きい領域でのパージガスの空燃比に応じた学習値であり、本発明の第1学習値に相当するLα2は、パージガスの空燃比への影響度合いの小さい領域での運転条件毎に設定される学習値(即ち、通常の経時劣化等を補正するための学習値)である。
【0047】
ステップ21では、空燃比フィードバック制御(λコントロール)中であるか否かを判定し、λコントロール中でなければ、ステップ37に進んで、空燃比学習値Lαを1に設定する。λコントロール中であれば、ステップ22に進む。このステップ22では、別ルーチンで演算された空燃比フィードバック補正係数αを読み込み、ステップ23では、後述の別ルーチンで演算されるパージ燃料が無い場合の空燃比学習値Lα2を読み込む。
【0048】
ステップ24では、パージ制御中であるか否かを判定し、パージ中であれば、ステップ25に進み、パージ制御中でないならば、ステップ29に進む。
ステップ25では、現在の目標パージ率Evptrを読み込み(図6参照)、ステップ26ではパージ制御中の空燃比学習基準値Lαoを読み込み、これらを基にステップ27でパージ制御中空燃比学習値Lα1を演算する(Lα1=Lαo×Evptr)。
【0049】
ここで、以上のように空燃比学習値Lα1を目標パージ率Evptrと空燃比補正学習基準値Lαoとで求める演算方法について説明する。
図9は、パージ率変化時のαとLα1の動きを示す。
即ち、始動直後にまだパージ開始許可条件になっていない場合には、パージ率は当然0であり、パージ時空燃比学習値Lα1,Lαoは共に初期値1に設定されている。パージ開始が許可されると、最初は空燃比への影響を最小にするため、なるべく低いパージ率から開始される。パージガス中燃料による空燃比のリッチ化によって空燃比フィードバック補正係数αは空燃比がλ=1となるように、その値を小さくしていく。空燃比がλ=1に設定されると、αはまた反転を始めるが、ここでパージ時空燃比学習基準値Lαoの学習を行い、その値はα=1になるまで更新される。キャニスタ内燃料のパージが進み、図6に従ってパージ率が大きく設定された場合には、パージ率Evptrを基にLα1を演算する。
【0050】
例えば、パージ率Evptr=1(%)を基準に考えると、Evptr=1(%)の場合には、Lαo=Lα1となるが、パージ率が変わった場合には、前述したLα1=Lαo×Evptr(%)で求めるのである。
従って、かかる演算方法により、基準パージ率(例えば1%)のときの空燃比学習値Lαoを基にパージ率が変化しても空燃比補正を正しくできる。
【0051】
ステップ28では、空燃比フィードバック補正係数αとパージ制御中空燃比学習値Lα1を夫々基準値と比較し、両方の値とも基準値内であれば、空燃比のズレが少なく、パージ燃料の影響が少ないため、パージが無い場合と同じとみなして、ステップ29に進む。このステップ29では、パージフラグFLGPRGを0にして、パージ燃料なしの(影響度合い小さいとの)判断に用いる。ステップ30では、パージ燃料の影響がないことから、最終的な空燃比学習値Lαをパージ燃料無し時空燃比学習値Lα2と同じ値とする(Lα=Lα2)。
【0052】
一方、ステップ28で、空燃比フィードバック補正係数αとパージ制御中空燃比学習値Lα1の少なくとも一方の値が基準値外であれば、空燃比のズレが多く、パージ燃料の影響が大きいため、ステップ31に進んで、パージフラグFLGPRGを1にして、パージ燃料有りの(影響度合い大きいとの)判断に用いる。ステップ32では、パージ燃料の機関吸入混合気の空燃比への影響が大きい場合の最終的な空燃比学習値Lαをパージ有り無し夫々の空燃比学習値Lα1,Lα2を用いて求める(Lα=Lα1+Lα2−1=Lα12、本発明の第2学習値に基づく値に相当する)。このように、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときに(Lα=Lα1+Lα2−1)を用いるようにしたのは、この場合にはパージガスの空燃比への影響が大きいので、パージガスの空燃比に応じて学習されるLα1によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応する一方、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習されたLα2によって、ベース空燃比のズレに対応することで、空燃比制御の制御精度を向上させるためである。なお、かかるLα12を用いずとも、やや制御精度は低下するが、Lα1によって制御するようにしてもよい。更に、ステップ33〜36では、空燃比学習値Lαの上・下限値Lαh,Lαlを定め、誤学習等により学習値が異常に変化するのを防止する。
【0053】
次に、パージ有り無し夫々の空燃比学習値Lαo,Lα2の更新について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ41では、図7に示すフローチャートに従って求めた空燃比フィードバック補正係数αを読み込み、ステップ42でそのαの値の最大値と最小値の平均値αpを次式の通り演算する。
【0054】
αp=(Σαmax,min)/n
ステップ43で平均値αpの制御中心からの偏差Δαを演算し、ステップ44でパージフラグFLGPRGに基づいてパージ燃料の有無を判断し、パージ燃料が無い場合(FLGPRG=0)には、ステップ45へ、パージ燃料が有る場合(FLGPRG=1)にはステップ48に進む。ステップ45では、パージ燃料が無い場合の前回の空燃比学習値Lα2を読み込み、ステップ46で空燃比学習値Lα2の更新を行う。この計算方法は、従来からの空燃比学習値の演算方法と同様に前回の学習値Lα2(−1)に対して現αの偏差Δαに重みを付けて加えるもので、次式で表される。
【0055】
Lα2=Lα2(−1)+M・Δα
この式中MはΔαの重み付けの値で機関運転条件やΔαの大小等で決まる値としても良い。
ステップ46で演算された空燃比学習値Lα2は、ステップ47で図11に示すような機関の負荷と回転速度とによって決まるマップ状メモリ内に格納される。従って、機関運転条件が同じ場合には上記Lα2マップの同じ値が検索される。
【0056】
ステップ48では、パージが有る場合の目標パージ率Evptr(%)を読み込み、ステップ49で前回のパージ中空燃比学習基準値Lαoを読み込み、ステップ50において、パージ中空燃比学習基準値Lαoを次式に従って演算する。
Lαo=Lαo(−1)+M・Δα/Evptr
この式中Lαo(−1)は前回の値で、Mはパージ無し時と同様に求まるΔαの重み付け係数である。
【0057】
最後にステップ51では上記演算で求められたパージ中空燃比学習基準値Lαoをメモリ内に格納する。このメモリはパージ無しの場合の学習値メモリのように機関運転条件毎に格納するものではなく、1つのメモリのみでパージ有りの場合の空燃比補正学習基準値Lαoを格納する。従って、パージが有る場合の空燃比学習基準値Lαoは一つのメモリから検索されると同時に頻繁に値の更新が行われ、キャニスタからのパージ進行に伴い最新の空燃比補正要求値に設定することが可能となる。
【0058】
以上説明した空燃比学習値の演算によってパージ制御中、非パージ制御中、及び非パージ制御からパージ制御へ切り換える際には、最適な設定が可能となり、例えば図12(b)に示すように運転途中でパージがOFFからONになった場合にも学習値Lαの値が変化し、空燃比フィードバック補正係数αの値が乱れず、その結果空燃比のエラーもなく、排気エミッション,機関運転性の悪化を防止することができる(図12(a)は従来の一例である)。
【0059】
しかし、学習値Lαとして(Lα1+Lα2−1)を使用していた状態(即ち、パージ制御〔パージON〕)から、Lα2の使用(即ち、非パージ制御〔パージOFF〕)へ切り換える際には、前述したように残留パージガスによる空燃比段差が発生し、排気エミッションや運転性の悪化や、誤学習等の不具合が生じるので、これを解決すべく、本実施例では、この切り換え時には図13のフローが実行される。なお、本実施例では、かかる切り換え時をパージカット時に代表させて説明している。
【0060】
即ち、
ステップ61では、機関回転速度Neと、機関負荷Tp(或いはQa)と、を検知する。
ステップ62では、基本燃料噴射量TPを演算する。
ステップ63では、パージ領域か否かを判断する。YESであれば、ステップ64へ進み、NOであればステップ70へ進む。パージ領域は、運転条件(NeやTp、Tw)等に基づいて予め設定されており、従って運転条件を検出することで、当該判断が行うことができる。
【0061】
ステップ64では、パージガスによる空燃比への影響が大きな領域における学習値Lα1をマップを参照等して読み込む。
ステップ65では、Lα1が、所定値Aより小さいか否かを判断する。YESであれば、残留パージガスによる機関吸入混合気の空燃比への影響が大きいとして、ステップ66へ進む。NOであれば、残留パージガスによる機関吸入混合気の空燃比への影響が小さいとして、ステップ70へ進む。
【0062】
ステップ66では、パージカットか否か(パージONからOFFになったか否か)を前述のフラグ等に基づき判定し、YESであればステップ72へ進み、NOであればステップ67へ進む。
ステップ67では、パージガスによる機関吸入混合気の空燃比への影響の小さな領域での学習値Lα2をマップを参照して読み込む。
【0063】
ステップ68では、Lα12(=Lα1+Lα2−1)を演算する。このようにして、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きいときにLα12を求めるのは、ベース空燃比を補正するLα2と、時々刻々と変化するパージガス空燃比に対応した学習値Lα1と、を合成することで、空燃比の制御精度を向上させるためである。
【0064】
ステップ69では、当該Lα12を、図3のフローにおけるLαとしてセットする。そして、図3のフローにおいて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを演算させる。
一方、ステップ66で、YES(即ち、パージカットされた〔パージONからOFFになった〕)と判定され場合には、ステップ72へ進むが、当該ステップ72では、吸入空気流量Qa(或いはスロットル弁14の開度TVO)が所定値B以下であるか否かを判断する。YESであれば、スロットル弁14の閉弁動作により、機関吸入混合気の空燃比のリッチ化傾向が顕著であると判断して、ステップ73へ進む。NOであれば、それ程リッチ化傾向は強くないと判断して、ステップ70へ進む。
【0065】
なお、本実施例では、スロットル弁14の閉弁動作による空燃比段差の顕著化を考慮に入れているが、スロットル弁14の閉弁動作がなくても、パージカットのみで許容できない空燃比段差が発生する場合には、当該ステップ72を省略し、ステップ66から直接ステップ73へ進ませるように構成して構わない。
ステップ70では、学習値Lα2を使用して燃料噴射パルス幅Tiを演算しても安定した空燃比制御が行えると判断して、Lα2をマップを参照して読み込み、ステップ71で、当該Lα2を、図3のフローにおけるLαとしてセットする。そして、図3のフローにおいて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを演算する。
【0066】
一方、ステップ73では、パージガスの空燃比の目安となるΔLα(=Lα12−Lα2)を演算する。
ステップ74では、ΔLαに対応して割付られた減量量P(Lα12に対する減量分、図14参照)と、所定時間t(”Lα12−P”を学習値Lαとして設定するための時間、図15参照)と、を検索等により求める。
【0067】
ステップ75では、前記時間tが経過したか否かを判断する。YESであれば、既に切り換えから所定時間t経過したので、Lα2を使用して燃料噴射パルス幅Tiを演算しても安定した空燃比制御が行えると判断して、ステップ70へ進ませる。
NOの場合には、Lα2を使用して燃料噴射パルス幅Tiを演算すると、空燃比段差が大きいので、ステップ76へ進んで、この空燃比段差を吸収するための学習値相当値Q(=Lα12−P)を演算する。当該Qが、本発明の切換時学習値相当値に相当する。
【0068】
ステップ77では、当該Q(=Lα12−P)を、図3のフローにおけるLαとしてセットする。そして、図3のフローにおいて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを演算する。
そして、ステップ78では、パージONとなったか否かを判断する。YESであれば、ステップ64へ戻る。一方、NOであれば、ステップ75へ戻り、所定時間t経過するまで、Q(=Lα12−P)を学習値Lαとして使用する。
【0069】
ここで、上記制御による作用を、図16のタイムチャートに従って説明する。
即ち、
パージカット時に伴う残留パージガスによる機関吸入混合気の空燃比のリッチ化(前述したように、スロットル弁14の閉弁により吸入空気流量Qaが減るので、更にこの傾向は強まる)を防止すべく直ちにLα2に切り換えるのではなく、パージカット後所定時間tの間、Lα12から、Lα12とLα2との差(ΔLα=Lα12−Lα2)に応じた値Pを差し引いた値Q(=Lα12−P)を学習値Lαとして用いる。Pの値は、ΔLαの値が大きい程大きい値をとる(図14参照)。
【0070】
つまり、パージカット直後における前述のリッチ化は、パージガスの空燃比がリッチな程リッチ化する傾向にあるので、パージガスの空燃比のリッチ度合いに応じて(ΔLαに対して比例的に)、Pの値を大きくすることで、Q(=Lα12−P)の値を小さくし、空燃比フィードバック補正係数αの乱れを抑制するようになっている。また、Q(=Lα12−P)によって制御する時間tも、パージガスの空燃比の大きさに左右されるので、ΔLαに対して比例的に設定されている(図15参照)。
【0071】
以上のように、パージカット時の残留パージガスによる空燃比のリッチ化を、パージガスの空燃比の目安となるΔLαに応じて変化させることで、αの変動を抑制でき、以ってLα2の誤学習を防止することができるようになる。従って、パージカット時における排気エミッションや運転性の悪化等を防止することができる。
【0072】
なお、本実施例では、パージカット時に代表して説明したが、本発明は、パージカットに限らず、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える場合に、適用できるものである。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の空燃比変動を防止できると共に、空燃比フィードバック補正値の変動を抑制できるので、第1学習値の誤学習を防止することができるようになる。従って、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の排気エミッションや運転性の悪化等を防止することができる。
【0074】
請求項2に記載の発明によれば、パージガスの空燃比への影響が大きい場合の空燃比制御において、パージガスの空燃比に応じて学習される第2学習値によって、時々刻々変化するパージガスの空燃比に対応できると共に、燃料噴射弁やエアフローメータ、酸素センサ等の経時変化分に応じて学習される第1学習値によって、ベース空燃比のズレに対応することができるので、空燃比制御の高精度化を図ることができる。
【0075】
請求項3に記載の発明によれば、比較的簡単な構成で、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが大きい状態から、パージガスの機関吸入混合気の空燃比への影響度合いが小さい状態へ切り換える際の残留パージガスに起因する空燃比変動を防止できる。
請求項4に記載の発明によれば、前記切換時を、パージカット時としたので、構成の簡略化を図ることができる。
【0076】
請求項5に記載の発明によれば、前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを条件とするようにしたので、構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブロック図
【図2】本発明の一実施例の全体構成図
【図3】燃料噴射パルス幅の算出機能を説明するフローチャート
【図4】パージ制御弁の開弁DUTYの算出機能を説明するフローチャート
【図5】基本DUTYマップ
【図6】パージ率マップ
【図7】空燃比フィードバック補正係数αの演算方法の一例を示すフローチャート
【図8】空燃比学習値の演算方法の一例を示すフローチャート
【図9】パージ率変化時のαとLα1の動きを示すタイムチャート
【図10】空燃比学習値の更新手段を説明するフローチャート
【図11】空燃比学習値Lα2のマップ状メモリを示す図
【図12】(a)は従来のパージOFF→ON時の空燃比フィードバック補正係数の乱れを説明するタイムチャート、(b)は本実施例による空燃比学習値の動きと空燃比フィードバック補正係数を示すタイムチャート
【図13】本実施例におけるパージONからOFFに切り換える際に用いる切換時学習値相当値の設定ルーチンを説明するフローチャート
【図14】パージガス空燃比の目安となるΔLαと、減量量Pと、の相関図
【図15】パージガス空燃比の目安となるΔLαと、所定時間tと、の相関図
【図16】本実施例においてパージONからOFFに切り換えた際の作用を説明するタイムチャート
【図17】従来のキャニスタパージ装置の一例を説明するシステム図
【図18】従来の空燃比制御装置においてパージONからOFFに切り換えた際の不具合を説明するタイムチャート
【符号の説明】
11 機関
12 吸気通路
13 エアフロメータ
16 燃料噴射弁
17 コントロールユニット
18 排気通路
19 酸素センサ
20 クランク角センサ
23 キャニスタ
24 パージ通路
25 パージ制御弁
Claims (5)
- 燃料供給系内で発生した蒸発燃料を吸着した後、該蒸発燃料を空気と共に吸気通路等の吸気系にパージする蒸発燃料パージ装置を備えると共に、
機関運転条件を検出する運転条件検出手段と、
機関吸入混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
前記運転条件検出手段により検出された機関運転条件に基づいて空燃比の基本制御値を設定する空燃比基本制御値設定手段と、
前記空燃比検出手段により検出された空燃比を目標値に近づけるように前記空燃比の基本制御値を増減補正するための空燃比フィードバック補正値を設定する空燃比フィードバック補正値設定手段と、
前記蒸発燃料パージ装置からの蒸発燃料パージによる空燃比への影響の大・小を判定する判定手段と、
前記判定手段により空燃比への影響が小と判定された際に、空燃比フィードバック補正値の基準値からの偏差を減少させるように、運転領域毎に、第1学習値を設定更新する第1学習値設定更新手段と、
前記判定手段により空燃比への影響が大と判定された際に、前記第1学習値設定更新手段による第1学習値の設定更新を禁止すると共に、空燃比フィードバック補正値の基準値からの偏差を減少させるように、蒸発燃料パージによる空燃比への影響度合いに対応させた第2学習値を設定更新する第2学習値設定更新手段と、
前記判定手段により空燃比への影響が小と判定された際には、少なくとも、前記空燃比の基本制御値と、前記空燃比フィードバック補正値と、前記第1学習値と、に基づいて最終的な空燃比の制御値を設定する一方、前記判定手段により空燃比への影響が大と判定された際には、前記第1学習値に代えて、前記第2学習値に基づく値を用いて、最終的な空燃比の制御値を設定する空燃比制御値設定手段と、
を含んで構成した内燃機関の空燃比制御装置において、
前記蒸発燃料パージ装置からの蒸発燃料パージによる空燃比への影響が大の状態から、小の状態へ移行し、前記空燃比制御値設定手段において、前記第2学習値に基づく値から前記第1学習値へ切り換える際に、
当該切換時における残留パージガスによる空燃比の変動を抑制するように、前記第2学習値に基づく値と前記第1学習値とに基づいて切換時学習値相当値を設定する切換時学習値相当値設定手段と、
当該設定した切換時学習値相当値と、前記空燃比の基本制御値と、前記空燃比フィードバック補正値と、に基づいて切換時の最終的な空燃比の制御値を設定する切換時空燃比制御値設定手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記第2学習値に基づく値が、前記第2学習値と、前記第1学習値と、に基づくものであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記切換時学習値相当値設定手段が、切り換え指示後、所定時間内において、前記第1学習値と前記第2学習値に基づく値との偏差に比例した値を、前記第2学習値に基づく値から減算して求めた値を切換時学習値相当値として設定する手段であり、
前記切換時空燃比制御値設定手段が、切り換え指示後、所定時間内において、前記設定された切換時学習値相当値を用いて、切換時の最終的な空燃比の制御値を設定する手段であり、
切り換え指示後所定時間経過後には、前記空燃比制御値設定手段により前記第1学習値を用いて最終的な空燃比の制御値を設定するようにしたこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記切換時が、パージカット時であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記切換時が、スロットル弁の開度が所定値以下となるようなスロットル弁の閉弁動作を伴うことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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