JP3937702B2 - 内燃機関のエバポパージ制御装置 - Google Patents

内燃機関のエバポパージ制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク等の燃料供給系内で発生した蒸発燃料を吸着した後、該蒸発燃料を空気とともに吸気管通路などの吸気系にパージする内燃機関のエバポパージ制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】
燃料タンクにて、蒸発した蒸発燃料を吸気管に放出するパージシステムが広く知られている。この技術は、燃料タンク内にて蒸発した燃料をキャニスタが吸着し、内燃機関の吸気通路へパージ管を伝ってキャニスタに吸着された燃料を放出するように構成されている。この技術では、吸気通路に放出される蒸発燃料量を調整するためにパージバルブの開度を調節し、パージ流量の制御を行っている。
【0003】
このパージ流量制御を利用した空燃比制御は、インジェクタからの燃料噴射量とパージによる燃料量を併せて最適な空燃比となるように制御される。従来の吸気管噴射によるエンジンの制御では、特開平04−112959号公報に示される如く、最適な空燃比制御を行うためにパージ濃度を検出し、検出されたパージ濃度から吸気管に放出される蒸発燃料量を算出する。このように求められた蒸発燃料量をインジェクタの燃料噴射量から差し引いて最適な空燃比に制御している。
【0004】
パージシステムを備える直噴エンジンの制御方法として、特許登録2806224号に開示される技術が知られている。この公報に示される技術では、機関負荷が設定された負荷よりも小さいときにパージを導入するときには、燃焼方式を均質燃焼とにより制御する。一方、機関負荷が設定された負荷よりも小さいときにパージを導入しないときは、燃料を圧縮行程中に噴射する燃焼方式、すなわち成層燃焼としている。
【0005】
また、特開平07−259662号公報に示される技術によると燃焼安定度によりトルク変動を検出し、トルク変動が生じてからインテークマニホールドに放出するパージ流量を制御している。
【0006】
【発明が解決する課題】
ところが、特開平04−112959号公報に示される制御方法を、直噴エンジンの成層燃焼時に適用すると、パージ導入によりインジェクタによる燃料噴射量を減量補正する場合、成層燃焼を行うために必要な点火プラグ周辺の混合気形成がみだれ燃焼が不安定となる。点火プラグ周りの燃焼が不安定になることにより失火が生じたりするのでドライバビリティの悪化が生じる。特許登録2806224号に示される制御方法では成層燃焼のときにはパージを行わず、パージ制御を行う際には均質燃焼に切換えているため、成層燃焼の時間が短くなり燃費向上が望めなくなる。また、特開平07−259662号公報に示される制御方法ではトルクの変動を検出してから空燃比を制御するために、トルクの変動によるドライバビリティの悪化が生じる。さらに、路面等の影響から高精度な制御を実施できない。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、成層燃焼時でもパージ導入可能とし、成層燃焼時にパージ導入により燃料噴射弁による燃料噴射量を減量補正しても、トルク変動を生じさせず、ドライバビリティの悪化を防止する内燃機関のエバポパージ制御装置を提供することにある。
【0008】
請求項1の発明によれば、燃料噴射弁により燃料室内に直接燃料を噴射し、成層燃焼可能な内燃機関において、パージガスを導入する際に、燃料噴射弁からの燃料量を減量補正する。その際に、燃料噴射弁により噴射された燃料噴射量とパージ制御による燃料量を足し合わせた燃料量の内、パージ制御による燃料量の占める割合の増加に伴い、点火プラグ周りの混合気形成が乱れなく、トルク変動を生じないパージガス量にガードをかける。
【0009】
これにより、パージ導入により燃料噴射量が減量補正されることによるトルク変化が生じる前にパージ割合に基づいてガードをすることができるため、トルク変動の発生を防止でき、ドライバビリティの悪化を防ぐことができる。さらに、成層燃焼であってもトルク変化が生じないパージ制御を行うことができるので、成層燃焼から均質燃焼へ切換えることがないので、燃費の向上を図ることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置において、運転状態の変化が検出されたときに、パージガス量がパージガード手段により設定されるパージ補正量になるまで、パージ制御手段によりパージ量を制御する。
【0011】
これにより、例えば、運転状態の変化毎に設定される目標パージ率と、パージガード手段により設定されるパージ補正量とが変化しても、パージガス量をパージ補正量となるまでパージ制御手段により制御するので、運転領域の変化毎に急激な空燃比の変化によりトルク変動が生じること無く、速やかにパージ補正量に追従でき、最適な制御が実施できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1乃至請求項2に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置において、パージ制御手段は、内燃機関の負荷とパージ濃度との関係に基づいてパージ率を制限する。
【0013】
パージ濃度が薄いときに大きなパージ率にてパージ制御を行うと、キャニスタに蒸発燃料が吸着されずに吸気管内にパージされてしまう。蒸発ガスの発生量は一定ではないために、キャニスタに吸着されないパージでは燃料量が安定せず、その結果、トルク変動を生じてしまう。ところが、蒸発燃料が不安定であっても、請求項3の発明では、パージ率を制限するので蒸発燃料が安定してキャニスタに吸着される。キャニスタに蒸発燃料が吸着するので安定したパージを行うことができるためトルク変動を防止することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、請求項3に記載のエバポパージ制御装置において、パージ濃度は、パージ非導入時の空燃比λ0と、パージ導入後かつ燃料噴射量補正の補正が無いときの空燃比λ1と、前記補正が無いときのパージ率TPRGとにより、パージ濃度=(1−λ1/λ0)/TPRG/λ1で示される関係に基づいて算出される。
【0015】
これによりオープン制御時であっても、空燃比補正係数によらずにパージによる空燃比変化のみでパージ濃度を検出することができる。さらに、例えば0.5%以上のパージを導入してもエンジン性能への影響が小さく、触媒浄化性能への影響も無くパージ濃度を検出することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項2乃至請求項3に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置において、内燃機関の成層燃焼時には、目標空燃比と実空燃比とを燃料量にてフィードバック制御し、パージ導入時には、フィードバック制御量により得られる制御量に基づいてパージ濃度を学習する。
【0017】
これによりオープン制御時にも精度よくパージ濃度を検出できるので、最適なパージ制御を行うことができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、請求項3乃至請求項5に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置において、成層燃焼時に空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する際に、フィードバック制御をスロットル制御手段により行い、パージが導入されるときにはスロットル弁での空燃比フィードバック制御を禁止する。
【0019】
成層燃焼時は、燃料噴射量を一定にすると吸入空気量に関わらずトルクが一定となる。すなわちトルクが一定なのでスロットル弁の制御のみで空燃比を制御することができる。さらに、パージが導入されるときは、スロットル弁の制御ではトルク変動を生じ易いので、スロットル弁での空燃比制御を禁止する。
【0020】
【実施の形態】
<第1の実施例>
本発明の実施の形態である第1の実施例を示す。
【0021】
まず、図1に基づいてエンジン制御系システム全体の概略構成を説明する。筒内噴射式エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側には、DCモータ14(スロットル制御手段)によって開度調節されるスロットル弁15が設けられている。DCモータ14がエンジン電子制御回路(以下「ECU」と表記する)16からの出力信号に基づいて駆動されることで、スロットル弁15の開度(スロットル開度)が制御され、そのスロットル開度に応じて各気筒への吸入空気量が調節される。スロットル弁15の近傍には、スロットル開度を検出するスロットルセンサ17が設けられている。
【0022】
このスロットル弁15の下流側には、サージタンク19が設けられ、このサージタンク19に、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が接続されている。各気筒の吸気マニホールド20内には、それぞれ第1吸気路21と第2吸気路22がエンジン11の各気筒に形成された2つのポート23にそれぞれ連結されている。
【0023】
また、各気筒の第2吸気路22内には、スワール制御弁24が配設されている。各気筒のスワール制御弁24は、共通のシャフト25を介してステップモータ26に連結されている。このステップモータ26がECU16からの出力信号に基づいて駆動されることで、スワール制御弁24の開度が制御され、その開度に応じて各気筒内のスワール流強度が調節される。ステップモータ26には、スワール制御弁24の開度を検出するスワール制御弁センサ27が取り付けられている。
【0024】
エンジン11の各気筒の上部には、燃料を燃焼室内に直接噴射する燃料噴射弁28が取り付けられている。燃料タンク43から燃料配管29を通して燃料デリバリパイプ30に送られてくる燃料は、各気筒の燃料噴射弁28から気筒内に直接噴射され、吸気ポート23から導入される吸入空気と混合されて混合気を形成する。
【0025】
さらに、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ(図示せず)が取り付けられ、各点火プラグの火花放電によって気筒内の混合気に点火される。また、気筒判別センサ32は、特定気筒(例えば、第1気筒)が吸気上死点に達したときに出力パルスを発生し、クランク角センサ33は、エンジン11のクランク角が一定角(たとえば30℃A)回転する毎に出力パルスを発生する。これらの出力パルスによって、クランク角やエンジン回転速度Neが検出され、気筒判別が行われる。
【0026】
一方、エンジン11の各排気ポート35から排出される排気が排気マニホールド36を介して1本の排気管37に合流する。この排気管37には、理論空然比付近で排気を浄化する三元触媒38とNOx吸蔵型のリーンNOx触媒39とが直列に配設されている。このリーンNOx触媒39は、排気中の酸素濃度が高いリーン運転中に、排気中のNOxを吸蔵し、空燃比がリッチに切換えられて排気中の酸素濃度が低下したときに、吸蔵したNOxを還元浄化して放出する。
【0027】
また、排気管37のうちの三元触媒38の上流側とサージタンク19との間には、排気の一部を吸気系に還流させるEGR配管40が接続され、このEGR配管40の途中に、EGR弁41が設けられている。ECU16からの出力信号に基づいてEGR弁41の開度が制御され、その開度に応じてEGR量が調節される。また、アクセルペダル18には、アクセル開度を検出するアクセルセンサ42が設けられている。
【0028】
さらに、燃料タンク43内の蒸発ガスを吸着するキャニスタ44と吸気管12との間には、吸着した燃料蒸発ガスを吸気系にパージ(放出)するパージ配管45が接続される。パージ配管45の途中には、その開度に応じて吸気系にパージされる燃料蒸発ガス量(パージ量)を調節するパージ弁46が配設される。
【0029】
前述した各種センサの出力信号は、ECU16に入力される。このECU16は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された制御プログラムに従い、各種センサ出力に基づき、前述したDCモータ14、ステップモータ26、燃料噴射弁28、点火プラグ、EGR弁41、パージ弁46の動作を制御する。
【0030】
ECU16は、エンジン11の運転中、燃焼方式切換え要求に応じて燃焼方式を成層燃焼と均質燃焼との間で切換え、成層燃焼では、少量の燃料を圧縮行程で噴射して点火プラグの周辺に部分的に濃い混合気を形成することで、希薄な混合気を燃焼させる。また、均質燃焼では、理論空燃比付近または、それよりも若干リッチとなるように燃料噴射量を増量し、燃料を吸気行程で噴射することで、均質混合気を燃焼させる。
【0031】
以下に、ECU16が行う制御を図2乃至図9を用いて説明する。
【0032】
本実施例は、キャニスタ44からのパージガス量をトルク変動が生じないパージガス量に設定し、燃料噴射弁28の行う燃料噴射に反映させ最適な空燃比制御を実現している。図2は本実施例の基本制御ブロック図である。まず、アクセル開度とエンジン回転速度Neから運転状態に応じた要求トルクが要求トルク設定部51にて算出される。そして、燃焼モード選択部52では、要求されるトルクに応じて内燃機関の燃焼方式が選択される。燃焼方式の種類には、点火プラグ周辺にのみ混合気を形成させリーン領域での燃焼を行う成層燃焼と、シリンダ室内に均質に燃料を充填し、燃焼させる均質燃焼とがある。ここで、燃焼方式が選択されると、選択された燃焼方式に基づいて燃料噴射量や、噴射時期、点火時期、バルブタイミング、スロットル開度、EGR弁の開度、などの内燃機関の制御に必要なパラメータが各運転パラメータ設定部53にて設定される。
【0033】
一方、限界エバポ率設定部57では、運転状態に応じた限界エバポ率が設定される。エバポ率は燃料噴射弁18からの燃料噴射量とパージ弁46からの燃料量との重量パーセント濃度であり、ここで言う限界エバポ率とは、トルク変動が生じない安定した成層燃焼を行うための限界値である。
【0034】
この限界エバポ率の設定方法をパージ導入時のトルクに対する影響を示す図3に基づいて説明する。図3は、燃料噴射弁18による燃料噴射量とパージによるエバポ量(パージによる燃料量)とが一定の場合にパージの割合を増加させたときのトルクの変化が示されている。均質燃焼では、シリンダ内に燃料を一様に充填するためエバポ量を増加させてもトルクは変化しない。ところが、パージの割合を増加させることにより燃料噴射量の減量補正を行うと、プラグ周りにのみ薄い混合気を形成する成層燃焼では、燃焼に必要な混合気を形成することができなくなる。また、パージによる燃料が燃焼せずに排出されることによりトルク変動を生じてしまう。そこで、成層燃焼において、パージによるエバポ量がトルク変動や燃焼不安定を生じない限界値を限界エバポ率として設定している。
【0035】
このようにして限界エバポ率が設定されるとパージ補正設定部56がパージによって必要になる補正係数を設定する。各種補正係数設定部54では、各運転パラメータ設定部53と限界エバポ率設定部57、パージ補正設定部56に基づいて空燃比補正や温度補正などの各種補正が行われる。そして、出力段55は前述のように補正された各種パラメータを出力する。
【0036】
一方、限界エバポ率設定部57にて設定された限界エバポ率をパージ濃度検出部58にて検出されるパージ濃度で除算する。除算した値はパージ率の上限ガードとなる。パージ率補正部59では、運転状態に応じたパージ率を算出し、算出されたパージ率が上限ガードを越えなければ、ここで算出したパージ率をパージ弁への出力部60へ入力する。パージ率が上限ガードを越えた場合は、パージ弁46への出力部60に入力するパージ率を上限ガードに設定し受け渡す。パージ弁46への出力部60では、前述のように設定されたパージ率になるようにパージ弁開度を調節している。
【0037】
このような制御ブロックにて実施されるパージ制御をフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、パージ濃度を算出するために行われるエバポ濃度(=パージ濃度)の検出ルーチンを図4に示す。図4はECU16のベースルーチンで約4msec毎に実行される。最初に、ステップ100でキースイッチ投入時か否かを判定する。ステップ115からステップ117の処理では、エンジンが停止されている間でもキャニスタ44には蒸発燃料が吸着されるので、前回検出したエバポ濃度を使用すると誤差が生じてしまうためであり、これを避けるためである。キースイッチ投入時であるなら、ステップ115、116、117へ進み、エバポ濃度FGPG、エバポ濃度平均値FGPGAVを1.0に、初回濃度検出フラグXNFGPGを0に初期設定する。FPGPG,FGPGAVが1.0というのは、エバポ濃度が0であること(燃料ガスが全く吸着されていないこと)を意味する。最初は吸着量=0と仮定するのである。XNFGPG=0とは、未だエバポ濃度が検出されていないということを意味する。
【0038】
キースイッチ投入後には、まず、ステップ101でパージ制御が開始されているか否か、すなわち、パージ実施フラグXPRGが1かを判定する。XPRG=1(パージ制御開始後)のときはステップ102へ進み、XPRG=0(パージ制御が開始前)のときは濃度検出を処理を終了する。これは、パージ開始前にはエバポ濃度を検出できないからである。
【0039】
また、ステップ102では加減速中か否かを判断する。ここで、加減速中か否かの判断は、アイドルスイッチ、スロットル弁開度変化、吸気圧変化、車速等を検出することにより一般的に良く知られている方法で行われば良い。そして、ステップ102で加減速中であると判断されるとそのまま処理を終了する。これは、加減速中は運転状態が過渡状態にあるため、正しい濃度検出ができないからである。
【0040】
一方、ステップ102で加減速中でないと判断されるとステップ103へ進んで、初回濃度検出終了フラグXNFGPGが1か否かを判断し、1のときには次のステップ104へ進み、1でないときにはステップ104をバイパスしてステップ105へ進む。最初は濃度検出を終了していないので、ステップ104をバイパスしてステップ105へ進む。
【0041】
このステップ105ではFAFAVが基準値1に対して所定値(ω%)以上の偏差を有するか否かを判断する。これは、パージによって空燃比にずれがでていないとエバポ濃度を正しく検出できないからである。すなわち、所定値=ω%は、バラツキの範囲を意味する。FAFAVは、空燃比補正係数FAFの平均値である。空燃比補正係数FAFは目標空燃比からのずれを補正する補正係数であるため、パージを導入した際に空燃比補正係数FAFが基準値1からずれるのはパージによる影響である。このためパージを導入した際は、FAFの平均値FAFAVに基づいてパージ濃度を算出することができる。
【0042】
偏差が所定値以上でないときにはそのまま処理を終了し、偏差が所定値以上のときだけ次のステップ108へ進んで、エバポ濃度を検出する。ステップ108では、偏差(FAFAV−1)をパージ率TPRGで除算したものを、前回のエバポ濃度FGPGに加算して今回のエバポ濃度FGPGを求める。したがって、この実施例におけるエバポ濃度FGPGの値は、放出通路15中のエバポ濃度が0(空気が100%)のとき1となり、放出路15中のエバポ濃度が濃くなるほど1より小さい値に設定されるものである。ここで、ステップ108においてFAFAVと1とを入れ替えて、エバポ濃度が濃くなるほど、エバポ濃度FGPGの値1より大きな値に設定されるようにしてエバポ濃度を求めるようにしても良い。
【0043】
そして、次のステップ109で初回濃度検出終了フラグXNFGPGが1か否かを判断し、1でないときには次のステップ110へ進み、1のときにはステップ110、111をバイパスしてステップ112へ進む。そして、ステップ110ではエバポ濃度FGPGの前回検出値と今回検出値との変化が所定値(θ%)以下の状態が3回以上継続したか否かによりエバポ濃度が安定したかを判断する。エバポ濃度が安定すると次のステップ111へ進んで、初回濃度検出終了フラグXNFGPGを1にした後、次のステップ112へ進む。また、ステップ110でエバポ濃度が安定していないと判断すると、ステップ111をバイパスしてステップ112へ進む。このステップ112では今回エバポ濃度FGPGを平均化するために、所定のなまし演算(例えば、1/64なまし演算)を実行し、エバポ濃度平均値FGPGAVを求める。
【0044】
こうして初回濃度検出が終了(ステップ110で肯定判定)した後は、ステップ103は常にYESと判定されることとなり、ステップ104が実行され、パージ率TPRGが所定値(β%)以下のときにはそのまま処理を終了し、TPRG>β%のときだけ次のステップ105へ進む。これは、パージ率TPRGが小さいとき、すなわちパージソレノイド弁16は低流量側にあるときは、精度よく開度を制御できないので精度のよいエバポ濃度検出をすることができないことから、初回は検出精度が高くないので、それ以外においては精度よく検出できる条件のときだけエバポ濃度検出を実行し、できるだけ誤差のない値を与えるようにするためである。
【0045】
次に、パージ率の設定ルーチンを図5に示すフローチャートにしたがって説明する。まず、ステップ200にて内燃機関の燃焼方式が判定される。燃焼方式の決定は、例えば図6に示すようにエンジン回転速度Neと設定される要求トルクに基づいたマップにより決定されても良い。このようにして、要求トルクとエンジン回転速度Neに基づいて燃焼方式が選択され、選択された燃焼方式が均質燃焼の場合は、均質燃焼用のパージ率を算出するためにステップ212へ進む。ステップ212では、従来より知られる技術にて均質燃焼時のパージ率を算出して本ルーチンを終了する。一方、ステップ200にて、成層燃焼であると判定されるとステップ201に進む。
【0046】
ステップ201では、要求トルクとエンジン回転速度Neが呼び出される。そして、ステップ202へ進み、要求トルクとエンジン回転速度Neに応じたパージ率の限界値(限界エバポ率tevp(i))が求められる。限界エバポ率は要求トルクとエンジン回転速度Neとに基づいたマップにより求められても良いし、また演算により求められてもよい。ステップ203では、エバポ濃度の学習値が呼び出される。エバポ濃度の学習値は、図4のエバポ濃度検出ルーチンにて算出されたFGPGAVである。そして、ステップ204では、ステップ202で設定された限界エバポ率を濃度学習値(FGPGAV)で除算し、限界パージ率tptgを算出する。
【0047】
このように、成層燃焼においてパージによる影響が出ないパージ率にてガードをかけることで、点火プラグ周りの混合気の乱れに起因するトルク変動を生じさせずにパージ制御を行っている。次に、ステップ205以降の処理では、限界燃料補正量(限界エバポ濃度に基づいて算出される限界パージ率)まで徐々にパージを増量させることで、パージ導入時のトルクショックなどを防止するようにしている。このような制御をステップ205以降の処理に基づいて説明する。
【0048】
ステップ205では、運転領域の変化が判定される。ステップ205にて運転領域が変化したと判定すると、今回の限界エバポ率tevp(i)と前回の限界エバポ率tevp(i−1)とを比較する。ここで、今回の限界エバポ率tevp(i)が前回のエバポ率tevp(i−1)よりも大きければ、ステップ210にて今回のパージ率TPRG(i)に前回のパージ率TPRG(i−1)を入力し、この値を初期値とする。ステップ209にて前回の限界エバポ量tevp(i−1)の方が今回の限界エバポ量tevp(i)よりも大きい場合は、ステップ211にて、前回のパージ率TPRG(i−1)を所定値C(例えば2)で除算した値を運転領域変化後の初期値とし、本ルーチンを終了する。
【0049】
一方、ステップ206にて運転領域が変化していなれば、ステップ206へ進む。ステップ206では、現在のエバポ率と限界エバポ率tevp(i)とが比較される。なお、現在のエバポ率はパージ率とパージ濃度とから算出される。ここで、限界エバポ率が現在のエバポ率よりも大きい場合は、ステップ207へ進む。ステップ207では、前回のパージ率TPRG(i−1)に所定値αを加えた値を今回のパージ率TPRG(i)に設定している。このように所定値αを加えることで、ステップ的に限界エバポ率tevp(i)に追従させている。なお、限界エバポ率tevp(i)の設定は、パージ導入の際に限界エバポ率を設定してその値を目標のパージ率TPRG(i)としても良いし、本実施例のようにステップ的にパージ率TPRG(i)を変化させて限界エバポ率に追従させても良い。
【0050】
本実施例のように制御すると、目標のパージ率TPRG(i)を限界エバポ率tevp(i)に基づいて算出される限界パージ率にステップ的に追従させるので、パージ導入時の急激な空燃比変化によるトルクショックを防止することができる。また、ステップ206にて、現在のエバポ率が限界エバポ率tevp(i)を越えたときはステップ208へ進み、目標のパージ率TPRG(i)を前回のパージ率TPRG(i−1)にセットし本ルーチンを終了する。このように、運転領域が変化した場合でも、パージ率を即座に目標パージ率や限界パージ率に設定することがないので、急激な空燃比変化を生じさせずトルクの急変によるトルクショックを防止している。
【0051】
次に、パージ率を考慮して燃料噴射弁28が噴射する燃料噴射量とパージ補正係数とを設定するメインルーチンを図7に従って説明する。まず、ステップ10にてECU16内のROMにマップとして格納されているデータに基づいて、エンジン回転速度Neと負荷(例えば、吸入空気量Q)により基本噴射量Tpを求め、次のステップ20にて各種補正係数(冷却水温補正、始動後補正、吸気温補正など)が算出される。ステップ30ではエバポ濃度平均値FGPGAVに目標のパージ率TPRGを乗算してパージ補正係数FPGを求める。このパージ補正係数FPGは、パージ率制御処理によって供給される燃料量を意味し、また、基本燃料噴射量Tpから減量補正すべき燃料量を表している。そして、次のステップ40で、空燃比フィードバック値FAF、パージ補正係数FPG及び空燃比学習値KGjから次式にて補正係数を求め、これを基本燃料噴射量Tpに乗算して燃料噴射量TAU(=Tp*{1+(FAF−1)+(KGj−1)+FPG})に反映させる。なお、KGjは、各エンジンの運転領域毎に持たれている。
【0052】
次に、このようにして制御される本実施例のタイムチャートを従来技術に比して説明する。図8は従来のパージ制御を実行したときのタイムチャートである。図8(a)に示されるパージ実施フラグXPRGが1になるとパージが実行される。これを受けて要求パージ率が算出され、図8(b)に示すようにステップ的に要求パージ率へ追従している。図8(c)は、燃料噴射弁28による燃料噴射量を表した図である。燃料噴射弁28による燃料噴射量は、パージによるパージ燃料量を減量補正するように制御される。燃料噴射弁28による燃料噴射量が減量補正されると成層燃焼を行うのに十分な燃料量を確保することができず、混合気の成層化が乱れて図8(d)に示す如くトルクダウン(変動)が生じてしまう。このトルクダウン(変動)が生じるパージ率が図8(b)中のA点に、燃料噴射弁28による燃料噴射量が図8(c)中のB点に対応する。
【0053】
本実施例では、このようなトルクダウンが生じないように図9に示す制御により防止している。図9(a)は図8(a)と同様にパージ開始フラグXPRGである。パージ実施フラグXPRGが1になるとパージの実行が許可され、これを受けてパージ率が算出される。これと同時に成層燃焼にてトルク変動が生じない限界エバポ率が算出され、この限界エバポ率に基づくパージ率のガード値が算出される。パージが開始されてからパージ率が限界エバポ率を越えると図9(b)に示されるように燃料噴射量が限界エバポ率のガード値に固定される。図9(c)は燃料噴射弁28による燃料噴射量を示すタイムチャートである。パージ率がステップ的に増加し、限界エバポ率へ追従している。パージ率には、限界エバポ率でガードがかけられるために、燃料噴射量を減量補正しても成層燃焼に必要な燃料噴射量が確保される。このことにより結果的に燃料噴射量にもガードがかかっている。
【0054】
このように、トルク変動が生じないパージ率にガードを設定することにより図9(d)に示す如くトルクダウン(変動)が生じることが防止できる。
【0055】
本実施例において、蒸発燃料吸着手段は図1のキャニスタ44に、パージ手段は、図1のパージ配管45に、パージ制御手段は図5のフローチャートに、パージガード手段は図5のステップ202に、運転状態検出手段は図5のステップ205に、パージ濃度算出手段は図4のフローチャートに相当し、それぞれ機能する。
【0056】
<第2の実施例>
パージ濃度が低いときに、パージ弁46を全開にしていると、燃料タンク43からの蒸発ガスがキャニスタ44に吸着されずにそのままパージ弁を介して吸気管に放出される。燃料タンク43からの蒸発ガスが不安定な場合は、吸気管に放出されるパージガスが不安定になるために所望の空燃比を実現することができずにトルク変動を生じさせる。そこで本実施例では、パージ濃度が低いときにパージ率を制限することでトルク変動を防止するようにしている。図10のフローチャートを用いて詳細を説明する。なお、第1の実施例と同一のステップには、同一の符号を付して詳細の説明を省略する。
【0057】
まず、ステップ200乃至ステップ204の処理では、第1の実施例と同様に限界エバポ率とパージ率の算出が行われる。ステップ300では、パージ濃度と所定濃度αとの関係が判定される。パージ濃度が所定値αよりも大きければ、ステップ304へ進み、所定値αよりも小さければステップ301へ進む。ステップ301では、例えば、トルクと回転速度Neとにより決定されれるパージ率のガードマップに基づいてパージ率ガード値(prglmt)が設定され、ステップ302に進む。
【0058】
ステップ302では、パージ率TPRG(i)がパージガード値trglmtより大きいか否かが判定される。パージ率TPRG(i)が大きければステップ303へ進み、パージ率TPRG(i)をパージガード値prglmtに固定して本ルーチンを終了する。また、ステップ300のパージ濃度が所定値αよりも大きいとき、ステップ302のパージガード値がパージ率より大きいときはステップ304に進み、パージ率TPRG(i)に前回のパージ率TPRG(i−1)を入力して本ルーチンを終了する。
【0059】
このように本実施例では、パージ濃度が低いときはパージ率にガードをかけることによりトルク変動が生じることを防止している。
【0060】
本実施例において、パージ制御手段は図10のフローチャートに、パージガード手段は図10のステップ301に相当し、それぞれ機能する。
【0061】
<第3の実施例>
本実施例では、第1実施例のパージ濃度検出の代わりに行われるパージ濃度の学習方法を図11を用いて詳細に説明する。特に成層燃焼にて行う制御では、フィードバック制御を行わずにオープン制御を行うことがあるため、本実施例に示される如くパージによる空燃比の変化からパージ濃度を求めることで、成層燃焼時でもパージ濃度を検出することができる。
【0062】
まず、ステップ400ではパージ濃度を検出できる条件にあるか否かが判定される。パージ濃度学習の実行条件としては、例えばパージ率が0.5%(パージ率の変化により空燃比の変化が検出できる程度のパージ率)以上である。条件が成立しなければ、本ルーチンを終了し、条件が成立すれば、ステップ401に進む。ステップ401では、パージが導入されているか否か示すパージ導入フラグが1か否かを判定する。パージが導入されていなければ、ステップ402にてパージ非導入時の基準空燃比λ0をメモリに格納し、ステップ403へ進む。ステップ403では、このλ0の値がメモリに格納されたことを受けて、パージバルブを開きパージを開始する。ステップ404ではパージが安定していることをカウントする安定カウンタを0にセットして本ルーチンを終了する。
【0063】
ステップ405では、安定カウンタが所定値βよりも大きいか否かが判定される。安定カウンタによりパージガス導入の遅れ時間とパージ導入による空燃比が安定する時間が確保される。ここで、安定カウンタが所定値βより小さければ、ステップ418へ進み、安定カウンタをカウントアップして本ルーチンを終了する。安定カウンタが所定値βよりも大きければステップ406へ進む。ステップ406では、パージが導入されてから安定した空燃比λ1をメモリに格納し、ステップ407へ進む。ステップ407では、パージ率TPRGをロードし、ステップ408へ進む。
【0064】
ステップ408では、ステップ402にで記憶された空燃比λ0と、ステップ406にて記憶された空燃比λ1と、ステップ407で呼び出されたパージ率TPRGとからパージ濃度tfpg(i)を算出する。算出方法は次式(1)に従う。
【0065】
【数1】
パージ濃度tfpg(i)=(1−λ1/λ0)/TPRG/λ1 ・・(1)
(1)式の(1−λ1/λ0)は、パージ導入による空燃比のずれ(ΔAF)から算出される。
【0066】
【数2】
ΔAF=(AF0−AF1)=A0/F0−A0/(F0+Fe) ・・(2)
【0067】
【数3】
=[A0/(F0+Fe)]*Fe/F0=AF1*Fe/F0 ・・(3)
(2)式、(3)式において、AF0はパージ導入前の空燃比を、AF1はパージが導入されているときの空燃比を、A0は吸入空気量を、F0は燃料噴射弁28により燃料噴射量を、Feはパージによる燃料量を、それぞれ示す。
なお、(2)式では、Ae(パージによる空気量)<<A0という近似を用いている。(2)式、(3)式において、得られる結果から次式のようになる。
【0068】
【数4】
Fe/F0=ΔAF/AF1=(AF0−AF1)/AF0 ・・(4)
【0069】
【数5】
=(1−AF1/AF0) ・・(5)
このようにして、パージ導入による空燃比のずれ(ΔAF)と、パージ率とから(1)式に示される如くパージ濃度を算出することができる。パージ濃度が算出されるとステップ409へ進む。
【0070】
ステップ409では、パージ率の上限をチェックするために、算出されたパージ濃度tfpg(i)が所定値A1より大きいか否かが判定される。パージ濃度が所定値A1より大きければ、ステップ410へ進み、パージ濃度tfpg(i)に所定値A1を入力し、ステップ417へ進む。パージ濃度tfpg(i)が所定値A1よりも小さければ、ステップ411へ進み、パージ濃度tfpg(i)の下限をチェックする。ステップ411にて、パージ濃度tfpg(i)が所定値A2より小さければ、ステップ412に進み、パージ濃度tfpg(i)を所定値A2に更新して本ルーチンを終了する。一方、パージ濃度tfpg(i)が所定値A2よりも大きければ、ステップ413へ進む。
【0071】
ステップ413では、パージ濃度の前回値tfpg(i−1)からの更新量にガードをかけるために、パージ濃度tfpg(i)がfpg(i−1)+B1より大きいか否かが判定される。パージ濃度tfpg(i)がfpg(i−1)+B1より大きければ、ステップ414に進み、パージ濃度tfpg(i)にpg(i−1)+B1を入力してステップ417へ進む。一方、パージ濃度tfpg(i)がfpg(i−1)+B1よりも小さければ、ステップ415へ進む。ステップ415では、パージ濃度tfpg(i)がfpg(i−1)−B2より大きいか否かが判定される。パージ濃度tfpg(i)がfpg(i−1)−B2より小さければステップ416へ進み、パージ濃度tfpg(i)にfpg(i−1)−B2を入力してステップ417へ進む。一方、パージ濃度tfpg(i)がfpg(i−1)−B2よりも大きければステップ417に進み、パージ濃度の学習値fpg(i)としてtfpg(i)を入力し、本ルーチンを終了する。
【0072】
このようにして算出されるパージ濃度の学習タイムチャートを図12に示す。パージ濃度が学習されるために空燃比の変化が検出される程度のパージが図12(a)に示す如く導入される。パージ濃度の学習値はパージ導入前の空燃比λ0とパージ導入後の空燃比λ1とに基づいて算出されるため、図12(b)に示す如くパージ導入前の空燃比λ0と、パージ導入後の空燃比λ1とを検出する。空燃比λ0、λ1を検出する際に、図12(c)に示す如く安定カウンタがカウントアップされる。このカウンタは、パージが導入されてからの空燃比が安定するまでをカウントするものであり、カウンタが所定値を越えたときにパージ導入後の空燃比λ1が検出される。空燃比λ0、空燃比λ1がそれぞれ検出されると(1)式に示した数式に基づいて図12(d)に示す如くパージ濃度学習値として算出される。
【0073】
本実施例において、パージ濃度検出手段は図11のフローチャートに相当し、機能する。
【0074】
<第4の実施例>
本実施例では、パージが実施されるか否かによって、空燃比フィードバック制御をスロットル(吸入空気量)で制御するか、燃料噴射量で制御するかを切換える制御を説明する。なお、本実施例は第1・第2の実施例と組み合わせて用いることができる。また、パージ濃度検出ではパージによる空燃比の変化によりパージ濃度を求めているため成層燃焼時でもパージ濃度を算出することができる。
【0075】
図13に示すメインルーチンにしたがって説明する。まずステップ501乃至ステップ504の処理にて条件判定が行われる。ステップ501では、内燃機関の冷却水温が所定値以上であるか否かが判定される。冷却水温が所定値以下である場合は、本ルーチンを終了し、所定値以上である場合は、ステップ502へ進む。ステップ502では、空燃比制御において、リッチ燃焼での制御が要求されているか否かが判定される。リッチ燃焼での制御要求が無ければ本ルーチンを終了し、リッチ燃焼での制御要求があればステップ503へ進む。
【0076】
ステップ503では、空燃比センサが活性状態にあるか否かが判定される。空燃比センサが活性状態になければ本ルーチンを終了し、活性状態であればステップ504へ進む。ステップ504では、燃料噴射弁28などが正常か否かを判定する。正常でなければ、本ルーチンを終了し、正常であればステップ505へ進む。ステップ505では、燃焼方式が成層燃焼か否かが判定される。燃焼方式が成層燃焼ではなく、均質燃焼である場合はステップ507へ進み、均質燃焼の空燃比フィードバック制御を行い本ルーチンを終了する。一方、燃焼方式が成層燃焼である場合は、ステップ506へ進み、パージが実行されているか否かが判定される。パージが実行されていれば、ステップ510に進み、燃料噴射弁28による燃料噴射量での空燃比フィードバック制御が行われる。
【0077】
ここで、図14に示されるサブルーチンを用いて噴射量による空燃比フィードバック制御を説明する。ステップ511にて目標空燃比と実空燃比との偏差が所定値以上か否か(|目標A/F−実A/F|≧所定値)が判定される。偏差が所定値以下であるときは、フィードバック制御を行わないとして本ルーチンを終了する。目標空燃比と実空燃比との偏差が所定値以上である場合は、ステップ512へ進む。ステップ512では、偏差に基づいて補正量が設定される。補正量の設定方法としては、図16に示す目標空燃比と実空燃比との偏差に対する燃料噴射量の補正量のマップに基づいて設定される方法がある。また、このようなマップによらなくても偏差に基づく演算により設定しても良い。このようにして噴射量補正量αが設定されると、ステップ513へ進みフィードバック補正量として、補正量の前回値C(i−1)にステップ512にて設定された噴射量補正量αを加えて、今回のフィードバック補正量としメインルーチンに戻り終了する。
【0078】
一方、図13のステップ506にてパージが実行されないと判定されるとステップ520にてスロットルによる空燃比フィードバック制御を実施する。図15のサブルーチンに基づいて説明すると、まず、ステップ521にて目標空燃比と実空燃比との偏差が所定値以上か否か(|目標A/F−実A/F|≧所定値)が判定される。偏差が所定値以下であるときは、フィードバック制御を行わないとして本ルーチンを終了する。目標空燃比と実空燃比との偏差が所定値以上である場合は、ステップ522へ進む。ステップ522では、偏差に基づいて補正量が設定される。補正量の設定方法としては、図17に示す目標空燃比と実空燃比との偏差に対するスロットル開度の補正量のマップに基づいて設定される方法がある。また、このようなマップによらなくても偏差に基づく演算により設定しても良い。このようにしてスロットル開度の補正量βが設定されると、ステップ523へ進みフィードバック補正量として、補正量の前回値D(i−1)にステップ512にて設定された噴射量補正量βを加えて、今回のフィードバック補正量D(i)としメインルーチンに戻り終了する。
【0079】
次に、パージ濃度の学習制御を図18に示すフローチャートにしたがって説明する。本ルーチンは図13のメインルーチンとは別ルーチンで駆動され、ここで学習したパージ濃度は常に最新の学習値に更新される。第2の実施例と同様に、本実施例でもカウンタにより空燃比が安定するとパージ濃度を学習する構成となっている。ここでは、パージ濃度の学習が実行される条件とパージ濃度の学習方法について説明する。ステップ550では、パージが実行されているか否かが判定される。パージ実行されなければ、本ルーチンを終了し、パージが実行されていれば、ステップ551へ進む。ステップ551では、運転状態が加速もしくは減速中であるか否かが判定される。運転状態が加速もしくは減速中であれば、濃度学習の実行条件でないとして本ルーチンを終了する。運転状態が加速もしくは減速中でなければ、ステップ552にて、パージ率が所定値γより大きいか否かが判定されれる。パージ率が所定値γより小さいときは、パージ率による空燃比の変化が小さいために正確なパージ濃度学習ができないとして本ルーチンを終了する。一方、パージ率が所定値γより大きいときは、パージ濃度の学習ができるパージ率であるとして、ステップ553へ進む。ステップ553では、燃料噴射量の補正量が所定値ωよりも大きいか否かが判定される。燃料噴射量の補正量が所定値ωよりも小さければ正確なパージ濃度学習ができないとして本ルーチンを終了する。一方、燃料噴射量の補正量が所定値ωよりも大きければ、パージ濃度の学習値FGPG(i)が次式にしたがって算出される。
【0080】
【数6】
FGPG(i)=FGPG(i−1)+(1−噴射補正量)/(TPRG*λ)・・(6)FGPG(i−1)はパージ濃度の学習値の前回値を、噴射補正量は燃料噴射量の補正量を、TPRGはパージ率を、λは理論空然比に対する空燃比を、それぞれ示す。このようにしてパージ濃度が学習されると、本ルーチンを終了する。
【0081】
このようにして制御される濃度学習のタイムチャートを図19に示す。図19(a)のようにパージを導入するためにパージ率が制御される。パージが導入されると共に安定カウンタによるカウントが開始される。カウンタは所定値に達すると図19(d)のように燃料噴射量の補正を開始する。燃料噴射量の補正により図19(c)に示す如く空燃比λが目標空燃比へ復帰する。このように燃料噴射量の補正が終了し、空燃比λが図19(b)のように安定するとパージ濃度が学習され、図19(e)に示す如く濃度学習のフラグが立ち、濃度学習が終了する。
【0082】
本実施例において、フィードバック制御手段は図13のステップ510、ステップ520とステップ507に、目標空燃比設定手段と空燃比検出手段とは、図14のステップ551と図15のステップ521とに、スロットル制御手段は図15のフローチャートに、パージ濃度算出手段は図18のフローチャートに相当し、それぞれ機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の概略構成図。
【図2】本実施例の基本制御ブロック図。
【図3】燃料噴射量とエバポ量が一定のときに、均質燃焼、成層燃焼、それぞれのエバポ量を増加させたときのトルク変動を示した図。
【図4】第1の実施例のエバポ濃度検出を示すフローチャート。
【図5】第1の実施例のパージ率算出を示すフローチャート。
【図6】エンジン回転速度Neと要求トルクに応じて均質燃焼、成層燃焼を設定するマップ。
【図7】燃料噴射量を設定するメインルーチン。
【図8】従来技術のタイムチャート。
【図9】第1の実施例のタイムチャート。
【図10】第2の実施例のパージ率算出を示すフローチャート。
【図11】第3の実施例のパージ濃度を学習するフローチャート。
【図12】第3の実施例のパージ濃度学習のタイムチャート。
【図13】第3の実施例の空然比フィードバックを示すフローチャート。
【図14】第3の実施例の噴射量による空燃比フィードバック制御を示すフローチャート。
【図15】第3の実施例のスロットルによる空燃比フィードバック制御を示すフローチャート。
【図16】第3の実施例の空燃比偏差に対する噴射量補正量を設定するマップ。
【図17】第3の実施例の空燃比偏差に対するスロットル補正量を設定するマップ。
【図18】第4の実施例のパージ濃度学習を示すフローチャート。
【図19】第4の実施例のパージ濃度学習を示すタイムチャート。
【符号の簡単な説明】
11…筒内噴射式エンジン(筒内噴射式内燃機関)、12…吸気管、14…DCモータ、15…スロットル弁、16…ECU、17…スロットルセンサ、18…アクセルペダル、19…サージタンク、24…スワール制御弁、26…ステップモータ、27…スワール制御弁センサ、28…燃料噴射弁、、37…排気管、39…リーンNOx触媒、40…EGR配管、41…EGR弁、42…アクセルセンサ、43…燃料タンク、44…キャニスタ、45…パージ配管、46…パージ弁。

Claims (6)

  1. 燃料噴射弁により燃焼室内に直接燃料を噴射し、成層燃焼可能な内燃機関において、
    燃料タンクから蒸発した蒸発燃料を吸着する蒸発燃料吸着手段と、
    該蒸発燃料吸着手段により吸着された蒸発燃料を空気と共に機関の吸気系にパージするパージ手段と、
    該パージ手段を介して機関の吸気系にパージされるパージガス量を制御するパージ制御手段と、
    前記パージ制御手段により制御されるパージガス量に基づいて前記燃料噴射弁により吐出される燃料噴射量を減量補正する減量補正手段とを備え、
    前記パージ制御手段は、成層燃焼時においてパージが導入されることによりトルク変化が生じないように、前記燃料噴射弁により吐出される燃料噴射量と前記パージ制御による燃料量とを足し合わせた燃料量の内、前記パージ制御による燃料量の占める割合に基づいて機関の吸気系に導入されるパージガス量をガードするパージガード手段を備えることを特徴とする内燃機関のエバポパージ制御装置。
  2. 内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、
    前記パージガード手段は、前記運転状態検出手段により検出された運転状態に基づいてパージガス量をガードし、
    前記パージ制御手段は、前記運転状態検出手段により運転状態の変化が検出されたときに、前記パージガス量を前記パージガード手段により設定されるパージガード量になるまで制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置。
  3. パージ濃度を算出するパージ濃度算出手段と、
    内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段と、
    前記負荷検出手段により検出される負荷と前記パージ濃度算出手段により算出されるパージ濃度との関係に基づいてパージ率を算出するパージ率設定手段とを備え、
    前記パージ制御手段は、前記パージ濃度算出手段により算出されるパージ濃度が所定値以下の場合に、前記パージ率設定手段により算出されるパージ率を制限することを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置。
  4. 前記パージ濃度は、パージ非導入時の空燃比λ0と、
    パージ導入後かつ燃料噴射量補正の補正が無いときの空燃比λ1と、
    前記補正が無いときのパージ率TPRGとにより
    パージ濃度=(1−λ1/λ0)/TPRG/λ1
    で示される関係に基づいて算出されることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置。
  5. 内燃機関の燃焼室内に噴射する燃料量を制御する燃料噴射量制御手段と、
    内燃機関の運転状態に基づいて目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段を備え、
    内燃機関の成層燃焼時には、前記目標空燃比への制御を前記燃料噴射量制御手段により制御される燃料量でフィードバック制御し、該フィードバック制御により得られる制御量に基づいてパージ濃度を学習することを特徴とする請求項2乃至請求項3に記載の内燃機関のエバポパージ制御装置。
  6. 吸気管上流側に配設され、吸入空気量を調整するスロットル弁と、
    前記スロットル弁の開度を調整するスロットル制御手段と、
    内燃機関から排出される排出ガスの空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    前記運転状態検出手段により検出される運転状態に基づいて目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段と、
    前記空燃比検出手段により検出される空燃比を前記目標空燃比設定手段により設定される目標空燃比にフィードバック制御するフィードバック制御手段とを備え、
    前記フィードバック制御手段は、内燃機関の成層燃焼時に前記スロットル弁により空燃比をフィードバック制御する前記スロットル制御手段と、
    パージ導入時には前記スロットル制御手段による空燃比のフィードバック制御を禁止するスロットル制御禁止手段とを備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一つに記載の内燃機関のエバポパージ制御装置。
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