JP3600345B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に乗用車等の車両に設置して用いられる冷暖房併用型の車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車(車両)は冷暖房併用型の空調装置がインスツルメントパネル部に設置されていて、エンジンの熱と冷凍サイクルとを併用して、車室内を快適に空調することが行われている。
【0003】
こうした車両用空調装置は、図6および図7に示されるようにケーシング1内に、冷凍サイクルのエバポレータ(図示しない)、エンジン冷却水の熱を放熱するヒータ2と呼ばれる熱交換器、さらにはヒータ2を通過する空気とヒータ2をバイパスする空気とを分配するエアミックスダンパ3を設けた構造が用いられている。
【0004】
そして、ケーシング1の図示しない一端側に設けてある空気吸込口(図示しない)から吸込まれた空気を、エアミックスダンパ3の開度(左右の移動)によって所定に温調して、ケーシング1の他端側に設けてある吹出口、例えばFACE吹出口4(第1の吹出口)、DEF吹出口5(第2の吹出口)といった各種の吹出口から吹き出せるようにしてある。
【0005】
具体的には、エバポレータにて熱交換されて冷却された空気は、ヒータ2の上流にあるエアミックスダンパ3の左右方向の作動によって、ヒータ2を通過する空気とヒータ2をバイパスする空気とに所定に分配されて分配量が調整され、さらにヒータ2の後流側の空気流路部分で合流、混合されて所定の温度に調節された後、各種の吹出口から吹き出される。
【0006】
こうした車両用空調装置では、通常、車体の所望の部位に在る吹出口から車室内へ温調された空気を吹き出させるために、ヒータ2と吹出口、例えばFACE吹出口4,DEF吹出口5との間の流路部分に流路切換装置7が設けてある。
【0007】
一般には、板状のダンパを用いた構造が採用される(図示していない)。
ところが、この板状のダンパを用いた構造だと、構造が複雑である上、ケーシング1内の空気流路の抵抗が大きいといった難点がある。
【0008】
そこで、図5および図6に示されるように、構造が簡単となり、空気流路の抵抗が小さくてすむなどの利点があるロータリダンパ8を用いた流路切換装置7が提案されている。
【0009】
これは、並行に配置されているFACE吹出口4、DEF吹出口5の直下の空気流路部分に同部位を遮蔽するよう円弧側を吹出口側に向けて略半円筒形のシールケース9を設け、このシールケース9にロータリダンパ8を組合わせた構造が用いられている。
【0010】
詳しくは、シールケース9は、両端面壁がケーシング1の内側面に密着して、ケーシンング1の内面とシールケース9の外面との間で風もれが無いよう、ねじ等の固定具10で固定してある。
【0011】
シールケース9の下部開口は、ヒータ2側の空気流路中に開放されて流入通路としてあり、所定の温度に調節された空気の全量がシールケース9内へ送り込まれるようにしている。
【0012】
そして、このシールケース9の円弧壁のち、FACE吹出口4およびDEF吹出口5と相対する部分には、FACE通風口11およびDEF通風口12が穿設してある。
【0013】
こうしたシールケース9の内側に、同シールケース9の内面と摺接自在な扇状形をなしたロータリダンパ8が組合わせてある。
すなわち、ロータリダンパ8は、シールケース9の円弧壁の内面と接する、シールケース9の円弧形と同心円の円弧面形をなした円弧壁15、この円弧壁15の両端からシールケース9の端面壁と接しながら中心側に延びて端部がシールケース9の円弧壁と同一な軸中心となる部位に挿通してある駆動軸14に固定された端面壁16とを有して構成されている。
【0014】
これにより、ロータリダンパ8は、駆動軸14を回転させると、円弧壁15がシールケース9の円弧壁の内面を摺動しながら回動変位して、FACE通風口11あるいはDEF通風口12を開閉したり、両FACE通風口11,DEF通風口12を閉塞して、吹出側の流路切換が行われるようにしてある。
【0015】
この流路切換にて、シールケース9に送り込まれた空気をFACE通風口11を通過してFACE吹出口4から、DEF通風口12を通過してDEF吹出口5から、車室内へ吹き出させるようにしている。
【0016】
すなわち、今、ロータリダンパ8を、駆動軸14を介し、図6に示す位置から図上において右方向に回転させて、円弧壁15の内面で形成されるダンパシール面8aをFACE通風口11を完全に通過した位置で止めると、シールケース9の内部とケーシング1のFACE吹出口4との間に、FACE通風口11を通じる風路が形成され、シールケース9内に至る空気がFACE吹出口4から車室内へ吹き出される。
【0017】
同様にロータリダンパ8を、図6に示す位置から図上において左方向に回転させて、ダンパシール面8aをDEF通風口12を完全に通過した位置で止めると、シールケース9の内部とケーシング1のDEF吹出口5との間に、DEF通風口12を通じる風路が形成され、シールケース9内に至る空気がDEF吹出口5から車室内へ吹き出される。
【0018】
ところで、車両に搭載される空調装置は、ロータリダンパ8で、同ロータリダンパ8とシールケース9との間から風もれなく、吹出口、すなわちFACE通風口11、DEF吹出口5を全閉させることが求められている。
【0019】
そこで、従来では、ロータリダンパ8とシールケース9との隙間からの風もれを防ぐために、同隙間を可能な限り小さくしたり、図8に示されるようにロータリダンパ8の円弧壁14の両側端などのシール面にシールケース9の円弧壁内面と接するシール部材17(緩衝材等などが用いられる)を設けて、FACE通風口11,DEF吹出口5の全閉状態時、ロータリダンパ8とシールケース9との隙間から風がもれるのを抑制することが行われている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者の構造は、シールケース9とロータリダンパ8との間の隙間を小さく保つことが要求される。
このため、両部品の加工及びこれらの組立精度を維持するのが難しいといった難点があった。
【0021】
これに対し後者の構造は、隙間の対策では良好な結果は得られるものの、常にシール部材17はシールケース9の円弧壁に接しているために、ロータリダンパ8の移動にはかなりの抵抗を伴い、ロータリダンパ13の作動は重たくなりやすい。
【0022】
このため、ロータリダンパ8の操作性が損なわれる、すなわちロータリダンパ8の円滑な駆動が損なわれる難点があり、こうした不具合を改善できるものが要望されている。
【0023】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、高い加工および組立精度を必要とせず、かつロータリダンパの円滑な作動を損なわずに、全閉状態時、シールケースとロータリダンパとを風もれのない状態にシールすることができる車両用空調装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、ケーシング中の熱交換器と第1、第2の吹出口との間の同吹出口に近接した位置に、両端が閉塞され、熱交換器側に面する側面が空気流路と連なるように開放された円筒形状のシールケースをその両端をケーシングの両側面に接触させて嵌め込み設置し、この円筒形状のシールケースの第1、第2の吹出口と相対する位置にそれぞれ第1、第2の通風口を設け、さらに円筒形状のシールケースの内側壁の第1の通風口の一端側に第1のシール壁、2の通風口の他端側に第2のシール壁、第1と第2の通風口の間に第3のシール壁をそれぞれ半径方向に突出させて設置し、かつ第1、第2の通風口に対し、円筒形状のシールケースの中心を軸中心として回転可能で、かつ第1、第2及び第3のシール壁と面接触して第1、第2の通風口を開閉するシール面を有する第1、第2のロータリダンパを設置したことにある。
【0025】
請求項1に記載の発明によると、第1のロータリダンパが第1のシール壁、第3のシール壁と接触する位置にまで回動されると、同ロータリダンパのシール面が第1のシール壁、第3のシール壁と面接触して、第1の通風口は全閉される。また戻せば第1の通風口は開放される。
【0026】
第2のロータリダンパが第2のシール壁、第3のシール壁と接触する位置にまで回動されると、同ロータリダンパのシール面が第2のシール壁、第3のシール壁と面接触して、第2の通風口は全閉される。また戻せば第2の通風口は開放される。
【0027】
かくして、第1、第2の通風口は、シールケースの周方向で接離する、第1、第2及び第3のシール壁と第1、第2のロータリダンパのシール面とで全閉状態のシールがなされる。
【0028】
こうしたシールは、部品の高い加工および組立精度を必要とせずに、第1、第2の通風口が風もれのない状態にシールできるようになる。
しかも、各ロータリダンパは、開側に移動するときには、シール面がシール壁から完全に離れて回動、すなわちシール壁とは摺動(接触)せずに回動するので、摩擦抵抗の付加はなく、円滑な作動が約束される。
【0029】
請求項2に記載した発明は、上記目的に加え、第1、第2のロータリダンパの支持構造の簡素化を図るために、請求項1に記載の第1、第2のロータリダンパをそれぞれ回転可能に支持する軸を円筒形状のシールケースの中心を軸中心とする二重同心軸で構成したことにある。
【0030】
請求項3に記載した発明は、上記目的に加え、コンパクトなダンパ構造にするために、請求項1又は請求項2に記載の第1、第2のロータリダンパを相互に独立して、かつ互いに半径方向に重なり合うように摺動可能な構成としたことにある。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図5に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、本発明を適用した車両用空調装置の吹出系廻りの側断面図、図2は同部位の縦断面図をそれぞれ示し、図中21は例えば自動車のインスツルメントパネル部(図示しない)に設置された空調装置のケーシングである。
【0032】
ケーシング21は、例えば箱状に形成され、一端側となる図示しない下部側には空気吸込口が遠心ファン(いずれも図示せず)と共に設けられている。
またケーシング21の、他端側となる上部壁には、温調した空気を車室内に配風するための吹出口、例えば第1の吹出口としての細長のFACE吹出口22と第2の吹出口としてのDEF吹出口23とが並設されている。
【0033】
そして、ケーシング21の内部に、空気吸込口とFACE吹出口22,DEF吹出口23との間を連通するような空気流路24を形成している。
この空気流路24中には、空気吸込口側から、冷凍サイクルのエバポレータ(図示しない)、エンジン冷却水の熱を放熱するヒータ25と呼ばれる熱交換器、同ヒータ25を通過する空気とヒータ25をバイパスする空気とを分配するエアミックスダンパ26が設けられている。
【0034】
またヒータ25と吹出口22,23との間の流路部分、具体的には吹出口22,23の直下には、ロータリダンパ式の流路切換装置28が設けられていて、エアミックスダンパ26の開度によって所定に温調された空気をFACE吹出口22,DEF吹出口23から車室内へ吹き出せるようにしている。
【0035】
この流路切換装置28に本発明が適用されている。
この流路切換装置28の構造について説明すれば、図中29は略半円筒形をなしたシールケースである。
【0036】
シールケース29は、両端が閉塞され、円弧側が吹出口側に向き、開放側がヒータ26側に向いた円筒形をなしていて、FACE吹出口22,DEF吹出口23と近接した位置となる空気流路中に介装してある。
【0037】
詳しくは、シールケース29は、例えばFACE吹出口22,DEF吹出口23の直下のケーシング21の側壁30,30に形成してあるくびれ部31に嵌め込まれて、FACE吹出口22,DEF吹出口23の長手方向沿いに横向きに配置してある。この嵌め込みにより、シールケース29の円弧壁29aの外面と側壁30,30との間を密着させてある。
【0038】
シールケース29の円弧壁29aの中間は、FACE吹出口22とDEF吹出口23との間に在るケーシング21の上壁部分の内面に密着している。
またシールケース29の端壁29a,29bは、ケーシング21の端壁30a,30bの内面に密着され、ねじなどの固定具32で同端壁30a、30bに固定されていて、シールケース全体を風もれがないようにケーシング21に取付けてある。
【0039】
つまり、シールケース29は、円弧壁29aがFACE吹出口22とDEF吹出口23との直下の空気流路部分を遮り、開放部が流入通路として作用すベくケーシング21中の空気流路24と連なるように、設置してある。
【0040】
なお、シールケース29の円弧壁29aは、ケーシング21内の在る点、例えば図1および図2に示されるようにヒータ25の上側となるケーシング1の端壁30a,30b間を貫通している二重同心軸、例えば中空の駆動軸27a(第1)および同駆動軸27a内を摺動自在に挿通している駆動軸27b(第2)の軸心を中心とした円弧形状をなしているものである。
【0041】
シールケース29の円弧壁29aには、FACE吹出口22と相対する位置に例えば同吹出口22と同形状のFACE通風口34(第1の通風口に相当)が設けられ、DEF吹出口23と相対する位置に例えば同吹出口23と同形状のDEF通風口35(第2の通風口に相当)が設けられていて、シールケース29に到達した空気をFACE吹出口22、DEF吹出口23へ導けるようにしている。
【0042】
また円弧壁29aの内面には、FACE通風口34の一端側となる、円弧壁29aの周方向左側の開口縁と近接した部位から、第1のシール壁36が円弧壁29aの半径方向に沿って突き出ている。
【0043】
この第1のシール壁36は、所定の高さ、厚み及び半径方向に延びる平面部を有した断面形状をなし、FACE通風口34の開口縁に沿って例えば円弧壁29aの長手方向全体に形成してあり、FACE通風口34側の側面をシール面36aとしてある。
【0044】
さらに円弧壁29の内面には、DEF通風口35の他端側となる、円弧壁29aの周方向右側の開口縁と近接した内面部分に、同様に円弧壁29aの半径方向に向かって突き出る第2のシール壁37が突設されている。
【0045】
この第2のシール壁37には、例えば第1のシール壁36と同一形状の壁部が第1のシール壁36と同じように用いられている。第2のシール壁37は、DEF通風口35側の側面をシール面37aとしてある。
【0046】
またFACE通風口34とDEF通風口35との間に在る円弧壁部分33の内面からは、第3のシール壁38が円弧壁29aの半径方向に沿って突き出ている。
【0047】
第3のシール壁38は、例えば第1、第2のシール壁36,37に対し高さ寸法を低く設定した壁部で構成されていて、第1、第2のシール壁36,37と同様、円弧壁29aの長手方向全体に形成されているもので、両側面をシール面38aとしてある。
【0048】
そして、このように構成されたシールケース29の円弧壁29aの内側に、FACE通風口34、DEF通風口35を開閉する二つの独立した回動可能な扇形のロータリダンパ39,40(第1のロータリダンパ、第2のロータリダンパに相当)が互いに重なり合うように設けられている。
【0049】
このうち内側に配置されるロータリダンパ39は、円弧壁29aと同心な円弧形状で、同円弧壁29aの略半分(シール壁36,38間)を覆う大きさをもつプレート状の円弧部39aを有している。
【0050】
この円弧部39aの長手方向一方の端部は、シールケース29の一方の内壁、例えば左側の端壁29bの内面に沿って下方へ延びる端面部39bを介して駆動軸27aに連結されていて、駆動軸27aの軸中心を中心として左右に回動させることにより、円弧部39aをFACE通風口34、DEF通風口35の全開・全閉位置へ導けるようにしている。
【0051】
そして、この円弧部39aの円弧方向一方の端部側、例えば第1のシール壁36側の端部全体には、上方へ突き出る当接壁41が突設されている。この当接壁41の外側面(左側面)には、円弧部39aがFACE通風口34の全閉位置に配置されたとき、第1のシール壁36のシール面36aと面接触するシール面41aが形成されている。
【0052】
また残る円弧部39aの端部全体(第2のシール壁37側)には、第3のシール壁38と相対、例えば第3のシール壁38と隙間(後述する円弧部40aが通過するためのもの)を介して半径方向に直列に並ぶ高さ寸法の低い当接壁42が上方に突き出ている。なお、当接壁42は内・外側面の双方にシール面42aを有している。
【0053】
一方、ロータリダンンパ39の外側に配置されるロータリダンパ40は、ロータリダンパ39の円弧部39aとシール29の円弧壁29aとの間に配置される円弧部40aを有している。
【0054】
この円弧部40aも、円弧壁29aと同心な円弧形状をなし、同円弧壁29aの略半分(シール壁37,38間)を覆う大きさをもつプレート状の円弧部39aを有している。
【0055】
この円弧部40aの長手方向他方の端部は、シールケース29の他方の内壁、例えば右側の端壁30aの内面に沿って下方へ延びる端面部40bを介し、駆動軸27bに連結されていて、駆動軸27bの軸中心を中心として左右に回動させることにより、円弧部40aを上記円弧部39aと独立してFACE通風口34、DEF通風口35の全開・全閉位置へ導けるようにしている。
【0056】
この円弧部40aの円弧方向一方の端部側、例えば第1のシール壁36側の端部全体からは当接壁43が突き出ている。この当接壁43の内側面には、円弧部40aがDEF通風口35の全閉位置に配置されたとき、第3のシール壁38のシール面38a(左面)と面接触するシール面43aが形成されている。
【0057】
また残る円弧部40aの端部全体(第2のシール壁37側)には、円弧部40aがDEF通風口35の全閉位置に配置されたとき、第2のシール壁37のシール面36aと面接触するシール面44aをもつ当接壁44が突き出ている。
【0058】
こうしたダンパ構造により、ロータリダンパ39とロータリダンパ40とを片側、例えば左側へ回動させれば、図3に示されるように円弧部39aが第1のシール壁36と面接触、さらには円弧部40aの当接部44を介して第3のシール壁38と面接触し、FACE通風口34を風もれなく閉塞させて、DEF通風口35を開放させるようにしてある。
【0059】
また逆にロータリダンパ39とロータリダンパ40とを右側へ回動させれば、図4に示されるように円弧部39aが全閉位置に納められたまま、円弧部40aが第2のシール壁37、第3のシール壁38と面接触して、DEF通風口35を風もれなく閉塞させて、FACE通風口34を開放させるようにしてある。
【0060】
さらにロータリダンパ39、ロータリダンパ40を左右両側に回動させれば、図5に示されるようにFACE通風口34、DEF通風口35の双方が閉じられるようにしてある。
【0061】
すなわち、こうした流路の切換えに係る作用について説明すれば、今、図示しない空気吸込口から空気が導入されたとする。
すると、この空気は、図示しない遠心ファンにて圧送され、図示しないエバポレータと熱交換して冷却された後、ヒータ25の上流部に在るエアミックスダンパ26により、ヒータ25を通過して加熱(熱交換による)される空気と、ヒータ25をバイパスする空気とに分配される。
【0062】
この冷却空気と加熱空気とに分流された空気は、ヒータ25の後流の空気流路部分で合流し、所定の温度に調整されて、シールケース29内に導入される。
そして、この温調された空気が、流路切換装置28を通じて、各種の吹出口、つまりFACE吹出口22、DEF吹出口23から車室内へ吹き出される。
【0063】
すなわち、DEF吹出口23から車室内へ温調空気を吹き出させるときは、駆動軸27a,27bを図上において左回転する。
すると、ロータリダンパ39の円弧部39aは、図3に示されるようにFACE通風口34の全閉位置まで回動し、回動方向前側に在る当接壁41のシール面41aが第1のシール壁36のシール面36aと面接触して、同部分をシールする。また円弧部39aの回動方向後側に在る当接壁42は、第3のシール壁38のシ−ル面38aと面一となる位置に配置される。
【0064】
一方、ロータリダンパ40の円弧部40aは、図3に示されるようにFACE通風口34の全閉位置まで回動し、回動方向前側に在る当接壁43のシール面43aが、第1のシール壁36と当接している当接壁41の背面と接触して、同部分をシールする。また円弧部40aの回動方向後側に在る当接壁44は、その背面が第3のシール壁38のシール面38aおよびこれと面一の位置に在る円弧部39aの当接壁42のシール面42aと面接触して、同部分をシールする。
【0065】
このようにしてロータリダンパ39,40がFACE吹出口22の全閉位置に位置決められると、シールケース29のFACE通風口34は風もれのない全閉状態、DEF通風口35は開放状態となって、温調された空気が同通風口35を経DEFE吹出口23から車室内へ吹き出される。
【0066】
またFACEF吹出口22から車室内へ温調空気を吹き出させるときは、駆動軸27a,27bを図上において右回転する。
すると、ロータリダンパ40の円弧部40aは、図4に示されるようにDEF通風口35の全閉位置まで回動し、回動方向前側に在る当接壁44のシール面44aが第2のシール壁37のシール面37aと面接触して、同部分をシールする。また円弧部40aの回動方向後側に在る当接壁43は、第3のシール壁38の背面(左側)側のシ−ル面38aと面接触して、同部分をシールする。
【0067】
一方、ロータリダンパ39の円弧部39aは、図4に示されるようにDEF通風口35の全閉位置まで回動し、回動方向前側に在る当接壁42のシール面42aが、第2のシール壁36と当接している当接壁44の背面と接触して、同部分をシールする。また円弧部39aの回動方向後側に在る当接壁41のシール面41aは、第3のシール壁38と当接している当接壁43の背面と接触して、同部分をシールする。
【0068】
このようにしてロータリダンパ39,40がDEF吹出口23の全閉位置に位置決められると、シールケース29のDEF通風口35は風もれのない全閉状態、FACE通風口34は開放状態となって、温調された空気が同通風口34を経てFACE吹出口22から車室内へ吹き出される。
【0069】
またFACE吹出口22、DEF吹出口23の双方を閉塞するときは、例えば図3のDEF吹出口23が開放した状態から、回動軸27bを右回転させ、ロータリダンパ40だけをDEF吹出口23の全閉位置にまで回動させる。
【0070】
すると、図5に示されるように円弧部40aの回動方向前側に在る当接壁44のシール面44aが第2のシール壁37と面接触して同部分をシールと共に、回動方向後側に在る当接壁43が第3のシール壁38およびこれと面一の位置にあ円弧部39aの当接壁42と面接触して同部分をシールする。
【0071】
これにより、FACE通風口34、DEF通風口35は、いずれも全開状態に維持される。
かくして、シールケース29の周方向でシール部を接離させるロータリダンパ34,35の開閉構造により、FACE通風口32、DEF通風口33共、部品の高い加工および組立精度を必要とせずに、全閉状態時、風もれのない状態にシールすることができる。
【0072】
しかも、各ロータリダンパ34、35は、開閉の作動過程においてシール面41a〜44aがシール壁36〜38とは完全に離れて回動、すなわちシールケース29とは摺動(接触)せずに回動するので、摩擦抵抗の付加はなく、円滑な作動が約束され、円滑な駆動、効率のよい各ロータリダンパ34,35の操作が可能となる。
【0073】
そのうえ、ロータリダンパ34,ロータリダンパ35をそれぞれ回転可能に支持する軸部(軸)を二重同心軸27a,27bで構成したので、両ロータリダンパ34,35の支持構造の簡素化が図れる。
【0074】
加えて、ロータリダンパ34,35の相互を独立、かつ互いに半径方向に重なり合うように摺動可能に構成したので、ダンパ構造(流路切換装置28)のコンパクト化が図れ、車両用空調装置の小型化に寄与する。
【0075】
なお、上述した一実施形態では、本発明をFACE吹出口、DEF吹出口を有する車両用空調装置に適用したが、これに限らず、それ以外の吹出口を有する車両用空調装置、例えばFOOT吹出口等などを有する車両用空調装置に本発明を適用してもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、円弧形のシールケースに対して周方向でシール部を開閉させる第1、第2のロータリダンパの採用により、部品の高い加工および組立精度を必要とせずに、全閉状態時、シールケースとロータリダンパとの間を風もれのない状態にシールできる。
【0077】
しかも、各ロータリダンパは、開閉の作動過程においてシール面がシール壁から完全に離れて回動、すなわちシールケースとは摺動(接触)せずに回動するので、摩擦抵抗の付加はなく、円滑な作動が約束され、ロータリダンパを円滑に作動させることができ、同ロータリダンパの効率の良い操作が可能となる。
【0078】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、両ロータリダンパの支持構造を簡素化できるといった効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加え、、ダンパ構造のコンパクト化が図れ、車両用空調装置の小型化に寄与するといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の流路切換構造廻りを示す側断面図。
【図2】同流路切換構造廻りの縦断面図。
【図3】半径方向に重なるように配置された二つのロータリダンパで、DEF通風口を開放、FACE通風口を全閉したときを説明するための図。
【図4】同じく二つのロータリダンパで、FACE通風口を開放、口DEF通風口を全閉したときを説明するための図。
【図5】同じく二つのロータリダンパで、FACE通風口および口DEF通風口を全閉したときを説明するための図。
【図6】従来の車両用空調装置の流路切換構造を説明するための側断面図。
【図7】同流路切換構造の縦断面図。
【図8】同流路切換構造を構成しているロータリダンパのシール構造を説明するための図。
【符号の説明】
21…ケーシング
22…FACE吹出口(第1の吹出口)
23…DEF吹出口(第2の吹出口)
24…空気流路
25…ヒータ(熱交換器)
27a,27b…駆動軸(二重同心軸)
29…シールケース
29a…円弧壁
29b,29c…端壁
31…くびれ部
34…FACE通風口(第1の通風口)
35…DEF通風口(第2の通風口)
36…第1のシール壁
36a…シール面
37…第2のシール壁
37a…シール面
38…第3のシール壁
38a…シール面
39,40…ロータリダンパ(第1、第2のロータリダンパ)
41〜44…当接壁
41a〜44a…シール面。
Claims (3)
- ケーシングの一端側に空気吸込口を設け、他端側に至る空気流路中に吸込み空気を温調する熱交換器を配設し、他端側に温調した空気を車室内に配風する第1、第2の吹出口を設けた車両用空調装置において、
前記ケーシング中の前記熱交換器と第1、第2の吹出口との間の同吹出口に近接した位置に両端が閉塞され、前記熱交換器側に面する側面が前記空気流路と連なるように開放された円筒形状のシールケースをその両端を前記ケーシングの両側面に接触させて嵌め込み設置し、
同円筒形状のシールケースの前記第1、第2の吹出口と相対する位置にそれぞれ第1、第2の通風口を設けると共に、同円筒形状のシールケースの内側壁の前記第1の通風口の一端側に第1のシール壁、前記第2の通風口の他端側に第2のシール壁、前記第1と第2の通風口の間に第3のシール壁をそれぞれ半径方向に突出させて設置し、
前記第1、第2の通風口に対し、前記円筒形状のシールケースの中心を軸中心として回転可能で、かつ前記第1、第2及び第3のシール壁と面接触して前記第1、第2の通風口を開閉するシール面を有する第1、第2のロータリダンパとを設置してなることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記第1、第2のロータリダンパをそれぞれ回転可能に支持する軸を前記円筒形状のシールケースの中心を軸中心とする二重同心軸となしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記第1、第2のロータリダンパを相互に独立して、かつ互いに半径方向に重なり合うように摺動可能に構成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空調装置。
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