JP3595168B2 - シリンダ錠の自動車パネルへの固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造、およびシリンダ錠の自動車パネルへの固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリンダ錠を例えば自動車のドアパネルに固定する構造としては、実開平5−10665号公報記載のものが知られている。この従来例において、シリンダ錠はドアアウトサイドハンドル装置のハンドルベースとドアパネルに開設された取り付け孔から挿入され、U字形弾性金具を使用してドアパネルに固定される。
【0003】
しかし、上述した従来例には以下の欠点がある。すなわち、シリンダ錠はU字形弾性金具の脚片の弾性を利用してシリンダ錠の頭部に形成したフランジをハンドルベースに圧接させるものであるから、シリンダ錠の頭部へのフランジの形成が必須となり、シリンダ錠の取り付け孔への挿通はハンドル本体の表面側から行うことが必要になる。一方、シリンダ錠の端部にはドア体内部に配置されるロック装置を作動させるためのレバー等が固定され、この状態では取り付け孔を挿通させることができないために、シリンダ錠のハンドルベースへの装着は、レバー等を取り除いた状態でシリンダ錠を取り付け孔に挿通させた後、裏面側からレバー等を固定する作業が必要になる。レバー等を固定する工程をハンドルベースへの装着工程と分離すると、シリンダ錠のサブアッセンブリ化が不可能になり、シリンダ錠の製造効率、ひいてはハンドル装置の製造効率が低下する。
【0004】
かかる欠点を解決できる固定構造としては、例えば特開平7−305542号公報に記載されたものが知られている。この従来例は、シリンダ錠のケースに形成された固定片をハンドルベースにネジ止めするために、ハンドルベースの裏面側からシリンダ錠を装着することは可能であるが、以下の欠点がある。すなわち、ハンドル本体、あるいはハンドルベースの意匠の変更に伴ってシリンダ錠の取り付け位置等が変更された場合には、固定片の形成位置も変更する必要があり、シリンダ錠の基本的構成単位であるケースの種類が増加するという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたもので、製造作業性が良好なうえに、部品の共用化を可能なシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造、およびシリンダ錠の自動車パネルへの固定方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、
アウトサイドハンドル装置1の錠保持部2を介してシリンダ錠3を自動車パネル4に固定するシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造であって、
前記シリンダ錠3は、筒状に形成されて外径より小さな間隔で対面する切り落とし平面部3dを備え、切り落とし平面部3d、3d間の間隔よりやや大きな間隔を隔てて配置される2枚の固定片6a、6aを有してU字形状に形成される固定プレート6が装着されて錠保持部2裏面に形成される保持筒5内に錠保持部2裏面側から挿入され、
錠保持部2裏面に突設される位置決めボス7に位置決め孔8を嵌合させて回り止めされるとともに、錠保持部2裏面に止着用透孔13をねじ止めされて仮止めされる固定プレート6によりアウトサイドハンドル装置1に仮固定され、アウトサイドハンドル装置1の自動車パネル4への固定により該自動車パネル4に対して前記固定プレート6によって抜け止めされるシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造を提供することにより達成される。
【0007】
シリンダ錠3は錠保持部2の保持筒5内に挿入され、錠保持部2にねじ止めされる固定プレート6により保持筒5からの脱離が防止される。アウトサイドハンドル装置1の錠保持部2が変更され、シリンダ錠3の取り付け位置、および取り付け姿勢が変わっても固定プレート6を変更するだけでシリンダ錠3を変更することなくそのまま使用でき、シリンダ錠3の汎用性が向上する。
【0009】
また、錠保持部2とともに固定プレート6を自動車パネル4に共締めした場合には、固定プレート6は錠保持部2と自動車パネル4との間に挟まれた状態になる。錠保持部2を例えば合成樹脂材等により形成し、シリンダ錠3に表面側から不正破壊を目的とするこじり、あるいは押し付け力が加えられた際であっても、力は固定プレート6を介してパネル4に分配されるために、錠保持部2への応力負担が軽減される。なお、固定プレート6による抜け止めのためのシリンダ錠3の支持位置をシリンダ錠3の回転中心に対して対称位置に配置しておくと、錠保持部2への応力集中を避けることができるので、破壊強度をより高めることができる。
【0010】
また、固定プレート6の共締めに際して適宜の仮止め手段により固定プレート6を錠保持部2に仮止めすることはパネル4への固定作業性を向上させるために有効な変形であり、本発明に係るねじ止めを仮止め手段とすることができる。
【0011】
さらに、固定プレート6に位置決め孔8を穿孔し、錠保持部2から突設される位置決めボス7に嵌合させることにより、捩り方向の破壊強度を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図2に本発明が適用された自動車のドアアウトサイドハンドル装置1を示す。ハンドル装置1はハンドルケース1aと、ハンドルケース1aに固定される枢軸1b回りに回転自在に枢支されるハンドル本体1cとを有する。ハンドルケース1aは枢軸1bの保持部と反対方に錠保持部2を有し、該錠保持部2にシリンダ錠3が保持される。なお、図示の例においてハンドルケース1aは錠保持部2と枢軸1bの支持部分とが一体に形成されているが、別体に形成し、各々個別にドアパネル4に固定することもできる。
【0013】
図1、図3、図4に示すように、シリンダ錠3はシリンダケース3a内にシリンダ3bを回転自在に挿通させて形成され、対応する解錠コードを有するキープレートが挿入したときのみシリンダケース3aに対するシリンダ3bの相対回転が許容される。シリンダケース3aは周縁に回り止め突起3cを有して筒状に形成され、回り止め突起3cの形成箇所からやや後方に外径より小さな間隔で対面する切り落とし平面部3dが形成される。
【0014】
上記シリンダ錠3を保持するために、ハンドルケース1aの錠保持部2には保持筒5が突設される。保持筒5はシリンダ錠3が嵌合可能な内径寸法を有してほぼ筒形状に形成され、同心の開口9を経てシリンダケース3a表面側に貫通する。開口9は保持筒5の内径よりやや小径に形成されて周縁に天井壁面9aが残され、天井壁面9aにシリンダ3bの頭部に接触する突起9bが環状に突設される。また、保持筒5の下部、詳しくはハンドルケース1aをドアパネル4に固定した際に鉛直下方を向く壁面は全長に渡って切り欠かれ、水抜き開口5aが形成される。
【0015】
さらに、錠保持部2は裏面に向けて突出する支柱10を有する。支柱10は保持筒5の中心に対してほぼ対称位置に複数個(図示の例では4個)配置され、その一本にパネル固定用のスタッド11が、点対称位置にある支柱10にナット12がそれぞれ埋設されるとともに、残余の支柱10の先端には位置決めボス7が突設される。ナット12の表面12a、スタッド11の基端面11a、位置決めボス7の基端面7aは同一高さに設定されて同一平面に属する。
【0016】
6は固定プレートで、所定の剛性、および強度が得られるように、鉄板等の金属板材により形成される。この固定プレート6はシリンダケース3aの切り落とし平面部3d、3d間の間隔よりやや大きな間隔を隔てて配置される2枚の固定片6aを有してU字形状に形成され、四隅に位置決め孔8と止着用透孔13が穿孔される。
【0017】
この実施の形態において、シリンダ錠3のパネル4への固定は以下のようにして行われる。シリンダ錠3はシリンダケース3a内にシリンダ3bが挿入され、シリンダ3bの後端に施錠装置連結用のレバー3eを連結したサブアッセンブリ状態とされており、まず、図1に示すように、切り落とし平面部3dに固定片6aを上方から挿入することにより固定プレート6をシリンダ錠3に装着する。この後、回り止め突起3cを保持筒5の位置決め溝5bに、固定プレート6の止着用透孔13をスタッド11にそれぞれ合致させながらシリンダ錠3を保持筒5内にシリンダケース3aの裏面側から挿入する。次いで、位置決め孔8に支柱10の位置決めボス7を嵌合させて固定プレート6の姿勢を微調整し、さらに、ナット12にビス14をねじ込んで固定プレート6をハンドルケース1aに仮固定した後、スタッド11をドアパネル4の図示しないハンドル装着用の開口から張り出したハンドル固定片4aの取り付け孔4bに挿通させ、ナット15で固定プレート6をハンドルケース1aとともにパネル4に共締めする。
【0018】
ドアパネル4にハンドルケース1aを固定した状態でシリンダ錠3は固定プレート6により前後方への移動が規制されて所定位置に固定される。固定状態においてシリンダ錠3はシリンダ3b先端周縁が天井壁面9aの突起9bに当接しており、図2に示すように、開口9から露出するシリンダ3bのキー挿入部3fにキープレートを挿入して回動操作することによりレバー3eを操作してドアを施解錠することができる。また、天井壁面9aとシリンダ3b先端との間隙から侵入した水は水抜き開口5aから速やかに保持筒5外に排出され、保持筒5内に滞留することがないために、シリンダ3bの腐食等が防止される。さらに、ハンドルケース1aの意匠等の変更によりシリンダ錠3の取り付け位置等が変更になってもシリンダ錠3に何等の変更を加えることなく、固定プレート6をハンドルケース1aにあわせて変更するだけで対応することができるために、シリンダ錠3の汎用性が向上する。加えて、シリンダ錠3の先端に不正破壊を目的として押圧力、こじり力を負荷しても、固定プレート6が剛性を有するために、ハンドルケース1aの固定プレート6の固定箇所に分散される上に、固定プレート6自体がパネル4に固定されているために、パネル4にも力が分散されてハンドルケース1aの特定箇所に応力が集中することなくなる。この結果、ハンドルケース1aを金属に比して強度の低い合成樹脂材で形成しても強度低下がなく、部品の軽量化を図ることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、製造作業性を良好にでき、しかも部品の共用化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を示す分解斜視図である。
【図2】アウトサイドハンドル装置の平面図である。
【図3】図2の錠保持部の裏面を示す拡大図である。
【図4】錠保持部の断面図で、(a)は図3の4A−4A線断面図、(b)は図4(a)の4B−4B線断面図である。
【符号の説明】
1 アウトサイドハンドル装置
2 錠保持部
3 シリンダ錠
4 パネル
5 保持筒
6 固定プレート
7 位置決めボス
8 位置決め孔
Claims (3)
- アウトサイドハンドル装置の錠保持部を介してシリンダ錠を自動車パネルに固定するシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造であって、
前記シリンダ錠は、筒状に形成されて外径より小さな間隔で対面する切り落とし平面部を備え、切り落とし平面部間の間隔よりやや大きな間隔を隔てて配置される2枚の固定片を有してU字形状に形成される固定プレートが装着されて錠保持部裏面に形成される保持筒内に錠保持部裏面側から挿入され、
錠保持部裏面に突設される位置決めボスに位置決め孔を嵌合させて回り止めされるとともに、錠保持部裏面に止着用透孔をねじ止めされて仮止めされる固定プレートによりアウトサイドハンドル装置に仮固定され、アウトサイドハンドル装置の自動車パネルへの固定により該自動車パネルに対して前記固定プレートによって抜け止めされるシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造。 - 前記固定プレートには、止着用透孔と位置決め孔がシリンダ錠の回転中心に対して対称位置に穿孔される請求項1記載のシリンダ錠の自動車パネルへの固定構造。
- アウトサイドハンドル装置の錠保持部を介してシリンダ錠を自動車パネルに固定するシリンダ錠の自動車パネルへの固定方法であって、
筒状に形成されるシリンダ錠の外径より小さな間隔で対面する切り落とし平面部に該切り落とし平面部間の間隔よりやや大きな間隔を隔てて配置される2枚の固定片を有してU字形状に形成される固定プレートを装着した後、錠保持部裏面に形成される保持筒内にシリンダ錠を錠保持部裏面から挿入し、
錠保持部裏面に突設される位置決めボスに位置決め孔を嵌合されて回り止めされるとともに、錠保持部裏面に止着用透孔をねじ止めされて仮止めされる固定プレートによりシリンダ錠をアウトサイドハンドル装置に仮固定し、アウトサイドハンドル装置の自動車パネルへの固定によって該自動車パネルに対してシリンダ錠を前記固定プレートにより抜け止めするシリンダ錠の自動車パネルへの固定方法。
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