JP3593085B2 - 試料濃縮装置及び有機微量成分の検出装置 - Google Patents

試料濃縮装置及び有機微量成分の検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばPCB処理設備から排出される処理水中の例えばPCB、ダイオキシン類等の有機微量成分の濃縮装置及びそれを用いた検出装置に関する。
【0002】
【背景技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱分解装置を提案した(特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱分解装置の概要の一例を図5に示す。
【0005】
図7に示すように、水熱分解装置120は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、PCB、HOおよびNaOHの処理液123を加圧する加圧ポンプ124と、当該混合液を予熱する予熱器125と、配管を巻いた構成の二次反応器126と、冷却器127および減圧弁128とを備えてなるものである。また、減圧弁127の下流には、気液分離器129、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO)131は煙突132から外部へ排出され、排水(HO,NaCl)133は別途、必要に応じて排水処理される。
また、処理液123となるPCBの配管134には、HOおよびNaOHがそれぞれ導入される。また、酸素の配管135は、一次反応器125に対して直結している。
【0006】
上記装置において、加圧ポンプ124による加圧により一次反応器122内は、26MPaまで昇圧される。また、予熱器125は、PCB、HOおよびNaOHの混合処理液123を300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNaCOの結晶粒子の大きなものを分離し、NaCOの微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、COおよびHOに分解されている。つぎに、冷却器127では、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却すると共に後段の減圧弁128にて大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCOおよび水蒸気と処理水とが分離され、COおよび水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0007】
このような処理装置を用いてPCB含有容器(例えばトランスやコンデンサ)等を処理することで、完全無害化がなされているが、さらにその施設内におけるPCB濃度の迅速監視が重要である。従来、ガスサンプリングを行いPCBを液体に濃縮させ、その濃縮液を分析する方法が採用されているが、この計測には数時間から数十時間を要するため、迅速監視ができなかった。
【0008】
しかしながら、監視のためのガス中の微量PCBの計測方法として、従来では多光子イオン化検出器と飛行時間型分析器(Time of Flight Mass Spectroscopy:TOFMAS) とを組み合わせた質量スペクトル分析装置が提案されている。
この従来の分析装置の概要を図7を参照して説明する。
【0009】
図8に示すように、試料ガス1をパルスノズル2から真空チャンバ3内に超音速自由噴流として供給し、その自由噴流は断熱膨張により冷却される。そのような冷却により、振動・回転準位が低エネルギー側に偏って波長選択性が増大したガスは、レーザ4のような共鳴多光子を効率よく吸収したそのイオン化効率が増大する。イオン化されたガス中の分子は、加速電極5により加速され、質量に反比例する加速度を与えられてフライトチューブ6内で飛行し、リフレクトン7で反射して、検出器8に入射する。該フライトチューブ6の中での飛行時間を計測することによりその分子又は原子である粒子の質量が計算により求められ、検出器8の信号強度の比較から測定対象のPCB濃度を求めることができる。
【0010】
このような装置では、微量物質の検出を行うことができる点で原理的にはすぐれているが、レーザパルス時間幅がナノ秒レーザを用いているので、検出感度が低いという問題がある。
よって、試料ガス1を効率よく濃縮することが望まれている。
【0011】
また、試料ガス1中の水分量が多い場合には、検出器9ではノイズとして多量に検出されるので、排水中のPCB濃度を計測するような場合には、予め除去することが望ましい。
【0012】
また、近年、各種焼却炉又はボイラ等の燃焼設備から排出される排水中の環境ホルモン類の計測は計測対象物が極微量であるので、高性能な検出装置の出現が望まれている。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑み、例えばPCB等の微量成分濃度を監視するに際し、迅速且つ高感度な分析が可能な試料濃縮装置及びそれを用いた有機微量成分の検出装置及び方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の発明は、容器本体内の上部から測定試料を含む溶液を微粒子化して導入する導入手段と、上記容器本体の上部周囲に配設され、上記微粒子化した試料を加熱し、微粒子径を縮径する加熱手段と、上記加熱手段の下方側における上記容器本体の周囲を冷却して雰囲気中の水分を凝縮する冷却手段とを備える試料濃縮装置において、上記容器本体の内部の下方中央部分に先端部分が挿入され、内部の上記縮径化した試料ミストを排出するミスト排出手段とを具備することを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、上記容器本体内に微粒子を搬送する搬送ガスを導入する導入手段を具備することを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、上記容器本体が円柱体又は逆円錐台体であることを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、上記容器本体の下部に水溜部を形成してなると共に、容器本体内壁に鉛直軸方向に溝を1本又は2本以上形成してなることを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0018】
第5の発明は、第1の発明において、上記ミスト排出手段を加熱する加熱手段が周設されていることを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、 上記加熱手段による加熱温度が150〜300℃であることを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0020】
第7の発明は、第1の発明において、上記測定試料が有機ハロゲン化物又は環境ホルモンであることを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0021】
第8の発明は、第1の発明において、 上記測定試料がPCB処理排水中の有機ハロゲン化物であることを特徴とする試料濃縮装置にある。
【0022】
第9の発明は、第1乃至第8のいずれかの発明に係る試料濃縮装置と、上記試料濃縮装置から排出された微粒子化したミストを真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、上記導入された試料にレーザを照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、上記レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、上記収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0023】
第10の発明は、第9の有機微量成分の検出装置の発明において、上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0024】
第11の発明は、第9の発明において、上記レーザのパルス波長が280nm以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0025】
第12の発明は、第9の発明において、上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は本実施の形態にかかる試料濃縮装置の概略図である。図1に示すように本実施の形態にかかる試料濃縮装置10は、容器本体11内の上部から測定試料12を含む溶液を微粒子化して導入する導入手段14と、上記容器本体11の上部周囲に配設され、微粒子化した試料12を加熱し、微粒子径を縮径する加熱手段15と、上記加熱手段15の下方側周囲を冷却する冷却手段16と、容器本体11の下方中央部分にその先端部分17が挿入され、内部の微粒子化したミスト20を排出するミスト排出管18とを具備するものである。
容器本体11内に噴霧された試料溶液12は噴霧されると共に、加熱手段15からの熱により粒子表面側から水分が蒸発し、径が縮径することになる。よって、PCBよりも水のほうが蒸発速度が早いので、微粒子1粒単位当たりの水分量が減少する結果、水分に残存しているPCB量の濃度が向上する。
【0028】
本実施の形態では、上記容器本体11内に微粒子を搬送する搬送ガス21を導入する導入手段22が設けられている。搬送ガスを導入するおは水蒸気でPCBを後述する質量分析装置に導入するのは好ましくないからである。この搬送ガスとしては、特に限定されるものではないが、測定対象物を含まない空気、ヘリウム、窒素等を挙げることができる。なお、搬送ガスは容器本体下部から排出管23により排出されている。
【0029】
上記測定試料12を含む溶液の溶媒としては、n−ヘキサン等のようなPCB可溶性の溶媒が好ましい。
【0030】
上記溶液13を微粒子化して導入する導入手段14としては、例えばネブライザ等のようなミクロン単位まで溶液を微細化する手段であれば特に限定されるものではない。
【0031】
また、容器本体の上部側に加熱手段15を周設するのは、容器本体内にミスト状に噴霧された溶液をさらに積極的に蒸発させるものである。この加熱温度は50〜120℃程度とすればよい。この加熱ゾーンによりミストが大径(50μm)から中径乃至小径(数μm)まで縮径されることになる。
【0032】
上記加熱手段の下方側には冷却水16aを導入して容器本体周囲を冷却する冷却手段16が設けられており、容器本体の内部を冷却するようにしている。この冷却により蒸発された水分を壁面に積極的に凝縮させるようにしている。
【0033】
容器本体の下方側には上記凝縮水の液溜部24が設けられており、必要に応じて排出するようにしている。
【0034】
また、容器本体の内周面には鉛直方向に溝(図示せず)が1又は2以上形成されており、凝集した水の垂下が容易となるようにしている。
【0035】
上記細径化されたミストはミスト排出手段である排出管より排出して、後述する質量分析装置へ導入するようにしている。
【0036】
上記ミスト排出管18にはヒータ等の加熱手段25が設けられており、ミストが内壁に付着しないようにしている。この加熱は100〜300℃としており、内壁にミストが付着するのを防止すると共に、質量分析装置への試料の導入のために、ミストを気化させるようにしている。
【0037】
本発明で測定する測定対象物としては、処理水中に含有する例えばPCB又はダイオキシン類等のが有機ハロゲン化物又は環境ホルモンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
この容器本体10内でミスト状とし、更に縮径化したミストをミスト排出管内において気化させ、該ガスを例えば質量分析装置等の通常のガス分析を行なうことで、処理水中のPCB濃度を計測することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
図2は本実施の形態にかかる試料濃縮装置の概略図である。図2に示すように、本実施の形態にかかる上記試料濃縮装置10は、洗浄手段を設けると共に、この装置を2台設けて交互に試料を濃縮処理するようにしている。
装置構成は図1の装置と同一であり、その説明は省略する。
【0040】
本実施の形態の装置は、試料溶液12を導入する試料導入管13に洗浄液を供給する洗浄液供給管31を設け、試料の濃縮が終了した後に、洗浄液32を供給して内部を洗浄するようにしている。
同様な構成の装置を2台設け、ミスト排出管18に複数の弁33を備えた試料分配手段34を設けて、ミストは質量分析装置へ、一方の洗浄液32は外部へ交互に排出するようにしている。
【0041】
[第3の実施の形態]
図3は本実施の形態にかかる試料濃縮装置の概略図である。図3に示すように、本実施の形態にかかる上記試料濃縮装置10は、容器本体の形状を逆円錐台形状としたものである。なお、図1の装置と構成は同様であるので、加熱手段と冷却手段は省略して、容器本体の形状のみの説明をする。
【0042】
本実施の形態にかかる容器本体40は、その形状を逆円錐台形状としたものであり、上部から下方にいくにつれてその径を縮径し、その下方の中心部分にミスト排出管の先端を臨ませている。これにより、ミストが強制的にミスト排出管の開口部へ集中するようにしている。
【0043】
[第4の実施の形態]
図4は本実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置の概略図である。図4に示すように、本実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置50は、排水中の有機微量成分の濃度を検出する検出装置であって、図1に示す試料濃縮装置10と、試料濃縮装置10からのミストを気化させる加熱手段30と、該ガス発生装置で発生したガスを採取試料51として真空チャンバー52内へ連続的に洩れだし分子線53として導入する試料導入手段であるキャピラリカラム54と、上記洩れだし分子線53にレーザ光55を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段54と、レーザイオン化した分子を収束させる複数のイオン電極からなる収束部56と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップ57と、一定周期で放出されたイオンをリフレクトロン58で反射させ、反射されたイオンを検出するイオン検出器59を備えた飛行時間型質量分析装置60とを具備してなるものである。
そして、この検出器59により検出された信号強度の比較から測定対象のPCB濃度を求めることができる。
計測されたPCB濃度は、監視司令室へ送ると共に、例えばモニタ装置(図示せず)等により外部へ公表するようにしてもよい。
【0044】
上記ガス発生手段を設けることにより、PCB処理施設からの排水中のPCB濃度を測定するに際し、飛行時間型質量分析装置60の内部に多量の水蒸気の導入がなくなり、装置の高寿命化を図ることができる。
また、水分子によるノイズスペクトル量が格段に少なくなり、分析対象スペクトルのみのスペクトルを検出することができる。
【0045】
上記ガス置換された採取試料51を導入する上記キャピラリカラム54は、イオン収束部56にその先端が臨んでいるのが好ましく、具体的には、イオン収束部56を構成する電極の内の最もキャピラリカラム側の電極と面一又は電極よりもイオントラップ側へ突き出しているようにするとよい。
【0046】
また、上記キャピラリカラムの材質は、石英又はステンレスであることが好ましい。また、ステンレス製とした場合には、イオン収束部56により電場をかけることにより、制御が可能となる。
【0047】
上記キャピラリカラムの孔径は1mm以下、好適にはレーザ3mm程度とするのがよい。また、キャピラリカラムの吹き出し口からレーザ照射位置までの距離は近ければ近いほどよいが、あまり近すぎてもレーザ光により先端が破損するので、破損しない程度まで近づけて(例えば1〜2mm程度)イオン化効率を向上させることが好ましい。
【0048】
上記レーザ照射手段56から照射されるレーザ光55のパルス波長は、後述すつ実施例に示すように、300nm以下、好ましくは280nm以下、より好ましくは266±10nm程度とするのがよい。これは300nmを超えると測定対象である有機微量成分のイオン化が良好に行われないからである。
【0049】
上記レーザ照射手段56から照射されるレーザ光56のパルス時間幅は500ピコ(10−12 )秒以下、より好ましくは200ピコ秒以下のパルスレーザであることが好ましい。これはパルス時間幅がナノ秒(10−9)のレーザでは検出感度が低く好ましくないからである。
【0050】
上記レーザ照射手段56から照射されるレーザ光のパルス繰り返し周波数は10MHz以上、特に好適には76MHzであることが好ましい。
これはパルス繰り返し周波数を向上させることで連続的にイオン化効率が向上するからである。
【0051】
このように、レーザ光のパルス時間幅を500ピコ秒(10−12 )以下と短くすることにより、レーザ光によるPCBの分解を抑制し、検出感度を向上することができる。
【0052】
図5(a)及び(b)にPCBを検出したイオン検出器からのシグナルを示す。ここで、横軸は飛行時間(秒)であり、縦軸はイオン信号強度(V)である。なお、4塩素のPCBについては図5(a)の拡大図として図5(b)に示した。
【0053】
上記計測装置を用い、例えばPCB分解処理設備から排出される排水中のPCB濃度を迅速且つ的確に測定することができ、この測定結果を基に、処理の監視をすることができる。
【0054】
なお、以上述べた実施の形態においては、測定対象として有機微量成分の内のPCBを例にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、採取試料として、例えばゴミ焼却炉等の各種焼却炉やボイラ等のが燃焼設備から排出される排水中のダイオキシン類又は環境ホルモン類を計測することにも適用することができる。
【0055】
[第5の実施の形態]
図6に上記計測装置を用いたPCB無害化処理設備におけるガス中の監視システムについて説明する。
図6に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,…を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1008で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、洗浄後の洗浄廃液1012及び前処理手段で分離した有害物質1002のいずれか一方又は両方を分解処理する有害物質分解処理手段1013と、有害物質処理手段1013において排出される排水133中のPCB濃度を測定する計測システム61とを、具備してなるものである。
【0056】
ここで、本発明で無害化処理する有害物質としては、PCBの他に例えば、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、環境汚染に起因する有害物質であればこれらに限定されるものではない。
【0057】
また、本発明で被処理物としては、例えば絶縁油としてPCBを用いてなるトランスやコンデンサ、有害物質である塗料等を保存している保存容器を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
また、蛍光灯用の安定器においても従来はPCBが用いられていたので無害化処理する必要があり、この場合には、容量が小さいので前処理することなく、分離手段1009に直接投入することで無害化処理することができる。
【0059】
また、上記有害物質が液体等の場合には、有害物質分解処理手段1013に直接投入することで無害化処理がなされ、その保管した容器は構成材の無害化処理により、処理することができる。処理後の液については、PCBの排出基準である3ppb以下であることを確認する必要がある。
なお、有害物質処理手段1013の構成は、図6に示すものと同様であるので、同一構成部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0060】
本発明の計測システム61は図4に示す有機微量成分の検出装置50を用いて、上記有害物質処理手段1013においてPCBを分解した後の気液分離器129で分離された排水133中のPCB濃度を監視するものである。
この計測システムを設けることでPCB濃度を迅速に且つ効率よく監視することができる。この結果、PCB処理が適切に行われているかの監視を常に行いつつ分解処理することができ、環境に配慮した対策を講じることができる。
【0061】
よって、本計測装置を用いて、所定時間毎に分析して、排水が所定の基準を満たしているかを常に監視することができ、非常事態があった場合、PCB濃度が基準を超える場合には、例えば排水を別途貯溜設備に保管すると同時に、作業手順等のみなおしをして外部環境汚染を防止することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、容器本体内の上部から測定試料を含む溶液を微粒子化して導入する導入手段と、上記容器本体の上部周囲に配設され、微粒子化した試料を加熱し、微粒子径を縮径する加熱手段と、上記加熱手段の下方側周囲を冷却して雰囲気中の水分を凝縮する冷却手段と、容器本体の下方中央部分に挿入され、内部の微粒子化したミストを排出するミスト排出手段とを具備するので、溶液状態から効率的にミストとして濃縮でき、溶液中の微量物質の分析が容易となる。
【0063】
また、上記試料溶液がPCB処理排水中の有機ハロゲン化物であるので、PCB処理設備から排出される排水中のPCB濃度の測定が可能となる。
【0064】
さらに、上記試料濃縮装置と、ガス発生手段で発生させたガスを真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、導入された試料にレーザを照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなるので、バブリングガスに同伴された採取試料とすることができ、飛行時間型質量分析装置の内部に水蒸気の導入がなくなり、装置の高寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる試料濃縮装置の概略図である。
【図2】第2の実施の形態にかかる試料濃縮装置の概略図である。
【図3】第3の実施の形態にかかる試料濃縮装置の概略図である。
【図4】第4の実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置の概略図である。
【図5】低塩素PCBの測定結果図である。
【図6】第5の実施の形態にかかるPCB無害化処理システムの概略図である。
【図7】水熱分解装置の概要図である。
【図8】従来技術にかかるレーザ計測装置の概略図である。
【符号の説明】
10 試料濃縮装置
11 容器本体
12 測定試料
13 試料導入管
14 導入手段
15 加熱手段
16 冷却手段
17 先端部
18 ミスト排出管
20 微粒子化したミスト
50 有機ハロゲン化物の検出装置
51 採取試料
52 真空チャンバー
53 洩れだし分子線
54 キャピラリカラム
55 レーザ光
56 収束部
57 イオントラップ
58 リフレクトロン
59 イオン検出器
60 飛行時間型質量分析装置

Claims (12)

  1. 容器本体内の上部から測定試料を含む溶液を微粒子化して導入する導入手段と、
    上記容器本体の上部周囲に配設され、上記微粒子化した試料を加熱し、微粒子径を縮径する加熱手段と、
    上記加熱手段の下方側における上記容器本体の周囲を冷却して雰囲気中の水分を凝縮する冷却手段とを備える試料濃縮装置において
    上記容器本体の内部の下方中央部分に先端部分が挿入され、内部の上記縮径化した試料ミストを排出するミスト排出手段とを具備することを特徴とする試料濃縮装置。
  2. 請求項1に記載する試料濃縮装置において、
    上記容器本体内に微粒子を搬送する搬送ガスを導入する導入手段を具備することを特徴とする試料濃縮装置。
  3. 請求項1に記載する試料濃縮装置において、
    上記容器本体が円柱体又は逆円錐台体であることを特徴とする試料濃縮装置。
  4. 請求項1に記載する試料濃縮装置において、
    上記容器本体の下部に水溜部を形成してなると共に、上記容器本体内壁に鉛直軸方向に溝を1本又は2本以上形成してなることを特徴とする試料濃縮装置。
  5. 請求項1に記載する試料濃縮装置において、
    上記ミスト排出手段を加熱する加熱手段が周設されていることを特徴とする試料濃縮装置。
  6. 請求項5に記載する試料濃縮装置において、
    上記加熱手段による加熱温度が150〜300℃であることを特徴とする試料濃縮装置。
  7. 請求項1に記載する試料濃縮装置において、
    上記測定試料が有機ハロゲン化物又は環境ホルモンであることを特徴とする試料濃縮装置。
  8. 請求項1に記載する試料濃縮装置において、
    上記測定試料がPCB処理排水中の有機ハロゲン化物であることを特徴とする試料濃縮装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載する試料濃縮装置と、
    上記試料濃縮装置から排出された微粒子化したミストを真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、
    上記導入された試料にレーザを照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、
    上記レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、
    上記収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、
    一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
  10. 請求項9に記載する有機微量成分の検出装置において、
    上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
  11. 請求項9に記載する有機微量成分の検出装置において、
    上記レーザのパルス波長が280nm以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
  12. 請求項9に記載する有機微量成分の検出装置において、
    上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
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