JP3593064B2 - 有機微量成分の検出装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばPCB処理設備から排出される処理水中の例えばPCB、ダイオキシン類等の有機微量成分の検出装置及び方法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱分解装置を提案した(特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱分解装置の概要の一例を図8に示す。
【0005】
図8に示すように、水熱分解装置120は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、PCB、H2OおよびNaOHの処理液123を加圧する加圧ポンプ124と、当該混合液を予熱する予熱器125と、配管を巻いた構成の二次反応器126と、冷却器127および減圧弁128とを備えてなるものである。また、減圧弁128の下流には、気液分離器129、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO2 )131は煙突132から外部へ排出され、排水(H2 O,NaCl)133は別途、必要に応じて排水処理される。また、処理液123となるPCBの配管134には、H2OおよびNaOHがそれぞれ導入される。また、酸素の配管135は、一次反応器122に対して直結している。
【0006】
上記装置において、加圧ポンプ124による加圧により一次反応器122内は、26MPaまで昇圧される。また、予熱器125は、PCB、H2OおよびNaOHの混合処理液123を300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNa2CO3の結晶粒子の大きなものを分離し、Na2CO3の微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。つぎに、冷却器127では、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却すると共に後段の減圧弁128にて大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理水とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0007】
このような処理装置を用いてPCB含有容器(例えばトランスやコンデンサ)等を処理することで、完全無害化がなされているが、さらにその施設内におけるPCB濃度の迅速監視が重要である。従来、ガスサンプリングを行いPCBを液体に濃縮させ、その濃縮液を分析する方法が採用されているが、この計測には数時間から数十時間を要するため、迅速監視ができなかった。
【0008】
しかしながら、監視のためのガス中の微量PCBの計測方法として、従来では多光子イオン化検出器と飛行時間型分析器(Time of Flight Mass Spectroscopy:TOFMAS) とを組み合わせた質量スペクトル分析装置が提案されている。
【0009】
この従来の分析装置の概要を図9を参照して説明する。
【0010】
図9に示すように、試料ガス1をパルスノズル2から真空チャンバ3内に超音速自由噴流として供給し、その自由噴流は断熱膨張により冷却される。そのような冷却により、振動・回転準位が低エネルギー側に偏って波長選択性が増大したガスは、レーザ4のような共鳴多光子を効率よく吸収したそのイオン化効率が増大する。イオン化されたガス中の分子は、加速電極5により加速され、質量に反比例する加速度を与えられてフライトチューブ6内で飛行し、リフレクトン7で反射して、検出器8に入射する。該フライトチューブ6の中での飛行時間を計測することによりその分子又は原子である粒子の質量が計算により求められ、検出器8の信号強度の比較から測定対象のPCB濃度を求めることができる。
【0011】
このような装置では、微量物質の検出を行うことができる点で原理的にはすぐれているが、レーザパルス時間幅がナノ秒レーザを用いているので、検出感度が低いという問題がある。
よって、試料ガス1を効率よく濃縮することが望まれている。
【0012】
また、PCBは複数の塩素がビフェニル骨格に置換したものであり、置換塩素の数や位置によって種々の異性体が存在し、それに対応するレーザの波長の選定が個々に異なるので、効率的な分析ができないという、問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑み、例えばPCB等の微量成分濃度を監視するに際し、迅速且つ高感度な分析が可能な有機微量成分の検出装置及び方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の発明は、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、導入された試料にレーザ光を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなる有機微量成分の検出装置において、レーザ照射手段から照射されたレーザ光がラマンセルを通過して複数の波長に分離され、該分離された複数の波長のレーザ光により、複数の塩素が置換した有害物質の励起を同時に行うことを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、上記ラマンセルが水素を封入したセルであることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス波長が280nm以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0018】
第5の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0019】
第6の発明は、 ガス中の有機ハロゲン化物の濃度を検出する検出方法であって、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入し、ラマンセルを通過して複数の波長に分離されたレーザ光を上記導入された試料に照射して複数の塩素が置換した有害物質を同時にレーザイオン化させ、該レーザイオン化した分子を収束させつつイオントラップで選択濃縮し、該イオントラップから一定周期で放出されたイオンを飛行時間型質量分析装置で検出することを特徴とする有機ハロゲン化物の検出方法にある。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、上記ガスがPCB分解処理した処理設備内のガスであることを特徴とする有機ハロゲン化物の検出方法にある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は本実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置50は、排水又は排ガス中の有機微量成分の濃度を検出する検出装置であって、採取試料51として真空チャンバー52内へ連続的に洩れだし分子線53として導入する試料導入手段であるキャピラリカラム54と、上記洩れだし分子線53にラマンセル11を通過したレーザ光55を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる複数のイオン電極からなる収束部56と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップ57と、一定周期で放出されたイオンをリフレクトロン58で反射させ、反射されたイオンを検出するイオン検出器59を備えた飛行時間型質量分析装置60とを具備してなるものである。
【0023】
そして、この検出器59により検出された信号強度の比較から測定対象のPCB濃度を求めることができる。
【0024】
計測されたPCB濃度は、監視司令室へ送ると共に、例えばモニタ装置(図示せず)等により外部へ公表するようにしてもよい。
【0025】
上記ラマンセル11を設けることにより、図2に示すように、レーザ照射手段から照射されたレーザ光55の波長λ 1 がストークス光(λ 1+M1 、λ 1+M2 ・・・)とアンチストークス光(λ 1−M1 、λ 1−M2 ・・・)とに分離される。これにより、1つの波長のレーザ光55で複数の波長を得ることができ、同時に複数の波長により複数の塩素が置換したPCBの励起を効率的におこなうことができる。
【0026】
ラマンセルの一例としては、例えばN2 、H2 、CH4 等の気体を高圧(例えば50気圧程度)にセル内に封入したものを例示することができ、これに例えば266nmのレーザ光を入射させると、各分子の相互作用により以下波長の光が出力される。N2 :283nm、H2 :301nm、CH4 :288nm
【0027】
図3に、レーザ光55がラマンセル11を通過することで得られる波長と、レーザ光エネルギーとの関係を図2に示す。
【0028】
また、図4に示すように、PCBの塩素の置換の数により波長が低波長から高い波長へと順にずれているので、ラマンセル11を通過したレーザ光により分離された複数の波長を用いることで効率的な計測が可能となる。
【0029】
ここで、上記装置において、上記採取試料51を導入する上記キャピラリカラム54は、イオン収束部56にその先端が臨んでいるのが好ましく、具体的には、イオン収束部56を構成する電極の内の最もキャピラリカラム側の電極と面一又は電極よりもイオントラップ側へ突き出しているようにするとよい。
【0030】
また、上記キャピラリカラムの材質は、石英又はステンレスであることが好ましい。また、ステンレス製とした場合には、イオン収束部56により電場をかけることにより、制御が可能となる。
【0031】
上記キャピラリカラムの孔径は1mm以下、好適にはレーザ3mm程度とするのがよい。また、キャピラリカラムの吹き出し口からレーザ照射位置までの距離は近ければ近いほどよいが、あまり近すぎてもレーザ光により先端が破損するので、破損しない程度まで近づけて(例えば1〜2mm程度)イオン化効率を向上させることが好ましい。
【0032】
上記レーザ照射手段から照射されるレーザ光55のパルス波長は、後述すつ実施例に示すように、300nm以下、好ましくは280nm以下、より好ましくは266±10nm程度とするのがよい。これは300nmを超えると測定対象である有機微量成分のイオン化が良好に行われないからである。
【0033】
上記レーザ照射手段から照射されるレーザ光55のパルス時間幅は500ピコ(10-12 )秒以下、より好ましくは200ピコ秒以下のパルスレーザであることが好ましい。これはパルス時間幅がナノ秒(10-9)のレーザでは検出感度が低く好ましくないからである。
【0034】
上記レーザ照射手段から照射されるレーザ光のパルス繰り返し周波数は10MHz以上、特に好適には76MHzであることが好ましい。これはパルス繰り返し周波数を向上させることで連続的にイオン化効率が向上するからである。
【0035】
このように、レーザ光のパルス時間幅を500ピコ秒(10−12 )以下と短くすることにより、レーザ光によるPCBの分解を抑制し、検出感度を向上することができる。
【0036】
図1に示すような装置を用いて、ラマンセルにより波長を分離してPCBを計測した一例を図5に示す。ここで、横軸は飛行時間(秒)であり、縦軸はイオン信号強度(V)である。
【0037】
図6(a)及び(b)に一つの波長によるPCBを検出したイオン検出器からのシグナルを示す。なお、4塩素のPCBについてはイオン化効率が悪いので図6(a)の拡大図として図6(b)に示した。
【0038】
上記計測装置を用い、例えばPCB分解処理設備から排出される排水中のPCB濃度を迅速且つ的確に測定することができ、この測定結果を基に、処理の監視をすることができる。
【0039】
なお、以上述べた実施の形態においては、測定対象として有機微量成分の内のPCBを例にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、採取試料として、例えばゴミ焼却炉等の各種焼却炉やボイラ等のが燃焼設備から排出される排水中のダイオキシン類又は環境ホルモン類を計測することにも適用することができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
図7に上記計測装置を用いたPCB無害化処理設備におけるガス中の監視システムについて説明する。
図7に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1007で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、洗浄後の洗浄廃液1012及び前処理手段で分離した有害物質1002のいずれか一方又は両方を分解処理する有害物質分解処理手段1013とを、具備してなり、上記前処理手段1006の設備内の環境中のPCB濃度及び排ガス131中のPCB濃度を計測する有機微量成分の検出装置50を備えた計測システム61が設けられている。
【0041】
ここで、本発明で無害化処理する有害物質としては、PCBの他に例えば、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、環境汚染に起因する有害物質であればこれらに限定されるものではない。
【0042】
また、本発明で被処理物としては、例えば絶縁油としてPCBを用いてなるトランスやコンデンサ、有害物質である塗料等を保存している保存容器を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、蛍光灯用の安定器においても従来はPCBが用いられていたので無害化処理する必要があり、この場合には、容量が小さいので前処理することなく、分離手段1004に直接投入することで無害化処理することができる。
【0044】
また、上記有害物質が液体等の場合には、有害物質分解処理手段1013に直接投入することで無害化処理がなされ、その保管した容器は構成材の無害化処理により、処理することができる。処理後の液については、PCBの排出基準である3ppb以下であることを確認する必要がある。
なお、有害物質処理手段1013の構成は、図8に示すものと同様であるので、同一構成部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0045】
本発明の計測システム61は上記微量計測装置50を用いて、上記有害物質処理システムの前処理手段1006内のPCBの環境濃度及び排ガス131中のPCB排出濃度を監視するものである。
この計測システムを設けることでPCB濃度を迅速に且つ効率よく監視することができる。この結果、PCB処理が適切に行われているかの監視を常に行いつつ分解処理することができ、環境に配慮した対策を講じることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように第1の発明によれば、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、導入された試料にレーザ光を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなる有機微量成分の検出装置において、レーザ照射手段から照射されたレーザ光がラマンセルを通過して複数の波長に分離され、該分離された複数の波長のレーザ光により、複数の塩素が置換した有害物質の励起を同時に行うので、ラマン効果により、同時に複数の波長により複数の塩素が置換した有害物質(例えばPCB等)の励起を効率的におこなうことができる。
【0047】
第2の発明は、第1の発明において、上記ラマンセルが水素を封入したセルであるので、ラマン効果が発揮される。
【0048】
第3の発明は、第1の発明において、上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいるので、イオン化効率が向上する。
【0049】
第4の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス波長が280nm以下であるので、有機ハロゲン化物のイオン化が良好に行われる。
【0050】
第5の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であるので検出感度が向上する。
【0051】
第6の発明は、 ガス中の有機ハロゲン化物の濃度を検出する検出方法であって、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入し、ラマンセルを通過して複数の波長に分離されたレーザ光を上記導入された試料に照射して複数の塩素が置換した有害物質を同時にレーザイオン化させ、該レーザイオン化した分子を収束させつつイオントラップで選択濃縮し、該イオントラップから一定周期で放出されたイオンを飛行時間型質量分析装置で検出するので、ラマン効果により、同時に複数の波長により複数の塩素が置換した有害物質(例えばPCB等)の励起を効率的におこなうことができる。
【0052】
第7の発明は、第6の発明において、上記ガスがPCB分解処理した処理設備内のガスであるので、ラマン効果により、同時に複数の波長により複数の塩素が置換したPCBの励起を効率的におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置の概略図である。
【図2】ラマンセルを通過したレーザ光のラマン効果を示す図である。
【図3】ラマン効果によるレーザ光の波長とレーザ光エネルギーとの関係図である。
【図4】1〜6塩素PCBの波長とイオン化効率との関係図である。
【図5】ラマンセルを通過したレーザ光でのPCBの測定結果である。
【図6】ラマンセルを用いないレーザ光でのPCBの測定結果である。
【図7】第2の実施の形態にかかるPCB無害化処理システムの概略図である。
【図8】水熱分解装置の概要図である。
【図9】従来技術にかかるレーザ計測装置の概略図である。
【符号の説明】
11 ラマンセル
50 有機ハロゲン化物の検出装置
51 採取試料
52 真空チャンバー
53 洩れだし分子線
54 キャピラリカラム
55 レーザ光
56 収束部
57 イオントラップ
58 リフレクトロン
59 イオン検出器
60 飛行時間型質量分析装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばPCB処理設備から排出される処理水中の例えばPCB、ダイオキシン類等の有機微量成分の検出装置及び方法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱分解装置を提案した(特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱分解装置の概要の一例を図8に示す。
【0005】
図8に示すように、水熱分解装置120は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、PCB、H2OおよびNaOHの処理液123を加圧する加圧ポンプ124と、当該混合液を予熱する予熱器125と、配管を巻いた構成の二次反応器126と、冷却器127および減圧弁128とを備えてなるものである。また、減圧弁128の下流には、気液分離器129、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO2 )131は煙突132から外部へ排出され、排水(H2 O,NaCl)133は別途、必要に応じて排水処理される。また、処理液123となるPCBの配管134には、H2OおよびNaOHがそれぞれ導入される。また、酸素の配管135は、一次反応器122に対して直結している。
【0006】
上記装置において、加圧ポンプ124による加圧により一次反応器122内は、26MPaまで昇圧される。また、予熱器125は、PCB、H2OおよびNaOHの混合処理液123を300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNa2CO3の結晶粒子の大きなものを分離し、Na2CO3の微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。つぎに、冷却器127では、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却すると共に後段の減圧弁128にて大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理水とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0007】
このような処理装置を用いてPCB含有容器(例えばトランスやコンデンサ)等を処理することで、完全無害化がなされているが、さらにその施設内におけるPCB濃度の迅速監視が重要である。従来、ガスサンプリングを行いPCBを液体に濃縮させ、その濃縮液を分析する方法が採用されているが、この計測には数時間から数十時間を要するため、迅速監視ができなかった。
【0008】
しかしながら、監視のためのガス中の微量PCBの計測方法として、従来では多光子イオン化検出器と飛行時間型分析器(Time of Flight Mass Spectroscopy:TOFMAS) とを組み合わせた質量スペクトル分析装置が提案されている。
【0009】
この従来の分析装置の概要を図9を参照して説明する。
【0010】
図9に示すように、試料ガス1をパルスノズル2から真空チャンバ3内に超音速自由噴流として供給し、その自由噴流は断熱膨張により冷却される。そのような冷却により、振動・回転準位が低エネルギー側に偏って波長選択性が増大したガスは、レーザ4のような共鳴多光子を効率よく吸収したそのイオン化効率が増大する。イオン化されたガス中の分子は、加速電極5により加速され、質量に反比例する加速度を与えられてフライトチューブ6内で飛行し、リフレクトン7で反射して、検出器8に入射する。該フライトチューブ6の中での飛行時間を計測することによりその分子又は原子である粒子の質量が計算により求められ、検出器8の信号強度の比較から測定対象のPCB濃度を求めることができる。
【0011】
このような装置では、微量物質の検出を行うことができる点で原理的にはすぐれているが、レーザパルス時間幅がナノ秒レーザを用いているので、検出感度が低いという問題がある。
よって、試料ガス1を効率よく濃縮することが望まれている。
【0012】
また、PCBは複数の塩素がビフェニル骨格に置換したものであり、置換塩素の数や位置によって種々の異性体が存在し、それに対応するレーザの波長の選定が個々に異なるので、効率的な分析ができないという、問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑み、例えばPCB等の微量成分濃度を監視するに際し、迅速且つ高感度な分析が可能な有機微量成分の検出装置及び方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の発明は、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、導入された試料にレーザ光を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなる有機微量成分の検出装置において、レーザ照射手段から照射されたレーザ光がラマンセルを通過して複数の波長に分離され、該分離された複数の波長のレーザ光により、複数の塩素が置換した有害物質の励起を同時に行うことを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、上記ラマンセルが水素を封入したセルであることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス波長が280nm以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0018】
第5の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置にある。
【0019】
第6の発明は、 ガス中の有機ハロゲン化物の濃度を検出する検出方法であって、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入し、ラマンセルを通過して複数の波長に分離されたレーザ光を上記導入された試料に照射して複数の塩素が置換した有害物質を同時にレーザイオン化させ、該レーザイオン化した分子を収束させつつイオントラップで選択濃縮し、該イオントラップから一定周期で放出されたイオンを飛行時間型質量分析装置で検出することを特徴とする有機ハロゲン化物の検出方法にある。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、上記ガスがPCB分解処理した処理設備内のガスであることを特徴とする有機ハロゲン化物の検出方法にある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は本実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置50は、排水又は排ガス中の有機微量成分の濃度を検出する検出装置であって、採取試料51として真空チャンバー52内へ連続的に洩れだし分子線53として導入する試料導入手段であるキャピラリカラム54と、上記洩れだし分子線53にラマンセル11を通過したレーザ光55を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる複数のイオン電極からなる収束部56と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップ57と、一定周期で放出されたイオンをリフレクトロン58で反射させ、反射されたイオンを検出するイオン検出器59を備えた飛行時間型質量分析装置60とを具備してなるものである。
【0023】
そして、この検出器59により検出された信号強度の比較から測定対象のPCB濃度を求めることができる。
【0024】
計測されたPCB濃度は、監視司令室へ送ると共に、例えばモニタ装置(図示せず)等により外部へ公表するようにしてもよい。
【0025】
上記ラマンセル11を設けることにより、図2に示すように、レーザ照射手段から照射されたレーザ光55の波長λ 1 がストークス光(λ 1+M1 、λ 1+M2 ・・・)とアンチストークス光(λ 1−M1 、λ 1−M2 ・・・)とに分離される。これにより、1つの波長のレーザ光55で複数の波長を得ることができ、同時に複数の波長により複数の塩素が置換したPCBの励起を効率的におこなうことができる。
【0026】
ラマンセルの一例としては、例えばN2 、H2 、CH4 等の気体を高圧(例えば50気圧程度)にセル内に封入したものを例示することができ、これに例えば266nmのレーザ光を入射させると、各分子の相互作用により以下波長の光が出力される。N2 :283nm、H2 :301nm、CH4 :288nm
【0027】
図3に、レーザ光55がラマンセル11を通過することで得られる波長と、レーザ光エネルギーとの関係を図2に示す。
【0028】
また、図4に示すように、PCBの塩素の置換の数により波長が低波長から高い波長へと順にずれているので、ラマンセル11を通過したレーザ光により分離された複数の波長を用いることで効率的な計測が可能となる。
【0029】
ここで、上記装置において、上記採取試料51を導入する上記キャピラリカラム54は、イオン収束部56にその先端が臨んでいるのが好ましく、具体的には、イオン収束部56を構成する電極の内の最もキャピラリカラム側の電極と面一又は電極よりもイオントラップ側へ突き出しているようにするとよい。
【0030】
また、上記キャピラリカラムの材質は、石英又はステンレスであることが好ましい。また、ステンレス製とした場合には、イオン収束部56により電場をかけることにより、制御が可能となる。
【0031】
上記キャピラリカラムの孔径は1mm以下、好適にはレーザ3mm程度とするのがよい。また、キャピラリカラムの吹き出し口からレーザ照射位置までの距離は近ければ近いほどよいが、あまり近すぎてもレーザ光により先端が破損するので、破損しない程度まで近づけて(例えば1〜2mm程度)イオン化効率を向上させることが好ましい。
【0032】
上記レーザ照射手段から照射されるレーザ光55のパルス波長は、後述すつ実施例に示すように、300nm以下、好ましくは280nm以下、より好ましくは266±10nm程度とするのがよい。これは300nmを超えると測定対象である有機微量成分のイオン化が良好に行われないからである。
【0033】
上記レーザ照射手段から照射されるレーザ光55のパルス時間幅は500ピコ(10-12 )秒以下、より好ましくは200ピコ秒以下のパルスレーザであることが好ましい。これはパルス時間幅がナノ秒(10-9)のレーザでは検出感度が低く好ましくないからである。
【0034】
上記レーザ照射手段から照射されるレーザ光のパルス繰り返し周波数は10MHz以上、特に好適には76MHzであることが好ましい。これはパルス繰り返し周波数を向上させることで連続的にイオン化効率が向上するからである。
【0035】
このように、レーザ光のパルス時間幅を500ピコ秒(10−12 )以下と短くすることにより、レーザ光によるPCBの分解を抑制し、検出感度を向上することができる。
【0036】
図1に示すような装置を用いて、ラマンセルにより波長を分離してPCBを計測した一例を図5に示す。ここで、横軸は飛行時間(秒)であり、縦軸はイオン信号強度(V)である。
【0037】
図6(a)及び(b)に一つの波長によるPCBを検出したイオン検出器からのシグナルを示す。なお、4塩素のPCBについてはイオン化効率が悪いので図6(a)の拡大図として図6(b)に示した。
【0038】
上記計測装置を用い、例えばPCB分解処理設備から排出される排水中のPCB濃度を迅速且つ的確に測定することができ、この測定結果を基に、処理の監視をすることができる。
【0039】
なお、以上述べた実施の形態においては、測定対象として有機微量成分の内のPCBを例にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、採取試料として、例えばゴミ焼却炉等の各種焼却炉やボイラ等のが燃焼設備から排出される排水中のダイオキシン類又は環境ホルモン類を計測することにも適用することができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
図7に上記計測装置を用いたPCB無害化処理設備におけるガス中の監視システムについて説明する。
図7に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1007で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、洗浄後の洗浄廃液1012及び前処理手段で分離した有害物質1002のいずれか一方又は両方を分解処理する有害物質分解処理手段1013とを、具備してなり、上記前処理手段1006の設備内の環境中のPCB濃度及び排ガス131中のPCB濃度を計測する有機微量成分の検出装置50を備えた計測システム61が設けられている。
【0041】
ここで、本発明で無害化処理する有害物質としては、PCBの他に例えば、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、環境汚染に起因する有害物質であればこれらに限定されるものではない。
【0042】
また、本発明で被処理物としては、例えば絶縁油としてPCBを用いてなるトランスやコンデンサ、有害物質である塗料等を保存している保存容器を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、蛍光灯用の安定器においても従来はPCBが用いられていたので無害化処理する必要があり、この場合には、容量が小さいので前処理することなく、分離手段1004に直接投入することで無害化処理することができる。
【0044】
また、上記有害物質が液体等の場合には、有害物質分解処理手段1013に直接投入することで無害化処理がなされ、その保管した容器は構成材の無害化処理により、処理することができる。処理後の液については、PCBの排出基準である3ppb以下であることを確認する必要がある。
なお、有害物質処理手段1013の構成は、図8に示すものと同様であるので、同一構成部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0045】
本発明の計測システム61は上記微量計測装置50を用いて、上記有害物質処理システムの前処理手段1006内のPCBの環境濃度及び排ガス131中のPCB排出濃度を監視するものである。
この計測システムを設けることでPCB濃度を迅速に且つ効率よく監視することができる。この結果、PCB処理が適切に行われているかの監視を常に行いつつ分解処理することができ、環境に配慮した対策を講じることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように第1の発明によれば、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、導入された試料にレーザ光を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなる有機微量成分の検出装置において、レーザ照射手段から照射されたレーザ光がラマンセルを通過して複数の波長に分離され、該分離された複数の波長のレーザ光により、複数の塩素が置換した有害物質の励起を同時に行うので、ラマン効果により、同時に複数の波長により複数の塩素が置換した有害物質(例えばPCB等)の励起を効率的におこなうことができる。
【0047】
第2の発明は、第1の発明において、上記ラマンセルが水素を封入したセルであるので、ラマン効果が発揮される。
【0048】
第3の発明は、第1の発明において、上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいるので、イオン化効率が向上する。
【0049】
第4の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス波長が280nm以下であるので、有機ハロゲン化物のイオン化が良好に行われる。
【0050】
第5の発明は、第1の発明において、上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であるので検出感度が向上する。
【0051】
第6の発明は、 ガス中の有機ハロゲン化物の濃度を検出する検出方法であって、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入し、ラマンセルを通過して複数の波長に分離されたレーザ光を上記導入された試料に照射して複数の塩素が置換した有害物質を同時にレーザイオン化させ、該レーザイオン化した分子を収束させつつイオントラップで選択濃縮し、該イオントラップから一定周期で放出されたイオンを飛行時間型質量分析装置で検出するので、ラマン効果により、同時に複数の波長により複数の塩素が置換した有害物質(例えばPCB等)の励起を効率的におこなうことができる。
【0052】
第7の発明は、第6の発明において、上記ガスがPCB分解処理した処理設備内のガスであるので、ラマン効果により、同時に複数の波長により複数の塩素が置換したPCBの励起を効率的におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる有機微量成分の検出装置の概略図である。
【図2】ラマンセルを通過したレーザ光のラマン効果を示す図である。
【図3】ラマン効果によるレーザ光の波長とレーザ光エネルギーとの関係図である。
【図4】1〜6塩素PCBの波長とイオン化効率との関係図である。
【図5】ラマンセルを通過したレーザ光でのPCBの測定結果である。
【図6】ラマンセルを用いないレーザ光でのPCBの測定結果である。
【図7】第2の実施の形態にかかるPCB無害化処理システムの概略図である。
【図8】水熱分解装置の概要図である。
【図9】従来技術にかかるレーザ計測装置の概略図である。
【符号の説明】
11 ラマンセル
50 有機ハロゲン化物の検出装置
51 採取試料
52 真空チャンバー
53 洩れだし分子線
54 キャピラリカラム
55 レーザ光
56 収束部
57 イオントラップ
58 リフレクトロン
59 イオン検出器
60 飛行時間型質量分析装置
Claims (7)
- 採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入する試料導入手段と、導入された試料にレーザ光を照射し、レーザイオン化させるレーザ照射手段と、 レーザイオン化した分子を収束させる収束部と、該収束された分子を選択濃縮するイオントラップと、一定周期で放出されたイオンを検出するイオン検出器を備えた飛行時間型質量分析装置とを具備してなる有機微量成分の検出装置において、レーザ照射手段から照射されたレーザ光がラマンセルを通過して複数の波長に分離され、該分離された複数の波長のレーザ光により、複数の塩素が置換した有害物質の各種異性体の励起を同時に行うことを特徴とする有機微量成分の検出装置。
- 請求項1の有機微量成分の検出装置において、上記ラマンセルが水素を封入したセルであることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
- 請求項1の有機微量成分の検出装置において、上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その先端がイオン収束部に臨んでいることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
- 請求項1の有機微量成分の検出装置において、上記レーザのパルス波長が280nm以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
- 請求項1の有機微量成分の検出装置において、上記レーザのパルス時間幅が500ピコ秒以下であることを特徴とする有機微量成分の検出装置。
- ガス中の有機ハロゲン化物の濃度を検出する検出方法であって、採取試料を真空チャンバー内へ連続的に導入し、ラマンセルを通過して複数の波長に分離されたレーザ光を上記導入された試料に照射して複数の塩素が置換した有害物質の各種異性体を同時にレーザイオン化させ、該レーザイオン化した分子を収束させつつイオントラップで選択濃縮し、該イオントラップから一定周期で放出されたイオンを飛行時間型質量分析装置で検出することを特徴とする有機ハロゲン化物の検出方法。
- 請求項6において、上記ガスがPCB分解処理した処理設備内のガスであることを特徴とする有機ハロゲン化物の検出方法。
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