JP3588973B2 - 固形ルーの白色化防止剤及び固形ルー用油脂組成物並びに固形ルー - Google Patents

固形ルーの白色化防止剤及び固形ルー用油脂組成物並びに固形ルー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固形ルーの白色化防止剤及びこれを含有した固形ルー用油脂組成物に関し、より詳細にはカレールー、ハヤシルー、シチュールー等の固形ルーの白色化防止剤及びこれを含有した油脂組成物、並びに、前記白色化防止剤や油脂組成物を用いて白色化を防止してなる固形ルーに関する。
【0002】
【従来の技術】
カレールー、ハヤシルー、シチュールー等の固形ルーは様々の商品が開発されており、その簡便さから家庭用、業務用共に大量に生産・消費されている。
一般にこれら固形ルーは、小麦粉、食用油脂、その他調味料等が加熱混合された後冷却固化されて製造されるものであり、前記食用油脂としては一般に牛脂・ラード等の動物性油脂やパーム油等の植物性油脂が使用されている。この固形ルーには、特に製造条件や保管条件が不適切な場合に、これら油脂の結晶が粗大化し、表面の光沢や艶が失われて白色化してゆく現象が発生する場合があり、このような現象が生じた固形ルーは著しく商品価値が低下してしまう。
【0003】
そもそも固形ルーに使用されている油脂は一般に油脂結晶が粗大化し易く、クーリングトンネル等により固化させ、製品化した直後であっても固形ルー表面が部分的に白色化することがある。この白色化を防ぐため、従来からクーリングトンネルの温度条件の工夫、固形ルー用油脂の種類の検討、乳化剤の添加等により前記白色化を防止する方法が試みられてきており、その都度最適な配合や製造方法の検討が行われてきた。
【0004】
例えば、固形ルーの表面の光沢を維持するため、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤や、これらの配合物である乳化剤を添加する方法も試みられているが、固形ルーの種類や製法によっては顕著な効果が認められない場合がある。また、乳化剤の添加により、固形ルー表面に薄い膜が張ったようになったり、固形ルーが軟質化したり、成形・冷却時の収縮が小さくなってトレーからの型離れが不良化したりする問題がある。
【0005】
そこで、これら乳化剤の添加による様々の問題点を解決するために、油脂の融点を高くする方法、油脂の添加量を多くする方法、油脂のエステル交換反応による改質等、様々の方法が検討されている。
例えば特開昭61−40745号公報においては、1モルのポリグリセリン分子に4モル以上の脂肪酸エステルを持つポリグリセリン脂肪酸エステルを0.02〜5重量%と油脂分25重量%以上とを含有する固形ルーに関しての記載がある。しかしながらこの中には、製菓用油脂に関する実施例のみが開示されているにとどまり、カレールー等の固形ルーに関する実施例は開示されていない。また、実際に上記のような1モルのポリグリセリン分子に4モル以上の脂肪酸エステルを持つポリグリセリン脂肪酸エステルを0.02〜5重量%含有した固形ルーを作製しても、表面光沢維持には顕著な効果が認められていない。これは、製菓用油脂と固形ルー用油脂とでは主成分が異なるためと考えられる。
【0006】
また、特開昭58−198245号公報においては、ベヘン酸含有ナタネ油の極度硬化油を添加する方法が開示されている。しかしながら、この方法では高融点の油脂を使用するために使用量に制限があり、製品の口解けも悪くなる。しかも、渦状の縞模様が製品表面に発生することがあり、商品価値が著しく低下する問題がある。
【0007】
特開平7−39351号公報においては、ソルビタン脂肪酸エステルとレシチンを組み合わせた乳化剤を使用した固形油脂食品が開示されている。しかしながら、この固形油脂食品には表面に白色薄膜が発生すると共に固形ルーが軟質化し、トレーからの型離れが悪くなって商品価値が低下してしまう。また、融点が42〜43℃以外の食用油脂に関しては、その表面光沢維持に顕著な効果が見られていない。
【0008】
さらに、特開平6−98727号公報においては、モノグリセリン脂肪酸エステルの添加と特定の冷却条件との併用により固形ルー製造直後の白色化を防止する方法が開示されているが、この方法は−30℃といった極端な低温冷却条件を使用するものであり、非実用的である。また、このように極端に冷却した固形ルーは、冷却後室温に戻す段階で結露が発生し、カビ発生の原因となったりするので、望ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の各種乳化剤を添加する方法では、固形ルー表面に白い膜が張ったり、固形ルーが軟質化したり、トレーからの型離れが悪くなったり、カレールー等の固形ルーには効果が薄かったりするといった課題があった。
また、極度硬化油のみを添加する方法では、口解けが悪くなったり、添加量によっては固形ルーに白い縞模様が発生してしまうといった課題があった。
しかも、使用する油脂の種類によっては、トレーで固化させた直後から表面が白色化するといった課題があった。
【0010】
本発明は、これら課題に鑑み発明されたものであり、固形ルー表面に白い膜や縞模様を発生させることなく、型離れを不良とすることなく、油脂の結晶の粗大化を防止して長期間に渡り表面光沢を維持して商品価値の低下を防止することができると共に、使用する油脂の種類に関係なく、表面光沢や艶の著しい改善を図ることができる固形ルーの白色化防止剤及びそれを含有した固形ルー用油脂組成物、並びに、前記白色化防止剤又は前記油脂組成物を用いた固形ルーを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る固形ルーの白色化防止剤は、上記目的を達成するため、グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなるポリグリセリン脂肪酸エステル1〜50重量%と、硬化牛脂、硬化ラード、硬化パーム油、硬化パーム分別油、硬化ナタネ油、硬化ナタネ分別油のうちの少なくとも1種からなる油脂25〜99重量%と、レシチン0〜25重量%とを含有してなることを特徴としている。・・・(1)
【0012】
また、本発明に係る固形ルーの白色化防止剤は、グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなるポリグリセリン脂肪酸エステル1〜20重量%と、ベヘン酸を10〜50%含有する硬化油15〜50重量%と、硬化牛脂、硬化ラード、硬化パーム油、硬化パーム分別油、硬化ナタネ油、硬化ナタネ分別油のうちの少なくとも1種からなる油脂5〜86重量%と、レシチン0〜25重量%とを含有してなることを特徴としている。・・・(2)
【0013】
さらに本発明に係る固形ルー用油脂組成物は、上記(1)、(2)に記載の白色化防止剤を1〜10重量%含有してなることを特徴としており、本発明に係る固形ルーは、上記(1)、(2)に記載の白色化防止剤又は前記油脂組成物を用いてなることを特徴としている。
本発明に係る固形ルーの製造方法は、上記(1)、(2)に記載の白色化防止剤と、焙煎小麦粉、食用油脂及び調味料類を加熱混合して溶融状のルーを得、これを冷却固化することを特徴としている。また、本発明に係る固形ルーの製造方法は、上記(1)、(2)に記載の白色化防止剤を含有してなる上記固形ルー用油脂組成物と、焙煎小麦粉及び調味料類と加熱混合して溶融状のルーを得、これを冷却固化することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る固形ルーの白色化防止剤及びそれを含有した固形ルー用油脂組成物、並びに固形ルーの実施の形態について説明する。
実施の形態に係る固形ルーの白色化防止剤(白色化防止剤Aとする)は、グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなるポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、特定ポリグリセリン脂肪酸エステルと記す)1〜50重量%と、硬化牛脂、硬化ラード、硬化パーム油、硬化パーム分別油、硬化ナタネ油、硬化ナタネ分別油のうちの少なくとも1種からなる油脂(以下、特定硬化油と記す)25〜99重量%と、レシチン0〜25重量%とを含有してなる。
前記白色化防止剤Aは、例えば前記した原料をミキサー等を用いて75℃程度で加熱融解し、これをクーリングドラム等を用いてフレーク状の製品とする。フレーク状とした場合は、計量、混合に便利であり、作業効率を上げることができる。
【0015】
ここで、白色化防止剤A中の前記特定ポリグリセリン脂肪酸エステル含量が1重量%よりも少ないと、白色化防止剤としての効果が薄くなってしまい、他方、50重量%よりも多くても白色化防止効果が限界に達し、使用量に見合う効果が得られない。
また、前記特定硬化油が25重量%未満の場合は、白色化防止効果が弱くなったり、フレーク状の製品とするのが困難となったりする。他方99重量%を越えると特定ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が1重量%未満となってしまうため望ましくない。
さらに、レシチンが25重量%を越えると製剤の融点が必要以上に低下してしまうため望ましくない。
【0016】
また、別の実施の形態に係る白色化防止剤(白色化防止剤Bとする)は、前記した特定ポリグリセリン脂肪酸エステル1〜20重量%と、ベヘン酸を10〜50%含有する特定硬化油(以下、ベヘン酸含有硬化油と記す)15〜50重量%と、前記特定硬化油5〜86重量%と、レシチン0〜25重量%とを含有してなる。
前記白色化防止剤Bの場合も白色化防止剤Aの場合と同様に製品化することができる。
【0017】
ここで、白色化防止剤B中、前記特定ポリグリセリン脂肪酸エステルが20重量%を越えると白色化防止効果が限界に達し、使用量に見合う効果が得られず、レシチンが25重量%を越えると製剤の融点が必要以上に低下してしまう点は、先の実施の形態に示した白色化防止剤Aの場合と同様である。白色化防止剤Bにおいては、前記ベヘン酸含有硬化油が15重量%未満であると特定ポリグリセリン脂肪酸エステルとの相乗効果が不十分となり、固形ルー表面の白色化を十分に防止することができない。他方50重量%を越えると白色化防止効果が限界に達し、使用量に見合う効果が得られず好ましくない。このベヘン酸含有硬化油がベヘン酸を10〜50%含有するものであるのは、ベヘン酸によって油脂の結晶サイズを小型化し、ルーの硬さを硬くして型離れをよくするためである。ベヘン酸含有量が10%未満のものはこうした効果が十分には得られにくく、50%を越えるものはルーの硬さが硬くなりすぎて口解けに悪影響を及ぼす場合がある。
さらに、前記特定硬化油は5重量%より少ないとフレーク状の製品とすることが困難となり、86重量%より多いと白色化防止効果が弱まることがある。
【0018】
上記のような白色化防止剤A、Bを用いて固形ルーを製造する場合の一例としてカレールーを製造する方法を以下に示す。
まず、白色化防止剤A又は白色化防止剤Bと、焙煎小麦粉、食用油脂、及びカレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム等の調味料を、ミキサーにて例えば90℃程度で30分間程度加熱混合して溶融状のルーを得る。これを例えば60℃程度まで冷却した後、所定のトレーに充填し、例えば5℃程度で30分間程度、冷却固化して固形のルーとする。
【0019】
このようにして製造された固形ルーは、冷却固化後、トレーからの型離れが良好で、また、固形ルー表面に白い膜や縞模様が発生することがない。また、油脂の結晶の粗大化による表面の白色化が生じにくく、長期間に渡り表面光沢が維持され、商品価値が低下することがない。しかも、使用される油脂の種類に関係なく、表面光沢や艶が著しく改善される。
【0020】
次に、本発明の実施の形態に係る固形ルー用油脂組成物は、前記白色化防止剤A又はBを1〜10重量%含有してなる。
この固形ルー用油脂組成物は、例えば前記白色化防止剤A又はBと食用油脂とを90℃程度に加熱混合し、30℃程度にまで冷却固化させることにより製品化する。
ここで、固形ルー用油脂組成物中の白色化防止剤A、Bの配合割合が1重量%未満の場合は所望の白色化防止効果が不十分となり、他方10重量%を越えると白色化防止効果が限界に達し、使用量に見合う効果が得られなくなる。特に固形ルー用油脂組成物中の特定ポリグリセリン脂肪酸エステルは0.1〜3重量%の範囲であるのがより好ましく、ベヘン酸含有硬化油は1〜2重量%の範囲であるのがより好ましく、レシチンは0.5〜2.0重量%の範囲であるのが好ましく、特定硬化油は5〜8重量%の範囲であるのが好ましい。
【0021】
このように構成された油脂組成物を用いて固形ルーを製造する場合の一例として、カレールーを製造する場合について以下に示す。
まず、食用油脂が予め含まれている前記固形ルー用油脂組成物と、焙煎小麦粉、カレー粉と、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム等の調味料を、ミキサーにて例えば90℃程度で30分間程度加熱混合して溶融状のルーを得る。これを例えば60℃程度まで冷却した後、所定のトレーに充填し、例えば5℃程度で30分間程度冷却固化する。
このようにして製造された固形ルーに関しても、白色化防止剤A、Bを用いてなる固形ルーの場合と同様の効果が得られる。
【0022】
【実施例及び比較例】
次に、さらに具体的な実施例により、本発明の詳細を説明する。
本実施例では、下記の方法により実施の形態の欄で説明した白色化防止剤A又は白色化防止剤Bを作成した。
まず、グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなる特定ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ベヘン酸含有硬化油、場合によってはレシチン、及び特定硬化油を配合し、ミキサーを用いて75℃で加熱溶解し、これをクーリングドラムを用いて冷却し、フレーク状の白色化防止剤A又は白色化防止剤Bとした。それぞれの配合量は下記の通りである。
【0023】
<実施例1(白色化防止剤A)>
グリセリンの平均重合度が4、脂肪酸の平均エステル化度が6であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなる特定ポリグリセリン脂肪酸エステル・・・・・・・・・・1重量部
レシチン・・・5重量部
特定硬化油・・・硬化牛脂(融点52℃)を94重量部
<実施例2(白色化防止剤A)>
グリセリンの平均重合度が10、脂肪酸の平均エステル化度が10であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなる特定ポリグリセリン脂肪酸エステル・・・・・・・・1重量部
レシチン・・・5重量部
特定硬化油・・・硬化牛脂(融点52℃)を94重量部
<実施例3(白色化防止剤A)>
実施例1の場合と同様のポリグリセリン脂肪酸エステル・・・30重量部
特定硬化油・・・硬化パームオレイン(融点52℃)を70重量部
<実施例4(白色化防止剤B)>
実施例1の場合と同様のポリグリセリン脂肪酸エステル・・・5重量部
特定硬化油・・・硬化ラード(融点45℃)を75重量部
ベヘン酸含有硬化油・・・ベヘン酸含有量30%のナタネ硬化油(IV5)20重量部
<実施例5(白色化防止剤B)>
実施例1の場合と同様のポリグリセリン脂肪酸エステル・・・10重量部
特定硬化油・・・硬化ナタネ分別油(融点45℃)を25重量部
硬化牛脂(融点53℃)を25重量部
ベヘン酸含有硬化油・・・ベヘン酸含有量40%のナタネ硬化油(IV10)を40重量部
【0024】
また、本実施例では、下記の方法により固形ルー用油脂組成物を作成した。
まず、上記実施例に係る方法により作成された白色化防止剤A又は白色化防止剤Bと所定の食用油脂とを80℃で30分間加熱混合し、固形ルー用油脂組成物A又はBとした。それぞれの配合量は下記の通りである。尚、白色化防止剤Aを用いてなる油脂組成物を油脂組成物A、白色化防止剤Bを用いてなる油脂組成物を油脂組成物Bとする。
【0025】
<実施例6(油脂組成物A)>
白色化防止剤A・・・実施例1により作成された白色化防止剤Aを10重量部
食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)90重量部
<実施例7(油脂組成物A)>
白色化防止剤A・・・実施例2により作成された白色化防止剤Aを10重量部食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)90重量部
<実施例8(油脂組成物B)>
白色化防止剤B・・・実施例4により作成された白色化防止剤Bを4重量部
食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)96重量部
【0026】
これら実施例に係る白色化防止剤A、B、及び油脂組成物A、Bを用いて、下記の配合のもと、ミキサーにて90℃、30分間加熱混合して溶融状のカレールーを得た。これを60℃まで冷却した後、トレーに充填し、5℃で30分間冷却固化して固形ルーを作成した。また、実施例に係る白色化防止剤A、B、及び油脂組成物A、Bのいずれをも用いないものを比較例とした。それぞれの配合量は下記の通りである。
【0027】
<実施例9>
白色化防止剤A・・・上記実施例1の欄に記載した配合のものを10重量部
焙煎小麦粉・・・40重量部
食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)を25重量部
カレー粉・・・10重量部
食塩・・・7重量部
砂糖・・・6重量部
グルタミン酸ナトリウム・・・2重量部
<実施例10>
白色化防止剤A・・・上記実施例2の欄に記載した配合のものを10重量部
焙煎小麦粉・・・40重量部
食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)を25重量部
カレー粉・・・10重量部
食塩・・・7重量部
砂糖・・・6重量部
グルタミン酸ナトリウム・・・2重量部
<実施例11>
白色化防止剤A・・・上記実施例3の欄に記載した配合のものを1.7重量部
焙煎小麦粉・・・40重量部
食用油脂・・・実施例9の場合と同様のものを33.3重量部
カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムに関しては実施例9の場合と同様
<実施例12>
白色化防止剤B・・・上記実施例4の欄に記載した配合のものを1.6重量部
焙煎小麦粉・・・40重量部
食用油脂・・・実施例9の場合と同様のものを33.6重量部
カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムに関しては実施例9の場合と同様
<実施例13>
白色化防止剤B・・・上記実施例5の欄に記載した配合のものを0.7重量部
焙煎小麦粉・・・40重量部
食用油脂・・・実施例9の場合と同様のものを34.3重量部
カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムに関しては実施例9の場合と同様
<実施例14>
油脂組成物A・・・上記実施例6の欄に記載した配合のもの
焙煎小麦粉・・・前記油脂組成物100重量部に対して40重量部
カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム・・・前記油脂組成物100重量部に対してそれぞれ実施例9の場合と同様の配合量
<実施例15>
油脂組成物B・・・上記実施例8の欄に記載した配合のもの
焙煎小麦粉、カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムに関しては実施例14の場合と同様
【0028】
<比較例1>
焙煎小麦粉、カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムを実施例14の場合と同様の配合量
食用油脂・・・実施例9の場合と同様のものを35重量部
<比較例2>
焙煎小麦粉、カレー粉、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムを実施例14の場合と同様の配合量
食用油脂・・・硬化パーム油(融点45℃)を35重量部
【0029】
このようにして形成された実施例9〜15、比較例1、2に係る固形ルーを30℃の恒温槽に移し、固形ルー表面の経時的な白色化への変化を色差計で調べた。この色差計による測定値が小さいほど、固形ルーの白色化程度が小さいことを示し、白色化の進行と共に測定値が大きくなる。尚、本実施例及び比較例では、固形ルー全面が白色化し、商品価値が著しく減じた時点の色差測定値を50.0とした。下記の表1にその結果を示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003588973
【0031】
表1から明らかなように、実施例9〜15に係る固形ルーは、いずれも比較例1、2に係る固形ルーよりも作成直後の色差測定値が低く、白色化程度が少ないことがわかった。また、30℃の恒温槽に保持するといった、固形ルーの保管状態としては過酷な条件のもとであっても、実施例9〜15に係る固形ルーはいずれも色差測定値の極端な上昇は見られなかった。これに対し比較例1、2に係る固形ルーは、7日目にして、すでに色差測定値が50付近の値となり、白色化程度が固形ルー全面に渡り、それ以降は商品として通用しない程度の白色化となった。
このように、実施例9〜15に係る固形ルーは、本発明に係る白色化防止剤A、Bや油脂組成物A、Bを使用することで、製造直後の色むらや白色化の程度が小さく、保管中の経時的な白色化を抑制することができた。
【0032】
尚、実施例9〜15、比較例1、2に係る固形ルーに関し、表面への白い膜や縞模様の発生の有無、型離れに関して観察を行った結果、いずれも前記白い膜や縞模様の発生は見られず、型離れも不良でないことがわかった。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る固形ルーの白色化防止剤又は固形ルー用油脂組成物によれば、成形時の冷却固化後の型離れも良好で、また、固形ルー表面に白い膜や縞模様を発生させることなく、油脂の結晶の粗大化を防止して固形ルー表面の白色化を防止し、長期間に渡り表面光沢を維持して商品価値の低下を防止することができる、しかも、使用する油脂の種類に関係なく、表面光沢や艶の著しい改善を図ることができる。

Claims (6)

  1. グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなるポリグリセリン脂肪酸エステル1〜50重量%と、
    硬化牛脂、硬化ラード、硬化パーム油、硬化パーム分別油、硬化ナタネ油、硬化ナタネ分別油のうちの少なくとも1種からなる油脂25〜99重量%と、
    レシチン0〜25重量%とを含有してなる固形ルーの白色化防止剤。
  2. グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなるポリグリセリン脂肪酸エステル1〜20重量%と、
    ベヘン酸を10〜50%含有する硬化油15〜50重量%と、
    硬化牛脂、硬化ラード、硬化パーム油、硬化パーム分別油、硬化ナタネ油、硬化ナタネ分別油のうちの少なくとも1種からなる油脂5〜86重量%と、
    レシチン0〜25重量%とを含有してなる固形ルーの白色化防止剤。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の白色化防止剤を1〜10重量%含有してなる固形ルー用油脂組成物。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の白色化防止剤又は請求項3に記載の油脂組成物を用いてなる固形ルー。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の白色化防止剤と、焙煎小麦粉、食用油脂及び調味料類を加熱混合して溶融状のルーを得、これを冷却固化することを特徴とする固形ルーの製造方法。
  6. 請求項3に記載の固形ルー用油脂組成物と、焙煎小麦粉及び調味料類と加熱混合して溶融状のルーを得、これを冷却固化することを特徴とする固形ルーの製造方法。
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