JP3587986B2 - 手動変速入力付き自動変速機の制御装置 - Google Patents

手動変速入力付き自動変速機の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機の制御装置に関するものであり、特に所謂マニュアルスイッチによる手動変速入力を可能とした自動変速機の制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような従来の手動変速入力付き自動変速機の制御装置としては、例えば特開平8−210495号公報に記載されるものなどがある。これらは何れも、予め設定された変速線に従って変速を行う通常の自動変速モードに対して手動変速入力が行われたときの手動変速モードを有している。そして、この従来技術では、こうした手動変速入力が何時行われるか分からない,つまり通常の自動変速の変速点とは異なり、例えば手動変速入力によって要求される変速段では、車速に対してエンジンの回転速度が高過ぎる,所謂オーバレブ状態になってしまったり、逆にエンジンの回転速度が低過ぎる,所謂ストール状態になってしまったりする恐れがあることから、車速や例えばスロットル開度等のエンジン負荷を用いて要求された変速段への変速を行ってもよいか否か,即ち変速可能領域であるか変速禁止領域であるかを判定するようにしている。この判定の結果、手動変速入力によって要求される変速段への変速が禁止され、当該手動変速入力から所定時間以内にそれが解除されたら、そのときに当該要求される変速段への変速を開始するようにしている。また、この所定時間が過ぎても、手動変速入力によって要求される変速段への変速が禁止され続けるような場合には、この要求される変速段への変速をキャンセルしてしまうように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の手動変速入力付き自動変速機の制御装置では、手動変速入力によって要求される変速段への変速が禁止されたら、その禁止が解除されてから当該要求される変速段への変速が開始されるので、実際に変速が終了するまでの応答性に劣るという問題がある。
【0004】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、特に手動変速入力によって要求される変速段への変速が禁止され、その後、それが解除されたときにも変速終了までの応答性を確保可能な手動変速入力付き自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の手動変速入力付き自動変速機の制御装置は、摩擦要素への作動流体圧を制御することで当該摩擦要素の係合及び開放によって各変速段への変速を行うと共に、予め設定された変速線に従って自動的に変速する自動変速モードと各変速段への変速を手動で入力可能とした手動変速モードとを有する自動変速機の制御装置であって、前記手動変速モード時の各変速段への変速のために必要な係合及び開放する摩擦要素への作動流体圧を制御する手動変速モード制御手段と、車速を検出する車速検出手段と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、少なくとも前記車速検出手段で検出される車速及びエンジン負荷検出手段で検出されるエンジン負荷に基づいて、前記手動変速モード時の手動変速入力による変速段への変速を禁止する手動変速入力時変速禁止手段と、この手動変速入力時変速禁止手段によって前記手動変速入力から変速が禁止されている変速禁止経過時間を検出する変速禁止経過時間検出手段と、この変速禁止経過時間検出手段で検出される変速禁止経過時間が所定時間以上となったときに、前記禁止されている変速段への変速のために係合される摩擦要素への作動流体圧を、当該摩擦要素が係合する直前のスタンバイ状態にプリチャージする変速禁止時プリチャージ手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の手動変速入力付き自動変速機の制御装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0007】
図1は本発明の一実施形態を示す自動変速機及びその制御装置の概略構成図である。本実施形態では、原動機となるエンジン1の出力はオートマチックトランスミッション2(自動変速機)を介して図示されない後左右の駆動輪に伝達される。このオートマチックトランスミッション2の下部には、各種のバルブに共通のバルブボディが取付けられ、そのバルブボディに各種のバルブを取付けて流体装置としてのアクチュエータユニット3が構成されている。また、前記エンジン1とオートマチックトランスミッション2との間に介装されたトルクコンバータ4は、ロックアップ機構,つまりロックアップクラッチ付きの既存のものであり、ロックアップフェーシングとトルコンカバーとの間にリリース側流体室が形成され、当該ロックアップフェーシングの反対側がアプライ側流体室になり、後述するロックアップコントロールバルブの切換えにより、アプライ側流体室への作動流体圧が高まるとロックアップ、リリース側流体室へのそれが高まるとアンロックアップ状態となる(図2参照)。
【0008】
次に、前記オートマチックトランスミッション2内の構成並びに前記アクチュエータユニット3内の構成について簡潔に説明する。このオートマチックトランスミッション2内の基本的な変速構造は既存の2列の遊星歯車機構からなり、各遊星歯車機構を構成するサンギヤ,ピニオン,リングギヤの何れかを固定したり開放したりすることで入出力回転数の比,即ち減速比を変更できるようになっている。図2は、このオートマチックトランスミッション2のスケルトンである。このオートマチックトランスミッション2の構造は、十分に周知な既存のものであるので、ここでは主要な構成要素の名称及び符号の説明に止める。即ち、図中の符号51は入力側遊星歯車機構であり、51sはサンギヤ、51pはピニオン、51rはリングギヤ、51cはキャリアである。また、符号52は出力側遊星歯車機構であり、52sはサンギヤ、52pはピニオン、52rはリングギヤ、52cはキャリアである。また、53は、前記トルクコンバータ4のタービンライナに接続されているインプットシャフト(入力軸)であり、54は、図示されない駆動輪に接続されるアウトプットシャフトである。また、機構から言えば、55はパーキングギヤ、56はパーキングポール、57はローワンウエイクラッチ、58はフォワードワンウエイクラッチである。次いで、入力側の摩擦要素から、符号59はリバースクラッチ、60はハイクラッチ、61はブレーキバンド、62はオーバランクラッチ、63はフォワードクラッチ、64はローアンドリバースブレーキである。このうち、前記ローアンドリバースブレーキ64,ブレーキバンド61,ハイクラッチ60の係合開放の選択を、後述する二つのシフトソレノイドA21,B22からの作動流体圧により行うことで変速制御がなされる。また、フォワードクラッチ63,リバースクラッチ59の何れか一方を係合し他方を開放することで前後進の切換え制御がなされる。また、オーバランクラッチ62を後述するオーバランクラッチソレノイド23からの作動流体圧により係合開放制御することでエンジンブレーキの効きの制御がなされる。また、トルクコンバータ4内のロックアップクラッチ41を後述するロックアップソレノイド24からの作動流体圧により係合開放制御することでロックアップ制御がなされる。
【0009】
次に、前記アクチュエータユニット3内の各ソレノイドやバルブのうち、アクチュエータユニット3内の元圧となるライン圧を制御するためのバルブ構成について図3を用いて簡潔に説明する。図中の符号11が、後述するオートマチックトランスミッションコントロールユニット(以下、単にA/Tコントロールユニットとも記す)20からの駆動信号DPLによって駆動され、アクチュエータユニット3全体に供給するライン圧Pを制御するためのライン圧制御用デューティバルブであり、これを駆動するためのソレノイドがライン圧ソレノイド5になる。ポンプ12からの吐出圧であるポンプ圧PO/P の一部は出力圧フィードバックタイプのパイロットバルブ13で各種制御用定圧,つまりパイロット圧PPLT となり、そのドレン量を前記ライン圧制御用デューティバルブ11で調整してスロットル圧PTHL を創成する。このスロットル圧PTHL は、前記パイロット圧PPLT を分圧する出力圧フィードバックタイプのプレッシャモディファイヤバルブ14のパイロット圧として作用し、プレッシャモディファイヤ圧PMDF を創成する。このプレッシャモディファイヤ圧PMDF は、前記ポンプ圧PO/P からライン圧Pを分圧するためのライン圧コントロールバルブ15のパイロット圧として作用し、当該ポンプ圧PO/P を、主として上流側のライン圧Pと下流側のアキュームピストンへの供給圧とに分圧する。従って、前記ライン圧制御用デューティバルブ11のライン圧ソレノイド5へのデューティ比を制御すれば、間接的にではあるが、ライン圧Pを制御することができるのである。これにより、本実施形態では、所定の不感帯領域を除き、このライン圧ソレノイド5への制御信号又は駆動信号のデューティ比D/TPLの増加(この場合はソレノイドとしてのOFF状態の割合)に伴って(目標)ライン圧PL(OR) はリニアに増圧するものとする。
【0010】
次に、前記変速に係るクラッチやブレーキ等の摩擦要素への作動流体圧を制御するための構成について説明する。この4速のオートマチックトランスミッション2は、前記アクチュエータユニット3内の二つのシフトソレノイドA21,B22で変速を司る。即ち、これら二つのシフトソレノイドA21,B22は、図4に示すようにA/Tコントロールユニット20からの駆動信号DSFT−SOL−A ,DSFT−SOL−B によって駆動され、該当する夫々のシフトバルブA31,B32へのパイロット圧として、それらのドレン圧を夫々シフトソレノイド圧PSFT−SOL−A ,PSFT−SOL−B として制御する。
【0011】
これらのシフトソレノイドA21,B22による自動変速時の変速曲線の一例を図5aに制御マップ化して示す。この制御マップでは車速VSP及びスロットル開度TVOとから適切な目標とする変速比(変速段)が設定される。図中の変速段“1”,“2”,…は、夫々1速,2速,…に対応しており、個々の変速段で変速比が決定しているから、前記2列の遊星歯車機構の各要素の何れを固定し且つ何れを開放するかは一意に決まる。これを達成するための二つのシフトソレノイドA21,B22のON/OFF状態を図5bのテーブルに纏めた。二つのシフトソレノイドA21,B22は、各摩擦要素への作動流体圧を調整するシフトバルブA31,B32のドレン回路を開閉することでそれらのパイロット圧,即ちシフトソレノイド圧PSFT−SOL−A ,PSFT−SOL−B を制御するのであるから、ここではドレン回路を閉じる場合をON状態として○で表し、ドレン回路を開く場合をOFF状態として×で表す。なお、自動変速では、種々の走行状態に応じて変速曲線に補正が加えられるので、前記図5aの変速曲線は絶対的なものではない。
【0012】
ここで、例えばDレンジにおける3速に注目してみると、この3速では前記ブレーキバンド61が開放されている状態で、ハイクラッチ60だけを係合すればよい。勿論、マニュアルスイッチによる手動変速入力時のアップシフトでも同じである。但し、2速からのアップシフト時には、それまで係合しているブレーキバンド61を開放する必要はある。そこで、2速時,つまり前記シフトソレノイドB22がON状態でシフトソレノイド圧PSFT−SOL−B が高圧のときには、図6の左半部に示すように、リターンスプリングの復元力に抗してスプールが図示上昇し、これによりライン圧Pは遮断されてハイクラッチ60へのハイクラッチ圧PH−SLもブレーキバンド61の開放作動室への流体圧も低圧となっているが、3速指令が供給されるとシフトソレノイドB22がOFF状態となるので、これによりシフトソレノイド圧PSFT−SOL−B が低圧となり、図6の右半部に示すように、リターンスプリングの復元力によってスプールが図示下降し、これによりライン圧Pがハイクラッチ60及びブレーキバンド61の開放作動室側に連通してハイクラッチ圧PH−SLも高圧となる。このようにハイクラッチ圧PH−SLが高圧化すれば、前記ハイクラッチ60の所謂遊び分及び機械的応答遅れ分を除いて、当該ハイクラッチ60の係合力は当該ハイクラッチ圧PH−SLに応じてリニアに増加する。こうしてハイクラッチ60の係合力が次第に増加すれば、それ以前にフリーとなっている自動変速機のインプットシャフトの入力回転速度(ここではエンジン回転速度と同等と考える)Nは次第に減速し、一時的に高い出力トルクが得られる。
【0013】
次に前記トルコン圧を制御するためのバルブ構成について図7を用いて簡潔に説明する。図中に示す符号PT/C が前記トルクコンバータ4のロックアップクラッチに供給されるトルコン圧であり、これは前記ライン圧Pを、図示されない出力圧フィードバックタイプのトルクコンバータリリーフバルブに供給して得た当該ライン圧Pの分圧であり、ライン圧Pが高ければトルコン圧PT/C も高く、ライン圧Pが低ければトルコン圧PT/C も低くなる。そして、図中の符号16は前記A/Tコントロールユニット20からの駆動信号DL/U によって駆動され、前記トルクコンバータ4のロックアップクラッチによるロックアップ/アンロックアップを切換え制御するためのロックアップ制御用デューティバルブであり、これを駆動するためのソレノイドがロックアップソレノイド24になる。前記パイロット圧PPLT は、ロックアップコントロールバルブ17をアプライ側に移動する(実際にはプラグ17aを介して)ためのアプライ側パイロット圧と、絞りを介して当該ロックアップコントロールバルブ17をリリース側に移動するためのリリース側パイロット圧とに分岐され、前記ロックアップ制御用デューティバルブ17は、このリリース側パイロット圧のドレン量を調整するためのものである。
【0014】
そして、このロックアップ制御用デューティバルブ16は、デューティ比の大きい制御信号でトルクコンバータ4をロックアップし、デューティ比の小さい制御信号でアンロックアップするように作用する。即ち、ロックアップソレノイド24へのデューティ比が小さく、ロックアップ制御用デューティバルブ16がOFF状態では、前記リリース側パイロット圧のドレン量が少なく、従って受圧面積の関係からロックアップコントロールバルブ17がリリース側に移動されてトルコン圧PT/C はリリース側トルコン圧PT/C−R として作用するためにアンロックアップ状態が維持される。この状態から、ロックアップソレノイド24へのデューティ比が大きくなり、ロックアップ制御用デューティバルブ16がON状態となると、前記リリース側パイロット圧のドレン量が多くなり、相対的にアプライ側パイロット圧が高くなってロックアップコントロールバルブ17がアプライ側に移動されてトルコン圧PT/C はアプライ側トルコン圧PT/C−A として作用するためにロックアップ状態に移行する。従って、前記ロックアップ制御用デューティバルブ16は、ロックアップクラッチのロックアップとアンロックアップとを切換え制御するためのものであるが、前記ロックアップソレノイド24へのデューティ比を徐々に変化させることにより、アプライ側トルコン圧PT/C−A がリリース側トルコン圧PT/C−R よりやや大きい状態としてロックアップの半クラッチ状態を作出すこともできる。なお、前述のように、リリース側トルコン圧PT/C−R はアプライ側を通って回収される。
【0015】
一方、前記エンジン1の吸気管路には、運転者によるアクセルペダルの踏込み量に応じて開閉するスロットルバルブが配設されており、このスロットルバルブには、その開度(以下、スロットル開度とも記す)TVOを検出するスロットル開度センサ6が取付けられている。また、エンジン1の出力軸には、その回転速度(以下、エンジン回転数とも記す)Nを検出するエンジン回転数センサ7が取付けられている。なお、前記スロットル開度センサ6で検出されるスロットル開度TVOの検出信号は、当該スロットル開度TVOが大でアクセルペダルの踏込み量が大であることを示す。つまり、このスロットル開度TVOをエンジン負荷とした場合、スロットル開度TVOが大きければエンジン負荷も大きいことになる。また、前記エンジン回転数センサ7はエンジンのイグニッション点火パルスからエンジン回転速度を検出するように構成してもよい。更に、本実施形態では、前記トルクコンバータ4の滑りを無視して、エンジン回転数Nは、自動変速機への入力回転速度に等しいものとして、以下入力回転速度Nとも表す。
【0016】
また、前記アクチュエータユニット3には、リザーバ内の作動流体の温度TMPを検出する作動流体温度センサ9が設けられている。また、オートマチックトランスミッション2のシフトポジションを選択するセレクトレバーには、選択されたシフトポジションを検出し、それに応じたシフトレンジ信号SRANGE を出力するインヒビタスイッチ(図ではSW)8aが取付けられている。また、これに併設され且つ手動変速入力を行うためのマニュアルスイッチ(図ではSW)8も設けられている。ちなみに、このシフトレンジ信号SRANGE は、実車のシフトポジションに合わせて、P,R,N,D,2,Lに相当する信号になっている。また、マニュアルスイッチ8は、インヒビタスイッチ8aがDレンジ又はそれと同じく前記1乃至4速の何れも選択可能な状態で、現在の変速段をアップシフトするか又はダウンシフトするかという指令信号を出力する。また、このオートマチックトランスミッション2の出力軸には、車速VSPを検出する車速センサも取付けられている。
【0017】
前記A/Tコントロールユニット20は、例えば後述する図8の演算処理等を実行することで、前記オートマチックトランスミッション2並びに前記アクチュエータユニット3を制御するための制御信号を出力するマイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータから出力される制御信号を、実際のアクチュエータ,即ち前記各ソレノイドに適合する駆動信号に変換する駆動回路とを備えて構成される。このうち、マイクロコンピュータは、例えばA/D変換機能等を有する入力インタフェース回路や、マイクロプロセサ等の演算処理装置や、ROM,RAM等の記憶装置や、例えばD/A変換機能を有する出力インタフェース回路等を備えている。従って、このマイクロコンピュータでは、例えば入力されるエンジントルクを伝達するための最適なライン圧Pを求め、それを達成するために必要なライン圧ソレノイド5のデューティ比D/TPLを算出し、そのライン圧制御デューティ比D/TPLに応じたライン圧制御信号SPLを出力したり、或いはトルクコンバータ4をロックアップ/アンロックアップ制御するのに最適なロックアップソレノイド24のデューティ比D/TL/U を算出し、そのロックアップ制御デューティ比D/TL/U に応じたロックアップ制御信号SL/U を出力したり、車速VSPやスロットル開度TVOに応じた変速比を達成するために必要な前記二つのシフトソレノイドA21,B22の作動状態を求め、それを作動させるためのシフトソレノイド制御信号SSFT−SOL−A ,SSFT−SOL−B を出力したり、例えば2レンジやLレンジといったエンジンブレーキレンジが選択されたときにオーバランクラッチを係合するためのオーバランクラッチソレノイド23の作動状態を求め、それを達成するためにオーバランクラッチ係合制御信号SCLを出力したりする。また、これらとは個別に、前記マニュアルスイッチ8による手動変速入力を随時監視しており、当該マニュアルスイッチ8によって要求されているマニュアル変速入力段を随時検出している。
【0018】
また、前記各駆動回路は、前記マイクロコンピュータから出力される各制御信号を対応するアクチュエータの駆動に適した駆動信号に変換して出力するものである。なお、例えばデューティ比に応じた制御信号やパルス制御信号の形態は、既に所望するデューティ比やパルス数を満足しており、各駆動回路は、例えば単にそれを増幅するなどの電気的処理を施すだけで、信号の形態そのものを処理するものではない。
【0019】
次に、本実施形態の変速制御全体の概略構成を、前記A/Tコントロールユニット20内のマイクロコンピュータで実行される図8に示すゼネラルフローの演算処理に従って説明する。この演算処理は、基本的には、エンジンコントロールユニット側からの要求がない状態での変速制御を簡潔に纏めたものであり、その詳細は、例えば特開平2−190666号公報等を参照されるとして、ここではゼネラルフローの概要を説明するに止める。この演算処理は、所定サンプリング時間(例えば10msec)ΔT毎にタイマ割込処理として実行される。なお、これ以後の演算処理では、何れも特に通信のためのステップを設けていないが、マイクロコンピュータ内の演算処理装置で必要なプログラムやマップ、或いは必要なデータは随時記憶装置から読込まれるし、逆に演算処理装置で算出されたデータは随時記憶装置に更新記憶されるものとする。
【0020】
この演算処理では、まずステップS1で、前記車速センサ10からの車速VSP,エンジン回転数センサ7からのエンジン回転数N,作動流体温度センサ9からの作動流体温度TMP,スロットル開度センサ6からのスロットル開度TVO,インヒビタスイッチ8aからのシフトレンジ信号SRANGE ,及びマニュアルスイッチ8からのシフト指令信号を読込む。
【0021】
次にステップS2に移行して、制御マップ検索等の個別の演算処理に従って、前記ライン圧Pの制御を行う。具体的には、例えば図9aに示すようなスロットル開度TVO−ライン圧P曲線に従って、基本とするライン圧Pを基本ライン圧PL0B とする。この基本ライン圧PL0B とは、原則としてエンジン1からの入力トルクに対して、各クラッチ等の摩擦要素が必要且つ十分に係合するための作動流体圧であり、且つポンプ損失を最も少なくすることができる作動流体圧である。従って、例えばエンジントルクの伝達方向が異なるRレンジとD,2,Lレンジとでは、図9bに示すように必要とされる(基本)ライン圧PL(0B) が異なる。そして、この基本ライン圧PL0B に対して、変速や作動流体温度に伴う補正を行って目標ライン圧PL0を算出し、この目標ライン圧PL0を達成するためのライン圧制御デューティ比D/TPLを算出設定し、そのライン圧制御デューティ比D/TPLに応じたライン圧制御信号SPLを創成出力する。
【0022】
次にステップS3に移行して、個別の演算処理に従って、ロックアップ制御を行う。具体的には、例えば車速VSP及びスロットル開度TVOに応じたロックアップ車速VON及びアンロックアップ車速VOFF を設定し、原則的に車速VSPがロックアップ車速VON以上ならロックアップ,アンロックアップ車速VOFF 以下ならアンロックアップとなるように前記制御信号SL/U を創成出力するが、特にロックアップ側に移行するときに、一時的に半クラッチ状態とすることで、完全なロックアップ移行時の衝撃を緩和する。
【0023】
次にステップS4に移行して、制御マップ検索等の個別の演算処理に従って、変速比制御を行う。具体的には、前記図5aに示すような制御マップから車速VSP及びスロットル開度TVOとから適切な目標とする変速比を設定し、図5bに示すテーブルから当該目標とする変速比が達成されるための二つのシフトソレノイドA21,B22のON/OFF状態を求め、それが達成されるように前記シフトソレノイド制御信号SSFT−SOL−A ,SSFT−SOL−B を創成出力するのであるが、更にその詳細,特に前記マニュアルスイッチ8による手動操作入力時の制御態様は後段に詳述する。
【0024】
次にステップS5に移行して、個別の演算処理に従って、オーバランクラッチ係合制御を行ってからメインプログラムに復帰する。具体的には、前記オーバランクラッチは駆動輪からの逆駆動力をエンジン側に伝達させるためのものであり、原則的にDレンジ以外の2レンジ等のエンジンブレーキレンジが選択されているときに係合制御され、これにより効率よくエンジンブレーキを作用させて減速効果を得るためのものであり、図6に示すように車速が所定値以下でスロットル開度が閉方向の所定値以下である場合に、オーバランクラッチを係合させる前記オーバランクラッチ係合制御信号SCLを創成出力する。なお、Lレンジでは、あらゆるスロットル開度TVO領域でオーバランクラッチを係合させるようにしている。
【0025】
次に、本実施形態において前記図8の演算処理のステップS4で実行される変速比制御のための演算処理の概要について図11を用いて説明する。ここでは、例えば前記マニュアルスイッチ8によって2速から3足にアップシフトしたときの入力回転数N,車速(出力回転数)VSP,出力軸トルクT並びに開放されるブレーキバンド61への作動流体圧PBB及び係合されるハイクラッチ60への作動流体圧PH−CLの経時変化を示す。
【0026】
この場合には、前記時刻t01でマニュアル3速アップシフト入力があると、図11cに破線で示すように、それまでの2速で係合されていたバンドブレーキ61への作動流体圧PBBは、予め設定された傾きで減圧される。一方、この時刻t01では、例えば予め設定された通常の自動変速時の定常圧より高い所定値D/TM3U/M−0 をシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B に設定し、このシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B に応じたシフトソレノイドB制御信号SSFT−SOL−B が出力される。従って、この時刻t01で、通常の自動変速時の定常圧より高い所定値D/TM3U/M−0 に設定されたシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B からなるシフトソレノイドB制御信号SSFT−SOL−B によって、ハイクラッチ圧PH−CLはステップ的に立上る。そして、これ以後、変速の段階区分は所謂トルクフェーズとなる。
【0027】
次のサンプリング時刻以後は、前記サンプリング時間ΔT毎に、所定増加量ΔD/TSFT−SOL−B−1 ずつシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B を大きくしてゆくので、図11cに示すようにハイクラッチ圧PH−CLは次第に高くなってゆく。この間も、同図に一点鎖線で示す通常自動変速時のハイクラッチ圧よりも相応に高くなっていることが分かる。
【0028】
こうした作動流体圧,特にハイクラッチ圧PH−CLの変化に伴って、ハイクラッチの係合力が次第に大きくなり、図11bに示すように出力軸トルクTはやや応答遅れを伴って時刻t02から緩やかに減少し、前記2速時のバンドブレーキが開放される時刻t03で極小となる。また、これに伴って、入力回転速度Nも時刻t03から減少に転じ、変速の段階区分はイナーシャフェーズに移行した。従って、この時刻t03でイナーシャフェーズの開始が検出されると、そのときの入力回転数の今回値NE(n)が入力回転数初期値NE0にセットされ、それ以後、各サンプリング時刻毎にマニュアル3速アップシフトイナシャフェーズカウンタCNTM3U−INT をインクリメントしながら、例えば図12の制御マップに従って、当該マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U−INT に応じた目標入力回転速度の今回値NEd(n) を設定し、現在の入力回転速度の今回値NE(n)と前記目標入力回転速度の今回値NEd(n) との偏差から入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を算出し、この入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)をフィードバックしたシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B を設定し、このシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B に応じたシフトソレノイドB制御信号SSFT−SOL−B が出力される。
【0029】
ここで、前記目標入力回転速度の今回値NEd(n) の設定は、具体的には、図12に示すように、前記マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U−INT の増加に伴って単純減少する一次関数で設定される。但し、図12aに示すように、例えば入力回転速度初期値NE0をパラメータとする場合には、当該入力回転速度初期値NE0の増加に伴って目標入力回転速度の今回値NEd(n) は大きな値に設定される。また、図12bに示すように、スロットル開度TVOをパラメータとする場合には、当該スロットル開度TVOの増加に伴って目標入力回転速度の今回値NEd(n) の減少傾きが大きくなるように設定される。また、13cに示すように、車速VSPをパラメータとする場合には、当該車速VSPの増加に伴って目標入力回転速度の今回値NEd(n) の減少傾きが大きくなるように設定される。なお、実際には図12b,図12cの制御マップは所謂三次元マップとしてスロットル開度TVO及び車速VSPを同時にパラメータとして一度に目標入力回転速度の今回値NEd(n) が設定されるようになっている。
【0030】
つまり、図11aに二点鎖線で示すように、前記車速VSP及びスロットル開度TVO及び入力回転速度初期値NE0に応じて設定される目標入力回転速度NEdに対する実際の入力回転速度Nとの入力回転速度偏差ΔNをフィードバック補正するようにシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B が設定される。この過程を詳細に説明すると、前記図12の各制御マップで設定されるイナーシャフェーズ経過時間,即ちマニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U−INT に応じた目標入力回転速度の今回値NEd(n) とは、例えばマニュアル3速アップシフトのイナーシャフェーズ開始から、この目標入力回転速度の今回値NEd(n) が達成されるように、例えばハイクラッチ圧PH−CLを制御すれば所定時間内のアップシフト,即ち変速を終了することができるという指標値である。しかしながら、前述のようにマニュアルアップシフト変速点は一様でないので、そのときの入出力側の回転慣性,つまりイナーシャやトルク等を考慮して、例えばハイクラッチ圧PH−CL等の摩擦要素への作動流体圧を設定しなければならない。そこで、入力回転速度初期値NE0によってエンジン側,即ち入力側のイナーシャ,スロットル開度TVOによって入力側のトルクを考慮すると共に、車速VSPによって出力側のイナーシャを考慮し、それらをフィードバックして目標入力回転速度の今回値NEd(n) を補正することで、例えばハイクラッチ圧PH−CL等の作動流体圧を適正化できる。従って、図11cに示すようにハイクラッチ圧PH−CLが次第に高くなり、従ってハイクラッチは前記時刻t03以後、急速に係合するため出力軸トルクTは図11bに示すように急速に増大し、時刻t04で一旦安定する。
【0031】
ところが、通常の自動変速タイミングと同様ならば、前記図13の制御マップに従って初期に設定される目標入力回転速度NEdに、実際の入力回転速度Nが次第に漸近するのであるが、このシミュレーションでは、例えばエンジン回転速度,つまり入力回転速度Nが大幅に高く、その結果、エンジンからの入力も高い場合、或いは相対的に車速VSPが大幅に小さい場合には、例えば同等のハイクラッチ係合力であっても入力回転速度Nはなかなか減少しない。つまり、現在のハイクラッチ係合力では、エンジンのイナーシャを含むトルク,或いは出力側のイナーシャを受け止めることができず、その結果、当初の目標入力回転速度NEdと入力回転速度Nとの入力回転速度偏差ΔNは次第に大きくなってしまう。このシミュレーションでも、時刻t05で入力回転速度偏差ΔNが前記所定値ΔNE0以上となってしまったために、そのときの入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を入力回転速度偏差初期値ΔNE1にセットして、変速の段階区分は次の段階区分に移行すう。
【0032】
次のサンプリング時刻以後、各サンプリング時間ΔT毎にマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M をインクリメントしながら、前記図12の制御マップに従って、当該マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U−INT に応じた目標入力回転速度の今回値NEd(n) が設定される。ところが、この変速の段階区分では、前記入力回転速度偏差初期値ΔNE1に応じて目標入力回転速度の今回値NEd(n) が補正され、この補正された目標入力回転速度の今回値NEd(n) と入力回転速度の今回値NE(n)との偏差から入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を算出し、この入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)をフィードバックしたシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B を設定し、このシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B に応じたシフトソレノイドB制御信号SSFT−SOL−B が出力される。
【0033】
つまり、この場合には、例えばこの入力回転速度偏差初期値ΔNE1の時間積分値∫(ΔNE1)dtを当初の目標入力回転速度の今回値NEd(n) に和した値を、新たな目標入力回転速度の今回値NEd(n) に設定するので、これ以後の目標入力回転速度NEdは、図11aに二点鎖線で示すように、それまでの目標入力回転速度NEdよりも減少傾きの小さなものとなり、必然的に実際の入力回転速度Nとの入力回転速度偏差ΔNも小さなものとなる。従って、これ以後、この入力回転速度偏差ΔNをフィードバック補正するように設定されるシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B は、それまでより小さな値となり、これに応じて図11cに示すようにハイクラッチ圧PH−CLはそれまでと同等かそれより低くなり、従ってハイクラッチは前記時刻t05以後、係合力が小さくなる又は同等に保持される出力軸トルクTは図11bに示すようにさほど増大することもなく、むしろ流体や摩擦要素の応答遅れによってハイクラッチの係合力が大きくなるにつれて入力回転速度Nが減少し、これに伴って出力トルクTそのものもゆっくりと減少する。
【0034】
やがて、時刻t06で入力回転速度Nが増大に転じてイナーシャフェーズが終了してしまうか若しくはマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M がカウントアップしてしまうと、イナーシャフェーズが終了してハイクラッチが完全に係合するので、シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT−SOL−B は、最大値又はその近傍の3速モード所定値D/T3/M−0 (自動変速かマニュアル変速かを問わない所定値)に設定され、一般的には図11cに示すようにハイクラッチ圧PH−CLはステップ的に増大し、これに伴って出力トルクTは低減し、入力回転速度Nは車速VSPと或る一定の比率(減速比)に維持される。
【0035】
つまり、この演算処理によれば、マニュアルアップシフトの間、出力トルクTが大幅に且つ急速に変化することがないので、変速ショックもないと言える。
一方、入力回転速度偏差ΔNをフィードバック補正しないと、入力回転速度Nが高く、入力トルクも大きいときには、ハイクラッチ圧PH−SLは、例えば図11cに二点鎖線で示すように、傾き一定で増圧され続けることになる。ところが、流体や摩擦要素の応答遅れと共に、イナーシャフェーズの後期にハイクラッチの係合力は、そのときの大きなハイクラッチ圧PH−CLと共に増加するが、ハイクラッチそのものは僅かに滑っているので、これによって出力軸トルクTは、図11bに二点鎖線で示すように大幅に増大してする。そして、前記時刻t06でハイクラッチ圧PH−CLを立ち上げ、ハイクラッチが完全に係合すると、出力軸トルクTは急速に減少する。この出力軸トルクTの鋭角な突出部が所謂ルースターテール(雄鳥の尻尾)と呼ばれ、その大幅且つ急速なトルク変化が変速ショックとなる。
【0036】
また、前記時刻t05で、ハイクラッチ圧PH−CLが通常自動変速時の圧力まで一気に低下してしまうと、それまでハイクラッチの係合開始に伴って急速に増加していた出力軸トルクTが、ハイクラッチの滑りによって急速に減少に転じ、ここでもルースターテールが発生して変速ショックとなる。
【0037】
次に、前述のようなマニュアル変速入力時の変速を行うか否かを判定する演算処理について図13のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、原則的に前記図8の演算処理のマイナプログラムとして、前記サンプリング時間ΔT毎に行うものでよいが、場合によってはマニュアル変速入力があったときだけ、選択的に実行されるようにしてもよい。ここでは、図13の演算処理を一度しか説明しないが、実際には図中にj速と記される部分を1速乃至4速と置き換えた,計4個の演算処理を一回のサンプリング時刻に次々に繰り返して行うものとする。そして、ここでは前記j速を3速として説明する。
【0038】
即ち、この演算処理では、まずステップS41において、車速VSP及びエンジン負荷としてのスロットル開度TVOを読込む。
次にステップS42に移行して、前述した個別の演算処理によって検出されているマニュアル変速入力段を読込む。
【0039】
次にステップS43に移行して、図示されない個別の演算処理に従って、前記ステップS42で読込まれたマニュアル変速入力段が、該当するj速か或いはj速を通過するものであるか否かを判定し、そのマニュアル変速入力段がj速か或いはj速を通過する場合にはステップS44に移行し、そうでない場合にはリターンする。
【0040】
前記ステップS44では、図示されない個別の演算処理に従って、例えば前記車速VSP及びエンジン負荷としてのスロットル開度TVOから、例えば前記図5aのような制御マップにおいて、当該マニュアルj速変速を行ってはいけないか否か,即ちマニュアルj速変速を禁止する不可領域か否かを判定し、マニュアルj速変速不可である場合にはステップS45に移行し、そうでない場合にはステップS46に移行する。
【0041】
前記ステップS45では、変速禁止経過時間検出手段としての変速禁止カウンタCNTをインクリメントしてからステップS47に移行する。
前記ステップS47では、前記変速禁止カウンタCNTが予め設定されたプリチャージ所定値CNT以上であるか否かを判定し、当該変速禁止カウンタCNTがプリチャージ所定値CNT以上である場合にはステップS48に移行し、そうでない場合にはリターンする。
【0042】
前記ステップS48では、図示されない個別の演算処理に従って、マニュアルj速変速で係合される係合側摩擦要素,ここではハイクラッチのプリチャージ処理を行ってからステップS49に移行する。具体的にはハイクラッチ等の摩擦要素には、その開放を促すためのリターンスプリングが設けられているから、そのリターンスプリングの弾性力に抗して摩擦要素が係合する直前の力が得られるように、前記シフトソレノイドB22をデューティ比制御して前記ハイクラッチ圧PH−CLを調圧する。
【0043】
前記ステップS49では、前記変速禁止カウンタCNTが、前記プリチャージ所定値CNTより大きな値の予め設定されたキャンセル所定値CNT以上であるか否かを判定し、当該変速禁止カウンタCNTがキャンセル所定値CNT以上である場合にはステップS50に移行し、そうでない場合にはリターンする。
【0044】
前記ステップS50では、図示されない個別の演算処理に従って、マニュアルj速変速キャンセル処理を行ってからステップS51に移行する。具体的には、前記図示されない演算処理によって検出されているマニュアル変速入力段をリセットするとか、前記特開平8−210495号公報に記載されるようにマニュアル変速入力によって要求された変速段への変速がキャンセルされたことを運転者に報知するなどの処理を行う。
【0045】
前記ステップS51では、図示されない個別の演算処理に従って、前記マニュアルj速変速で係合される係合側摩擦要素,ここではハイクラッチのプリチャージを解除してからステップS52に移行する。具体的には、前記シフトソレノイドB22をON状態とすればよい。
【0046】
前記ステップS52では、前記変速禁止カウンタCNTをクリアしてからリターンする。
一方、前記ステップS46では、図示されない個別の演算処理に従って、前記3速へのマニュアル変速入力時の変速制御のようにしてマニュアルj速への変速制御を行ってからステップS53に移行する。
【0047】
前記ステップS53では、前記変速禁止カウンタCNTをクリアしてからリターンする。
次に、前記図13の演算処理の作用について説明する。この演算処理では、前記各サンプリング時間ΔT毎にステップS42でマニュアル変速入力段を読込み、そのマニュアル変速入力段が該当するj速か或いはj速を通過するか否かをステップS43で判定して、当該マニュアル変速入力段が該当するj速か或いはj速を通過する場合には続くステップS44以後のフローに移行する。
【0048】
次のステップS44では、例えば現在の車速VSP並びにエンジン負荷としてのスロットル開度TVOから、前記マニュアル変速入力によって要求されるj速段の変速比を達成すると、例えばエンジンがオーバレブしてしまうとかストールしてしまうことがないと判断されるときには前記マニュアルj速変速への変速は可能であるから当該マニュアルj速変速可能と判定し、そのような場合には当該マニュアルj速への変速を許可するステップS46以後のフローに移行する。
【0049】
このステップS46では、例えば前述の2速から3速へのマニュアルアップシフト時のようにしてマニュアルj速への変速制御を行う。
一方、前記ステップS44で、例えば現在の車速VSP並びにエンジン負荷としてのスロットル開度TVOから、前記マニュアル変速入力によって要求されるj速段の変速比を達成すると、例えばエンジンがオーバレブしてしまうとかストールしてしまうと判断されるときには前記マニュアルj速変速への変速はできないとして当該マニュアルj速変速不可と判定し、そのような場合には当該マニュアルj速への変速を禁止するステップS44以後のフローに移行する。
【0050】
そして、前述の判定が繰り返され,つまりマニュアル変速入力によって要求されるj速への変速が禁止され続ける間、前記ステップS45では、前記変速禁止カウンタCNTをインクリメントするが、この変速禁止カウンタCNTが前記プリチャージ所定値CNT未満のときにはステップS47からそのままリターンされてしまう。しかしながら、この変速禁止カウンタCNTが前記プリチャージ所定値CNT以上になったら、ステップS48に移行して当該マニュアルj速で係合される係合側摩擦要素へのプリチャージ処理を行う。従って、このマニュアル変速入力が2速から3速へのものであり、この時点,即ち変速禁止カウンタCNTが前記プリチャージ所定値CNT以上になるまで当該3速への変速が禁止され続けた場合には、ここで前記ハイクラッチ圧PH−CLをプリチャージしてハイクラッチ60が係合する直前の状態とするのである。
【0051】
従って、これ以後、前記マニュアルj速への変速が可能となると、前記ステップS44からステップS46に移行して、当該マニュアルj速への変速制御が開始されるのであるが、既に係合すべき係合側摩擦要素はプリチャージ処理によって係合直前の状態にあるので、少なくとも当該マニュアルj速への変速で開放すべき摩擦要素が開放され次第、前記係合側摩擦要素は即座に係合状態に移行し、結果的に当該マニュアルj速への変速終了を早め、応答性を確保することができる。
【0052】
これに対して、その後も前記マニュアルj速への変速が禁止され続け、前記ステップS45でインクリメントされ続ける変速禁止カウンタCNTが前記キャンセル所定値CNT以上になると、前記ステップS50で、例えば運転者に当該マニュアルj速への変速がキャンセルされたことを報知し、続くステップS51で前記係合側摩擦要素のプリチャージを解除してしまう。つまり、マニュアル変速入力はあったものの、それが所定時間,即ちキャンセル所定値CNT相当の時間禁止され続けたときには、その変速段への変速ができない旨を運転者に報知しながらその入力をキャンセルして、エンジンのオーバレブやストール等の不具合を回避する。
【0053】
以上より、前記A/Tコントロールユニットで実行される図13の演算処理のステップS46が本発明の手動変速モード制御手段を構成し、以下同様に、前記車速センサ10及び図13の演算処理のステップS41が車速検出手段を構成し、前記スロットルセンサ6及び図13の演算処理のステップS41がエンジン負荷検出巣段を構成し、前記図13の演算処理のステップS44が手動変速入力時変速禁止手段を構成し、図13の演算処理のステップS45が変速禁止経過時間検出手段を構成し、図13の演算処理のステップS48が変速禁止時プリチャージ手段を構成している。
【0054】
なお、前記実施形態では、マニュアル入力によって3速にアップシフトした場合についてのみ説明したが、本発明は、設定された各変速段への全てのマニュアル入力時に適用可能であることは言うまでもない。
【0055】
また、前記実施形態では、各コントロールユニットをマイクロコンピュータで構築したものについてのみ詳述したが、これに限定されるものではなく、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよいことは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の手動変速入力付き自動変速機の制御装置によれば、車速及びエンジン負荷に基づいて、エンジンのオーバレブやストールなどが発生しそうなときには手動変速入力による変速段への変速を禁止するが、この変速が禁止されている変速禁止経過時間が所定時間以上となったときには、前記禁止されている変速段への変速のために係合される摩擦要素への作動流体圧を、当該摩擦要素が係合する直前のスタンバイ状態にプリチャージする構成としたため、例えばその後に手動変速入力によって要求される変速段への変速の禁止が解除されたときには、速やかに当該変速段への変速を終了して応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機及びその制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の自動変速機内のスケルトン図である。
【図3】ライン圧を制御するバルブの説明図である。
【図4】変速を制御するバルブの説明図である。
【図5】変速曲線並びに変速用ソレノイドバルブ作動テーブルの説明図である。
【図6】シフトバルブの説明図である。
【図7】トルコン圧を制御するバルブの説明図である。
【図8】図1のコントロールユニットで実行される変速制御のゼネラルフローを示すフローチャートである。
【図9】図8の演算処理に用いられる制御マップの説明図である。
【図10】図8の演算処理に用いられる制御マップの説明図である。
【図11】変速比制御時の回転速度,出力トルク及び作動流体圧変化の説明図である。
【図12】図11の変速比制御に用いられる制御マップの説明図である。
【図13】図8の演算処理のマイナプログラムとして実行される本発明の一実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1はエンジン
2はオートマチックトランスミッション
3はアクチュエータユニット
4はトルクコンバータ
5はライン圧ソレノイド
6はスロットルセンサ
7はエンジン回転数センサ
8はマニュアルスイッチ
8aはインヒビタスイッチ
9は温度センサ
10は車速センサ
11はライン圧制御用デューティバルブ
12はポンプ
13はパイロットバルブ
14はプレッシャモディファイヤバルブ
15はライン圧コントロールバルブ
16はロックアップ制御用デューティバルブ
17はロックアップコントロールバルブ
20はオートマチックトランスミッションコントロールユニット
21はシフトソレノイドA
22はシフトソレノイドB
31はシフトバルブA
32はシフトバルブB
60はハイクラッチ(摩擦要素)

Claims (1)

  1. 摩擦要素への作動流体圧を制御することで当該摩擦要素の係合及び開放によって各変速段への変速を行うと共に、予め設定された変速線に従って自動的に変速する自動変速モードと各変速段への変速を手動で入力可能とした手動変速モードとを有する自動変速機の制御装置であって、前記手動変速モード時の各変速段への変速のために必要な係合及び開放する摩擦要素への作動流体圧を制御する手動変速モード制御手段と、車速を検出する車速検出手段と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、少なくとも前記車速検出手段で検出される車速及びエンジン負荷検出手段で検出されるエンジン負荷に基づいて、前記手動変速モード時の手動変速入力による変速段への変速を禁止する手動変速入力時変速禁止手段と、この手動変速入力時変速禁止手段によって前記手動変速入力から変速が禁止されている変速禁止経過時間を検出する変速禁止経過時間検出手段と、この変速禁止経過時間検出手段で検出される変速禁止経過時間が所定時間以上となったときに、前記禁止されている変速段への変速のために係合される摩擦要素への作動流体圧を、当該摩擦要素が係合する直前のスタンバイ状態にプリチャージする変速禁止時プリチャージ手段とを備えたことを特徴とする手動変速入力付き自動変速機の制御装置。
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