JP3582037B2 - インクジェット記録液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の色素を含有する水系インクジェット記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用のインクにおいては、その使用される記録方式に適合すること、高い記録画像濃度を有し色調が良好であること、耐光性や耐熱性および耐水性といった色画像堅牢性に優れること、被記録媒体に対して定着が速く記録後ににじまないこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性や引火性といった安全性に問題がないこと、安価であること等が要求され、このような観点から、種々のインクジェット用の記録液が提案、検討されているが、要求の多くを同時に満足するようなインクジェット記録液はきわめて限られている。
【0003】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを用いたカラー画像記録においては、たとえばC.I.インデックスに記載されている従来から公知のC.I.ナンバーを有する染料、顔料が広く検討されてきた。特にマゼンタのインクにおいてはキサンテン系(例えばC.I.アシッドレッド52等)、アゾ系(例えばC.I.リアクティブレッド180等)の水溶性染料を使用したものが知られているが、一般に前者は耐光性のような堅牢性に問題を有し、後者はマゼンタ色調の鮮明性に欠けるといった色再現性に関する分光吸収特性の問題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この問題点を解決すべく、色調と耐光性の優れたマゼンタ染料を用いた水系インクジェット記録液の開発が盛んに行われているが、いまだに満足できる水系インクジェット記録液が達成されていないのが現状である。本発明の目的は、色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性を得るための色調に優れた水系インクジェット記録液、特に主な対象としてはマゼンタ色の水系インクジェット記録液を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0006】
1.下記一般式(1)で表される色素と、
水及び水溶性有機溶媒を含有することを特徴とする水系インクジェット記録液。
【0007】
【化3】
【0008】
式中、R1及びR2は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、芳香族残基または複素環残基を表し、R1はR2とともに環を形成しても良い。R3はアミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。R4は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基またはハロゲン原子を表す。mは0〜2の整数を表す。R5はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。nは0〜5の整数を表し、nが2以上のときはR5は各々異なっていても良い。X1、X2は一方がCR6(R6は水素原子、アルキル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す)を表し、もう一方が窒素原子を表す。
且つ、上記R 1 〜R 4 及びR 5 から選ばれる少なくとも1種の基はスルホン酸(そのK、Na塩、アンモニウム塩)又はカルボン酸(そのK、Na、アンモニウム塩)を有する。
【0009】
2.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(2)で表される色素であることを特徴とする前記1に記載の水系インクジェット記録液。
【0010】
【化4】
【0011】
式中、R7及びR8は各々アルキル基、アラルキル基を表し、R7はR8とともに環を形成しても良い。R9はアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R10は水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表す。oは0〜2の整数を表す。R11はハロゲン原子またはスルホ基を表す。pは0〜5の整数を表し、pが2以上のときはR11は各々異なっていても良い。X3、X4は一方がCR12(R12は水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表す)を表し、もう一方は窒素原子を表す。
且つ、上記R 7 〜R 10 及びR 11 から選ばれる少なくとも1種の基はスルホン酸(そのK、Na、アンモニウム塩)又はカルボン酸(そのK、Na、アンモニウム塩)を有する。
【0012】
以下、本発明を詳細に述べる。
【0013】
先ず、本発明の一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
【0014】
R1及びR2は各々水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基またはヘキシル基等)、アルケニル基(例えばアリル基)、アルキニル基(例えばプロバルギル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基またはフェネチル基等)、芳香族残基(例えばフェニル基またはナフチル基等)または複素環残基(例えばピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、テトラヒドロフリル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基またはベンズイミダゾリル基等)を表す。
【0015】
R1とR2は窒素原子とともに環(例えばピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環またはモルホリン環等)を形成しても良い。
【0016】
R1及びR2はさらに適当な置換基で置換されていても良く、適当な置換基としては例えば脂肪族基(例えば炭素数1〜20のアルキル基等)、芳香族残基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロ環残基(例えば、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれた原子を有する5または6員のヘテロ環残基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アシルオキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシル基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル−N−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル−N−フェニルスルファモイル基等)、ヒドロキシル基、スルホニル基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アルキルチオ基(例えば、炭素数1〜20のアルキルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、炭素数2〜40のジアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)、ウレタン基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基等)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基またはアミノ基(例えば、無置換アミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、アニリノ基、炭素数7〜26のN−アルキルアニリノ基等)が挙げられる。
【0017】
R1及びR2としてはアルキル基またはアラルキル基が好ましい。
【0018】
R3はアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、アニリノ基、炭素数7〜26のN−アルキルアニリノ基、ナフチルアミノ基、無置換アミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜20のアルコキシ基等)、アルキル基(例えば、炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基)、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
【0019】
R3としてはアミノ基またはアシルアミノ基が好ましい。R3はさらに適当な置換基で置換されていても良く、適当な置換基としては例えばR1及びR2の置換されていても良い適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0020】
R4は水素原子、アルキル基(例えば、炭素数1〜25の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜25の直鎖、分岐、環状のアルコキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜25のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜25のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、炭素数1〜25のアルコキシカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)またはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子または臭素原子等)を表す。
【0021】
R4としては水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基が好ましい。mは0〜2の整数を表す。
【0022】
R5はハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子または臭素原子等)、アルキル基(例えば、炭素数1〜25の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜25の直鎖、分岐、環状のアルコキシ基等)、アミノ基(例えば、炭素数1〜25のアルキルアミノ基、炭素数2〜50のジアルキルアミノ基、アニリノ基、炭素数7〜31のN−アルキルアニリノ基等)、スルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基(例えば、炭素数1〜20のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(例えば、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基等)、ヒドロキシ基、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)またはアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基等)を表す。nは0〜5の整数を表し、nが2以上のときはR5は各々異なっていても良い。
【0023】
R5としてはハロゲン原子、またはスルホ基が好ましい。
【0024】
X1、X2は一方がCR6(R6は水素原子、アルキル基(例えばメチル基またはエチル基等)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基またはプロパノイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基またはトリフルオロメタンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えばメチルウレイド基またはエチルウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えばエトキシカルボニルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子または臭素原子等)またはアルコキシ基(例えばメトキシ基またはエトキシ基等)を表す)を表し、もう一方が窒素原子を表す。
【0025】
X1はCR6、X2が窒素原子が好ましく、さらにこの場合の好ましいR6としては水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基が挙げられ、これらの中でアルキル基が最も好ましい。
【0026】
本発明において、一般式(1)で表される色素の中で色調の観点から前記一般式(2)で表される色素が特に好ましい。
【0027】
一般式(2)において、R7及びR8は各々アルキル基(例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2の脂肪族基の具体例として記載した基等)またはアラルキル基(例えば、前記一般式(1)においてR1及びR2のアラルキル基の具体例として記載した基等)を表す。R7とR8はともに環を形成しても良い。
【0028】
R7及びR8はさらに適当な置換基で置換されていても良く、適当な置換基の例としてはR1及びR2に置換されていてもよい適当な置換基の例として記載した基等が挙げられる。
【0029】
R9はアミノ基(例えば、前記一般式(1)のR3のアミノ基の具体例として記載した基等)またはアシルアミノ基(例えば、前記一般式(1)のR3のアシルアミノ基の具体例として記載した基等)を表す。
【0030】
R10は水素原子、アルキル基(例えば、前記一般式(1)のR4のアルキル基の具体例として記載した基等)またはアシルアミノ基(例えば、前記一般式(1)のR4のアシルアミノ基の具体例として記載した基等)を表す。これらの中で水素原子が好ましい。oは0〜2の整数を表す。R11はハロゲン原子(例えば、前記一般式(1)のR5のハロゲン原子の具体例として記載した基等)、またはスルホ基を表す。pは0〜5の整数を表し、pが2以上のときはR11は各々異なっていても良い。
【0031】
X3、X4は一方がCR12(R12は水素原子、アルキル基(例えば、前記一般式(1)のR6のアルキル基の具体例として記載した基等)またはアシルアミノ基(例えば、前記一般式(1)のR6のアシルアミノ基の具体例として記載した基等)を表す)を表し、もう一方が窒素原子を表す。X3はCR11基、X4が窒素原子のものが好ましく、さらにこの場合の好ましいR11としては水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基が挙げられ、これらの中でアルキル基が最も好ましい。
【0032】
以下に、本発明の色素の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
【化18】
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
【化23】
【0052】
【化24】
【0053】
【化25】
【0054】
【化26】
【0055】
【化27】
【0056】
本発明の一般式(1)または(2)で示される色素を含有するインクジェット記録液は水系インクジェット記録液、油系インクジェット記録液、固体(相変化)インクジェット記録液等に用いることができるが、水系インクジェット記録液(例えばインク総重量あたり10重量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)に特に好ましく用いることができる。
【0057】
水系インクジェット記録液は、一般式(1)または(2)で示される色素の他に溶剤として水と水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0058】
水溶性有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0059】
上記のような水系インクジェット記録液において、色素はその溶媒系に可溶であればそのまま溶解して用いることができる。一方、そのままでは不溶の固体である場合、色素を種々の分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化するか、あるいは可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。さらに、そのままでは不溶の液体または半溶融状物である場合、そのままかあるいは可溶である有機溶媒に溶解して、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。
【0060】
このような水系インクジェット記録液の具体的調製法については、例えば特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号等の記載の方法を参照することができる。
【0061】
油系インクジェット記録液は、本発明の色素の他に溶媒として有機溶媒を使用する。
【0062】
油系インクジェット記録液の溶媒の例としては、前記水系インクジェット記録液において水溶性有機溶媒として例示したものに加えて、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド等)が挙げられる。
【0063】
上記のような油系インクジェット記録液において、色素はそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0064】
このような油系インクジェット記録液の具体的調製法については、特開平3−231975号、特表平5−508883号等に記載の方法を参照することができる。
【0065】
固体(相変化)インクジェット記録液は、室温で固体でありかつインクの加熱噴射時には溶融した液体状である相変化溶媒を使用する。
【0066】
このような相変化溶媒としては、天然ワックス(例えば、密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば、上記した有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えば、ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えば、オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−システアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)のような2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えば、シリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215,216,220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG−90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
【0067】
固体インクジェット記録液の固体−液体相変化における相変化温度は、60℃以上であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。
【0068】
上記のような固体インクジェット記録液において、加熱した溶融状態の溶媒に本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0069】
このような固体インクジェット記録液の具体的調製法については、特開平5−186723号、同7−70490号等に記載の方法を参照することができる。
【0070】
上記したような水系、油系、固体の各インクジェット記録液は、その飛翔時の粘度として40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。
【0071】
本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の表面張力として20dyn/cm以上が好ましく、25〜80dyn/cmであることが、より好ましい。
【0072】
本発明のインクジェット記録液において、一般式(1)または(2)で表される色素は、全インクジェット記録液の全重量に対して0.1〜25重量%の範囲で使用されることが好ましく、0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
【0073】
本発明のインクジェット記録液においては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を添加することもできる。
【0074】
本発明のインクジェット記録液は、その使用する記録方式に関して特に制約はなく、コンティニュアス方式及びオンデマンド方式のインクジェットプリンタ用のインクジェット記録液として好ましく使用することができる。オンデマンド型方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
【0075】
【実施例】
実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例における形態に限定されるものではない。
【0076】
実施例1
表1に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタMJ−5000C(セイコーエプソン株式会社製、電気−機械変換方式)によって、インクジェット用専用コート紙上に記録したマゼンタ画像サンプルを得た。このサンプルを用いて、下記のように定義した耐光性、色調の評価を行った結果を表1に示す。
【0077】
耐光性:PDA−65(コニカ(株)製)の緑色光による反射濃度の測定から算出したキセノンフェードメーターにて24時間***した後の未***
サンプルに対する画像の残存率を算出して下記基準にて評価。
【0078】
すなわち、○は耐光性が良好なマゼンタ画像を表す。
【0079】
耐光性(%)=(***試料の緑色光反射濃度/未***試料の緑色光反射濃度)×100
○:24時間***後の耐光性(%)が90%以上の場合
△:24時間***後の耐光性(%)が80%以上90%未満の場合
×:24時間***後の耐光性(%)が80%未満の場合。
【0080】
色調:PDA−65(コニカ(株)製)を用いて青色、緑色、赤色光における反射濃度を測定し、緑色光における反射濃度を1に規格化した場合の相対青色光反射濃度および相対赤色光反射濃度を算出して下記基準にて評価。すなわち○は青色光および赤色光の波長領域に不正吸収が少ない良好な色調のマゼンタ画像を表す。
【0081】
○:相対青色光反射濃度0.25未満かつ相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△:相対青色光反射濃度0.25以上で相対赤色光反射濃度0.10未満の場合、または相対青色光反射濃度0.25未満で相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
×:相対青色光反射濃度0.25以上かつ相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
尚、表1の各化合物量の単位は各全インクジェット記録液の全重量に対する重量%である。表中に記載の比較−1、比較−2および界面活性剤−1の構造を下記に示す。
【0082】
【化28】
【0083】
【表1】
【0084】
表1の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少なく色調が良好のものであることがわかる。
【0085】
さらに、本プリンタにおける連続吐出試験においても問題なく使用でき、本発明のインクジェット記録液の電気−機械変換方式に対する高い信頼性を確認した。
【0086】
実施例2
表2に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタBJC−600J(キヤノン社製、電気−熱変換方式)によって、インクジェット用専用光沢紙上に記録したサンプルを得た。このサンプルを用いて、実施例1と同様に耐光性と色調の評価を行った結果を表2に示す。尚、表2の各化合物量の単位は全インクジェット記録液の重量に対する重量%であり、比較−1、比較−2の化合物および評価項目の定義は各々実施例1と同様である。
【0087】
【表2】
【0088】
表2の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少なく色調が良好のものであることがわかる。
【0089】
また、本プリンタの系においてインクジェット記録液の熱時変質によるヘッドの異常等は確認されず、電気−熱変換方式に対する適合性を持ち合わせていることを確認した。
【0090】
【発明の効果】
本発明によるインクジェット記録液は色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れた効果を有し、マゼンタ色に、特に優れた本発明の効果を有する。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表される色素と、
水及び水溶性有機溶媒を含有することを特徴とする水系インクジェット記録液。
且つ、上記R 1 〜R 4 及びR 5 から選ばれる少なくとも1種の基はスルホン酸(そのK、Na塩、アンモニウム塩)又はカルボン酸(そのK、Na、アンモニウム塩)を有する。〕 - 前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(2)で表される色素であることを特徴とする請求項1に記載の水系インクジェット記録液。
且つ、上記R 7 〜R 10 及びR 11 から選ばれる少なくとも1種の基はスルホン酸(そのK、Na、アンモニウム塩)又はカルボン酸(そのK、Na、アンモニウム塩)を有する。〕
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