JP3581208B2 - 感圧性接着剤および表面保護材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、初期接着性、経時特性および耐候性の良好な感圧性接着剤と、これを用いたシ―ト状,テ―プ状などの表面保護材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、塗装板、金属板、樹脂板、自動車のボデイ―や部品などの表面保護材に用いられる感圧性接着剤としては、アクリル系接着剤や、ポリイソブチレン、天然ゴム、ブチルゴムなどを主体としたゴム系接着剤が知られている。
【0003】
アクリル系接着剤は、極性が高いため、被着体に貼り付けたのちの接着力の上昇が大きく、剥離作業性の低下や被着体表面への糊残りの問題がある。ポリイソブチレンを主体としたゴム系接着剤は、接着力の上昇はいくぶん小さいが、経時により被着体と強固に接着し、剥離作業性がやはり悪い。
【0004】
このような接着力の上昇を抑えるため、接着剤中に界面活性剤を添加する試みがある。界面活性剤は被着体との界面に存在してその効果を発揮するため、被着体が金属板の場合有効である。しかし、塗装板の場合、界面活性剤の分子量が数十から数百と小さいため、表面保護材を貼り付けたのちに、界面活性剤が接着剤から被着体の塗膜中へ移動し、被着体との界面に界面活性剤が存在しなくなり、上記効果が持続しない。また、界面活性剤を極性の低いゴム系接着剤に添加すると、両者の相溶性が悪いために、被着体表面を汚染しやすい。
【0005】
天然ゴム、ブチルゴムなどを主体としたゴム系接着剤は、日光などによつて短期間に劣化しやすいため、表面保護材が運搬時や施工時などに屋外にさらされると、劣化により被着体に糊残りが生じやすい。この耐候性の改良として、老化防止剤、紫外線吸収剤などの添加も検討されているが、表面保護材に要求される耐候性の特性としてはいまだ不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の事情に鑑み、良好な初期接着性を有するとともに、接着力の経時変化が小さく、しかも耐候性にすぐれた感圧性接着剤と、これを用いた表面保護材を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定のゴム質ポリマ―であつてこのポリマ―中の不飽和結合を水素添加により飽和させてなるポリマ―が表面保護材用の感圧性接着剤として、良好な初期接着性を示すとともに、接着力の経時変化が小さく、かつ耐候性にすぐれていることを見い出し、本発明を完成するに至つたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、重量平均分子量30万〜150万のイソブチレン系ポリマ―の水素添加物を含有することを特徴とする感圧性接着剤(請求項1)と、この接着剤よりなる層を基材上に有することを特徴とする表面保護材(請求項4)に係るものである。また、上記の感圧性接着剤において、イソブチレン系ポリマ―がポリイソブチレン、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムである構成(請求項2)、さらに、イソブチレン系ポリマ―が重量平均分子量1万〜15万のポリイソブチレンからなる低分子量成分を10〜60重量%含有し、この低分子量成分を含めたイソブチレン系ポリマ―全体の重量平均分子量が30万〜150万である構成(請求項3)を、とくに好ましい態様としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるイソブチレン系ポリマ―としては、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンと0.5〜3重量%のイソプレンとのランダム共重合体(レギユラ―ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴムなど)、これらの加硫物や変性物(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基で変性したもの)などが挙げられる。これらの中でも、ポリイソブチレン、ブチルゴム、あるいは塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴムが好ましい。
【0010】
このイソブチレン系ポリマ―は、重量平均分子量(Mw)が30万〜150万、好ましくは40万〜80万の範囲にあるのがよい。30万より小さくなると、接着剤の凝集力が十分に得られず、糊残りしやすくなり、剥離作業が悪くなる。また、150万より大きくなると、接着剤の凝集力が高くなりすぎて、初期の接着性が低下し、良好な貼り合わせ性が得られない。
【0011】
また、このイソブチレン系ポリマ―は、初期接着性を高めるために、重量平均分子量1万〜15万のポリイソブチレンからなる低分子量成分を10〜60重量%含有し、この低分子量成分を含めたイソブチレン系ポリマ―全体の重量平均分子量が上記の30万〜150万、好ましくは40万〜80万の範囲にある、つまり、上記の低分子量成分とこれより分子量の高い高分子量成分(ポリイソブチレンに限らず、他のブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどであつてもよい)との特定平均分子量の混合物であるのが、最も望ましい。
【0012】
このようなイソブチレン系ポリマ―においては、分子の片末端に不飽和二重結合が存在し、またとくにブチルゴムないしその誘導体(レギユラ―ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴムなど)では、分子内に不飽和二重結合を含むイソプレンが共重合されているために、分子の片末端だけでなく主鎖の中にも不飽和二重結合が存在する。これらの不飽和二重結合は、接着力上昇の原因となり、また耐候性を悪化させる原因ともなる。本発明では、この不飽和二重結合を水素添加により飽和させることにより、接着力の経時変化を抑え、また耐候性を高めることに成功したものである。
【0013】
水素添加は、たとえば、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒か、酢酸エチルなどの極性溶媒の中に、上記のイソブチレン系ポリマ―を溶解させて、触媒として酸化白金(IV)を添加し、通常10〜20℃で、5〜40Kgf /cm2 の水素圧下、数時間ないし数十時間反応させればよい。この水素添加により、不飽和二重結合は消滅するが、これは、H−NMRなどにより容易に調べられる。なお、水素添加は、完全な水素添加でなくても、場合により、不飽和二重結合の一部が残存するような部分的な水素添加であつてもよい。
【0014】
本発明の感圧性接着剤は、このようにして得られる水素添加物をベ―スポリマ―としたものであり、これには、必要により、通常用いられる顔料、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の各種の添加剤を、本発明の効果を妨げない範囲内で加えるようにしてもよい。
【0015】
本発明の感圧性接着剤は、たとえば、塗装板、金属板、樹脂板、自動車のボデイ―や部品などの表面保護材用の感圧性接着剤として、有用である。この場合、厚さが通常5〜300μm、好ましくは10〜100μm程度の基材上に、本発明の感圧性接着剤よりなる層を、通常1〜200μm、好ましくは1〜50μm程度の厚さに設けて、表面保護材とされる。
【0016】
基材としては、表面保護材として従来公知のもの、たとえば、ポリプロピレン系フイルム、ポリエチレン系フイルム、それらをブレンドしたポリオレフイン系樹脂フイルムのほか、ポリ塩化ビニル樹脂フイルムなどのプラスチツクフイルムが挙げられ、これらの中でもとくにポリオレフイン系樹脂フイルムが好ましい。これらの基材は、必要に応じて、コロナ処理、下塗処理を施してもよく、また背面処理などを施してもよい。また、基材には、必要に応じて、スリツプ剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
【0017】
基材上に感圧性接着剤よりなる層を形成するには、たとえば、感圧性接着剤の溶剤溶液ないし熱溶融液を基材上に直接塗布する方法、あるいはセパレ―タ上に形成した感圧性接着剤の層を基材上に移着する方法など、従来公知の表面保護材の作製方法に準じて、行うことができる。
【0018】
このように作製される本発明の表面保護材は、基材上に形成された感圧性接着剤よりなる層の前記特性に起因して、貼り合わせ時に良好な接着性を示すとともに、貼り合わせ後の接着力の経時変化が小さく、剥離作業が容易である。また、実用的な耐候性を有し、日光などによつて劣化され難く、たとえば、運搬時や施工時などにこの表面保護材が屋外にさらされたとしても、感圧性接着剤の劣化を生じることが抑制され、表面保護材の剥離時に糊残りが生じ難く、被着体の表面を汚すという問題が大幅に抑制される。
【0019】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0020】
実施例1
オ―トクレ―ブ中に、重量平均分子量80万のポリイソブチレン50部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン50部との混合物からなるイソブチレン系ポリマ―(上記の混合物としての重量平均分子量は45万)の5重量%ヘプタン溶液を投入し、これに酸化白金(IV)を0.1部添加した。内容物の温度が10℃になるように制御しながら、オ―トクレ―ブ中を水素で10Kgf /cm2 に加圧して、15時間の水素添加反応を行つた。
【0021】
このようにして得られた水素添加物の溶液を、ポリプロピレン/ポリエチレン(重量比:1/9)からなる厚さが40μmのプラスチツクフイルムに塗布し、120℃で3分間乾燥処理することにより、厚さが15μmの感圧性接着剤よりなる層を有する表面保護材を作製した。
【0022】
実施例2
イソブチレン系ポリマ―を、重量平均分子量40万のポリイソブチレン80部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン20部との混合物(この混合物としての重量平均分子量は34万)に変更した以外は、実施例1と同様にして、イソブチレン系ポリマ―の水素添加物の溶液を得、またこれを用いて実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0023】
実施例3
イソブチレン系ポリマ―を、重量平均分子量40万のブチルゴム(JSR Butyl 268)80部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン20部との混合物(この混合物としての重量平均分子量は34万)に変更した以外は、実施例1と同様にして、イソブチレン系ポリマ―の水素添加物の溶液を得、またこれを用いて実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0024】
実施例4
イソブチレン系ポリマ―を、重量平均分子量40万のポリイソブチレン100部に変更した(つまり重量平均分子量9万のポリイソブチレンの使用を省いた)以外は、実施例1と同様にして、イソブチレン系ポリマ―の水素添加物の溶液を得、またこれを用いて実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0025】
比較例1
重量平均分子量80万のポリイソブチレン50部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン50部との混合物からなるイソブチレン系ポリマ―の5重量%ヘプタン溶液を、水素添加することなく、そのまま接着剤溶液として用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0026】
比較例2
重量平均分子量40万のブチルゴム(JSR Butyl 268)80部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン20部との混合物からなるイソブチレン系ポリマ―の5重量%ヘプタン溶液を、水素添加することなく、そのまま接着剤溶液として用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0027】
上記の実施例1〜4および比較例1,2で作製した各表面保護材について、接着力試験と耐候性試験を行つた。両試験は、各表面保護材をラミネ―タによりメラミン系塗装板に貼り合わせ(貼り合わせ圧力70N/cm、貼り合わせ速度5m/分)、下記の方法で行つたものである。
【0028】
<接着力試験>
表面保護材の貼り付け30分後に、剥離角度180度、引張り速度0.3m/分の条件で測定した接着力を初期値とした。また、サンシヤイン・カ―ボン・ウエザメ―タ〔スガ試験機(株)製〕に、JIS−D2050にしたがい、100時間投入したのち、23℃,65%RHの条件下に取り出し、3時間放置後、上記と同様にして接着力を測定し、これを経時後の接着力とした。
【0029】
<耐候性試験>
屋外にサンプルを固定し、屋外暴露テストを行つた。暴露後、30日後および90日後に表面保護材を剥離し、そのときの糊残りおよび汚染の有無を調べた。糊残りおよび汚染がほとんどみられなかつた場合を○、糊残りおよび汚染が明らかにみられた場合を×、として評価した。
【0030】
これらの結果を、表1に示した。なお、総合評価として、(1)接着力の初期値および経時後の値が1.5〜5.0N/20mm幅の範囲にある、(2)30日後および90日後のいずれも貼り付け面に糊残りおよび汚染が全くみられない、の両方を満足した場合を○、それ以外の場合を×と、判定した。
【0031】
【0032】
上記の表1より明らかなように、実施例1〜4で作製した表面保護材は、いずれも、良好な接着力(初期値)を有するとともに、経時後の接着力の上昇が少なく、そのうえ耐候性にもすぐれていた。これに対して、比較例1,2で作製した表面保護材は、接着力(初期値)は良好であるが、経時後の接着力の上昇が大きく、また耐候性にも劣るものであつた。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の感圧性接着剤は、良好な初期接着性を有し、かつ経時後の接着力の上昇が少なく、そのうえすぐれた耐候性をも有しており、表面保護材用の感圧性接着剤として、有用である。
【0034】
また、本発明の表面保護材は、基材上に上記の感圧性接着剤よりなる層を設けているので、貼り合わせた時に良好な接着性を有し、かつ貼り合わせ後の接着力の上昇が少なく、剥離時に糊残りが生じ難く、しかも実用的な耐候性を有する。このため、金属の研磨表面、ネ―ムプリ―ト、アルミサツシ、塗装板、化粧板、自動車のボデイ―や部品などの被着体の表面に貼り付ける表面保護材として好適であり、この表面保護材を被着体の表面に貼り付けることにより、被着体の加工時や輸送時での傷の発生を防止することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、初期接着性、経時特性および耐候性の良好な感圧性接着剤と、これを用いたシ―ト状,テ―プ状などの表面保護材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、塗装板、金属板、樹脂板、自動車のボデイ―や部品などの表面保護材に用いられる感圧性接着剤としては、アクリル系接着剤や、ポリイソブチレン、天然ゴム、ブチルゴムなどを主体としたゴム系接着剤が知られている。
【0003】
アクリル系接着剤は、極性が高いため、被着体に貼り付けたのちの接着力の上昇が大きく、剥離作業性の低下や被着体表面への糊残りの問題がある。ポリイソブチレンを主体としたゴム系接着剤は、接着力の上昇はいくぶん小さいが、経時により被着体と強固に接着し、剥離作業性がやはり悪い。
【0004】
このような接着力の上昇を抑えるため、接着剤中に界面活性剤を添加する試みがある。界面活性剤は被着体との界面に存在してその効果を発揮するため、被着体が金属板の場合有効である。しかし、塗装板の場合、界面活性剤の分子量が数十から数百と小さいため、表面保護材を貼り付けたのちに、界面活性剤が接着剤から被着体の塗膜中へ移動し、被着体との界面に界面活性剤が存在しなくなり、上記効果が持続しない。また、界面活性剤を極性の低いゴム系接着剤に添加すると、両者の相溶性が悪いために、被着体表面を汚染しやすい。
【0005】
天然ゴム、ブチルゴムなどを主体としたゴム系接着剤は、日光などによつて短期間に劣化しやすいため、表面保護材が運搬時や施工時などに屋外にさらされると、劣化により被着体に糊残りが生じやすい。この耐候性の改良として、老化防止剤、紫外線吸収剤などの添加も検討されているが、表面保護材に要求される耐候性の特性としてはいまだ不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の事情に鑑み、良好な初期接着性を有するとともに、接着力の経時変化が小さく、しかも耐候性にすぐれた感圧性接着剤と、これを用いた表面保護材を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定のゴム質ポリマ―であつてこのポリマ―中の不飽和結合を水素添加により飽和させてなるポリマ―が表面保護材用の感圧性接着剤として、良好な初期接着性を示すとともに、接着力の経時変化が小さく、かつ耐候性にすぐれていることを見い出し、本発明を完成するに至つたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、重量平均分子量30万〜150万のイソブチレン系ポリマ―の水素添加物を含有することを特徴とする感圧性接着剤(請求項1)と、この接着剤よりなる層を基材上に有することを特徴とする表面保護材(請求項4)に係るものである。また、上記の感圧性接着剤において、イソブチレン系ポリマ―がポリイソブチレン、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムである構成(請求項2)、さらに、イソブチレン系ポリマ―が重量平均分子量1万〜15万のポリイソブチレンからなる低分子量成分を10〜60重量%含有し、この低分子量成分を含めたイソブチレン系ポリマ―全体の重量平均分子量が30万〜150万である構成(請求項3)を、とくに好ましい態様としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるイソブチレン系ポリマ―としては、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンと0.5〜3重量%のイソプレンとのランダム共重合体(レギユラ―ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴムなど)、これらの加硫物や変性物(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基で変性したもの)などが挙げられる。これらの中でも、ポリイソブチレン、ブチルゴム、あるいは塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴムが好ましい。
【0010】
このイソブチレン系ポリマ―は、重量平均分子量(Mw)が30万〜150万、好ましくは40万〜80万の範囲にあるのがよい。30万より小さくなると、接着剤の凝集力が十分に得られず、糊残りしやすくなり、剥離作業が悪くなる。また、150万より大きくなると、接着剤の凝集力が高くなりすぎて、初期の接着性が低下し、良好な貼り合わせ性が得られない。
【0011】
また、このイソブチレン系ポリマ―は、初期接着性を高めるために、重量平均分子量1万〜15万のポリイソブチレンからなる低分子量成分を10〜60重量%含有し、この低分子量成分を含めたイソブチレン系ポリマ―全体の重量平均分子量が上記の30万〜150万、好ましくは40万〜80万の範囲にある、つまり、上記の低分子量成分とこれより分子量の高い高分子量成分(ポリイソブチレンに限らず、他のブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどであつてもよい)との特定平均分子量の混合物であるのが、最も望ましい。
【0012】
このようなイソブチレン系ポリマ―においては、分子の片末端に不飽和二重結合が存在し、またとくにブチルゴムないしその誘導体(レギユラ―ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴムなど)では、分子内に不飽和二重結合を含むイソプレンが共重合されているために、分子の片末端だけでなく主鎖の中にも不飽和二重結合が存在する。これらの不飽和二重結合は、接着力上昇の原因となり、また耐候性を悪化させる原因ともなる。本発明では、この不飽和二重結合を水素添加により飽和させることにより、接着力の経時変化を抑え、また耐候性を高めることに成功したものである。
【0013】
水素添加は、たとえば、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒か、酢酸エチルなどの極性溶媒の中に、上記のイソブチレン系ポリマ―を溶解させて、触媒として酸化白金(IV)を添加し、通常10〜20℃で、5〜40Kgf /cm2 の水素圧下、数時間ないし数十時間反応させればよい。この水素添加により、不飽和二重結合は消滅するが、これは、H−NMRなどにより容易に調べられる。なお、水素添加は、完全な水素添加でなくても、場合により、不飽和二重結合の一部が残存するような部分的な水素添加であつてもよい。
【0014】
本発明の感圧性接着剤は、このようにして得られる水素添加物をベ―スポリマ―としたものであり、これには、必要により、通常用いられる顔料、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の各種の添加剤を、本発明の効果を妨げない範囲内で加えるようにしてもよい。
【0015】
本発明の感圧性接着剤は、たとえば、塗装板、金属板、樹脂板、自動車のボデイ―や部品などの表面保護材用の感圧性接着剤として、有用である。この場合、厚さが通常5〜300μm、好ましくは10〜100μm程度の基材上に、本発明の感圧性接着剤よりなる層を、通常1〜200μm、好ましくは1〜50μm程度の厚さに設けて、表面保護材とされる。
【0016】
基材としては、表面保護材として従来公知のもの、たとえば、ポリプロピレン系フイルム、ポリエチレン系フイルム、それらをブレンドしたポリオレフイン系樹脂フイルムのほか、ポリ塩化ビニル樹脂フイルムなどのプラスチツクフイルムが挙げられ、これらの中でもとくにポリオレフイン系樹脂フイルムが好ましい。これらの基材は、必要に応じて、コロナ処理、下塗処理を施してもよく、また背面処理などを施してもよい。また、基材には、必要に応じて、スリツプ剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
【0017】
基材上に感圧性接着剤よりなる層を形成するには、たとえば、感圧性接着剤の溶剤溶液ないし熱溶融液を基材上に直接塗布する方法、あるいはセパレ―タ上に形成した感圧性接着剤の層を基材上に移着する方法など、従来公知の表面保護材の作製方法に準じて、行うことができる。
【0018】
このように作製される本発明の表面保護材は、基材上に形成された感圧性接着剤よりなる層の前記特性に起因して、貼り合わせ時に良好な接着性を示すとともに、貼り合わせ後の接着力の経時変化が小さく、剥離作業が容易である。また、実用的な耐候性を有し、日光などによつて劣化され難く、たとえば、運搬時や施工時などにこの表面保護材が屋外にさらされたとしても、感圧性接着剤の劣化を生じることが抑制され、表面保護材の剥離時に糊残りが生じ難く、被着体の表面を汚すという問題が大幅に抑制される。
【0019】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0020】
実施例1
オ―トクレ―ブ中に、重量平均分子量80万のポリイソブチレン50部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン50部との混合物からなるイソブチレン系ポリマ―(上記の混合物としての重量平均分子量は45万)の5重量%ヘプタン溶液を投入し、これに酸化白金(IV)を0.1部添加した。内容物の温度が10℃になるように制御しながら、オ―トクレ―ブ中を水素で10Kgf /cm2 に加圧して、15時間の水素添加反応を行つた。
【0021】
このようにして得られた水素添加物の溶液を、ポリプロピレン/ポリエチレン(重量比:1/9)からなる厚さが40μmのプラスチツクフイルムに塗布し、120℃で3分間乾燥処理することにより、厚さが15μmの感圧性接着剤よりなる層を有する表面保護材を作製した。
【0022】
実施例2
イソブチレン系ポリマ―を、重量平均分子量40万のポリイソブチレン80部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン20部との混合物(この混合物としての重量平均分子量は34万)に変更した以外は、実施例1と同様にして、イソブチレン系ポリマ―の水素添加物の溶液を得、またこれを用いて実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0023】
実施例3
イソブチレン系ポリマ―を、重量平均分子量40万のブチルゴム(JSR Butyl 268)80部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン20部との混合物(この混合物としての重量平均分子量は34万)に変更した以外は、実施例1と同様にして、イソブチレン系ポリマ―の水素添加物の溶液を得、またこれを用いて実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0024】
実施例4
イソブチレン系ポリマ―を、重量平均分子量40万のポリイソブチレン100部に変更した(つまり重量平均分子量9万のポリイソブチレンの使用を省いた)以外は、実施例1と同様にして、イソブチレン系ポリマ―の水素添加物の溶液を得、またこれを用いて実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0025】
比較例1
重量平均分子量80万のポリイソブチレン50部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン50部との混合物からなるイソブチレン系ポリマ―の5重量%ヘプタン溶液を、水素添加することなく、そのまま接着剤溶液として用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0026】
比較例2
重量平均分子量40万のブチルゴム(JSR Butyl 268)80部と重量平均分子量9万のポリイソブチレン20部との混合物からなるイソブチレン系ポリマ―の5重量%ヘプタン溶液を、水素添加することなく、そのまま接着剤溶液として用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護材を作製した。
【0027】
上記の実施例1〜4および比較例1,2で作製した各表面保護材について、接着力試験と耐候性試験を行つた。両試験は、各表面保護材をラミネ―タによりメラミン系塗装板に貼り合わせ(貼り合わせ圧力70N/cm、貼り合わせ速度5m/分)、下記の方法で行つたものである。
【0028】
<接着力試験>
表面保護材の貼り付け30分後に、剥離角度180度、引張り速度0.3m/分の条件で測定した接着力を初期値とした。また、サンシヤイン・カ―ボン・ウエザメ―タ〔スガ試験機(株)製〕に、JIS−D2050にしたがい、100時間投入したのち、23℃,65%RHの条件下に取り出し、3時間放置後、上記と同様にして接着力を測定し、これを経時後の接着力とした。
【0029】
<耐候性試験>
屋外にサンプルを固定し、屋外暴露テストを行つた。暴露後、30日後および90日後に表面保護材を剥離し、そのときの糊残りおよび汚染の有無を調べた。糊残りおよび汚染がほとんどみられなかつた場合を○、糊残りおよび汚染が明らかにみられた場合を×、として評価した。
【0030】
これらの結果を、表1に示した。なお、総合評価として、(1)接着力の初期値および経時後の値が1.5〜5.0N/20mm幅の範囲にある、(2)30日後および90日後のいずれも貼り付け面に糊残りおよび汚染が全くみられない、の両方を満足した場合を○、それ以外の場合を×と、判定した。
【0031】
【0032】
上記の表1より明らかなように、実施例1〜4で作製した表面保護材は、いずれも、良好な接着力(初期値)を有するとともに、経時後の接着力の上昇が少なく、そのうえ耐候性にもすぐれていた。これに対して、比較例1,2で作製した表面保護材は、接着力(初期値)は良好であるが、経時後の接着力の上昇が大きく、また耐候性にも劣るものであつた。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の感圧性接着剤は、良好な初期接着性を有し、かつ経時後の接着力の上昇が少なく、そのうえすぐれた耐候性をも有しており、表面保護材用の感圧性接着剤として、有用である。
【0034】
また、本発明の表面保護材は、基材上に上記の感圧性接着剤よりなる層を設けているので、貼り合わせた時に良好な接着性を有し、かつ貼り合わせ後の接着力の上昇が少なく、剥離時に糊残りが生じ難く、しかも実用的な耐候性を有する。このため、金属の研磨表面、ネ―ムプリ―ト、アルミサツシ、塗装板、化粧板、自動車のボデイ―や部品などの被着体の表面に貼り付ける表面保護材として好適であり、この表面保護材を被着体の表面に貼り付けることにより、被着体の加工時や輸送時での傷の発生を防止することができる。
Claims (4)
- 重量平均分子量30万〜150万のイソブチレン系ポリマ―の水素添加物を含有することを特徴とする感圧性接着剤。
- イソブチレン系ポリマ―がポリイソブチレン、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムである請求項1に記載の感圧性接着剤。
- イソブチレン系ポリマ―が重量平均分子量1万〜15万のポリイソブチレンからなる低分子量成分を10〜60重量%含有し、この低分子量成分を含めたイソブチレン系ポリマ―全体の重量平均分子量が30万〜150万である請求項1または2に記載の感圧性接着剤。
- 基材上に請求項1〜3のいずれかに記載の感圧性接着剤よりなる層を有することを特徴とする表面保護材。
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