JP3575429B2 - 4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置 Download PDF

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  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子制御クラッチの締結トルクを制御することにより前後輪への駆動トルク配分を可変に制御する4輪駆動車に適用される前後輪トルク配分制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車で、駆動輪から従動輪に駆動トルクが伝達される場合、一定値以上のトルクが一定時間以上連続すると、保護制御を作動するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
後輪駆動車ベースの4輪駆動車に採用している前後輪トルク配分制御装置(特開平04−103433号公報等参照)のように、大型の4輪駆動システム(以下、4WDシステムという)を使う場合には、駆動トルクがクラッチの伝達限界トルクに対し余裕がありあまり問題とはならないが、小型・軽量の4WDシステムをスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)等に採用して砂漠や雪道等の低μ路を走破しようとする場合は、クラッチの限界トルクでの駆動伝達を頻繁に行う必要があり、クラッチの温度保証による保護を考慮した制御が必要となる。
【0004】
しかしながら、クラッチの温度保証による保護制御に関して従来の制御を行うと、下記に述べる問題点があった。
(1) 一定値以上のトルクが一定時間以上連続すると保護制御が作動される制御となっていたため、図10(a)に示すように、しきい値以上の小さいトルクが一定時間(t0〜t2)以上連続する場合は((イ)の特性)、図10(b)に示すように、保護制御が不要であるにもかかわらずt2の時点で保護制御される。よって、温度保証による保護に対し過剰制御となることで駆動トルクを十分に伝達できない。
【0005】
また、図10(a)に示すように、しきい値以上の大きいトルクが一定時間(t0〜t2)以上連続する場合は((ロ)の特性)、t2の時点で保護制御されるが、図10(b)に示すように、t1の時点で既に保護制御すべき実クラッチ温度を超えているため、保護制御に入るタイミングが遅れる。
(2) 指令トルクがある一定値を下回る場合、クラッチの推定温度がリセットされる制御となっていたため、図11に示すように、指令トルクがしきい値を下回る場合にはクラッチ推定温度はリセットされるが、実クラッチ温度はすぐに低下せず、その直後に指令トルクがしきい値を超え、その直後に指令トルクがしきい値を下回るような状況が繰り返されると、実クラッチ温度とクラッチ推定温度との間に大きな乖離(かいり)が生じてしまう。すなわち、クラッチ推定温度の信頼度が非常に低いといえる。
【0006】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、温度センサを用いることなく低コストによるシステムとしながら、実クラッチ温度に近いクラッチ推定温度を得ることで、クラッチ限界トルクでの駆動伝達を頻繁に行うような場合でも確実に電子制御クラッチの温度保証を行うことができる4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、
前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車において、
前記電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差を検出するクラッチ回転速度差検出手段と、
前記電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクを推定するクラッチ伝達トルク推定手段と、
前記クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより前記電子制御クラッチに加わる入力エネルギを算出する入力エネルギ算出手段と、
算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動を予測し、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度を算出するクラッチ推定温度算出手段と、
算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御を行うクラッチ保護制御手段とを備え、
入力エネルギの判断しきい値を加算判断基準値として設定し、前記入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかを判断するクラッチ温度加減判断手段を設け、
その時のクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数と実温度勾配よりも急な温度下降係数とし、その時のクラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数と実温度勾配よりも緩い温度下降係数とする温度勾配係数設定手段を設け、
前記クラッチ推定温度算出手段を、その時のクラッチ推定温度に加算する温度上昇量を、前記温度上昇係数に基づいて算出する温度上昇量算出部と、その時のクラッチ推定温度に減算する温度下降量を、前記温度下降係数に基づいて算出する温度下降量算出部を有し、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量を加算し、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量を減算することでクラッチ推定温度を算出する手段としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明では、
前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車において、
前記電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差を検出するクラッチ回転速度差検出手段と、
前記電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクを推定するクラッチ伝達トルク推定手段と、
前記クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより前記電子制御クラッチに加わる入力エネルギを算出する入力エネルギ算出手段と、
算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動を予測し、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度を算出するクラッチ推定温度算出手段と、
算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御を行うクラッチ保護制御手段とを備え、
入力エネルギの判断しきい値を加算判断基準値として設定し、前記入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかを判断するクラッチ温度加減判断手段を設け、
前記クラッチ推定温度算出手段を、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量を加算し、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量を減算することでクラッチ推定温度を算出する手段とし
車速を検出する車速検出手段を設け、
クラッチ温度の推定を許容する上限車速値を設定車速としたとき、検出される車速が設定車速以上であるときには、前記クラッチ推定温度算出手段によるクラッチ推定温度の算出を中止して初期状態にリセットするクラッチ温度推定制御中止手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明では、
前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車において、
前記電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差を検出するクラッチ回転速度差検出手段と、
前記電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクを推定するクラッチ伝達トルク推定手段と、
前記クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより前記電子制御クラッチに加わる入力エネルギを算出する入力エネルギ算出手段と、
算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動を予測し、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度を算出するクラッチ推定温度算出手段と、
算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御を行うクラッチ保護制御手段とを備え、
入力エネルギの判断しきい値を加算判断基準値として設定し、前記入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかを判断するクラッチ温度加減判断手段を設け、
前記クラッチ推定温度算出手段を、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量を加算し、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量を減算することでクラッチ推定温度を算出する手段とし
前記クラッチ保護制御手段は、クラッチ保護判定温度より高い温度としてクラッチ限界判定温度を設定し、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ締結力を強くし、さらに、クラッチ推定温度が上昇してクラッチ限界判定温度に達するとクラッチ締結を解放するクラッチ保護制御を行う手段であることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
前記加算判断基準値は、クラッチ温度がほぼ一定の温度となる入力エネルギにより設定されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
前記温度上昇量は、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合に、加算判断基準値に対する入力エネルギの増加量に比例して決定され、前記温度下降量は、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合に、入力エネルギの減少量に関係なく決定されることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
その時のクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数と実温度勾配よりも急な温度下降係数とし、その時のクラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数と実温度勾配よりも緩い温度下降係数とする温度勾配係数設定手段を設け、前記クラッチ推定温度算出手段を、その時のクラッチ推定温度に加算する温度上昇量を、前記温度上昇係数に基づいて算出する温度上昇量算出部と、その時のクラッチ推定温度に減算する温度下降量を、前記温度下降係数に基づいて算出する温度下降量算出部を有する手段としたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明では、請求項3に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
前記クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度に達するまでにクラッチに作用する制御モードを通常制御モードとし、前記クラッチ保護判定温度より低い温度として通常制御モード復帰判定温度を設定し、
クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になることでクラッチ締結力が強くされることにより、あるいは、クラッチ推定温度がクラッチ限界判定温度に達することでクラッチ締結が解放されることにより、クラッチ推定温度が前記通常制御モード復帰判定温度以下まで低下すると、保護制御モードから通常制御モードに復帰させる通常制御モード復帰手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の作用および効果】
請求項1,2,3に記載の発明の共通の作用効果を説明する。
クラッチ回転速度差検出手段において、電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差が検出され、クラッチ伝達トルク推定手段において、電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクが推定され、入力エネルギ算出手段において、クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより電子制御クラッチに加わる入力エネルギが算出され、クラッチ推定温度算出手段において、算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動が予測され、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度が算出され、クラッチ保護制御手段において、算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御、例えば、電子制御クラッチの一定時間解放が行われる。
すなわち、電子制御クラッチに加わる入力エネルギをクラッチの相対滑り(相対回転速度差)とクラッチ伝達トルクにより算出し、入力エネルギの大きさによるクラッチ温度の変動予測に基づいてクラッチ推定温度が算出される。つまり、入力エネルギが大きく変動するような場合、指令トルクが低くなる毎にクラッチ推定温度がリセットされることなく、入力エネルギの大きさにより推定温度を上昇させたり下降させたりというように、実クラッチ温度の変化推移に追従する推定動作により精度の高いクラッチ温度推定が行われる。
よって、温度センサを用いることなく低コストによるシステムとしながら、実クラッチ温度に近いクラッチ推定温度を得ることで、クラッチ限界トルクでの駆動伝達を頻繁に行うような場合でも確実に電子制御クラッチの温度保証を行うことができる。
【0015】
また、入力エネルギの判断しきい値が加算判断基準値として設定され、クラッチ温度加減判断手段において、入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかが判断される。そして、クラッチ推定温度算出手段において、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量が加算され、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量が減算されることでクラッチ推定温度が算出される。
すなわち、入力エネルギが加算判断基準値以上であると推定温度を上げ、入力エネルギが加算判断基準値未満であると推定温度を下げるというように、入力エネルギの大小を比較することでクラッチ推定温度が算出される。
よって、加算判断基準値に対し入力エネルギの大小比較によりクラッチ温度を推定する手法を採用しているため、熱収支の細かな影響を無視することができる。
請求項1記載の発明にあっては、上記共通の作用効果に加え、下記の作用効果が得られる。
温度勾配係数設定手段において、その時のクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数と実温度勾配よりも急な温度下降係数とされ、その時のクラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数と実温度勾配よりも緩い温度下降係数とされる。そして、クラッチ推定温度算出手段の温度上昇量算出部において、その時のクラッチ推定温度に加算する温度上昇量が、設定された温度上昇係数に基づいて算出され、クラッチ推定温度算出手段の温度下降量算出部において、その時のクラッチ推定温度に減算する温度下降量が、設定された温度下降係数に基づいて算出される。
すなわち、砂路や深雪路等の走行時で、クラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数により高めの推定温度となり、また、実温度勾配よりも緩い温度下降係数とすることで推定温度の低下が小さく抑えられるため、限界使用域付近では、実際よりも厳しめにクラッチ温度が見積もられることになり、確実に電子制御クラッチを保護することができる。一方、通常走行時等でクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数により推定温度を高負荷温度域の推定温度に連続させており、また、実温度勾配よりも急な温度下降係数とすることで推定温度が早期にリセット方向に低下させられるため、推定温度と実温度との誤差が広がることで発生する実用走行温度域でのクラッチ保護制御の誤作動を防止することができる。
よって、実用走行温度域および高負荷温度域において、それぞれの走行シーンを考慮したクラッチ温度の推定を行うことができる。
【0016】
請求項2記載の発明にあっては、上記共通の作用効果に加え、下記の作用効果が得られる。
クラッチ温度の推定を許容する上限車速値を設定車速としたとき、クラッチ温度推定制御中止手段において、車速検出手段により検出される車速が設定車速以上であるときには、クラッチ推定温度算出手段によるクラッチ推定温度の算出が中止され初期状態にリセットされる。
よって、連続温度推定による誤差の積み上げを防止でき、クラッチ推定温度の推定精度を向上させることができる
【0017】
請求項3記載の発明にあっては、上記共通の作用効果に加え、下記の作用効果が得られる。
クラッチ保護制御手段において、クラッチ保護判定温度より高い温度としてクラッチ限界判定温度が設定され、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ締結力が強くされ、さらに、クラッチ推定温度が上昇してクラッチ限界判定温度に達するとクラッチ締結が解放されてクラッチ保護制御が行われる。
すなわち、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になった直後に、クラッチ締結を解放するクラッチ保護制御に入ると、車両は2輪駆動状態となり、4輪駆動状態での走行による高い駆動性能や旋回安定性能を生かしての走行距離や走行時間が短くなってしまう。
これに対し、例えば、クラッチ推定温度の温度上昇勾配が急な場合、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ締結力を強くし、クラッチ回転速度差を小さく抑えて、クラッチ推定温度の温度上昇勾配を緩やかにすることで、クラッチ保護制御が働くまでの4輪駆動状態での走行距離や走行時間を確保することができる。そして、クラッチ推定温度がクラッチ限界判定温度に達するとクラッチ締結を解放するクラッチ保護制御を行うことで、電子制御クラッチが温度保証の限界を超える高温状態になるのが回避される。
よって、4輪駆動状態での走行距離(時間)を確保しながら、確実に電子制御クラッチの温度保証による保護を達成することができる
【0018】
請求項4記載の発明にあっては、加算判断基準値が、クラッチ温度がほぼ一定の温度となる入力エネルギによって設定される。
よって、加算判断基準値をクラッチ固有の温度特性から設定することができる
【0019】
請求項5記載の発明にあっては、温度上昇量は、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合に、加算判断基準値に対する入力エネルギの増加量に比例して決定され、温度下降量は、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合に、入力エネルギの減少量に関係なく決定される。よって、温度上昇量は、入力エネルギの増加量に対する簡単な比例計算で算出することができ、温度下降量は、入力エネルギの減少量に関係なく一定値から求められるため、短時間での温度推定が可能となる
【0020】
請求項6記載の発明にあっては、温度勾配係数設定手段において、その時のクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数と実温度勾配よりも急な温度下降係数とされ、その時のクラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数と実温度勾配よりも緩い温度下降係数とされる。そして、クラッチ推定温度算出手段の温度上昇量算出部において、その時のクラッチ推定温度に加算する温度上昇量が、設定された温度上昇係数に基づいて算出され、クラッチ推定温度算出手段の温度下降量算出部において、その時のクラッチ推定温度に減算する温度下降量が、設定された温度下降係数に基づいて算出される。
すなわち、砂路や深雪路等の走行時で、クラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数により高めの推定温度となり、また、実温度勾配よりも緩い温度下降係数とすることで推定温度の低下が小さく抑えられるため、限界使用域付近では、実際よりも厳しめにクラッチ温度が見積もられることになり、確実に電子制御クラッチを保護することができる。一方、通常走行時等でクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数により推定温度を高負荷温度域の推定温度に連続させており、また、実温度勾配よりも急な温度下降係数とすることで推定温度が早期にリセット方向に低下させられるため、推定温度と実温度との誤差が広がることで発生する実用走行温度域でのクラッチ保護制御の誤作動を防止することができる。
よって、実用走行温度域および高負荷温度域において、それぞれの走行シーンを考慮したクラッチ温度の推定を行うことができる
【0021】
請求項7記載の発明にあっては、クラッチ保護判定温度より低い温度として通常制御モード復帰判定温度が設定され、通常制御モード復帰手段において、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になることでクラッチ締結力が強くされることにより、あるいは、クラッチ推定温度がクラッチ限界判定温度に達することでクラッチ締結が解放されることにより、クラッチ推定温度が通常制御モード復帰判定温度以下まで低下すると、保護制御モードから通常制御モードに復帰させられる。
よって、クラッチ推定温度を低下させる保護制御モードに入った場合、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度より低い通常制御モード復帰判定温度まで低下すると通常制御モードに復帰させられるため、通常制御モードへの復帰後、直ちに保護制御モードに入ることがない最適なタイミングにて通常制御モードに復帰させることができる。更に、電子制御クラッチの推定温度が保護を必要としない温度であれば、確実に4輪駆動状態を確保できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置を実現する実施の形態を、第1実施例および第2実施例に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例における4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置を示す全体システム図であり、1はエンジン、2はトランスミッション、3はフロントディファレンシャル、4,5はフロント側ドライブシャフト、6,7は左右の前輪、8はトランスファー、9はプロペラシャフト、10は電子制御クラッチ、11はリアディファレンシャル、12,13はリア側ドライブシャフト、14,15は左右の後輪である。
【0024】
すなわち、エンジン及びトランスミッション2を経過した駆動トルクを、前輪6,7側に伝達するFF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)をベースとし、電子制御クラッチ10を介して後輪14,15にエンジン駆動トルクの一部を伝達する4輪駆動車であり、駆動力配分比(%)は、電子制御クラッチ10が締結解放状態では、前輪:後輪=100:0(%)の前輪駆動配分比であり、電子制御クラッチ10が完全締結状態では、前輪:後輪=50:50(%)の前後輪等配分比であり、電子制御クラッチ10の締結度合いに応じて後輪配分比が0%〜50%まで無段階に制御される。
【0025】
前記電子制御クラッチ10は、4WDコントローラ16からの駆動電流により制御され、4WDコントローラ16には、モード切替スイッチ17からのモードスイッチ信号と、エンジン回転数センサ18からのエンジン回転数信号と、アクセル開度センサ19からのアクセル開度信号と、左前輪速センサ20からの左前輪速信号と、右前輪速センサ21からの右前輪速信号と、左後輪速センサ22からの左後輪速信号と、右後輪速センサ23からの右後輪速信号が入力され、4WDコントローラ16からは、電子制御クラッチ10の電磁ソレノイド24に対し駆動電流が出力されると共に、インジケータ25に対し表示指令が出力され、警告灯&警報26に対し点灯警報指令が出力される。
【0026】
図2は電子制御クラッチ10を示す概略図であり、図3は電子制御クラッチ10のカム機構を示す斜視図及び作用説明図である。
図2及び図3において、24は電磁ソレノイド、27はクラッチ入力軸、28はクラッチ出力軸、29はクラッチハウジング、30はアーマチュア、31はコントロールクラッチ、32はコントロールカム、33はメインカム、34はボール、35はメインクラッチ、36はカム溝である。
【0027】
前記クラッチ入力軸27は、一端部が前記プロペラシャフト9に連結され、他端部がクラッチハウジング29に固定され、前記クラッチ出力軸28は、前記リアディファレンシャル11の入力ギアに固定されている。
【0028】
前記コントロールクラッチ31は、クラッチハウジング29とコントロールカム32との間に介装されたクラッチで、前記メインクラッチ35は、クラッチハウジング29とクラッチ出力軸28との間に介装されたクラッチである。
【0029】
前記コントロールカム32と、メインカム33と、両カム32,33に形成されたカム溝36,36の間に挟持されたボール34により、図3に示すようにカム機構が構成される。
【0030】
ここで、電子制御クラッチ10の締結作動について説明する。
まず、4WDコントローラ16からの指令により、電磁ソレノイド24に電流が流されると、電磁ソレノイド24の回りに磁界が発生し、アーマチュア30をコントロールクラッチ31側に引き寄せる。この引き寄せられたアーマチュア30に押され、コントロールクラッチ31で摩擦トルクが発生し、コントロールクラッチ31で発生した摩擦トルクは、カム機構のコントロールカム32に伝達される。コントロールカム32に伝達されたトルクは、カム溝36,36及びボール34を介して軸方向のトルクに増幅・変換され、メインカム33をフロント方向に押し付ける。メインカム33がメインクラッチ35を押し、メインクラッチ35に電流値に比例した摩擦トルクが発生する。メインクラッチ35で発生したトルクは、クラッチ出力軸28を経過し、駆動トルクとしてリアディファレンシャル11へと伝達される。
【0031】
次に、作用を説明する。
【0032】
[入力エネルギの算出処理]
図4は4WDコントローラ16で実行される入力エネルギの算出処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0033】
ステップ40では、左前輪速センサ20からの左前輪速VFLと、右前輪速センサ21からの右前輪速VFRと、左後輪速センサ22からの左後輪速VRLと、右後輪速センサ23からの右後輪速VRRと、4WDコントローラ16から電磁ソレノイド24に対して出力される駆動電流Aが20msec毎に読み込まれる。
【0034】
ステップ41では、単位入力エネルギEnが、クラッチ伝達トルクTEと前後輪回転速度差△V(クラッチ回転速度差)を掛け合わせることで算出される。ここで、クラッチ伝達トルクTEは駆動電流Aに基づいて算出され、また、前後輪回転速度差△Vは、左右前輪速平均値と左右後輪速平均値との差により算出される。
【0035】
ステップ42では、ステップ41で算出された単位入力エネルギEnがメモリ(RAM)に書き込まれる。
【0036】
ステップ43では、カウント値Nに1が加算されてN+1とされる。
【0037】
ステップ44では、カウント値Nが設定カウント値N0(例えば、32)以上かどうかが判断され、NOの場合はステップ40へ戻り、YESの場合はステップ45へ進む。
【0038】
ステップ45では、カウント値NがN=0にクリアされる。
【0039】
ステップ46では、入力エネルギEがメモリされている単位入力エネルギEnの平均値演算により算出される。すなわち、設定カウント値N0が32の場合には、入力エネルギEは、640msec(=20msec×32)間の単位入力エネルギEnの平均値となる(図7参照)。
【0040】
[クラッチ保護制御処理]
図5は4WDコントローラ16で実行されるクラッチ保護制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この処理は、640msec/ルーチンで実行される。
【0041】
ステップ50では、図4のフローチャートで求められた入力エネルギEと車速Vが読み込まれる。
【0042】
ステップ51では、車速Vが設定車速V0以上かどうかが判断され、YESの場合にはステップ52へ進み、クラッチ推定温度T1を初期温度T0に設定してクラッチ推定温度T1の算出が中止され初期状態にリセットされる。ここで、設定車速V0は、クラッチ温度の推定を許容する上限車速値により決められる。また、ステップ51でNOの場合はステップ53以降の流れに進む。
【0043】
ステップ53では、入力エネルギEが加算判断基準値E0以上かどうかが判断され、YESの場合はステップ54〜ステップ56の温度上昇側推定処理に進み、NOの場合はステップ57〜ステップ59の温度下降側推定処理に進む。ここで、加算判断基準値E0は、発熱量と放熱量とがほぼ同じであり、クラッチ温度がほぼ一定の温度となる入力エネルギEの判断しきい値として設定されるもので、クラッチ固有の固定値として与えるものとする。
【0044】
ステップ54では、加算判断基準値E0に対する入力エネルギEの増加量(=E−E0)を温度上昇量に換算した暫定温度上昇量△T1upを、クラッチ推定温度T1(最初の推定時は初期温度T0)に加算して、その時の暫定クラッチ推定温度T1zが算出される。
【0045】
ステップ55では、その時の暫定クラッチ推定温度T1zにより温度上昇係数Kupが設定される。つまり、図6に示すように、その時の暫定クラッチ推定温度T1zが実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数Kup1とされ、その時のクラッチ推定温度T1が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数Kup2とされる。
【0046】
ステップ56では、ステップ55で設定された温度上昇係数Kupと暫定温度上昇量△T1upとの積により温度上昇量△Tupが算出される。
【0047】
ステップ57では、今回のクラッチ推定温度T1nが、前回のクラッチ推定温度T1に温度上昇量△Tupを加算することで算出される。
【0048】
ステップ58では、加算判断基準値E0に対する入力エネルギEの減少量を一定値とし、その一定値を温度下降量に換算した暫定温度下降量△T1dnを、クラッチ推定温度T1(最初の推定時は初期温度T0)から減算して、その時の暫定クラッチ推定温度T1zが算出される。
【0049】
ステップ59では、その時の暫定クラッチ推定温度T1zにより温度下降係数Kdnが設定される。つまり、図6に示すように、その時の暫定クラッチ推定温度T1zが実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度下降係数Kdn1とされ、その時のクラッチ推定温度T1が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度下降係数Kdn2とされる。
【0050】
ステップ60では、ステップ59で設定された温度下降係数Kdnと暫定温度下降量△T1dn(一定値)との積により温度下降量△Tdnが算出される。
【0051】
ステップ61では、今回のクラッチ推定温度T1nが、前回のクラッチ推定温度T1に温度下降量△Tdnを減算することで算出される。
【0052】
ステップ62では、ステップ57もしくはステップ61で算出されたクラッチ推定温度T1nがクラッチ保護判定温度Tp以上かどうかが判断され、NOの場合は、ステップ63へ進み、クラッチ推定温度T1nが初期温度T0を超えるかどうかが判断され、T1n>T0の場合は、今回のクラッチ推定温度T1nがそのままクラッチ推定温度T1とされ、T1n≦T0の場合は、初期温度T0がクラッチ推定温度T1とされる。ステップ62でT1n≧Tpの場合は、ステップ66以降のクラッチ保護処理へ進む。
【0053】
ステップ66では、駆動電流AがA=0とされる。つまり、電子制御クラッチ10が解放状態とされる。
【0054】
ステップ67では、警告灯&警報26に対しランプ点滅および警報作動により保護制御モードであることがドライバに知らされる。
【0055】
ステップ68では、ステップ62でYESと判断された時点から開始されるタイマ値TIMが設定タイマ値TIM0(例えば、60sec)以上かどうかが判断され、設定タイマ値TIM0となるまで、ステップ66およびステップ67のクラッチ保護作動が継続され、設定タイマ値TIM0になるとステップ50へ戻りクラッチ温度推定が再開される。
【0056】
[電子制御クラッチの温度保証作用]
例えば、砂漠等を走破するときには、図4のステップ41において、電子制御クラッチ10の入出力軸間の相対回転速度差が前後輪回転速度差△Vにより算出され、電子制御クラッチ10を介して伝達されるクラッチ伝達トルクTEが駆動電流Aに基づいて推定され、電子制御クラッチ7に加わる単位入力エネルギEnが、クラッチ伝達トルクTEと前後輪回転速度差△Vを掛け合わせることで算出され、ステップ46において、入力エネルギEがメモリされている単位入力エネルギEnの平均値演算により算出される。すなわち、図7のエネルギ(ENERGY)に示すように、20msec毎の単位入力エネルギEnが32本算出され、640msec間の単位入力エネルギEnの平均値により入力エネルギEが計算される。
【0057】
そして、図5のフローチャートにおいて、算出された入力エネルギEの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動が予測され、この温度変動予測に基づき、ステップ57またはステップ61において、今回のクラッチ推定温度T1nが算出され、ステップ62において、算出された今回のクラッチ推定温度T1nがクラッチ保護判定温度Tp以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御として、電子制御クラッチ10を設定時間解放する制御が行われる。
【0058】
すなわち、電子制御クラッチ10に加わる入力エネルギEをクラッチ相対滑り(前後輪回転速度差△V)とクラッチ伝達トルクTEにより算出し、入力エネルギEの大きさによるクラッチ温度の変動予測に基づいて今回のクラッチ推定温度T1nが算出される。つまり、入力エネルギが大きく変動するような場合、従来技術のように、指令トルクが低くなる毎にクラッチ推定温度がリセットされることなく、図7の推定温度の算出に示すように、入力エネルギEの大きさによりクラッチ推定温度T1を上昇させたり下降させたりというように、実クラッチ温度の変化推移に追従する推定動作により精度の高いクラッチ温度推定が行われる。
【0059】
よって、温度センサを用いることなく低コストによるシステムとしながら、実クラッチ温度に近いクラッチ推定温度T1を得ることで、例えば、砂漠や雪道等を走破するときのように、クラッチ限界トルクでの駆動伝達を頻繁に行うような場合でも確実に電子制御クラッチ10の温度保証を行うことができる。
【0060】
[入力エネルギ基準によるクラッチ温度推定作用]
クラッチ温度を推定するにあたって、クラッチ温度がほぼ一定の温度となる入力エネルギの判断しきい値が加算判断基準値E0として設定され、ステップ53(クラッチ温度加減判断手段)において、図4のフローチャート(入力エネルギ算出手段)により算出された入力エネルギEが設定された加算判断基準値E0以上かどうかが判断される。そして、ステップ54〜ステップ61(クラッチ推定温度算出手段)において、入力エネルギEが加算判断基準値E0以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度T1に温度上昇量△Tupが加算され、また、入力エネルギEが加算判断基準値E0未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度T1に温度下降量△Tdnが減算されることで今回のクラッチ推定温度T1nが算出される。
【0061】
すなわち、図7の温度加減判断に示すように、入力エネルギEが加算判断基準値E0以上であると推定温度を上げ、入力エネルギEが加算判断基準値E0未満であると推定温度を下げるというように、入力エネルギEの大小を比較することでクラッチ推定温度が算出される。
【0062】
よって、クラッチ固有の温度特性により決められる加算判断基準値E0に対し入力エネルギEの大小比較によりクラッチ温度を推定する手法を採用しているため、熱収支の細かな影響を無視することができる。
【0063】
[温度勾配係数によるクラッチ温度推定作用]
クラッチ温度を推定するにあたって、図6(温度勾配係数設定手段)に示すように、その時の暫定クラッチ推定温度T1zが実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数Kup1と実温度勾配よりも急な温度下降係数Kdn1とされ、その時の暫定クラッチ推定温度T1zが高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数Kup2と実温度勾配よりも緩い温度下降係数Kdn2とされる。
【0064】
そして、図7の温度変動量の算出に示すように、ステップ55およびステップ56(温度上昇量算出部)において、その時のクラッチ推定温度T1に加算する温度上昇量△Tupが、設定された温度上昇係数Kup1またはKup2に基づいて算出され、ステップ59およびステップ60(温度下降量算出部)において、その時のクラッチ推定温度T1に減算する温度下降量△Tdnが、設定された温度下降係数Kdn1またはKdn2に基づいて算出される。
【0065】
すなわち、砂路や深雪路等の走行時で、暫定クラッチ推定温度T1zが高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数Kup2により高めの推定温度となり、また、実温度勾配よりも緩い温度下降係数Kdn2とすることで推定温度の低下が小さく抑えられるため、限界使用域付近では、実際よりも厳しめにクラッチ温度が見積もられることになり、確実に電子制御クラッチ10を保護することができる。
【0066】
一方、通常走行時等で暫定クラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数Kup1により推定温度を高負荷温度域の推定温度に連続させており、また、実温度勾配よりも急な温度下降係数Kdn1とすることで推定温度が早期にリセット方向に低下させられるため、推定温度と実温度との誤差が広がることで発生する実用走行温度域でのクラッチ保護制御の誤作動を防止することができる。
【0067】
よって、実用走行温度域および高負荷温度域において、それぞれの走行シーンを考慮したクラッチ温度の推定を行うことができる。
【0068】
[クラッチ温度推定の中止作用]
クラッチ温度の推定を許容する上限車速値を設定車速V0としたとき、図5のステップ51およびステップ52(クラッチ温度推定制御中止手段)において、車速Vが設定車速V0以上であるときには、ステップ53以降のクラッチ推定温度T1nの算出が中止され、クラッチ推定温度T1を初期値T0にし、初期状態にリセットされる。
【0069】
よって、連続温度推定による誤差の積み上げを防止でき、クラッチ推定温度の推定精度を向上させることができる。
【0070】
次に、効果を説明する。
【0071】
(1) 電子制御クラッチ10に加わる入力エネルギEをクラッチ10の相対滑り(前後輪回転速度差△V)とクラッチ伝達トルクTEにより算出し、入力エネルギEの大きさによるクラッチ温度の変動予測に基づいてクラッチ推定温度T1を算出し、実クラッチ温度の変化推移に追従する推定動作により精度の高いクラッチ温度推定を行うようにしたため、温度センサを用いることなく低コストによるシステムとしながら、実クラッチ温度に近いクラッチ推定温度を得ることで、クラッチ限界トルクでの駆動伝達を頻繁に行うような場合でも確実に電子制御クラッチ10の温度保証を行うことができる。
【0072】
(2) 入力エネルギEが加算判断基準値E0以上であると推定温度を上げ、入力エネルギEが加算判断基準値E0未満であると推定温度を下げるというように、入力エネルギEの大小を比較することでクラッチ推定温度T1を算出するようにしたため、熱収支の細かな影響を無視することができる。
【0073】
(3) 砂路や深雪路等の走行時で、暫定クラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数Kup2により高めの推定温度となり、また、実温度勾配よりも緩い温度下降係数Kdn2とすることで推定温度の低下が小さく抑えられるため、限界使用域付近では、実際よりも厳しめにクラッチ温度が見積もられることになり、確実に電子制御クラッチ10を保護することができる。
【0074】
一方、通常走行時等で暫定クラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数Kup1により推定温度を高負荷温度域の推定温度に連続させており、また、実温度勾配よりも急な温度下降係数Kdn1とすることで推定温度が早期にリセット方向に低下させられるため、推定温度と実温度との誤差が広がることで発生する実用走行温度域でのクラッチ保護制御の誤作動を防止することができる。
【0075】
(4) クラッチ温度の推定を許容する上限車速値を設定車速V0としたとき、車速Vが設定車速V0以上であるときには、クラッチ推定温度の算出を中止し初期状態にリセットするようにしたため、連続温度推定による誤差の積み上げを防止でき、クラッチ推定温度の推定精度を向上させることができる。
【0076】
(第2実施例)
第1実施例では、クラッチ保護制御として、クラッチ推定温度T1nがクラッチ保護判定温度Tp以上になると、電子制御クラッチ10を設定時間解放する制御(2WD)を行う例を示したが、この第2実施例では、クラッチ保護制御として、クラッチ推定温度T1nがクラッチ保護判定温度Tp以上になると、電子制御クラッチ10を完全4輪駆動状態(ロック状態)が得られるように強く締結し、さらに、クラッチ推定温度T1nがクラッチ限界判定温度Tc以上になると、電子制御クラッチ10を解放する制御(2WD)を行う例である。
【0077】
なお、図1ないし図3に示す構成は、第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0078】
次に作用を説明する。
【0079】
まず、第2実施例の4WDコントローラ16で実行される入力エネルギの算出処理については、図4に示す第1実施例のフローチャートによりなされるので、図示並びに説明を省略する。
【0080】
[クラッチ保護制御処理]
図8は第2実施例の4WDコントローラ16で実行されるクラッチ保護制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この処理は、640msec/ルーチンで実行される。
【0081】
ステップ80では、図4のフローチャートで求められた入力エネルギEと車速Vが読み込まれる。
【0082】
ステップ81では、車速Vが設定車速V0以上かどうかが判断され、YESの場合にはステップ82へ進み、クラッチ推定温度T1を初期温度T0に設定してクラッチ推定温度T1の算出が中止され初期状態にリセットされる。ここで、設定車速V0は、クラッチ温度の推定を許容する上限車速値により決められる。また、ステップ81でNOの場合はステップ83以降の流れに進む。
【0083】
ステップ83では、図5のステップ53〜ステップ61の処理(第1実施例参照)により今回のクラッチ推定温度T1nが算出される。
【0084】
ステップ84では、ステップ83で算出された今回のクラッチ推定温度T1nが、クラッチ限界判定温度Tc以上かどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ94及びステップ95へ進み、NOの場合は、ステップ85へ進む。
【0085】
ステップ85では、ステップ83で算出された今回のクラッチ推定温度T1nがクラッチ保護判定温度Tp以上かどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ88へ進み、NOの場合は、ステップ86へ進む。
【0086】
ステップ86では、ステップ83で算出された今回のクラッチ推定温度T1nがAUTOモード復帰温度Tを超えているかどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ89へ進み、NOの場合は、ステップ87へ進む。
【0087】
ステップ87では、ステップ83で算出された今回のクラッチ推定温度T1nが初期温度T0を超えているかどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ92へ進み、NOの場合は、ステップ91を経過してステップ92へ進む。
【0088】
ステップ88では、4WDトルク=0かどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ94へ進み、NOの場合は、ステップ93へ進む。
【0089】
ステップ89では、4WDトルク=0かどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ94へ進み、NOの場合は、ステップ90へ進む。
【0090】
ステップ90では、4WDトルク=Lockかどうかが判断される。この判断で、YESの場合はステップ93へ進み、NOの場合は、ステップ92へ進む。
【0091】
ステップ91では、ステップ87でT1n≦T0の場合は、クラッチ推定温度T1が初期温度T0に設定される。
【0092】
ステップ92では、ステップ90で4WDトルク≠Lockであると判断された場合、あるいは、ステップ87でT1n>T0であると判断された場合、あるいは、ステップ91でT1=T0に設定された場合、4WDトルク=AUTOとされ、電子制御クラッチ10が4輪駆動制御則(例えば、前後輪回転速度差が大きいほど電子制御クラッチ10の締結力を高める回転速度差対応制御等)に従って可変締結力による通常の前後輪駆動トルク配分制御状態とされる。
【0093】
ステップ93では、ステップ88で4WDトルク≠0であると判断された場合、あるいは、ステップ90で4WDトルク=Lockであると判断された場合、4WDトルク=Lock(駆動電流A=最大電流)とされ、電子制御クラッチ10が完全締結状態とされる。
【0094】
ステップ94では、ステップ84でT1n≧Tcと判断された場合、あるいは、ステップ88またはステップ89で4WDトルク=0と判断された場合、クラッチ保護処理として4WDトルク=0(駆動電流A=0)とされ、電子制御クラッチ10が解放状態とされる。
【0095】
ステップ95では、警告灯&警報26に対しランプ点滅および警報作動により保護制御モードであることがドライバに知らされる。
【0096】
[電子制御クラッチの温度保証作用]
電子制御クラッチの温度保証作用について、図8のフローチャートと図9のタイムチャートに基づいて説明する。
【0097】
▲1▼T1≧Tcになる場合
例えば、車速Vが設定車速V0未満の走行状態で、クラッチ推定温度T1の温度上昇勾配が急な砂漠等を走破するとき、図9のt0時点からt1時点となるまでの間は、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ86→ステップ87→ステップ91→ステップ92へと進む流れとなり、ステップ91において、クラッチ推定温度T1が、T1=T0(初期温度)に設定され、ステップ92において、4WDトルク=AUTOとされる。
【0098】
そして、クラッチ推定温度T1が上昇し、クラッチ保護判定温度Tpとなるまでの間、つまり、図9のt1時点からt2時点となるまでの間は、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ86→ステップ87→ステップ92へと進む流れとなり、ステップ92において、4WDトルク=AUTOとされる。
【0099】
そして、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tpになる図9のt2時点では、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85へと進む流れとなり、ステップ85において、T1n≧Tpの条件を満足すると、ステップ88へ進み、4WDトルク≠0でないと確認されると、ステップ93に進み、4WDトルク=AUTOから4WDトルク=Lockに変更される。さらに、T1n≧Tpの条件を満足しながら、クラッチ推定温度T1がクラッチ限界判定温度Tcになるまでの図9のt2時点からt3時点となるまでの間は、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ88→ステップ93へと進む流れとなり、4WDトルク=Lockの状態が維持される。
【0100】
そして、4WDトルク=Lockの状態とすることで、クラッチ温度上昇勾配を抑えているにもかかわらず、クラッチ推定温度T1がクラッチ限界判定温度Tcになる図9のt3時点では、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84へと進む流れとなり、ステップ84において、T1n≧Tcの条件を満足すると、ステップ94に進み、4WDトルク=Lockから4WDトルク=0に変更され、次のステップ95に進み、警告灯&警報26に対しランプ点滅および警報作動がなされる。
【0101】
そして、T1n≧Tpの条件を満足しながら4WDトルク=0(クラッチ解放)によりクラッチ推定温度T1が低下する図9のt3時点からt4時点となるまでの間は、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ88→ステップ94→ステップ95へと進む流れとなり、4WDトルク=0が維持されると共に、ランプ点滅および警報作動がなされる。さらに、T<T1n<Tpの条件を満足しながら4WDトルク=0によりクラッチ推定温度T1が低下する図9のt4時点からt5時点となるまでの間は、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ86→ステップ89→ステップ94→ステップ95へと進む流れとなり、4WDトルク=0が維持されると共に、ランプ点滅および警報作動がなされる。
【0102】
そして、クラッチ推定温度T1がAUTOモード復帰温度Tにまで低下した図9のt5時点では、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ86→ステップ87→ステップ92へと進む流れとなり、ステップ92において、4WDトルク=0から4WDトルク=AUTOに変更され、4WDトルク=AUTOが維持される。
【0103】
▲2▼Tp≦T1<Tcになる場合
図9のt0時点からt2時点となるまでの間と、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tpとなるt2時点で4WDトルク=AUTOから4WDトルク=Lockに変更され点は、上記T1≧Tcになる場合の例と同様である。
【0104】
そして、T1n≧Tpの条件を満足しながらクラッチ推定温度T1が推移する図9のt2時点からt6時点となるまでの間は、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ88→ステップ93へと進む流れとなり、4WDトルク=Lockの状態が維持される。
【0105】
そして、4WDトルク=Lockの状態とすることで、クラッチ温度が徐々に下降し、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tp未満になる図9のt6時点では、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ86→ステップ89→ステップ90へと進む流れとなり、ステップ90において、4WDトルク=Lockであると確認されると、ステップ93に進み、4WDトルク=Lockが維持される。
【0106】
そして、クラッチ推定温度T1がAUTOモード復帰温度Tにまで低下した図9のt7時点では、図8のフローチャートにおいて、ステップ80→ステップ81→ステップ83→ステップ84→ステップ85→ステップ86→ステップ87→ステップ92へと進む流れとなり、ステップ92において、4WDトルク=Lockから4WDトルク=AUTOに変更され、4WDトルク=AUTOが維持される。
【0107】
[クラッチ保護作用]
第2実施例のクラッチ保護制御においては、クラッチ保護判定温度Tpより高い温度としてクラッチ限界判定温度Tcが設定され、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tp以上になると、クラッチ締結力が強くされ(4WDトルク=Lock)、さらに、クラッチ推定温度T1が上昇してクラッチ限界判定温度Tcに達するとクラッチ締結が解放(4WDトルク=0)される。
【0108】
すなわち、第1実施例のようにクラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tp以上になると、クラッチ締結を直ちに解放するクラッチ保護制御に入ると、図9のt2時点で車両は2輪駆動状態となり、4輪駆動状態での走行による高い駆動性能や旋回安定性能を生かしての走行距離や走行時間が短くなってしまう。
【0109】
これに対し、例えば、クラッチ推定温度T1の温度上昇勾配が急な場合、クラッチ保護判定温度Tp以上になると、クラッチ締結力を強くしクラッチ回転速度差を小さく抑えて、クラッチ推定温度t1の温度上昇勾配を緩やかにすることで、図9のt3時点にてクラッチ保護制御が働くまで、4輪駆動状態での走行距離や走行時間が確保される。
【0110】
加えて、クラッチ限界判定温度Tcに達すると第1実施例と同様に、クラッチ締結を解放するクラッチ保護制御を行うことで、電子制御クラッチ10が温度保証の限界を超える高温状態になるのが回避される。
【0111】
なお、4WDトルク=Lockとする第1段階でのクラッチ保護制御により、状況によってはクラッチ推定温度T1の温度上昇が抑えられ、クラッチ限界判定温度Tcに達しなくすることができるという効果も得られるし、クラッチ限界判定温度Tcに達しない場合には、図9に示すように、t2時点からt7時点までのロックモードを含んで、4輪駆動状態をそのまま維持することができる。
【0112】
[AUTOモードへの復帰作用]
クラッチ保護判定温度Tpより低い温度としてAUTOモード復帰判定温度Tが設定され、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tp以上になることでクラッチ締結力が強くされることにより(図9のT1n<Tcの特性)、あるいは、クラッチ推定温度T1がクラッチ限界判定温度Tcに達することでクラッチ締結が解放されることにより(図9のT1n≧Tcの特性)、クラッチ推定温度T1がAUTOモード復帰判定温度T以下まで低下すると、これらの保護制御モードから通常制御のAUTOモードに復帰させられる。
【0113】
よって、クラッチ推定温度T1を低下させる保護制御モードに入った場合、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tpより低いAUTOモード復帰判定温度Tまで低下するとAUTOモードに復帰させられるため、AUTOモードへの復帰後、直ちに保護制御モードに入ることがない最適なタイミングにて通常制御が行われるAUTOモードに復帰させることができる。更に、電子制御クラッチ10の推定温度が保護を必要としない温度であれば、確実にAUTOモードの4輪駆動状態を確保することができる。
【0114】
次に、効果を説明する。
【0115】
この第2実施例の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置にあっては、第1実施例の効果に加え、下記の効果が得られる。
【0116】
(5) クラッチ保護判定温度Tpより高い温度としてクラッチ限界判定温度Tcが設定され、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tp以上になると、クラッチ締結力が強くされ、さらに、クラッチ推定温度T1が上昇してクラッチ限界判定温度Tcに達するとクラッチ締結が解放されるクラッチ保護制御が行われるため、4輪駆動状態での走行距離(時間)を確保しながら、確実に電子制御クラッチ10の温度保証による保護を達成することができる。
【0117】
(6) クラッチ保護判定温度Tpより低い温度としてAUTOモード復帰判定温度Tが設定され、クラッチ推定温度T1がクラッチ保護判定温度Tp以上になることでクラッチ締結力が強くされることにより、あるいは、クラッチ推定温度T1がクラッチ限界判定温度Tcに達することでクラッチ締結が解放されることにより、クラッチ推定温度T1がAUTOモード復帰判定温度T以下まで低下すると、これらの保護制御モードから通常制御のAUTOモードに復帰させる復帰制御が行われるため、第1実施例のように設定時間の経過による復帰制御に比べ、AUTOモードへの復帰後、直ちに保護制御モードに入ることがない最適なタイミングにて、AUTOモードに復帰させることができる。更に、電子制御クラッチ10の推定温度が保護を必要としない温度であれば、確実にAUTOモードの4輪駆動状態を確保することができる。
【0118】
(他の実施例)
第1及び第2実施例では、前輪駆動ベースによる前後輪トルク配分制御装置の例を示したが、後輪駆動ベースによる前後輪トルク配分制御装置や、前輪駆動系と後輪駆動系にそれぞれ電子制御クラッチを設けて前後輪のトルク配分を制御する装置にも適用することができる。
【0119】
第1及び第2実施例では、電子制御クラッチとして、電磁ソレノイドにより作動するコントロールクラッチと、カム機構を介して増幅したトルクにより締結されるメインクラッチを用いたクラッチの例を示したが、特開平04−103433号公報に記載されているように、制御油圧により締結される多板クラッチを用いたものにも適用することができる。
【0120】
第1及び第2実施例では、車速が設定車速以上であるときにクラッチ推定温度の算出を中止し、初期状態にリセットする例を示したが、時間が設定時間を経過したらクラッチ推定温度の算出を中止し、初期状態にリセットするというように、タイマー管理によりクラッチ温度推定を中止するようにしても良い。
【0121】
第1及び第2実施例では、入力エネルギEの加算判断基準値E0を固定値により与える例を示したが、加算判断基準値E0は発熱量と放熱量がほぼ同じで、クラッチ温度がほぼ一定に保たれる判断しきい値であるため、例えば、外気温が低いほど放熱量が多くなるというように、外気温により熱収支の関係が異なってくるため、外気温センサからの外気温に応じた可変値により与えるようにしても良い。同様に、クラッチ推定温度T1nの初期温度T0も、外気温センサからの外気温に応じた可変値により与えるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置を示す全体システム図である。
【図2】4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置に用いられた電子制御クラッチを示す概略図である。
【図3】4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置に用いられた電子制御クラッチのカム機構を示す斜視図である。
【図4】4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置に用いられた4WDコントローラで行われる入力エネルギ算出処理を示すフローチャートである。
【図5】4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置に用いられた4WDコントローラで行われるクラッチ保護制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】温度上昇量や温度下降量の算出で用いられる温度勾配係数によるクラッチ推定温度と実クラッチ温度との比較特性を示す図である。
【図7】第1実施例での4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置での入力エネルギ算出、温度加減判断、温度変動量の算出、推定温度の算出、クラッチ保護中フラグを示すタイムチャートである。
【図8】第2実施例の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置に用いられた4WDコントローラで行われるクラッチ保護制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2実施例のクラッチ保護制御処理及び復帰制御処理の一例を示すタイムチャートである。
【図10】従来の保護制御での制御開始条件を示すタイムチャートである。
【図11】従来の保護制御でのクラッチ温度推定処理を採用した場合の実温度と推定温度を示す比較特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 トランスミッション
3 フロントディファレンシャル
4,5 フロント側ドライブシャフト
6,7 左右の前輪
8 トランスファー
9 プロペラシャフト
10 電子制御クラッチ
11 リアディファレンシャル
12,13 リア側ドライブシャフト
14,15 左右の後輪
16 4WDコントローラ
17 モード切替スイッチ
18 エンジン回転数センサ
19 アクセル開度センサ
20 左前輪速センサ
21 右前輪速センサ
22 左後輪速センサ
23 右後輪速センサ
24 電磁ソレノイド
25 インジケータ
26 警告灯&警報
27 クラッチ入力軸
28 クラッチ出力軸
29 クラッチハウジング
30 アーマチュア
31 コントロールクラッチ
32 コントロールカム
33 メインカム
34 ボール
35 メインクラッチ
36 カム溝

Claims (7)

  1. 前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車において、
    前記電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差を検出するクラッチ回転速度差検出手段と、
    前記電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクを推定するクラッチ伝達トルク推定手段と、
    前記クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより前記電子制御クラッチに加わる入力エネルギを算出する入力エネルギ算出手段と、
    算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動を予測し、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度を算出するクラッチ推定温度算出手段と、
    算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御を行うクラッチ保護制御手段とを備え、
    入力エネルギの判断しきい値を加算判断基準値として設定し、前記入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかを判断するクラッチ温度加減判断手段を設け、
    その時のクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数と実温度勾配よりも急な温度下降係数とし、その時のクラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数と実温度勾配よりも緩い温度下降係数とする温度勾配係数設定手段を設け、
    前記クラッチ推定温度算出手段を、その時のクラッチ推定温度に加算する温度上昇量を、前記温度上昇係数に基づいて算出する温度上昇量算出部と、その時のクラッチ推定温度に減算する温度下降量を、前記温度下降係数に基づいて算出する温度下降量算出部を有し、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量を加算し、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量を減算することでクラッチ推定温度を算出する手段としたことを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
  2. 前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車において、
    前記電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差を検出するクラッチ回転速度差検出手段と、
    前記電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクを推定するクラッチ伝達トルク推定手段と、
    前記クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより前記電子制御クラッチに加わる入力エネルギを算出する入力エネルギ算出手段と、
    算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動を予測し、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度を算出するクラッチ推定温度算出手段と、
    算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御を行うクラッチ保護制御手段とを備え、
    入力エネルギの判断しきい値を加算判断基準値として設定し、前記入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかを判断するクラッチ温度加減判断手段を設け、
    前記クラッチ推定温度算出手段を、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量を加算し、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量を減算することでクラッチ推定温度を算出する手段とし
    車速を検出する車速検出手段を設け、
    クラッチ温度の推定を許容する上限車速値を設定車速としたとき、検出される車速が設 定車速以上であるときには、前記クラッチ推定温度算出手段によるクラッチ推定温度の算出を中止して初期状態にリセットするクラッチ温度推定制御中止手段を設けたことを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
  3. 前後輪に伝達されるトルク配分を制御する電子制御クラッチを有する4輪駆動車において、
    前記電子制御クラッチの入出力軸間の相対回転速度差を検出するクラッチ回転速度差検出手段と、
    前記電子制御クラッチを介して伝達される駆動トルクを推定するクラッチ伝達トルク推定手段と、
    前記クラッチ回転速度差とクラッチ伝達トルクにより前記電子制御クラッチに加わる入力エネルギを算出する入力エネルギ算出手段と、
    算出された入力エネルギの大きさに応じ、時間の経過と共に上昇したり下降したりするクラッチ温度の変動を予測し、この温度変動予測に基づいてクラッチ推定温度を算出するクラッチ推定温度算出手段と、
    算出されたクラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ温度を降下させるクラッチ保護制御を行うクラッチ保護制御手段とを備え、
    入力エネルギの判断しきい値を加算判断基準値として設定し、前記入力エネルギ算出手段により算出された入力エネルギが設定された加算判断基準値以上かどうかを判断するクラッチ温度加減判断手段を設け、
    前記クラッチ推定温度算出手段を、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度上昇量を加算し、また、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合には、その時のクラッチ推定温度に温度下降量を減算することでクラッチ推定温度を算出する手段とし
    前記クラッチ保護制御手段は、クラッチ保護判定温度より高い温度としてクラッチ限界判定温度を設定し、クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になると、クラッチ締結力を強くし、さらに、クラッチ推定温度が上昇してクラッチ限界判定温度に達するとクラッチ締結を解放するクラッチ保護制御を行う手段であることを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
    前記加算判断基準値は、クラッチ温度がほぼ一定の温度となる入力エネルギにより設定されることを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
    前記温度上昇量は、入力エネルギが加算判断基準値以上であると判断された場合に、加算判断基準値に対する入力エネルギの増加量に比例して決定され、前記温度下降量は、入力エネルギが加算判断基準値未満であると判断された場合に、入力エネルギの減少量に関係なく決定されることを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
  6. 請求項2または請求項3に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
    その時のクラッチ推定温度が実用走行温度域であるときには、実温度勾配よりも緩い温度上昇係数と実温度勾配よりも急な温度下降係数とし、その時のクラッチ推定温度が高負荷温度域であるときには、実温度勾配よりも急な温度上昇係数と実温度勾配よりも緩い温度下降係数とする温度勾配係数設定手段を設け、前記クラッチ推定温度算出手段を、その時のクラッチ推定温度に加算する温度上昇量を、前記温度上昇係数に基づいて算出する温度上昇量算出部と、その時のクラッチ推定温度に減算する温度下降量を、前記温度下降係数に基づいて算出する温度下降量算出部を有する手段としたことを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
  7. 請求項3に記載の4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置において、
    前記クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度に達するまでにクラッチに作用する制御モードを通常制御モードとし、前記クラッチ保護判定温度より低い温度として通常制御モード復帰判定温度を設定し、
    クラッチ推定温度がクラッチ保護判定温度以上になることでクラッチ締結力が強くされることにより、あるいは、クラッチ推定温度がクラッチ限界判定温度に達することでクラッチ締結が解放されることにより、クラッチ推定温度が前記通常制御モード復帰判定温度以下まで低下すると、保護制御モードから通常制御モードに復帰させる通常制御モード復帰手段を設けたことを特徴とする4輪駆動車の前後輪トルク配分制御装置。
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