JP3574723B2 - 食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性能を有する食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムは、スーパーマーケット市場における精肉、鮮魚、青果などの食品包装材料に用いられる、いわゆるラップフィルムとして多量に使用されている。また、飲食店や一般家庭においても調理材料や食品の保存などに使用されている。昨今、消費者の衛生意識の高まりや食中毒の発生防止対策において、このラップフィルムに抗菌性能を付与したものが使用されるようになってきた。これはフィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物に抗菌剤を添加したものが一般的である。さらにこの抗菌剤は抗菌成分として無機系の抗菌剤が用いられ、その構成は無機物質を担体とした抗菌成分が銀イオンである抗菌剤が広く使用されている。このような例として、特許第2520361号公報、実開平1−175814号公報が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら抗菌金属成分として銀を使用したものは、フィルムが光により著しく変色して、品質低下をもたらすという欠点があった。さらにこれら抗菌剤は抗菌力を発揮するため、フィルムの表面から露出し、抗菌成分である銀イオンが酸化されてしまい、変色を抑えることができなかった。また銀を使用しているため、この価格が高いという問題があった。
さらにこうした抗菌剤を添加して溶融押出法によってフィルムを成形する場合、抗菌剤が押出機内に付着し易いため、成形時の滑性を低下させ、その結果、成形加工時に、特に塩化ビニル樹脂では加熱分解物が発生し易くなり、この分解物が異物となってフィルムに混入し、品質低下を引き起こすという不都合や安定した成形性が得られないという問題があった。
そのため、こうした銀系の抗菌剤を使用したフィルムの問題点を解決することが要求されていた。
【0004】
したがって、本発明はこのような従来技術の問題点を解決し、抗菌性能に優れ、光による変色がなく、押出成形性の優れた塩化ビニル系樹脂組成物からなる食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩化ビニル系樹脂100重量部、可塑剤20〜60重量部、カルシウム−亜鉛系安定剤0.1〜2.5重量部からなる混合物を90〜140℃で混合した後、冷却させ、前記混合物100重量部に対し、下記一般式(I)で示される無機化合物を0.01〜1重量部添加して、樹脂温度が70〜80で混合してなる塩化ビニル系樹脂組成物であって、200℃における溶融粘度が0.47×10 4 〜1.65×10 4 POISEの範囲である前記組成物を、厚さ5〜100μmに成形してなる食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムである。
[M1 2+]1-x[M2 2+]x O……(I)
(式中、M1 はMgおよび/またはCaを、M2 はZnを示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示す。)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂としては、重合度700〜1700、特には重合度1000〜1300の塩化ビニル単独重合体が好ましい。この塩化ビニル単独重合体の他に、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、塩化ビニル系重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト重合させたグラフト共重合体などが挙げられ、これらの共重合体は共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低下するので、塩化ビニルを60重量%以上含有するのが好ましい。
【0007】
上記の塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸またはメタアクリル酸のエステル類、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
【0008】
上記の塩化ビニル系重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフトできるものであればよく、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
これらの塩化ビニル系樹脂は1種単独または2種以上の組み合わせで使用される。また、上記の塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などのいずれの重合方法で得られたものでもよい。
【0009】
本発明に用いられる第二成分としての可塑剤は、イ)炭素数が8以上のアルキル基を有するアジピン酸エステル系可塑剤、ロ)炭素数が10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤、およびハ)エポキシ化植物油系可塑剤の3種類の中から少なくとも2種以上を適宜選択して使用されるが、中でもその組み合わせはイ)とロ)とハ)、イ)とハ)、ロ)とハ)のものが好ましい。
イ)の可塑剤の具体例としては、ジオクチルアジペート(DOA:炭素数8のアルキル基を有するアルコール(n−オクチルおよび/または2−エチルヘキシルアルコール)のエステル)、ジイソノニルアジペート(DINA:同9のもの)、ジイソデシルアジペート(DIDA:同10のもの)などが挙げられ、これらの中ではジイソノニルアジペートが好ましい。
【0010】
ロ)の可塑剤は、n−ヘキシルアルコール(C )、n−ヘプチルアルコール(C )、n−オクチルアルコール(C )、n−ノニルアルコール(C )、n−デシルアルコール(C10)の中から2種以上の脂肪族アルコールとアジピン酸との反応で得られるもので、その具体例としては、C6,8 アジペート、C8,10アジペート、C7,9 アジペート、C6,8,10アジペートなどが挙げられ、これらの中ではC6,8,10アジペートが好ましい。
【0011】
ハ)の可塑剤の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油などが挙げられ、これらの中ではエポキシ化大豆油が好ましい。
これらイ)、ロ)、ハ)の可塑剤は、上記した組み合わせで使用することが好ましく、その使用量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、総量で20〜60重量部の範囲内、好ましくは25〜50重量部である。この可塑剤の割合が20重量部未満では、加工性およびフィルム物性が劣り不適となり、60重量部を超えると抗菌性能が低下するので好ましくない。
また、ハ)の可塑剤の使用量は、上記範囲内において10〜30重量%の割合で使用するのが好ましく、イ)およびロ)の可塑剤の使用量は、上記ハ)の可塑剤の使用量に対して適宜選択して使用すればよい。
【0012】
第三成分としてのカルシウム−亜鉛系安定剤は、カルシウム脂肪酸塩および亜鉛脂肪酸塩を主成分としており、この脂肪酸塩として具体的にはラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチルヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩などが挙げられ、カルシウム塩ではこれらの塩の他にカルシウム安息香酸塩が挙げられる。本発明においては、上記カルシウム脂肪酸塩と亜鉛脂肪酸塩とから各々少なくとも2種以上を選択、組み合わせて用いる。
また、カルシウム脂肪酸塩と亜鉛脂肪酸塩の比率は、カルシウム脂肪酸塩40%〜70%、亜鉛脂肪酸塩60%〜30%の重量比率で構成することが好ましく、本発明における無機化合物の添加量に比例して亜鉛脂肪酸塩の構成比率を高めることで、着色の防止とともに成形加工時の滑性付与の点で効果的である。なお、亜鉛脂肪酸塩の構成比率が30重量%を下回ると着色し易くなるとともに成形時の滑性が不足する。一方、その構成比率が60重量%を超えると上記無機化合物の亜鉛成分とのバランスが崩れ、安定した抗菌性能が得られ難くなる可能性がある。
【0013】
また、この安定剤の他の成分としては、トリスノニルフェニルホスファイトなどの有機ホスファイト類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などのフェノール類、トリデシルアルコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール類、合成パラフィン、合成イソパラフィン、石油炭化水素などの溶媒類、ステアロイル・ベンゾイルメタン、パルミトイル・ベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸などのβ−ジケトン化合物などが挙げられる。
【0014】
このような第三成分としての安定剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜2.5重量部の範囲内で添加され、好ましくは0.5〜2.0重量部であり、更に好ましくは0.8〜1.5重量部である。この添加量が0.1重量部未満ではフィルムの成形加工時において熱安定性が不十分となり成形できない。一方この添加量が2.5重量部を超えるとフィルムの透明性が低下するとともに、抗菌性能が不安定になる虞れがあるので好ましくない。
【0015】
次に、本発明に用いられる下記式(I)の無機化合物は、本発明においてフィルムに抗菌性能を付与するためのものであり、
[M 2+1−x[M 2+ O……(I)
(式中、M はMgおよび/またはCaを、M はZnを示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示す。)具体的には、Ca(1−x) Zn Oおよび/またはMg(1−x) Zn O(xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示す。)で示されるもので、酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムに亜鉛が固溶したものであるため亜鉛が極めて活性であり、この無機化合物から亜鉛イオンが放出され、抗菌性能を発揮する化合物である。
上記したように式中のxは0.001≦x≦0.5の範囲の数であり、好ましくは0.01≦x≦0.3、さらに好ましくは0.05≦x≦0.3の範囲である。このxの値が0.001より小さいと抗菌作用の有効成分となる亜鉛の濃度が低くなり過ぎるとともに、フィルムを成形する際に、この亜鉛イオンが塩化ビニル樹脂の熱分解によって発生する塩化水素と反応することによる亜鉛濃度の低下と相まって抗菌性能が発揮できなくなる。またxの値が0.5を超えると上記無機化合物中に酸化亜鉛が混在するようになり、フィルムの透明性を低下させてしまう。
また、この無機化合物の中では、抗菌力およびフィルムの押出成形性、着色防止などの点からMg(1−x) Zn Oで示されるものが好適に使用され、このxの値は上記した範囲において0.03〜0.15のものが好適である。
さらに、この無機化合物は、その粒径が0.5〜1.5μm程度のものが、フィルムの透明性および分散性の点から好ましい。
【0016】
本発明における無機化合物(I)は、1)塩化ビニル系樹脂100重量部、2)可塑剤20〜60重量部、3)カルシウム−亜鉛系安定剤0.01〜2.5重量部を混合して得られた混合物100重量部に対して特定量混合することが好ましく、本発明における上記1)〜3)からなる上記混合物は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ナウターミキサーなどの混合装置を使用して、混合時の発熱などによって、通常90〜140℃の温度で塩化ビニル系樹脂に可塑剤などを吸収させる従来公知のドライブレンド法などによって得ることができる。
さらに、この無機化合物(I)は押出成形において、このものによる物理的な滑性効果をもたらす作用、すなわち押出成形において押出機のスクリュー表面やバレル面への滑性を高める効果がある。したがって、従来の問題点であった成形加工時、特に塩化ビニル系樹脂の加熱分解物の発生を防止し、この分解物が異物となってフィルムに混入し、品質低下を引き起こすという不都合を発生させないばかりでなく、安定した成形性が得られるという優れた効果がある。しかし、一方で上記混合物100重量部に対する無機化合物(I)の添加量が1.0重量部を超えると滑性効果が過度となり押出成形時に樹脂の混練が不安定かつ不十分となるとともに、溶融粘度が急激に低下し溶融張力も不十分となり、押出成形不可能となるので好ましくない。
したがって、本発明における塩化ビニル系樹脂組成物に含有される無機化合物(I)の含有量は、上記混合物100重量部に対し、0.01〜1.0重量部の範囲であり、好ましくは0.05〜0.7重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。この含有量が0.01重量部未満であると得られたフィルムの抗菌性能が発揮できない。
【0017】
本発明における上記1)〜3)からなる混合物は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ナウタミキサーなどの混合装置を使用して、混合時の発熱などによって通常90〜140℃の温度で塩化ビニル樹脂に可塑剤などを吸収させる従来公知のドライブレンド法などによって得ることができる。
本発明において上記無機化合物は、例えばドライブレンド法によって作られた混合物に対して添加され、均一に混合・分散することが好ましい。これは以下の不都合を防止するために効果的である。まずドライブレンド時に前記無機化合物を混合させると、上記した押出成形時の不都合が助長される。これは無機化合物中にも可塑剤、安定剤などが吸収あるいはその表面を覆うために滑性効果が大きくなりすぎて、安定した混練特性が得られなくなってしまうためである。さらに成形されたフィルムが着色し易く、その着色も強いものとなる。これは上記したように無機化合物に吸収あるいは表面を覆った可塑剤などの影響により、成分である酸化マグネシウムや酸化カルシウムからマグネシウムイオンやカルシウムイオンが遊離し易くなり、これらイオンが押出成形時に塩化ビニル樹脂の熱分解によって発生した塩化水素中の塩素を捕捉するため、その化合物の色として現れるものである。
なお、この混合方法はドライブレンドされた混合物を冷却する際に、ミキサー内で均一に分散、混合することができる。
【0018】
こうして得られた塩化ビニル系樹脂組成物は、上記したように溶融押出法によってフィルムに製膜されるが、これはTダイ法あるいはインフレーション法など従来公知の方法で行なえばよい。本発明のフィルムの厚さは、5〜100μmの範囲であることが重要であり、この厚さが5μm未満では使用時にフィルムが伸長され、無機化合物が存在する部分で穴や破れが発生し易くなり、また食品包装後に電子レンジなどで加熱する際の耐熱性の低下をもたらし実用上の不都合が生じる。一方、厚さが100μmを超えると、フィルム表面に露出した無機化合物数が減少してしまい、十分な抗菌性能が発揮できなくなるとともに、フィルムの機械的性質が包装に適さないものとなってしまう。したがって、フィルム厚さは、抗菌性能および包装適性の点から、好ましくは5〜50μm、更に好ましくは5〜30μmの範囲である。
【0019】
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂組成物において、この他に使用される添加剤としては、分子量1000〜3000のポリエステル系可塑剤、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、ポリエチレン、合成パラフィン、ペンタエリスリトールのアジピン酸・高級脂肪酸の混合エステルなどの滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤、ハイドロタルサイト化合物が使用できる。なお、これらの添加剤は本発明における混合物の作成時に添加することが好ましい。
【0020】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
まず、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100重量部に対し、第二成分として、イ)ジイソノニルアジペート(DINA),ロ)C6,8,10アジペート(C6,8,10A),ハ)エポキシ化大豆油(ESO)、第三成分として、Ca−Zn系安定剤、およびその他の添加剤を添加した表1に示す配合を基本とし、その所定量を20リットルのヘンシェルミキサー中に投入し、撹拌・混合し、混合温度が115℃〜120℃まで上昇した時点で混合・撹拌を完了し、混合物を得た。
【0021】
【表1】
Figure 0003574723
【0022】
次に、この混合物を直ちに冷却装置を備えた20リットルのクーリングミキサーに移し、下記の無機化合物(抗菌剤)▲1▼〜▲3▼のいずれかを添加し、混合・撹拌により冷却し、樹脂温度が70℃〜80℃に下がった時点で撹拌を完了し、樹脂組成物を得た。
【0023】
無機化合物▲1▼……Mg0.9 Zn0.1
無機化合物▲2▼……Mg0.95Zn0.05
無機化合物▲3▼……Mg0.6 Zn0.4
このように得られた樹脂組成物を表2〜表9に示す配合割合で、以下の試験を行ない、その結果を表2〜表9に示した。
【0024】
[試験内容]
1.ゲル化試験
装置:ラボプラストミル(東洋精機製作所社製、商品名)
160℃で混練し最大トルク発生時間をゲル化時間とした。
2.溶融粘度
装置:フローテスター CFT−500(島津製作所社製、商品名)
200℃における溶融粘度を測定した。
3.プレートアウト試験
ロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて、樹脂組成物を5分間混練し、ロール表面の汚れおよび剥離状態を1〜5の範囲の数値で評価した。数値の小さいものほど効果的である。
4.着色試験
ロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて、樹脂組成物を2分間混練後、190℃でプレスして厚さ50μmのシートを作製した。得られたシートの色調を色差計により測定した。
装置:スガ試験機
5.抗菌性能試験(1)
着色試験と同様に作製した試験片を用いて、大腸菌に対する抗菌性能試験を行った。試験は「フィルム密着法」により行い、その結果を無機物を添加していないものと比較した菌数の減少率(%)で示した。
【0025】
【表2】
Figure 0003574723
【0026】
【表3】
Figure 0003574723
【0027】
【表4】
Figure 0003574723
【0028】
【表5】
Figure 0003574723
【0029】
【表6】
Figure 0003574723
【0030】
【表7】
Figure 0003574723
【0031】
【表8】
Figure 0003574723
【0032】
【表9】
Figure 0003574723
【0033】
6.抗菌性能試験(2)
代表的な実施例として、上記実施例2,3,6,19,26と同様配合の樹脂組成物について、インフレーション法による厚さ8μmのフィルムとTダイ法による厚さ13μmのフィルムを製膜し、大腸菌、黄色ブドウ状球菌、サルモネラ菌および腸炎ビブリオ菌に対する抗菌性能試験を行った。
試験方法は、下記に示す「フィルム密着法」により行ない、その結果を表10〜表13に示した。なお、この表中、「<10」は菌が検出されなかったことを示す。
【0034】
(試験方法)
1)試験菌
Escherichia coli IFO 3972 (大腸菌)
Staphylococcus aureus IFO 12732 (黄色ブドウ状球菌)
Salmonella enteritidis IFO 3313 (サルモネラ)
Vibrio parahaemolyticus RIMD 2210100(腸炎ビブリオ)
2)培地
NA培地:普通寒天培地[栄研化学社製]
NB培地:肉エキスを0.2%添加した普通ブイヨン培地[栄研化学社製]
1/500NB培地:NB培地を精製水で500倍に希釈し、pHを7.0±0.2に調製したもの
1/200NB培地:NB培地を精製水で200倍に希釈し、pHを7.0±0.2に調製したもの
SCDLP培地:SCDLP培地[栄研化学社製]
SA培地:標準寒天培地[栄研化学社製]
なお、腸炎ビブリオに用いる培地は、すべて食塩を3%添加した。
3)菌液の調製
NA培地で37±1℃、16〜24時間培養した試験菌をNA培地に再度接種して、37±1℃、16〜20時間培養した。培養後の菌体を大腸菌、黄色ブドウ状球菌およびサルモネラは1/500NB培地、腸炎ビブリオは1/200NB培地にそれぞれ均一に分散させ、1ml当たりの菌数が10 〜10 となるように調製した。
4)試料の調製
検体を約5cm×5cmの大きさに切り取り、試料とした。
5)試験操作
各検体3個の試料に菌液0.5mlをそれぞれ滴下し、その上にポリエチレンフィルムをかぶせ、密着させた。これらを35±1℃、相対湿度90%以上の条件下で保存した。
また、プラスチックシャーレを対照試料とし、同様に試験した。
6)生菌数の測定
【0035】
【数1】
Figure 0003574723
【0036】
【表10】
Figure 0003574723
【0037】
【表11】
Figure 0003574723
【0038】
【表12】
Figure 0003574723
【0039】
【表13】
Figure 0003574723
【0040】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明の食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムによれば、従来使用されていた銀系の抗菌剤を用いずに、抗菌性を向上させることができ、しかも光りによる変色がなく、押出成形性の優れた極めて良好なフィルムを提供することができる。

Claims (1)

  1. 塩化ビニル系樹脂100重量部、可塑剤20〜60重量部、カルシウム−亜鉛系安定剤0.1〜2.5重量部からなる混合物を90〜140℃で混合した後、冷却させ、前記混合物100重量部に対し、下記一般式(I)で示される無機化合物を0.01〜1重量部添加して、樹脂温度が70〜80で混合してなる塩化ビニル系樹脂組成物であって、200℃における溶融粘度が0.47×10 4 〜1.65×10 4 POISEの範囲である前記組成物を、厚さ5〜100μmに成形してなることを特徴とする食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム。
    [M1 2+]1-x[M2 2+]x O……(I)
    (式中、M1 はMgおよび/またはCaを、M2 はZnを示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示す。)
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