JP3571839B2 - 電気融着継手 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電熱線を発熱させて合成樹脂管を融着接合できる電気融着継手に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来からガス管や給水・給湯管等の合成樹脂管の接続には、合成樹脂からなる継手本体の両端部に受口を設け、それぞれの受口内周面に電熱線を埋設したソケット継手が使用されている。例えば、実公平５ー２０９５７号には、継手本体を構成する内層体の外面に係止溝を刻設して該溝に電熱線を埋設し、また内層体の適所に端子ピンが立設し、該端子ピンの隣り合う２カ所に設けたフランジ状の鍔によって形成された環状溝に前記電熱線の端部を巻回すると共に、該内層体の外面に外層体を一体的に融着接合した電気融着継手が提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来継手は、フランジ状の鍔によって形成された一条の環状溝に電熱線の端部が巻回されるだけであるため、電熱線の端部がしっかりと固定されないことがあった。また、電熱線の端部を端子ピンに巻き付ける回数が一定しないときには電熱線の抵抗値が変動し、電熱線に印加する電圧との関係で融着不良の発生することがあった。
【０００４】
本発明はかかる課題を解決したものであって、電熱線の端部を端子ピンに簡単かつ確実に固定できると共に、合成樹脂管との融着接合が確実に行える電気融着継手を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる内層体と外層体との境界面に電熱線を埋設した電気融着継手であって、内層体の境界面に所定間隔をもって係止溝を刻設すると共に、該係止溝に電熱線を埋設する。また、内層体の適所には端子ピンを立設し、該端子ピンの隣り合う３カ所に設けたフランジ状の鍔によって区分された環状溝を形成すると共に、真中の鍔には双方の環状溝に連通する切溝を設ける。そして、前記電熱線の端部を切溝を介して一方の環状溝から他方の環状溝に亘って巻回し、該内層体の境界面に外層体を一体的に融着接合したことを特徴とする。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面にて詳細に説明する。
図１は本発明の一実施例を示す電気融着継手の要部を示す断面図、図２は図１の要部拡大図であって、図中の符号１は継手本体、２は電熱線、３は端子ピン、Ｐは合成樹脂管である。
【０００７】
継手本体１は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる内層体１Ａと外層体１Ｂとで構成されている。内層体１Ａは筒状に成形されており、その外周面にはスパイラル状に連続した係止溝１１が所定間隔に刻設され、該係止溝１１に電熱線２が埋設されている。また、内層体１Ａの両端外周には端子ピン３が突設されている。
【０００８】
前記端子ピン３には隣り合う３カ所にフランジ状の鍔３１，３２，３３が設けられており、それぞれの鍔３１，３２，３３によって区分された環状溝３４，３５が形成されている。また、真中の鍔３２には双方の環状溝３４，３５に連通する切溝３２ａが設けられており、前記電熱線２の端部が切溝３２ａを介して一方の環状溝３４から他方の環状溝３５に亘って一体的に巻回固定されている。尚、図１及び２には、環状溝３４，３５の幅寸法を電熱線２の線径とほぼ同程度としたものを例示したが、継手の種類、サイズ等に応じて電熱線２の線径の１〜５倍とすることができる。
【０００９】
そして、電熱線２が埋設された内層体１Ａの境界面には筒状の外層体１Ｂが一体的に融着接合している。この融着接合の一例として、内層体１Ａを金型内にセットしてからキャビテイ内に溶融樹脂を射出し、内層体１Ａの境界面に筒状の外層体１Ｂを一体的に成形するとよい。
【００１０】
本発明の電気融着継手は前記の構成からなるものであって、係止溝１１に埋設された電熱線２の端部が鍔３２に設けた切溝３２ａを介して双方の環状溝３４，３５に巻回されるため、強固に締付固定される。このため、射出成型によって内層体１Ａの境界面に外層体１Ｂを一体的に融着接合する間での間に電熱線２が緩んで係止溝１１から脱出することもない。
【００１１】
尚、前記実施例では、筒状に成形した内層体を用いてソケットタイプの電気融着継手に適用した場合について例示したが、本発明はこれに限定されない。シート状に形成した内層体を用いて分岐サドルタイプの電気融着継手に適用することもできる。この場合には、シート状に形成した内層体の片面に刻設した渦巻状の係止溝を電熱線を埋設してから、電熱線の端部を内層体に立設した端子ピンに巻回固定し、射出成型によって内層体の片面に外層体を一体的に融着接合することができる。
【００１２】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明は端子ピンの隣り合う３カ所に設けたフランジ状の鍔によって区分された環状溝を形成すると共に、真中の鍔には双方の環状溝に連通する切溝を設け、電熱線の端部を切溝を介して一方の環状溝から他方の環状溝に亘って巻回するので、内層体の境界面に外層体を一体的に融着接合する間での間に電熱線が緩んで係止溝から脱出することもない。
【００１３】
また、電熱線の端部が端子ピンに確実かつ強固に固定されるため、端子ピンへの電熱線の巻回数が一定となって電熱線の抵抗値が変動しないため、継手本体に合成樹脂管を嵌挿してから電熱線に所定の電圧を所定時間印加するだけで、強固な融着接合が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は本発明の一実施例を示す電気融着継手の要部を示す断面図である。
【図２】図２は図１の要部拡大図である。
【符号の説明】
１ 継手本体
２ 電熱線
３ 端子ピン
１１ 係止溝
３１、３２，３３ 鍔
３４，３５ 環状溝
３２ａ 切溝

Claims (1)

1. 熱可塑性樹脂からなる内層体（１Ａ）と外層体（１Ｂ）との境界面に電熱線（２）を埋設した電気融着継手であって、内層体（１Ａ）の境界面に所定間隔をもって係止溝（１１）を刻設すると共に、該係止溝（１１）に電熱線（２）を埋設し、また内層体（１Ａ）の適所には端子ピン（３）が立設し、該端子ピン（３）の隣り合う３カ所に設けたフランジ状の鍔（３１，３２，３３）によって区分された環状溝（３４，３５）を形成すると共に、真中の鍔（３２）には双方の環状溝（３４，３５）に連通する切溝（３２ａ）を設け、前記電熱線（２）の端部を切溝（３２ａ）を介して一方の環状溝（３４）から他方の環状溝（３５）に亘って巻回し、該内層体（１Ａ）の境界面に外層体（１Ｂ）を一体的に融着接合した構成からなることを特徴とする電気融着継手。

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