JP3571021B2 - 反射防止成形品とその製造方法、反射防止成形品用金型 - Google Patents

反射防止成形品とその製造方法、反射防止成形品用金型 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ、自動車用機器、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ用モニタ、紙のように軽くて薄く柔軟性に富む表示用電子装置である電子ペーパー、テレビなどの各種ディスプレイ、屋外掲示用電子機器などの各種電子機器、電子機器以外の各種表示部材、たとえば屋外表示板、額縁、写真立て、時計、窓ガラスなど、背後に位置するディスプレイ(表示画面としての機能を有する部材)などを透過して見ることができるようにして用いる反射防止成形品とその製造方法、反射防止成形品用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ、自動車用機器などにおいて、ディスプレイ部分は、液晶パネルあるいは有機ELパネルとの組み合わせなどにより構成されている。ディスプレイ部分は、液晶パネルの破損を防止したり、液晶パネルの表示を拡大したり、液晶パネル近辺を装飾したりすることを目的として、凸レンズ形状に成形した透明基材や縁取りなどの図柄が形成された透明基材により構成されるカバー部品により覆われている。
【0003】
上記のようなカバー部品の透明窓部分は、表示された画面を見やすくするために、防眩性が要求される。さらに、耐擦傷性、耐薬品性、耐候性などにすぐれたハードコート性が要求される。そこで、フルネル反射と光の干渉を利用した反射防止層を形成する方法がある。
【0004】
その場合、反射防止層の厚さを制御することが極めて重要で、厚さが1/4波長のときが、膜表面からの反射光と膜/基材界面からの反射光が打ち消しあって反射率が低減し、最も反射防止効果が発揮される。たとえば、屈折率が1.36の反射防止層であれば、透過する光の中心波長が550nmのとき、反射防止層の厚さは0.1μm程度が最適となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような薄膜の反射防止層を、透明基材上に均一の厚さで形成することは非常に困難であり、期待した反射防止効果が得られにくいという問題があった。特に、透明基材の全体の形状が立体形状の場合、その上に均一の厚さで薄膜を形成することは非常に困難であり、期待した反射防止効果が得られにくい。
【0006】
また、上記の反射防止層は、ハードコート性に劣るという問題があった。
【0007】
したがって、この発明は、上記のような欠点を解消し、優れた反射防止効果とハードコート性とを有する反射防止成形品とその製造方法、反射防止成形品用金型を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の反射防止成形品とその製造方法、反射防止成形品用金型は、上記の目的を達成するために、つぎのように構成した。
【0009】
すなわち、この発明の反射防止成形品の製造方法は、基体シート上に少なくともハードコート層が形成された加飾シートを、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である金型のキャビティ面に基体シート側が接するように設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して加飾シートと樹脂からなる透明基材との一体化物を得、次いで基体シートを上記一体化物から剥離して透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面を形成し、次いで透明基材の表面側に反射防止層を形成するように構成した。
【0010】
また、基体シート上に少なくともハードコート層が形成された加飾シートを、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である金型のキャビティ面にハードコート層側が接するように設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して加飾シートと樹脂からなる透明基材との一体化物を得て透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分の形状が表面側に凸となる曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面を形成し、次いで透明基材の表面側に反射防止層を形成するように構成した。
【0011】
また、上記の発明において、加飾シートが、全面的なハードコート層と、透明窓となる箇所を除くパターンの部分的な図柄層と、全面的な接着層とが少なくとも基体シート上に形成されるように構成してもよい。
【0012】
また、上記の発明において、反射防止層の上に防汚層を形成するように構成してもよい。
【0013】
また、この発明の反射防止成形品用金型は、透明基材の表面にハードコート層が少なくとも配置され、透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面を有する反射防止成形品を成形する金型において、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面であるキャビティ面を有するように構成した。
【0014】
また、上記の発明において、透明窓に相当する箇所のキャビティ面の平均表面粗さRaが2.0〜170nmであるように構成してもよい。
【0015】
また、この発明の反射防止成形品は、透明基材の表面に反射防止層が少なくとも形成され、反射防止層が形成された透明窓部分の界面の平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面であるように構成した。
【0016】
また、上記の発明において、透明基材と反射防止層との間に、透明窓となる箇所を除くパターンの部分的な図柄層が形成されるように構成してもよい。
【0017】
また、上記の発明において、透明基材と反射防止層との間にハードコート層が形成されるように構成してもよい。
【0018】
また、上記の発明において、反射防止層の上に防汚層が形成されるように構成してもよい。
【0019】
また、上記の発明において、透明窓となる箇所のうちの視認領域では平均表面粗さRaが2.0〜35nmであり、透明窓となる箇所のうちの視認領域の周囲の周囲領域では平均表面粗さRaが35〜85nmであるように構成してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0021】
図1は、この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。図2は、この発明の反射防止成形品の製造方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。図3〜5は、この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。図6は、この発明の反射防止成形品の製造方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。図7〜8は、この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。図9は、この発明における平均表面粗さRaを得るためのグラフである。図10は、この発明の反射防止成形品用金型の一実施例を示す断面図である。図11は、この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。図12は、この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。図13は、平均表面粗さRaが異なる場合に、反射防止効果がどのように変化するかを示す模式断面図である。図14は、この発明の反射防止成形品の用途と反射率と平均表面粗さRaとの関係を示す表である。図15は、この発明の反射防止成形品の一実施例を示す斜視図である。図16は、この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。図17は、この発明の反射防止成形品の製造方法に用いる成形用金型の一実施例を示す断面図である。図中、1は透明基材、2は接着層、3は離型層、4はハードコート層、5は反射防止層、7は基体シート、8は反射防止成形品、9は加飾シート、10は金型、11は図柄層、12は防汚層、13は溶融樹脂である。
【0022】
この発明の反射防止成形品8の製造方法は、基体シート7上に少なくともハードコート層4が形成された加飾シート9を、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である金型10のキャビティ面に基体シート7側が接するように設置し、金型10内に透明な溶融樹脂を射出して加飾シート9と樹脂からなる透明基材1との一体化物を得、次いで基体シート7を上記一体化物から剥離して透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面を形成し、次いで透明基材1の表面側に反射防止層5を形成するように構成されている(図1参照)。
【0023】
本発明では、反射防止層5が形成される透明窓部分の界面の平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面であることが重要である。
【0024】
反射防止層5を均一の厚さで形成するために、成形品表面がどの程度以下の平均表面粗さRaでなければならないかを試験した。表面に種々の度合いのシボ加工を施した金型10を作成して種々の平均表面粗さRaの成形品を作成し、日本工業規格(JIS)B0601−1994に準じた測定機器(株式会社小坂研究所製F3500D)にて平均表面粗さRaを測定した。なお、JIS B 0601には、ISO468:82、3274:75、4287−1:84、4287−2:84、4288:85が対応する。その後、同一条件で反射防止層5を形成し、分光光度計で550nmにおける反射率を測定した。このようにして各成形品の反射防止効果を測定したところ、表1に示すように、成形品表面の平均表面粗さRaを150nm以下にすれば反射防止効果を得ることができることがわかった。さらに好ましくは、80nm以下である。
【0025】
また、平均表面粗さRaを2.0nm未満に製造することは非常に困難であり、平均表面粗さRaを35nm以下にしても、反射防止層5の厚さ公差およびそれによって製造された反射防止成形品8の反射率は、ほとんど変わらないこともわかった。なお、ここでいう反射率は、ISO/DIS13406−2の測定方法によって得られた数値である。
【0026】
図13(A)〜(C)は、平均表面粗さRaが異なる場合に、反射防止効果がどのように変化するかを示す模式断面図である。反射防止層5は、厚さ100nmとなるように形成した。たとえば、平均表面粗さRaが5nmである場合(図13(A)参照)、反射防止層5の膜厚はほぼ一定であり、反射光αとα’、反射光βとβ’はそれぞれ適度の干渉が生じ、反射防止層5全体において均一で優れた反射防止効果を得ることができる。また、平均表面粗さRaが150nmである場合(図13(B)参照)、反射防止層5の膜厚は部分的にばらつきがあり、反射光αとα’、反射光βとβ’はそれぞれ干渉の度合いが異なる場合があり、反射防止層5全体において局所的に反射防止効果が低下気味となることがある。また、平均表面粗さRaが400nmである場合(図13(C)参照)、反射防止層5の膜厚は不均一なものとなり、反射光αとα’、反射光βとβ’はともに干渉が生じず、反射防止層5全体において反射防止効果が得られないものとなる。
【0027】
また、図14に示すように、反射防止成形品8の用途によって、要求される反射率が異なるため、それに伴い平均表面粗さRaの範囲を適宜選定する必要がある。
【0028】
一般的には、注視する頻度が高い用途の反射防止成形品ほど、優れた反射防止効果が必要であり、平均表面粗さRaを小さくするのが望ましい。すなわち、注視する頻度が高い場合、視認者の目に大きな負担がかかる。反射が少ないと、見やすくなるため目が疲れにくくなる。したがって、優れた反射防止効果を得ることができれば、視認者の目の疲労防止を実現することができる。そこで、注視する頻度が高い場合は、反射率が0.5%以下の高い反射防止性を有するのが好ましいとともに、平均表面粗さRaの値としては、90nm以下であるのが好ましい。
【0029】
また、反射防止成形品が使用される環境が屋外である場合の方が、屋内で使用する場合と比較して、優れた反射防止効果が必要であり、平均表面粗さRaを小さくするのが望ましい。このように優れた反射防止効果が必要である理由は、昼間においては、屋内よりも屋外の方が明るく、太陽光線がディスプレイの表面で反射して見づらくなり、屋外のほうがより優れた反射防止効果が必要となるためである。屋外で用いる場合は、反射率が1.7%以下であるのが好ましいとともに、平均表面粗さRaの値としては、145nm以下であるのが好ましい。
【0030】
また、反射防止成形品をディスプレイの前面に配置して使用する場合、ディスプレイがカラーである場合の方が、モノクロである場合と比較して、優れた反射防止効果が必要であり、平均表面粗さRaを小さくするのが望ましい。カラー画面において、反射が多い場合には、ディスプレイの画像が色落ちしたように彩度が低くなって見えるようになる。このように、カラー画面ではモノクロ画面に比べて、彩度が重要になるため、より高い反射防止効果が要求される。カラー画面である場合は、反射率が1.2%以下であるのが好ましいとともに、平均表面粗さRaの値としては、130nm以下であるのが好ましい。
【0031】
なお、反射防止成形品8の用途によっては、その表面において、優れた反射防止機能が特に必要とされる領域と、やや反射防止機能が低下しても特に問題が生じない領域とに区分できる場合がある。図15は、一例として、携帯電話のフルカラー液晶表示部に用いる縦25mm、横33mmの大きさの反射防止成形品8を示す斜視図である。このような用途の反射防止成形品8においては、中央領域Aは携帯電話の使用者が最も注視する領域であるから反射防止機能がとくに必要な領域であり、平均表面粗さRaを2〜35nmにするのが望ましい。これに対し、中央領域Aの周縁の周囲領域Bは、携帯電話の使用者が注視する領域でないため、それほど高い反射防止機能は必要ではなく、Ra値が35〜85nm程度であっても特に支障は生じないし、中央領域Aに比較して周縁の領域Bでの加工が省け、全体としてより安価なものとすることができる。
【0032】
また、反射防止成形品8の表面形状の曲率半径Rが小さくなるほど、反射防止機能の必要性が低くなる。また、成形用金型10の表面を磨いて表面粗さを小さくする加工が困難になったり、反射防止層5を均一の厚さで形成することが困難になったりするなど、製造上の困難性も高くなる。したがって、反射防止成形品8の表面形状の曲率半径Rが小さい領域においては、平均表面粗さRaをたとえば85〜140nm程度の範囲に低くすることが好ましい。また、特に支障が生じない場合には、反射防止機能をまったく有さないようにしてもよい。たとえば、図15に示した反射防止成形品8の表面形状が、図16に示す断面形状を有する場合、曲率半径Rが40mm未満であるような非常に小さい周囲領域Bでは、携帯電話の使用者が注視する可能性がほとんどなく、また高い反射防止機能を付与することも困難である。
【0033】
なお、この発明でいう平均表面粗さRaは、図9に示すように、成形品表面の断面曲線から平均線を求め、ガウシャンフィルタ(粗さ曲線=断面曲線−平均線)を用いて平均表面粗さRaを求めることができる。
【0034】
また、反射防止成形品8の形状自身として、反射防止効果の必要な面である透明窓部分の形状を、曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面であるように構成することが重要である。
【0035】
反射防止層5を均一の厚さで形成するために、成形品形状をどの程度以上の平坦性にしなければならないかを試験したところ、表3に示すように、少なくともその表面において曲率半径が40mm以上の曲面に設定することが必要であることがわかった。また、曲率半径が60mm以上の曲面に設定することが好ましいことがわかった。すなわち、図12に示すように、曲率半径が30〜300mmの蒲鉾形状の成形品を作成し、次いでMgFからなる反射防止層5を形成して反射防止成形品8とし、これらの550nmにおける平均反射率を測定して、平均反射率が3%以下を良好、1%以下をきわめて良好と評価した。
【0036】
以上のように構成することにより、反射防止層5が粘度の低い塗料による塗布により形成される場合、塗料が高い所ところから低い所に移動して溜まり、反射防止層5の厚さが不均一になることを防止できる。また、反射防止層5が蒸着法により形成される場合、蒸着蒸気の単位面積あたりの付着量が場所によって異なって反射防止層5の厚さが不均一になることを防止することができる。
【0037】
なお、この発明でいう曲率半径とは、前述した粗さ測定機器で求めた平均線に対して最も近似の円弧を求め、円弧を延長した円の半径をいう(図9参照)。なお、測定箇所によって曲率半径の値が大きく異なる場合は、それらの値の平均値とする。
【0038】
また、反射防止成形品8表面はハードコート性を有するのが望ましく、そのために図1Aに示すように、反射防止層5を形成する前にハードコート層4を設けておくことが望ましい。
【0039】
ハードコート層4を透明基材1の表面に形成する方法としては、ハードコート剤を透明基材1表面に直接塗布する方法や、成形同時加飾法などがある。特に成形同時加飾法は、ハードコート層4表面を、鏡面またはそれに類する凹凸の少ない面であるキャビティ面の形状に仕上げることができ、凹凸をかなり少なくできる。また、成形同時加飾法において、加飾シート9上ではハードコート層4を未硬化または半硬化状態にしておき、成形品にした後硬化させるようにすれば、金型10キャビティ面形状どおりに形成しやすく、成形時のクラック発生も少なくなるのでより好ましい。
【0040】
ハードコート層4などを透明基材1の上に設けるには、加飾シート9を利用した成形同時加飾法を利用するのが好ましい。成形同時加飾法には、加飾シート9として転写材9Aを用いた成形同時転写法や、加飾シート9としてインサート材を用いたインサート法がある。
【0041】
成形同時転写法とは、基体シート7上にハードコート層4などからなる転写層を形成した転写材9Aを金型10内に挟み込み(図3B参照)、金型10内に溶融樹脂1Aを射出し、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面に転写材9Aを接着した後(図6参照)、基体シート7を剥離して、樹脂成形品表面に転写層を転移して装飾を行う(図7参照)方法である。
【0042】
インサート法とは、基体シート7上にハードコート層4などが形成されたインサート材9を金型10内に挟み込み、金型10内に溶融樹脂を射出し、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面にインサート材9を接着して装飾を行う方法である。
【0043】
まず、転写材9Aを利用する成形同時転写法について説明する。
【0044】
転写材9Aは、基体シート7上に、ハードコート層4などからなる転写層を設けたものである(図6参照)。転写層としては、反射防止成形品8の透明基材1の上に形成するすべての層を組み込むのではなく、成形同時転写法によって形成するのが好適な層のみを転写層とし、その他の層は別途形成するのが好ましい。特に、ハードコート層4や図柄層は成形同時転写法によって形成するのに適している。
【0045】
基体シート7の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなど、通常の転写材9Aの基体シート7として用いるものを使用することができる。
【0046】
基体シート7からの転写層の剥離性がよい場合には、基体シート7上にハードコート層4を直接設けることができる。基体シート7からの転写層の剥離性を改善するためには、基体シート7上にハードコート層4を設ける前に、離型層3を全面的に形成してもよい(図6参照)。特に、離型層3中にシリカビーズなどを混入することにより、基体シート7を剥離した際に成形品表面に微細な凹凸を形成することができる(図7参照)。
【0047】
次いで、ハードコート層4を形成する。ハードコート層4は、成形同時転写後に基体シート7を剥離した際に、反射防止成形品8の表面強度を高める層となる。
【0048】
ハードコート層4は、熱硬化型樹脂や紫外線・電子線などの電離放射線硬化型樹脂などを用いることができる。多用されているのはアクリルウレタン系などの紫外線硬化型樹脂である。
【0049】
紫外線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂などがあり、光重合開始剤と共に使用される。たとえば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマーあるいはプレポリマーを反応させ、得られた生成物に、水酸基を有するアクリレート又はメタクリレート系のモノマーを反応させることによって得られる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、あるいは併用して用いることができる。紫外線硬化型樹脂には、さらに皮膜形成をよりよくさせるために熱可塑アクリル系樹脂などを適宜選択配合してもよい。
【0050】
ハードコート層4の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0051】
また、必要に応じて図柄層120を形成してもよい。図柄層120は、反射防止成形品8を装飾するための層である。図柄層120は、ハードコート層4の上に形成する。図柄層120は、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。印刷層は、透明窓となる箇所を除くパターンで、枠形状や文字形状となるように部分的に設けるのが通常である。
【0052】
また、図柄層120は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、図柄層120として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。金属薄膜層は、通常は、部分的に形成する。また、金属薄膜層を設ける際に、他の層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。
【0053】
また、透明基材1の上に上記の各層を接着するために接着層2を形成するとよい(図6、図7、図8参照)。接着層2としては、透明基材1の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。
【0054】
たとえば、透明基材1の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、透明基材1の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、透明基材1の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層2の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0055】
転写層の構成は、上記した態様に限定されるものではない。たとえば、図柄層120の材質として透明基材1との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層2を省略することができる。
【0056】
以上に述べたような構成の反射防止転写材9Aを用い、転写法を利用して反射防止成形品8を容易に得ることができる。
【0057】
まず、透明基材1表面に、反射防止転写材9Aの接着層2側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して反射防止転写材9Aの基体シート7側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層2が透明基材1表面に接着する。
【0058】
最後に、冷却後に基体シート7を剥がすと、基体シート7とハードコート層4との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。また、基体シート7上に離型層3を設けた場合は、基体シート7を剥がすと、離型層3とハードコート層4との境界面で剥離が起こり、転写が完了する(図7〜8参照)。
【0059】
次に、前記した反射防止転写材9Aを用い、射出成形による成形同時転写法を行う方法について説明する。
【0060】
成形用金型10としては、成形用金型10としては、透明窓に相当する箇所のキャビティ面10Aにおいて曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面を有するものを用いる。成形用金型10の材質としては、構造用圧延鋼、機械構造用炭素鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度鋼、高炭素クロム鋼、軸受鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデン鋼、アルミニウムクロムモリブデン鋼などを用いることができる。成形用金型10のキャビティ10Bは、フライス加工法、コールドホビング法、ショウプロセス法、圧力鋳造法、電鋳法、放電加工法、腐蝕加工法、NC加工法などの加工方法により形成することができる。キャビティ面10Aは、ヤスリ目落し、ペーパ、エメリ粉、スチールウール、ゴム砥石、フェルトバフなどを用いて表面を磨くことによって所定の表面粗さに仕上げ加工することができる。
【0061】
キャビティ面10Aの表面粗さを領域によって異なるようにする場合は、仕上げ加工における研磨方法や研磨度合いを適宜選択するとよい。たとえば、やや粗い目のペーパですべての領域を磨いた後、特定の領域を細かい目のペーパで再度磨くことにより、表面粗さの異なる2つの領域をキャビティ面10Aに形成することができる。
【0062】
また、図17に示すように、入念に研磨した金型表面を有する入れ子10fを粗金型表面を有する金型10d内に組み込んで仕上げ合わせすることにより、表面粗さの異なる2つの領域をキャビティ面10Aに形成することができる。よって、たとえば、キャビティ面10Aのうちの細かい目のペーパで再度磨かれた領域、または、入念に研磨した金型表面を有する入れ子10fは、反射防止成形品8の中央領域Aすなわち透明窓となる箇所のうちの視認領域でかつ平均表面粗さRaを2.0〜35nmとするために使用することができる。また、キャビティ面10Aのうちのやや粗い目のペーパで磨かれただけの領域、または、粗金型表面を有する金型10dは、中央領域Aの周囲でありかつ液晶表示部の周縁である周縁の領域B、言い換えれば、透明窓となる箇所のうちの視認領域の周囲の周囲領域でかつ平均表面粗さRaが35〜85nm程度とするために使用することができる。
【0063】
上記成形転写法においては、まず、成形用金型10内に加飾シート9である転写材9Aを送り込む。その際、枚葉の転写材9Aを1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の転写材9Aの必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写材9Aを使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写材9Aの図柄層120と成形用金型10との見当が一致するようにするとよい。また、転写材9Aを間欠的に送り込む際に、転写材9Aの位置をセンサーで検出した後に転写材9Aを可動型と固定型とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写材9Aを固定することができ、図柄層120の位置ずれが生じないので便利である。
【0064】
成形用金型10を閉じた後、ゲートから溶融樹脂1Aを金型10内に射出充満させ、被転写物を形成するのと同時にその面に転写材9Aを接着させる。
【0065】
透明基材1に用いることができる樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂や、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。
【0066】
透明基材1の形状は、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面となるものであれば、全体が平板状のものであっても、二次元あるいは三次元の曲面を有するものであってもよい。
【0067】
被転写物である樹脂成形品を冷却した後、成形用金型10を開いて樹脂成形品を取り出す。最後に、転写材9Aの基体シート7を剥離する(図7参照)。このようにして、転写層のみを成形品に転移することができる(図8参照)。
【0068】
次に、インサート材9を利用したインサート法について説明する。
【0069】
インサート材9を得るには、次のような方法で行うとよい。
【0070】
インサート材9は、基体シート7上にハードコート層4や図柄層120などを設けたものである(図2参照)。
【0071】
基体シート7としては、転写材9Aの場合と同様のものを用いるとよい。また、ハードコート層4、図柄層120、接着層2などは、転写材9Aの場合と同様に形成することができる。
【0072】
なお、インサート法の場合は基体シート7を剥離除去しないので、基体シート7の一方の面にハードコート層4を形成し、他方の面に図柄層120、接着層2を形成したり、一方の面にハードコート層4、図柄層120を形成し、他方の面に接着層2を形成したりすることができる。
【0073】
また、インサート法によって透明基材1の上に形成するすべての層を形成するのではなく、インサート法によって形成するのが好適な層のみを成形同時加飾法によって形成し、その他の層は別途形成するのが好ましい。
【0074】
次に、インサート材9の使用方法について説明する。
【0075】
成形用金型10としては、透明窓に相当する箇所のキャビティ面10Aにおいて曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面を有するものを用いる。インサート材9の場合は、離型層3によって微細凹凸を形成することができないので、金型10の透明窓に相当する箇所のキャビティ面10Aに微細凹凸を形成するとよい(図3A、図11参照)。特に、透明窓に相当する箇所のキャビティ面10Aの平均表面粗さRaが2.0〜170nmであると、後に形成する反射防止層5と透明窓部分の界面の平均表面粗さRaを2.0〜150nmにすることができるので好適である。
【0076】
まず、成形用金型10内に加飾シート9であるインサート材9を送り込む(図3参照)。その際、枚葉の転写材9Aを1枚づつ送り込むのが好ましい。成形形状が立体形状である場合、熱源によりインサート材9を加熱軟化させるとともに真空吸引してキャビティ面10Aに密着させてもよい。次いで型締めし、ゲートから溶融樹脂1Aを射出する(図4参照)。型開きすれば、インサート材9と成形樹脂1Aとが一体化した成形品を得ることができる(図5参照)。
【0077】
このようにして、インサート材9と成形樹脂とを一体化して、透明窓部分が平均表面粗さRa2.0〜150nmであり、透明窓部分の形状が表面側に凸となる曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である成形品を形成することができる(図5参照)。
【0078】
転写材9Aやインサート材9などの加飾シート9を利用してハードコート層4を形成した後、反射防止層5を少なくとも透明窓部分に形成する(図1A、図1B参照)。反射防止層5を設けることにより、透明基材1の反射を防止することができる。
【0079】
反射防止層5の材質としては、Al、ZnO、MgFなどの金属化合物の蒸着層や、SiO、MgFなどの低屈折率の金属化合物とZnO、TiOなどの高屈折率の金属化合物とを積層した蒸着層や、フッ素系ポリマーや酸化ケイ素ゲルなどからなる樹脂コーティング層などを用いることができる。また、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0080】
反射防止層5の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などがある。あるいは金属アルコラート、金属キレートなどの有機金属化合物を浸積法あるいは印刷法、コーティング法などにより透明基材1上に塗布し、その後、光照射あるいは乾燥により金属酸化物皮膜を形成して反射防止層5を得る方法もある。
【0081】
反射防止層5は、低屈折率層1層だけでもよいし、後述する複数層の低反射防止層(図23参照)であって低屈折率層と高屈折率層の複合層であってもよい。複合層にすると反射防止性をより向上できる。複合層にすると工数が増えるのを解消するため、ロールツーロールによる連続コート方式で反射防止層5を形成すれば、非常に効率的である。本件のような転写材9Aにおいては、ロールツーロールによる連続生産が可能である。なお、ここでいう低屈折率および高屈折率とは、これらの層の下側に位置する層が有する屈折率との比較結果をいう。たとえば、反射防止層5が1層構成である場合は、ハードコート層1が有する屈折率が比較対象となる。また、反射防止層5が複合層である場合は、反射防止層5を構成する各層の直下に位置する層の屈折率がそれぞれ比較対象となる。
【0082】
反射防止層5の膜厚は、一般式n×d=λ/4または一般式n×d=3λ/4(ただし、nは低屈折率物質の屈折率、dは低屈折率物質の膜厚、λは低反射中心波長をそれぞれ示す)を満たすように適宜選択するとよい。通常、反射防止層5の厚さは、0.01〜2μmの範囲となる。
【0083】
また、必要に応じて防汚層190を反射防止層5の上に設けてもよい(図1A、図1B、図1Cの一点鎖線参照)。防汚層190は、反射防止成形品8の汚染を防ぐために反射防止層5の上に設ける層であって、撥水性および撥油性を有する素材からなる層である。防汚層190としては、末端基にフッ素を有する界面活性剤などを用いるとよい。防汚層190を設けるには、コーティング法、浸漬法、真空蒸着法などによるとよい。防汚層190の膜厚は、できる限り薄い方が好ましい。防汚層190の厚さが大きいと反射防止成形品8の光透過率が低くなるからである。
【0084】
【実施例】
(実施例1〜9) 厚さ50μmポリカーボネートフィルムを基体シートとし、その上にウレタンアクリレート系樹脂を用いて厚さ4μmハードコート層を形成し、インサート材を得た(図2参照)。
【0085】
次に、透明窓部分に対応する箇所の平均表面粗さRaが0.002〜0.19μmである射出成形金型を種々作成し、各金型にインサート材を載置し、金型を閉じ、アクリル系樹脂を射出し、ハードコート層表面に種々の程度の凹凸が形成された成形品を得た。
【0086】
各成形品の形状は60mm×60mm×1.5mmの平板とした。
【0087】
次いで、各成形品のハードコート層上に、厚さ約0.1μmのフッ化マグネシウムからなる反射防止層を形成して反射防止成形品を得た(図11参照)。
【0088】
このようにして得た各反射防止成形品の反射率を測定したところ、実施例1〜6は反射防止性が高く、特に実施例1〜5は非常に優れたものであった。実施例7〜8は反射防止効果はあるものの、実施例1〜6に比べるとかなり劣るものであった。実施例9は反射防止効果がほとんどないものであった。
【0089】
【表1】
Figure 0003571021
【0090】
なお、評価結果の◎はきわめて良好、○は良好、△は可、×は不可をそれぞれ示す。
【0091】
(実施例10〜18) 厚さ38μmポリエステルフィルムを基体シートとし、その上に主剤100部に対し、粒度0.4〜8μmのシリカビーズを8重量部添加したメラミン系樹脂を用い平均表面粗さRaが0.002〜0.19μmの離型層を形成し、その上にウレタンアクリレート系樹脂を用い厚さ4μmのハードコート層を形成し、その上にアクリル系樹脂を用い接着層を形成して種々の転写材を得た(図2参照)。
【0092】
アクリル系樹脂からなる60mm×60mm×1.5mmの平板形状の成形品上に各転写材を載置し、背面から加熱ロールで加圧したのち、基体シートを剥がして、表面に種々の程度の凹凸のハードコート層が積層された成形品を得た。
【0093】
次いで、各成形品のハードコート層上に、厚さ約0.1μmのフッ化マグネシウムからなる反射防止層を形成して種々の反射防止成形品を得た。
【0094】
このようにして得た各反射防止成形品の反射率を測定したところ、実施例10〜15は反射防止性が高く、特に実施例10〜14は非常に優れたものであった。実施例16〜17は反射防止効果はあるものの、実施例10〜15に比べるとかなり劣るものであった。実施例18は反射防止効果がほとんどないものであった。
【0095】
【表2】
Figure 0003571021
【0096】
(実施例19〜27) 実施例1で使用したインサート材を使用して、射出成形金型(図10参照)に載置し、金型を閉じ、アクリル系樹脂を射出し、60mm×60mm×1.5mmの平板形状と曲率半径が30〜300mmの蒲鉾状形状からなる形状の成形品を作製した(図12参照)。なお、これらの成形品の平均表面粗さRaは、すべて0.01μm程度になるよう射出成形金型のキャビティ面を設定した。
【0097】
次いで、これらの成形品のハードコート層上に、厚さ約0.1μmのフッ化マグネシウムからなる反射防止層を形成して反射防止成形品を得た。
【0098】
【表3】
Figure 0003571021
【0099】
このようにして得た各反射防止成形品の反射率を測定した結果、実施例19〜24は反射防止性が高く、特に実施例19〜23は非常に優れたものであった。実施例25〜26は反射防止効果はあるものの、実施例19〜24に比べるとかなり劣るものであった。実施例27は反射防止効果がほとんどないものであった。
【0100】
【発明の効果】
この発明は、以上のような構成を採るので、以下のような効果を奏する。
【0101】
この発明の反射防止成形品の製造方法は、基体シート上に少なくともハードコート層が形成された加飾シートを、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である金型のキャビティ面に基体シート側が接するように設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して加飾シートと樹脂からなる透明基材との一体化物を得、次いで上記一体化物から基体シートを剥離して透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面を形成し、次いで透明基材の表面側に反射防止層を形成するので、優れた反射防止効果とハードコート性とを有する反射防止成形品を容易に得ることができる。
【0102】
また、この発明の反射防止成形品用金型は、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面であるので、これを用いることによって優れた反射防止効果とハードコート性とを有する反射防止成形品を容易に得ることができる。
【0103】
また、この発明の反射防止成形品は、透明基材の表面に反射防止層が少なくとも形成され、反射防止層が形成された透明窓部分の界面の平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面であるので、優れた反射防止効果とハードコート性とを有する反射防止成形品である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明の反射防止成形品の製造方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図3】この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図4】この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図5】この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】この発明の反射防止成形品の製造方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図7】この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】この発明の反射防止成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図9】この発明における平均表面粗さRaを得るためのグラフである。
【図10】この発明の反射防止成形品用金型の一実施例を示す断面図である。
【図11】この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。
【図12】この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。
【図13】平均表面粗さRaが異なる場合に、反射防止効果がどのように変化するかを示す模式断面図である。
【図14】この発明の反射防止成形品の用途と反射率と平均表面粗さRaとの関係を示す表である。
【図15】この発明の反射防止成形品の一実施例を示す斜視図である。
【図16】この発明の反射防止成形品の一実施例を示す断面図である。
【図17】この発明の反射防止成形品の製造方法に用いる成形用金型の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基材
2 接着層
3 離型層
4 ハードコート層
5 反射防止層
7 基体シート
8 反射防止成形品
9 加飾シート
10 金型
11 図柄層
12 防汚層
13 溶融樹脂

Claims (11)

  1. 基体シート上に少なくともハードコート層が形成された加飾シートを、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である金型のキャビティ面に基体シート側が接するように設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して加飾シートと樹脂からなる透明基材との一体化物を得、次いで基体シートを上記一体化物から剥離して透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面を形成し、次いで透明基材の表面側に反射防止層を形成することを特徴とする反射防止成形品の製造方法。
  2. 基体シート上に少なくともハードコート層が形成された加飾シートを、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面である金型のキャビティ面にハードコート層側が接するように設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して加飾シートと樹脂からなる透明基材との一体化物を得て透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分の形状が表面側に凸となる曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面を形成し、次いで透明基材の表面側に反射防止層を形成することを特徴とする反射防止成形品の製造方法。
  3. 加飾シートが、全面的なハードコート層と、透明窓となる箇所を除くパターンの部分的な図柄層と、全面的な接着層とが少なくとも基体シート上に形成されたものである請求項1〜2のいずれかに記載の反射防止成形品の製造方法。
  4. 反射防止層の上に防汚層を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止成形品の製造方法。
  5. 透明基材の表面にハードコート層が少なくとも配置され、透明窓となる箇所に平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面を有する反射防止成形品を成形する金型において、透明窓に相当する箇所において曲率半径が40mm以上の曲面または平坦面であるキャビティ面を有することを特徴とする反射防止成形品用金型。
  6. 透明窓に相当する箇所のキャビティ面の平均表面粗さRaが2.0〜170nmである請求項5記載の反射防止成形品用金型。
  7. 透明基材の表面に反射防止層が少なくとも形成され、反射防止層が形成された透明窓部分の界面の平均表面粗さRaが2.0〜150nmであり、透明窓部分において曲率半径が40mm以上の表面側に凸となる曲面または平坦面であることを特徴とする反射防止成形品。
  8. 透明基材と反射防止層との間に、透明窓となる箇所を除くパターンの部分的な図柄層が形成されたものである請求項7記載の反射防止成形品。
  9. 透明基材と反射防止層との間にハードコート層が形成されたものである請求項7〜8のいずれかに記載の反射防止成形品。
  10. 反射防止層の上に防汚層が形成されたものである請求項7〜9のいずれかに記載の反射防止成形品。
  11. 透明窓となる箇所のうちの視認領域では平均表面粗さRaが2.0〜35nmであり、透明窓となる箇所のうちの視認領域の周囲の周囲領域では平均表面粗さRaが35〜85nmである請求項7〜10のいずれかに記載の反射防止成形品。
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