JP3570774B2 - 柔軟性ポリオレフィン組成物およびその用途 - Google Patents
柔軟性ポリオレフィン組成物およびその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は柔軟性に優れたポリオレフィン組成物に関し、さらに詳しくはチューブ状の包装材特に輸液バッグなどの医療用プラスチック容器などの用途に好適なポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
輸液バッグなどの医療用プラスチック容器は、優れた柔軟性、透明性および強度とともに高温での滅菌処理によってもこれら特性が低下しないような優れた耐熱性が要求される。またレトルト食品に用いられるレトルトパウチも、医療用容器ほどではないが高温で滅菌処理されるので、上記のような耐熱性が要求される。
【0003】
従来このような医療用プラスチック容器、レトルトパウチなどの包装材を形成するポリマーとしては、一般的にポリエチレンあるいはプロピレンランダム共重合体が用いられている。
【0004】
従来よりこのプロピレンランダム共重合体については種々の提案がなされており、たとえば特開昭51―79195号公報、特開昭53―26882号公報、特開昭53―26883号公報には、プロピレンと少量のエチレンとブテンとを共重合させて得られるプロピレン系三元共重合体が開示されている。このプロピレン系三元共重合体は、結晶性であって、耐熱性には優れているが、上記のような包装材として用いるには柔軟性、ヒートシール性などが不十分である。
【0005】
また特公昭55−6643号公報には、プロピレン成分とともにエチレン成分を1.3〜2.4重量%、ブテン成分を6.5〜12.1重量%の量で含有し、剛性、透明性、開口性などの特性に優れるとともにヒートシール性にも優れたフィルムを形成するプロピレン系三元共重合体の製造方法が開示されている。
【0006】
また特開昭57―125207号公報には、低温ヒートシール性に優れたプロピレン系三元共重合体として、溶液重合により得られ、エチレン成分を1モル%以上、ブテン成分を1モル%以上、かつプロピレン成分を90モル%未満の割合で含むプロピレン系三元共重合体が開示されている。
【0007】
特開昭57―147506号公報には、プロピレン成分80〜96.5重量%、エチレン成分3〜17重量%、ブテン成分0.5〜5重量%からなるプロピレン系三元共重合体を、射出成形剛体製品あるいはブロー成形瓶などに成形することが示されている。
【0008】
ところで近年、前述したような医療用プラスチック容器特に輸液バッグなどは、従来よりもさらに高温条件下での高圧蒸気滅菌処理あるいは熱水滅菌処理を必要とされることがある。
【0009】
しかしながら上記のような従来のポリエチレンあるいはプロピレン系三元共重合体から得られる医療用プラスチック容器、たとえば輸液バッグなどは、このような高温下に滅菌処理されると、白化して透明性が低下したり、柔軟性が低下してしまうことがあり、耐熱性が充分であるとはいえない。
【0010】
このため高温下での滅菌処理によっても透明性が低下したり、柔軟性、強度などが低下したりすることのないような耐熱性に優れた包装材料の出現が望まれている。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、透明性、柔軟性に優れ、しかも高温下に晒されてもこれらの特性が低下することがなく、輸液バッグなどの包装材として好適な耐熱性に優れたポリオレフィン組成物を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、
(i) エチレン成分、(ii)プロピレン成分および(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を含み、
(A)(a) エチレン成分を0〜10モル%の量で、
(b) プロピレン成分を100〜80モル%の量で、
(c) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を0〜15モル%の量で
含有する、結晶化度が50〜58%であるプロピレン系重合体;50〜95重量部と、
(B)(a) エチレン成分を6.5〜20モル%の量で、
(b) プロピレン成分を80〜30モル%の量で、
(c) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を10〜50モル%の量で
含有するプロピレン系ランダム共重合体;5〜50重量部とから形成され、
[I]30℃デカン可溶部を10〜55重量%の量で、
[II]30℃デカン不溶部を90〜45重量%の量で含有し〔ただし[I]30℃デカン可溶部と[II]30℃デカン不溶部との合計を100重量%とする。〕、かつ
[I]30℃デカン可溶部は、極限粘度[轣nが0.5〜4dl/gであり、
(i) エチレン成分を1〜25モル%の量で、
(ii)プロピレン成分を85〜25モル%の量で、
(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を5〜55モル%の量で含有し、
[II]30℃デカン不溶部は、極限粘度[轣nが1.0〜4dl/gであり、
(i) エチレン成分を0〜15モル%の量で、
(ii)プロピレン成分を100〜70モル%の量で、
(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を0〜20モル%の量で
含有していることを特徴としている。
【0013】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、ASTM D1003に準じて200℃で成形した厚み0.5mmのプレスシートについて測定したヘイズが、19〜27%であることが好ましい。
本発明に係る輸液バッグは、上記本発明に係るポリオレフィン組成物からなることが好
ましい。
【0014】
【発明の具体的説明】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、(i) エチレン成分、(ii)プロピレン成分および(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を含んでいる。
【0015】
(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、具体的に、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセンなどおよびこれらの組合せが挙げられる。これらのうち1−ブテンが好ましい。
【0016】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、[I]30℃デカン可溶部と[II]30℃デカン不溶部との合計を100重量%とするとき、
[I]30℃デカン可溶部を、10〜55重量%好ましくは15〜50重量%の量で、
[II]30℃デカン不溶部を90〜45重量%好ましくは85〜50重量%の量で含有している。
【0017】
本発明に係るポリオレフィン組成物の[I]30℃デカン可溶部の極限粘度[η]は、0.5〜4dl/g好ましくは1〜3dl/gである。
この[I]30℃デカン可溶部は、
(i) エチレン成分を1〜25モル%好ましくは2〜20モル%の量で、
(ii)プロピレン成分を85〜25モル%好ましくは75〜50モル%の量で、
(iii) 炭素数4〜10のα−オレフィン成分を5〜55モル%好ましくは10〜45モル%の量で含有している。
【0018】
また本発明に係るポリオレフィン組成物の[II]30℃デカン不溶部の極限粘度[η]は、1.0〜4dl/g好ましくは1.8〜3dl/gである。
この[II]30℃デカン不溶部は、
(i) エチレン成分を0〜15モル%好ましくは0〜10モル%の量で、
(ii)プロピレン成分を100〜70モル%好ましくは100〜80モル%の量で、
(iii) 炭素数4〜10のα−オレフィン成分を0〜20モル%好ましくは0〜15モル%の量で含有している。
【0019】
上記のような特定の30℃デカン可溶部[I]と30℃デカン不溶部[II]とを特定量で含有する本発明に係るポリオレフィン組成物は、透明性、柔軟性に優れ、しかも耐熱性にも優れているので、高温下に晒されてもこのような特性を維持することができる。
【0020】
このような本発明に係るポリオレフィン組成物のメルトフローレート(MFR:ASTM D1238−65T、230℃、2.16kg荷重下)は、通常0.1〜200g/10分好ましくは0.5〜15g/10分である。
【0021】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、包装材用途に利用することができ、具体的に、チューブ状の中空成形品、特に高温下に滅菌処理されるような輸液バッグなどの医療用プラスチック容器、マウスピース、緩衝材などの用途に好適に利用することができる。
【0022】
本発明に係るポリオレフィン組成物からチューブ状の中空成形品特にたとえば医療用の輸液バッグなどの偏平な中空成形品を形成するには、中空成形法、フィルム、チューブ、シートから成形する方法、偏平パリソンとパリソンコントローラーとを組合わせる方法、横エクスパンダー法(特開昭61−134224号公報)、シートブロー法、射出ブロー成形法などを採用することができる。
【0023】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、これらの用途に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で、他の樹脂成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、核剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、無機充填剤または有機充填剤などの種々の添加剤を含有していてもよい。
【0024】
上記のような本発明に係るポリオレフィン組成物は、予め製造されたポリマーをブレンドすることにより形成することができる。
【0025】
以下本発明に係るポリオレフィン組成物を予め製造されたポリマーをブレンドすることにより形成する場合について具体的に説明する。
上記のような本発明に係るポリオレフィン組成物は、たとえば下記のような
(A)プロピレン系重合体;50〜95重量部好ましくは55〜90重量部と、
(B)プロピレン系ランダム共重合体;5〜50重量部好ましくは10〜45重量部とをブレンドすることにより形成することができる。
【0026】
この(A)プロピレン系重合体は、
(a) エチレン成分を0〜10モル%好ましくは0〜8モル%の量で、
(b) プロピレン成分を100〜80モル%好ましくは100〜85モル%の量で、
(c) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を0〜15モル%好ましくは0〜10モル%の量で含有している。
【0027】
この(c) 炭素数4〜12のα−オレフィンは、上記に(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィンとして示したものと同様である。
プロピレン系重合体(A)は、ホモポリプロピレンであっても、プロピレンとエチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体あるいはブロック共重合体であってもよい。プロピレン系重合体(A)がブロック共重合体であるときには、結晶性ポリプロピレン成分と、ランダム共重合成分とから形成されるプロピレンブロック共重合体であることが好ましい。
【0028】
またプロピレン系重合体(A)は、上記の(a) 、(b) および(c) 以外のオレフィンから導かれる成分を少量たとえば10モル%以下の量で含んでいてもよい。プロピレン系重合体(A)の結晶化度は、40〜70%好ましくは50〜60%であることが望ましい。
【0029】
プロピレン系重合体(A)の融点は、125〜165℃好ましくは130〜150℃であることが望ましい。
プロピレン系重合体(A)の極限粘度[η](135℃、デカヒドロナフタリン中)は、1.8〜3dl/gであることが望ましく、メルトフローレート(MFR;230℃)は、0.1〜200g/10分好ましくは0.5〜10g/10分であることが望ましい。
【0030】
上記のような融点を有するプロピレン系重合体(A)と、下記に示すプロピレン系ランダム共重合体(B)とからは、耐熱性に優れるとともに柔軟性にも優れたポリオレフィン組成物を形成することができる。
【0031】
本発明で用いられる(B)プロピレン系ランダム共重合体は、エチレンとプロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、
(a) エチレン成分を2〜20モル%好ましくは5〜15モル%の量で、
(b) プロピレン成分を80〜30モル%好ましくは70〜45モル%の量で、
(c) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を10〜50モル%好ましくは15〜40モル%の量で含有している。
【0032】
この(c) 炭素数4〜12のα−オレフィンは、上記に(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィンとして示したものと同様である。またプロピレン系ランダム共重合体(B)は、上記の(a) 、(b) および(c) 以外のオレフィンから導かれる成分を少量たとえば10モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0033】
プロピレン系重合体(A)を形成する炭素数4〜12のα−オレフィン(c) と、プロピレン系ランダム共重合体(B)を形成する炭素数4〜12のα−オレフィン(c) とは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。同一のα−オレフィン(c) を含むプロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とは相溶性に優れるので、これら(A)と(B)とからは透明性に優れたポリオレフィン組成物を得ることができる。
【0034】
上記のようなプロピレン系重合体(A)およびプロピレン系ランダム共重合体(B)は、従来公知のチーグラー触媒たとえば固体状チタン系触媒、ジルコニウムなどの遷移金属のメタロセン化合物を含むメタロセン触媒あるいはバナジウム触媒などを用いて、それぞれ重合系に供給するモノマーの種類および量あるいは触媒を適宜変えることにより製造することができる。
【0035】
上記の固体状チタン系触媒は、具体的には、固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、必要に応じて電子供与体とから形成される。
この固体状チタン触媒成分としては、たとえば比表面積100m2 /g以上である担体に三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物が担持された固体状チタン触媒成分、あるいはマグネシウム、ハロゲン、電子供与体(好ましくは芳香族カルボン酸エステル、アルキル基含有エーテルなど)およびチタンを必須成分とする固体状チタン触媒成分が挙げられる。これらのうちでも、後者の固体状チタン触媒成分が好ましい。
【0036】
また有機金属化合物触媒成分としては、具体的に有機アルミニウム化合物が挙げられ、たとえばトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライドなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。なお有機アルミニウム化合物は、使用するチタン触媒成分の種類に合わせて適宜選択することができる。
【0037】
電子供与体としては、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子あるいはホウ素原子などを有する有機化合物を使用することができ、好ましくは上記のような原子を有するエステル化合物およびエーテル化合物などが挙げられる。
【0038】
このような触媒は、さらに共粉砕等の手法により活性化されてもよく、またオレフィンが前重合されていてもよい。
上記のようなプロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とを、従来公知のブレンド方法によってブレンドすることにより本発明に係るポリオレフィン組成物を形成することができる。この際には、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とを、二軸押出機などで溶融混練することが好ましい。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、柔軟性、透明性および機械的強度に優れるとともに耐熱性にも優れており、高温条件下に晒されてもこれらの特性が低下してしまうことがない。このような本発明に係るポリオレフィン組成物は、高温条件下に滅菌処理が行われるような包装材料、医療材料などとして好適に用いることができる。
【0040】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
なお下記の実施例において、ポリマーの組成、物性などは下記のように測定した。
(1) メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238−65Tに準拠して、230℃、2.16kg荷重下で測定した。
(2) ポリマー組成
10mmφの試料管中、約200mgのポリマーを1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料を、測定温度120℃、測定周波数25.02MHz 、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec 、パルス幅6μsec の条件下で13C−NMRスペクトル測定することにより求めた。
(3) 極限粘度[η]
135℃デカヒドロナフタレン中で測定した。
(4) 重量平均分子量、分子量分布
o−クロルベンゼンを溶媒として、140℃でゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を測定して求めた。
(5) 曲げ試験
ASTM D790に準じて、200℃で成形した厚み2mmのプレスシートから打ち抜いたFM試験片を、23℃、スパン間32mm、曲げ速度5mm/minで試験した。
(6) ヘイズ
ASTM D1003に準じて、200℃で成形した厚み0.5mmのプレスシートについて測定した。
【0042】
以下に本発明の実施例で用いられたプロピレン系重合体(A)およびプロピレン系ランダム共重合体(B)の製造例を示す。
【0043】
【製造例1】
プロピレン系重合体(A)の製造
〔チタン触媒成分(1) の調製〕
無水塩化マグネシウム7.14g(75ミリモル)、デカン37.5mlおよび2−エチルヘキシルアルコール35.1ml(225ミルモル)を、130℃で2時間加熱して均一溶液とした。その後、この溶液中に無水フタル酸1.67g(11.3ミリモル)を添加し、130℃にてさらに1時間攪拌混合を行ない、無水フタル酸を上記の均一溶液に溶解させた。
【0044】
このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン200ml(1.8モル)中に1時間にわたって全量滴下した。滴下後、得られた溶液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート5.03ml(18.8ミリモル)を添加した。
【0045】
さらに2時間上記の温度で攪拌した。2時間の反応終了後、熱時濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mlのTiCl4で再懸濁させた後、再び110℃で2時間加熱した。
【0046】
反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンを用いて洗浄した。この洗浄を、洗浄液中にチタン化合物が検出されなくなるまで行なった。
【0047】
上記のようにして固体チタン触媒成分(1) がヘキサンスラリーとして得られた。この触媒成分(1) の一部を採取して乾燥させて分析したところ、チタン触媒成分(1) は、チタンを2.5重量%、塩素を58重量%、マグネシウムを18重量%およびジイソブチルフタレートを13.8重量%の量で含有していた。
〔予備重合〕
窒素置換された400mlのガラス製反応器中に、精製ヘキサン200mlを入れ、トルエチルアルミニウム20ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン4ミリモルおよびチタン触媒成分(1) をチタン原子換算で2ミリモル装入した後、5.9Nl/時間の量でプロピレンを1時間供給し、チタン触媒成分(1) 1g当り、2.8gのプロピレンを重合させた。
【0048】
この予備重合終了後、濾過により液部を除去し、分離した固体部をデカンに再び分散させた。
〔本重合〕
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブ中に、ヘキサン750ml、トリエチルアルミニウム0.75ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.75ミリモルおよび上記のように予備重合されたチタン触媒成分(1) をチタン原子換算で0.015ミリモルの混合物を装入した。その後、水素を150ml装入し、さらにプロピレン/エチレン/1−ブテン混合ガス(90.7/5.3/4.0モル%)の供給を開始した。全圧を2kg/cm2Gに保ち、60℃で1.5時間重合を行なった。
【0049】
重合終了後、ポリマーを濾別して、80℃で一晩減圧乾燥した。
表1に示すようなプロピレン系重合体(A)が125g得られた。
プロピレン系ランダム共重合体(B)の製造
【0050】
【製造例2】
プロピレン系ランダム共重合体(B−1) の製造
〔チタン触媒成分(2) の調製〕
無水塩化マグネシウム4.76g(50ミリモル)、デカン25mlおよび2−エチルヘキシルアルコール23.4ml(150ミリモル)を130℃で2時間加熱して均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸1.11g(7.5ミリモル)を添加し、130℃にてさらに1時間攪拌混合し、無水フタル酸を上記の均一溶液に溶解させた。
【0051】
得られた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン200ml(1.8モル)中に1時間に亘って全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート2.68ml(12.5ミリモル)を添加しこれより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にろり固体部を採取し、この固体部を200mlのTiCl4 で再懸濁させた後,再び110℃で2時間、加熱した。反応終了後、再び熱濾過により固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンを用いて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分に洗浄した。上記のように調製されたチタン触媒成分(2) はヘキサンスラリーとして保存されるが、このうち一部を乾燥して触媒組成を調べた。
【0052】
上記のようにして得られたチタン触媒成分(2) は、チタンを3.1重量%、塩素を56.0重量%、マグネシウムを17.0重量%およびジイソブチルフタレ−トを20.9重量%の量で含有していた。
〔重合〕
500mlのフラスコ中に、250mlのn−デカン、1.25ミリモルのトリイソブチルアルミニウム、0.15ミリモルのジフェニルジメトキシシランおよび上記で得られたチタン触媒成分(2) をチタン原子換算で0.025ミリモル装入した。70℃に昇温し、10リットル/hのエチレン、70リットル/hのプロピレン、50リットル/hの1−ブテン、10リットル/hの水素を常圧下で溶媒中に連続的に導入し、70℃で30分間重合を行った。重合は溶液状態で進行した。イソブチルアルコールを加えて重合を停止し、大量のメタノール中にポリマーを全量析出させ、120℃で一晩真空乾燥した。
【0053】
表1に示すようなプロピレン系ランダム共重合体(B−1) が13g得られた。
【0054】
【製造例3】
プロピレン系ランダム共重合体(B−2) の製造
上記のようなプロピレン系ランダム共重合体(B−1) と同様にして、表1に示すようなプロピレン系ランダム共重合体(B−2) を製造した。
【0055】
【製造例4】
プロピレン系ランダム共重合体(B−3) の製造
上記のようなプロピレン系ランダム共重合体(B−1) と同様にして、表1に示すようなプロピレン系ランダム共重合体(B−3) を製造した。
【0056】
【表1】
【0057】
【実施例1〜9】
上記で得られたプロピレン系重合体(A)およびプロピレン系ランダム共重合体(B)を、表2に示す量でブレンドすることにより本発明に係るポリオレフィン組成物を調製した。
【0058】
得られたポリオレフィン組成物のMFRを表2に示す。
なおプロピレン系重合体(A)と、プロピレン系ランダム共重合体(B)とのブレンドは、ハーケ二軸押出機を用いて、樹脂温度200℃で溶融混練して行った。
【0059】
得られたポリオレフィン組成物を下記のように30℃デカンで溶媒分別して、30℃デカン可溶部[I]と30℃デカン不溶部[II]とを得た。結果を表2に示す。
〔n−デカン分別法〕
ガラス製二重管式恒温槽中のn−デカン約500ml中に、試料約2gを精秤して入れ140℃で約1時間攪拌することにより完全に溶解した。その後、溶液の温度を攪拌下で緩やかに30℃まで降温した。溶液の温度が一定になった後、一昼夜攪拌を続け、パウダー状のn−デカン不溶部をグラスフィルタで濾別した。一方濾液を過剰のアセトン中に入れ、沈澱してきたn−デカン可溶部をグラスフィルタで濾別した。パウダ状のn−デカン不溶部は約500mlのn−デカンに約140℃で完全に溶解した後、過剰のアセトン中で再沈澱させて濾別した。このようにして分別されたn−デカン不溶部とn−デカン可溶部とを、それぞれ約80℃の真空乾燥機において減圧下一昼夜乾燥後、精秤した。
【0060】
【表2】
Claims (2)
- (i) エチレン成分、(ii)プロピレン成分および(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を含み、
(A)(a) エチレン成分を0〜10モル%の量で、
(b) プロピレン成分を100〜80モル%の量で、
(c) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を0〜15モル%の量で
含有する、結晶化度が50〜58%であるプロピレン系重合体;50〜95重量部と、
(B)(a) エチレン成分を6.5〜20モル%の量で、
(b) プロピレン成分を80〜30モル%の量で、
(c) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を10〜50モル%の量で
含有するプロピレン系ランダム共重合体;5〜50重量部とから形成され、
[I]30℃デカン可溶部を10〜55重量%の量で、
[II]30℃デカン不溶部を90〜45重量%の量で含有し〔ただし[I]30℃デカン可溶部と[II]30℃デカン不溶部との合計を100重量%とする。〕、かつ
[I]30℃デカン可溶部は、極限粘度[轣nが0.5〜4dl/gであり、
(i) エチレン成分を1〜25モル%の量で、
(ii)プロピレン成分を85〜25モル%の量で、
(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を5〜55モル%の量で含有し、
[II]30℃デカン不溶部は、極限粘度[轣nが1.0〜4dl/gであり、
(i) エチレン成分を0〜15モル%の量で、
(ii)プロピレン成分を100〜70モル%の量で、
(iii) 炭素数4〜12のα−オレフィン成分を0〜20モル%の量で
含有し、
ASTM D1003に準じて200℃で成形した厚み0.5mmのプレスシートについて測定したヘイズが19〜27%であること
を特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン組成物。 - 請求項1に記載のポリオレフィン組成物からなることを特徴とする輸液バッグ。
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