JP3569967B2 - Ti焼結体の製造方法 - Google Patents
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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、Ti焼結体及びその製造方法に係り、特に、金属粉末射出成形法(Metal Injection Molding;以下、MIMという。)によるTi焼結体の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
MIMは、1960年代に米国のNASAで開発された技術であり、その後、エレクトロニクス、精密機械、医療、自動車など幅広い分野で活用されている。例えば、精密機械分野では、ステンレス鋼(SUS),Fe−Niによる時計のケースやバンド、カメラのレバーやギヤなどに、民生用機器では、SUSによる眼鏡やボタンなどに、エレクトロニクス分野では、Fe−Co,SUS,Fe−Niによる複写機のギヤー,プリンターのヨーク,コンパクトディスクのピックアップ,ハードディスク,光ファイバーコネクターなどに、医療分野では、SUS,Ni−Tiによる歯科用彫刻刀や手術用ピンセットなどに、自動車分野では、耐熱鋼,SUS,低合金鋼によるキー,燃料噴射装置,制御装置などに、一般機械分野では、低合金鋼,ハイスによるミシンのルーパー,NC工作機,工具類などに応用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様に、従来は、SUSや低合金鋼などを中心にMIM焼結品が製造されてきたが、最近では、特に軽量・高強度で人体とも馴染みがよいTi粉末を用いたMIM焼結品が望まれるようになってきた。
【0004】
しかし、Ti粉末を用いたMIM焼結品は、延性が不十分で、脆く割れ易いという問題があった。
そこで、本発明は、十分なる延性を有するTi焼結体の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
かかる目的を達成するためになされた本発明のTi焼結体の製造方法は、大径のTi粉末と小径のTi粉末とを、焼結体密度95%以上、かつ、焼結体におけるC,N,Oの含有量をC≦0.20mass%、N≦0.08mass%、0.25mass%≦O≦0.50mass%とし、かつ、伸びを10%以上確保できる範囲内で混合し、バインダーを混練して射出成形し、脱脂後焼結することを特徴とする。C,N,Oを抑制することにより、焼結体中での炭化物,窒化物,酸化物の生成を抑え、十分な延性(靭性)を確保することができる。この場合も、より望ましくは、C≦0.15mass%、N≦0.03mass%、0.25mass%≦O≦0.50mass%を満足するように、C,N,Oを抑制するのがよい。
【0006】
ここで、前記大径の粉末として平均粒径25μm以上のTi粉末を、小径の粉末として平均粒径15μm以下のTi粉末を用いることが望ましい。また、バインダーとしては、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの各種熱可塑性樹脂とパラフィン、マイクロワックス、カルナバなどのワックス類とを混合したものを用いるとよく、Ti粉末に対する混練割合は10〜20mass%が望ましい。
【0007】
一方、平均粒径25μm以上の大径のTi粉末と、平均粒径15μm以下の小径のTi粉末とを、8:2〜5:5の重量比で混合し、バインダーを混練して射出成形し、脱脂後焼結することとしてもよい。この様な割合で大径粉と小径扮とを混合することで、射出成形後に焼結したときの焼結体密度を95%以上とし、かつ10%以上の伸び(十分なる延性)を確保することが可能になる。言い換えれば、平均粒径15μm以下の小径粉を単独で使用すれば焼結体密度を向上して高強度焼結体を得ることができるのであるが、これに平均粒径25μm以上の大径のTi粉末を所定の割合で混合することにより、焼結体密度を95%以上確保しつつ(高強度を確保しつつ)、延性をも確保することができるのである。
【0008】
なお、これら本発明のTi焼結体の製造方法においては、より望ましくは、大径粉としてO含有量が0.2mass%以下のTi粉末を用いることが推奨される。これは、大径粉は、小径粉を用いることによるO含有量の増大を抑え、それによって伸びを十分に確保する役割を果たしているからである。なお、大径粉であれば、O含有量が0.2mass%以下のものも比較的安価に製造することができる。
【0009】
大径のTi粉末のみでは焼結体密度を95%以上に上げるのが困難であるが、小径のTi粉末をも混合することで焼結体密度を向上することが可能になる。また、小径のTi粉末は表面積が相対的に大きくなって酸化され易いためにO含有量が多く、小径粉単独では焼結体のO含有量を上記条件の範囲内に抑えるのが困難であるが、O含有量の少ない大径のTi粉末と混合して用いることにより焼結体全体として上記O含有量の範囲内にすることができる。この結果、上記本発明方法により出来上がったTi焼結体は、十分な延性を有するものとなる。
【0010】
また、本発明のTi焼結体の製造方法においては、真空中で880〜1200℃まで加熱した後、Ar雰囲気中で最終焼結を行うことが望ましい。
Tiの速度が大きくなる880℃以上で、真空中で加熱することにより、射出成形した成形体の隙間の気泡がよく抜け、Ar雰囲気で最終焼結を行うことにより、焼結体からのTiの蒸発を防止することができるからである。これにより、高強度・高延性のTi焼結体を製造することができるようになる。
【0011】
この様に、本発明によれば、十分なる延性を有するTi焼結体を提供することができるので、例えば、時計バンドや時計ケースとしたときに器物に時計をぶつけても衝撃により破損したりすることがない。また、焼結後にサイジング、コイニング等の寸法調整処理を行っても、最終製品に変形や破損が生じることはない。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を一層明らかにするために、好適な実施例を比較例と比べながら説明する。
【0013】
実施例としては、下記表1の組成のTi粉末を用いる。
【0014】
【表1】
表1の大径粉と小径粉とを、重量比で10:0、8:2、7:3、5:5、3:7、0:10のそれぞれの割合で混合し、バインダーを加えて混練し、MIM用射出成形機にて引張試験片を成形し、脱脂後、焼結をした。詳細については以下の通りである。
(1)最初の混合には、Vブレンダーを使用した。
(2)バインダーとしては、ポリプロピレンにワックスを50:50の重量比で混合したものを用いた。なお、Ti粉末:バインダーの重量比は、88:12とした。
(3)射出成形は、150〜170℃に加熱した状態で実行した。
(4)引張試験片は、図1に示すように、全長110mm×厚さ4mmで、チャック部の幅が12mm、本体部の幅が7.5mmの板状のもの(成形体)とした。
(5)脱脂工程としては、有機溶剤にてバインダーの一部を除去した後、430℃に加熱し、1時間保持を行った。
(6)焼結は、まず、真空中で室温から1200℃まで昇温し、その後Ar雰囲気中(圧力5Torr)で1250℃に2時間保持して最終焼結をした。
【0015】
以上の処理の結果得られた引張試験片の、焼結体密度、焼結体酸素量、伸び及び引張強さを調べた結果を図2に示す。
図示の様に、小径粉の混合量を増すに従って、焼結体密度、焼結体酸素量及び引張強さが上昇することが分かる。一方、伸びについて見ると小径粉の混合割合が20〜50%では10%以上の伸びとなり、十分な延性が得られるものの、大径粉100%の場合や小径粉70%以上の場合には伸びが10%を下回り、延性が不十分であることが分かる。
【0016】
また、焼結体のC含有量及びN含有量を計測したところ、下の表の様になった。表には図2のO含有量も併せて記入した。
【0017】
【表2】
この様に、大径粉:小径粉の混合割合を重量比で8:2〜5:5にして射出成形、脱脂、焼結したものでは、焼結体酸素含有量を0.50mass%以下とすることができ、焼結体密度は95%以上とすることができ、十分な延性が得られた。実施例から分かることは、特に、酸素含有量が0.25mass%以上となっていることで、強度的にも引張強さ500MPaが確保できている。また、十分な延性を確保するには、酸素含有量が低いだけでは不十分で、焼結体密度を95%以上にすることも必要であるということが分かる。
【0018】
次に、焼結条件についての実験結果を説明する。粉末の組成及び平均粒径は表1の通りであり、混合比は、大径粉:小径粉=70:30としたものを用いて、以下、上述の実施例とほぼ同様に11mass%のバインダーと混練し、MIM射出成形機にて成形し、有機溶剤浸漬及び加熱により脱脂を行った。その後、下記表3の様な条件で昇温と最終焼結とを実行し、焼結体密度及び重量減少量を測定した。なお、昇温条件とは、室温から880℃〜1200℃までの加熱条件をいう。
【0019】
【表3】
表3中、二重線の上が実施例に相当し、いずれも目標とする焼結体密度が得られている。また、重量減少量は約11%であり、これは、丁度、混練したバインダーの量に相当する。このことから、焼結時のTi蒸発はほとんどないということが分かる。
【0020】
一方、二重線の下の比較例を見ると、真空中で最終焼結した場合には、Ti蒸発が1〜2%程度あることが分かる。また、昇温をAr雰囲気中でやった場合には、十分な焼結体密度が得られないことが分かる。
【0021】
以上より、十分な焼結体密度を得ることができ、かつ、Ti蒸発が抑制できる焼結条件として、真空中で880〜1200℃まで加熱した後、Ar雰囲気中で最終焼結を行うことが望ましいことが分かる。
【0022】
以上本発明の実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々なる態様にて実現することができることはいうまでもない。
【0023】
例えば、射出成形前に混練するバインダーとしては、ポリプロピレンの他に、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの各種熱可塑性樹脂を用いることができるし、ワックスの他に、パラフィン、カルナバなどを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で製造した試験片の平面図である。
【図2】実施例及び比較例の計測結果のグラフである。
【産業上の利用分野】
本発明は、Ti焼結体及びその製造方法に係り、特に、金属粉末射出成形法(Metal Injection Molding;以下、MIMという。)によるTi焼結体の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
MIMは、1960年代に米国のNASAで開発された技術であり、その後、エレクトロニクス、精密機械、医療、自動車など幅広い分野で活用されている。例えば、精密機械分野では、ステンレス鋼(SUS),Fe−Niによる時計のケースやバンド、カメラのレバーやギヤなどに、民生用機器では、SUSによる眼鏡やボタンなどに、エレクトロニクス分野では、Fe−Co,SUS,Fe−Niによる複写機のギヤー,プリンターのヨーク,コンパクトディスクのピックアップ,ハードディスク,光ファイバーコネクターなどに、医療分野では、SUS,Ni−Tiによる歯科用彫刻刀や手術用ピンセットなどに、自動車分野では、耐熱鋼,SUS,低合金鋼によるキー,燃料噴射装置,制御装置などに、一般機械分野では、低合金鋼,ハイスによるミシンのルーパー,NC工作機,工具類などに応用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様に、従来は、SUSや低合金鋼などを中心にMIM焼結品が製造されてきたが、最近では、特に軽量・高強度で人体とも馴染みがよいTi粉末を用いたMIM焼結品が望まれるようになってきた。
【0004】
しかし、Ti粉末を用いたMIM焼結品は、延性が不十分で、脆く割れ易いという問題があった。
そこで、本発明は、十分なる延性を有するTi焼結体の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
かかる目的を達成するためになされた本発明のTi焼結体の製造方法は、大径のTi粉末と小径のTi粉末とを、焼結体密度95%以上、かつ、焼結体におけるC,N,Oの含有量をC≦0.20mass%、N≦0.08mass%、0.25mass%≦O≦0.50mass%とし、かつ、伸びを10%以上確保できる範囲内で混合し、バインダーを混練して射出成形し、脱脂後焼結することを特徴とする。C,N,Oを抑制することにより、焼結体中での炭化物,窒化物,酸化物の生成を抑え、十分な延性(靭性)を確保することができる。この場合も、より望ましくは、C≦0.15mass%、N≦0.03mass%、0.25mass%≦O≦0.50mass%を満足するように、C,N,Oを抑制するのがよい。
【0006】
ここで、前記大径の粉末として平均粒径25μm以上のTi粉末を、小径の粉末として平均粒径15μm以下のTi粉末を用いることが望ましい。また、バインダーとしては、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの各種熱可塑性樹脂とパラフィン、マイクロワックス、カルナバなどのワックス類とを混合したものを用いるとよく、Ti粉末に対する混練割合は10〜20mass%が望ましい。
【0007】
一方、平均粒径25μm以上の大径のTi粉末と、平均粒径15μm以下の小径のTi粉末とを、8:2〜5:5の重量比で混合し、バインダーを混練して射出成形し、脱脂後焼結することとしてもよい。この様な割合で大径粉と小径扮とを混合することで、射出成形後に焼結したときの焼結体密度を95%以上とし、かつ10%以上の伸び(十分なる延性)を確保することが可能になる。言い換えれば、平均粒径15μm以下の小径粉を単独で使用すれば焼結体密度を向上して高強度焼結体を得ることができるのであるが、これに平均粒径25μm以上の大径のTi粉末を所定の割合で混合することにより、焼結体密度を95%以上確保しつつ(高強度を確保しつつ)、延性をも確保することができるのである。
【0008】
なお、これら本発明のTi焼結体の製造方法においては、より望ましくは、大径粉としてO含有量が0.2mass%以下のTi粉末を用いることが推奨される。これは、大径粉は、小径粉を用いることによるO含有量の増大を抑え、それによって伸びを十分に確保する役割を果たしているからである。なお、大径粉であれば、O含有量が0.2mass%以下のものも比較的安価に製造することができる。
【0009】
大径のTi粉末のみでは焼結体密度を95%以上に上げるのが困難であるが、小径のTi粉末をも混合することで焼結体密度を向上することが可能になる。また、小径のTi粉末は表面積が相対的に大きくなって酸化され易いためにO含有量が多く、小径粉単独では焼結体のO含有量を上記条件の範囲内に抑えるのが困難であるが、O含有量の少ない大径のTi粉末と混合して用いることにより焼結体全体として上記O含有量の範囲内にすることができる。この結果、上記本発明方法により出来上がったTi焼結体は、十分な延性を有するものとなる。
【0010】
また、本発明のTi焼結体の製造方法においては、真空中で880〜1200℃まで加熱した後、Ar雰囲気中で最終焼結を行うことが望ましい。
Tiの速度が大きくなる880℃以上で、真空中で加熱することにより、射出成形した成形体の隙間の気泡がよく抜け、Ar雰囲気で最終焼結を行うことにより、焼結体からのTiの蒸発を防止することができるからである。これにより、高強度・高延性のTi焼結体を製造することができるようになる。
【0011】
この様に、本発明によれば、十分なる延性を有するTi焼結体を提供することができるので、例えば、時計バンドや時計ケースとしたときに器物に時計をぶつけても衝撃により破損したりすることがない。また、焼結後にサイジング、コイニング等の寸法調整処理を行っても、最終製品に変形や破損が生じることはない。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を一層明らかにするために、好適な実施例を比較例と比べながら説明する。
【0013】
実施例としては、下記表1の組成のTi粉末を用いる。
【0014】
【表1】
表1の大径粉と小径粉とを、重量比で10:0、8:2、7:3、5:5、3:7、0:10のそれぞれの割合で混合し、バインダーを加えて混練し、MIM用射出成形機にて引張試験片を成形し、脱脂後、焼結をした。詳細については以下の通りである。
(1)最初の混合には、Vブレンダーを使用した。
(2)バインダーとしては、ポリプロピレンにワックスを50:50の重量比で混合したものを用いた。なお、Ti粉末:バインダーの重量比は、88:12とした。
(3)射出成形は、150〜170℃に加熱した状態で実行した。
(4)引張試験片は、図1に示すように、全長110mm×厚さ4mmで、チャック部の幅が12mm、本体部の幅が7.5mmの板状のもの(成形体)とした。
(5)脱脂工程としては、有機溶剤にてバインダーの一部を除去した後、430℃に加熱し、1時間保持を行った。
(6)焼結は、まず、真空中で室温から1200℃まで昇温し、その後Ar雰囲気中(圧力5Torr)で1250℃に2時間保持して最終焼結をした。
【0015】
以上の処理の結果得られた引張試験片の、焼結体密度、焼結体酸素量、伸び及び引張強さを調べた結果を図2に示す。
図示の様に、小径粉の混合量を増すに従って、焼結体密度、焼結体酸素量及び引張強さが上昇することが分かる。一方、伸びについて見ると小径粉の混合割合が20〜50%では10%以上の伸びとなり、十分な延性が得られるものの、大径粉100%の場合や小径粉70%以上の場合には伸びが10%を下回り、延性が不十分であることが分かる。
【0016】
また、焼結体のC含有量及びN含有量を計測したところ、下の表の様になった。表には図2のO含有量も併せて記入した。
【0017】
【表2】
この様に、大径粉:小径粉の混合割合を重量比で8:2〜5:5にして射出成形、脱脂、焼結したものでは、焼結体酸素含有量を0.50mass%以下とすることができ、焼結体密度は95%以上とすることができ、十分な延性が得られた。実施例から分かることは、特に、酸素含有量が0.25mass%以上となっていることで、強度的にも引張強さ500MPaが確保できている。また、十分な延性を確保するには、酸素含有量が低いだけでは不十分で、焼結体密度を95%以上にすることも必要であるということが分かる。
【0018】
次に、焼結条件についての実験結果を説明する。粉末の組成及び平均粒径は表1の通りであり、混合比は、大径粉:小径粉=70:30としたものを用いて、以下、上述の実施例とほぼ同様に11mass%のバインダーと混練し、MIM射出成形機にて成形し、有機溶剤浸漬及び加熱により脱脂を行った。その後、下記表3の様な条件で昇温と最終焼結とを実行し、焼結体密度及び重量減少量を測定した。なお、昇温条件とは、室温から880℃〜1200℃までの加熱条件をいう。
【0019】
【表3】
表3中、二重線の上が実施例に相当し、いずれも目標とする焼結体密度が得られている。また、重量減少量は約11%であり、これは、丁度、混練したバインダーの量に相当する。このことから、焼結時のTi蒸発はほとんどないということが分かる。
【0020】
一方、二重線の下の比較例を見ると、真空中で最終焼結した場合には、Ti蒸発が1〜2%程度あることが分かる。また、昇温をAr雰囲気中でやった場合には、十分な焼結体密度が得られないことが分かる。
【0021】
以上より、十分な焼結体密度を得ることができ、かつ、Ti蒸発が抑制できる焼結条件として、真空中で880〜1200℃まで加熱した後、Ar雰囲気中で最終焼結を行うことが望ましいことが分かる。
【0022】
以上本発明の実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々なる態様にて実現することができることはいうまでもない。
【0023】
例えば、射出成形前に混練するバインダーとしては、ポリプロピレンの他に、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの各種熱可塑性樹脂を用いることができるし、ワックスの他に、パラフィン、カルナバなどを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で製造した試験片の平面図である。
【図2】実施例及び比較例の計測結果のグラフである。
Claims (5)
- 大径のTi粉末と小径のTi粉末とを、焼結体密度95%以上、かつ、焼結体におけるC,N,Oの含有量をC≦0.20mass%、N≦0.08mass%、0.25mass%≦O≦0.50mass%とし、かつ、伸びを10%以上確保できる範囲内で混合し、バインダーを混練して射出成形し、脱脂後焼結することを特徴とするTi焼結体の製造方法。
- 請求項1記載のTi焼結体の製造方法において、前記大径の粉末として平均粒径25μm以上のTi粉末を、小径の粉末として平均粒径15μm以下のTi粉末を用いることを特徴とするTi焼結体の製造方法。
- 平均粒径25μm以上の大径のTi粉末と、平均流径15μm以下の小径のTi粉末とを、8:2〜5:5の重量比で混合し、バインダーを混練して射出成形し、脱脂後焼結することを特徴とするTi焼結体の製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか記載のTi焼結体の製造方法において、大径粉としてO含有量が0.2mass%以下のTi粉末を用いることを特徴とするTi焼結体の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか記載のTi焼結体の製造方法において、真空中で880〜1200℃まで加熱した後、Ar雰囲気中で最終焼結を行うことを特徴とするTi焼結体の製造方法。
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JP19325194A JP3569967B2 (ja) | 1994-08-17 | 1994-08-17 | Ti焼結体の製造方法 |
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JP19325194A JP3569967B2 (ja) | 1994-08-17 | 1994-08-17 | Ti焼結体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0860274A JPH0860274A (ja) | 1996-03-05 |
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JP19325194A Expired - Fee Related JP3569967B2 (ja) | 1994-08-17 | 1994-08-17 | Ti焼結体の製造方法 |
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JP4513520B2 (ja) * | 2004-11-15 | 2010-07-28 | 三菱マテリアル株式会社 | 圧縮強度に優れたチタン合金スポンジ状焼結体 |
JP5760338B2 (ja) * | 2010-06-25 | 2015-08-05 | セイコーエプソン株式会社 | 粉末冶金用バインダー組成物、粉末冶金用コンパウンドおよび焼結体 |
JP5617381B2 (ja) * | 2010-06-28 | 2014-11-05 | セイコーエプソン株式会社 | チタン焼結体およびチタン焼結体の製造方法 |
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1994
- 1994-08-17 JP JP19325194A patent/JP3569967B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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