JP2008179860A - 焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肉厚1mm以下の薄肉部を有し、表面粗度が低く、焼結密度、焼結強度の高い部品を2次加工なしで製造することができる方法を提供する。
【解決手段】金属粉末と有機バインダを含有する成形材料を射出成形して成形体を得る工程と、前記成形体を脱脂・焼結して焼結体を得る脱脂・焼結工程とを有し、前記金属粉末が、平均粒径1〜6μmの粉末であって、ステンレス合金粉末、チタン合金粉末、及び/又は焼結によりステンレス合金もしくはチタン合金を形成する合金前駆体粉末、から選択され、前記成形材料中の前記有機バインダの割合が、前記成形材料全量の40〜50体積%であり、前記脱脂・焼結工程において、焼結最高温度が900〜1200℃であり、温度帯100〜400℃における昇温速度が100℃/hr以下であり、温度帯600〜800℃における昇温速度が200℃/hr以下であることを特徴とする方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、超小型の焼結体およびその製造方法に関する。より詳しくは、肉厚1mm以下の薄肉部を有する、表面粗度が低く高強度の焼結体、および粉末射出成形を利用して当該焼結体を製造する方法に関する。
従来から、機械加工により医療用鉗子等の小型製品が製造されているが、昨今の医療高度化により、複雑な形状が求められており、これらを製造するには多軸加工機若しくは専用加工機が必要になるため、加工コストが高く量産化が困難である。また、これら医療用製品(例えば鉗子)に用いる材料には耐食性が要求されるため、ステンレス合金、チタン合金が用いられるが、これら合金の機械加工は、材料に粘りがあるため、薄肉形状に加工することが困難である。
特に、体内への高度医療において、磁性を有しない材料で、且つ硬度、強度を有する鉗子や、直径3mm以下のカテーテルに挿入可能なマイクロ鉗子への要求が高まっている。このような鉗子は体内での操作上小さいものでなければならず、肉厚1mm程度の薄肉複雑形状が求められる。このような鉗子を機械加工で製造することは困難である。
機械加工以外の方法として、粉末射出成型法がある。特に近年では、医療の高度化、検査費用の削減、2次感染防止のための器具モジュールの使い捨てが進んでおり、機械加工と比べて大量生産でき低コスト化が可能な粉末射出成形技術に注目が集まっている。
粉末射出成形法は、金属の場合、平均粒径20μm以下の粉末を用いて成形焼結することにより密度の高い製品を得ることができる技術であり、例として、特許文献1には、射出成形法によりカップ形状の内視鏡で使用される鉗子が開示されており、特許文献2には、射出成形により医療用処置具を製造する方法が開示されている。
実開平6−13807 特開2001−98302
しかしながら、従来の粉末射出成形方法では、平均粒径10μm程度の粉末が用いられているが、直径3mm以下のカテーテルに挿入可能な薄肉の鉗子を製造しようとした場合、成形材料がスムーズに金型に充填されず、成形が困難であるという問題があった。また、焼結後の面粗度も悪く、Raで1.5μm程度のものしか得られず、焼結後にバレル研磨、電解研磨等の2次加工が不可欠であった。
また、医療用鉗子には高強度が求められる。しかし、平均粒径10μm程度の粉末を用いた場合、1300℃以上でないと高密度の焼結体が得られないが、焼結温度を1300℃以上とした場合、結晶粒子径が大きくなり焼結強度が低下するため、所望する設計強度が得られないという問題があった。
本発明は、以上のような従来技術における課題を考慮してなされたものであり、肉厚1mm以下の薄肉部を有する焼結体であって、表面粗度が低く、焼結密度、焼結強度の高い部品を提供すること、及び前記焼結体を2次加工なしで製造することができる粉末射出成形法を提供することを課題とする。
本発明者らはまず、粉末粒径が10μm未満の金属粉末を用いて、金型への充填性の改善と製品の面粗度の向上を目指した。しかし、粉末粒径10μm未満の粉末を用いて成形、脱脂、焼結を行ったところ、次のような問題が生じた。
粉末粒径が10μm程度の場合は、バインダ量40体積%未満で流動性が確保できていたが、粉末粒径が小さくなるに従って粉末の表面積が増えるため、バインダの添加量を増やさないと流動性が確保できず、金型に充填することができなかった。
しかし、バインダの量を多くすると、成形は可能となったものの、成形後の脱脂(バインダを除去する工程)時に膨れが発生したり、そり曲がり等の変形が発生しやすくなるという問題が生じた。
また、粉末粒径が10μm程度の場合は、焼結開始温度(粉末と粉末がひっつき始める温度)は1000℃以上であり、残留するバインダは焼結開始温度までに完全に除去されるのに対して、粉末粒径が小さくなるにつれ、焼結の開始温度も低くなり(平均粒径6μm以下では800℃以下)、焼結後の密度が十分向上しない事が分かった。
上記問題を解決するため、変形が生じにくい脱脂条件、および所望の焼結密度と強度、並びに表面粗度を達成できる焼結条件を求めて試行錯誤を繰り返し、様々な製造条件を検討した。その結果、成形材料中の金属粉末の平均粒径と有機バインダの量、脱脂および焼結条件を所定の範囲内に調節することにより、所望の密度と強度並びに表面粗度を備えた超小型の焼結体を高寸法精度で製造することに成功し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、肉厚1mm以下の薄肉部を有する焼結体を製造するための方法であって、金属粉末と有機バインダを含有する成形材料を射出成形して成形体を得る工程と、前記成形体を脱脂・焼結して焼結体を得る脱脂・焼結工程とを有し、
前記金属粉末が、平均粒径1〜6μmの粉末であって、ステンレス合金粉末、チタン合金粉末、及び/又は焼結によりステンレス合金もしくはチタン合金を形成する合金前駆体粉末、から選択され、
前記成形材料中の前記有機バインダの割合が、前記成形材料全量の40〜50体積%であり、
前記脱脂・焼結工程において、焼結最高温度が900〜1200℃であり、温度帯100〜400℃における昇温速度が100℃/hr以下であり、温度帯600〜800℃における昇温速度が200℃/hr以下である
ことを特徴とする方法である。
平均粒径1μm以上6μm以下の金属粉末(ステンレス合金粉末、チタン合金粉末、前記合金の前駆体粉末)および40体積%以上50体積%以下の有機バインダを含有する成形材料を用いることにより、肉厚1mm以下の薄肉部を有する超小型焼結体用の金型にも、スムーズに成形材料を充填することができる。
また、温度帯100℃以上400℃以下における昇温速度を、100℃/hr以下とすることにより、そりや膨れなどの変形を防ぐことができる。
さらに、平均粒径1μm以上6μm以下の金属粉末を用いることにより、焼結性を著しく向上させることができ、従来1300℃以上の融点近傍で焼結しなければならなかった製品を900℃以上1200℃以下の温度で焼結密度95%以上と緻密化することができる。焼結最高温度を100℃以上低くできることにより、焼結時の変形や結晶粒子径の成長を抑制することができる。
さらにまた、温度帯600℃以上800℃以下における昇温速度を200℃/hr以下とすることにより、焼結体中のカーボン残留値を低減させることができ、焼結体の硬度及び/又は強度を高めることができる。
さらに、温度帯600〜800℃における昇温を、水素雰囲気下あるいは真空下で行うことにより、カーボンの残留値をより低くすることができる。
上述した方法によれば、焼結密度が95%以上、焼結後の平均面粗さがRaで1μm以下、ビッカース硬度が200〜600HV、引張強度が800MPa以上であり、肉厚1mm以下の薄肉部を有するステンレス合金若しくはチタン合金焼結体を、二次加工なしで製造することができる。
上述したように、本発明の方法によれば、肉厚1mm以下の薄肉部を有する製品でも安定して成形が可能であり、焼結温度1200℃以下においても焼結密度95%以上の焼結体を得ることができる。また、従来の焼結温度より100℃以上低い低温焼結が可能となるため、焼結時の変形が小さくなり、結晶粒子径の成長も抑制することができる。さらに、上述した脱脂・焼結工程を採用することにより、脱脂時の変形を防ぎ、焼結体中のカーボン残留値を低減させることができる。そのため、焼結後の平均面粗さがRaで1μm以下、ビッカース硬度200HV以上600HV以下、引張強度800MPa以上である焼結体を寸法精度高く製造することができる。
従って、プレス加工や切削加工、あるいは従来の粉末射出成型法では製造できなかった、複雑形状かつ高強度の薄肉製品を製造することができ、これにより、掴む・放す・切る・ねじる等の高度な動作を必要とする医療用鉗子のように、複雑な開閉機構を有するものであっても、最大箇所の厚み3mm以下で、寸法精度に優れた信頼性の高いマイクロ鉗子を製造することが可能である。さらに、本発明にかかる焼結品は、チタン合金・ステンレス合金からなるため、耐食性に優れ、医療用器具として用いるのに好適である。また、本発明にかかる製造方法によれば、前記焼結体を機械加工なしで製造することができるため、製造工程が簡易であり、複雑形状の製品の大量生産にも適している。
本発明において金属粉末とは、焼結中の固相反応により、所望する組成のステンレス合金あるいはチタン合金となる金属粉末を指す。すなわち本発明における金属粉末は、ステンレス合金の粉末あるいはチタン合金の粉末でもよく、または焼結後に所望の組成の合金となるように配合された複数の金属粉末(合金前駆体粉末)でもよい。
例えば、ステンレス合金であれば、鉄粉末にニッケル粉末、クロム粉末を所望する焼結合金組成に合わせて配合し、混練、成形、脱脂、焼結することで、ステンレス合金焼結体を得ることができる。同様にチタン合金であれば、例えば純チタン粉末にアルミバナジウム粉末を所望する焼結合金組成に合わせて配合することにより、チタンアルミバナジウム合金焼結体を得ることができる。
ステンレス合金焼結体を製造するための代表的な合金材料として、SUS304, SUS310, SUS316, SUS317, SUS410, SUS420, SUS440, SUS630, SUS631を挙げることができる。耐食性、硬度、強度の面からSUS630, SUS631, SUS420J2, SUS440が特に望ましい。また、SUS630, SUS420J2, SUS440材料と上記他のステンレス材料を混合して用いてもよい。
チタン合金焼結体を製造するためには、純チタン以外にAl, V, Nb, Sn, Zr, Fe, Mo, Crを適宜添加すればよい。耐食性、硬度、強度の面からTi-Al-V合金、Ti-Nb合金が特に望ましい。
また、上記ステンレス材料、並びにチタン材料に対して他の金属材料、セラミックス材料を添加してさらに硬度を高めることも可能である。
本発明における金属粉末の粒子径は、平均粒子径で1μm以上6μm以下である。平均粒子径が6μmよりも大きい場合には、1200℃以下で焼結が十分に進行せず、密度が低下し強度が低くなると共に、表面粗さがRaで1μm以上になる。平均粒子径が1μm未満の場合には粉末の酸化量が1%以上と高くなり、1200℃以下での焼結が不十分となって、脆くなる。また、平均粒子径が1μm未満の場合は、比表面積が大きくなるため、添加するバインダ量が増加し、脱脂時に膨れや割れが生じやすくなり、焼結後の残留炭素量も0.1%以上と高くなるため、チタンの場合には脆くなり、ステンレスの場合も、焼結後の焼き入れ工程で硬度がでない。
本発明において、より好ましい金属粉末は、平均粒径2μm以上6μm以下の粉末であり、特に好ましくは平均粒径2μm以上4μm以下の粉末である。
本発明の方法で用いられる成形材料は、成形材料の全量の40体積%以上50体積%以下の有機バインダを含む。バインダ量が40体積%未満の場合には成形時に十分な流動性が得られず、所望する焼結体を製造することができない。他方、バインダ量が50体積%を超えると、バインダの脱脂工程での除去が困難になり、成形体中に割れ、膨れ、変形を生じる。より好ましいバインダ量は、45体積%以上50体積%以下である。
有機バインダには熱可塑性樹脂、ワックス、可塑剤、潤滑剤等が用いられる。
熱可塑性樹脂は成形後の保形性を高める効果がある。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアセタール、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等を挙げることができる。ワックスには成形時の流動性を高め、脱脂時の熱分解を容易にする効果がある。ワックスの例としては、パラフィンワックス、カルナバワックス、エステルワックス等を挙げることができる。可塑剤には成形時の温度を下げる働きと柔軟性付与の役割がある。可塑剤の例として、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸系化合物を挙げることができる。潤滑剤には成形時の流動性を促進する働きがある。潤滑剤の例として、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等の脂肪酸エステル化合物を挙げることができる。
本発明において脱脂温度(脱脂時の最高温度)は400℃以上800℃以下であることが好ましい。脱脂温度が400℃未満の場合は成形体内部にバインダが残留する恐れがあり、800℃を超えると焼結の進行が始まる。より好ましい脱脂温度は500℃以上600℃以下である。
本発明において、100℃から400℃の温度帯における昇温速度は100℃/hr以下である。この温度帯における昇温速度を100℃/hrよりも速くした場合、そり変形、膨れが発生しやすい。他方、昇温速度が遅すぎる場合は、時間がかかりすぎ、量産工程に対する経済性に適応できない。100℃から400℃の温度帯における昇温速度は、より好ましくは10℃/hr以上100℃/hr以下であり、特に好ましくは15℃/hr以上50℃/hr以下である。
本発明の焼結工程において、焼結最高温度は900℃以上1200℃以下である。焼結最高温度が900℃未満の場合には、平均粒径1μm以上6μm以下の粉末を用いた場合においても、十分に焼結が進行しない。焼結最高温度が1200℃を超えると、結晶粒子径が大きくなり焼結強度が低下する。より好ましい焼結最高温度は、1000℃以上1200℃以下である。焼結密度を高め、結晶粒子径を抑えるためには1000℃以上1150℃以下が特に望ましい。
本発明において、温度帯600℃以上800℃以下の昇温速度は200℃/hr以下である。600〜800℃の間を1時間未満(>200℃/hr)で昇温させた場合には、焼結体中のカーボンの残留量が高く(0.15%以上)、強度が低下する。600℃から800℃の温度帯における昇温速度は、より好ましくは100℃/hr以下であり、特に好ましくは10℃/hr以上80℃/hr以下、さらに好ましくは10℃/hr以上65℃/hr以下である。
600〜800℃の間を3時間かけて昇温すれば(約65℃/hr)、カーボン残留値を0.05%以下にすることが可能となる。特にこの工程を水素雰囲気下、真空下で行えば、カーボン残留値を効果的に低減することができる。
本発明の焼結体の肉厚は最大で2mm以下が望ましく、1mm以下がより好ましい。肉厚が2mmを越えると添加するバインダの脱脂工程での除去が困難になり、割れ、膨れ、変形を生じやすい。本発明の方法によれば、焼結密度が95%以上、平均面粗さがRaで1μm以下、ビッカース硬度が200〜600HV、引張強度が800MPa以上であり、把持部(鋏形状の刃に該当する部分)の平均肉厚0.2mm程度の薄肉の鉗子部品であっても高寸法精度で製造することが可能である。また、肉厚0.05〜0.1mmの薄肉部を有する複雑形状の焼結体を製造することも可能である。
また、本発明では焼結体の肉厚が非常に薄いために、脱脂焼結工程での分割が困難な場合があるため、脱脂、焼結工程を一工程で行うことが望ましい。好ましくは、脱脂・焼結工程を同一炉内若しくは連続炉内で行う。
焼結体の硬度に関しては、熱処理後の硬さがビッカース硬度で200HV以上600HV以下(JIS Z2244で規定される測定において)であることが望ましい。硬度が200HVより低いと荷重がかかる場所においては変形しやすく、硬度が600HVより高くなった場合には、製品が薄いために曲げ方向の衝撃により、欠け割れが発生する可能性が高い。より好ましい硬度は、200HV以上550HV以下、特に好ましくは300HV以上500HV以下である。
焼結体の表面粗度に関しては、焼結後の平均面粗さがRaで1μm以下(JIS B0601で規定される測定において)であることが望ましい。特に好ましくは0.5μm以下である。
焼結体の焼結密度に関しては、95%以上であることが望ましい。焼結密度が95%未満の場合、強度が低くなると共に、硬度が低下して、割れ、曲がりの原因になる。より好ましい焼結密度は、97%以上である。
本発明の方法で製造するのに適した焼結体の例として、直径3mm以下のカテーテルで使用される医療用マイクロ鉗子を挙げることができる(図1〜4参照:図に示す数値の単位はミリメートルである)。図1に示す鉗子は、最大箇所の厚み1mm、全長約7mmの鉗子であり、各部品の寸法は図2〜4に示すとおりである。本発明によれば、鉗子のように複雑な開閉機構を有する製品であっても、肉厚1mm以下のサイズで製造することが可能である。鉗子を構成する把持部材1および把持部材2はそれぞれ、厚みが0.2mmであり、先端部の幅が0.3mmであり、付け根部分の幅が0.4mmの先細り形状の把持部(ハサミの刃に該当する部分)を有する。また、把持部の先端は丸みを帯びて形成されている(R0.15)。開閉機構部分には、直径0.2mmの貫通孔とこの孔に嵌合する円柱状の凸部が含まれる。貫通孔の管壁の厚みは約0.1mm、管壁の長さは0.15mmと極小サイズであるが、本発明の方法を用いれば、焼結密度が95%以上、平均面粗さがRaで1μm以下、ビッカース硬度が200〜600HV、引張強度が800MPa以上の焼結品を製造することが可能である。
さらに、図1の焼結体はハサミ形状の鉗子であるが、射出成形により所望する形状に変更することが容易であるため、ハサミの先の角度を任意に変えることや、刃先に滑り止めとなる鋸歯形状を設けることも可能である。また、本発明の焼結体は、表面粗さがRaで1μm以下であるため、前記ハサミ後部を金属製ワイヤで操作することにより、図1に示す非常に小さな形状の鉗子であっても容易に操作することができる。
その他、本発明の方法で製造するのに適した焼結体の例として、鉗子部品以外に内視鏡部品、人工臓器部品、人工骨部品、歯科矯正部品等が挙げられる。併せて医療以外にも従来の粉末射出成形で製造された部品よりも強度が高くなるため、精密機械部品、自動車部品等にも応用可能である。
以下、実施例に基づき、本発明の焼結体を製造する方法をより詳細に説明する。
表1に示す粉末材料の組成並びに条件にて焼結体(図1に示す医療用鉗子)を製造した。なお、脱脂に関してはステンレス系材料に関しては窒素雰囲気で室温から500℃までを12時間で昇温した(昇温速度約40℃/hr)。チタン系材料に関してはアルゴン雰囲気で室温から500℃までを12時間で昇温した(昇温速度約40℃/hr)。
焼結条件に関しては最高温度で2時間保持して行った。ステンレス系材料は焼結にアルゴンガスを用いて行った。チタン系材料は焼結を高真空下(1×10-2pa)で行った。また、500℃から焼結最高温度までの昇温速度は100℃/hrで行った。
Figure 2008179860
得られた焼結体の物性を表2に示す。焼結密度はアルキメデス法(水中置換法)を用いて測定し、引張強度は万能試験機を用いて測定し(引張速度5mm/min)、ビッカース硬度はマイクロビッカース硬度計を用いて測定し(JIS Z2244の規定に基づく)、表面粗さは接触式の表面粗さ測定装置を用いて測定した(JIS B0601の規定に基づく)。
Figure 2008179860
脱脂条件の検討
有機バインダを40〜50体積%(特に45〜50体積%)含有する成形材料(金属粉末+有機バインダ)を脱脂した場合、膨れや、そり曲がりの変形が発生しやすかった。そのため、脱脂パターンについて検討を行った結果、100℃〜400℃の昇温速度を調節することにより、脱脂時の変形を防ぐことに成功した。
100℃から400℃の間を1時間あたり10〜200℃の速度で昇温した結果、100℃/hrよりも早い速度で昇温した場合にはそり変形、膨れが発生しやすかった。
焼結条件の検討
上記脱脂工程を経た後も少量のバインダが残存するが、平均粒子径6μm以下の粉末を用いた場合は焼結開始温度が800℃以下となるため、残存するバインダが焼結開始温度までに完全に除去されず、焼結後の密度が十分に向上しなかった。そのため、焼結パターンについて検討を行った結果、600℃〜800℃の昇温速度を調節することにより、焼結密度を向上させることに成功した。
600〜800℃の間を1時間未満(>200℃/hr)で昇温させた場合には焼結体中のカーボン残留量は約0.15%程度であった。600〜800℃の間を2時間以上(<100℃/hr)かけて昇温することにより、カーボン残留値を0.1%以下に低減することができた。また、600〜800℃の間を3時間かけて昇温すれば(約65℃/hr)、カーボンの残留値は0.05%以下になった。特に600〜800℃間の昇温を水素雰囲気下、真空下で行う事で効果が認められた。カーボン残留量は、燃焼式カーボン測定装置により測定した。
粉末粒子径の検討
平均粒径10μm未満の各サイズの金属粉末を用いて、図1に示す鉗子の成形、脱脂、焼結を試み、最適な粒径を検討した。
粒子径が1μmよりも小さくなった場合には、添加するバインダ量が体積比で50体積%を超えることで、焼結後の残留炭素量が多くなるため、チタンの場合には脆くなり、ステンレスの場合にも残留炭素が多くなるため、焼結後の焼き入れ工程で硬度がでなかった。粉末の粒子径(平均粒子径)1μm以上であれば残留炭素が軽減され、求める特性を得ることが出来た。特に平均粒子径2μm以上の粉末を用いた場合、求める特性が得やすかった。
他方、平均粒子径7μm以上の場合は表面粗さがRaで1μmを超えた。平均粒子径が6μmを上回る場合は、焼結最高温度1200℃以下での焼結密度が95%未満であった。
なお、平均粒子径10μm以上の場合は、金型への充填が困難であった。
実施例及び比較例の結果から、本発明により、0.1〜0.2mmの薄肉部を有する複雑形状の医療用鉗子部品であっても、寸法精度に優れ、面粗度の低い、密度、強度、硬度の高い部品を製造できることが分かった。
本発明にかかる焼結体(医療用鉗子)を示す図であり、Aは正面図、Bは分解斜視図である。 把持部材1の図であって、Aは正面図、Bは底面図である。 把持部材2の図であって、Aは正面図、Bは底面図である。 外装パイプの図であって、Aは正面図、Bは底面図、Cは左側面図である。
符号の説明
1 把持部材1
2 把持部材2
3 外装パイプ

Claims (7)

  1. 肉厚1mm以下の薄肉部を有する焼結体を製造するための方法であって、金属粉末と有機バインダを含有する成形材料を射出成形して成形体を得る工程と、前記成形体を脱脂・焼結して焼結体を得る脱脂・焼結工程とを有し、
    前記金属粉末が、平均粒径1〜6μmの粉末であって、ステンレス合金粉末、チタン合金粉末、及び/又は焼結によりステンレス合金もしくはチタン合金を形成する合金前駆体粉末、から選択され、
    前記成形材料中の前記有機バインダの割合が、前記成形材料全量の40〜50体積%であり、
    前記脱脂・焼結工程において、焼結最高温度が900〜1200℃であり、温度帯100〜400℃における昇温速度が100℃/hr以下であり、温度帯600〜800℃における昇温速度が200℃/hr以下である
    ことを特徴とする方法。
  2. 温度帯600〜800℃における昇温が、水素雰囲気下あるいは真空下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記脱脂・焼結工程を同一炉内若しくは連続炉内で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記金属粉末の平均粒径が2〜4μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 焼結密度が95%以上、焼結後の平均面粗さがRaで1μm以下、ビッカース硬度が200〜600HV、引張強度が800MPa以上の焼結体を製造することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 焼結密度が95%以上、平均面粗さがRaで1μm以下、ビッカース硬度が200〜600HV、引張強度が800MPa以上であり、肉厚1mm以下の薄肉部を有することを特徴とする、ステンレス合金焼結体若しくはチタン合金焼結体。
  7. 最大肉厚が3mm以下の医療用鉗子部品であることを特徴とする、請求項6に記載の焼結体。
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