JP3565089B2 - 燃焼式ヒータを有する内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼式ヒータを有する内燃機関に関し、詳しくは内燃機関の暖機促進を図るため内燃機関の吸気系に燃焼ガスを導入する燃焼式ヒータを有する内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に搭載する内燃機関は所定の温度範囲で効率よく作動するように作られている。これは例えば低温度ではガソリンや軽油等の機関燃料が気化しにくく、よってこれらの燃料が着火しづらいので始動性が悪くなったりする等の問題を有するからである。
【0003】
また、周知のごとく、内燃機関の作動時に発する熱を利用して車輌室内を暖房するようにもなっているが、発熱量が十分でないと十分な車内暖房ができない。そこで、機関暖機の促進や車室内暖房装置の性能向上等を目的として燃焼式ヒータを内燃機関に備え、燃焼式ヒータから出る燃焼ガスの熱を利用する技術が例えば特開昭60−79149号公報に開示されている。
【0004】
この公報に開示の技術は、内燃機関の吸気通路に燃焼式ヒータの高温な燃焼ガスを導入し、これにより機関吸気を加熱して内燃機関が低温状態にある場合でも機関始動を容易にできるようにしたものである。
【0005】
しかし、前記燃焼式ヒータから出る燃焼ガスは、燃料を燃焼することによって出る排ガスである。排ガスは、その中に含まれる酸素量が、燃焼に供される前の空気に含まれる酸素量に比べて少ない。
【0006】
それ故、前記公報記載の技術のごとく、吸気通路に燃焼ガスを導入する場合にあっては、燃焼ガスの量を増加して吸気通路を流通する空気に占める燃焼ガスの割合いを高めると、燃焼ガスの熱により機関暖機は促進されるものの、シリンダに供給される空気に占める酸素量が少なくなる。酸素量が少なくなるとシリンダ内での燃焼量が制約されるため、内燃機関の始動性が悪化する虞がある。だからといって、必要な酸素量を確保するために、吸気通路に導入する燃焼ガスの割合を低減すると、今度は機関暖機が不十分となるのでやはり始動性が悪くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、燃料を燃焼して発生する燃焼ガスを内燃機関に導入し、燃焼ガスに含まれる熱を利用して前記内燃機関の吸気の温度を高める燃焼式ヒータを有する内燃機関において、内燃機関を始動をするにあたって最低限必要な温度を確保しつつ、機関吸気に占める酸素量をも十分なものとし、これにより内燃機関の始動性を高めるようにした燃焼式ヒータを有する内燃機関を提供することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下の手段を採用した。
(1)本発明の燃焼式ヒータを有する内燃機関は、内燃機関に付属し、前記内燃機関が始動するまでその始動を補助する機関始動補助手段の作動に合わせて前記内燃機関の吸気系に燃焼ガスを導入し、この導入された燃焼ガスの熱を利用して前記内燃機関の吸気の温度を高める燃焼式ヒータを有する内燃機関であって、前記機関始動補助手段の作動により前記内燃機関が始動する前から前記燃焼ガスの熱を内燃機関が受けることにより内燃機関が始動可能な所定温度に達した時点で、前記吸気系における酸素量をそれまでよりも相対的に増大する酸素量増大手段を有し、前記内燃機関が前記所定温度に達してから前記内燃機関への燃料の供給を開始することを特徴とする。
【0009】
ここで、「内燃機関に付属の機関始動補助手段」は、例えばスタータモータのことであり、この機関始動補助手段の作動によって、内燃機関のクランクシャフトが回転され、その結果、ピストンがシリンダ内を往復運動し始める。
【0010】
また、「内燃機関が始動する」とは、内燃機関がにおいて、前記スタータモータ等の内燃機関に付属の機関始動補助手段によらずとも、シリンダ内をピストンが往復運動するようになること、換言すれば内燃機関が自ら作動することをいう。
【0011】
さらに、「内燃機関が始動可能な所定温度に達した」とは、いわゆる機関温度、である、シリンダ壁温度や機関冷却水温度が燃焼ガスの熱やピストンがシリンダとの間で生じる摩擦熱を受けることにより高まって、内燃機関が始動するに適した温度になることを意味する。
【0012】
前記所定温度に達した場合の具体例としては、内燃機関が、例えばディーゼルエンジン等の自着火式の内燃機関の場合であれば次のように例示できる。
すなわち、シリンダ壁温度が前記燃焼ガスの熱や摩擦熱の影響で高くなり、この高くなったシリンダ壁温度の影響を受けて、内燃機関の圧縮行程の終端近傍に対応する部分(以降、「圧縮端」という。)の吸気の温度(以降、「圧縮端温度」という。)が、次に述べる目標圧縮端温度に達する程にまでシリンダ壁温度が高くなる場合を挙げられる。
【0013】
目標圧縮端温度とは、燃焼室での着火および燃焼を確保できる、すなわちディーゼルエンジンが自着火するに足る最低の圧縮端温度のことである。
圧縮端温度がこの目標圧縮端温度に達すれば、少なくともディーゼルエンジンが自着火するようになるので、これをもって内燃機関が始動するに適した温度になるということにする。
【0014】
したがって、前記圧縮端温度がこの目標圧縮端温度に達しなければ、着火は不確実となる。換言すれば、圧縮端の温度がこの目標圧縮端温度に達すれば、内燃機関は機関始動補助手段によらずに始動できる条件が調ったことになり、そうなればその後は内燃機関の発熱によって目標圧縮端温度以上の温度を維持できる。
【0015】
さらにまた、「吸気系における酸素量をそれまでよりも相対的に増大する」とは、酸素の量自体を増大することでも、吸気に占める例えば二酸化炭素等の他の成分の減少によって、酸素量そのものが変わらない状態で吸気に占める酸素割合を増大する場合でもいずれでもよい。但し、いずれの場合でも、内燃機関に固有の機関吸気量として必要な量を確保することを前提とする。
【0016】
本発明の燃焼式ヒータを有する内燃機関では、内燃機関に付属の機関始動補助手段の作動に合わせて、換言すれば、内燃機関が自ら作動する前から燃焼式ヒータが排出する燃焼ガスを吸気系に導入する。そして、吸気系に導入した燃焼ガスの熱を利用して、内燃機関の吸気の温度を高める。
【0017】
そして、このとき前記燃焼ガスを含んで昇温された吸気は、前記機関始動補助手段によるクランクシャフトの回転によってピストンがシリンダ内を往復運動することに伴って、シリンダにその吸気ポートから入る。
【0018】
したがって、燃焼ガスを含んだ吸気をシリンダに入れることで、機関始動補助手段によって内燃機関がその始動補助を受けている間に、換言すれば内燃機関が自ら作動する前からシリンダを暖めることができる。そして、シリンダの温度が次第に高まって、やがて内燃機関が始動可能な所定温度に達した時点で、酸素量増大手段により前記吸気系における酸素量をそれまでよりも相対的に増大する。
そして、内燃機関が始動可能な所定温度に達してから内燃機関への燃料供給を開始して内燃機関を始動させる。つまり、内燃機関を始動させる時点では、内燃機関は前記所定温度に達しており、且つ、前記吸気系における酸素量は増大されている。
【0019】
このように、本発明の燃焼式ヒータを有する内燃機関では、内燃機関を始動する前から内燃機関がその始動に必要な所定温度を確保しつつ、機関吸気に占める酸素量を確保できるため、内燃機関の始動性が高まる。
また、内燃機関がその始動に必要な所定温度に達してから内燃機関への燃料の供給を開始する、換言すれば、内燃機関がその始動に必要な所定温度に達するまでは内燃機関への燃料の供給を行わないため、エミッションが悪化することもない。
【0020】
(2)加えて、酸素量増大手段は、前記内燃機関が前記所定温度に達した時点で、前記燃焼ガスの前記吸気系への導入量をゼロにまたは低減するものであることが好ましい。
【0021】
本発明の燃焼式ヒータを有する内燃機関では、前記所定温度に機関温度が達した時点で、前記燃焼ガスの前記吸気系への導入量をゼロまたは低減するように酸素量増大手段が作用するものであるから、吸気に占める燃焼ガスの割合いは低下する。このため、吸気に占める燃焼ガスの量が低減するので、吸気に占める新気の割合がその分増加し、それゆえ吸気に占める酸素割合い、すなわち酸素量が増大する。
【0022】
このように、本願発明にあっては、機関温度が所定温度に達した状態で、十分な酸素量を確保できるので、内燃機関の始動性が高まる。
(3)加えて、前記酸素量増大手段は、燃焼式ヒータの出力を制御するヒータ出力制御手段のことであることが望ましい。
【0023】
燃焼式ヒータの出力をゼロにすれば、燃焼式ヒータからは燃焼ガスが出なくなり、また燃焼式ヒータの出力を低減すれば燃焼式ヒータから排出される燃焼ガスの量も少なくなる。よって、それだけ吸気に占める燃焼ガスの割合いが低下して酸素量が増大する。したがって、前記のように内燃機関の始動性を高められる。
【0024】
(4)加えて、前記燃焼式ヒータに係る燃料の燃焼をリーン状態で行うことで生じる燃焼ガスを前記吸気系に導入することで、前記吸気系における酸素量をそれまでよりも相対的に増大するものであることが好ましい。
【0025】
ここで、「燃焼式ヒータに係る燃料の燃焼をリーン状態で行う」とは、空燃比をリーン状態にして燃焼式ヒータを作動すること、すなわち燃料を燃焼することである。
【0026】
燃料の燃焼をリーン状態で行えば、少ない燃料を多くの空気で燃焼したことになるので、燃焼式ヒータから排出される燃焼ガスもリーンな状態の燃焼ガスになる。したがって、このリーンな燃焼ガスが吸気に含まれればリーンでない燃焼ガスを吸気に含める場合に比して酸素量が増大する。よって、前記のように内燃機関の始動性を高められる。
【0027】
(5)加えて、前記酸素量増大手段は、機関温度が前記所定温度に達した時点で、それまで前記吸気系に導入していた燃焼ガスを排気系への導入に切り替える導入ガス切換手段であることが望ましい。
【0028】
導入ガス切換手段の作動によって、それまで吸気系に流れていた燃焼ガスが排気系に流れる。したがって、吸気系には燃焼ガスが流れなくなるため、それだけ吸気に占める新気割合が増大するので酸素量が増大する。よって、前記のように内燃機関の始動性を高められる。
【0029】
(6)加えて、前記機関温度が前記所定温度に達したかどうかの判定を行う所定温度達成判定手段を有することが望まれる。
所定温度達成判定手段は、機関温度を例えば温度センサで直接検出し、その検出値を前記所定温度と比較して機関温度が前記所定温度に達したかどうかの判定を行う、例えばエンジン制御装置(ECU)等が考えられる。
【0030】
所定温度達成判定手段によって、機関温度が所定温度に達したことを確実に検知できるので、前記酸素量を効果的に増大手段の有効利用ができる。
(7)加えて、前記所定温度達成判定手段は、前記機関始動補助手段の作動に合わせて燃焼式ヒータが排出する燃焼ガスを内燃機関の吸気系に導入した後において、前記内燃機関の運転状態が所定条件を満たした場合には、前記機関温度が前記所定温度に達したとみなすようにもできる。
【0031】
(8)加えて、前記所定条件は、前記付属の機関始動補助手段によって内燃機関が所定数の回転をすること、前記機関始動補助手段による内燃機関の回転開始後に所定時間が経過すること、前記機関始動補助手段による内燃機関の回転開始後に所定量の吸気が前記内燃機関の気筒内に導入されることのいずれかまたはこれらの組み合わせであることを特徴としてもよい。
【0032】
ここで、「内燃機関の所定数の回転」、「内燃機関の回転開始後の所定時間」および「吸気に係る所定量」は、これらを満足できれば内燃機関が前記所定温度に達していると判断するに十分な相関関係のある値とする。
【0033】
(9)加えて、内燃機関の始動後は、前記酸素量増大手段による酸素量の増大を停止するとともに前記燃焼式ヒータの燃焼状態を前記所定条件を満たす前の内燃機関の運転状態における燃焼状態に戻すことが望ましい。
【0034】
ここで、「燃焼式ヒータの燃焼状態を前記所定条件を満たす前の内燃機関の運転状態における燃焼状態に戻す」とは、前述した、燃焼式ヒータの出力をゼロまたは低減する前の状態、例えば出力の高い状態にしたり、あるいは燃焼式ヒータに係る燃料の燃焼をリーン状態で行う前の状態、例えばリッチ状態にしたりすることである。
【0035】
内燃機関が始動した後ということは、内燃機関がもはや機関始動補助手段によらずに作動している状態であるから、その場合のエンジン回転数は、機関始動補助手段によって内燃機関がその始動補助を受けている時のエンジン回転数よりも大幅に高く、したがって、機関吸気量が多い。このため、内燃機関の始動性を高めるために酸素量を増大する必要がないので、酸素量増大手段による酸素量の増大を停止する。また、前記燃焼式ヒータの燃焼状態を前記所定条件を満たす前の内燃機関の運転状態における燃焼式ヒータの燃焼状態に戻すことで、燃焼式ヒータからは熱量の多い燃焼ガスが排出されるようになるので、機関暖機の向上や燃焼式ヒータから出る燃焼ガスの持つ熱を熱源とする例えば車室用ヒータ等の暖房装置の性能向上を期待できる。
【0037】
(10)加えて、前記内燃機関への前記燃焼ガスの導入は、内燃機関が所定の運転状況にある場合にのみなされることを特徴としてもよい。ここで「内燃機関が所定の運転状況にある場合」とは、例えば−10℃〜15℃位の温度である寒冷時や−10℃以下の温度である極寒冷時における、内燃機関の運転中,内燃機関を始動させた後,内燃機関自身の発熱量が少ない例えば燃料消費が少ないとき、および当該発熱量が少ないことにより冷却水の受熱量が少ないときや15℃よりも高い常温の始動直後で冷却水温度が低い場合等、燃焼式ヒータから排出される燃焼ガス熱で暖機を促進する必要のある場合等である。
【0038】
本発明では、内燃機関が所定の運転状況にある場合にのみ内燃機関への燃焼ガスの導入がなされるので、例えば外気温が高い場合等、機関温度が内燃機関の始動にあたって十分な温度になっている場合には不必要に燃焼式ヒータを作動する必要がない。したがって、それだけ燃焼式ヒータの燃焼用燃料を無駄に消費することがない。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る燃焼式ヒータを有する内燃機関の具体的な実施の形態について添付した図面に基づいて説明する。
【0040】
図1に内燃機関としてのディーゼルエンジン1(以下「エンジン1」という。)を例示し、その全体構造を概略示す。
エンジン1は、機関冷却水を含む図示しないウォータジャケットを備えたエンジン本体3と、エンジン本体3の図示しない複数のシリンダ内に燃焼に必要な空気を送り込む吸気装置(吸気系)5と、この吸気装置5を経て前記シリンダに送られる空気をシリンダに噴射供給される機関燃料と混合してなる混合気が前記シリンダ上部に形成される燃焼室で燃焼された後に前記シリンダから排出される排気ガスを大気中に放出する排気装置(排気系)7と、この排気装置7から前記吸気装置5に向けて排気ガスを再循環させることで窒素酸化物の発生を抑制する排気再循環装置としてのEGR装置8と、エンジン1とは別に燃料を燃焼し、その燃焼時に発生する燃焼ガスを、エンジン本体3に付属の機関始動補助手段である図示しないスタータモータの作動に合わせて、かつエンジン1が所定の運転状況にある場合にのみエンジン1の吸気装置5に導入し、この導入された燃焼ガスの熱を利用して吸気の温度を高める燃焼式ヒータ9と、エンジン1を搭載する車輌の室内温度を高める車室内暖房装置のヒータコア10と、エンジン1全体を制御するエンジン制御装置であるECU11とを有する。
【0041】
なお、エンジン1が所定の運転状況にある場合とは、例えば−10℃〜15℃位の温度である寒冷時や−10℃以下の温度である極寒冷時における、内燃機関の運転中,内燃機関を始動させた後,内燃機関自身の発熱量が少ない例えば燃料消費が少ないとき、および当該発熱量が少ないことにより冷却水の受熱量が少ないときや15℃よりも高い常温の始動直後で冷却水温度が低い場合等、燃焼式ヒータから排出される燃焼ガス熱で暖機を促進する必要のある場合等のことである。
【0042】
エンジン本体3は、前記シリンダ内でのピストンの往復運動をピストンとクランクシャフトとを接続する接続棒であるコンロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換する。また、クランクシャフトは、これが自ら回転するエンジン始動前は、前記スタータモータによって回転される。なお、クランクシャフトが回転するということは、エンジン1が作動することと言い換えられる。
【0043】
また、前記燃焼室には、燃料噴射手段としての図示しないインジェクタによって燃料が噴射供給されるようになっているが、前記のように、スタータモータの作動に合わせて燃焼式ヒータ9から排出される燃焼ガスを吸気装置5に導入後、次に述べる所定条件が満たされるまでは、インジェクタによる燃焼室への燃料の供給は停止される。
【0044】
「所定条件」とは、例えばスタータモータにてクランクシャフトを所定数回転するか、スタータモータによるクランクシャフトの回転開始後所定時間経過するか、あるいはスタータモータによるクランクシャフトの回転開始後所定量の吸気がシリンダ内に導入されるか、またはこれらの組み合わせのことである。
【0045】
この実施の形態では、スタータモータにてクランクシャフトを所定数回転することを所定条件とし、スタータモータにてクランクシャフトを所定数回転した後、初めて燃料噴射を行うようにしたものを例示した。
【0046】
前記吸気装置5は、外気をろ過するエアクリーナ13を始端としエンジン本体3の図示しない吸気ポートを終端とする吸気通路14を有する。
吸気通路14には、前記エアクリーナ13と前記吸気ポートとの間に、ターボチャージャ15のコンプレッサ15a,コンプレッサ15aを作動した場合に生ずる圧縮熱により昇温した吸気温度を冷却するインタークーラ19,吸入分岐管であるインテークマニホールド22その他の吸気系構造物を順次配置してある。
【0047】
また、インタークーラ19とインテークマニホールド22との間には、吸気通路14を流れる吸気の量を制御する吸気絞り弁23を設置してある。そして、吸気通路14のうちインタークーラ19よりも下流には、前記燃焼式ヒータ9を取り付けてある。
【0048】
前記排気装置7は、エンジン本体3の図示しない排気ポートを始端とし図示しないマフラを終端とする排気通路27を有する。排気通路27には、前記排気ポートと前記マフラとの間に、排気分岐管であるエキゾーストマニホールド28,ターボチャージャ15のタービン15b,排気ガス浄化装置である触媒コンバータ29等の排気系構造物を配置してある。
【0049】
前記EGR装置8は、吸気通路14と排気通路27とを結びエンジン本体3をバイパスするとともに排気ポートから出た排気ガスを吸気側に向けて戻すEGR通路29と、EGR通路29を流れる排気ガスの量を制御するEGR弁30とを有する。
【0050】
燃焼式ヒータ9は、前記燃焼熱で機関冷却水を暖めるようになっており、暖められた機関冷却水は、ヒータコア10やエンジン本体3等の昇温を要する昇温必要箇所に送られ、当該昇温必要箇所の温度を高める。
【0051】
そして、エンジン1には、前記昇温必要箇所に燃焼式ヒータ9で暖めた機関冷却水を図示しないエンジンウォータポンプで送る熱媒体循環路Wを設けてある。熱媒体循環路Wは、エンジン本体3と燃焼式ヒータ9とを結びエンジン本体3のウォータジャケットから燃焼式ヒータ9に機関冷却水を導く冷却水導入通路31と、燃焼式ヒータ9で暖められた機関冷却水をエンジン本体3のウォータジャケットにヒータコア10を経由させてから戻す冷却水排出路32とを有する。
【0052】
また、冷却水導入通路31には電動ウォータポンプ33を設けてあり、この電動ウォータポンプ33が作動することによって前記熱媒体循環路W内を機関冷却水が循環するのを促進する。あるいは、電動ウォータポンプ33によって機関冷却水を循環させることにより、エンジン停止時でもヒータコア10を作動できるようにする。
【0053】
ここで、燃焼式ヒータ9について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。
燃焼式ヒータ9は、その内部に、前記冷却水導入通路31と前記冷却水排出路32とに連通して熱媒体循環路Wの一部になっているヒータ内部冷却水通路37を有する。
【0054】
ヒータ内部冷却水通路37は、前記冷却水導入通路31と接続する冷却水導入口37aと、前記冷却水排出路32と接続する冷却水排出口37bとを有する。また、ヒータ内部冷却水通路37は、燃焼式ヒータ9の燃焼室39の周りを巡回するように形成されている。
【0055】
前記燃焼室39は、火炎Fを発生させる燃焼源としての燃焼筒40と、燃焼筒40を覆うことで火炎Fが外部に漏れないようにする隔壁41とからなる。燃焼筒40を隔壁41で覆うことにより、燃焼室39が隔壁41内に画される。そして、前記隔壁41も燃焼式ヒータ9の外壁42で覆われている。
【0056】
また、隔壁41と外壁42との間には、環状の隙間を設けてあり、この隙間が前記ヒータ内部冷却水通路37として機能する。このヒータ内部冷却水通路37内を機関冷却水が流れる間に、機関冷却水は燃焼室39から受熱する。つまり機関冷却水は、燃焼室39内の高熱な燃焼ガスとの間で熱交換をして昇温する。よって、ヒータ内部冷却水通路37は熱交換領域といえる。
【0057】
さらに、燃焼室39は、燃焼室39に対して空気の出入りを行う空気流通口を有する。すなわち燃焼室39は、空気流通口として、燃焼室39に燃焼用空気を入れる空気供給口62と、燃焼ガスを燃焼室39から排出する燃焼ガス排出口63,65とを有する。
【0058】
空気供給口62は、燃焼室39のうち、火炎Fが燃焼筒40から出る側と反対側に位置する。また、一方の燃焼ガス排出口63は、燃焼室39のうち、ヒータ内部冷却水通路37の下流側に対応した適所に設けてあり、他方の燃焼ガス排出口65は、火炎Fが燃焼筒40から出る側にあって、火炎Fに対向して隔壁41および外壁42に連通して設けてある。
【0059】
また、これら燃焼ガス排出口63と65とは、燃焼式ヒータ9の長手方向に並行に延びる連結管74を介して連結してある。そして、空気供給口62および燃焼ガス排出口63,65は、いずれも吸気通路14に通じている。すなわち、空気供給口62は、吸気通路14から燃焼式ヒータ9に燃焼用空気を供給する空気供給管71を介して吸気通路14と通じている。そして、燃焼ガス排出口63は、連結管74と燃焼ガスを燃焼式ヒータ9から吸気通路14に排出する燃焼ガス排出管73とを介して吸気通路14と通じており、燃焼ガス排出口65は、燃焼ガス排出管73を介して吸気通路14と通じている。
【0060】
空気供給管71の吸気通路14との接続箇所C1と、燃焼ガス排出管73の吸気通路14との接続箇所C2とは両者の間で差圧が生じないように吸気通路14における同一径部分、すなわち同じ横断面の部分に近接して設置してあいる。また、接続箇所C1よりも接続箇所C2は下流にある。さらに、接続箇所C1およびC2は共にインタークーラ19よりも下流に位置し、また両接続箇所C1およびC2の間には、前記吸気絞り弁23が位置する。このようにすることで、燃焼ガスが燃焼ガス排出管73を介して吸気通路14に導入されても燃焼ガス熱による吸気絞り弁23への熱害を回避できる。
【0061】
なお、吸気絞り弁23を吸気通路14のうちC2の下流に配置することも考えられる。
前記燃焼ガス排出管73は、前記燃焼ガス排出口65を開閉制御する弁装置78を備えている。そして、この弁装置78を介して燃焼ガス排出管73は燃焼式ヒータ9と接続されている。
【0062】
弁装置78は、燃焼ガス排出口65を開閉するバルブ80と、バルブ80を駆動するアクチュエータ82とを有する。バルブ80の開閉の程度によって、燃焼式ヒータ9の燃焼ガス排出口65から燃焼ガス排出管73に、延ては吸気通路14に直接導入される燃焼ガスの量の割合いが調整される。
【0063】
すなわち、バルブ80が全開した場合は、燃焼ガス排出口65を介して燃焼ガスの大部分が燃焼ガス排出管73に流れ、全閉した場合は、燃焼ガス排出口63から連結管74を介して燃焼ガスのほぼ全部が燃焼ガス排出管73に流れる。
【0064】
また、バルブ80が半開きの場合は、その開き具合に応じて、燃焼ガス排出口63を介して燃焼ガス排出管73に流れる燃焼ガスの割合と燃焼ガス排出口65を介して燃焼ガス排出管73に流れる燃焼ガスの割合とが決まる。
【0065】
また、燃焼ガス排出口63,65から出る燃焼ガスの前記吸気通路14に導入される量の割合い調整は、例えば外気温度、あるいは外気温度と機関冷却水温度の両方の温度に基づいて為されるようになっている。両温度に基づいて為す理由、は、低温時であれば、それらの両方の温度が低い場合が多いが、例えばエンジン1を停止したばかりの状態では、外気温はが低くても機関冷却水温度は高い場合があるからである。
【0066】
バルブ80の開き具合を例示すると、例えば、外気温が低い場合は、バルブ80の開度を大きくして燃焼ガス排出口63に流れるよりも燃焼ガス排出口65に流れる燃焼ガスの割合が大きくなるようにする。
【0067】
外気温度は、エアクリーナ13の下流側直近に設けた温度センサ13aによって検出し、機関冷却水温度は前記ウォータジャケットに設けた温度センサ3aによって検出する。
【0068】
前記燃焼ガス排出管73は、その途中、詳しくは燃焼ガス排出管73における吸気通路14寄りの箇所で、管84が分岐する。よって、この管84を分岐管84ということにする。
【0069】
分岐管84は、エンジン本体3をバイパスするように排気通路27に延びており、排気通路27のうち排気通路27に設置した触媒コンバータ29の上流側近傍箇所C3で排気通路27と接続されている。
【0070】
この分岐管84と前記燃焼ガス排出管73との交叉部分には、三方切換弁86を取付けてある。
三方切換弁86は、燃焼ガスが燃焼ガス排出管73をそのまま吸気通路14に向けて通るようにするか、または分岐管84を通るようにするかを選択して切り替える弁である。三方切換弁86の作動によって、三方切換弁86に流れて来るた燃焼ガスの流れ方向を切り替えて、前記燃焼ガスを吸気通路14または排気通路27に導入する。
【0071】
なお、三方切換弁86を切り替えて、前記燃焼ガスを吸気通路14へ流す場合を三方切換弁86を吸気側に切り替えるといい、前記燃焼ガスを排気通路27へ流す場合を三方切換弁86を排気側に切り替えるという。
【0072】
三方切換弁86を吸気通路14側に切り替えて燃焼ガスを吸気通路14に流す場合、燃焼ガス排出管73を介して燃焼式ヒータ9と吸気通路14とが実質的に接続される。この接続によって、燃焼ガスが燃焼式ヒータ9からエンジン1の吸気通路14に導入される。
【0073】
また、三方切換弁86を排気通路27側に切り替えて燃焼ガスを排気通路27に流す場合、燃焼ガス排出管73の一部と分岐管84とを介して燃焼式ヒータ9と排気通路27とが実質的に接続される。この接続によって、燃焼ガスが燃焼式ヒータ9からエンジン1の排気系に導入されるとともにそれまで前記吸気通路14に導入していた燃焼ガスを排気通路27への導入に切り替えるので、三方切換弁86のことを導入ガス切換手段ということができる。
【0074】
一方、前記燃焼筒40は、その内部に燃料蒸発部としての図示しないウイックを有する。また、図1に示すように燃焼筒40に外部から燃料を導入する燃料導入通路88を接続してある。燃料導入通路88は燃料ポンプ89と接続してあり、燃料ポンプ89のポンプ圧を受けて燃料導入通路88から燃焼筒40の前記ウイックに燃料が吐出され、その結果、燃料が蒸発する。さらに、燃焼筒40は、前記ウイックにて蒸発した気化燃料に着火するグロープラグ(図示せず)を有する。
【0075】
また、燃焼式ヒータ9の前記外壁42は、燃焼筒40のうち火炎Fの出る側と反対側に、駆動源としてのモータ92を有する送風用の回転ファン(好ましくはターボ型回転ファン)90を内包したハウジング93を取付けてある。
【0076】
ハウジング93は、外部から空気を取り入れるための空気取入口95を有し、この空気取入口95に前記空気供給管71を接続してある。また、ハウジング93は、その内部空間Sが前記空気供給口62と通じている。よって、空気供給口62は、空気供給管71と内部空間Sを介して間接的に連結している。
【0077】
そして、モータ92により回転ファン90を回転すると、空気供給管71を経由して前記吸気通路14からハウジング93内に空気が導入される。このハウジング93に導かれた空気は、前記内部空間Sを経て、前記空気供給口62から燃焼筒40に燃焼用空気として供給される。
【0078】
この燃焼用空気によって前記ウイックにて蒸発した気化燃料が燃焼に供されて火炎Fを生じ、その火炎Fから出る燃焼ガスは、その後、燃焼式ヒータ9から燃焼ガス排出管73を経由して、前記のごとく、三方切換弁86の切換えにより、吸気通路14または排気通路27に案内される。
【0079】
この案内される燃焼ガスの量は、燃焼式ヒータ9の出力の大小によって決まる。例えば、回転ファン90の回転数が多いほど、燃焼ガス排出管73に起きる通風の量が多くなり、火炎の大きさや勢いが同じであれば、前記回転ファン90の回転数に比例した量の燃焼ガスが燃焼式ヒータ9から排出される。回転ファン90の回転数は、ECU11によりモータ92を制御することで決まる。
【0080】
このような燃焼式ヒータ9は、エンジン本体3の暖機促進やヒータコア10の性能向上等を図るべく機関冷却水を昇温させる必要が生じた場合、次のように作動する。
【0081】
まず、図2に示すように、前記弁装置78の作動によってバルブ80が閉じ、その結果、燃焼ガス排出口65が閉鎖する。また、前記のように回転ファン90の回転により、吸気通路14を流れる吸気の一部を空気供給管71を介して燃焼式ヒータ9の燃焼筒40へ導入する。
【0082】
また、前記燃料ポンプ89が燃料タンク(図示せず)内の燃料を吸い上げて燃料導入通路88から燃焼筒40の前記ウイックに吐出する。
さらにエンジン停止中は、電動ウォータポンプ33を作動することでエンジン1のウォータジャケット内の機関冷却水を燃焼式ヒータ9のヒータ内部冷却水通路37へ圧送する。
【0083】
加えて、前記回転ファン90によって燃焼筒40に供給された吸気と、燃料導入通路88から燃焼筒40に供給されかつ前記ウイックにて気化された気化燃料とからなる混合気が、前記グロープラグによって着火され、燃焼筒40内で火炎Fを生じて燃焼が開始する。
【0084】
燃焼によって生じた高温の燃焼ガスは、回転ファン90が回転することで生ずる気流によって燃焼室39をその燃焼ガス排出口63へ向けて流れ、その後、燃焼ガス排出口63と接続している前記連結管74へ排出される(図2の実線矢印a3参照)。
【0085】
そして、電動ウォータポンプ33により、前記ウォータジャケットから冷却水導入通路31を経由して燃焼式ヒータ9のヒータ内部冷却水通路37に圧送された機関冷却水は、ヒータ内部冷却水通路37を前記隔壁41の外面全体に亘って巡回するように流れ、その間に燃焼熱を吸収して上昇する。換言すれば、熱交換領域のヒータ内部冷却水通路37の全域で熱交換される。
【0086】
そして、前記燃焼熱を吸収した機関冷却水は、ヒータコア10に流れるべくヒータ内部冷却水通路37から冷却水排出路32に排出される(図2および図3の破線矢印参照)。
【0087】
その後、燃焼式ヒータ9から排出された機関冷却水は、ヒータコア10の属する前記冷却水排出路32を経由してエンジン本体3のウォータジャケットに戻る。
【0088】
なお、前記ヒータコア10では、機関冷却水が持つ熱の一部が暖房用空気との間で熱交換され、暖房用空気が昇温する。この結果、車輌室内に温風が出る。
このようにして、燃焼式ヒータ9で暖められて高熱になった機関冷却水がエンジン本体3のウォータジャケットやヒータコア10へ流れる。
【0089】
次に、例えばエンジン始動時等、エンジン1が前記所定の運転状況にあってエンジン1の吸気または触媒コンバータ29を早期に昇温させる必要が生じた場合、燃焼式ヒータ9は次のように作動する。
【0090】
図3に示すように、弁装置78の作動によってバルブ80が開き、その結果、燃焼ガス排出口65が開通する。続いて、モータ92により回転ファン90が回転し吸気通路14内を流れる吸気の一部を燃焼式ヒータ9の燃焼筒40へ供給する。また、前記燃料ポンプ89が前記燃料タンク内の燃料を吸い上げてこの吸い上げた燃料を燃料導入通路88から燃焼筒40の前記ウイックに供給する。
【0091】
そして、燃焼筒40のグロープラグに通電され、回転ファン90によって供給された吸気と、燃料導入通路88から燃焼筒40に供給されかつ前記ウイックにて気化された気化燃料とからなる混合気が燃焼筒40内で燃焼される。
【0092】
この燃焼により生じた高温の燃焼ガスは、回転ファン90が回転することにより生ずる送風によって燃焼室39をその燃焼ガス排出口65へ向けて流れ、その後、燃焼ガス排出口65から燃焼ガス排出管73へ排出される。
【0093】
同様に、燃焼ガス排出口65の開き具合通によっては、燃焼ガスのうちヒータ内部冷却水通路37を経由する前の燃焼ガスまたはおよびヒータ内部冷却水通路37の一部の領域を経由した燃焼ガスの両方が燃焼ガス排出管73へ排出を経由して吸気通路14に導入される。
【0094】
なお、燃焼ガスのうちヒータ内部冷却水通路37を経由する前の燃焼ガスとは、隔壁41の内面にほとんど接することなく燃焼ガス排出口65に向かう、熱交換されない燃焼ガスのことであり(例えば図3の矢印a1参照)、ヒータ内部冷却水通路37の一部の領域を経由した燃焼ガスとは、隔壁41の内面に一部接することにより、熱交換される量の少ない燃焼ガスのことである(例えば図3の矢印a2参照)。
【0095】
燃焼ガスの中には、燃焼ガス排出口65の開通時に燃焼ガス排出口63へ向けて流れ、熱交換される燃焼ガス(図3の矢印a3参照)もあるが、その量は燃焼ガス排出口65へ向かって流れる燃焼ガスに比べて少ない。これは次の理由による。
【0096】
すなわち、弁装置78のバルブ80が開くと、弁装置78内には燃焼室39内の燃焼ガス排出口65における燃焼ガスの圧力P0と同じか、ほぼ同じ圧力がかかる。一方、燃焼室39を経由して連結管74の始端74aに至った燃焼ガスの圧力P1は、燃焼室39を経由している間に圧力損失を受けるので、前記圧力P0よりも小さい。よって、燃焼室39を経由して圧力P1になった燃焼ガスが連結管74を経由して吸気通路14に向けては流れにくくなる。このため、圧力P1よりも高い圧力P0の燃焼ガスの方が優先的に燃焼ガス排出管73を経由して吸気通路14に向けて導入される。
【0097】
前記燃焼ガス排出口65経由で燃焼ガス排出管73に排出された高温の燃焼ガスは、やがて三方切換弁86へ至る。次いで、燃焼ガスは、三方切換弁86によって閉ざされていない方の経路へ流れる。すなわち、燃焼ガス排出管73をそのまま通って吸気通路14へ出るか、または分岐管84へ流れて排気通路27へ出る。
【0098】
ここで、前記燃焼ガス排出口65から排出された燃焼ガスは、前記の通り、燃焼式ヒータ9内で機関冷却水との熱交換が行われていないか、あるいは熱交換が行われていてもその交換量が少ない。このため、燃焼ガス排出口65から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス排出口63から排出されて機関冷却水と熱交換が行われた前記燃焼ガスに比べてかなり高温である。そこで、便宜上、燃焼ガス排出口63に向けて流れることで機関冷却水と熱交換が行われた燃焼ガスのことを水冷後燃焼ガスといい、燃焼ガス排出口65に向けて流れることで前記熱交換の行われなかった燃焼ガスのことを水冷前燃焼ガスという。
【0099】
水冷前燃焼ガスは、吸気通路14に、または排気通路27における触媒コンバータ29の上流箇所C3に供給される。これにより、吸気または触媒コンバータ29を早期に昇温できる。
【0100】
図4は燃焼式ヒータ9に着火した直後の、水冷前燃焼ガスおよび水冷後燃焼ガスの温度特性を示すグラフ線図である。縦軸はそれら排気の温度(ガス温度)を示し、横軸は燃焼式ヒータ9に着火を行った後の経過時間を示す。図中、破線グラフは、前記水冷前燃焼ガスの温度を示し、実線グラフは、水冷後燃焼ガスの温度を示す。また、図中ほぼ中央にあって横軸と平行な線は、エンジン1を低温始動させることが可能な目安温度、換言すれば低温始動目標値としての目標圧縮端温度を示す線である。この実施の形態では目標圧縮端温度はおよそ320℃としてある。
【0101】
図4からわかることは、水冷前燃焼ガスは、水冷後燃焼ガスに比べ、シリンダ壁温度を急速に高め、よって圧縮端温度が一気に目標圧縮端温度にまで高められることがわかる。
【0102】
よって、水冷前燃焼ガスがシリンダに供給されると圧縮端温度が一気に高くなり、シリンダに供給される燃料の気化がかなり促進されるので、シリンダ内での混合気の着火性の向上、換言すればエンジン1の始動性を高めることができる。
【0103】
ここで図1に戻る。
前記ECU11は、双方向性バスによって相互に接続された、中央処理制御装置CPU,読み出し専用メモリROM,ランダムアクセスメモリRAM,入力インタフェース回路,出力インタフェース回路等から構成されている。そして、前記入力インタフェース回路には、図示の有無に拘わらず各種のセンサが電気配線を介して接続され、前記出力インタフェース回路には、EGR弁30,電動ウォータポンプ33,燃焼筒40のグロープラグ,弁装置78,三方切換弁86,燃料ポンプ89,モータ92等が電気配線を介して接続されている。
【0104】
前記入力インタフェース回路に接続されるセンサとしては、前記した温度センサ3aや13a以外に、図示しない、吸気通路14に取り付けられるエアフローメータ,触媒コンバータ29に取り付けられる触媒温度センサ,アクセルペダルもしくはアクセルペダルと連動して動作するアクセルレバー等に取り付けられたアクセルポジションセンサ,イグニッションスイッチ,スタータスイッチ等を例示できる。これらのセンサは、検出した検出値に相当する電気信号を出力してECU11に送る。
【0105】
なお、温度センサその他の各種センサのパラメータは、ECU11の前記読み出し専用メモリROMに一時的に記憶しておき、必要に応じて呼び出される。
また、前記ランダムアクセスメモリRAMには、エンジン1が始動する前に燃焼式ヒータ9から排出される燃焼ガスの熱により、圧縮端温度を目標圧縮端温度にするに当たって、クランクシャフトをスタータモータによってどれだけ回転すればよいか、すなわち目標圧縮端温度とスタータモータによるクランクシャフトの回転数との間の相関関係を示唆する、図5に示すようなマップMを入れてある。
【0106】
マップMは、その縦軸に圧縮端温度が前記目標圧縮端温度に到達するまでに必要なクランクシャフトのスタータモータによる所定の回転数をとり、また、横軸にスタータモータを作動する前の、換言すればエンジン1を始動する前の機関冷却水温度をとってなる所定回転数−機関冷却水温度線図である。
【0107】
図5では、例えば、機関冷却水温度がaの場合は、スタータモータによってクランクシャフトをa’回転すれば、圧縮端温度が目標圧縮端温度に達することを意味している。
【0108】
このマップMからわかることは、スタータモータを作動する前の機関冷却水温度が求まれば、圧縮端温度を目標圧縮端温度にするにあたって必要なクランクシャフトの所定回転数を決定できるということである。換言すれば、クランクシャフトの回転数がこのマップMから求めた所定回転数に達すれば、圧縮端温度がエンジン1の始動前から目標圧縮端温度に達していることを意味する。
【0109】
また、マップMから、機関冷却水温度が高い場合はスタータモータによるクランクシャフトの所定回転数は少なくて済み、低い場合には多くしなければならないことがわかる。なお、クランクシャフトの回転数の多少は、燃焼式ヒータ9の作動時間の多少を意味する。クランクシャフトの回転数が多い場合は、スタータモータの始動からの燃焼式ヒータ9の作動時間が多いので、それだけ多量の燃焼ガスがシリダンに流れる。このため、機関温度が低くても圧縮端温度は目標圧縮端温度に達する。反対にクランクシャフトの回転数が少ない場合は、スタータモータの始動からの燃焼式ヒータ9の作動時間が少ないので、それだけ少ない量の燃焼ガスしかシリンダには流れない。しかし、機関温度が高めであるから圧縮端温度が目標圧縮端温度に達することに支障はない。
【0110】
また、各種センサの各パラメータに応じてECU11のCPUが作動して燃焼式ヒータ17の燃焼状態を制御する。換言すれば、CPUによって、燃焼式ヒータ17の火炎の勢いや大きさ,温度等を制御する。そして、この制御によって燃焼式ヒータ17の排気(燃焼ガス)の温度が制御される。
【0111】
CPUは、前記した各種センサの出力信号値に基づいてエンジン1の運転状態を判定する。そして、その判定結果に基づいて燃料噴射制御等エンジン1全体の制御を行う。同時に燃焼式ヒータ9の出力制御を行うべく、前記のように回転ファン90の回転数を制御したり、燃料導入通路88から供給される燃料の量を制御する。また、弁装置78や三方切換弁86等の作動制御を行う。
【0112】
次に図6のフローチャートを参照してエンジン1の作動制御実行ルーチンを実現するためのプログラムについて述べる。
このプログラムは、以下に述べるステップ101〜ステップ109からなる。また、これらのステップからなるプログラムは、ECU11のROMに記憶してある。また、前記各ステップにおける処理は、すべてECU11のCPUによる。なお、記号Sを用い、例えばステップ101であればS101と省略して示す。
【0113】
S101ではエンジン始動制御開始条件が成立しているかどうかを判定する。エンジン始動制御開始条件とは、スタータモータを作動するためのスタータON信号がイグニッションスイッチを入れることで出ることをいう。S101で肯定判定した場合は次のS102に進み、反対に否定判定した場合は、このルーチンを終了する。
【0114】
S102では、温度センサ3aによる検出値からスタータモータ作動前の機関冷却水温度を読み込み、同時にマップMから前記機関冷却水温度に基づいた圧縮端温度を目標圧縮端温度にするのに必要なクランクシャフトの所定回転数を読み込んで、この読み込み値を読み出し専用メモリROMに記憶しておく。
【0115】
S103では、エンジン1が暖機要求状態に現在あるかどうかの判定を行う。暖機要求状態とは、例えば、ほぼ−10℃〜15℃位の温度範囲に外気がある寒冷時やほぼ−10℃以下の温度範囲に外気がある極寒冷時における内燃機関の運転中,あるいは前記と同じ条件下で内燃機関を始動させた後等、前記した内燃機関が所定の運転状況にある場合を挙げられる。
【0116】
したがって、暖機要求状態にあるか否かの判定を、例えば外気を検出するための温度センサ13aの検出値が前記暖機要求状態に係る、前記温度範囲にあるか無いかで行うことができる。
【0117】
S103で肯定判定した場合は、S104に進み、否定判定した場合は、S109に進む。
S104では燃焼式ヒータ9がOFF状態にあるかどうかを判定する。肯定判定すれば次のS105に進み、否定判定すればS107に進む。
【0118】
S105ではインジェクタからシリンダ内に燃料噴射されていない燃料噴射レスの状態でかつスタータモータが作動している、すなわちスタータON制御実行開始かどうかを判定する。肯定判定すればS106に進み、否定判定すればこのルーチンを終了する。
【0119】
S106では、燃焼式ヒータ17の作動を開始するとともに、その燃焼ガスが燃焼ガス排出管73をそのまま通ってエンジン吸気系である吸気通路14に排出されるように、三方切換弁86を制御する。なお、S106は、S105で肯定判定された場合に進む直後の処理、換言すればスタータモータの作動が確認された直後に進む処理であるから、燃焼式ヒータ17の作動によって排出される燃焼ガスは、スタータモータの作動に合わせて排出されるということができる。
【0120】
また、弁装置78の作動によって水冷前燃焼ガスを吸気通路14に流すか水冷後燃焼ガスを吸気通路14に流すかはエンジン1の置かれている状況によって異なり、どちらを選択するかについてのルーチンは説明を簡単にするために省略してある。本発明は、内燃機関の始動性の向上を目的としているので、燃焼ガスが吸気通路に流れる場合について述べた。
【0121】
S107では、スタータモータによって回転されるクランクシャフトが、S102で求めた機関冷却水温度に基づいた所定回転数に達したかどうか(クランキング回転が所定回経過したかどうか)、換言すればS106で燃焼式ヒータ9が作動することによって排出された燃焼ガスの熱をエンジン1が受けることにより、圧縮端温度が所定温度である目標圧縮端温度に達したかどうかを判定する。さらに換言すれば、前記ROMに記憶しておいた、前記機関冷却水温度に対応する所定回転数に達したかどうかすなわち所定条件を満たしたかどうかを判定し、達した(満たした)場合、すなわち肯定判定した場合はその時点で、すなわち圧縮端温度が目標圧縮端温度に達したものとみなし、その時点で次のS108に進み、否定判定した場合にはこのルーチンを終了する。
【0122】
このようなS107は、所定温度達成判定手段ということができる。
また、前記所定温度達成判定手段は、スタータモータの作動に合わせて燃焼式ヒータ9が排出する燃焼ガスをエンジン1の吸気通路14に導入した後において、スタータモータにてクランクシャフトを所定数回転した場合には、前記圧縮端温度が前記目標圧縮端温度に達したと、前記のように実際にはみなすものである。よって、所定温度達成判定手段のことを所定温度達成みなし手段と言い換えることもできる。
【0123】
所定温度達成判定手段であるS107は、ECU11のROMに記憶されており、ROMはECU11に属するので、ECU11のことを所定温度達成判定手段ということにする。
【0124】
S108では、例えば燃焼式ヒータ9の出力をゼロにするかまたは低減する(出力をゼロにするかまたは低減することを総称して燃焼停止ということにする。)。よって、この場合、燃焼ガスのシリンダ内への導入量がゼロになるか、または導入されてもそれまでよりも少なくなるので、それだけ新気量が増える。したがって新気量の増大分に比例して酸素量も増大する。よって、このS108をエンジン1が始動可能な所定温度に達した時点で、前記吸気通路14における酸素量をそれまでよりも相対的に増大する酸素量増大手段というとともに、前記のように燃焼式ヒータ9の出力制御を行うのでヒータ出力制御手段ということができる。
また、S108はECU11のROMに記憶されており、ROMはECU11に属するので、ECU11は酸素量増大手段(ヒータ出力制御手段)ということもできる。
【0125】
さらに、前記のごとく新気量が増大したときには、前記のように圧縮端温度はすでに目標圧縮端温度に達しているとして処理されるので、エンジン1が始動するに必要な温度が既に確保された状態で酸素量の増大が確実になされることになる。
【0126】
そして、燃焼式ヒータ9の燃焼停止をする代わりに、燃焼式ヒータに係る燃料の燃焼をリーン状態で行うことで生じる燃焼ガスを前記吸気通路14に導入することで、吸気通路14における酸素量をそれまでよりも相対的に増大するようにしもよい。
【0127】
加えて燃焼式ヒータ9の燃焼停止をする代わりに、三方切換弁86の作動制御により、燃焼ガスの導入先を切り替えて、それまで吸気通路27に導入していた燃焼ガスを分岐管84を経由して排気通路27への導入に切換えてもよい。この場合、三方切換弁86の作動によってそれまで吸気通路14に流れていた燃焼ガスが排気通路27に流れるようになる。したがって、吸気通路14には燃焼ガスが流れなくなって、それだけ吸気に占める新気割合が増大し、その結果酸素量が増大するので、三方切換弁86を酸素量増大手段ということもできる。
【0128】
S109では、S108でエンジン1が始動するに必要な酸素量を確保できたことに加え、すでに述べた目標圧縮端温度に圧縮端温度が達しているので、インジェクタによるシリンダへの燃料噴射を行ってエンジン1が始動を行えるようにする。換言すれば、前記所定条件を満足するまでは、エンジン1への燃料の供給を停止する。
【0129】
なお、エンジン1が始動した後は、前記酸素量増大手段による酸素量の増大を停止するとともに燃焼式ヒータ9の燃焼状態を、前記所定条件(スタータモータにてクランクシャフトを所定数回転するというもの)を満たす前のエンジン1の運転状態における燃焼式ヒータ9の燃焼状態に戻すようになっている。しかし、このルーチンでは説明を簡単にするためにその処理ステップは省略した。
【0130】
なお、「燃焼式ヒータの燃焼状態を前記所定条件を満たす前の内燃機関の運転状態における燃焼状態に戻す」とは、例えば燃焼式ヒータの9出力をゼロまたは低減する前の例えば出力の高い状態にしたり、あるいは燃焼式ヒータに係る燃料の燃焼をリーン状態で行う前の例えばリッチ状態にしたりすることである。
【0131】
次に本実施の形態の作用効果を述べる。
エンジン1では、スタータモータの作動に合わせて、換言すればエンジン1が始動する前から、燃焼式ヒータ9が排出する燃焼ガスを吸気通路14に導入している(S106,S109参照)。そして、この導入された燃焼ガスの熱を利用して前記吸気の温度を高める。
【0132】
そして、スタータモータによるクランクシャフトの回転によってピストンがシリンダ内を往復運動すると、この往復運動に伴い前記燃焼ガスを含んで昇温された吸気は、吸気ポートからシリンダ内に入り、燃焼室での機関燃焼に供された後は排気ポートを介してシリンダの外にすなわち排気通路27に流れる。併せて燃焼ガスを含んで昇温された吸気がシリンダ内に入ると、燃焼ガスの持つ熱によりシリンダ壁温度が高まる。すなわち、シリンダはエンジン1が始動する前から暖められる。
【0133】
そして、シリンダの温度が次第に高まってやがてエンジン1が始動できるに必要な所定温度である、前記目標圧縮端温度に圧縮端温度が達した時点で、前記酸素量増大手段であるECU11の制御により燃焼式ヒータ9の作動が制御されて、燃焼停止するので、それだけ吸気通路14を流れる吸気に占める新気の割合が増大し、その分、酸素量が増大する。
【0134】
このように、本発明の燃焼式ヒータを有するエンジン1では、エンジン1を始動するのに必要な最低限の温度である前記目標圧縮端温度を確保しつつ、機関吸気に占める酸素量をも確保できるため、エンジン1の始動性を高められる。
【0135】
また、燃焼式ヒータ9の燃焼停止をする代わりに、燃焼式ヒータ9に係る燃料の燃焼をリーン状態で行うことで生じる燃焼ガスを前記吸気通路14に導入することで、吸気通路14における酸素量をそれまでよりも相対的に増大する場合は、少ない燃料を多くの空気で燃焼したことになるので、燃焼式ヒータ9から排出される燃焼ガスもリーンな状態になる。したがって、このリーンな燃焼ガスが吸気に含まれればリーンでない燃焼ガスを吸気に含める場合に比して酸素量が増大する。よって、前記のようにエンジン1の始動性を高められる。
【0136】
加えて、三方切換弁86を酸素量増大手段とする場合は、機関温度が前記目標圧縮端温度に達した時点で、それまで前記吸気通路14に導入していた燃焼ガスを排気通路27への導入に切り替えることで、吸気通路14には燃焼ガスが流れなくなる。このため、それだけ吸気に占める新気割合が増大して酸素量が増大する。よって、前記のようにエンジン1の始動性を高められる。
【0137】
さらに、エンジン1には、所定温度達成判定手段であるECU11によって、機関温度である圧縮端温度が目標圧縮端温度に達したことを確実に検出できるので、前記酸素量を効果的に増大できる。
【0138】
加えて、エンジン1が始動した後は、前記酸素量増大手段であるECU11による酸素量の増大を停止するとともに前記燃焼式ヒータ9の燃焼状態を例えば前記のように出力の高い状態やリッチ燃焼の状態における燃焼状態に戻すようになっている。このようにすることで、燃焼式ヒータ9からは熱量の多い燃焼ガスが排出されるので、機関暖機の向上やヒータコア10等の性能向上を期待できる。
【0139】
加えて、前記所定条件を満足するまでは、エンジン1への燃料の供給を停止するようになっている。前記所定条件を満足していれば、エンジン1の圧縮端温度が前記所定温度である目標圧縮端温度に達していると考えて十分であるがそうでなければ前記目標圧縮端温度に達していないので、その状態でエンジン1への燃料の供給を行うとエミッションが悪化する。しかし、本発明では、圧縮端温度が目標圧縮端温度に達していると判断して問題ない前記所定条件を満足しなければ、エンジン1への燃料の供給を行わないので、エミッションが悪化することもない。
【0140】
さらに、吸気量の少ない少排気量のディーゼルエンジンの場合でも、吸気加熱が可能となり、低温始動を良好にするためにディーゼルエンジンのシリンダーヘッドに設けられるヒータである、図示しないグロープラグを不用にできるようになる。グロープラグをシリンダーヘッドに設ける必要ないとグロープラグをシリンダヘッドに取付けるための取付孔を不用にできるので、それだけヘッドの剛性が高まり、シリンダヘッドの耐久信頼性を向上させられる。
【0141】
また、エンジン始動後において、圧縮端温度が目標圧縮端温度には達しているものの、機関冷却水温度が十分に暖まっておらず、よって車室内暖房装置であるヒータコア10を有効に機能させるには十分でない場合は、燃焼式ヒータ9が停止状態にあっても再度燃焼式ヒータ9を作動させることが好ましい。エンジン始動後であるかどうかの判断は、エンジンが作動状態にある場合にエンジン回転数や吸入空気量が示すそれらの値に基づいて判断すればよい。
【0142】
さらに、S108にて燃焼式ヒータ9に供給される燃焼用燃料の供給を一旦停止し、回転ファン90は回転を継続するようにすれば、それまでの燃焼式ヒータ9の燃焼によって暖まっていた燃焼筒40や隔壁41の壁面から受熱して高温になった空気は、燃焼式ヒータ9での燃焼に供されなかった分、十分に酸素を含んだ状態にあるので、酸素量の多いしかも暖かな状態で吸気通路14に送られるため、エンジン1の始動性をさらに高めることができる。
【0143】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃焼式ヒータを有する内燃機関によれば、燃料を燃焼して発生する燃焼ガスを内燃機関に導入し、その燃焼ガスに含まれる熱を利用して前記内燃機関の吸気の温度を高める燃焼式ヒータを有する内燃機関において、内燃機関を始動をするにあたって最低限必要な温度を確保しつつ、機関吸気に占める酸素量をも十分なものとし、これにより内燃機関の始動性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃焼式ヒータを有する内燃機関の概略構成図
【図2】燃焼式ヒータの作動状態を示す断面図
【図3】燃焼式ヒータの別の作動状態を示す断面図
【図4】燃焼式ヒータの着火直後の排気温度特性を水冷前燃焼ガスと水冷後燃焼
ガスとで比較して示すグラフ線図
【図5】所定回転数−機関冷却水温度線図
【図6】エンジンの作動制御実行ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン(内燃機関)
3…エンジン本体
3a…温度センサ
5…吸気装置
7…排気装置
8…EGR装置
9…燃焼式ヒータ
10…ヒータコア
11…ECU(酸素量増大手段、ヒータ出力制御手段、所定温度達成判定手段)13…エアクリーナ
13a…温度センサ
14…吸気通路(吸気系)
15…ターボチャージャ
15a…コンプレッサ
15b…タービン
19…インタークーラ
22…インテークマニホールド
23…吸気絞り弁
27…排気通路(排気系)
28…エキゾーストマニホールド
29…触媒コンバータ
30…EGR弁
31…冷却水導入通路
32…冷却水排出路
33…電動ウォータポンプ
37…ヒータ内部冷却水通
37a…冷却水導入口
37b…冷却水排出口
39…燃焼室
40…燃焼筒
41…隔壁
42…外壁
62…空気供給口
63…燃焼ガス排出口
65…燃焼ガス排出口
71…空気供給管
73…燃焼ガス排出管
74…連結管
74a…連結管74の始端
78…弁装置
80…バルブ
82…アクチュエータ
84…分岐管
86…三方切換弁(導入ガス切換手段)
88…燃料導入通路
89…燃料ポンプ
90…回転ファン
92…モータ
93…ハウジング
95…空気取入口
C1…空気供給管71と吸気通路14との接続箇所
C2…燃焼ガス排出管73と吸気通路14との接続箇所
C3…触媒コンバータ29の上流側近傍箇所
F…火炎
M…マップ
P1…連結管74の始端74aにおける水冷後燃焼ガスの圧力
P0…燃焼ガス排出口65における水冷前燃焼ガスの圧力
S…ハウジング93の内部空間
W…熱媒体循環路
a1…熱交換領域を経由する前の燃焼ガス
a2…熱交換領域の一部を経由した燃焼ガス
a3…熱交換領域の大部分を経由した燃焼ガス

Claims (10)

  1. 内燃機関に付属し、前記内燃機関が始動するまでその始動を補助する機関始動補助手段の作動に合わせて前記内燃機関の吸気系に燃焼ガスを導入し、この導入された燃焼ガスの熱を利用して前記内燃機関の吸気の温度を高める燃焼式ヒータを有する内燃機関であって、
    前記機関始動補助手段の作動により前記内燃機関が始動する前から前記燃焼ガスの熱を内燃機関が受けることにより内燃機関が始動可能な所定温度に達した時点で、前記吸気系における酸素量をそれまでよりも相対的に増大する酸素量増大手段を有し、
    前記内燃機関が前記所定温度に達してから前記内燃機関への燃料の供給を開始することを特徴とする燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  2. 前記酸素量増大手段は、前記内燃機関が前記所定温度に達した時点で、前記燃焼ガスの前記吸気系への導入量をゼロにまたは低減するものであることを特徴とする請求項1記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  3. 前記酸素量増大手段は、燃焼式ヒータの出力を制御するヒータ出力制御手段のことであることを特徴とする請求項2記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  4. 前記燃焼式ヒータに係る燃料の燃焼をリーン状態で行うことで生じる燃焼ガスを前記吸気系に導入することで、前記吸気系における酸素量をそれまでよりも相対的に増大することを特徴とする請求項3記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  5. 前記酸素量増大手段は、機関温度が前記所定温度に達した時点で、それまで前記吸気系に導入していた燃焼ガスを排気系への導入に切り替える導入ガス切換手段であることを特徴とする請求項2記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  6. 前記機関温度が前記所定温度に達したかどうかの判定を行う所定温度達成判定手段を有することを特徴とする請求項1から5いずれか記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  7. 前記所定温度達成判定手段は、前記機関始動補助手段の作動に合わせて燃焼式ヒータが排出する燃焼ガスを内燃機関の吸気系に導入した後において、前記内燃機関の運転状態が所定条件を満たした場合には、前記機関温度が前記所定温度に達したとみなすことを特徴とする請求項6記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  8. 前記所定条件は、前記付属の機関始動補助手段によって内燃機関が所定数回転すること、前記機関始動補助手段による内燃機関の回転開始後所定時間が経過すること、前記機関始動補助手段による内燃機関の回転開始後所定量の吸気が前記内燃機関の気筒内に導入されることのいずれかまたはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項
    7記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  9. 内燃機関の始動後は、前記酸素量増大手段による酸素量の増大を停止するとともに前記燃焼式ヒータの燃焼状態を前記所定条件を満たす前の内燃機関の運転状態における燃焼状態に戻すことを特徴とする請求項7または8記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
  10. 前記内燃機関への前記燃焼ガスの導入は、内燃機関が所定の運転状況にある場合にのみなされることを特徴とする請求項1から9いずれか記載の燃焼式ヒータを有する内燃機関。
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