JP3563010B2 - 非鉄金属管の連結構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅、ステンレスあるいはアルミ等の“非鉄金属”材料からなる非鉄金属管を相互に連結する非鉄金属管の連結構造の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
通常、ステンレス管やアルミ管等の非鉄金属管を鉄材カップリング（連結構造）を使用して連結する場合があるが、この連結構造においては鉄と非鉄金属の異種金属間の接続による電蝕作用で配管が腐蝕する欠点がある。そこでこの欠点を防止するために、カップリングを青銅又は黄銅を使用して製造している。
【０００３】
【発明が解決すべき課題】
前記のようにカップリングを青銅や黄銅で製造して耐蝕性を持たせることができるが、製品のコストが高価となるという本質的な欠点がある。
【０００４】
また、別のカップリングの耐蝕構造として、非鉄金属管と接触する鉄材カップリングの内周縁にステンレス等の非鉄金属層を設けた構造のものも提案されているが、この構造のカップリングにおいては、非鉄金属層を鉄材カップリングの内周縁に直接接触するように積層させているので、前記と同様に電蝕作用で鉄材カップリング側の非鉄金属層が腐蝕し、それに伴なってこれに接触する非鉄金属管まで腐蝕してしまうと欠点があった。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、安価で耐蝕性に優れた非鉄金属管の連結構造を提供することを目的とするものであり、次のように構成されている。
【０００６】
１）配管の軸線に沿って半割状に分離され、その端部の内周面に形成された半円形の第１の溝部と第２の溝部を有する２個１組の鉄材ソケット部材と、前記第１の溝部に嵌合し、長手方向に沿って溝部を形成して二重に積層された合成樹脂層と非鉄金属層からなる隔離層と、
前記第２の溝部に嵌入する密閉リングが端部に形成され、対面する前記２個の鉄材ソケット部材の内面を被覆する円筒体パッキングと、
前記鉄材ソケット部材に形成した第１の溝部内に嵌合する突輪あるいは突起を端部外周に形成した非鉄金属管とからなり、前記非鉄金属管の端部をそれぞれ前記円筒体パッキングの密閉リング内に嵌入させ、更に突輪あるいは突起を前記隔離層を形成している非鉄金属層の溝部内に嵌入させた状態で両鉄材ソケット部材を組上げ、ボルト等の締結部材で一体化するように構成されたことを特徴としている。
【０００７】
２）更に、２個の鉄材ソケットの端部内周面に形成された半円形の第１の溝部に、断面が少なくともコ状ないしこれに類似する部分を含んで形成された合成樹脂層と非鉄金属層を二重に積層させた隔離層が嵌入されていることを特徴としている。
【０００８】
３）また、２個の鉄材ソケット部材をＴ型等のパイプ継手のように形成させたことを特徴としている。
【０００９】
本発明においては、鉄材ソケットに連結すべき非鉄金属管が直接に接触しないように連結することを特徴としている。
【００１０】
そのために鉄材ソケットを配管の軸線に沿って半割状とし、この分割された鉄材ソケット部材の内周面に、先端に密閉リングを持つ円筒体パッキングの前記密閉リングを第２の溝部に嵌入するように配置し、そしてこの第２の溝部より端部側に位置する第１の溝部内に合成樹脂層と非鉄金属層からなる二層構造の隔離層を配置し、この隔離層を介して非鉄金属管を連結するようにしたもので、この非鉄金属管と鉄材ソケットとは直接に接触していないが、良好なシール状態を保ちながら、抜けることがないように連結配管されている点に特徴がある。
【００１１】
このように、鉄材ソケット部材と配管される非鉄金属管とが直接に接触しないように連結配管されているので、従来の非鉄金属管の連結構造のように電腐作用が発生してカップリング等が腐蝕するような恐れがないものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【００１３】
本発明に係る非鉄金属管を接続するカップリング構造（連結構造）は、図１及び図２に示すように、配管の軸線に沿って上下あるいは左右の「半割り状」に分離した鉄材ソケット部材１０，１０ａを有し、このソケット部材１０，１０ａの先端部の内周縁に半円形の第１の溝部１１，１１ａと、更にその内方に後述する密閉リングを挿入する半円形の第２の溝部１２，１２ａを二重に平行して形成している。
【００１４】
そして前記半円形の第１の溝部１１，１１ａ内に、この断面形状と一致するように少なくともコ字形あるいはＣ字形の部分を含む形状、例えば略Ω形あるいは鍋蓋形等の断面形状とした合成樹層１５と、この合成樹脂層１５の内面に合わせた断面を有する非鉄金属層１４からなる二重の積層構造の「隔離層」を設けている。
【００１５】
この隔離層は、予め鉄材ソケット部材１０，１０ａの半円形の内面形状に合わせた形状にしたものを準備しておき、組立ての際にこれを第１の溝部１１，１１ａ内に嵌合しても良いし、合成樹脂層１５を一種の接着剤の役目をさせて溝部内に固定したものであっても良い。この隔離層を形成する合成樹脂層１５は非鉄金属管を鉄材ソケット部材１０，１０ａから隔離・絶縁するためのもので、例えば塩化ビニル、ナイロン、フッ素樹脂、ＡＢＳ等の工業用樹脂を使用できる。また、非鉄金属層１４は連結する非鉄金属管１，１ａと同種のものであることが好ましいが、別の電蝕作用を発生しない非鉄金属材料であっても良い。
【００１６】
更に、また、鉄材ソケット部材１０，１０ａの内部には、そのソケット部材１０，１０ａの内周面と外面が一致し、その先端部に略Ｃ形に成形した密閉リング３ａを有するエルボ型やＴ型あるいは十字形やＹ形等の円筒体パッキング３を準備している。この円筒体パッキング３は、この鉄材ソケット部材１０，１０ａの内周面に合わせ、更に半円形の第２の溝部１２，１２ａに密閉リング３ａを一致させて嵌め込んで非鉄金属管を接続するとともに鉄材ソケット部材１０，１０ａの内面を保護する機能を有するものである。
【００１７】
そしてこの円筒体パッキング３は、非鉄金属管１，１ａの内部を流れる流体に対して科学的、物理的な抵抗性を有する材料であって、主として塩化ビニルやナイロン、更にはフッ素樹脂、ＡＢＳ等の合成樹脂を使用することができる。
【００１８】
一方、連結しようとする非鉄金属管１，１ａの接続部分の先端には、図１に示すように突輪２あるいは複数個の突起２ａが設けられている。
【００１９】
次に非鉄金属管１，１ａを連結する際には、円筒体パッキング３の両端にこの非鉄金属管１，１ａを嵌入した状態で、密閉リング３ａを図２及び図３に示すように鉄材ソケット部材１０，１０ａの第２の溝部１２，１２ａ内に嵌合させるとともに、この非鉄金属管１，１ａの端部近傍に設けてある突輪２あるいは突起２ａを合成樹脂層１５と非鉄金属層１４からなる隔離層を介して第１の溝部１１，１１ａ内に係合させる。
【００２０】
この隔離層は鉄材ソケット部材１０，１０ａを組立てる前に第１の溝部１１，１１ａ内に嵌合させている場合もあるし、非鉄金属管１，１ａの先端の周囲に配置して組立てる場合もある。また、鉄材ソケット部材１０，１０ａの第１の溝部１１，１１ａ内に予め固定されており、非鉄金属管１，１ａと円筒体パッキング３とを連結したものに単に鉄材ソケット部材１０，１０ａを合わせて配置して相互に嵌合させて組立てることもできる。
【００２１】
そして半割り状に形成された鉄材ソケット部材１０，１０ａの周縁の各先端部とコーナー部分に、互に対向するように突出させた複数個の締結部１３，１３ａにボルトを挿通してナットで締結する。
【００２２】
前記のように２本の非鉄金属管１，１ａの間を連結する鉄材ソケット部材１０，１０ａは、その端部に形成した半円形の第１の溝部１１，１１ａの中に略Ω形の合成樹脂層１５と同様な断面の非鉄金属層１４により二重構造の隔離層が形成されており、また、非鉄金属管１，１ａ側に突輪２あるいは突起２ａが形成してあり、これを前記非鉄金属層１４と接触するように嵌合させて非鉄金属管１，１ａの抜けを阻止する。更に、この非鉄金属管１，１ａの先端部分を鉄材ソケット部材１０，１０ａの内面に配置されている円筒体パッキング３の先端の密閉リング３ａ内に押し込み、その弾性力でシールするようになっている。
【００２３】
図３に断面が少なくともコ字形ないしＣ字形の部分を含み、両側に延長部を形成した略Ω形の合成樹脂層１５と非鉄金属層１４からなる二重構造の隔離層を設けた例を、また、図４に断面が略コ字形ないし略Ｃ形の合成樹脂層１５と非鉄金属層１４からなる二重構造の隔離層に設けた例をそれぞれ示している。この二重構造の隔離層の断面形状は何れのものを採用しても良く、要するに、連結する非鉄金属管１，１ａと鉄材ソケット部材１０，１０ａとが直接に接触しないように必ず合成樹脂層１５を介在させて鉄材ソケット部材１０，１０ａが包囲して連結される構造を採用することが必要である。
【００２４】
また、鉄材ソケット部材１０，１０ａはこれらを組上げた状態でＴ型あるいは十字型、更に配管の形状等に応じてＬ型やＶ型やＣ型等の各種の形状のものを採用することができる。
【００２５】
【発明の効果】
本発明は、前記のように構成されているので、連結する複数本の非鉄金属管１，１ａは、ソケット部材を半割状とした鉄材ソケット部材１０，１０ａで挟持された状態で連結される際に、この鉄材ソケット部材１０，１０ａの端部に半円形に形成された第１の溝部１１，１１ａ内に嵌入される合成樹脂層１５と非鉄金属層１４からなる二重構造の隔離層を介して連結され、従って前記鉄材ソケット部材１０，１０ａと非鉄金属管１，１ａとは合成樹脂層１５によって絶縁されている。従って、安価な鉄材ソケット部材１０，１０ａを使用しながら、電蝕作用に伴う腐蝕を効果的に防止できる。
【００２６】
また、鉄材ソケット部材１０，１０ａの内面には円筒体パッキング３がラミネートするように設けられ、この鉄材ソケット部材１０，１０ａの内部を流体を通過させながらこの流体が直接に接触することを防止している。
【００２７】
更に、非鉄金属管１，１ａの端部には突輪２あるいは突起２ａが設けられ、連結に際してこれらが隔離層の溝内に嵌合して鉄材ソケット部材１０，１０ａと連結されているので、機械的に良好に連結されている。
【００２８】
また、円筒体パッキング３の両端には弾性力を発生する密閉リング３，３ａが設けられ、非鉄金属管１，１ａとこの密閉リング３，３ａとが接触した状態で連結されることから、この非鉄金属管１，１ａと円筒体パッキング３とは液密的に連結される。
【００２９】
以上のように、本発明に係る非鉄金属管の連結構造は構成されているので、安価な鉄材ソケット部材１０，１０ａを使用しながら連結部分の腐蝕を完全に防止することができる上に、組立てや分解操作を極めて容易に行うことができ、更に強固な連結構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る非鉄金属管の配管連結構造の部材を分解して示す斜視図である。
【図２】同組立状態の断面図である。
【図３】第１の溝部に、合成樹脂層と非鉄金属層からなる二層構造の隔離層を設けた連結部分の拡大断面図である。
【図４】別の断面形状の隔離層を設けた連結部分の拡大断面図である。
【図５】ソケット形状をＴ型に形成させた非鉄金属管の連結構造の断面図である。
【符号の説明】
１，１ａ 非鉄金属材配管 ２ 突輪 ２ａ 数個の突起
３ 円筒体パッキング ３ａ 先端密閉リング
１０，１０ａ 鉄材ソケット部材 １１，１１ａ 半円形の第１の溝部
１２，１２ａ 半円形の第２の溝部 １３，１３ａ 締結具
１４ 非鉄金属層 １５ 合成樹脂層

Claims (3)

1. 配管の軸線に沿って半割状に分離され、その端部の内周面に形成された半円形の第１の溝部（１１）と第２の溝部（１２）を有する２個１組の鉄材ソケット部材（１０，１０ａ）と、
   前記第１の溝部（１１）に嵌合し、長手方向に沿って溝部を形成して二重に積層された合成樹脂層（１５）とこの合成樹脂層（１５）の第３の溝部内に嵌入する非鉄金属層（１４）とからなる隔離層と、
   前記第２の溝部（１２）に嵌入する密閉リング（３ａ）が端部に形成され、対面する前記２個の鉄材ソケット部材（１０，１０ａ）の内面を被覆する円筒体パッキング（３）と、
   前記鉄材ソケット部材（１０，１０ａ）に形成した第１の溝部（１１）内に、前記隔離層を形成している非鉄金属層（１４）を介して、嵌合する突輪（２）あるいは突起（２ａ）を端部外周に形成した相互に連結しようとする少なくとも２本の非鉄金属管（１，１ａ）とからなり、
   前記非鉄金属管（１，１ａ）の端部をそれぞれ前記円筒体パッキング（３）の密閉リング（３ａ）内に嵌入させ、更に前記突輪（２）あるいは突起（２ａ）を前記隔離層を形成している非鉄金属層（１４）の第４の溝部内に嵌入させた状態で両鉄材ソケット部材（１０，１０ａ）を組上げ、ボルト等の締結部材で一体化するように構成された非鉄金属管の連結構造。
2. ２個の鉄材ソケットの端部内周面に形成された半円形の第１の溝部に、断面が少なくともコ状ないしこれに類似する部分を含んで形成された合成樹脂層と非鉄金属層を二重に積層させた隔離層が嵌入されている請求項１記載の非鉄金属管の連結構造。
3. ２個の鉄材ソケット部材をＴ型に形成させた請求項１記載の非鉄金属管の連結構造。

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