JP3562018B2 - 加硫性ニトリル系ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴム(以下「NBIR」ということがある)、補強性充填剤、硫黄系加硫剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤とからなる加硫性ゴム組成物に関する。
本発明のゴム組成物から得られる加硫物は、ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムが一般に有する良好な耐油性、耐熱性などの特性の他に、特に、著しく改善された耐摩耗性を有しており、従って、印刷用ロールブランケットなどの特に高い耐摩耗性が要求される材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体ゴム(NBR)は、一般に、良好な耐油性を有するゴム材料として知られ、各種のゴムロール、シール材、ベルト、ホースおよびガスケットなどに広く用いられている。
さらに、NBRは用途に応じて種々の改良が行われている。例えば、NBRとアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NIR)との特徴を兼ね備えたゴムとして、特開昭50−104291号公報には、結合アクリロニトリル量が15〜45重量%、結合ブタジエン−1,3と結合イソプレンとの合計量が85〜55重量%であるアクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴムが提案されており、この三元共重合体ゴムの加硫物は、良好な耐油性の他、良好で且つバランスのとれた引張強さ、熱老化後の引張強さ、耐寒性、圧縮永久歪および反発弾性を有することが報告されている。
【0003】
しかしながら、耐油性が要求されるゴムロール、ベルトおよびシール部材は機械の高速化に伴い使用条件が過酷になっている。このような過酷な状況下で使用されるゴム部材は摩耗が著しいため、寸法および形状の変化が早く、上記部材としての機能を十分に果たせない、または寿命が短いという問題を抱えている。従来のNBRはこのような要求を十分満たすものではない。
特開昭62−240338号には、NBRにシリカ系無機配合剤とビニル系シランカップリング剤との両者を組合せ配合することによってNBRの耐熱性が著しく改善されることが報告されている。しかしながら、このゴム組成物の耐摩耗性は格別大きく改善されるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、NBRが有する良好な耐油性その他の特性を維持したまま、耐摩耗性が著しく改善された加硫物を生成する加硫性ニトリル系ゴム組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、特定の組成を有するNBIRに補強性充填剤、硫黄系加硫剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤を配合したゴム組成物から得られる加硫物の耐摩耗性が、従来のNBRに補強性充填剤を配合したゴム組成物から得られる加硫物の耐摩耗性と比較して、飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして本発明によれば、結合不飽和ニトリル量が35〜55重量%、結合ブタジエン−1,3と結合イソプレンとからなる結合ジエンの合計が65〜45重量%であって、該結合ジエン合計量中の結合ブタジエン−1,3量が30〜60重量%、結合イソプレン量が70〜40重量%である不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴム100重量部、補強性充填剤5〜100重量部、ならびに硫黄系加硫剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤からなることを特徴とする加硫性ニトリル系ゴム組成物が提供される。
【0007】
本発明で使用する不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体は、不飽和ニトリル、ブタジエン−1,3およびイソプレンを上記所定の割合で含むことを必須とする。不飽和ニトリルとしてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが用いられるが、アクリロニトリルが好ましい。
【0008】
結合不飽和ニトリル量は35〜55重量%、結合ジエンの合計量は65〜45重量%でなければならず、結合アクリロニトリル量が過少で、結合ジエン合計量が過大になると、耐摩耗性および耐油性がともに低下し、逆に、結合アクリロニトリル量が過大で、結合ジエン合計量が過少になると成型加工性、耐圧縮永久歪性および耐寒性が低下する。
【0009】
結合ジエン合計量中の結合ブタジエン−1,3量は30〜60重量%、結合イソプレン量は70〜40重量%でなければならない。結合ブタジエン−1,3量が過少で、結合イソプレン量が過大であると耐摩耗性、耐寒性が低下し、また発熱性が不良となり、さらに反発弾性が低下する。逆に、結合ブタジエン−1,3量が過大で、結合イソプレン量が過少であると耐摩耗性および耐熱老化性が低下する。
本発明で使用する不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体は、発明の効果が損なわれない範囲で、他の共重合可能な単量体を共重合せしめたものであってもよい。
【0010】
他の共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどのビニル系単量体;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン系単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル;アクリル酸、エトキシエチル、アクリル酸メトキシエトキシエチルなどの不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸シアノエチル、(メタ)アクリル酸シアノプロピル、(メタ)アクリル酸シアノヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シアノ置換アルキルエステル;(メタ)アクリルアミドおよびN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N'−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド;さらに、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは通常、全単量体中に10重量%以下の範囲で使用することができる。
【0011】
上記不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体は、ムーニー粘度が好ましくは15〜150、より好ましくは30〜100である。ムーニー粘度が15未満では、強度の低い成型体しか得られず、また、射出成型においては多量のばりが発生するなどの問題がある。ムーニー粘度が150を超えた場合は粘度が増大し、射出成型その他の成型が困難となる。
【0012】
本発明で使用する不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体は、ラジカル重合開始剤の存在下、必要に応じて分子量調製剤を用い不飽和ニトリルとブタジエン−1,3とイソプレンとを共重合することによって調製される。
使用するラジカル重合開始剤は、特に限定されるものではないが、通常は有機過酸化物、レドックス重合開始剤系、アゾ系化合物、過硫酸塩などが用いられる。これら重合開始剤の使用量は通常は単量体合計量100重量部当り0.005〜3重量部である。また、重合温度は0〜100℃の範囲が好ましい。
【0013】
分子量調整剤としては、2,2',4,6,6'−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、2,4,4−トリメチルペンタン−2−チオール、ドデカン−12−チオール、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−4−メタンチオール、2,4,6−トリメチルノナン−4−チオールなどのアルキルチオール化合物類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー(2−4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量%以上のものが好ましい)、2,5−ジヒドロフラン、3,6−ジヒドロ−2H−ピン、フタラン、1,2−ブタジエン、1,4−ヘキサジエンなどを挙げることができる。分子量調整剤の使用量は、通常、単量体合計量100重量部に対し、0.05〜3重量部である。
【0014】
ラジカル重合の方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、懸濁重合あるいは乳化重合などを必要に応じて適宜選択することができる。なかでも、乳化重合が好適である。乳化重合によって製造する場合は、通常の乳化重合の手法により重合を行い、所定の転化率に達した時にヒドロキシルアミン、カルバミン酸ナトリウムなどを加えて重合を停止する。次いで、残存単量体を加熱、水蒸気蒸留などによって除去する。さらに、得られた重合体ラテックスに無機の凝固剤、高分子凝集剤または感熱凝固剤などの通常の乳化重合で使用される凝固剤を加え、共重合体を凝固、回収する。
【0015】
本発明において不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴム(NBIR)に配合する補強性充填剤としては、NBIRに配合したとき補強効果を示すものが好ましく用いられる。そのような補強性充填剤の具体例としては、カーボンブラック;粒径10〜15ミクロンの超微細嵩高白色粉末状のけい酸、けい酸塩、無水けい酸塩、含水けい酸および合成けい酸塩などのシリカ;活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;塩基性炭酸マグネシウム;超微粉けい酸マグネシウム;ハードクレー;タルク;けいそう土;アルミナなどが挙げられる。これらの中ではシリカが好ましい。
【0016】
補強性充填剤の配合量は、不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴム100重量部に対し、一般に5〜100重量部の範囲で選ばれ、好ましくは、20〜80重量部である。補強性充填剤の配合量が過少であると、耐摩耗性および強度が低く、逆に、補強性充填剤の配合量が過大であると成型加工性および破断伸びが低下する。
【0017】
本発明のニトリル系加硫性ゴム組成物に配合される硫黄系加硫剤としては、一般に、不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムの硫黄系加硫剤として知られるものを用いることができる。加硫剤の使用量は特に限定されないが、通常、共重合体ゴム100重量部当り0.10〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0018】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N'−ジチオービス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物などの硫黄化合物;さらに、テトラメチルチウラムジスルフィルド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどを挙げることができる。
さらに、硫黄系加硫剤に加えて、スルフェンアミド系加硫促進剤を使用する。
【0019】
【0020】
さらに、金属せっけん/硫黄系、トリアジン/ジチオカルバミン酸塩系、ポリカルボン酸/オニウム塩系、ポリアミン系(ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメート、トリエチレンジアミンなど)、安息香酸アンモニウム塩系などの加硫剤も必要に応じて用いることができる。
【0021】
本発明の加硫性ゴム組成物には、補強性充填剤とともに、シランカップリング剤を配合することもできる。シランカップリング剤の中でも、ビニル基を有するシランカップリング剤は耐熱性の向上に寄与するので好ましい。ビニル基含有シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、N'−ビニルベンジル−N−トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などが挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、ニトリル系共重合体ゴム100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
【0022】
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、ゴム分野において使用される通常の他の配合剤、例えば、プロセス油(含可塑剤)、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、非補強性充填剤などを配合することができる。
また、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどの他のゴムを不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴムに組合せて使用することができる。
【0023】
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されないが、通常は、ロール、バンバリーミキサーなどの通常の混合機により原料ゴムとシリカと、加硫系、その他の配合剤とを混練・混合することによって該ゴム組成物を製造する。
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例、比較例中の部及び%は特に断りのないかぎり重量基準である。
【0024】
ゴム組成物加硫物の特性は以下のように測定した。
(1)加硫物性評価試験
日本工業規格JIS K6301 に従い、表1の配合処方によって調製した未加硫ゴム組成物を160℃×20分の条件で加硫して得られた厚さ2mmのシートを、3号形ダンベルを用いて打ち抜いて試験片を作成し、引張強さ(単位:kgf/cm2)および伸び(単位:%)を測定した。また、硬さはJISスプリング式A形硬さ試験機を用いて測定した。
【0025】
(2)耐油性耐油性については、JIS K6301 に従い、潤滑油No.3(動粘度31.9〜34.1、アニリン点69.5±1℃、引火点162.7℃)中にゴム試験片を120℃にて70時間浸漬し、体積変化率(単位:%)を測定した。
(3)耐摩耗性(アクロン摩耗試験)
JIS K6264 に準じたリング状の試験片を加硫成型し、アクロン試験機(上嶋製作所製)に傾角15度に取り付け、荷重27Nで500回のなじみ運転終了した後、試重量を測定し、1000回の摩耗試験運転を実施する。その後、試験片の重量を再測定し摩耗損失容積を求める。この操作を3組の試験片で行い平均値をその試料の摩耗損失容積とする。耐摩耗指数は次のように求めた。
耐摩耗指数=(S/T)×100(%)
S:結合ニトリル量35%のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体の摩耗損失容積
T:試料の摩耗損失容積
耐摩耗指数の数値が大きいほど耐摩耗性が良好なことを示している。
【0026】
共重合体の結合ニトリル量はJIS K6384 に従い、ケルダール法によって共重合体中の窒素含有量を測定し、計算により結合ニトリル量を求めた(単位%)。共重合体中のブタジエン−1,3とイソプレンとの共重合比については、メイヨ−ルイス(Mayo-Lewis)の微分式を用いた交点法により実験で求めたアクリロニトリルとブタジエン−1,3およびアクリロニトリルとイソプレンとの共重合反応性比ならびに文献値(L. J. ヤング著「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス」54巻、1961年、411頁) であるブタジエン−1,3とイソプレンとの共重合反応性比を用い、仕込み単量体組成による反応率と生成共重合体組成との関係を計算して求めた。共重合体のムーニー粘度MLはJIS K6383 に従い、共重合体40グラムを用いて100℃にて測定した。
【0027】
実施例1〜6および比較例1〜5
単量体組成を種々変えてアクリロニトリル、ブタジエン−1,3およびイソプレンの共重合を行った。単量体合計量100重量部に対し下記の成分を加え、オートクレープ中5℃において重合反応を行った。
【0028】
重合率が89%に達したとき単量体100重量部当り0.2重量部のヒドロキシルアミン硫酸塩を加え、重合を停止させた。次いで、減圧下に加温して残留単量体を除去し、得られたゴム100重量部当りアルキル化アリルホスファイト老化防止剤2.5重量部を加え、塩化カルシウム水溶液でラテックスを凝固し、得られたクラムを水洗した後、50℃で減圧乾燥した。
【0029】
上記のようにして得られたアクリロニトル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体中の結合ニトリル量(%)および結合ジエン合計量中の結合ブタジエン量(%)と結合イソプレン量(%)、ならびに共重合体のムーニー粘度を表1に示す。次に、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体を表1に示す配合処方に従って、表1に示す補強性充填剤(シリカ)その他の添加剤とともにバンバリーミキサーにより混練して加硫性ゴム組成物を得た後、160℃で20分間プレス加硫し、得られた加硫物の物性を評価した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
注*1:補強性充填剤成分(シリカ)
(1)ニプシルVN−3(日本シリカ製、湿式法シリカ)
(2)エアロジル200(Degussa社製、乾式法シリカ)
その他の成分
(1)バルカップ40KE(過酸化物、Hercules社製)
(2)ナウガード445(老化防止剤、Uniroyal Chem.社製)
(3)ノクセラ−TT(テトラメチルチウラムジスルフィド、大内新興社製)
(4)ノクセラ−CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興社製)
【0032】
表1にみられるように、本発明のゴム組成物から得られる加硫成型品は耐油性と耐摩耗性の両特性に優れている。共重合体中の結合ニトリル量が小さい場合(比較例1)には耐摩耗性が著しく低い。また、上記三元共重合体(NBIR)ではなく、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)(比較例4、5)およびブタジエン含有量が高いアクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体(NBIR)(比較例3)の場合にはやはり耐摩耗性が著しく低い。このように、NBRまたはブタジエン含有量が高いNBIRに補強性充填剤(シリカ)を配合しても加硫物の耐摩耗性は格別顕著に向上しないが、本発明で使用する特定組成のアクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体(NBIR)では補強性充填剤の配合によって耐摩耗性が顕著に向上することは驚くべきことと考えられる。
【0033】
実施例7〜9および比較例6、7
実施例1、3、5で用いたものと同じアクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体および比較例4、5で用いたものと同じアクリロニトリル−ブタジエン共重合体を用い、表2に示す配合処方に従って、実施例1〜6および比較例1〜5の場合と同様に加硫成型し、加硫物の物性を評価した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
注:カーボンブラック(旭化成製、FEF#60)
表2にみられるように、補強性充填剤としてカーボンブラックを配合した場合にも、NBRでは(比較例6)耐摩耗性が低いが、本発明で使用する特定組成のNBIRでは(実施例8〜10)耐摩耗性が顕著に向上する。表1および表2にみられるように、優れた耐摩耗性と耐油性を有する加硫物は、加硫剤として硫黄加硫剤を用いた場合(実施例1〜9)に得ることができる。
【0036】
【発明の効果】
ブタジエン/イソプレン共重合比が30/70〜60/40の範囲である不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体(NBIR)に補強性充填剤、硫黄系加硫剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤を配合してなる本発明の加硫性ゴム組成物から得られる加硫物は耐摩耗性と耐油性に優れている。不飽和ニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)またはブタジエン含有量の高いNBIRに補強性充填剤を配合した場合には耐摩耗性が低いことを考慮すると、上記特定組成のNBIRと補強性充填剤との組合せによって耐摩耗性と耐油性の両者が優れた加硫物が得られることは驚くべきことと考えられる。
本発明の加硫性ニトリル系ゴム組成物は、耐摩耗性および耐油性が要求される各種のゴムロール、ベルト、ホース、シール材として、特に高い耐摩耗性が要求される印刷ロールブランケットとして有用である。
【0037】
本発明の加硫性ニトリル系ゴム組成物、すなわち、結合不飽和ニトリル量が35〜55重量%、結合ブタジエン−1,3と結合イソプレンとからなる結合ジエンの合計量が65〜45重量%であって、該結合ジエン合計量中の結合ブタジエン−1,3量が30〜60重量%、結合イソプレン量が70〜40重量%である不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴム100重量部、無機充填剤5〜100重量部、ならびに硫黄系加硫剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤からなることを特徴とする加硫性ニトリル系ゴム組成物の好ましい実施態様をまとめると以下のとおりである。
【0038】
(1)三元共重合体ゴムのムーニー粘度が15〜150、より好ましくは30〜100である。
(2)補強性充填剤がシリカである。
(3)補強性充填剤の配合量が、三元共重合体ゴム100重量部に対して20〜80重量部である。
(4)硫黄系加硫剤が、三元共重合体ゴム100重量部に対して0.10〜10重量部配合されている。
(5)さらに、ビニル基を有するシランカップリング剤0.5〜10重量部配合されている。
Claims (1)
- 結合不飽和ニトリル量が35〜55重量%、結合ブタジエン−1,3と結合イソプレンとからなる結合ジエンの合計が65〜45重量%であって、該結合ジエン合計量中の結合ブタジエン−1,3量が30〜60重量%、結合イソプレン量が70〜40重量%である不飽和ニトリル−ブタジエン−イソプレン三元共重合体ゴム100重量部、補強性充填剤5〜100重量部、ならびに硫黄系加硫剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤からなることを特徴とする加硫性ニトリル系ゴム組成物。
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