JP3557934B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用自動変速機の変速段を自動的に切り換える車両用自動変速機の制御装置に関し、特に、クラッチツウクラッチ変速制御期間内においてタイアップの度合いを判定する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用自動変速機の制御装置では、変速に関与する2つの摩擦係合装置のうちの一方の油圧式摩擦係合装置の開放と他方の油圧式摩擦係合装置の係合とが重複的に行われることにより変速が実行される所謂クラッチツウクラッチ変速が行われる場合がある。このようなクラッチツウクラッチ変速では、一方の油圧式摩擦係合装置の開放と他方の油圧式摩擦係合装置の係合とのタイミングが的確に行われないと、変速期間内において、自動変速機の出力軸トルクが一時的に落ち込む所謂タイアップが発生したり、或いは自動変速機の入力軸回転速度が変速後の回転速度を一時的に越えるオーバシュートすなわちエンジン回転速度が一時的に吹き上がるエンジンの吹けが発生したりする。
【0003】
このため、従来の制御装置によれば、上記タイアップ或いはオーバシュートを検出し、それらタイアップ或いはオーバシュートが予め設定された判断基準値よりも少なくなるように、次回の変速期間中における油圧式摩擦係合装置の係合圧を学習により制御することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の制御装置では、自動変速機の出力軸回転加速度が所定値以上低下したことに基づいてタイアップの発生が判定される。たとえば、特開平5−296323号公報に記載された車両用自動変速機の制御装置がそれである。しかしながら、このような制御装置では、タイアップ量或いはタイアップの度合いについては全く検出されていない。このため、油圧式摩擦係合装置の係合圧を少しずつ吹け側へ学習させねばならないことから、タイアップ発生時には、タイアップを収束させるために時間がかかるので、クラッチツウクラッチ変速における変速フィーリングが得られないという不都合があった。
【0005】
これに対し、自動変速機の出力軸回転加速度の低下量からタイアップの度合いすなわちタイアップの程度を判定し、そのタイアップの度合いに応じて学習補正量を決定することにより、速やかにタイアップを収束させることが考えられるが、自動変速機の出力軸回転には、走行路面の凹凸などに由来する不規則なノイズなど、実用的には十分に除去し難い外乱が混入する場合があるため、タイアップの度合いの検出精度が十分に得られず、タイアップを収束させるための学習制御が十分に機能できない場合があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、クラッチツウクラッチ変速期間に発生するタイアップの度合いが好適に得られる車両用自動変速機の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせに従って複数のギヤ段から1つのギヤ段が選択される車両用自動変速機において、クラッチツウクラッチ変速に際しては、それに関与する1対の油圧式摩擦係合装置のうちの開放側油圧式摩擦係合装置の開放と係合側油圧式摩擦係合装置の係合とを重複的に実行する形式の制御装置であって、(a) 前記自動変速機の入力軸回転速度を検出する入力軸回転速度検出装置と、(b) 前記クラッチツウクラッチ変速期間内において、その入力軸回転速度検出装置により検出された入力軸回転速度の一次微分値を逐次算出する一次微分値算出手段と、(c) その一次微分値算出手段により逐次算出された入力軸回転速度の一次微分値を積算することによりその入力軸回転速度の一次微分値の積算値を算出し、前記クラッチツウクラッチ変速期間内において前記1対の油圧式摩擦係合装置の係合状態の重複に起因して発生する自動変速機の出力軸トルクの一時的低下であるタイアップが大きくなるほど大きくなるタイアップの度合いを示す量として、その一次微分値の積算値を出力する積算手段と (d) その積算手段から出力された前記入力軸回転速度の一次微分値の積算値が表す前記タイアップの度合いを示す量に基づいて、前記クラッチツウクラッチ変速期間内における前記油圧式摩擦係合装置の係合圧を制御する変速過渡制御手段とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、クラッチツウクラッチ変速期間内においては、一次微分値算出手段により入力軸回転速度の一次微分値たとえばサンプリング周期毎の差分が逐次算出されると、積算手段により、その一次微分値が逐次積算されることにより積算値が算出され、その積算値がタイアップが大きくなるほど大きくなるタイアップの度合いを示す量として出力されることから、クラッチツウクラッチ変速期間に発生するタイアップの度合いが好適に得られるので、変速過渡制御手段によってそのタイアップの度合いを示す量に基づいてクラッチツウクラッチ変速期間内における前記油圧式摩擦係合装置の係合圧が制御されることにより、速やかにタイアップを収束させること可能となる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記一次微分値算出手段により逐次算出された入力軸回転速度の一次微分値の大きさが予め設定された判断基準値以下であるか否かを逐次判定する一次微分値判定手段と、その一次微分値判定手段によって入力軸回転速度の一次微分値が予め設定された判断基準値以下であると判定された場合には、前記積算手段の積算値を零にクリアするクリア手段とが、さらに設けられる。このようにすれば、タイアップ発生時の入力軸回転速度の一次微分値だけが積算されるので、タイアップでない場合の積算が防止され、得られたタイアップの度合いの信頼性が一層高められる。
【0010】
また、好適には、前記クラッチツウクラッチ変速期間内において前記入力軸回転速度が変速後の回転速度を一時的に越えるオーバシュートの発生を判定するオーバシュート判定手段と、そのオーバシュートの発生時間が予め設定された判断基準値以下であるか否かを判定するオーバシュート発生時間判定手段と、そのオーバシュート発生時間判定手段によりオーバシュートの時間が予め設定された判断基準値以下であると判定された場合には、前記オーバシュート判定手段によりオーバシュートの発生が判定されたことに関連して実行されるオーバシュート関連制御を禁止するオーバシュート関連制御禁止手段とが、さらに設けられる。強いタイアップの発生時には、そのタイアップの原因である係合側油圧式摩擦係合装置の早期の係合によって引き上げられることにより入力回転速度のオーバシュートも同時に発生する性質がある。しかし、上記のように構成されることにより、オーバシュートの発生が判定されても、オーバシュート関連制御禁止手段により、オーバシュートの発生が判定されたことに関連して実行されるオーバシュート関連制御が禁止されるので、タイアップに対処すべきときにオーバシュート関連制御が実施されることがない。
【0011】
また、好適には、前記積算手段から出力された、タイアップの度合いを示す量である積算値に基づいて、クラッチツウクラッチ変速期間内の油圧式摩擦係合装置の係合圧をタイアップが解消されるように補正するタイアップ学習制御手段が設けられる。このようにすれば、タイアップが発生しても、タイアップ学習制御手段により速やかにそのタイアップが解消されるので、好適な変速フィーリングが得られる。
【0012】
また、好適には、オーバシュート発生時間判定手段は、オーバシュートの大きさ(振幅或いは高さ)に基づいて判断基準値を予め決定し、前記オーバシュートの発生時間がその判断基準値以下であるか否かを判定するものである。通常のオーバシュートには、その大きさと幅(発生時間)との間には一定の関係があるが、それに比較して、強いタイアップに起因して発生させられるオーバシュートは、その大きさに対する幅が小さいという現象がある。上記によれば、強いタイアップに起因して発生させられるオーバシュートであることが、一層確実に判定される利点がある。
【0013】
また、好適には、上記オーバシュート発生時間判定手段によりオーバシュートの発生時間が判断基準値よりも大きいと判定された場合に、オーバシュートの大きさに基づいて、クラッチツウクラッチ変速期間内の油圧式摩擦係合装置の係合圧をオーバシュートが解消されるように補正するオーバシュート学習制御手段が設けられる。このようにすれば、オーバシュートが発生しても、オーバシュート学習制御手段により速やかにそのオーバシュートが解消されるので、好適な変速フィーリングが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1には、車両のエンジン10に連結されるトルクコンバータ12、自動変速機14、差動歯車装置16、上記自動変速機14の変速段を制御する油圧制御装置すなわち油圧制御回路18、その油圧制御回路18を制御する変速用電子制御装置20等が示されている。上記エンジン10から出力された動力は、上記トルクコンバータ12、上記自動変速機14、上記差動歯車装置16、左右の車軸22および24等を経て図示しない駆動輪へ伝達される。
【0016】
上記トルクコンバータ12は、上記エンジン10のクランク軸26に連結されたポンプ翼車28と、上記自動変速機14の入力軸30に連結され且つ流体を介してポンプ翼車28から動力が伝達されるタービン翼車32と、一方向クラッチ34を介して位置固定のハウジング36に固定された固定翼車38と、ポンプ翼車28およびタービン翼車32を図示しないダンパを介して直結するロックアップクラッチ40とを備えている。
【0017】
上記自動変速機14は、前進4速、後進1速のギヤ段が達成される多段変速機であり、上記入力軸30と、一組のラビニヨ式遊星歯車装置44と、そのラビニヨ式遊星歯車装置44のリングギヤ46とともに回転するリングギヤ48と、エンジン10からの駆動力を前記差動歯車装置16へ出力し或いはそのリングギヤ48と差動歯車装置16との間で動力を伝達する出力軸として機能するカウンタ軸50とを備えている。
【0018】
上記ラビニヨ式遊星歯車装置44は、1組のシングルピニオン遊星歯車装置52と1組のダブルピニオン遊星歯車装置54とが、キャリヤ56と上記リングギヤ46とを共用して成るものである。上記シングルピニオン遊星歯車装置52は、サンギヤ58と上記キャリヤ56に取り付けられたプラネタリギヤ60と上記リングギヤ46とにより構成されている。また、上記ダブルピニオン遊星歯車54は、サンギヤ62と、相互に一体的に結合され且つ上記キャリヤ56に回転可能な状態で取り付けられた第1ピニオンギヤ64および第2ピニオンギヤ66とにより構成されている。
【0019】
上記シングルピニオン遊星歯車装置52および上記ダブルピニオン遊星歯車装置54の構成要素の一部は互いに一体的に連結されるだけでなく、3つのクラッチC1,C2,C3によって互いに選択的に連結されるようになっている。また、上記シングルピニオン遊星歯車装置52および上記ダブルピニオン遊星歯車装置54の構成要素の一部は、3つのブレーキB1,B2,B3によって前記ハウジング36に選択的に連結され、さらに、それらの構成要素の一部は2つの一方向クラッチF1,F2によってその回転方向により上記ハウジング36と係合させられる。なお、前記トルクコンバータ12および前記自動変速機14の上記カウンタ軸50以外の部分は、上記入力軸30等の軸心に対して対称的に構成されているため、図1においてはその軸心の下側を省略して示してある。
【0020】
油圧式摩擦係合装置である上記クラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2,B3は、例えば多板式のクラッチや1本または巻付け方向が反対の2本のバンドを備えたバンドブレーキ等にて構成され、前記変速用電子制御装置20からの指令に従って作動する前記油圧制御回路18によりそれ等の摩擦係合および係合解除がそれぞれ制御されることにより、図2に示すように変速比γ(=入力軸30の回転数/カウンタ軸50の回転数)がそれぞれ異なる前進4段・後進1段の変速段が得られる。図2の「1ST」、「2ND」、「3RD」、「4TH」は、それぞれ前進側の第1速ギヤ段,第2速ギヤ段,第3速ギヤ段,第4速ギヤ段を表しており、上記変速比γは第1速ギヤ段から第4速ギヤ段に向かうに従って順次小さくなる。また、図2において、「P」、「R」、「N」、「D」、「2」、「L」は、シフトレバー84の手動操作により択一的に選択されるパーキング(P)レンジ、リバース(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ、セカンド(2)レンジ、ロー(L)レンジをそれぞれ示している。上記PレンジおよびNレンジは車両を走行させないときに選択される非走行レンジであり、Rレンジ、Dレンジ、2レンジ、Lレンジは車両を後進或いは前進走行させるための走行レンジである。また、2レンジ、Lレンジは、車両の駆動力を高めるだけでなくエンジンブレーキを発生させるため、エンジンブレーキレンジでもある。
【0021】
また、図2において、○印は係合或いは作動状態を示し、×印は開放或いは非作動状態を示している。Dレンジにおける第4速ギヤ段と第3速ギヤ段との間の変速は、変速に関与する2つの油圧式摩擦係合装置のうちの一方の開放作動と他方の係合作動により実現される所謂クラッチツウクラッチ変速であって、たとえば第4速ギヤ段から第3速ギヤ段への4→3ダウン変速は、クラッチC1の係合作動とブレーキB1の開放作動とがオーバラップ状態あたはアンダーラップ状態で実行されることにより行われる。
【0022】
上記油圧制御回路18は、上記自動変速機14のギヤ段の制御等に使用される3つのソレノイド弁SV1乃至SV3、後述のスロットル開度センサ76により検出されたスロットル開度TAに対応した大きさの制御油圧Pを発生するリニアソレノイド弁SLT、たとえば前記ロックアップクラッチ40の摩擦係合、その摩擦係合の解除およびそのスリップ量等の制御のための油圧を発生するリニヤソレノイド弁SLU、および油圧制御回路18中の作動油の油温TOIL を検出する作動油温検出装置として機能する油温センサ88等を備えている。
【0023】
前記変速用電子制御装置20は、CPU70、RAM72、ROM74、図示しない入出力インターフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、それには、前記エンジン10の図示しない吸気配管に設けられたスロットル弁の開度TAを検出するスロットル開度センサ76、上記エンジン10の回転数Nを検出するエンジン回転数センサ78、前記タービン翼車32の回転数Nすなわち入力軸30の回転数NINを検出する入力軸回転数センサ80、前記カウンタ軸50の回転数Nすなわち車速Vを検出するための車速センサ82、シフトレバー84の操作位置すなわちL、S、D、N、R、Pレンジのいずれかを検出する操作位置センサ86、油圧制御回路18内の作動油温度を検出する油温センサ88から、スロットル開度TAを表す信号、エンジン回転数N(r.p.m.)を表す信号、入力軸回転数NIN(r.p.m.)を表す信号、出力軸回転数N(r.p.m.)すなわち車速Vを表す信号、シフトレバー84の操作位置PSTを表す信号、油圧制御回路18内の作動油温度TOIL を表す信号がそれぞれ供給される。上記変速用電子制御装置20のCPU70は、予めROM74に記憶されたプログラムに従ってRAM72を用いつつ上記入力信号を処理し、その処理結果に基づいて、たとえば、車両の走行状態の検出、上記電磁開閉弁SV1乃至SV3、リニヤソレノイド弁SLTおよびSLUの制御等を実行する。
【0024】
図3は、上記油圧制御回路18の要部の構成を概略説明する図である。図3において、元圧発生装置90は、エンジン10によって回転駆動される油圧ポンプ92から圧送される作動油の圧力をそのエンジン負荷に応じた値に調圧したライン油圧Pを、各油圧式摩擦係合装置C1、C2、C3、B1、B2、B3の元圧としてシフト弁装置94などへ出力する。マニアル弁96は、シフトレバー84に対して機械的に連結されたものであり、そのシフトレバー84の走行レンジ選択操作に応答して上記ライン油圧Pを切り換えることにより、選択された走行レンジに対応した油圧、たとえばRレンジ圧、Dレンジ圧、2レンジ圧、Lレンジ圧をシフト弁装置94へ出力する。また、電磁開閉弁SV1およびSV2は、専らギヤ段を選択するために前記変速用電子制御装置20によって作動させられることにより、信号圧をシフト弁装置94へ出力する。
【0025】
上記シフト弁装置94は、マニアル弁96からの走行レンジに対応した油圧と2つの第1電磁開閉弁SV1および第2電磁開閉弁SV2からの油圧信号とに基づいて変速時に切換作動させられる1−2シフト弁、2−3シフト弁、3−4シフト弁などを備えており、図2に示す作動に従って、各油圧式摩擦係合装置C1、C2、C3、B1、B2、B3へ係合油圧を選択的に供給する。それら油圧式摩擦係合装置C1、C2、C3、B1、B2、B3のうち、クラッチC1、C2、C3およびブレーキB1、B2には、それらの係合油圧すなわち係合トルクの上昇を緩和するためのC1アキュムレータAC1、C2アキュムレータAC2、C3アキュムレータAC3、B1アキュムレータAB1、B2アキュムレータAB2がそれぞれ接続されている。上記C1アキュムレータAC1およびB1アキュムレータAB1と、上記C2アキュムレータAC2、C3アキュムレータAC3、およびB2アキュムレータAB2とには、変速用電子制御装置20からの指令によって変化され得るライン油圧Pがそのアキュム背圧としてそれぞれ供給されており、変速過渡期間内における各油圧式摩擦係合装置の係合油圧を調節する変速過渡制御が行われるようになっている。
【0026】
なお、上記シフト弁装置94とクラッチC1およびC1アキュムレータAC1との間には、第3電磁開閉弁SV3からの油圧信号およびブレーキB1の係合圧PB1に基づいてそれらの間の流通抵抗を切り換えることにより車両状態に応じてクラッチC1の係合タイミングまたは解放タイミングを調節するための、オリフィスを備えた複数の油路とそれら複数の油路を切り換える油路切換弁とを備えたオリフィス切換弁装置98が、設けられている。
【0027】
図4は、前記油圧制御回路18のうち、前記クラッチC1や前記ブレーキB1等に供給される作動油の元圧であるライン油圧Pを発生させる元圧発生装置90を詳しく説明する図である。図4において、エンジン10によって回転駆動されることにより油圧ポンプ92は、還流した作動油をストレーナ100を介して吸引することによりライン圧調圧弁102へ圧送する。
【0028】
ライン圧調圧弁102は、プランジャ110と、そのプランジャ110に当接した状態で軸方向の移動可能に設けられて入力ポートbと出力ポートdとの間を開閉するスプール弁子112と、そのスプール弁子112をばね受板114を介して閉弁方向に付勢するスプリング116とを備えており、その入力ポートbに供給される前記油圧ポンプ92からの作動油の油圧を、リニヤソレノイド弁SLTから上記入力ポートaに供給される制御油圧Pに基づいて、エンジン10の負荷すなわち自動変速機14の入力トルクに対応した大きさのライン油圧Pに調圧する。上記ライン圧調圧弁102の入力ポートcには、上記入力ポートbの油圧がフィードバック油圧として供給されている。上記スプリング116の付勢力をWREG 、上記スプール弁子112のランド118の環状の受圧面の面積をAREG1、上記スプール弁子112を出力ポートdの閉弁方向に付勢するプランジャ110の受圧面の面積をAREG2とすれば、上記ライン油圧Pは次式(1)で表される。ここで、(1)式は、上記ライン油圧Pが上記制御油圧Pに比例して発生させられることを示している。制御油圧Pがエンジン負荷或いは自動変速機14の入力トルクTINの大きさを表す通常の場合には、上記ライン油圧Pは、油圧式摩擦係合装置のすべりが発生しない範囲で必要且つ充分な値となるようなエンジン負荷或いは自動変速機14の入力トルクTINに対応した大きさとなる通常の調圧値に調圧されている。
【0029】
【数1】
=(AREG2/AREG1)・P+WREG /AREG1 ・・・(1)
【0030】
上記リニアソレノイド弁SLTは、その入力ポートaと出力ポートbとの間を開閉するスプール弁子120と、そのスプール弁子120を開弁方向に付勢するスプリング122とを備えている。上記入力ポートaには、一定圧PSOL が供給され、その一定圧PSOL が変速用電子制御装置20からリニアソレノイドSSLT へ出力される励磁電流に対応して調圧された油圧として前記制御油圧Pが出力ポートbにおいて発生させられる。上記リニアソレノイドSSLT の励磁電流に応じて上記スプール弁子120を上記出力ポートbの閉弁方向へ付勢する付勢力をF、上記スプリング122の付勢力をWSLT 、スプール弁子120のランド124の環状の受圧面の面積をASLT とすると、上記ランド124とランド126との間の油室128と上記出力ポートbとは油路130によって連通させられていて、ランド124の環状の受圧面に作用する油圧は上記制御油圧Pとなっているので、上記制御油圧Pは式(2)で表される。
【0031】
【数2】
=WSLT /ASLT −F/ASLT ・・・(2)
【0032】
図4において、減圧弁132は、入力ポートaと出力ポートbとの間を開閉するスプール弁子136と、そのスプール弁子136を開弁方向に付勢するスプリング138とを備え、その入力ポートaに供給される上記ライン油圧Pを、上記一定圧PSOL に調圧してその出力ポートbに発生させ、上記リニヤソレノイド弁SLT、前記リニヤソレノイド弁SLUなどへ供給する。上記減圧弁132の入力ポートcには、上記出力ポートbの油圧がフィードバック油圧として供給されている。上記一定圧PSOL は、上記スプール弁子136の上記入力ポートcに連通する受圧面積をAMOD 、上記スプリング138の付勢力をWMOD とすれば、式(3)で表される一定圧となる。
【0033】
【数3】
SOL =WMOD /AMOD ・・・(3)
【0034】
図5は、前記変速用電子制御装置20の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5において、変速制御点手段142は、シフトレバー84の走行レンジ選択操作に対応して予め選択された変速線図から、実際の車速Vとスロットル開度TA、燃料噴射量F、吸入空気量Q、アクセルペダル操作量などのいずれかにより表されるエンジン負荷とに基づいて自動変速機14の変速判断を行い、その変速判断されたギヤ段を実現するための変速出力を行う。すなわち、上記変速点制御手段142では、実際の車速Vを表す車速軸とエンジン負荷を表すエンジン負荷軸とから成る二次元座標において、実際の車速Vとエンジン負荷とを表す点がたとえば3−4変速線を横切ってその変速線により区分された第4速領域から第3速領域へ入った場合には、4→3ダウン変速線が判断される。
【0035】
変速過渡制御手段144は、変速フィーリングを高めるために、上記変速点制御手段142からの変速出力に応答して変速過程の油圧式摩擦係合装置の係合圧を制御する。すなわち、この上記変速過渡制御手段144では、上記変速点制御手段142により4→3ダウン変速が判断された場合には、図6のタイムチャートに示すように、4→3ダウン変速に関与するブレーキB1の開放とクラッチC1の係合とが適切なタイミングで実行されるように、変速の進行度合いに応じてブレーキB1の係合圧PB1とクラッチC1の係合圧PC1とが制御される。ブレーキBの開放と同時にクラッチC1の係合が開始された後において、オリフィス切換弁装置98によりクラッチC1の係合タイミングが調節されるとともに、タイアップ学習制御手段146によりタイアップが抑制されるように学習により補正された背圧(=P)がアキュムレータAB1およびAC1に供給され、或いはオーバシュート制御手段148によりオーバシュートが抑制されるように学習により補正された背圧(=P)がアキュムレータAB1およびAC1に供給されることにより、4→3ダウン変速期間中の係合圧PB1およびPC1が制御される。
【0036】
タイアップ度合い算出手段150は、前記4→3ダウン変速のようなクラッチツウクラッチ変速期間内において、入力軸回転速度NINの一次微分値DNINを積算し、その積算された積算値DDNINを、クラッチツウクラッチ変速に関与する1対の油圧式摩擦係合装置の係合状態の重複に起因して発生する自動変速機14の出力軸トルクTの一時的低下であるタイアップの度合いを示す量として出力する。図7は、上記入力軸回転速度NINの一次微分値DNINと、その積算された積算値DDNINとを示している。
【0037】
すなわち、タイアップ度合い算出手段150は、クラッチツウクラッチ変速期間内において、入力軸回転速度センサ80により検出された入力軸回転速度NINの一次微分値NINすなわちサンプリング周期毎の差分DNIN(=NIN(i) −NIN(i−1) )を逐次算出する一次微分値算出手段154と、その一次微分値算出手段154により逐次算出された入力軸回転速度の一次微分値DNINを積算することによりその一次微分値DNINの積算値DDNINを逐次算出し、上記クラッチツウクラッチ変速期間内において前記1対の油圧式摩擦係合装置の係合状態の重複に起因して発生する自動変速機14のタイアップの度合いを示す量として出力する積算手段160とを含むものである。
【0038】
上記タイアップ度合い算出手段150には、上記一次微分値算出手段154により逐次算出された入力軸回転速度NINの一次微分値DNINの大きさが予め設定された判断基準値A以下であるか否かを逐次判定する一次微分値判定手段156と、その一次微分値判定手段156によって入力軸回転速度NINの一次微分値DNINが予め設定された判断基準値A以下であると判定された場合には、前記積算手段160の積算値を零にクリアするクリア手段158とが、さらに設けられている。上記入力軸回転速度NINにはノイズが含まれる可能性があることから、上記判断基準値Aは、クラッチツウクタッチダウン変速時におけるタイアップ発生時の一次微分値DNINだけを積算するように、そのタイアップ発生時の一次微分値DNINよりも僅かに小さい値に設定されている。
【0039】
前記タイアップ学習制御手段146は、入力軸回転速度同期直前判定手段152により、入力軸回転速度NINがその同期回転速度の直前の値たとえば4→3ダウン変速では第3速ギヤ段における回転速度G×Nよりも所定値(たとえば50r.p.m. 程度)だけ低い値に到達したことが判定され、且つ、タイアップ判定手段153により、上記積算手段160により積算された積算値DDNINが予め設定されたタイアップ判断基準値Bすなわち制御目標を上まわったことに基づいてタイアップの発生が判断された場合に、上記積算手段160からタイアップの度合いを示す量として出力された積算値DDNINに基づいて、クラッチツウクラッチ変速期間内の油圧式摩擦係合装置の係合圧を制御する背圧(=ライン油圧P)をタイアップが解消されるように補正する。たとえば、ライン油圧Pを制御するリニヤソレノイド弁SLTの変速期間中の駆動電流DSLT を補正値k(DDNIN−DDNIN1 )を加算することにより補正し、次回のクラッチツウクラッチ変速において、学習により補正された背圧(=P)がアキュムレータAB1およびAC1に供給されるようにしてタイアップを抑制する。上記DDNIN1 は、目標タイアップ量(度合い)すなわち許容されるタイアップ量の最大値である。したがって、たとえば4→3ダウン変速において、タイアップ度合いを示す積算値DDNINが目標タイアップ量DDNIN1 よりも大きい場合には、それまでの駆動電流DSLT 補正値k(DDNIN−DDNIN1 )だけ大きくしてクラッチC1の係合圧PC1を低くし、そのクラッチC1の係合による入力軸回転速度NINの引き上げをタイアップ度合いDDNINが大きいほど遅くさせる。
【0040】
オーバシュート判定手段162は、前記クラッチツウクラッチ変速期間内において、入力軸回転速度NINが変速後の回転速度たとえば4→3ダウン変速ではN×G(但しGは第3速ギヤ段における自動変速機14の変速比)を一時的に越えるオーバシュートS(図8参照)の発生を、そのオーバシュートSの大きさ(振幅)Aが予め設定された判断基準値Aを越えたことに基づいて判定する。オーバシュート発生時間判定手段164は、そのオーバシュートSの発生時間(幅)Tが予め設定された判断基準値T以下であるか否かを判定する。オーバシュート関連制御禁止手段166は、そのオーバシュート発生時間判定手段164によりオーバシュートSの発生時間Tが予め設定された判断基準値T以下であると判定された場合には、上記オーバシュート判定手段162によりオーバシュートSの発生が判定されたことに関連して実行されるオーバシュート関連制御、たとえばオーバシュート学習制御148の実行を禁止する。強いタイアップの発生時には、そのタイアップの原因である係合側油圧式摩擦係合装置たとえば4→3ダウン変速ではクラッチC1の早期の係合によって引き上げられることにより入力回転速度NINのオーバシュートSも同時に発生するが、その発生時間幅Tは通常のオーバシュートSよりも短い性質があることを利用して、たとえオーバシュート判定手段162によってオーバシュートSが判定されたとしても、その時間幅Tが判断基準値T以下であるときは、通常のオーバシュートではないと判定して、オーバシュート関連制御が禁止されるのある。
【0041】
また、上記オーバシュート発生時間判定手段164は、予め記憶された関係から実際のオーバシュートSの大きさ(振幅或いは高さ)Aに基づいて判断基準値Tを予め決定し、前記オーバシュートの発生時間Tがその判断基準値T以下であるか否かを判定するものである。通常のオーバシュートには、その大きさと幅(発生時間)との間には一定の関係があることから、上記予め記憶された関係はその関係を実験的に求めたものである。
【0042】
前記オーバシュート学習制御手段148は、上記オーバシュート発生時間判定手段164によりオーバシュートSの発生時間Tが判断基準値Tよりも大きいと判定された場合に、オーバシュートSの大きさAに基づいて、クラッチツウクラッチ変速期間内の油圧式摩擦係合装置の係合圧をオーバシュートが解消されるように、次回の係合圧を補正する。たとえば、たとえば4→3ダウン変速において、オーバシュート量を示す大きささAが目標オーバシュート量Aよりも大きい場合には、それまでの駆動電流DSLT 補正値k(A−A)だけ小さくしてクラッチC1の係合圧PC1を高くし、そのクラッチC1の係合による入力軸回転速度NINの引き上げをオーバシュート量Aが大きいほど早くさせる。
【0043】
以下、変速用電子制御装置20の制御作動の要部を図9を用いて説明する。図9は、パワーオン4→3ダウン変速時に実行される4→3ダウン変速学習補正ルーチンを示している。
【0044】
図9において、前記入力軸回転速度同期直前判定手段152に対応するSA1では、4→3ダウン変速時の入力軸回転速度NINがその同期回転速度すなわちG×Nよりも所定値(たとえば50r.p.m.程度の値)αだけ低い値(G×N−α)に到達したか否かが判定される。その所定値は、タイアップの発生が予想される領域の下限値に対応するものである。当初はこのSA1の判断が否定されるので、前記一次微分値算出手段154に対応するSA2において、入力軸回転速度NINの一次微分値DNINが逐次算出される。次いで、前記一次微分値判定手段156に対応するSA3において、上記SA2において算出された一次微分値DNINが予め設定された判断基準値Aよりも大きいか否かが判断される。
【0045】
当初は上記SA3の判断が否定されるので、前記クリア手段158に対応するSA4において積算値DDNINが零にクリアされる。このため、入力軸回転速度NINに混入するノイズによってたとえその一次微分値DNINが判断基準値Aを越えたとしても連続的に越えることはないので、SA3の判断が否定されて再び積算値DDNINが零にクリアされる。しかし、クラッチツウクラッチ変速である4→3ダウン変速が進行して、タイアップによるクラッチC1の係合力により入力軸回転速度NINが引き上げられて一次微分値DNINが大きい状態になると、上記SA3の判断が肯定されるので、前記積算手段160に対応するSA5において、SA2で算出された一次微分値DNINの積算が開始される。図6のt時点はこの状態を示している。なお、図6の破線はタイアップが発生しないときの入力軸回転速度NINを示している。
【0046】
次いで、前記オーバシュート判定手段162に対応するSA8においてオーバシュートSの発生がその大きさAが予め設定された判断基準値A以上となったか否かに基づいて判断される。通常のタイアップの発生時には上記SA8の判断が否定されるので、前記オーバシュート関連制御禁止手段166に対応するSA9においてSA11のオーバシュート学習制御が禁止された後、本ルーチンが繰り返される。これにより、図7に示すように、一次微分値DNINが逐次積算されて、積算値DDNINが逐次増加させられる。なお、図7の入力軸回転速度NINを示す線上の点はサンプリング点を示している。
【0047】
以上のステップが繰り返し実行されるうち、入力軸回転速度NINがその同期回転速度(G×N−α)に到達して前記SA1の判断が肯定されると、前記タイアップ判定手段153に対応するSA6において、タイアップの度合いを示す積算値DDNINが予め設定されたタイアップ判断基準値Bよりも大きいか否かが判断される。このSA6の判断が否定される場合は、タイアップを抑制するための学習制御が必要とされないので、SA7が実行されないでSA8以下が実行される。
【0048】
しかし、上記SA6の判断が肯定される場合は、前記タイアップ学習制御手段146に対応するSA7において、4→3変速時のクラッチC1の過渡圧すなわち係合圧PC1を制御するアキュムレータAC1の背圧として機能するライン圧Pを制御するためのリニヤソレノイド弁SLTの駆動信号DSLT が、次回の4→3変速のために上記タイアップ度合いを示す積算値DDNINに基づいて補正される。すなわち、DSLT =DSLT +k(DDNIN−DDNIN1 )が算出される。
【0049】
前記タイアップに代えて通常のオーバシュートSが発生するか、或いは強いタイアップの発生に関連したオーバシュートSが発生することにより前記SA8の判断が肯定されと、前記オーバシュート発生時間判定手段164に対応するSA10において、オーバシュートSの幅すなわち発生時間Tが予め設定された判断基準値Tよりも大きいか否かが判断される。この判断基準値Tは、上記通常のオーバシュートSであるか或いは強いタイアップの発生に関連したオーバシュートSであるかを判断するための値であり、一定値でもよいが好適にはオーバシュートSの大きさ(振幅或いは高さ)Aに基づいて決定される。
【0050】
上記SA10の判断が否定される場合は、強いタイアップの発生に関連したオーバシュートSであると考えられるため、SA9においてオーバシュート学習制御が禁止されるが、肯定される場合は、通常のオーバシュートSであると考えられるため、前記オーバシュート学習制御手段148に対応するSA11において、4→3変速時のクラッチC1の過渡圧すなわち係合圧PC1を制御するアキュムレータAC1の背圧として機能するライン圧Pを制御するためのリニヤソレノイド弁SLTの駆動信号DSLT が、次回の4→3変速のために上記オーバシュートの度合いを示す大きさAに基づいて補正される。すなわち、DSLT =DSLT −k(A−AO1)が算出される。
【0051】
上述のように、本実施例によれば、クラッチツウクラッチ変速である4→3ダウン変速期間内においては、一次微分値算出手段154(SA2)により入力軸回転速度NINの一次微分値DNIN逐次算出されると、積算手段160(SA5)により、その一次微分値DNINが逐次積算されて積算値DDNINが算出され、その積算値DDNINがタイアップの度合いを示す量として出力されることから、クラッチツウクラッチ変速期間に発生するタイアップの度合いが好適に得られる。したがって、タイアップ学習制御手段146によるタイアップを解消して変速フィーリングを高めるための学習制御において、そのタイアップの度合いに応じた学習補正量k(DDNIN−DDNIN1 )を決定することが可能となるので、速やかにタイアップを収束させることは可能となる。
【0052】
また、本実施例によれば、一次微分値算出手段154(SA2)により逐次算出された入力軸回転速度NINの一次微分値DNINが予め設定された判断基準値A以下であるか否かを逐次判定する一次微分値判定手段156(SA3)と、その一次微分値判定手段156によって入力軸回転速度NINの一次微分値DNINが予め設定された判断基準値A以下であると判定された場合には、前記積算手段160の積算値を零にクリアするクリア手段158(SA4)とが、さらに設けられる。このようにすれば、タイアップ発生時の入力軸回転速度NINの一次微分値DNINだけが積算されるので、タイアップでない場合の積算が防止され、得られたタイアップの度合いの信頼性が一層高められる。
【0053】
また、本実施例によれば、クラッチツウクラッチ変速である4→3ダウン変速期間内において入力軸回転速度NINが変速後の回転速度G×Nを一時的に越えるオーバシュートSの発生を判定するオーバシュート判定手段162(SA8)と、そのオーバシュートSの発生時間Tが予め設定された判断基準値T以下であるか否かを判定するオーバシュート発生時間判定手段164(SA10)と、そのオーバシュート発生時間判定手段164によりオーバシュートSの発生時間Tが予め設定された判断基準値T以下であると判定された場合には、オーバシュート判定手段162によりオーバシュートの発生が判定されたことに関連して実行されるオーバシュート関連制御を禁止するオーバシュート関連制御禁止手段166(SA9)とが、さらに設けられる。強いタイアップの発生時には、そのタイアップの原因であるクラッチC1の早期の係合によって引き上げられることにより入力回転速度NINのオーバシュートも同時に発生する性質がある。しかし、上記のように構成されることにより、オーバシュートの発生が判定されても、オーバシュート関連制御禁止手段166により、オーバシュートの発生が判定されたことに関連して実行されるオーバシュート関連制御、すなわちオーバシュート学習制御手段148の実行が禁止されるので、タイアップに対処すべきときにオーバシュート関連制御が実施されることがない。
【0054】
また、本実施例によれば、積算手段160から出力された、タイアップの度合いを示す量である積算値DDNINに基づいて、4→3ダウン変速期間内のクラッチC1の係合圧PC1をタイアップが解消されるように補正するタイアップ学習制御手段146(SA7)が設けられていることから、タイアップが発生しても、タイアップ学習制御手段146により速やかにそのタイアップが解消されるので、好適な変速フィーリングが得られる。
【0055】
また、本実施例によれば、オーバシュート発生時間判定手段164(SA10)は、オーバシュートSの大きさ(振幅或いは高さ)Aに基づいて判断基準値Tを予め決定し、オーバシュートSの発生時間Tがその判断基準値T以下であるか否かを判定するものである。通常のオーバシュートSには、その大きさAと幅(発生時間)Tとの間には一定の関係があるが、それに比較して、強いタイアップに起因して発生させられるオーバシュートSは、その大きさAに対する幅Tが小さいという現象がある。上記によれば、強いタイアップに起因して発生させられるオーバシュートSであることが、一層確実に判定される利点がある。
【0056】
また、本実施例によれば、上記オーバシュート発生時間判定手段164によりオーバシュートSの発生時間Tが判断基準値Tよりも大きいと判定された場合に、オーバシュートSの大きさAに基づいて、4→3ダウン変速期間内のクラッチC1の係合圧PC1をオーバシュートSが解消されるように補正するオーバシュート学習制御手段148(SA11)が設けられることから、オーバシュートSが発生しても、オーバシュート学習制御手段148により速やかにそのオーバシュートが解消されるので、好適な変速フィーリングが得られる。
【0057】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用され得るものである。
【0058】
たとえば、前述の実施例では、クラッチツウクラッチ変速である4→3ダウン変速について説明されていたが、3→4アップ変速であっても差し支えない。
【0059】
また、前述の実施例の自動変速機14では、第3速ギヤ段と第4速ギヤ段戸の間がクラッチツウクラッチ変速となるように構成されたものであったが、他のギヤ段の間においてクラッチツウクラッチ変速となるように構成されたものであっても差し支えない。
【0060】
また、前述の実施例の自動変速機14は前進4速として構成されていたが、前進3速或いは前進5速などとして構成されたものであっても差し支えない。
【0061】
また、前述の実施例のタイアップ学習制御手段153およびオーバシュート学習制御手段148は、4→3ダウン変速における係合側の油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1の係合圧PC1を学習補正するものであったが、4→3ダウン変速における開放側の油圧式摩擦係合装置であるブレーキB1の係合圧PB1を学習補正するものであってもよい。
【0062】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置を含む車両用動力伝達装置の構成を説明する図である。
【図2】図1の自動変速機において、それに備えられた摩擦係合装置の作動の組み合わせにより達成される変速段を説明する図である。
【図3】図1の自動変速機を制御する油圧制御装置の要部構成を概略説明するブロック図である。
【図4】図3の元圧発生装置の油圧回路構成を具体的に説明する油圧回路図である。
【図5】図1の変速用電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図6】図1の変速用電子制御装置において、4→3ダウン変速の作動を説明するタイムチャートである。
【図7】図6の入力軸回転速度を示す線であってタイアップに対応する部分と、その部分の一次微分値を積算した積算値とを説明するタイムチャートである。
【図8】図6の入力軸回転速度の同期回転到達時期において発生するオーバラップを説明するタイムチャートである。
【図9】図1の変速用電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートであって、4→3ダウン変速学習補正ルーチンを示す図である。
【符号の説明】
14:自動変速機
80:入力軸回転速度センサ(入力軸回転速度検出装置)
154:一次微分値算出手段
156:一次微分値判定手段
158:クリア手段
160:積算手段
162:オーバシュート判定手段
164:オーバシュート発生時間判定手段
166:オーバシュート関連制御禁止手段
C1:クラッチ、B1:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)

Claims (3)

  1. 油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせに従って複数のギヤ段から1つのギヤ段が選択される車両用自動変速機において、クラッチツウクラッチ変速に際しては、それに関与する1対の油圧式摩擦係合装置のうちの開放側油圧式摩擦係合装置の開放と係合側油圧式摩擦係合装置の係合とを重複的に実行する形式の制御装置であって、
    前記自動変速機の入力軸回転速度を検出する入力軸回転速度検出装置と、
    前記クラッチツウクラッチ変速期間内において、該入力軸回転速度検出装置により検出された入力軸回転速度の一次微分値を逐次算出する一次微分値算出手段と、
    該一次微分値算出手段により逐次算出された入力軸回転速度の一次微分値を積算することにより該入力軸回転速度の一次微分値の積算値を算出し、前記クラッチツウクラッチ変速期間内において前記1対の油圧式摩擦係合装置の係合状態の重複に起因して発生する自動変速機の出力軸トルクの一時的低下であるタイアップが大きくなるほど大きくなるタイアップの度合いを示す量として、該一次微分値の積算値を出力する積算手段と
    該積算手段から出力された前記入力軸回転速度の一次微分値の積算値が表す前記タイアップの度合いを示す量に基づいて、前記クラッチツウクラッチ変速期間内における前記油圧式摩擦係合装置の係合圧を制御する変速過渡制御手段と
    を、含むことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  2. 前記一次微分値算出手段により逐次算出された入力軸回転速度の一次微分値の大きさが予め設定された判断基準値以下であるか否かを逐次判定する一次微分値判定手段と、
    該一次微分値判定手段によって前記入力軸回転速度の一次微分値が予め設定された判断基準値以下であると判定された場合には、前記積算手段の積算値を零にクリアするクリア手段と
    を、さらに含むものである請求項1の車両用自動変速機の制御装置。
  3. 前記クラッチツウクラッチ変速期間内において前記入力軸回転速度が変速後の回転速度を一時的に越えるオーバシュートの発生を判定するオーバシュート判定手段と、
    該オーバシュートの発生時間が予め設定された判断基準値以下であるか否かを判定するオーバシュート発生時間判定手段と、
    該オーバシュート発生時間判定手段によりオーバシュートの時間が予め設定された判断基準値以下であると判定された場合には、前記オーバシュート判定手段によりオーバシュートの発生が判定されたことに関連して実行されるオーバシュート関連制御を禁止するオーバシュート関連制御禁止手段と
    を、さらに含むものである請求項1または2の車両用自動変速機の制御装置。
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