JP3557408B2 - 導体接続部材 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的な導体、殊に横断面の大きな導体の接続のための導体接続部材であって、接続部本体を有しており、接続部本体内にＵ字形の導体受容室が形成されており、接続部本体にねじ孔を設けてあり、ねじ孔内に締め付けねじがねじ込み可能であり、接続部本体が少なくとも１つの圧接接続部を備えており、導体受容室内にはめ込まれた導体が、締め付けねじのねじ込みに際して締め付けねじによってさらに圧接接続部へ向かって導体受容室内に押圧され、圧接接続部が導体の被覆を切り開いて導体と電気的に接触するようになっているものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
前記形式の導体接続部材は、電気的な圧接接続部によって電気的な導体の迅速かつ簡単に行われて解離可能な結合のために用いられる。
【０００３】
ヨーロッパ特許第５５４８１０Ａ２号明細書により、絶縁被覆された電気的な導体の接続のためのコネクターが公知であり、該コネクターにおいては導体が導体案内部材の二カ所で転向された孔内に差し込まれて、転向部間で圧接接続部に接触されるようになっている。
【０００４】
前記公知のコネクターにおいては欠点として、簡単な圧接接続部が導体と狭幅の圧接接続部との間の狭い接触面に基づき制限された強さの電流しか伝達できない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の導体接続部材を改善して、該導体接続部材によって電気的な導体の簡単な組み込み及び結合を可能にして、かつ大きな電流が伝達できるようにすることである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の構成では、導体接続部材が二重接続式の接続部として形成されており、一体の接続部本体がＵ字形の相対する２つの導体受容室を備えており、導体受容室がそれぞれ導体を受容するようになっており、締め付けねじのためのねじ孔が接続部本体の、導体受容室を被うように延びる一体成形部に設けられている。
【０００７】
本発明の有利な実施態様が請求項２乃至１０に記載してある。
【０００８】
【発明の効果】
本発明によって得られる利点として、二重に構成された圧接接続構造を備える導体接続部材が、著しく高い電流を通すことができ、この場合、圧接接続部が締め付けねじに対して対称的に配置されている。さらに該圧接接続部によって、電気的な確実な接触が保証されると共に、ケーブル横断面の大きい場合にも小さな操作力しか必要としない。導体接続部材の接触箇所を直接にのぞき見ることのできる開放構造に基づき、圧接接続部と導体との間の接触状態を簡単に目視して調整することができる。
【０００９】
本発明の有利な実施態様では締め付けねじと一緒に、回動不能な圧力片を用いてあり、圧力片が導体を圧接接続部内に押し込むようになっており、従って、導体を直接に締め付けねじで押し込む場合には該回動する締め付けねじによって導体の被覆に付加的に生ぜしめられてしまう摩擦力を、該回動不能な圧力片によって避けることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１は本発明に基づく導体接続部材の実施例を示しており、この場合、図１ａは導体接続部材の斜視図であり、図１ｂは導体接続部材の接続部本体（支持本体）の斜視図であり、図１ｃは導体接続部材の断面図である。図２は二重圧接接続部を備えた導体接続部材の別の実施例の斜視図である。図３は統合された圧接接続部を備えた導体接続部材の斜視図である。図４は中心に配置された圧接接続部を備える導体接続部材の斜視図である。図５は中心から外して配置された圧接接続部を備えた導体接続部材の斜視図である。図６は圧力片を備えた締め付けねじを有する導体接続部材の斜視図である。図７は圧力カバーを備えた導体接続部材の斜視図である。
【００１１】
図１ａには導電性の導体接続部材１が、二重接続式若しくは両側接続式の導体接続部として示してあり、接続部本体１０及び該接続部本体に係止された圧接接続部（Ｕコンタクトともいう）２０を備えている。図示の実施例では上側の半部がねじ接続部を有しているのに対して、下側の半部は圧接接続部しか備えていない。導体接続部材は種々の形式で導電レールのため、若しくは締め付け接続、簡単なねじ接続、若しくはろう付けのために設けられていてよい。
【００１２】
接続部本体１０は互いに中央で結合された２つの脚部１３，１４によって形成されており、両方の脚部及び、一方の脚部１３に直角に接合された一体成形部１５によって導体受容室１２が形成されており、導体受容室内に開口部１７を介して電気的な導体９がはめ込み可能である。
【００１３】
実施例の図１ｂには、Ｈ形に形成された接続部本体１０が示してあり、一体成形部１５の中央にねじ孔１６が設けられている。さらに脚部の狭幅側に切欠き１９若しくは凹所を設けてあり、切欠きが両方の脚部間の結合領域の中央にピン２６を備えている。切欠き１９内に、圧接接続部２０が圧接接続部自体に設けられた孔２５をピン２６に係合させてはめ込まれて締め付けられる。導体受容室１２の内側の丸味の付けられた輪郭が導体９の円形の形状に適合されているのに対して、外側の輪郭は平面的である。一体成形部１５のねじ孔１６内には締め付けねじ３をねじ込むようになっており、締め付けねじが導体受容室の領域で被せはめられたプラスチックスリーブ４によって紛失しないように保持されている。
【００１４】
締め付けねじ３のねじ回し方向に応じて、プラスチックスリーブ４の端部が導体受容室１２内を上方若しくは下方へ移動させられる。締め付けねじの両側に設けられる両方の圧接接続部２０は、圧接接続部の側方縁部に一体的に成形された係止突起２４を切欠き１９内に係合させることによって、接続部本体（支持体）１０に係止されている。完成した導体接続部材１は絶縁性の支持ケーシング（図示せず）の適当な切欠き内にはめ込まれてよく、複数の導体接続部材を支持する場合には、切欠きが支持ケーシングに並べて形成されていてよい。
【００１５】
導体接続部材１と電気的な導体との接触のために、電気的な導体が開口部１７を介して導体受容室１２内に圧接接続部２０間の領域内へ押し込まれる。次いで締め付けねじ３が適当な工具を用いて圧接接続部に向けて、即ち電気的な導体に向けて回動させられて、電気的な導体が圧接接続部２０間で締め付けねじによって押圧され、従って、導体の被覆が両方の圧接接続部によって切り開かれ（切り込まれ）て、導体と圧接接続部との間の電気的な二重の接触が確実に生ぜしめられ、その結果、該接触を介して高い電流が導かれ得る。
【００１６】
図１ｃの断面図に示してあるように、電気的な導体９が締め付けねじ３によって２つの圧接接続部２０のスリット（切刃）内に押し込まれている。
【００１７】
図１ａに示す実施例に対する変化例として図２に示してある導体接続部材においては、２つの圧接接続部がブリッジ状の１つのウエブ２３によって互いに結合されて一体的な二重の１つの圧接接続部２１として形成されている。該圧接接続部はウエブの両側でＵ字形に曲げられて、導体接続部材の接続部本体１０の対応する切欠き１９内にはめ込まれている。
【００１８】
図３に示す導体接続部材は、締め付けねじ３に対して中心に配置された圧接接続部２２を備えており、該圧接接続部は接続部本体１０の材料から加工成形されている。
【００１９】
図４には、図３の実施例に対する変化例としての導体接続部材を示してあり、導体接続部材が締め付けねじ３に対して中心に配置された圧接接続部２０を備えているものの、該圧接接続部は別個の圧接接続部としてスリット１８を介して接続部本体１０内に差し込まれている。
【００２０】
図５には、図４の実施例に対する変化例としての導体接続部材が示してあり、この場合、導体接続部材の圧接接続部が締め付けねじ３に対して中心から外して配置されていて、同じく導体接続部材の接続部本体１０のスリット１８内に差し込まれている。
【００２１】
図６に示す導体接続部材においては、図１の実施例と同じく個別の２つの圧接接続部２０を設けてあり、この場合、締め付けねじ３が変更してある。導体受容室１２内に位置する締め付けねじ端部の下側に方形の圧力片５を設けてあり、圧力片が有利にはリベット状の取り付け部を用いて締め付け部材３に対して相対回動可能に締め付け部材の端部に取り付けられている。圧力片５は、圧力片の一部分と脚部１３の内壁との接触に基づき、締め付けねじの回動（ねじ込み）に左右されずに、垂直な移動運動を除いて、所定の状態を保っている。さらに圧力片５は、接続部本体１０の開口部１７に向いた側で下面に傾斜部を備えており、傾斜部が導体受容室１２内へ、ひいては圧接接続部２０への導体のはめ込みを容易にしている。さらに圧力片の、圧接接続部に向いた側に突起部６を一体成形してあり、突起部が圧接接続部２０内への導体の押し込みに伴って圧接接続部のスリット内に入り込み、これによって付加的に圧力片の回動を阻止する。一緒に回動しない圧力片５を使用することによってさらに、締め付けねじ３のねじ込み（回動）時の、導体の被覆に対する摩擦が避けられると共に、押圧力が導体の大きな面積に分配される。
【００２２】
図７に示す別の実施例の導体接続部材においては、締め付けねじ７が接触部本体（支持体）１１の拡大して形成された脚部１３のねじ孔１６内にねじ込まれて、圧力カバー８を圧接接続部２０間に配置された電気的な導体（図示せず）に向けて押し下げるようになっており、これによって圧力カバーが導体を圧接接続部内に押し込むようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図１ａ】本発明に基づく導体接続部材の実施例の斜視図。
【図１ｂ】本発明に基づく導体接続部材の接続部本体の斜視図。
【図１ｃ】図１ａの線１ｃ−１ｃに沿った断面図で、この場合、導体が結線されたされた状態で示してある。
【図２】導体接続部材の別の実施例の斜視図。
【図３】統合された圧接接続部を備えた導体接続部材の斜視図。
【図４】中心に配置された圧接接続部を備える導体接続部材の斜視図。
【図５】中心から外して配置された圧接接続部を備えた導体接続部材の斜視図。
【図６】圧力片を備えた締め付けねじを有する導体接続部材の斜視図。
【図７】圧力カバーを備えた導体接続部材の斜視図。
【符号の説明】
１ 導体接続部材、 ３ 締め付けねじ、 ４ プラスチックスリーブ、 ５圧力片、 ６ 突起部、 ７ 締め付けねじ、 ８ 圧力カバー、 ９ 導体、 １０ 接続部本体、 １２ 導体受容室、 １３，１４ 脚部、 １５ 一体成形部、 １６ ねじ孔、 ２０ 圧接接続部、 ２６ ピン

Claims (10)

1. 電気的な導体（９）の接続のための導体接続部材（１）であって、接続部本体（１０，１１）を有しており、接続部本体内にＵ字形の導体受容室（１２）が形成されており、接続部本体にねじ孔（１６）を設けてあり、ねじ孔内に締め付けねじ（３，７）がねじ込み可能であり、接続部本体が少なくとも１つの圧接接続部（２０）を備えており、導体受容室（１２）内にはめ込まれた導体（９）が、締め付けねじ（３，７）のねじ込みに際して締め付けねじによってさらに圧接接続部（２０）へ向かって導体受容室内に押圧され、圧接接続部（２０）が導体（９）の被覆を切り開いて導体（９）と電気的に接触するようになっているものにおいて、導体接続部材（１）が二重接続式の接続部として形成されており、一体の接続部本体（１０，１１）がＵ字形の相対する２つの導体受容室（１２）を備えており、導体受容室がそれぞれ導体（９）を受容するようになっており、ねじ孔（１６）が接続部本体（１０）の、導体受容室（１２）を被うように延びる一体成形部（１５）に設けられていることを特徴とする、電気的な導体の接続のための導体接続部材。
2. 圧接接続部（２０）が締め付けねじ（３）に対して同軸的に導体受容室（１２）内に配置されている請求項１記載の導体接続部材。
3. 圧接接続部（２０）が締め付けねじ（３）の側方で導体受容室（１２）内に配置されている請求項１記載の導体接続部材。
4. 圧接接続部（２０）が導体受容室（１２）の側方開口部に配置されている請求項１記載の導体接続部材。
5. ２つの圧接接続部を設けてあり、両方の圧接接続部が１つのウエブ（２３）によって互いに一体的に結合されていて、Ｕ字形に曲げられた二重圧接接続部（２１）として支持体（１０）の切欠き（１９）内に係止されている請求項１記載の導体接続部材。
6. 圧接接続部（２０）が長手方向縁部に一体成形された係止突起（２４）を備えており、係止突起が接続部本体（１０，１１）の切欠き（１９）内にはめ込まれており、かつ圧接接続部（２０）が、接続部本体（１０）に設けられたピン（２６）に対応して孔（２５）を備えており、接続部本体のピンが圧接接続部の孔に係合して圧接接続部を保持している請求項１から５のいずれか１項記載の導体接続部材。
7. 接続部本体（１０）が脚部（１３，１４）に長手方向の少なくとも１つのスリット（１８）を有しており、スリットを介して圧接接続部（２０）が導体受容室（１２）内にはめ込まれている請求項１から６のいずれか１項記載の導体接続部材。
8. 接続部本体（１０）と圧接接続部（２２）とが一体に形成されている前記請求項のいずれか１項記載の導体接続部材。
9. 締め付けねじ（３）が前側の端部に、導体受容室（１２）へ向けられて回転可能に保持された圧力片（５）を備えており、圧力片が側方へ突出する突起部（６）を有しており、突起部が圧接接続部（２０，２１）のスリット内に入り込むようになっている前記請求項のいずれか１項記載の導体接続部材。
10. 導体受容室（１２）を被うように延びる圧力カバー（８）が設けられており、接続部本体（１１）の脚部（１３）のねじ孔（１６）内に締め付けねじ（７）がねじ込まれるようになっており、締め付けねじ（７）を圧接接続部（２０）に向けてねじ込む際に圧力カバー（８）が導体（９）を圧接接続部（２０，２１，２２）内へ押圧するようになっている請求項１から８のいずれか１項記載の導体接続部材。

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