JP3551570B2 - 走査型露光装置及び露光方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路パターンが形成されたマスクを照明しながらマスク上の照明領域に対してマスクと感光性の基板とを同期して走査することによってその回路パターンを逐次感光性基板上に露光する走査型露光装置に関し、さらに詳細には、実際の露光の前に、マスクと基板との走査により形成されるマスクのパターン像の結像特性を正確に測定可能な走査型露光装置及び露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体集積回路や液晶基板の回路パターンをフォトリソグラフィー技術により半導体ウエハ上に形成するための装置として投影露光装置が使用されている。かかる投影露光装置は、照明系により均一にされた照明光をレチクル(マスク)に照射してレチクルパターン像を投影光学系を介して感光性基板上に結像する。この種の装置は、微細な回路パターンを形成するために、高精度な結像特性が要求され、さらに、基板上の同一領域に複数のパターンを重ね合わせて露光するために、露光処理する層と前回露光処理された層との間で高い重ね合わせ精度が要求される。このため、露光を実行する前に、投影光学系による結像特性を予め評価しておき、適正な結像特性が得られるように投影光学系のレンズエレメントを光軸方向に相対移動したり、レチクルと投影光学系の主点との間隔を変更する等の補正が行われてきた。投影光学系による結像特性を予め評価する方法として、実際の露光に先立ち、複数のマークが描かれたテストレチクルのパターンでウエハ上のフォトレジストを露光し、現像されたテストパターン像からマーク座標を観察してレチクル上のマーク座標とを比較する方法が従来より行われていた。しかしながら、かかる評価法は、予備的な露光及び現像工程を必要とするために時間と労力を要し、像を測定するための特別な装置も必要となるという欠点があった。このため、本出願人は、特開昭59−94032号において、感光基板が載置されるステージ上に光電センサを設けて、センサ出力から投影光学系を介して形成されるレチクルのテストパターンの位置情報を直接観察する方法を開示した。この方法によれば、装置の初期調整だけではなく、装置の経時変化や大気圧、温度等の外部環境の変化、結像光学系による照明光の吸収特性の変化、あるいはレチクルの照明条件(立体角等)等の装置条件の変化等で発生する結像特性の変化を簡単に観察することができ、観察結果に基づいて結像特性を補正することもできる。よって、近年の投影露光装置にはこの方法を実行するために結像光学系の結像特性を測定する機構が装備されている。
【0003】
図5に、かかる結像光学系の結像特性測定機構及び観測結果の一例を示す。図5(a) は投影光学系PLを介してレチクルR上のマークパターンを感光基板であるウエハW上に露光する装置の概略構造を示す図である。同図に示したように、ウエハステージWSTは、ウエハWが載置されるウエハホルダ5とは異なる場所に2次元の分解能をもつ光電センサ202を備える。光学系の結像特性が測定される間、光電センサ202が投影光学系PLの真下に位置し、ウエハWは投影光学系PLの露光領域外に位置するようにウエハステージWSTが位置づけられている。光電センサ202は、例えば、CCDあるいは撮像管であり2次元の画像を電気的に取り込むことができる。一般にこれらの光電センサ202の位置分解能は、投影露光装置の像の分解能より低く、直接光電センサ202上に結像させても十分な精度が得られない(このことは、CCD等はこれらの投影露光装置によって製造されることからも理解される)。このため、投影光学系PLによるレチクルRのテストパターンの像を、一旦、拡大光学系201により、100〜400倍程度に拡大した後、光電センサ202で受光している。図5(b) に光電センサ202で受光されたレチクルRのマークパターン(テスト用パターン)203を示す。この像から投影光学系PLによる結像特性を求めるには、例えば、走査線204方向の検出信号強度を測定し、図5(c) に示したような測定結果から線幅a、あるいはコントラストb、中心座標c等を知ることができる。さらに、これらの測定結果により投影光学系PLの収差(例えば、コマ収差、球面収差)あるいは焦点位置、倍率、ディストーション等を計算により求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような結像特性の測定法は、いわゆる、ステップアンドリピート方式に代表される一括露光方式(フル・フィールド方式)において用いられてきた。ところが、近年、レチクルのパターン領域の一部をスリット状あるいは円弧状に照明し、その照明領域に対してレチクルを走査するとともに、投影光学系に関してその照明領域と共役関係にある露光領域に対して感光基板をレチクルの走査と同期して走査することにより、レチクルのパターンを逐次感光基板上に露光する方式である、所謂スリットスキャン露光方式の露光装置が開発されている。このスリットスキャン露光方式では、レチクル上の照明領域が一括露光方式に比べて小さく、投影光学系のイメージフィールドの一部分しか露光に使用しないために投影像の歪み、照度の均一性の調整が容易であるという利点がある。また、半導体基板等の大面積化にともない露光面積の拡大が要求されているが、この方式では投影光学系自体を拡大したり投影光学系のイメージフィールドを拡大することなく、走査方向の露光面積を大きくできるという利点もある。
【0005】
しかしながら、このスリットスキャン露光方式では一括露光方式と異なり、一つの像を形成する間に照明領域上をレチクルが移動するため、一つの像でも結像光学系の異なる部分を通過してきた光線によって像が形成される。すなわち、照明領域に対するレチクルの走査により、レチクルパターン上のある点が照明領域を通過する間に、投影光学系の異なる部分を通じて感光基板上に結像される。これに対して、従来の結像特性の測定法では、結像光学系中の一定の光路を通じて結像させたレチクルのテストパターン像を光電変換素子で観察していた。従って、前記のように、結像光学系の連続した複数の部分を通過して像が形成されるスリットスキャン方式では、投影光学系の固定されたある領域だけからの結像特性を求めても、実際の露光における結像特性を反映していることにはならない(従来通り、結像光学系そのものの調整には静止像をみて調整することは考えられる)。具体的には、例えば、結像光学系の複数の部分を通じて形成された像のディストーションがそれぞれ異なれば、像がその分広がって露光されてコントラストが悪化する。
【0006】
また、上記結像光学系の問題だけではなく、レチクルと感光基板の走査速度の同期ずれ、レチクルの走査中のレチクルの回転誤差や上下移動も結像特性を悪化させる。さらに、走査動作による装置の振動によるレチクルと感光基板の位置関係のずれ等も結像特性を悪化させる。特に、投影露光装置では、基板の同一領域に複数のパターンを重ね合わせて露光するために、感光基板上に予め形成された重ね合わせ用アライメントマークを照明し、該マークからの反射光を受光してその位置や位置ずれを検出するためのアライメント系を備えている。このアライメント系の光軸と投影光学系の光軸との間隔を示すベースラインは、ウエハ上のアライメントマーク検出時にウエハステージ及びレチクルステージが静止された状態で測定されているが、実際の露光時にはレチクルパターンはウエハステージ及びレチクルステージが共に移動することによってウエハ上に投影露光されるため、静止時に測定されたベースラインと走査時に得られるベースラインとが異なってくる可能性がある。これらのことは、スリットスキャン露光方式の装置に特有の問題であり、従来の結像特性の測定のようにマスクステージを静止させたままでは測定できない。
【0007】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、実際の露光に前に、マスク上のマークパターン又はその投影像の位置若しくは位置ずれを正確に検出することができる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、実際の露光に前に、投影光学系の結像特性又はマスクのパターン像の結像状態を正確に測定できる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、実際の露光に前に、アライメント系のベースラインを正確に測定することができる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0010】
さらに本発明の別の目的は、実際の露光に前に、マスクと感光基板とを精度良く位置合わせすることができる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、実際の露光工程に先立ち、マスクと感光基板とがマスク上の照明領域に対して同期走査されている間の、マスク上のマークパターン又はその投影像の位置若しくは位置ずれ及び結像特性を正確に検出することができる走査型露光方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、上記走査露光方法において、かかるマークパターン又はその投影像の位置若しくは位置ずれから、マスクを照明領域に対して静止させた状態で求めた投影光学系の結像特性及びマスクパターンの結像状態を補正することができる走査型露光方法を提供することにある。
【0013】
本文中、用語「照明領域」とは、照明光が照射されることによって画定されるマスク(レチクル)上の領域をいい、通常、照明光学系に配置された視野絞り等によりその大きさは制限される。また、用語「露光領域」とは、照明光が投影光学系を通じて照射されることによって露光される感光基板上の領域をいい、露光領域は前記照明領域と投影光学系に関して共役関係(結像関係)にある。走査型露光装置においては、通常、上記照明領域に対して1次元方向にマスクが移動し且つそれに同期して感光基板が上記1次元方向と逆方向に上記露光領域に対して移動することによって走査が行われる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に従えば、マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するマスクステージと、前記マスク上のパターンの像を感光基板上に投影する投影光学系と、前記照明領域と前記投影光学系に関して共役な露光領域に対して前記感光基板を走査する基板ステージとを備えた走査型露光装置において、
前記基板ステージ上に受光部を備え且つ前記マスク上のマークパターンの像を光電検出する光電検出手段と、
前記照明領域に対して前記マークパターンを走査するのに同期して前記受光部を前記露光領域に対して走査している間に前記光電検出手段から出力される信号を合成する合成手段とを備え、
前記合成手段の出力に基づいて前記マークパターンの像の位置または位置ずれを検出することを特徴とする上記走査型露光装置が提供される。本発明の走査型露光装置は、基板ステージ上に光電検出手段の受光部を備えることにより、実際の走査露光の条件の下で、すなわち、マスク用ステージ及び基板用ステージをマスクと基板の走査のために移動するという動的な条件の下で、マスクのテスト用マークパターンの像を予め測定することができる。光電検出手段からの出力を合成するための手段を設けることにより、実際の露光において1回の走査の間に投影光学系の種々の部分を光が透過することによって形成されるマークパターンの像を合成画像として描くことができる。この合成画像より実際の走査露光により形成される像の位置や位置ずれを知ることができる。かかる位置ずれは、走査ためのステージの移動等により発生する位置ずれであり、従来の静的な結像特性の測定方法で得ることができない。
【0015】
上記走査型露光装置は、前記感光基板上のアライメントマークを照明し、該アライメントマークからの反射光を受光してその位置または位置ずれを検出するアライメント系をさらに備え、前記検出されたマークパターン像の位置と、前記アライメント系の光照射位置との差を前記アライメント系のベースラインとすることができる。本発明では、上記受光部により検出されたマスクのマークパターン像の位置とアライメント系光源の光照射位置との差をアライメント系のベースラインと規定することによって、重ね合わせ露光の際に、感光基板とマスクとのアライメントを一層正確に行うことができる。
【0016】
また、上記走査型露光装置は、前記マスク上の複数のマークパターンの各像の位置または位置ずれに基づいて、前記マスクのパターン像の位置と回転量の少なくとも一方を検出する検出手段をさらに備え、前記検出手段の検出結果を利用して前記マスクと前記感光基板とのアライメントを行うことができる。例えば、マスクの静止状態でのレチクル位置(マークパターン位置)及び回転量を検出するのではなく、実際の露光時にマスクステージが走査している状態でのレチクル位置を検出し、アライメントセンサによるウエハ位置の測定結果と、前記走査時のレチクル位置情報に基づいて重ね合わせを行う。さらにレチクルもしくはウエハを回転させて回転誤差をキャンセルする。これにより実露光時のレチクル位置との関係でウエハ位置を合わせることができる。さらに上記走査型露光装置は、前記マスク上の複数のマークパターンの各像の位置、または位置ずれに基づいて、前記投影光学系の結像特性を算出する演算手段をさらに備えることができる。
【0017】
本発明の第2の態様に従えば、マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するマスクステージと、前記マスク上のパターンの像を感光基板上に投影する投影光学系と、前記照明領域と前記投影光学系に関して共役な露光領域に対して前記感光基板を走査する基板ステージとを備えた走査型露光装置において、
前記基板ステージ上に受光部が配置され、前記マスク上のマークパターンの像を光電検出する光電検出手段と;
前記照明領域に対して前記マークパターンを走査するのに同期して前記受光部を前記露光領域に対して走査している間に前記光電検出手段から出力される信号を合成する合成手段と;
上記合成手段の出力に基づいて前記マークパターンの像の結像状態を算出する演算手段とを備えたことを特徴とする上記走査型露光装置が提供される。本発明の走査型露光装置は、基板ステージ上に光電検出手段の受光部を備えることにより、実際の走査露光の条件の下で、マスクのテスト用マークパターンの像を予め測定することができる。光電検出手段からの出力を合成するための手段を設けることにより、実際の露光において1回の走査の間に投影光学系の種々の部分を光が透過することによって形成されるマークパターンの像を合成画像として描くことができる。この合成画像を用いて、実際の走査露光により形成される像の結像特性、例えば、倍率やコントラスト等を計算により知ることができる。
【0018】
上記走査型露光装置は、前記演算手段の算出結果に応じて前記投影光学系の結像特性を補正するための補正手段を更に備えるが好ましい。補正手段は、前記マスクステージと前記基板ステージとの走査速度または走査方向を制御するステージコントローラにすることができる。このステージコントローラにより各ステージの移動速度を変更することにより最適な結像特性を得ることができる。
【0019】
本発明の走査露光装置において、光電検出手段は、前記受光部と実質的に共役な面に受光面が配置される撮像素子と、前記マークパターンの像を拡大して前記受光面上に結像する拡大光学系とから構成することができる。感光基板が露光動作により感光される時に走査の間に光のエネルギが感光剤に蓄積されて像を形成する機構と、撮像素子が光電検出により像を形成する機構は同様と考えることができるので、撮像素子を用いることにより実際の露光時に形成される像を予測できる。
【0020】
本発明の第3の態様に従えば、マスクを照明しながら、該マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するとともに、上記照明領域と投影光学系に関して共役な露光領域に対して感光基板を前記マスクの走査に同期して走査することにより上記マスクのパターンを投影光学系を介して感光基板上に露光する走査型露光方法において、
前記露光に先立って、前記感光基板の代わりに、前記マスクに形成されたマークパターンの像を検出する検出手段の受光部を、前記マスクの走査と同期して走査し、
前記走査の間に、前記検出手段から出力された信号を合成して、走査の間のマスクのマークパターン像の位置又は位置ずれを求めることを特徴とする前記走査型露光方法が提供される。上記マスクの照明領域に対して検出手段、例えば、撮像素子の受光部、とマスクとを同期して走査することにより、実際の走査露光、すなわちマスクステージ及び基板ステージが移動する動的な条件の下でマスクのテストパターンを結像させることができる。得られた像から、走査型露光方法を用いることによって発生する像の位置ずれを実際の露光に先立って知ることができる。
【0021】
上記走査型露光方法において、前記照明領域に対してマスクを固定した状態でマスクのマークパターンを照明しながら、前記露光領域における前記マークパターンの像を検出し、検出されたマークパターンの像位置に関する情報を、前記求められた走査の間のマスクのマークパターン像の位置または位置ずれにより補正することを、更に含むことが好ましい。図5に示したような従来の静的な条件で測定された像位置に関する情報を、マスクステージ及び基板ステージの移動が伴う走査露光の動的な条件で測定した位置または位置ずれで予め補正することができる。この補正された位置情報を用いて、実際の露光の前に結像特性等を予測し、露光の際に種々の方法により露光条件を補正することができる。
【0022】
本発明の第4の態様に従えば、マスクを照明しながら、該マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するとともに、上記照明領域と投影光学系に関して共役な露光領域に対して感光基板を前記マスクの走査に同期して走査することにより上記マスクのパターンを投影光学系を介して感光基板上に露光する走査型露光方法において、
前記露光に先立って、前記感光基板の代わりに、前記マスクに形成されたマークパターンの像を検出する検出手段の受光部を、前記マスクの走査と同期して走査し、前記走査の間に、前記検出手段から出力された信号を合成して、走査の間のマスクのマークパターン像を求め、得られたマークパターン像から投影光学系の結像特性を演算することを特徴とする前記走査型露光方法が提供される。この方法によると、実際の走査露光、すなわちマスクステージ及び基板ステージが移動する動的な条件の下でマスクのテストパターンを結像させて、その結像特性を予め求めることができる。これによりマスクステージ及びレチクルステージを静止した状態で求めた結像特性と実露光時の結像特性の差異を予め知ることができ、ステージ移動速度の調整等により動的な条件で測定された結像特性を補正することが可能となる。
【0023】
本発明の第5の態様に従えば、本発明の走査露光装置を用いてマイクロデバイスを製造する方法が提供される。これによりマイクロデバイスを高精度に製造することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明による走査型露光装置の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1に、レチクルRとウエハWとをレチクルRの照明領域に対して同期して走査しながら露光する走査型の投影露光装置の一例を示す。この投影露光装置は、光源及び照明光学系(共に図示しない)、レチクルRを走査方向に移動するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターン像をウエハW上に投影する投影光学系PL、ウエハWをレチクルRの走査と同期して移動するウエハステージWST、ウエハの位置合わせ用のアライメント系30〜35、結像特性を測定する光電センサ3から主に構成されている。光源及び照明光学系は、一般に、図1においてレチクルステージRSTの上方に配置されている。照明光源は、例えば、超高圧水銀ランプの輝線であるi線やg線、KrF,ArFエキシマレーザ光、あるいは金属蒸気レーザ光等の紫外域の光源が用いられる。照明光学系は均一な照度を達成するためのフライアイレンズ、光路を開閉するためのシャッター、照明領域を制限するための可変ブラインド及びリレーレンズ等により構成されており、光源及び照明光学系からの照明光ILで、回路パターン等が描かれたレチクルRをほぼ照度均一且つ所定の立体角で照明する。近年では、解像力を増すために、輪帯照明、あるいは、傾斜照明等が可能な構成になっている。
【0025】
レチクルステージRSTは、投影光学系PLの上方に設置され、リニアモータ等で構成されたレチクル駆動部(図示しない)により、走査方向(X方向)に所定の走査速度で移動可能である。レチクルステージRSTは、そのX方向端部に、干渉計7からのレーザビームを反射する移動鏡6を固定して備え、レチクルステージRSTの走査方向の位置は干渉計7によって例えば0.01μm単位で測定される。干渉計7による測定結果は、ステージコントローラ14に送られ、常時レチクルステージRSTの高精度な位置決めが行われる。レチクルステージRST上には、レチクルホルダ(図示しない)が設置され、レチクルRがレチクルホルダ上に真空チャック等により吸着されて載置されている。また、レチクルステージRSTの上方には、光軸AXを挟んで対向するレチクルアライメント系(図示しない)が装着され、このレチクルアライメント系によりレチクルRに形成された基準マークを観測して、レチクルRが所定の基準位置に精度良く位置決められるようにレチクルステージRSTの初期位置を決定する。従って、移動鏡6と干渉計7によりレチクルステージRSTの位置を測定するだけでレチクルRの位置を十分高精度に調整できる。レチクルステージRSTの駆動部は、ステージコントローラ14により制御される。
【0026】
レチクルステージRST上では、レチクルRはレチクルRの走査方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)を長手とする長方形(スリット状)の照明領域で照明される。この照明領域は、レチクルステージの上方であって且つレチクルRと共役な面またはその近傍に配置された視野絞り(図示しない)により画定される。
【0027】
レチクルRを通過した照明光は投影光学系PLに入射し、投影光学系PLによるレチクルRの回路パターン像が感光剤(フォトレジスト)が塗布されたウエハW上に形成される。投影光学系PLには、複数のレンズエレメントが光軸AXを共通の光軸とするように収容されている。投影光学系PLは、その外周部上であって光軸方向の中央部にフランジ部24を備え、フランジ部24により露光装置本体の架台に固定される。
【0028】
ウエハW上に投影されるレチクルRのパターン像の投影倍率は投影光学系PLのレンズエレメントの倍率及び配置により決定され、通常、投影光学系PLにより1/5または1/4に縮小される。
【0029】
レチクルR上のスリット状の照明領域(中心は光軸AXにほぼ一致)内のレチクルパターンは、投影光学系PLを介してウエハW上に投影される。ウエハWは投影光学系PLを介してレチクルRとは倒立像関係にあるため、レチクルRが露光時に−X方向(または+X方向)に速度Vrで走査されると、ウエハWはレチクルRとは逆の+X方向(または−X方向)にレチクルRに同期して速度Vwで走査され、ウエハW上のショット領域の全面にレチクルRのパターンが逐次露光される。走査速度の比(Vr/Vw)は前述の投影光学系PLの縮小倍率で決定される。
【0030】
ウエハWは、ウエハステージWST上に保持されたウエハホルダ5に真空吸着されている。ウエハステージWSTは前述の走査方向(X方向)の移動のみならず、ウエハ上の複数のショット領域をそれぞれ走査露光できるように走査方向と垂直な方向(Y方向)にも移動可能に構成されており、ウエハW上の各ショット領域を走査する動作と、次のショット領域の露光開始位置まで移動する動作を繰り返す。ウエハステージWSTは投影光学系PLの光軸AX方向(Z方向)にも微動が可能である。また、ウエハステージWSTは、図示しないレベリングステージにより光軸AXに対して傾斜することも可能である。ウエハステージWSTは、モータ等のウエハステージ駆動部(図示しない)によりウエハステージWSTは駆動され、前記比(Vr/Vw)に従って移動速度が調節され、レチクルステージRSTと同期されて移動する。ウエハステージWSTの端部には移動鏡8が固定され、干渉計9からのレーザビームを移動鏡8により反射し、反射光を干渉計9によって検出することによってウエハステージWSTのXY平面内での座標位置が常時モニタされる。移動鏡8からの反射光は干渉計9により、例えば0.01μm程度の分解能で検出される。ウエハステージ駆動部はステージコントローラ14により制御されて、レチクルステージRSTと同期するようにウエハステージWSTが駆動される。各ステージの走査及びそれに伴う投影光学系PLの調整等はステージコントローラ14で一括して管理される。
【0031】
図1に示した走査型露光装置は、ウエハW上にすでに露光されたパターンに対して、新たなパターンを精度よく重ねて露光するためのウエハアライメント系を備える。このウエハアライメント系として、投影光学系PLとは別に設けられた光学式ウエハアライメント系30〜35によりウエハW上の位置合わせ用のマークの位置を読取、重ね合わせ露光を行う位置を決定する。光源30として、ウエハW上のフォトレジスト膜に対して非感光性の波長の光を発生するレーザ、ハロゲンランプ等が用いられる。光源30から照射された照明光は、ハーフミラー33、ミラー34を介して、ミラー35によりウエハW上の位置合わせマークを照明する。ウエハWの位置合わせマークからの反射光あるいは回折光は、照明光と逆の経路を通り、ハーフミラー33を通って受光部31において光電変換される。受光部31からの信号は、アンプ31で十分な出力に増幅されて、図示しないアライメント制御系に信号が送られる。投影光学系PLの光軸AXとアライメント系の光軸AX2は、出来るだけ近くに設定され、一定の間隔で隔てられている。この間隔を安定に維持することにより、重ね合わせ露光が行われる際に、レチクルRのパターンとウエハWのショット領域との正確な位置関係が保たれる。上記光軸AXと光軸AX2とは通常アライメント系のベースラインと呼ばれるが、本発明においては、後述するようにレチクルR上に形成されているマークを基準にしてベースラインを規定する。
【0032】
図1に示した投影露光装置は、投影光学系PLの像面に斜め方向から光線を照射する投光器10とその像面からの反射光を受光する受光器11より構成される位置センサ(ウエハWのZ方向センサ)を備える。この位置センサは、例えば投光器10より、スリット像あるいはピンホール像をウエハWに投射し、その反射光をスリットあるいはピンホールを介して受光するように構成することができ、投影光学系PLの最適像面にウエハWが位置したときに、スリットもしくはピンホールに反射光が入射するように調整される。これらのセンサを複数備えることによって、ウエハWの面の傾きを検出した後、投影光学系PLの最適像面にウエハW上の露光領域全域が一致するように前述のレベリングステージによりウエハステージWSTを傾けて補正を行うことも可能である。投光器から照射される光は感光剤を感光させない波長の光が選ばれる。
【0033】
ここで、図2を用いて、上記走査露光装置の走査露光動作について説明する。図2(a) は、レチクルRを上方より見た概念図で、投影光学系PLのイメージフィールドを示す円内に、前記の長方形の照明領域IAが画定されている。この照明領域IAに対してレチクルRが走査方向(X方向)に移動することにより、レチクルR上のパターンが順次照明されて、一回の走査によりレチクルRの走査方向に存在するすべてのパターンが照明される。照明時間は、各パターンが照明領域IAを横切るのに要する時間、すなわちパターンの大きさと走査速度により決定される。走査速度は感光剤の感度、照明光の強度等から決定される。図2(a) は、レチクルRが速度VrでX方向に走査されている場合を示す。照明領域IA内で照射されているレチクルパターンは、ウエハW上の露光領域EAに投影光学系PLの縮小倍率で結像される。この様子をウエハWを上方より見た図2(b) に示した。前述のようにウエハWの速度VwはレチクルRの速度Vr×投影光学系PLの縮小倍率で決定され、ウエハW上の像はレチクルRのパターンと鏡像関係にあるためウエハWはレチクルRと反対の−X方向に移動する。そして、レチクルRの1回の走査が終わると、ウエハW上にレチクルR全面の像が領域SHに形成される。この操作を繰り返すことにより、ウエハW上のほぼ全面にレチクルRのパターンを複数個露光する、いわゆるステップアンドスキャン露光を行う。
【0034】
図1中、ウエハステージWST上には、ウエハホルダ5と異なる位置に結像測定用のガラス板1がウエハWの上面とほぼ一致する高さで設置されている。ガラス板1は、Z方向の位置センサ(10,11)及びウエハステージWSTにより、ガラス板1の上面が投影光学系PLの像面と一致するように位置調整される。ガラス板1の下方であってウエハステージWST内部には拡大光学系2及び光電センサ3が設置されている。本発明の露光方法に従えば、実際のウエハWの露光が行われる前に、ウエハステージWSTの移動によりガラス板1が投影光学系PLの真下に位置づけられて結像特性の測定が行われる。投影光学系PLを通過した光線は、ガラス板1上で一旦結像した後、拡大光学系2を介して光電センサ3の受光面に再度結像する。光電センサ3の受光面ではガラス板1に形成された像が拡大光学系2の倍率で拡大されて結像する。拡大光学系2を構成する再上部のレンズを投影光学系PLの結像面に位置づけることにより、ガラス板1を省略することもできる。ここで、拡大光学系2に収差があると、光電センサ3の受光面に形成された像の歪み等が投影光学系PLの収差によるものか拡大光学系3の収差によるものか区別がつかなくなるので、拡大光学系2には極めて収差の少ない光学系を用いなければならない。上記の拡大光学系2及び光電センサ3よりなる結像特性測定系の構成は、図5に示したような従来の静的な結像特性測定系と同様な構成であり、拡大光学系2の倍率、光電センサ3の種類も全く同一のものを用いることができる。このため、投影光学系PLの静止像の測定は、従来通り露光領域EAの任意の場所に光電センサ3を移動した後、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTを静止したままで測定すればよい。光電センサ3の画像信号は、画像処理系4に取り込まれて処理される。その処理された画像データは演算器12に送られて、結像特性が演算される。このように静止状態での結像特性、すなわち、レチクルR及びウエハWが走査されていない状態での結像特性を、実際の露光に先立って最適に調整しておくことは走査型露光装置においても必要であり、演算で求めた結像特性に対して適当な補正手段を用いて補正しておくことが望ましい。例えば、演算で求めた倍率が目標とする倍率からずれていると、走査してできた像の非走査方向の倍率ずれを生じることになり、走査方向の像質の劣化になる。このため、例えば、レチクルRと投影光学系PLの光路長を変更したり、投影光学系PLのレンズエレメントの一部を光軸AX方向に駆動したり、光軸AXに対して傾斜させたりして倍率やディストーションの補正を行う公知の方法を用いることができる。また、焦点位置のずれ、像面の傾斜等はZ方向の位置センサ(10,11)にオフセットを与えて補正を行う。本発明はこの静止状態の結像特性は最適化されていることを前提にして走査露光が行われている間の結像特性を測定する方法と補正法を提供する。また、本発明では、後述するように、レチクルR及びウエハステージWSTの走査の間に測定された結像特性の測定から得られたレチクルRのマーク位置や結像特性に関する情報を用いて、レチクルR及びウエハステージWSTが静止状態で測定されたレチクルRのマーク位置や結像特性を予め補正することもできる。
【0035】
次に、図1に示した走査型露光装置を用いて、本発明の走査露光方法の一工程である走査露光における結像特性の測定法について説明する。レチクルRとして、複数のマークによりテストパターンが描かれた専用のテストレチクルもしくは、図4に示したような製造用のレチクルの周辺部にテスト用のマークを複数含むレチクルパターンを使用できる。あるいは、レチクルステージRST上に設置した、専用の結像特性測定用パターンでもよい。レチクルRの走行速度や傾斜がレチクルステージRST上の位置により異なるときは、レチクルステージRSTのほぼ全面で測定可能なテストレチクルが有利である。しかし、かかる専用のレチクルRを用いるとレチクル交換操作が煩雑となるため、適宜、レチクルを使い分けるのが望ましい。本発明では図4に示したような、回路パターン製造用のレチクルRであって、レチクルパターン領域40の外側の対向する2辺にそれぞれ4つテスト用のマークM1 〜M8 を含むレチクルパターンを使用した。
【0036】
結像特性測定時にはウエハステージWSTを移動して、レチクルR上のテスト用マークを光電センサ3上に結像させる。そして、実際の露光時と同じ走査速度で、レチクルRと光電センサ3を同期走査してレチクルRのテスト用マークの像を、画像データとして画像処理系4に取り込む。この走査の間に光電センサ3が露光領域EA(図2参照)を通過する。画像処理系4は得られた画像データから次々に各画素の出力を足し合わせる。走査が終了すると、露光領域EAを光電センサが通過するする間に信号が加算されてできた一つの像が形成される。この像が走査露光によってウエハW上に形成される像に相当する。この画像取り込みの様子を図3を用いて説明する。図3(a) は、光電センサ3からの1回ごとの出力波形を示している。光電センサ3が2次元センサの場合、出力はセンサ上の位置座標としてXYの関数で表されるが、説明を簡単にするためX成分のみを示した。ここで、光電センサ3の基準点が、例えば、投影光学系PLの光軸AX上に位置したときのレーザ干渉計8によるウエハステージの座標位置を求めておけば、光電センサ3上の座標X,Yはウエハステージの位置座標と対応させることができ、光電センサ3で検出されるレチクルRのマークの結像位置についてもウエハステージの位置座標系により表すことができる。
【0037】
図3(a) 中、nは、レチクルRのテストマークM1 を走査している間に、光電センサ3にマークM1 の結像データが取り込まれる順番を示している。理想的には、照明領域IA内をかかるマークが通過している間、いつデータを取り込んでも、露光領域EAの一定の場所に同じ投影像が形成されるはずであり、同じ像の重ね合わせとして最終的な像が形成されるべきである。ところが、前記のように、レチクルRと光電センサ3(実際の露光ではウエハW)を走査しながらマークの像を光電センサ3上に形成するために、マークが照明領域IAを通過する間に、マークM1 の像を形成することになる光線は、投影光学系PLの異なる部分を連続的に通過してくる。従って、投影光学系PLに収差が存在することにより像にディストーションが発生し、マークの結像位置が変化する。また、走査方向に関して、一回の走査の間にレチクルステージRSTとウエハステージWSTの同期ずれが生じると、マークの結像位置が変化することになる。この他にも、走査による装置全体の振動によりレチクルRとウエハステージWSTの位置関係が変化して結像位置の変化を生じることになる。
【0038】
上記の原因により、図3(a) に示したように、マークの画像データを取り込む毎にマークM1 の結像位置にずれが生じる。図3(a) において、第2回目(n=2)に取り込んだマークの画像の中心位置は、第1回目に取り込んだマークの画像の中心位置から+Δx’だけずれており、第3回目(n=1)に取り込んだマークM1 の画像の中心位置は第1回目に取り込んだマークの画像の中心位置から+Δx”だけずれている。また、それぞれのマーク像の形も投影光学系PLの光線通過位置による差、あるいは、ZセンサによるウエハステージWSTの最適像面に対する追従制御誤差、あるいは、位置画面を取り込む間に上記のように結像位置ずれによる像の劣化等により変化する。図3(b) は、光電センサ3がデータをm回取り込んだ後の出力画像(n=1〜m)を加算したものである。上記の影響のため、各々の画像より鈍った波形になっており、特に、所定のレベルでスライスして得られた線幅lは個々の画像の信号幅よりも広くなっている。
【0039】
ここで、個々の出力画像を合成して得られた像(図3(b) )の中心位置X0 が得られる。一方、レチクルR上のマークM1 の位置座標及び投影光学系PLの倍率より、マークM1 が光電センサ3上で結像されるべき位置(設計値)X01を計算により求めることができる。従って、ΔX=X0 −X01がレチクルR及び光電センサ3(実際の露光ではウエハW)の走査を含めた種々の原因で生じるレチクルRのマークM1 のX方向の結像位置ずれ(設計値と実露光位置の差)を示すことになる。
【0040】
上記のようにして得られたレチクルRの各マークの1次元または2次元の結像位置からウエハアライメント系のベースラインを求める方法を説明する。アライメント系の光源30から照射された光を光電センサ3により検出して照射位置をウエハステージWSTの座標系により求めておく。そして光電センサ3で求められた特定のマークのウエハステージWSTの座標系での結像位置とアライメント用光源30の照射位置とのX方向及びY方向の間隔をそれぞれアライメント系のベースラインとして規定することができる。あるいは、ガラス板1上にアライメント系(アライメントセンサ)が検出可能な基準マークを入れておき、その基準マーク位置とレチクルRの特定のマーク位置からベースラインを規定してもよい。このベースラインの値を記憶しておき、実際の露光(重ね合わせ露光)の際に、ウエハWのアライメントマークをウエハアライメント系30〜35で検出して、上記記憶されたベースラインの値を用いてウエハWとレチクルRとの相対位置を調整することができる。このようにアライメント系のベースラインを規定することによって、レチクルRのマークを基準として重ね合わせ露光されるウエハWの位置を正確に決定することができる。しかも、走査の間に生じるレチクルRとウエハWの相対的な位置ずれを取り込んだ形でベースラインを求めることができるので、走査型露光における重ね合わせ精度を向上できる。
【0041】
次に、前記のようにして得られたレチクルRの各マークの1次元または2次元の結像位置から走査露光における投影光学系PLの動的な結像特性を求める方法を説明する。画像処理系4からは、図3(b) に示したような合成像の出力が各マークM1 〜M8 について演算器12に送られる。演算器12において、各M1 〜M8 に関する合成像の出力より結像特性を計算する。例えば、結像特性として像のコントラストを求めるとき、図3(b) のように検出された各マークの出力を適当なスライスレベルでスライスしてそれぞれの線幅lを求めてそれらを比較することで判定することができる。あるいは、各マークの出力波形の両端のエッジの立ち上がりの角度により求めることもできる。
【0042】
結像特性として像倍率を求めるには次のような方法を採用することができる。レチクルR上の複数のマーク、例えば、マークM1 とM5 の結像位置X1 とX5 を光電センサ3のX座標系においてそれぞれ検出し、それらの結像位置からウエハステージWSTでのX座標系に変換し、そのウエハステージWSTの座標系におけるX1 とX5 との間隔とレチクルR上でのマークM1 とM5 のX方向の間隔から倍率を算出することができる。
【0043】
また、結像特性としてディストーションを求めるには次のような方法を採用することができる。例えば、レチクルRのパターン領域40内の比較的内側と比較的外側に2点の組A1 ,A2 及びB1 ,B2 をそれらの間隔A1 A2 と間隔B1 B2 が等しくなるように選び、それらの結像位置を上記と同様にして光電センサ3により検出して、結像位置をウエハステージWSTの座標系にて求める。次いで、ウエハステージWSTの座標系における2点の組の結像位置間隔A1 A2 ’と間隔B1 B2 ’をそれぞれ求めて、前記レチクルR上での間隔との差(A1 A2 ’−A1 ,A2 )及び(B1 B2 ’−B1 ,B2 )をそれぞれ算出して倍率を考慮して比較することによりディストーションを求めることができる。
【0044】
また、上記のようなレチクルRのマークの結像位置の測定から、レチクルRの走査により生じる、レチクルRのレチクルステージRST上での回転量を求めることができる。この場合、レチクルRのマークのうち、例えば、マークM1 とM5 の光電センサ3上でのY方向の結像位置Y1 とY5 を上記と同様にして検出する。結像位置Y1 とY5 に対応するウエハステージWSTの座標Y1 ’とY5 ’をそれぞれ求めて差ΔY’を求めることによってレチクルRのパターンがY方向にどの程度ずれて結像されるかがわかる。また、このΔY’とM1 及びM5 のX方向距離等からレチクルRの回転量θを算出することができる。
【0045】
さらに、レチクルRのパターン全体の位置ずれを以下のようにして求めることもできる。例えば、投影光学系PLの光軸上にレチクルRの中心が位置するようにレチクルRをレチクルステージRST上に配置して、上記のようにして光電センサ3により各マークの2次元的な結像位置を求める。次いで、各マークの結像位置をウエハステージ座標系に変換した後、前記センサ3上の基準点(ウエハステージ座標系)と各マークの結像位置(ウエハステージ座標系)との距離をそれぞれ求める。そして、それらの距離と、レチクルRの中心からのレチクルRの各マークM1 〜M8 の距離L1 〜L8 とを倍率を考慮して比較することによって、レチクルRの走査におけるレチクルRのパターンのオフセット量がわかる。この場合、一つのマークについてレチクルRの中心からの距離と、その結像位置と基準点の距離とを比較してもレチクルRのパターンのオフセット量は求められるが、再現性等の点から8つのマークM1 〜M8 についてそれぞれ距離の差を求めて平均値よりオフセット量を算出する方が望ましい。
【0046】
以上により走査露光により形成される像の結像特性を求めることができる。結像特性が所望の精度で得られないとき、補正を行うことが考えられる。ただし、前提として、ステージが静止している状態で測定された結像特性(静止像の結像特性)は最適に調整されているため、これ以上の調整は困難である。この段階での調整法として、走査露光によって悪化するレチクルRとウエハWの同期ずれ、振動等の軽減することが考えられる。一般に走査速度を落とすと、制御系の負荷が減るため、同期精度は向上する。また、振動も低減すると考えられる。このため、前記のようにして求められたマークの結像位置の位置ずれ等において所望の精度が達成されないとき、ステージコントローラ14に信号を送り、走査速度を低下する方法が考えられる。走査速度を低下すると、製品の生産性(スループット)が低下するため、所望の精度が得られる範囲内で速度を低下するのが最適である。このため、走査速度を変化させて結像特性を測定して最適速度を選ぶこともできる。前記のように走査速度は感光剤の感度で決まるため、速度に応じて照明光の照度を調節するか、照明領域IAの走査方向の幅を変える等の対策も必要である。
【0047】
前記の方法は、次々と画像処理系4の内部で像のデータを加算したが、一旦全てのデータをメモリに蓄えて、その後、加算して像の合成を行う方法も考えられる。この方法によれば、合成後でも各データがメモリ中に残っているため、精度が良くないとき、露光領域EAのどの部分で良くないか解析することが可能という利点がある。また、前記の方法では、演算によって画像データを加算したが、光電センサ3おいて加算する方法も考えられる。照明光の強度をフィルター等で減光して、一回の走査でセンサ3に画像が蓄積されるようにすることによって、一度に走査の間の合計の光電出力を得ることができる。この方法では演算する必要がないため回路構成が簡単になる。
【0048】
また、前記の方法は光電センサ3の画素を基準に加算していったが、装置の振動等でレチクルステージRSTと光電センサ3の位置関係が変化すると測定誤差を生じる。このため、ガラス板1に指標もしくは枠をつけて、光電センサ3で検出される指標もしくは枠の検出位置が一定になるように加算を行えば、上記のような不都合はなくなる。この指標が、前述のベースライン測定時のアライメントセンサで検出される基準マークと共通であれば都合がよい。
【0049】
また、上記方法で焦点位置を求めるとき、ウエハステージWSTのZ方向の位置を変えながら測定を繰り返すのが通常行われる方法であるが、拡大光学系2の光軸方向の複数の位置で受光できるように、ハーフミラー等で分岐して複数の光電センサで受光する方法も考えられる。また、複数の光電センサ3と拡大光学系2をウエハステージWST上に配置して露光領域EAの複数の測定点で一度に測定を行うという方法も考えられる。この方法によれば、一度の走査で複数点の測定ができるという利点がある。また、非走査方向の各光電センサ間の距離を予め厳密に測定しておけば、非走査方向のディストーションの測定精度が干渉計9の測定誤差によらず精度よく測定ができるという利点もある。
【0050】
以上説明してきた実施例の方法はウエハステージWST内部に光電センサ3を設けたが、光電センサの発熱による不具合、あるいはウエハステージWSTの重量増大による不具合を回避するために、受光部(例えば、光ファイバの入射端面)のみをウエハステージWST上に設置しておき、受光された光をイメージファイバ等で画像をウエハステージWST外に設置した光電センサに送ることもできる。また、ファイバー等でウエハステージWSTに照明光を導いて、ウエハステージWSTよりテストパターンを発光させ、レチクルステージRST上の光電センサで受光することも可能である。
【0051】
本発明は、前記のように2次元あるいは1次元のいずれの分解能を有する光電センサを使用する場合に可能である。通常、コントラスト、ディストーション等はXY方向の複数線(ライン・アンド・スペース)もしくは、単独線(孤立線)で測定するため、1次元センサの場合は、X方向とY方向の2方向にセンサを配置すればよく、2次元センサの場合もXY方向に分解能を持つように配置し、データを選択することにより、X及びY成分のデータ処理を実施できる。
【0052】
上記実施例の投影露光装置は、半導体製造用の投影光学系PLを使用していたが、本発明は投影光学系を使用する走査型露光装置以外の走査型露光装置、例えばミラー光学系を使用する走査型露光装置に対しても同様に有効である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の走査型露光装置は、走査露光の動的な条件、すなわちマスクステージ及び基板ステージが移動している状態での像位置に関する情報や結像特性を、実際の露光の前に、計測及び演算することができる機構を備えているので、走査型露光装置に独特の原因で発生する像位置のずれや結像特性の誤差等を予め知ることができ、それにより、結像特性を補正するように露光条件を変更することができる。本発明の走査露光方法は、走査露光の動的な条件の下での像位置に関する情報や結像特性を、実際の露光の前に、計測及び演算しているので、走査露光方式に独特の原因で発生する像位置のずれや結像特性の誤差等を予め知ることができ、それにより、結像特性を補正するように露光条件を変更することができる。また、静的な条件で測定された像位置に関する情報や結像特性を、上記動的な条件で測定した位置ずれや結像特性に基づいて予め補正することにより、走査露光時の結像特性を予め一層正確に求めることができる。従って、本発明の走査型露光装置及び走査露光方法を用いることによって、一層高精度且つ高効率で半導体素子や液晶素子等のマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査の間の結像特性を予め測定することができる機構を含む本発明の走査型露光装置の構成の概要を示す。
【図2】実施例の走査型露光装置による走査露光方法を説明する図であり、図2(a) は照明領域IAに対してレチクルRが走査される様子を示し、図2(b) は露光領域EAに対してウエハWがレチクルRの走査方向と逆方向に走査される様子を示す図である。
【図3】実施例において、走査の間に光電センサに取り込まれたレチクルRのテストマークの検出画像を示す図であり、図3(a)は取り込み回数nに対する各画像の変化を示し、図3(b)はm回取り込んだ場合に各画像信号を加算して得られた合成画像を示す。
【図4】実施例で用いたテストマークM1 〜M8 を含むレチクルの平面図である。
【図5】結像特性の測定系を備える従来の投影露光装置の構成の概要を示す図である。
【符号の説明】
R レチクル、
W ウエハ
PL 投影光学系
IA 照明領域
EA 露光領域
RST レチクルステージ
WST ウエハステージ
1 ガラス板
2 拡大光学系
3 光電センサ
4 画像処理系
5 ウエハホルダ
7 レーザ干渉計
10 投光器
12 演算器
14 ステージコントローラ
30 アライメント系光源
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路パターンが形成されたマスクを照明しながらマスク上の照明領域に対してマスクと感光性の基板とを同期して走査することによってその回路パターンを逐次感光性基板上に露光する走査型露光装置に関し、さらに詳細には、実際の露光の前に、マスクと基板との走査により形成されるマスクのパターン像の結像特性を正確に測定可能な走査型露光装置及び露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体集積回路や液晶基板の回路パターンをフォトリソグラフィー技術により半導体ウエハ上に形成するための装置として投影露光装置が使用されている。かかる投影露光装置は、照明系により均一にされた照明光をレチクル(マスク)に照射してレチクルパターン像を投影光学系を介して感光性基板上に結像する。この種の装置は、微細な回路パターンを形成するために、高精度な結像特性が要求され、さらに、基板上の同一領域に複数のパターンを重ね合わせて露光するために、露光処理する層と前回露光処理された層との間で高い重ね合わせ精度が要求される。このため、露光を実行する前に、投影光学系による結像特性を予め評価しておき、適正な結像特性が得られるように投影光学系のレンズエレメントを光軸方向に相対移動したり、レチクルと投影光学系の主点との間隔を変更する等の補正が行われてきた。投影光学系による結像特性を予め評価する方法として、実際の露光に先立ち、複数のマークが描かれたテストレチクルのパターンでウエハ上のフォトレジストを露光し、現像されたテストパターン像からマーク座標を観察してレチクル上のマーク座標とを比較する方法が従来より行われていた。しかしながら、かかる評価法は、予備的な露光及び現像工程を必要とするために時間と労力を要し、像を測定するための特別な装置も必要となるという欠点があった。このため、本出願人は、特開昭59−94032号において、感光基板が載置されるステージ上に光電センサを設けて、センサ出力から投影光学系を介して形成されるレチクルのテストパターンの位置情報を直接観察する方法を開示した。この方法によれば、装置の初期調整だけではなく、装置の経時変化や大気圧、温度等の外部環境の変化、結像光学系による照明光の吸収特性の変化、あるいはレチクルの照明条件(立体角等)等の装置条件の変化等で発生する結像特性の変化を簡単に観察することができ、観察結果に基づいて結像特性を補正することもできる。よって、近年の投影露光装置にはこの方法を実行するために結像光学系の結像特性を測定する機構が装備されている。
【0003】
図5に、かかる結像光学系の結像特性測定機構及び観測結果の一例を示す。図5(a) は投影光学系PLを介してレチクルR上のマークパターンを感光基板であるウエハW上に露光する装置の概略構造を示す図である。同図に示したように、ウエハステージWSTは、ウエハWが載置されるウエハホルダ5とは異なる場所に2次元の分解能をもつ光電センサ202を備える。光学系の結像特性が測定される間、光電センサ202が投影光学系PLの真下に位置し、ウエハWは投影光学系PLの露光領域外に位置するようにウエハステージWSTが位置づけられている。光電センサ202は、例えば、CCDあるいは撮像管であり2次元の画像を電気的に取り込むことができる。一般にこれらの光電センサ202の位置分解能は、投影露光装置の像の分解能より低く、直接光電センサ202上に結像させても十分な精度が得られない(このことは、CCD等はこれらの投影露光装置によって製造されることからも理解される)。このため、投影光学系PLによるレチクルRのテストパターンの像を、一旦、拡大光学系201により、100〜400倍程度に拡大した後、光電センサ202で受光している。図5(b) に光電センサ202で受光されたレチクルRのマークパターン(テスト用パターン)203を示す。この像から投影光学系PLによる結像特性を求めるには、例えば、走査線204方向の検出信号強度を測定し、図5(c) に示したような測定結果から線幅a、あるいはコントラストb、中心座標c等を知ることができる。さらに、これらの測定結果により投影光学系PLの収差(例えば、コマ収差、球面収差)あるいは焦点位置、倍率、ディストーション等を計算により求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような結像特性の測定法は、いわゆる、ステップアンドリピート方式に代表される一括露光方式(フル・フィールド方式)において用いられてきた。ところが、近年、レチクルのパターン領域の一部をスリット状あるいは円弧状に照明し、その照明領域に対してレチクルを走査するとともに、投影光学系に関してその照明領域と共役関係にある露光領域に対して感光基板をレチクルの走査と同期して走査することにより、レチクルのパターンを逐次感光基板上に露光する方式である、所謂スリットスキャン露光方式の露光装置が開発されている。このスリットスキャン露光方式では、レチクル上の照明領域が一括露光方式に比べて小さく、投影光学系のイメージフィールドの一部分しか露光に使用しないために投影像の歪み、照度の均一性の調整が容易であるという利点がある。また、半導体基板等の大面積化にともない露光面積の拡大が要求されているが、この方式では投影光学系自体を拡大したり投影光学系のイメージフィールドを拡大することなく、走査方向の露光面積を大きくできるという利点もある。
【0005】
しかしながら、このスリットスキャン露光方式では一括露光方式と異なり、一つの像を形成する間に照明領域上をレチクルが移動するため、一つの像でも結像光学系の異なる部分を通過してきた光線によって像が形成される。すなわち、照明領域に対するレチクルの走査により、レチクルパターン上のある点が照明領域を通過する間に、投影光学系の異なる部分を通じて感光基板上に結像される。これに対して、従来の結像特性の測定法では、結像光学系中の一定の光路を通じて結像させたレチクルのテストパターン像を光電変換素子で観察していた。従って、前記のように、結像光学系の連続した複数の部分を通過して像が形成されるスリットスキャン方式では、投影光学系の固定されたある領域だけからの結像特性を求めても、実際の露光における結像特性を反映していることにはならない(従来通り、結像光学系そのものの調整には静止像をみて調整することは考えられる)。具体的には、例えば、結像光学系の複数の部分を通じて形成された像のディストーションがそれぞれ異なれば、像がその分広がって露光されてコントラストが悪化する。
【0006】
また、上記結像光学系の問題だけではなく、レチクルと感光基板の走査速度の同期ずれ、レチクルの走査中のレチクルの回転誤差や上下移動も結像特性を悪化させる。さらに、走査動作による装置の振動によるレチクルと感光基板の位置関係のずれ等も結像特性を悪化させる。特に、投影露光装置では、基板の同一領域に複数のパターンを重ね合わせて露光するために、感光基板上に予め形成された重ね合わせ用アライメントマークを照明し、該マークからの反射光を受光してその位置や位置ずれを検出するためのアライメント系を備えている。このアライメント系の光軸と投影光学系の光軸との間隔を示すベースラインは、ウエハ上のアライメントマーク検出時にウエハステージ及びレチクルステージが静止された状態で測定されているが、実際の露光時にはレチクルパターンはウエハステージ及びレチクルステージが共に移動することによってウエハ上に投影露光されるため、静止時に測定されたベースラインと走査時に得られるベースラインとが異なってくる可能性がある。これらのことは、スリットスキャン露光方式の装置に特有の問題であり、従来の結像特性の測定のようにマスクステージを静止させたままでは測定できない。
【0007】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、実際の露光に前に、マスク上のマークパターン又はその投影像の位置若しくは位置ずれを正確に検出することができる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、実際の露光に前に、投影光学系の結像特性又はマスクのパターン像の結像状態を正確に測定できる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、実際の露光に前に、アライメント系のベースラインを正確に測定することができる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0010】
さらに本発明の別の目的は、実際の露光に前に、マスクと感光基板とを精度良く位置合わせすることができる機構を備えた走査型露光装置を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、実際の露光工程に先立ち、マスクと感光基板とがマスク上の照明領域に対して同期走査されている間の、マスク上のマークパターン又はその投影像の位置若しくは位置ずれ及び結像特性を正確に検出することができる走査型露光方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、上記走査露光方法において、かかるマークパターン又はその投影像の位置若しくは位置ずれから、マスクを照明領域に対して静止させた状態で求めた投影光学系の結像特性及びマスクパターンの結像状態を補正することができる走査型露光方法を提供することにある。
【0013】
本文中、用語「照明領域」とは、照明光が照射されることによって画定されるマスク(レチクル)上の領域をいい、通常、照明光学系に配置された視野絞り等によりその大きさは制限される。また、用語「露光領域」とは、照明光が投影光学系を通じて照射されることによって露光される感光基板上の領域をいい、露光領域は前記照明領域と投影光学系に関して共役関係(結像関係)にある。走査型露光装置においては、通常、上記照明領域に対して1次元方向にマスクが移動し且つそれに同期して感光基板が上記1次元方向と逆方向に上記露光領域に対して移動することによって走査が行われる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に従えば、マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するマスクステージと、前記マスク上のパターンの像を感光基板上に投影する投影光学系と、前記照明領域と前記投影光学系に関して共役な露光領域に対して前記感光基板を走査する基板ステージとを備えた走査型露光装置において、
前記基板ステージ上に受光部を備え且つ前記マスク上のマークパターンの像を光電検出する光電検出手段と、
前記照明領域に対して前記マークパターンを走査するのに同期して前記受光部を前記露光領域に対して走査している間に前記光電検出手段から出力される信号を合成する合成手段とを備え、
前記合成手段の出力に基づいて前記マークパターンの像の位置または位置ずれを検出することを特徴とする上記走査型露光装置が提供される。本発明の走査型露光装置は、基板ステージ上に光電検出手段の受光部を備えることにより、実際の走査露光の条件の下で、すなわち、マスク用ステージ及び基板用ステージをマスクと基板の走査のために移動するという動的な条件の下で、マスクのテスト用マークパターンの像を予め測定することができる。光電検出手段からの出力を合成するための手段を設けることにより、実際の露光において1回の走査の間に投影光学系の種々の部分を光が透過することによって形成されるマークパターンの像を合成画像として描くことができる。この合成画像より実際の走査露光により形成される像の位置や位置ずれを知ることができる。かかる位置ずれは、走査ためのステージの移動等により発生する位置ずれであり、従来の静的な結像特性の測定方法で得ることができない。
【0015】
上記走査型露光装置は、前記感光基板上のアライメントマークを照明し、該アライメントマークからの反射光を受光してその位置または位置ずれを検出するアライメント系をさらに備え、前記検出されたマークパターン像の位置と、前記アライメント系の光照射位置との差を前記アライメント系のベースラインとすることができる。本発明では、上記受光部により検出されたマスクのマークパターン像の位置とアライメント系光源の光照射位置との差をアライメント系のベースラインと規定することによって、重ね合わせ露光の際に、感光基板とマスクとのアライメントを一層正確に行うことができる。
【0016】
また、上記走査型露光装置は、前記マスク上の複数のマークパターンの各像の位置または位置ずれに基づいて、前記マスクのパターン像の位置と回転量の少なくとも一方を検出する検出手段をさらに備え、前記検出手段の検出結果を利用して前記マスクと前記感光基板とのアライメントを行うことができる。例えば、マスクの静止状態でのレチクル位置(マークパターン位置)及び回転量を検出するのではなく、実際の露光時にマスクステージが走査している状態でのレチクル位置を検出し、アライメントセンサによるウエハ位置の測定結果と、前記走査時のレチクル位置情報に基づいて重ね合わせを行う。さらにレチクルもしくはウエハを回転させて回転誤差をキャンセルする。これにより実露光時のレチクル位置との関係でウエハ位置を合わせることができる。さらに上記走査型露光装置は、前記マスク上の複数のマークパターンの各像の位置、または位置ずれに基づいて、前記投影光学系の結像特性を算出する演算手段をさらに備えることができる。
【0017】
本発明の第2の態様に従えば、マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するマスクステージと、前記マスク上のパターンの像を感光基板上に投影する投影光学系と、前記照明領域と前記投影光学系に関して共役な露光領域に対して前記感光基板を走査する基板ステージとを備えた走査型露光装置において、
前記基板ステージ上に受光部が配置され、前記マスク上のマークパターンの像を光電検出する光電検出手段と;
前記照明領域に対して前記マークパターンを走査するのに同期して前記受光部を前記露光領域に対して走査している間に前記光電検出手段から出力される信号を合成する合成手段と;
上記合成手段の出力に基づいて前記マークパターンの像の結像状態を算出する演算手段とを備えたことを特徴とする上記走査型露光装置が提供される。本発明の走査型露光装置は、基板ステージ上に光電検出手段の受光部を備えることにより、実際の走査露光の条件の下で、マスクのテスト用マークパターンの像を予め測定することができる。光電検出手段からの出力を合成するための手段を設けることにより、実際の露光において1回の走査の間に投影光学系の種々の部分を光が透過することによって形成されるマークパターンの像を合成画像として描くことができる。この合成画像を用いて、実際の走査露光により形成される像の結像特性、例えば、倍率やコントラスト等を計算により知ることができる。
【0018】
上記走査型露光装置は、前記演算手段の算出結果に応じて前記投影光学系の結像特性を補正するための補正手段を更に備えるが好ましい。補正手段は、前記マスクステージと前記基板ステージとの走査速度または走査方向を制御するステージコントローラにすることができる。このステージコントローラにより各ステージの移動速度を変更することにより最適な結像特性を得ることができる。
【0019】
本発明の走査露光装置において、光電検出手段は、前記受光部と実質的に共役な面に受光面が配置される撮像素子と、前記マークパターンの像を拡大して前記受光面上に結像する拡大光学系とから構成することができる。感光基板が露光動作により感光される時に走査の間に光のエネルギが感光剤に蓄積されて像を形成する機構と、撮像素子が光電検出により像を形成する機構は同様と考えることができるので、撮像素子を用いることにより実際の露光時に形成される像を予測できる。
【0020】
本発明の第3の態様に従えば、マスクを照明しながら、該マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するとともに、上記照明領域と投影光学系に関して共役な露光領域に対して感光基板を前記マスクの走査に同期して走査することにより上記マスクのパターンを投影光学系を介して感光基板上に露光する走査型露光方法において、
前記露光に先立って、前記感光基板の代わりに、前記マスクに形成されたマークパターンの像を検出する検出手段の受光部を、前記マスクの走査と同期して走査し、
前記走査の間に、前記検出手段から出力された信号を合成して、走査の間のマスクのマークパターン像の位置又は位置ずれを求めることを特徴とする前記走査型露光方法が提供される。上記マスクの照明領域に対して検出手段、例えば、撮像素子の受光部、とマスクとを同期して走査することにより、実際の走査露光、すなわちマスクステージ及び基板ステージが移動する動的な条件の下でマスクのテストパターンを結像させることができる。得られた像から、走査型露光方法を用いることによって発生する像の位置ずれを実際の露光に先立って知ることができる。
【0021】
上記走査型露光方法において、前記照明領域に対してマスクを固定した状態でマスクのマークパターンを照明しながら、前記露光領域における前記マークパターンの像を検出し、検出されたマークパターンの像位置に関する情報を、前記求められた走査の間のマスクのマークパターン像の位置または位置ずれにより補正することを、更に含むことが好ましい。図5に示したような従来の静的な条件で測定された像位置に関する情報を、マスクステージ及び基板ステージの移動が伴う走査露光の動的な条件で測定した位置または位置ずれで予め補正することができる。この補正された位置情報を用いて、実際の露光の前に結像特性等を予測し、露光の際に種々の方法により露光条件を補正することができる。
【0022】
本発明の第4の態様に従えば、マスクを照明しながら、該マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するとともに、上記照明領域と投影光学系に関して共役な露光領域に対して感光基板を前記マスクの走査に同期して走査することにより上記マスクのパターンを投影光学系を介して感光基板上に露光する走査型露光方法において、
前記露光に先立って、前記感光基板の代わりに、前記マスクに形成されたマークパターンの像を検出する検出手段の受光部を、前記マスクの走査と同期して走査し、前記走査の間に、前記検出手段から出力された信号を合成して、走査の間のマスクのマークパターン像を求め、得られたマークパターン像から投影光学系の結像特性を演算することを特徴とする前記走査型露光方法が提供される。この方法によると、実際の走査露光、すなわちマスクステージ及び基板ステージが移動する動的な条件の下でマスクのテストパターンを結像させて、その結像特性を予め求めることができる。これによりマスクステージ及びレチクルステージを静止した状態で求めた結像特性と実露光時の結像特性の差異を予め知ることができ、ステージ移動速度の調整等により動的な条件で測定された結像特性を補正することが可能となる。
【0023】
本発明の第5の態様に従えば、本発明の走査露光装置を用いてマイクロデバイスを製造する方法が提供される。これによりマイクロデバイスを高精度に製造することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明による走査型露光装置の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1に、レチクルRとウエハWとをレチクルRの照明領域に対して同期して走査しながら露光する走査型の投影露光装置の一例を示す。この投影露光装置は、光源及び照明光学系(共に図示しない)、レチクルRを走査方向に移動するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターン像をウエハW上に投影する投影光学系PL、ウエハWをレチクルRの走査と同期して移動するウエハステージWST、ウエハの位置合わせ用のアライメント系30〜35、結像特性を測定する光電センサ3から主に構成されている。光源及び照明光学系は、一般に、図1においてレチクルステージRSTの上方に配置されている。照明光源は、例えば、超高圧水銀ランプの輝線であるi線やg線、KrF,ArFエキシマレーザ光、あるいは金属蒸気レーザ光等の紫外域の光源が用いられる。照明光学系は均一な照度を達成するためのフライアイレンズ、光路を開閉するためのシャッター、照明領域を制限するための可変ブラインド及びリレーレンズ等により構成されており、光源及び照明光学系からの照明光ILで、回路パターン等が描かれたレチクルRをほぼ照度均一且つ所定の立体角で照明する。近年では、解像力を増すために、輪帯照明、あるいは、傾斜照明等が可能な構成になっている。
【0025】
レチクルステージRSTは、投影光学系PLの上方に設置され、リニアモータ等で構成されたレチクル駆動部(図示しない)により、走査方向(X方向)に所定の走査速度で移動可能である。レチクルステージRSTは、そのX方向端部に、干渉計7からのレーザビームを反射する移動鏡6を固定して備え、レチクルステージRSTの走査方向の位置は干渉計7によって例えば0.01μm単位で測定される。干渉計7による測定結果は、ステージコントローラ14に送られ、常時レチクルステージRSTの高精度な位置決めが行われる。レチクルステージRST上には、レチクルホルダ(図示しない)が設置され、レチクルRがレチクルホルダ上に真空チャック等により吸着されて載置されている。また、レチクルステージRSTの上方には、光軸AXを挟んで対向するレチクルアライメント系(図示しない)が装着され、このレチクルアライメント系によりレチクルRに形成された基準マークを観測して、レチクルRが所定の基準位置に精度良く位置決められるようにレチクルステージRSTの初期位置を決定する。従って、移動鏡6と干渉計7によりレチクルステージRSTの位置を測定するだけでレチクルRの位置を十分高精度に調整できる。レチクルステージRSTの駆動部は、ステージコントローラ14により制御される。
【0026】
レチクルステージRST上では、レチクルRはレチクルRの走査方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)を長手とする長方形(スリット状)の照明領域で照明される。この照明領域は、レチクルステージの上方であって且つレチクルRと共役な面またはその近傍に配置された視野絞り(図示しない)により画定される。
【0027】
レチクルRを通過した照明光は投影光学系PLに入射し、投影光学系PLによるレチクルRの回路パターン像が感光剤(フォトレジスト)が塗布されたウエハW上に形成される。投影光学系PLには、複数のレンズエレメントが光軸AXを共通の光軸とするように収容されている。投影光学系PLは、その外周部上であって光軸方向の中央部にフランジ部24を備え、フランジ部24により露光装置本体の架台に固定される。
【0028】
ウエハW上に投影されるレチクルRのパターン像の投影倍率は投影光学系PLのレンズエレメントの倍率及び配置により決定され、通常、投影光学系PLにより1/5または1/4に縮小される。
【0029】
レチクルR上のスリット状の照明領域(中心は光軸AXにほぼ一致)内のレチクルパターンは、投影光学系PLを介してウエハW上に投影される。ウエハWは投影光学系PLを介してレチクルRとは倒立像関係にあるため、レチクルRが露光時に−X方向(または+X方向)に速度Vrで走査されると、ウエハWはレチクルRとは逆の+X方向(または−X方向)にレチクルRに同期して速度Vwで走査され、ウエハW上のショット領域の全面にレチクルRのパターンが逐次露光される。走査速度の比(Vr/Vw)は前述の投影光学系PLの縮小倍率で決定される。
【0030】
ウエハWは、ウエハステージWST上に保持されたウエハホルダ5に真空吸着されている。ウエハステージWSTは前述の走査方向(X方向)の移動のみならず、ウエハ上の複数のショット領域をそれぞれ走査露光できるように走査方向と垂直な方向(Y方向)にも移動可能に構成されており、ウエハW上の各ショット領域を走査する動作と、次のショット領域の露光開始位置まで移動する動作を繰り返す。ウエハステージWSTは投影光学系PLの光軸AX方向(Z方向)にも微動が可能である。また、ウエハステージWSTは、図示しないレベリングステージにより光軸AXに対して傾斜することも可能である。ウエハステージWSTは、モータ等のウエハステージ駆動部(図示しない)によりウエハステージWSTは駆動され、前記比(Vr/Vw)に従って移動速度が調節され、レチクルステージRSTと同期されて移動する。ウエハステージWSTの端部には移動鏡8が固定され、干渉計9からのレーザビームを移動鏡8により反射し、反射光を干渉計9によって検出することによってウエハステージWSTのXY平面内での座標位置が常時モニタされる。移動鏡8からの反射光は干渉計9により、例えば0.01μm程度の分解能で検出される。ウエハステージ駆動部はステージコントローラ14により制御されて、レチクルステージRSTと同期するようにウエハステージWSTが駆動される。各ステージの走査及びそれに伴う投影光学系PLの調整等はステージコントローラ14で一括して管理される。
【0031】
図1に示した走査型露光装置は、ウエハW上にすでに露光されたパターンに対して、新たなパターンを精度よく重ねて露光するためのウエハアライメント系を備える。このウエハアライメント系として、投影光学系PLとは別に設けられた光学式ウエハアライメント系30〜35によりウエハW上の位置合わせ用のマークの位置を読取、重ね合わせ露光を行う位置を決定する。光源30として、ウエハW上のフォトレジスト膜に対して非感光性の波長の光を発生するレーザ、ハロゲンランプ等が用いられる。光源30から照射された照明光は、ハーフミラー33、ミラー34を介して、ミラー35によりウエハW上の位置合わせマークを照明する。ウエハWの位置合わせマークからの反射光あるいは回折光は、照明光と逆の経路を通り、ハーフミラー33を通って受光部31において光電変換される。受光部31からの信号は、アンプ31で十分な出力に増幅されて、図示しないアライメント制御系に信号が送られる。投影光学系PLの光軸AXとアライメント系の光軸AX2は、出来るだけ近くに設定され、一定の間隔で隔てられている。この間隔を安定に維持することにより、重ね合わせ露光が行われる際に、レチクルRのパターンとウエハWのショット領域との正確な位置関係が保たれる。上記光軸AXと光軸AX2とは通常アライメント系のベースラインと呼ばれるが、本発明においては、後述するようにレチクルR上に形成されているマークを基準にしてベースラインを規定する。
【0032】
図1に示した投影露光装置は、投影光学系PLの像面に斜め方向から光線を照射する投光器10とその像面からの反射光を受光する受光器11より構成される位置センサ(ウエハWのZ方向センサ)を備える。この位置センサは、例えば投光器10より、スリット像あるいはピンホール像をウエハWに投射し、その反射光をスリットあるいはピンホールを介して受光するように構成することができ、投影光学系PLの最適像面にウエハWが位置したときに、スリットもしくはピンホールに反射光が入射するように調整される。これらのセンサを複数備えることによって、ウエハWの面の傾きを検出した後、投影光学系PLの最適像面にウエハW上の露光領域全域が一致するように前述のレベリングステージによりウエハステージWSTを傾けて補正を行うことも可能である。投光器から照射される光は感光剤を感光させない波長の光が選ばれる。
【0033】
ここで、図2を用いて、上記走査露光装置の走査露光動作について説明する。図2(a) は、レチクルRを上方より見た概念図で、投影光学系PLのイメージフィールドを示す円内に、前記の長方形の照明領域IAが画定されている。この照明領域IAに対してレチクルRが走査方向(X方向)に移動することにより、レチクルR上のパターンが順次照明されて、一回の走査によりレチクルRの走査方向に存在するすべてのパターンが照明される。照明時間は、各パターンが照明領域IAを横切るのに要する時間、すなわちパターンの大きさと走査速度により決定される。走査速度は感光剤の感度、照明光の強度等から決定される。図2(a) は、レチクルRが速度VrでX方向に走査されている場合を示す。照明領域IA内で照射されているレチクルパターンは、ウエハW上の露光領域EAに投影光学系PLの縮小倍率で結像される。この様子をウエハWを上方より見た図2(b) に示した。前述のようにウエハWの速度VwはレチクルRの速度Vr×投影光学系PLの縮小倍率で決定され、ウエハW上の像はレチクルRのパターンと鏡像関係にあるためウエハWはレチクルRと反対の−X方向に移動する。そして、レチクルRの1回の走査が終わると、ウエハW上にレチクルR全面の像が領域SHに形成される。この操作を繰り返すことにより、ウエハW上のほぼ全面にレチクルRのパターンを複数個露光する、いわゆるステップアンドスキャン露光を行う。
【0034】
図1中、ウエハステージWST上には、ウエハホルダ5と異なる位置に結像測定用のガラス板1がウエハWの上面とほぼ一致する高さで設置されている。ガラス板1は、Z方向の位置センサ(10,11)及びウエハステージWSTにより、ガラス板1の上面が投影光学系PLの像面と一致するように位置調整される。ガラス板1の下方であってウエハステージWST内部には拡大光学系2及び光電センサ3が設置されている。本発明の露光方法に従えば、実際のウエハWの露光が行われる前に、ウエハステージWSTの移動によりガラス板1が投影光学系PLの真下に位置づけられて結像特性の測定が行われる。投影光学系PLを通過した光線は、ガラス板1上で一旦結像した後、拡大光学系2を介して光電センサ3の受光面に再度結像する。光電センサ3の受光面ではガラス板1に形成された像が拡大光学系2の倍率で拡大されて結像する。拡大光学系2を構成する再上部のレンズを投影光学系PLの結像面に位置づけることにより、ガラス板1を省略することもできる。ここで、拡大光学系2に収差があると、光電センサ3の受光面に形成された像の歪み等が投影光学系PLの収差によるものか拡大光学系3の収差によるものか区別がつかなくなるので、拡大光学系2には極めて収差の少ない光学系を用いなければならない。上記の拡大光学系2及び光電センサ3よりなる結像特性測定系の構成は、図5に示したような従来の静的な結像特性測定系と同様な構成であり、拡大光学系2の倍率、光電センサ3の種類も全く同一のものを用いることができる。このため、投影光学系PLの静止像の測定は、従来通り露光領域EAの任意の場所に光電センサ3を移動した後、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTを静止したままで測定すればよい。光電センサ3の画像信号は、画像処理系4に取り込まれて処理される。その処理された画像データは演算器12に送られて、結像特性が演算される。このように静止状態での結像特性、すなわち、レチクルR及びウエハWが走査されていない状態での結像特性を、実際の露光に先立って最適に調整しておくことは走査型露光装置においても必要であり、演算で求めた結像特性に対して適当な補正手段を用いて補正しておくことが望ましい。例えば、演算で求めた倍率が目標とする倍率からずれていると、走査してできた像の非走査方向の倍率ずれを生じることになり、走査方向の像質の劣化になる。このため、例えば、レチクルRと投影光学系PLの光路長を変更したり、投影光学系PLのレンズエレメントの一部を光軸AX方向に駆動したり、光軸AXに対して傾斜させたりして倍率やディストーションの補正を行う公知の方法を用いることができる。また、焦点位置のずれ、像面の傾斜等はZ方向の位置センサ(10,11)にオフセットを与えて補正を行う。本発明はこの静止状態の結像特性は最適化されていることを前提にして走査露光が行われている間の結像特性を測定する方法と補正法を提供する。また、本発明では、後述するように、レチクルR及びウエハステージWSTの走査の間に測定された結像特性の測定から得られたレチクルRのマーク位置や結像特性に関する情報を用いて、レチクルR及びウエハステージWSTが静止状態で測定されたレチクルRのマーク位置や結像特性を予め補正することもできる。
【0035】
次に、図1に示した走査型露光装置を用いて、本発明の走査露光方法の一工程である走査露光における結像特性の測定法について説明する。レチクルRとして、複数のマークによりテストパターンが描かれた専用のテストレチクルもしくは、図4に示したような製造用のレチクルの周辺部にテスト用のマークを複数含むレチクルパターンを使用できる。あるいは、レチクルステージRST上に設置した、専用の結像特性測定用パターンでもよい。レチクルRの走行速度や傾斜がレチクルステージRST上の位置により異なるときは、レチクルステージRSTのほぼ全面で測定可能なテストレチクルが有利である。しかし、かかる専用のレチクルRを用いるとレチクル交換操作が煩雑となるため、適宜、レチクルを使い分けるのが望ましい。本発明では図4に示したような、回路パターン製造用のレチクルRであって、レチクルパターン領域40の外側の対向する2辺にそれぞれ4つテスト用のマークM1 〜M8 を含むレチクルパターンを使用した。
【0036】
結像特性測定時にはウエハステージWSTを移動して、レチクルR上のテスト用マークを光電センサ3上に結像させる。そして、実際の露光時と同じ走査速度で、レチクルRと光電センサ3を同期走査してレチクルRのテスト用マークの像を、画像データとして画像処理系4に取り込む。この走査の間に光電センサ3が露光領域EA(図2参照)を通過する。画像処理系4は得られた画像データから次々に各画素の出力を足し合わせる。走査が終了すると、露光領域EAを光電センサが通過するする間に信号が加算されてできた一つの像が形成される。この像が走査露光によってウエハW上に形成される像に相当する。この画像取り込みの様子を図3を用いて説明する。図3(a) は、光電センサ3からの1回ごとの出力波形を示している。光電センサ3が2次元センサの場合、出力はセンサ上の位置座標としてXYの関数で表されるが、説明を簡単にするためX成分のみを示した。ここで、光電センサ3の基準点が、例えば、投影光学系PLの光軸AX上に位置したときのレーザ干渉計8によるウエハステージの座標位置を求めておけば、光電センサ3上の座標X,Yはウエハステージの位置座標と対応させることができ、光電センサ3で検出されるレチクルRのマークの結像位置についてもウエハステージの位置座標系により表すことができる。
【0037】
図3(a) 中、nは、レチクルRのテストマークM1 を走査している間に、光電センサ3にマークM1 の結像データが取り込まれる順番を示している。理想的には、照明領域IA内をかかるマークが通過している間、いつデータを取り込んでも、露光領域EAの一定の場所に同じ投影像が形成されるはずであり、同じ像の重ね合わせとして最終的な像が形成されるべきである。ところが、前記のように、レチクルRと光電センサ3(実際の露光ではウエハW)を走査しながらマークの像を光電センサ3上に形成するために、マークが照明領域IAを通過する間に、マークM1 の像を形成することになる光線は、投影光学系PLの異なる部分を連続的に通過してくる。従って、投影光学系PLに収差が存在することにより像にディストーションが発生し、マークの結像位置が変化する。また、走査方向に関して、一回の走査の間にレチクルステージRSTとウエハステージWSTの同期ずれが生じると、マークの結像位置が変化することになる。この他にも、走査による装置全体の振動によりレチクルRとウエハステージWSTの位置関係が変化して結像位置の変化を生じることになる。
【0038】
上記の原因により、図3(a) に示したように、マークの画像データを取り込む毎にマークM1 の結像位置にずれが生じる。図3(a) において、第2回目(n=2)に取り込んだマークの画像の中心位置は、第1回目に取り込んだマークの画像の中心位置から+Δx’だけずれており、第3回目(n=1)に取り込んだマークM1 の画像の中心位置は第1回目に取り込んだマークの画像の中心位置から+Δx”だけずれている。また、それぞれのマーク像の形も投影光学系PLの光線通過位置による差、あるいは、ZセンサによるウエハステージWSTの最適像面に対する追従制御誤差、あるいは、位置画面を取り込む間に上記のように結像位置ずれによる像の劣化等により変化する。図3(b) は、光電センサ3がデータをm回取り込んだ後の出力画像(n=1〜m)を加算したものである。上記の影響のため、各々の画像より鈍った波形になっており、特に、所定のレベルでスライスして得られた線幅lは個々の画像の信号幅よりも広くなっている。
【0039】
ここで、個々の出力画像を合成して得られた像(図3(b) )の中心位置X0 が得られる。一方、レチクルR上のマークM1 の位置座標及び投影光学系PLの倍率より、マークM1 が光電センサ3上で結像されるべき位置(設計値)X01を計算により求めることができる。従って、ΔX=X0 −X01がレチクルR及び光電センサ3(実際の露光ではウエハW)の走査を含めた種々の原因で生じるレチクルRのマークM1 のX方向の結像位置ずれ(設計値と実露光位置の差)を示すことになる。
【0040】
上記のようにして得られたレチクルRの各マークの1次元または2次元の結像位置からウエハアライメント系のベースラインを求める方法を説明する。アライメント系の光源30から照射された光を光電センサ3により検出して照射位置をウエハステージWSTの座標系により求めておく。そして光電センサ3で求められた特定のマークのウエハステージWSTの座標系での結像位置とアライメント用光源30の照射位置とのX方向及びY方向の間隔をそれぞれアライメント系のベースラインとして規定することができる。あるいは、ガラス板1上にアライメント系(アライメントセンサ)が検出可能な基準マークを入れておき、その基準マーク位置とレチクルRの特定のマーク位置からベースラインを規定してもよい。このベースラインの値を記憶しておき、実際の露光(重ね合わせ露光)の際に、ウエハWのアライメントマークをウエハアライメント系30〜35で検出して、上記記憶されたベースラインの値を用いてウエハWとレチクルRとの相対位置を調整することができる。このようにアライメント系のベースラインを規定することによって、レチクルRのマークを基準として重ね合わせ露光されるウエハWの位置を正確に決定することができる。しかも、走査の間に生じるレチクルRとウエハWの相対的な位置ずれを取り込んだ形でベースラインを求めることができるので、走査型露光における重ね合わせ精度を向上できる。
【0041】
次に、前記のようにして得られたレチクルRの各マークの1次元または2次元の結像位置から走査露光における投影光学系PLの動的な結像特性を求める方法を説明する。画像処理系4からは、図3(b) に示したような合成像の出力が各マークM1 〜M8 について演算器12に送られる。演算器12において、各M1 〜M8 に関する合成像の出力より結像特性を計算する。例えば、結像特性として像のコントラストを求めるとき、図3(b) のように検出された各マークの出力を適当なスライスレベルでスライスしてそれぞれの線幅lを求めてそれらを比較することで判定することができる。あるいは、各マークの出力波形の両端のエッジの立ち上がりの角度により求めることもできる。
【0042】
結像特性として像倍率を求めるには次のような方法を採用することができる。レチクルR上の複数のマーク、例えば、マークM1 とM5 の結像位置X1 とX5 を光電センサ3のX座標系においてそれぞれ検出し、それらの結像位置からウエハステージWSTでのX座標系に変換し、そのウエハステージWSTの座標系におけるX1 とX5 との間隔とレチクルR上でのマークM1 とM5 のX方向の間隔から倍率を算出することができる。
【0043】
また、結像特性としてディストーションを求めるには次のような方法を採用することができる。例えば、レチクルRのパターン領域40内の比較的内側と比較的外側に2点の組A1 ,A2 及びB1 ,B2 をそれらの間隔A1 A2 と間隔B1 B2 が等しくなるように選び、それらの結像位置を上記と同様にして光電センサ3により検出して、結像位置をウエハステージWSTの座標系にて求める。次いで、ウエハステージWSTの座標系における2点の組の結像位置間隔A1 A2 ’と間隔B1 B2 ’をそれぞれ求めて、前記レチクルR上での間隔との差(A1 A2 ’−A1 ,A2 )及び(B1 B2 ’−B1 ,B2 )をそれぞれ算出して倍率を考慮して比較することによりディストーションを求めることができる。
【0044】
また、上記のようなレチクルRのマークの結像位置の測定から、レチクルRの走査により生じる、レチクルRのレチクルステージRST上での回転量を求めることができる。この場合、レチクルRのマークのうち、例えば、マークM1 とM5 の光電センサ3上でのY方向の結像位置Y1 とY5 を上記と同様にして検出する。結像位置Y1 とY5 に対応するウエハステージWSTの座標Y1 ’とY5 ’をそれぞれ求めて差ΔY’を求めることによってレチクルRのパターンがY方向にどの程度ずれて結像されるかがわかる。また、このΔY’とM1 及びM5 のX方向距離等からレチクルRの回転量θを算出することができる。
【0045】
さらに、レチクルRのパターン全体の位置ずれを以下のようにして求めることもできる。例えば、投影光学系PLの光軸上にレチクルRの中心が位置するようにレチクルRをレチクルステージRST上に配置して、上記のようにして光電センサ3により各マークの2次元的な結像位置を求める。次いで、各マークの結像位置をウエハステージ座標系に変換した後、前記センサ3上の基準点(ウエハステージ座標系)と各マークの結像位置(ウエハステージ座標系)との距離をそれぞれ求める。そして、それらの距離と、レチクルRの中心からのレチクルRの各マークM1 〜M8 の距離L1 〜L8 とを倍率を考慮して比較することによって、レチクルRの走査におけるレチクルRのパターンのオフセット量がわかる。この場合、一つのマークについてレチクルRの中心からの距離と、その結像位置と基準点の距離とを比較してもレチクルRのパターンのオフセット量は求められるが、再現性等の点から8つのマークM1 〜M8 についてそれぞれ距離の差を求めて平均値よりオフセット量を算出する方が望ましい。
【0046】
以上により走査露光により形成される像の結像特性を求めることができる。結像特性が所望の精度で得られないとき、補正を行うことが考えられる。ただし、前提として、ステージが静止している状態で測定された結像特性(静止像の結像特性)は最適に調整されているため、これ以上の調整は困難である。この段階での調整法として、走査露光によって悪化するレチクルRとウエハWの同期ずれ、振動等の軽減することが考えられる。一般に走査速度を落とすと、制御系の負荷が減るため、同期精度は向上する。また、振動も低減すると考えられる。このため、前記のようにして求められたマークの結像位置の位置ずれ等において所望の精度が達成されないとき、ステージコントローラ14に信号を送り、走査速度を低下する方法が考えられる。走査速度を低下すると、製品の生産性(スループット)が低下するため、所望の精度が得られる範囲内で速度を低下するのが最適である。このため、走査速度を変化させて結像特性を測定して最適速度を選ぶこともできる。前記のように走査速度は感光剤の感度で決まるため、速度に応じて照明光の照度を調節するか、照明領域IAの走査方向の幅を変える等の対策も必要である。
【0047】
前記の方法は、次々と画像処理系4の内部で像のデータを加算したが、一旦全てのデータをメモリに蓄えて、その後、加算して像の合成を行う方法も考えられる。この方法によれば、合成後でも各データがメモリ中に残っているため、精度が良くないとき、露光領域EAのどの部分で良くないか解析することが可能という利点がある。また、前記の方法では、演算によって画像データを加算したが、光電センサ3おいて加算する方法も考えられる。照明光の強度をフィルター等で減光して、一回の走査でセンサ3に画像が蓄積されるようにすることによって、一度に走査の間の合計の光電出力を得ることができる。この方法では演算する必要がないため回路構成が簡単になる。
【0048】
また、前記の方法は光電センサ3の画素を基準に加算していったが、装置の振動等でレチクルステージRSTと光電センサ3の位置関係が変化すると測定誤差を生じる。このため、ガラス板1に指標もしくは枠をつけて、光電センサ3で検出される指標もしくは枠の検出位置が一定になるように加算を行えば、上記のような不都合はなくなる。この指標が、前述のベースライン測定時のアライメントセンサで検出される基準マークと共通であれば都合がよい。
【0049】
また、上記方法で焦点位置を求めるとき、ウエハステージWSTのZ方向の位置を変えながら測定を繰り返すのが通常行われる方法であるが、拡大光学系2の光軸方向の複数の位置で受光できるように、ハーフミラー等で分岐して複数の光電センサで受光する方法も考えられる。また、複数の光電センサ3と拡大光学系2をウエハステージWST上に配置して露光領域EAの複数の測定点で一度に測定を行うという方法も考えられる。この方法によれば、一度の走査で複数点の測定ができるという利点がある。また、非走査方向の各光電センサ間の距離を予め厳密に測定しておけば、非走査方向のディストーションの測定精度が干渉計9の測定誤差によらず精度よく測定ができるという利点もある。
【0050】
以上説明してきた実施例の方法はウエハステージWST内部に光電センサ3を設けたが、光電センサの発熱による不具合、あるいはウエハステージWSTの重量増大による不具合を回避するために、受光部(例えば、光ファイバの入射端面)のみをウエハステージWST上に設置しておき、受光された光をイメージファイバ等で画像をウエハステージWST外に設置した光電センサに送ることもできる。また、ファイバー等でウエハステージWSTに照明光を導いて、ウエハステージWSTよりテストパターンを発光させ、レチクルステージRST上の光電センサで受光することも可能である。
【0051】
本発明は、前記のように2次元あるいは1次元のいずれの分解能を有する光電センサを使用する場合に可能である。通常、コントラスト、ディストーション等はXY方向の複数線(ライン・アンド・スペース)もしくは、単独線(孤立線)で測定するため、1次元センサの場合は、X方向とY方向の2方向にセンサを配置すればよく、2次元センサの場合もXY方向に分解能を持つように配置し、データを選択することにより、X及びY成分のデータ処理を実施できる。
【0052】
上記実施例の投影露光装置は、半導体製造用の投影光学系PLを使用していたが、本発明は投影光学系を使用する走査型露光装置以外の走査型露光装置、例えばミラー光学系を使用する走査型露光装置に対しても同様に有効である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の走査型露光装置は、走査露光の動的な条件、すなわちマスクステージ及び基板ステージが移動している状態での像位置に関する情報や結像特性を、実際の露光の前に、計測及び演算することができる機構を備えているので、走査型露光装置に独特の原因で発生する像位置のずれや結像特性の誤差等を予め知ることができ、それにより、結像特性を補正するように露光条件を変更することができる。本発明の走査露光方法は、走査露光の動的な条件の下での像位置に関する情報や結像特性を、実際の露光の前に、計測及び演算しているので、走査露光方式に独特の原因で発生する像位置のずれや結像特性の誤差等を予め知ることができ、それにより、結像特性を補正するように露光条件を変更することができる。また、静的な条件で測定された像位置に関する情報や結像特性を、上記動的な条件で測定した位置ずれや結像特性に基づいて予め補正することにより、走査露光時の結像特性を予め一層正確に求めることができる。従って、本発明の走査型露光装置及び走査露光方法を用いることによって、一層高精度且つ高効率で半導体素子や液晶素子等のマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査の間の結像特性を予め測定することができる機構を含む本発明の走査型露光装置の構成の概要を示す。
【図2】実施例の走査型露光装置による走査露光方法を説明する図であり、図2(a) は照明領域IAに対してレチクルRが走査される様子を示し、図2(b) は露光領域EAに対してウエハWがレチクルRの走査方向と逆方向に走査される様子を示す図である。
【図3】実施例において、走査の間に光電センサに取り込まれたレチクルRのテストマークの検出画像を示す図であり、図3(a)は取り込み回数nに対する各画像の変化を示し、図3(b)はm回取り込んだ場合に各画像信号を加算して得られた合成画像を示す。
【図4】実施例で用いたテストマークM1 〜M8 を含むレチクルの平面図である。
【図5】結像特性の測定系を備える従来の投影露光装置の構成の概要を示す図である。
【符号の説明】
R レチクル、
W ウエハ
PL 投影光学系
IA 照明領域
EA 露光領域
RST レチクルステージ
WST ウエハステージ
1 ガラス板
2 拡大光学系
3 光電センサ
4 画像処理系
5 ウエハホルダ
7 レーザ干渉計
10 投光器
12 演算器
14 ステージコントローラ
30 アライメント系光源
Claims (13)
- マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するマスクステージと、前記マスク上のパターンの像を感光基板上に投影する投影光学系と、前記照明領域と前記投影光学系に関して共役な露光領域に対して前記感光基板を走査する基板ステージとを備えた走査型露光装置において、
前記基板ステージ上に受光部を備え且つ前記マスク上のマークパターンの像を光電検出する光電検出手段と、
前記照明領域に対して前記マークパターンを走査するのに同期して前記受光部を前記露光領域に対して走査している間に前記光電検出手段から出力される信号を合成する合成手段とを備え、
前記合成手段の出力に基づいて前記マークパターンの像の位置または位置ずれを検出することを特徴とする上記走査型露光装置。 - 前記感光基板上のアライメントマークを照明し、該アライメントマークからの反射光を受光してその位置、または位置ずれを検出するアライメント系をさらに備え、前記検出されたマークパターン像の位置と、前記アライメント系の光照射位置との差を前記アライメント系のベースラインとすることを特徴とする請求項1に記載の走査型露光装置。
- 前記マスク上の複数のマークパターンの各像の位置または位置ずれに基づいて、前記マスクのパターン像の位置と回転量の少なくとも一方を検出する検出手段をさらに備え、前記検出手段の検出結果を利用して前記マスクと前記感光基板とのアライメントを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の走査型露光装置。
- 前記マスク上の複数のマークパターンの各像の位置、または位置ずれに基づいて、前記投影光学系の結像特性を算出する演算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
- マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するマスクステージと、前記マスク上のパターンの像を感光基板上に投影する投影光学系と、前記照明領域と前記投影光学系に関して共役な露光領域に対して前記感光基板を走査する基板ステージとを備えた走査型露光装置において、
前記基板ステージ上に受光部が配置され、前記マスク上のマークパターンの像を光電検出する光電検出手段と;
前記照明領域に対して前記マークパターンを走査するのに同期して前記受光部を前記露光領域に対して走査している間に前記光電検出手段から出力される信号を合成する合成手段と;
上記合成手段の出力に基づいて前記マークパターンの像の結像状態を算出する演算手段とを備えたことを特徴とする上記走査型露光装置。 - 前記演算手段の算出結果に応じて前記投影光学系の結像特性を補正するための補正手段を更に備えることを特徴とする請求項4または5に記載の走査型露光装置。
- 前記補正手段は、前記マスクステージと前記基板ステージとの走査速度または走査方向を制御するステージコントローラであることを特徴とする請求項6に記載の走査型露光装置。
- 上記光電検出手段は、前記受光部と実質的に共役な面に受光面が配置される撮像素子と、前記マークパターンの像を拡大して前記受光面上に結像する拡大光学系とを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
- 前記走査型露光装置を用いて、マイクロデバイスを製造する方法。
- マスクを照明しながら、該マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するとともに、上記照明領域と投影光学系に関して共役な露光領域に対して感光基板を前記マスクの走査に同期して走査することにより上記マスクのパターンを投影光学系を介して感光基板上に露光する走査型露光方法において、
前記露光に先立って、前記感光基板の代わりに、前記マスクに形成されたマークパターンの像を検出する検出手段の受光部を、前記マスクの走査と同期して走査し、
前記走査の間に、前記検出手段から出力された信号を合成して、走査の間のマスクのマークパターン像の位置又は位置ずれを求めることを特徴とする前記走査型露光方法。 - 前記照明領域に対してマスクを固定した状態でマスクのマークパターンを照明しながら、前記露光領域における前記マークパターンの像を検出し、検出されたマークパターンの像位置に関する情報を、前記求められた走査の間のマスクのマークパターン像の位置または位置ずれにより補正することを、更に含むことを特徴とする請求項10に記載の走査型露光方法。
- 前記補正されたマークパターンの像位置に関する情報から前記投影光学系の結像特性を演算することを含むことを特徴とする請求項11に記載の走査型露光方法。
- マスクを照明しながら、該マスク上の照明領域に対して該マスクを走査するとともに、上記照明領域と投影光学系に関して共役な露光領域に対して感光基板を前記マスクの走査に同期して走査することにより上記マスクのパターンを投影光学系を介して感光基板上に露光する走査型露光方法において、
前記露光に先立って、前記感光基板の代わりに、前記マスクに形成されたマークパターンの像を検出する検出手段の受光部を、前記マスクの走査と同期して走査し、
前記走査の間に、前記検出手段から出力された信号を合成して、走査の間のマスクのマークパターン像を求め、
得られたマークパターン像から投影光学系の結像特性を演算することを特徴とする前記走査型露光方法。
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