JP3547367B2 - 旋回作業機のボンネット装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックホー等の旋回作業機におけるボンネット装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バックホー等の旋回作業機においては、クローラ走行体の上部に上下軸心回りに回動自在に旋回台を備え、該旋回台の後部にエンジンを配設するとともに、これを開閉自在なボンネットにて覆い、旋回台の左右方向側部にタンク、ラジエータ等を配設してこれを旋回台に固定の側部ボンネットにより覆ったものが従来より公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような旋回作業機では、側部ボンネットが旋回台に固定であることから、通常、ボンネット上壁に内部機器点検用の点検窓が形成されるようになっている。
しかし、点検窓がボンネット上壁に形成されていると比較的高い位置から点検作業を行わなければならず、クローラ走行体等を利用した足場に乗り上がる必要があるために作業者の負担が増大する原因となっていた。また、ボンネット下部側に配設された機器を点検する場合、ボンネット上方から上体を深く折り曲げて手や工具等を挿入しなければならないため、作業者の負担をより増大するものとなっていた。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑み、作業者の負担を軽減してボンネット内の点検作業性(メンテナンス性)を向上する旋回作業機のボンネット装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。すなわち、本発明は、運転席を有する旋回台の前記運転席の左右方向側部に、該旋回台に搭載した機器を覆うボンネットを備え、該ボンネットの上壁に前記機器の点検窓を形成している旋回作業機のボンネット装置であって、前記点検窓が、前記機器を左右外側方から点検可能とするようにボンネットの上壁から左右外側壁に亘って形成されており、前記点検窓の前縁が後縁よりも低位置にあり、前記ボンネットの外側壁における点検窓の側縁が、前側が低く後側が高くなるように傾斜して形成されるとともに、その傾斜が前側から後側にかけて徐々に急となるように形成されており、前記点検窓を開閉自在に閉鎖するカバーを備え、該カバーの左右内側部が、前記ボンネットの左右内側壁に左右方向に開閉揺動自在に支持されており、前記ボンネットの外側壁は前記左右内側壁よりも深く掘り下げられていることを特徴とするものである。
【0006】
これによれば、作業者の負担となる動作や姿勢をとらなくともボンネットの外側方から容易に内部機器を点検することができるようになり、メンテナンス性の向上が可能となる。
【0007】
点検窓がボンネットの外側壁を大きくほり下げた状態で形成されているので、点検作業をより容易に行い得るものとなる。また、背丈の低い機器であっても、点検窓の前側に対応して配設すれば容易に点検できるようになり、点検窓は、その前縁が後縁よりも低位置に形成されることから前方にも開放され、前方からの点検も可能となる。
上記の場合、前記点検窓を開閉自在に閉鎖するカバーの左右内側縁を、前記ボンネットの左右内側壁に左右方向に開閉揺動自在に設けているので、これによって、カバーを開くことで点検窓を上方、外側方及び前方に開放することが可能となる。
また、前記カバーは、その左右内側部が、前記ボンネットの左側壁上縁にヒンジ部材を介して左右方向に開閉揺動自在に支持され、該ヒンジ部材の回動支軸は前下傾斜状とされているのが好ましい。
【0008】
本発明は、前記機器としてのラジエータ、作動油タンク及び制御バルブユニットが前記ボンネット内に配設され、これらに対応した点検窓を共通のカバーによって開閉自在に閉鎖するようにしたことを特徴とするものである。これによって、カバーを開くだけで、各機器を一時に点検可能となる。
更に、この場合、前記作動油タンクの前下側に前記制御バルブユニットを横置きに配置するのが好ましく、これによって制御バルブユニットの上方にスペースを形成することができ、このスペースを利用して、制御バルブユニットの上方で作動油タンクの前側にバッテリを配設することができるようになる。このような配置によって、バッテリに対する点検や交換等が容易に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、バックホーで例示する本発明の旋回作業機1を示しており、このバックホー1は、クローラ形式の走行装置2の上部に、旋回台3を上下方向の軸心X回りに旋回自在に支持しており、クローラ走行装置2の前部にはドーザ装置4が設けられ、旋回台3の前部左側には、運転席32と、ステップ33と、操縦レバー34とを有する操縦部35が備えられ、該操縦部35の上方はキャノピ装置31により覆われている。操縦部35の右側には、掘削装置(作業装置)5が支持されている。
【0010】
また、本実施形態のバックホー1は、旋回台3が平面視で略円形状を呈するものとなっており、旋回台3の平面範囲内に掘削装置5の支持部6を配設し、且つ旋回台3の旋回軌跡が走行装置2の前後左右幅内にほぼ収まるように構成された、所謂超小旋回型のバックホーとされている。
掘削装置5は、旋回台3の支持部6に前後揺動自在に支持された第1ブーム8と、該第1ブーム8の上端に左右揺動自在に枢結された第2ブーム9と、該第2ブーム9の前端に左右揺動自在に枢結された連結ブラケット10と、該連結ブラケット10に上下又は前後揺動自在に枢結されたアーム11と、該アーム11に前後又は上下揺動自在に枢結されたバケット12とを有し、第1ブーム8、アーム11及びバケット12は、それぞれ油圧シリンダよりなるブームシリンダ13、アームシリンダ14、バケットシリンダ15により揺動動作されるようになっている。
【0011】
また、第1ブーム8と連結ブラケット10とは連係リンク16により相互に連結され、この連係リンク16と、第1,第2ブーム8,9及び連結ブラケット10とによって平行4連リンクが構成され、第1,第2ブーム8,9間に介装された油圧シリンダよりなるオフセットシリンダ17によって第2ブーム9が左右に揺動動作されるようになっている。
旋回台3は、その底部を構成する厚板材からなるベース部材20を有し、該ベース部材20の後部には、掘削装置5との重量バランスを図るウエイト21が設けられている。また、ベース部材20の側部及び前部には、カバー部材22が設けられ、前記ウエイト21とともに旋回台3の外郭を構成するものとなっている。
【0012】
図2に示すように、ベース部材20上には、ブラケット、ステー等を介してエンジン24、ラジエータ25、作動油タンク26、燃料タンク27、制御バルブユニット28、バッテリ29等が搭載され、これら機器はボンネット38,39,40により覆われている。
前記エンジン24は、旋回台3の後部に横向きに配置され、その一側(右側)にラジエータ25が配置されている。また、旋回台3の左右一側(右側)でラジエータ25の前側には、作動油タンク26が配設され、該作動油タンク26の前側に制御バルブユニット28及びバッテリ29が配設されている。
【0013】
燃料タンク27は、作動油タンク26とは反対側となる旋回台3の左右他側(左側)であって、運転席32の略下方に配置されており、このように作動油タンク26と燃料タンク27とを左右に振り分けて配置することで旋回台3の左右バランスを好適に図るとともに、旋回台3の右側部(右側部ボンネット40内)のスペースが広く確保されるようになっている。
前記制御バルブユニット28は、掘削装置5や走行装置2等の各油圧機器を制御する複数の制御バルブを互いに連結、一体化することによって略直方体のブロック状に形成されたものであり、図4及び図5に示すように、その長手方向を前後方向に向けた状態で作動油タンク26の前下側に横置きに配設され、前記カバー部材22によって前方及び外側方が覆われている。
【0014】
制御バルブユニット28を横置きに配設することにより、該制御バルブユニット28の上方で作動油タンク26の前側には、広いスペースが形成されるようになっており、このスペースを利用してバッテリ29が配設されるようになっている。
バッテリ29は、ブラケット30を介して作動油タンク26に直接的に支持され、その上面が作動油タンク26の上面のやや下側に配設されるように可及的に高位置に配設されており、これによってバッテリ29の点検、交換等のメンテナンス性が向上されるようになっている。
【0015】
バッテリ29の前方であって制御バルブユニット28の上方には比較的広いスペースが残存しており、このスペースを作業者の荷物や車載工具等を収納するための収納スペースとして利用可能である。
図5に示すように、作動油タンク26の後部には前方へ凹んだ凹部26aが形成されるとともに、ラジエータ25の前部が凹部26aに入り込んで配置されており、これによって作動油タンク26及びラジエータ25の前後配置スペースを可及的に小さくするとともに、ラジエータ25の前側に張り出した作動油タンク26後部によってタンク容量を可及的に増大している
前記ボンネット39,38,40は、樹脂製又は金属製板材により形成されており、図2に示すように、前記エンジン24及びラジエータ25の後部を覆う開閉自在な後ボンネット38と、ラジエータ25の前部側、作動油タンク26、制御バルブユニット28を覆う右側部ボンネット(本発明にかかるボンネット)40と、エンジン24の前部側、燃料タンク27の一部を覆う左側部ボンネット39とを有し、左右側部ボンネット39,40は、左右に隣接して配置され、旋回台3に対して固定されている。なお、この左右側部ボンネット39,40は、互いに一体に形成されたものであってもよい。
【0016】
右側部ボンネット40は、旋回台3の右側部の範囲(支持部6の右側範囲)を略全体に亘って覆うべく前後に長く形成されており、その上壁には、内部機器点検用の点検窓41,42が形成されている。
具体的にこの点検窓41,42は、図4及び図5に示すように、作動油タンク26、制御バルブユニット28、バッテリ29に対応して形成された第1の点検窓41と、ラジエータ25に対応し且つ第1の点検窓41とは独立して上方に形成された第2の点検窓42とを有し、これら第1,第2点検窓41,42は、図3にも示すように共通の1つのカバー43にて開閉自在に閉鎖されるようになっている。
【0017】
第1の点検窓41は、右側部ボンネット40の上壁40aにおいて、作動油タンク26、制御バルブユニット28及びバッテリ29の上方略全域を開放するように大開口に形成されており、更に、前記作動油タンク26,バッテリ29の上部を左右外側方(右側方)へ露出するように右側部ボンネット40の左右外側壁(右側壁)40bに亘って形成され、該外側壁40bの上端を下方に剔るようにほり下げている。
したがって、第1点検窓41の形成部位においては、右側部ボンネット40の左右内側壁(左側壁)40cの上端よりも左右外側壁40bの上端の方が低位置に配設される。
【0018】
右側部ボンネット40は、後部側よりも前部側の高さが低く形成され、第1点検窓41の前縁41aも後縁41bよりも低位置に形成されており、外側壁40bにおける第1点検窓41の側縁41cは、側面視において、前縁41a及び後縁41bに連続して前側が低く後側が高くなるように傾斜して形成されている。また、第1点検窓41の側縁41cの傾斜は、側面視において前側から後側にかけて徐々に急となる弯曲した円弧形状(凹状の円弧形状)に形成されるようになっており、これによって、右側部ボンネット40の外側壁40bが深くほり下げられ、作動油タンク26及びバッテリ29を右側部ボンネット40の外側方から点検可能とするとともに、第1点検窓41の側縁41c前側が低くなっていることから、低い位置に配設された制御バルブユニット28であっても比較的容易に点検できるようになっている。
【0019】
また、第1点検窓41の側縁41cは、平面視(図5参照)においても前縁41a及び後縁41bに滑らかに連続するように円弧形状に形成されており、これによって開口面積が増大され、メンテナンス性が向上されている。
第1点検窓41は、前縁41aが低く後縁41bが高くなっていることから、前方にも開放されるようになっており、例えば、バッテリ29の液面チェック等を前方から容易に行えるようになっている。そのため、第1点検窓41の前縁41aは、バッテリ29の上面レベルよりも低く設定するのが好ましく、図4の例のように、バッテリ29の上下中途部よりも低くなるように設定するのがより好ましいものとなる。
【0020】
第2点検窓42は、ラジエータ25を点検可能な必要最小限の範囲、具体的には、少なくともラジエータキャップ25aの上方域に対応した円形の小開口に形成されている。
このような構成によって、右側部ボンネット40内の機器25,26,28,29全てに対応する連続した大開口の点検窓を形成する場合に比べて、右側部ボンネット40の上壁面積40aを可及的に確保することができ、右側部ボンネット40の強度低下を抑えることが可能となっている。
【0021】
前記カバー43は、その左側部(左右内側部)が、右側部ボンネット40の左側壁(左右内側壁)40c上縁にヒンジ部材44(図4参照)を介して左右方向に開閉揺動自在に支持されている。また、第1の点検窓41を閉鎖する第1閉鎖部43Aと、該第1閉鎖部43Aの後端から後方に突出されていて第2の点検窓42を閉鎖する第2閉鎖部43Bとを有しており、第1閉鎖部43Aの右側部43A1は、第1点検窓41における右側部ボンネット40の外側壁40bにまでほり下げられた部分を覆うように左右外方に膨出しながら下方に弯曲されている。
【0022】
このカバー43を開くことで、作動油タンク26、制御バルブユニット28、バッテリ29及びラジエータ25の各機器に対する給油、給水又は点検等を一時に行うことが可能で、メンテナンス性の向上が図られており、カバー43を閉鎖状態に保持するロック装置(図示略)も一つ備えれば足りるものとなっている。第2閉鎖部43Bは、第2点検窓42を必要最小限の大きさに形成していることから可及的に小さく形成することができ、カバー43の材料を少なくできると共に、重量増を抑えて開閉を容易に行えるようにしている。
【0023】
カバー43は、その前部又は後部を揺動自在に支持して前後方向に開閉するよう構成することも可能である。
しかし、前部を支持した場合には、カバー43を開いたときに第1点検窓41の前方を塞ぐこととなって前方からの視認性を阻害し、また、カバー43が前後に長く形成されていることから、掘削装置5のバケット12をカバー43上方に位置させた場合(図1参照)に、開いたカバー43がバケット12に干渉する恐れが生じ、後部を支持した場合にも、バケット12との干渉問題が発生する。
【0024】
そのため、上記実施形態のように、左右内側部を揺動支点として左右方向に開閉することで、カバー43が障害となることなく第1点検窓41の上方、外側方及び前方を開放可能とし、カバー43を開いたときの上方突出量を小さくして、バケット12との干渉を防止できるようにするのが好ましい。
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能であり、例えば、第1の点検窓41は、作動油タンク26、バッテリ29、制御バルブユニット28に対応した比較的大きな開口とされているが、作動油タンク26用、バッテリ用、制御バルブユニット28用等に分割された2又は3の点検窓によって構成してもよい。
【0025】
また、ラジエータ25,作動油タンク26,制御バルブユニット28,バッテリ29の全てに対応する1の点検窓を右側部ボンネットに形成してもよい。
第1点検窓41は、作動油タンク26及びバッテリ29の上部外側方を露出しなくとも、これらを外側方から点検可能な程度に外側壁40bをほり下げた形状であればよい。
旋回作業機1としては、上述した超旋回型のバックホーに限らず、旋回台3の前端部に掘削装置5の左右揺動支点を配置し、且つ旋回台3の後端部が描く旋回軌跡を走行装置2の左右前後幅内に収めた、所謂後方小旋回型のバックホーや、旋回台3の前端部に掘削装置5の左右揺動支点を配置し、且つ旋回台3の後端部が描く旋回軌跡が走行装置の左右又は前後幅から突出する形態の標準型のバックホーであってもよい。
【0026】
また、作業装置5のバケット12に変えて他のアタッチメント機器を装着したものであってもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ボンネットの外側方から内部機器の点検が行えるようになり、作業者の負担を軽減してメンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる旋回作業機の側面図である。
【図2】旋回台の平面図である。
【図3】旋回台の右側面図である。
【図4】旋回台の右側面断面図である。
【図5】旋回台右側の平面図である。
【符号の説明】
1 旋回作業機
3 旋回台
25 ラジエータ
26 作動油タンク
28 制御バルブユニット
29 バッテリ
40 右側部ボンネット
41 第1点検窓
42 第2点検窓
43 カバー
Claims (4)
- 運転席(32)を有する旋回台(3)の前記運転席(32)の左右方向側部に、該旋回台(3)に搭載した機器を覆うボンネット(40)を備え、該ボンネット(40)の上壁(40a)に前記機器の点検窓(41)を形成している旋回作業機のボンネット装置であって、
前記点検窓(41)が、前記機器を左右外側方から点検可能とするようにボンネット(40)の上壁(40a)から左右外側壁(40b)に亘って形成されており、
前記点検窓(41)の前縁(41a)が後縁(41b)よりも低位置にあり、前記ボンネット(40)の外側壁(40b)における点検窓(41)の側縁(41c)が、前側が低く後側が高くなるように傾斜して形成されるとともに、その傾斜が前側から後側にかけて徐々に急となるように形成されており、
前記点検窓(41)を開閉自在に閉鎖するカバー(43)を備え、該カバー(43)の左右内側部が、前記ボンネット(40)の左右内側壁(40c)に左右方向に開閉揺動自在に支持されており、
前記ボンネット(40)の外側壁(40b)は前記左右内側壁(40c)よりも深く掘り下げられていることを特徴とする旋回作業機のボンネット装置。 - 前記カバー(43)は、その左右内側部が、前記ボンネット(40)の左側壁(40c)上縁にヒンジ部材(44)を介して左右方向に開閉揺動自在に支持され、該ヒンジ部材(44)の回動支軸は前下傾斜状とされていることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機のボンネット装置。
- 前記機器としてのラジエータ(25)、作動油タンク(26)及び制御バルブユニット(28)が前記ボンネット(40)内に配設され、これらに対応した点検窓(41,42)を共通のカバー(43)によって開閉自在に閉鎖するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の旋回作業機のボンネット装置。
- 前記作動油タンク(26)の前下側に前記制御バルブユニット(28)が横置きに配設され、この制御バルブユニット(28)の上方で作動油タンク(26)の前側にバッテリ(29)が配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の旋回作業機のボンネット装置。
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